オンラインで自動運転車の開発スキルを学べる!?Udacityが提供する自動運転システムの専門プログラムとは

突然ですがEdTechという言葉をご存知でしょうか?

EdTech(エドテック)とは「Education(教育)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、文字通りテクノロジーを駆使した教育サービスやビジネスのことです。日本では「eラーニング」や「教育ICT(Information and Communication Technology)」という言葉の方が一般的かもしれませんが、Edtechという言葉は世界的に広がってきています。

そのEdTechのプラットフォームとして有名なのが「Udacity」というサービスです。オンラインで様々な講座を学習できるサービスを提供し、2011年1月のサービス開始から現在で400万人以上のユーザーを集めています。

GoogleやFacebookなどのIT企業とも関わりが深いため、一部では「シリコンバレーの大学」とまで呼ばれるほど。UdacityはIT分野の専門的な技術を教えている環境のため、プログラミング、WEB開発、モバイルOS開発などの様々なテーマを学習することができます。教えている講師も業界でトップクラスの技術者であり、しかも無料(一部有料)で講義が受けられるため、エンジニアとして一歩成長できる内容が用意されており、人気を集めているサービスです。

そのUdacityでは「自動運転システム」の専門教育プログラム(有料)を実施しています。アメリカでは優秀な自動運転プログラムを組める人材を熱望しており、Udacityのサービスもこれを後押ししている形となります。最先端の技術がWEB上で学べるので、凄い時代になったものです。

今回はUdacityの自動運転システムにおける教育内容や、現在実施している技術者養成の試みなどもあわせてご紹介します。

 

Udacityでの「自動運転システム」教育プログラムについて

 

Udacityの自動運転システムにおける教育プログラムは、12週間の講義を3コース用意しており、1コース800ドル(約8万3千円)で受講することができます。アメリカの集中コーディング授業では1万ドル以上(約104万円!)するものまであるので、この価格は破格の値段だと言えるでしょう。

しかも疑問点があれば1対1で質問のやり取りも行うことができ、卒業後は就職先の斡旋までしてくれるため、本気で優秀なエンジニアを育成したいという想いが伝わってきます。

Udacityで用意されている教育プログラムは、およそ半年~1年間で学位が取得できるため非常に効率的です。こうした制度は「ナノ学位」と呼ばれていますが、短期間で技術教育が受けられるシステムが確立しているため、業界からも注目を集めています。

自動運転システムもおよそ9ヵ月(12週間×3コース)で修了証明書を発行し、しかもインターネットを活用した教育のため、自宅で最先端の技術講義を受けることが可能です。

授業内容は、ディープラーニング、ロボット工学、センサー処理など様々なテーマが用意され、自分がプログラミングしたコードでUdacity側が用意した自動運転カーを走らせることが最終の目的となります。

EdTechビジネスのパートナー企業として、メルセデス・ベンツ、NVIDIAなどが名を連ねており、先にも述べた就職先の斡旋もメルセデス・ベンツを最優先に行われるようです。

また、こちらの講義コースではUdacityの創立者であるセバスチアン・スラン氏(英名:Sebastian Burkhard Thrun)が直接講師を努め、自動車工学、プログラミング、ロボット開発などの業務で培った経験と知識を「講義」という形で学習することができます。

スランは自動運転システムのオープンソース化を明言しているため、実際に稼働しているプログラミングのコードを講義の中で詳しく知ることができるかもしれません。

 

Udacityで最先端の自動運転システムに触れることができる!

 

Udacityの創立者であるスランは、Googleで自動運転システムの開発に関わった経験を持つ人物です。この研究分野には特に思い入れが強いらしく、講義コースの紹介動画も本人が出演しています。

今年の9月にサンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt」でもスランは登場し、自動運転エンジニアの育成について熱弁。このイベントにはSNS「LinkedIn」の創業者であるリード・ホフマン氏(英名:Reid Hoffman)も出演しましたが、スランと同じく「自動運転」「AI(人工知能)」の重要性を指摘しています。

加えてComma.aiのCEOであるジョージ・ホッツ氏(英名:George Hotz)も同会場でプレゼンを行い、既存のクルマを自動運転化する技術をアピールしました。過去にもAIやディープラーニングの技術は注目されていましたが、今年は特に投資の対象として話題となったため、それだけ期待されている技術領域だと言えるかもしれません。

 

各国の自動運転システムの開発状況はどうなっているか?

自動運転の研究開発が進むドイツ

 

Udacityが行う「自動運転システム」の教育プログラムでは、メルセデス・ベンツが協力企業として名乗りを上げています。メルセデス・ベンツはドイツの会社のため、何故アメリカの会社ではないのかと疑問を持たれた人も多いかもしれませんが、実は世界の中で最も自動運転技術が進んでいる国はドイツなのです。

今春に発売したメルセデス・ベンツ新型「Eクラス」は、ウィンカーで指示すれば自動的に車線変更を行う機能を実装しています。これができるのは、今のところテスラモーターズが販売している電気自動車「モデルS」のみです。しかもEクラスはモデルSとは違いガソリン車のため、駆動の一部が電気制御できない点において、ドイツの技術がいかに優れているか伺い知ることができます。

また、メルセデス・ベンツは完全無人運転カーの開発にも着手しており、クルマを「移動するオフィス」として考えている点も、また面白いところです。

 

Googleの自動運転技術開発

 

そして、自動運転技術におけるドイツのライバルとなる国は、やはりアメリカをおいて他はありません。特にGoogleの自動運転カー開発参入は、世界に驚きと衝撃を与えました。Googleは市販化に向けたクルマをまだ発表していませんが、すでに自動運転レベル4(完全無人走行)に達する試作車を開発しているため、他の大手自動車メーカーもその動向が気になっているのは当然だと考えられます。

Googleはスマホデバイスの分野でもAndroid OSを開発し、Google Mapsというアプリも無料配布しているため、「ソフトウェア」「ナビゲーション」の開発領域をすでに満たしている状態です。走行データも300万キロ以上を記録しているとコメントしているので、AIによる道路状況の学習などもかなりの水準まで達しているはずです。いつ自動運転カーを販売してもおかしくない状況ですが、Googleはクルマの製造には興味がなく、あくまでソフトウェアの面で市場に挑戦したいとのことです。

日本国内では、自動運転技術で最も開発力を誇るのはトヨタと日産です。完全無人化のクルマはまだ開発されていませんが、ドライバーをアシストする機能を実装したものはすでに販売されています。ドイツやアメリカと比べると、開発状況が遅れていることは否めませんが、丈夫で安全なモノづくりを心掛けるお国柄もあるため、しばらくはジッと我慢して朗報が出るのを待ちましょう。

 

国内におけるディープラーニング、AI技術者の教育事情

 

アメリカや中国などのIT企業では、AIの研究者や専門家の争奪戦が繰り広げられています。AI事業はまさに「金の卵」として扱われ、優秀な職員や学生を高額な給料で引き抜いている状態です。1990年代では見向きもされなかった技術領域でしたが、近年のテクノロジーの進化により需要が一気に拡大しました。

トレンドを起こしたのは検索サイトを専門に扱うGoogleですが、その点を抜きにしても、ここ最近の盛り上がり方は異常と言えるかもしれません。

日本でもこの流行に乗ろうと研究に力を注ぐ企業も存在しますが、海外ほどは熱を入れていないのかもしれません。自動車開発の大手メーカーであるトヨタは、AI研究の新会社であるTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)を立ち上げましたが、設立は今年なので始まったばかりの印象が強いです。

トヨタでさえこの状況なので、国内でのAI技術者の育成がいかに遅れているか理解できます。現在の首相である安倍総理は、2020年の東京オリンピック開催までに、各大手自動車メーカーに自動運転システムの確立を希望していますが、まずは技術者の育成が急務だと考えられます。

実際にディープラーニングやAI技術は需要があるのか? という疑問を持たれる方も多いかもしれませんが、使い方が重要なテクノロジーでもあります。GoogleがAIを駆使して検索サイトの精度を高めたように、膨大なデータを正確に分析する利点を最大限に活かせば良いのです。

現在は医療分野にもAI技術が進出しており、患者の容態や症状をパソコンに入力し、病名を導き出すことも可能となっています。星の数ほどある病気を診断のみで特定することは、優れた医師でも難しい技術と認められているため、それをサポートするAIの力はまさに未来を感じさせます。これこそが本当に「活用する」という意味なのかもしれません。

 

技術力の向上やエンジニアの育成が急務

 

スラン氏は、「人工知能を研究することは、人を理解するための手段であり、最も建設的な方法です」とコメントしています。

自動車を運転するという状況は、人間の行動の中でも最も複雑で判断力が問われる作業です。様々な状況をAIを通して研究を重ねることで、人間の本当の能力や欠点を知ることができます。それは将来、快適な運転や事故の防止に繋がるはずです。

自動運転システムのビジネスはまだ始まったばかりという感じが否めませんが、ここ数年の盛り上がり方から、ようやく本格的な実装が可能になったことが認められます。日本も海外メーカーに差を付けられないように、技術力の向上やエンジニアの育成に注力して、人々をアッと驚かせるようなクルマを生み出して欲しいですね!

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