訪問医療における車両管理システムの活用事例-前編

訪問医療における車両管理システムの活用事例-前編
医療法人社団 杏月会 伊勢原駅前クリニック
業種:訪問医療
ご担当者様:事務局長の黒永雄樹(くろなが・ゆうき)さま、サポートスタッフの田中瞳(たなか・ひとみ)さま
事業内容:訪問診療・在宅看護

車両管理システムの導入前に抱えていた課題

「SmartDrive Fleet」の導入前に課題と感じていたことを教えてください。

黒永:現在、訪問診療の需要が右肩上がりに伸びていますが、これは高齢化と相関する形で訪問診療が増加している–つまり、通院困難な患者様が増えていることを示しています。国の指針により病院の改革が推進され、どこの病院も在院日数の短縮が進められていることも理由のひとつです。

簡単に言うと、少し前までは、整形手術をした高齢者が2カ月ほど入院できたものが、今ではどんな疾患であっても10日前後で退院させなければいけないというような仕組みになっているのです。つまり、これは完治していない状態でも地域在宅に帰さなくてはならないということ。社会保障が赤字続きの状態で、これを改善するためにもっともお金のかかる医療費に目を向けたため、病院で発生する高額な治療費とベッド代を徹底的に抑制し、2025年までに10万床近くを減らすという指針が発表されたのです。

では、退院された患者さんは、在宅サービスや老人施設、老人ホームでの療養が必要になりますが、お具合によっては、病院の外来に行くことも困難です。ですので、訪問診療という医療の受け皿で、通院困難な患者さんをしっかりと支えていかねばなりません。

現代の訪問診療はテクノロジーも発達しますし、社会問題にもなっている老老介護の役割も担うことができる。それに、訪問診療は病院と違って設備投資も必要ありませんし、労働集約型で医師やサポートするメンバーがいれば運用ができますので、年々、評価が高まっています。国が「受け皿として訪問診療を活性化させる」方針を打ち出し、推進してきたのはここ10年ほどのことですが、一番の課題に感じていることは、全体感として最適な訪問診療が標準化されていないことでしょうか。

ルールなどもかっちりと決まっているわけではないのでしょうか。

黒永:医療ですので厳粛なルール設定はありますが、それはあくまで治療に対するルールで、医療機関側の運用方法についてはガイドラインがほとんどないと言っても過言ではありません。そのため、何度も実験とテストを積み重ね、成熟させ、訪問診療としての最適な運営方法を作り上げていく必要があります。私たちの創意工夫によって、医療の質が変わる。それは、車両でいかに効率よく安定的に訪問するかということでもありました

導入のきっかけは、車両台数増加による運用体制の整備

「SmartDrive Fleet」を導入しようと思ったきっかけについて伺えますか。

黒永:導入したのは、患者さんが増えて1日1台じゃ回らなくなり、1日に回る車両台数を増やそうと決めたタイミングでした。1台でも思っている以上に大変ですが、車両を2台走らせることになると、運用が煩雑になってしまいます。その前に対策を練らなくてはと、何か良いツールを探していたのです。

患者さまから連絡があった際に、状況やタイミングに応じてどちらの車に連絡し、緊急対応をお願いすべきかがわかること。それは訪問医療従事者にとって、すごく重要なことです。台数が増えたとしても、スムーズな連携は必要不可欠でした。

「これから運用が煩雑になるから、先に入れておこう」と。

黒永:過去に配属されていた医療法人でも訪問診療を行っていましたので、車両の運用に関する問題点がわかっていました。伊勢原駅前クリニックとしても、高度な訪問診療の医療の仕組みを作りながら、それを社内外問わずに発信し、標準化していくことを目標に掲げていたため、導入が実現できたのです。「取り入れることで高度な医療が提供できる」ものは積極的に取り入れる。そうやって、これからも医療を最適化していきたいですね。

ちなみに、車両台数が増えると、どのように“煩雑”になるのでしょうか。

黒永:何もツールがない状態で車両を複数台走らせていると、リアルタイムでどこを走っているのかが把握できません。しかし、オンコールがかかったら、いずれかの車両に向かってもらわなくてはならない。A車に電話したら「まだ、●●にいるから遠くて向かうことができない」、B車「渋滞しているから遅くなりそう」、C車「直ちに向かうことができます」。と、導入前はとにかく電話で一件一件確認するしか手段がありませんでした。

片っ端から電話をかけるしかない。それではかなり時間を要してしまいますし、患者さんを待たせることになってしまいます。

黒永:もっと厳密にいうと、A車両、B車両、C車両、それぞれ1日の診療スケジュールが決まっていますので、電話連絡の優先順位を決める手段は診察数ぐらいしかなかったんです。私たちにとっては、いち早く、コールがかかった患家や施設に向かえるか、リアルタイムの位置情報を可視化できるということが、非常に意義のあることです。

それに、訪問医療はケアマネージャー、生活相談員、訪問介護のヘルパー、訪問看護のナースなど、多職種連携で患者さんを支えていきますので、非常に外部連携が多い機関です。そのため、関係者から毎日多くの電話連絡を受けています。つまり、オペレーターは多岐にわたる連絡を受けて、もっとも最短で最適なシーンを見つけ、連絡をしなくてはならないのです。ですから、こうしたツールが必要不可欠になってきます。

ありがとうございます。ちなみに、スマートドライブはどこでご存知になりましたか。

黒永:当時、CUC内で「名古屋の診療所では所有する車両が増えたから、動態管理ツールとして『SmartDrive  Fleet』を導入する予定なんですよ」という話が出ていました。その話を聞いたのが、たまたま伊勢原駅前クリニックでも車両が2台になるタイミングでもあったんです。私たちも運用体制を万全にするためにツールの導入を検討していましたので、これらがすべて合致して、よし、「SmartDrive Fleet」を導入しようという流れになりました。

最終的にスタッフがどのように活用するかは未知数でしたが、とりあえず試してみようと導入を決めました。

>>>後編へ続く

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