車の「所有から利用へ」が加速?トヨタがカーシェア事業用アプリの実証実験

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車は常に「所有」するのではなく、使いたい時に使いたいだけ「利用」する。

このような車に対する考え方の変化がここ数年徐々に起きてきているように思います。Uberをはじめとする配車アプリの登場はその1つですが、他にもカーシェアやカーリースなど様々な選択肢が増えてきました。最近では月額制の動画や音楽配信サービスが一般的になりましたが、月額制の車版のようなサービスも出てきています。

そしてこのような流れは新興企業だけでなく、大手自動車メーカーにも影響を与えているといえるでしょう。8月にトヨタがハワイでカーシェア事業用アプリの実証実験を開始することを発表しました。

トヨタの取り組みは、今後私たちのカーライフにどのような影響を与えるのでしょうか。

カーシェアサービスの現状

カーシェアはその名の通り、車を複数のユーザーでシェアするというサービスです。 タイムズカープラスのように事業者が保有する車をシェアする事業者型(B2C)と、Anycaのように個人が持っている車を空き時間にシェアするという個人間型(C2C)の2タイプがあります。

2017年現在ではタイムズのほか、オリックスなどリースやレンタカー事業を手がける事業者を中心にしたB2Cのカーシェアサービスが多いです。ただスマホやSNSの普及などにともない、C2C型のサービスも立ち上がってきています。

自動車メーカーもこうした動きには無縁ではありません。トヨタが2012年5月に一部のトヨタレンタリース地域会社を通して、ガソリン代も含む利用料金が1時間1,000円と格安な「ラクモ」というカーシェアサービスを展開しています。

しかし既存のレンタカーと競合する事業ということもあってか、ラクモは現在でも全国展開までは至っていません。ホンダでもディーラーが「Honda Cars スムーズレンタカー」という小規模ステーションを使ったカーシェアを行っていますが、短時間利用はできずその名の通りレンタカーに近い形態です。

そのような中「現地ディーラーでカーシェア事業を始め、それを支援するためのスマホアプリ」をトヨタが開発し、2017年1月からサンフランシスコで、7月からはハワイでも実証実験を始めました。

このアプリではスマートフォンでドアの開錠が可能な機能を持つほか、ディーラーにとっては車両管理や利用者の認証、決済までを行う機能が備えられています。将来的には自動車の管理・利用・分析といったデータを集積するプラットフォームの一部となっていく計画です。

スマートフォンを使ったカーシェアは日本でもラクモで行われていることは先ほど説明しました。つまり日本でも近い将来ディーラーでラクモ、あるいはそれに類するサービスが提供される可能性もありえます。

車の販売拠点をカーシェア拠点としても積極的に利用しようというこの試みは、今後拡大していけば私たちの生活にも影響を及ぼすのではないでしょうか。

ディーラーによるカーシェアの特徴

現在、日本におけるカーシェアといえば以下のような形態が中心です。

一般的なカーシェアサービス

  • 事業者または個人によるステーション(駐車場)に車が止まっている
  • 大抵の場合、ステーションごとの台数は1~数台で、車種が限られる
  • その車が使用されていなければ、スマートフォンや携帯電話から予約できる
  • B2C型はアプリ、運転免許証のICカード機能、会員カードなどでロックを開錠。予約から返却まで対面手続きが不要。保険はもとより、給油すら不要のサービスもある
  • C2C型はオーナーとの連絡やキーの受け渡しなど対面手続きを要し、保険やガソリン代は利用者が別途負担する場合が多い。地域によっては登録オーナーが多く車種も多彩

特にB2C型の場合は手続きが簡単で拠点が近く気軽に使えるレンタカーという側面が強く、まだまだ車を貸し出すだけでそれ以上の「付加価値」がつくまでには至っていません。

そこに自動車メーカーのディーラー(地域販売代理店)がカーシェア事業へ参入することで、以下のような付加価値が考えられます。

ディーラーのカーシェアサービス

  • 車種が豊富
  • 整備拠点でもあるディーラーでは、借りる車への安心感が高い
  • 貸し出す車=取り扱い車種なので、不明点がある場合に問い合わせが容易
  • 「自由度の高い試乗車」と考えることもでき、気に入ったら購入するという使い方も
  • ディーラーから他のディーラーへの利用で「乗り捨て」も容易になる

いわば、「無人で手軽な分、何か起きたり不明なことがあった場合にすぐ誰かに聞けない」という既存カーシェアの欠点を解消し、車種ラインナップの豊富さや乗り捨ても可能な点などレンタカー並の対応が期待でき、一方で問題無ければ対面無しで利用することもできます。

既存カーシェアとディーラーカーシェア

ただし地域にもよりますがディーラーは「店舗」なので、ユーザーにとって都合の良い立地、つまり自分の家や仕事場、交通拠点や目的地の近くにあるとは限りません。たとえば地方では車での来店なら便利な、ロードサイド店が多いでしょう。

「ディーラーに行くまで」と「ディーラーに車を返してから」の交通手段が別途必要になることも多いので、その点は近所にディーラーの無い人にとっては少々不便かもしれません。身近に小規模ステーションが点在するような地域であれば、既存のカーシェアサービスの方が使いやすい場合もあるでしょう。

そのため大手自動車メーカーがディーラーを通してカーシェアサービスを展開したとしても、すぐに既存のカーシェアサービスがなくなってしまうかというと、そうはならないはず。むしろディーラーのカーシェアは、「今までのカーシェアでは希望する車種が無かったり、他のユーザーとバッティングして使えなかった」という、既存カーシェアとは別の新たなユーザー層を掘り起こす存在です。

将来的にはディーラーそのものも整備拠点の基幹店舗と、販売とカーシェアに特化した小規模店舗に分かれて、後者は多数の地域密着型店舗になっていくかもしれません。

ユーザーにとっては安心感の高いカーシェア拠点が増えますし、メーカーやディーラーにとっては経営の安定した販売拠点を増やせるので、両者にメリットが出てきます。

もしそうなった場合は、既存のカーシェアサービスやカーリースやレンタカーなどとも提携や買収など何らかの動きがあるかもしれません。

より多様化する車の利用方法

自動車ディーラー

ディーラーのカーシェア事業が発展した場合、これまでは無かったような場所、たとえば駅など大規模交通拠点や、住宅地などに小規模ディーラー店舗が多数生まれる可能性もあります。

そうした小規模店舗では多数の車を置けませんが、予約した車を「基幹店舗」から回送してくれば済みます。乗り降りできる拠点が増えていけば、カーシェアの使い勝手は格段によくなるはずです。

将来的に完全自動運転が実用化されれば、スマホで今いる場所に無人回送で呼び出すことも実現できるでしょう。今後EV(電気自動車)が主流になる時代、充電時間や充電設備がネックになりますが、カーシェアであればいつでも充電済のEVを使用することができて、自宅に充電設備を持つ必要もありません。

都心にいると車がなくてもあまり不便を感じないかもしれませんが、地方の実家へ戻ると車のありがたさを痛感します。人口が減っている街では「近所のスーパーやお店がつぶれてしまった」なんてこともあり、今後は車がなければ今まで以上に不自由になるかもしれません。

今後カーシェアやカーリースなどの使い勝手がよくなると、自分の生活スタイルに最も合った選択肢を選びやすくなります。手元に車を常に置いておきたいという方は購入するのもいいですし、カーリースを活用するという選択肢もあるでしょう。これまでも何度か紹介していますが、個人向けのカーリースも充実してきています。

利用頻度が限られている場合や、駐車場がないので車を保有できないという場合には、カーシェアを検討するのがいいでしょう。B2C型、C2C型複数のサービスから自分の目的にあったサービスを探してください。

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