【主要メーカー別】自動運転車プロジェクト一覧

出典:Waymo

今や世界中が注目している自動運転車。ニュースで見ない日はないと言うとさすがに言い過ぎかもしれませんが、そのくらい様々な企業が自動運転車の研究開発に取り組んでおり、その動向が報道されています。

そこで今回は自動運転車を開発している主要な企業を一覧にして、現状の進捗具合とともに紹介したいと思います。

トヨタの自動運転車

トヨタは日本のほか、北米や欧州の拠点で自動運転の研究開発を行っています。

現状でトヨタが実現している自動運転は、一部の限定された高速道路での走行のみ。料金所を通過後、本線への合流、高速巡航、車線変更、出口への退出といった動作が可能です。

いわば「レーンキープ(車線逸脱)」と「車間維持型オートクルーズ」、それに自動ブレーキを組み合わせた程度です。「実用化までには142億kmもの走行テストが必要」というコメントも出しており、自動運転については慎重な姿勢が伺えます。

結局のところ、自動運転のためには高度なセンサーだけではなく高精度の精密地図情報や、それをリアルタイムで収集し、分析・反映させていくAIによるディープラーニングが欠かせません。

トヨタは日本の地図最大手・ゼンリンの第2位株主ではありますが、この分野での世界最大手はドイツのHERE社で、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲングループ、BMWの企業連合傘下にあります。

HEREの動きが定まらない限り、ゼンリンを含む地図各社による自動運転向け精密地図の世界標準が決まらないので、まずはそれが決まってからということなのかもしれません。

とはいえ、2016年の1月には人工知能技術の研究・開発強化に向け「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE,INC.」という新会社をカリフォルニアに設立。今後5年間で10億ドルを投入するということで、自動運転の研究開発もここから急速に進んでいくのかもしれません。

2017年に入ってスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)と人工知能の研究も始動しましたが、3月に本拠地シリコンバレーで開催された「プリウスチャレンジ」で早速その成果を見せました。

プリウスチャレンジは、データ分析とシミュレーションを経て、事前に立てた戦略を元にいかに燃費効率をよく走るかきそうレースで、走行中にもリアルタイム解析で戦略を修正するなど、高い技術と素早い決断が要求されます。

本番では他車の動きが予測とは異なり、同時に多くの車が走る中で周囲の動きを予測しながら走るという自動運転の大きな課題に直面はしましたが、結果的にカタログ値を1.5倍以上上回る高効率の走りを実現し、その技術レベルの高さを見せました。

同時期、TRIはレクサスLS600hLをベースにした自動運転車の実験車両を公開しています。

この実験車は道路状況をモニターするためのレーザー、レーダー、カメラといった各種センサーを搭載して学習させることで、走行距離が伸びるほど運転の精度が向上していく「Chauffeur」(完全自動運転)と「Guardian」(高度運転支援)の開発を行うもの。

周囲を常にスキャンして危険が迫るとシステムがドライバーに警告、それでも衝突回避動作を行わなければシステムが回避操作を行う「Guardian」が先に投入されると予想されています。

運転支援装置を全てのトヨタ車とレクサス車に装備していくことが先決で、まず手始めに2017年末までに前者AEB(自動緊急ブレーキ)を装備していくとのこと。 SAE(米自動車技術者協会)が定める6段階レベルのうち、人間による操作を要しないレベル5自動運転を目指し、まずは人間による操作を最低限としたレベル4自動運転を目指す「Chauffeur」は、その先にある技術です。

自動運転や運転支援機能の実装でこれまで慎重な路線を歩んできたトヨタですが、TRIの設立以降、その歩みの速度を急速に速めています。

日産・ルノー連合の自動運転車

一応、「日本でもっとも自動運転の実用化にある」と言える日産・ルノー連合ですが、2016年8月にデビューした新型セレナに「プロパイロット」という機能を搭載してきました。

基本的にはトヨタが現状で実現しているのと同様、レーンキープ+車間距離キープ以上の機能は無く、ドライバーの負担を軽減する運転支援装置に過ぎません。

ドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリングを制御してくれるとはいえ、ドライバーがハンドルから10秒以上手を放せば警告が出ますし、それが出ないのは先行車がいて10km/h以下、つまり渋滞時のみ。

センサーも悪天候時の動作は保証できませんから、ドライバーは一瞬たりとも気を抜くことは許されず、まだまだ完全な自動運転とはほど遠いのが現状です。

天候が良くセンサーが問題無く動作する環境で、自動車専用道路での使用という条件つきながら、安価な大衆向けミニバンで採用されたことで話題になった同システムですが、先駆者ゆえの問題も生じています。

ディーラーが試乗車で同システムを体感してもらおうとしましたが、雨天時で周囲が暗いためセンサーが反応せず、しかも一般公道というメーカーも動作保証しない最悪の条件だったこともあり、前方で停止している車への追突事故を起こしたのです。

この事故に対し、国土交通省と警察庁が日本自動車工業会を通じメーカーへ「あくまで運転支援技術であり、完全自動運転では無いことを周知徹底するように」と要請を出しました。 事故自体は同システムの欠陥では無いのですが、ドライバーのみならず販売現場ですら「自動運転と運転支援の違い」を理解していない実態が明らかとなっています。

今後は技術面のみならず、メーカーが責任を持って販売店やユーザーに自動運転や運転支援技術の違いや作動条件、メリット、デメリットなどを説明していく必要性が、重要視されていくことでしょう。 結局のところ、どんな最新技術でも最終的に使う人間がそれを理解している必要があるという、重要なテーマを先駆者が教えてくれた形です。

ホンダの自動運転車

ホンダの自動運転

出典 : Honda SENSING

2016年7月に「自動運転用の模擬市街地テストコース」を栃木県に建設したホンダですが、アメリカではアキュラ RLXハイブリッド(日本名レジェンド)をベースにした実験車両を走らせています。

しかし2020年に部分的な自動運転の実現を目指すというスケジュールは比較的ゆるやかで、自動運転車には未だ慎重な姿勢とも言えるかもしれません。

現段階ではまだ、変化の緩やかな道でレーンキープや車間距離キープを行うか、決められた道を走れる程度です。

とはいえ「事故に遇わない社会」の実現に向けて安全運転支援機能を備えたシステム「Honda SENSING」を備えた車を2015年より提供。確かな開発力を持つホンダですから、今後も一歩一歩自動運転の実現に向けて進んでいくのではないでしょうか。

マツダの自動運転車

2015年にトヨタと業務提携を結んだマツダですが、技術的には独自の部分が多く、自動運転についてもトヨタや他のメーカーとは異なる珍しいスタンスをとっています。

それはあくまで運転の主体はドライバーとしており、そのドライバーが何らかの理由で突然運転不能になった時などに初めて自動運転モードが起動、車を安全なところに停止させて救援を呼ぶためのものと定義づけているところです。

現在のところ、このシステムを搭載した車輌が市販される情報はありませんし未だマツダの自動運転車開発についてはベールに包まれている部分が多いですが、「自動運転」とは何か?という疑問に対する、1つの優れた回答なのは確かでしょう。

三菱自動車 / 三菱電機の自動運転車

日産・ルノー連合の傘下となる事が決まった三菱自動車ですが、自動運転車は未だコンセプトカー段階です。

むしろ熱心なのは同じ三菱でも「三菱電機」の方で、2015年に予防安全(自動運転)コンセプトカー「EMIRAI3 xAUTO」を開発。

軍事技術や宇宙開発技術で培った技術や、現実に日本独自のGPS衛星を生産している実績から、自動運転システムを既に受注し、2017年度から量産するとしています。

また、自動走行・安全運転支援システムの早期実用化に向けてゼンリンや各自動車メーカーと共に精度の高い地図を作るための「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」を設立。三菱電機の出資比率が最も高く(18%)、そこからも自動運転に対する本気度がうかがえます。

納品先のメーカーは明らかになっていませんが、来年には三菱電機のシステムを搭載した運転支援装置を装備した車が登場することでしょう。

スズキの自動運転車

トヨタとの提携交渉に入ったスズキですが、自動運転についてはほぼ白紙の状態です。

だからこそトヨタとの提携が必要になったとも言えるのかもしれませんが、一応ソフトバンク子会社のSBドライブや浜松の路線バス会社・遠州鉄道と提携し、自動運転技術の開発をすると2016年9月に発表されています。

まだまだ形にならない段階なので、今後に期待しましょう。

ダイハツの自動運転車

完全にトヨタ傘下で事実上トヨタの軽自動車/新興国向け低価格車部門となったダイハツですが、オリジナルの自動運転技術を作る余地は今のところ無さそうです。

現状は衝突回避システム(自動ブレーキ)など一部運転支援を実装しているにとどまっています。

メルセデス・ベンツの自動運転車

大手自動車メーカーの中では比較的先行しているメルセデス・ベンツの自動運転ですが、日産のプロパイロットをさらに進化させたような運転支援装置を搭載した新型Eクラスを、2016年7月に発売しています。

レーンキープや車間距離キープはもちろん、ウインカーを出すだけで自動で車線変更、追い越しをしてくれる機能まであり。

さらにドライバーが車から降りた後、スマートフォンからの画面操作だけで駐車してくれる半自動パーキングシステムなど、実用性の高い運転支援技術では一歩抜きん出ている印象です。

BMWの自動運転車

話題になることが少ないBMWの自動運転車ですが、2016年に入ってから3シリーズをベースにした試作車が盛んに公道でテストを繰り返しています

あくまでドライバーの補助で運転支援装置に過ぎない「レベル2」ではなく、ドライバーの待機は依然必要とはいえ、完全自律自動走行が可能な「レベル3」を目指した試作車です。

とはいえ、現状で走っているのはまだ「決まったプログラムで走る車」であり、AI(人工知能)により自己学習を行いながら走るレベルには達していません。

AIを搭載した時に備えて、自動運転車の技術を静かに蓄積している段階と言えます。

フォルクスワーゲングループの自動運転車

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トヨタのように傘下に多くの企業・ブランドを抱えるフォルクスワーゲンでは、フォルクスワーゲン本体は自動駐車技術のみ、その他の自動運転技術全般はアウディが担当すると決められているようです。

アウディの成果がグループ全てに還元される仕組みとなっていますが、そのアウディでは現在、BMW同様にレベル3相当の自動運転試作車を走行させています。

2017年に発売される新型A8でこのシステムは搭載される予定ですが、高速道路上では最高速度を130km/hに制限した上でレベル2相当、つまり日産のプロパイロットと変わらない程度の機能です。

時速60km/h以下の混雑した高速道路上でのみ「レベル3」相当の運転が可能になりますが、その理由としてセンサーの限界が挙げられています。

現状、レーダーで感知できる前走車は250m先までが限度で、それ以上は外部からの情報で知らされない限り、知りようがありません。

つまり、高速走行中にいきなり渋滞に遭遇してもブレーキが間に合わないので、センサーないし外部から何らかの情報伝達手段が発達しない限り、それ以上の自動運転は無理、という結論です。

これについては、他メーカーの多くの自動運転車も同じ問題に直面しているでしょうから、地図データだけではなく、優れたセンサー等の発展が待たれることになります。

 

テスラの自動運転車

出典 : Tesla Model3

世界で初めて「自動運転を実現した」と評価されることの多いテスラの「オートパイロット」ですが、現実にはドライバーの操作補助にすぎないレベル2自動運転止まりであることも今では周知されつつあります。

先に書いたアウディのレベル3自動運転試作車が危惧している問題、つまり高速走行時にセンサーの限界でブレーキが間に合わない、という実情もあり、それが原因かまでは結論が出ていませんが死亡事故も起きました。

逆に言えばそれだけ普及したレベル2自動運転システムと言えますが、事故を契機に「オートパイロット」のシステムを供給していたイスラエルのモービルアイ社との関係を打ち切り、新たな自動運転システムの採用に踏み切るようです。

2016年10月に発表されたこの「オートパイロット ハードウェア2」は今後のテスラ車全てに装着される予定で、完全にドライバーが介入しない自律式のレベル4自動運転を実現可能、としています。

テスラではこの新たな自動運転システムで、以前にも行った北米縦断走行のデモンストレーションを行う予定ですから、その実力は間もなく明らかになるでしょう。

GMの自動運転車

BOLT

出典 : 2017 BOLT EV

テスラが米国新興自動車メーカーの雄なら、GMは米国老舗自動車メーカーの雄です。

世界中の多くの老舗自動車メーカーがそうであるように、世界の自動車市場へ与える影響が大きいGMの施策もまた慎重で、2017年にはレベル2自動運転に該当する自動運転支援システム「スーパークルーズ」をキャデラックTC6に搭載して市販することを明らかにしました。

この「スーパークルーズ」は現在、GMのEV(電気自動車)、「ボルト(Bolt)」(※GMの「ボルト」には「Bolt」と「Volt」、全く異なる2車種があるので注意)に搭載されて公道テストを行っています。

GMは半自動運転システムと銘打っているものの、ドライバーが道路に注意を払っていることを監視するシステムを搭載するため、実際はドライバーの運転補助にとどまるレベル2相当です。

作動範囲のGPSなどの位置情報からGMが認めた道路でしか作動しないため、ハイウェイの中でも脇道が存在しない道など、とにかくテスラのような死亡事故で話題になることは避けたいのが本音でしょう。

その一方、自動運転関連技術を開発している企業の買収は積極的に進めており、さらに配車サービスのLyftと提携して、先に書いた自動運転EV「ボルト(Bolt)」による配車サービス実験を開始するとしています。

先に書いたように「スーパークルーズ」そのものが非常に限定的なので、Lyftによる実験も非常に限定されたものとはなりそうですが、石橋を叩いて渡るように、慎重に実用化への道を歩んでいるのがGMです。

Google (現 Waymo)の自動運転車

出典:TechNewsWorld

自動車メーカーというわけではありませんが、自動運転プロジェクトを語る上でGoogleは外せないでしょう。

コロンとした丸いスタイルのテスト車が有名なGoogleですが、それ以外にもレクサス車など一般車を改造したテスト車が数多く確認されています。

現状でもっともテスト走行の距離を稼いでいるだけにその発言権は大きく、2016年に入ってNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)から「AIを自動運転車のドライバーとして認める」という回答を引き出しました。

これによってGoogleのみならず、自動運転車そのものの実現性を大きく前進させた貢献度は非常に大きいでしょう。

ただし、Googleそのものが目指すのは自動車メーカーではなく、あくまで既存・あるいは新設される自動車メーカー各社に、Googleの自動運転システム対応OSを売り込み、世界標準化することだと考えられます。そのため、大手自動車メーカーFCA(フィアットクライスラー)などと提携しています。また、2016年12月には、Googleの自動運転技術開発が Waymo という会社としてスピンアウトし、Googleの親会社であるAlphabet 傘下の独立子会社として新しいスタートをきっています。また、今年(2017年)に入ってすぐの1月には、FCAとの共同開発による完全自動運転車を披露しています。(参照:THE VERGE

Appleの自動運転車

Apple

Photo credit: Håkan Dahlström

自動運転車についてもApple Carを作りたかったようで「タイタン」というプロジェクト名称が知られていました。

ただしタイタンは自動運転車自体を開発するのか、OSのみを売り込むのか、そのプロジェクトの方向性が明確にならない上に、関連部署のリストラや配置転換、他企業からの新規引き抜き、責任者のすげ替えが多発していると言われています。

Appleは自動運転車をあきらめた、いやOSだけ開発して売るつもりだ、しかし完全に頓挫した、そう思っていたが、自動運転に関係するエンジニアを引き抜いた、そんな話が連日のように流れ、全く全貌が見えてきません。

何よりApple自身が公式に自動運転車を通じて何をどう具体的に実現したいのか、それを明言しているため、「Appleの自動運転車プロジェクト」は噂だけが先行しており、実際には何もわかっていないのが現状です。

現状から見る課題

いかがでしたでしょうか?

自動運転車に取り組む各社ですが、もっとも進んでいると思われるメーカーでさえ、今なお「いかなる環境でも自動運転可能」というシステムを完成させるには至っておらず、実際の運用にはかなり条件がつくことがわかります。

特に市街地を走行するための精密な地図情報、高速走行に不可欠な遠距離まで検知可能なセンサー、自己学習を行い運転精度を上げるAIといった条件を全て満たすような自動運転車は未だに登場していませんが、日々進化していっていることは間違いなので、本メディアでも引き続き各社の動向に今後も注目していきたいと思います。

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