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ドラレコと車両・動態管理システム、それぞれの特徴と違い

「社用車の事故を減らしたいのだけれど、ドライブレコーダーと車両管理・動態管理システムでは何がどう違うのか? どちらを使うのがいいのか?」

これは社用車を保有する会社で総務を担当している方にとっては、よくある悩みかもしれません。一般ユーザー(個人)であれば基本的に安全管理したい車両は自分が普段乗る車一台(マイカー)というケースがほとんどでしょうから、交通事故対策としてドライブレコーダーを利用する人が多いでしょう。一方で、法人は事業規模によって数台〜数十万台という規模で車両を抱えているため、それらを管理するには様々な方法やシステムを活用することになります。

また、法人向けのサービスには、「車両管理」や「動態管理」という名称の管理システムが普及していますが、それぞれの違いや役割がわかりにくいのも実情です。

そこで今回は、ドライブレコーダーと車両管理・動態管理システムそれぞれの特徴と役割について解説していきます。

ドラレコと車両・動態管理システム、それぞれの特徴と違い

ドライブレコーダーと車両管理(動態管理)システムの違い

多くの企業でこれらの機器・システムに期待する大きな役割が「交通事故の削減」ではないでしょうか。事故が発生するともちろん車の修理費用がかかりますし、保険料の高騰の原因になります。また、対人事故の場合には保険でカバーできる範囲以外でお見舞いに通ったりするようなコスト、そして社会的信用の毀損にもつながるなど、金銭以外の多大なコストが発生します。場合にはよっては事業継続が危うくなるような状況に陥る可能性もあるでしょう。

この「交通事故」を例にとって考えると、ドライブレコーダーと車両管理・動態管理システムの違いがわかりやすいかもしれません。交通事故を未然に防ぐためのものが車両管理・動態管理システム、交通事故が起こってしまった後に活躍するのがドライブレコーダー、という分け方です。最近では運転診断機能を備えたドライブレコーダーも登場しているためややこしい部分もありますが、本来的な枠割としてはそういうことではないかと思います。

車両管理、動態管理システムの役割

車両管理、動態管理システムの大きな目的のひとつが「いかに交通事故を起こさせないか」ということです。

もちろんクラウド上で営業車の位置をリアルタイムで把握して配送ルートを最適化したり、所有する社用車の状態を効率的に管理するという機能もあります。ただ交通事故の削減に対する企業担当者のニーズは高く、弊社のSmartDrive Fleetを含め「安全運転の促進/事故の抑制」を実現する機能に力を入れているシステムも多いです。

以前SmartDrive Magazineでは交通事故の原因についての統計データを紹介しました。これによると交通事故の原因の約75%を安全運転義務違反と言われるものが占めています。特に多いのが安全不確認による事故で、次いで脇見運転、動静不注視と続きます。

つまり交通事故を減らすためには、安全運転義務違反につながる危険な運転を減らすことが必要です。

詳しくは後述しますが、ドライブレコーダーの場合はその名の通り、事故発生の前後の記録を残すというのが最大の目的です。そもそも事故を起こさないためには、それよりも前の段階で何らかの対処をする必要があります。それこそが車両管理システム・動態管理システムに求められる役割です。

データを基に運転結果をスコアリングする運転診断機能

交通事故の削減に直接関わる機能としては、一部の車両管理・動態管理システムに搭載されている「運転診断機能」があげられます。細かい機能は製品ごとに異なりますが、ポイントはこれまで見えづらかった運転の傾向などを細かく取得し、スコア化したりグラフ化して可視化させることにあります。

たとえばSmartDrive Fleetを例に紹介すると、車に差し込んだ小型デバイスで各ドライバーの走行データがクラウドに蓄積。従来は管理者からはわからなかったような「ドライバーごとの運転のクセ」や「事故リスク」を全てスコアとして可視化します。学校のテスト結果のようなものをイメージしてもらうと、わかりやすいかもしれません。

危険運転につながるポイントが具体的に特定できるため管理者も指導がしやすく、ドライバーも改善点をつかみやすいのが大きな特徴です。また、運転の特徴が時間を追って改善していったのかどうかなどもしっかり追うことができるので、その場だけの指導に終わってしまわないような仕組みになっています。そのため、ドライバー自身も認識していなかった運転リスクも認識し、事故対処できる可能性があります。

以前は各ドライバーの運転データを個別に取得し、それを集約したデータをWeb上で管理者が閲覧したり解析したりするためには大規模なシステム構築が必要でした。ただ近年はIoTというキーワードがよく使われるように、センサーや通信技術に発達と普及により、低コストで様々なモノのデータをクラウドに上げられるようになりました。そういった流れで、自社またはSIerに依頼し莫大な開発コストをかけてシステム構築したりせずとも、クラウドで車両管理・動態管理が提供されるようになったわけです。

ドライブレコーダーの役割

すでに上述しましたが、ドライブレコーダーが真価を発揮するのは交通事故が発生した後です。万が一事故が起こってしまった際に正当な過失割合を出してもらうための大切な証拠となります。

もちろん設置しておくことで緊張感を持って運転するようになり、危険運転を抑制する効果もあるかもしれません。最近では、車線をはみ出すとアラート音が出る車線逸脱警告、急加速や急ブレーキを知らせてくれたりする機能、前方の車と車間距離が近づきすぎると衝突を警告するアラートが鳴るなどの安全運転支援機能を搭載したドライブレコーダーも登場しています。

ただし、ドライブレコーダーについているそれらは、あくまでもオプション機能という色が強く、その領域が本来の強みではありません。ドライブレコーダーとして最も活躍して欲しい領域は、例えば悪天候や夜間であってもクリアな映像を録画できる、前(後ろ)の車のナンバーまでしっかり判別できる解像度、そして前後だけでなく横からの衝突やカージャックなどの現場も録画してくれたりなど、それこそ360度からの危険を察知して録画して瞬時にスマホや保険会社などしかるべき送信先にリアルタイムに送ってくれることではないでしょうか。

最近では安価で手頃なドライブレコーダーも増え普及が加速していますが、一方で機能向上の余地もまだまだありそうですね。

どちらかひとつで完璧、ということはない

要点をまとめると「交通事故」を軸に考えた場合、2つのシステムの特徴と違いは以下のようになります。

  • 交通事故の前に活躍する(事故の原因となりうる兆候を特定し、なくす)のが車両管理・動態管理システム
  • 交通事故の後に活躍する(事故前後の記録を残し、不利な扱いを受けないようにする)のがドライブレコーダー

つまるところ、ドライブレコーダーと車両管理・動態管理システムのそれぞれの本来の性質を考えると、安全管理に関しては両方使うのがベストなのではないかというのがひとつの提案です。もちろん、どちらか一方で十分という考え方もあるでしょうし、金銭的コストから両方は難しいという事情もあるかもしれません。

上述のように、交通事故には金銭的な負担が増えるだけではなく、社会的信用のリスクもあるということをしっかりふまえつつ、サステナブルな事業展開がしていくことができるような安全管理をしていくことが大切なのではないでしょうか。

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