カーナビ界に激震が走る!? カーナビに参入LINEの影

カーナビ界に激震が走る!? カーナビに参入LINEの影

LINEといえば、手軽な無料チャットツールとして若い世代のみならず、40代以上の世代でも利用者が増え続けています。全世界の月間アクティブ・ユーザー数は「Facebook」に遠く及びませんが、国内ではもっとも多くのユーザーから利用されているSNSです。

スタンプや顔文字などを交えた、個人間コミュニケーションとしての利用だけではなく、音楽・アニメ・ゲームなどをリリースするほか、モバイル決済・送金サービスである「LINEPay」や、タクシー配車アプリ「LINETaxi」なども展開。そんなLINEが、今年6月27日スマホ向けカーナビアプリを発表し、9月5日からリリースが始まっていますが、遅すぎるとも言えるカーナビ業界への参入には、どんな機能が搭載されているのかと、だれもが大きな期待を寄せているはず。

そこで今回は、LINEのカーナビアプリの基本機能や使い方、搭載された新テクノロジーを明らかし、同アプリが私たちのカーライフにどんな未来を見せてくれるのかを検証します。

LINEが開発した「LINEカーナビ」

今回、LINEが開発とリリースを発表した「LINEカーナビ」は、スマホやタブレットなどへダウンロードし利用する点では、先行するGoogleマップやYahoo!マップのナビ機能と大差ありません。

しかし、そこは常に時代の先端を行くLINEのこと、LINEカーナビは走行中も声で操作できる新しいカーナビアプリとなっており、操作中の事故減少や12月より予定されている、「ながら運転」の罰則強化も踏まえた機能であると考えられます。既存のナビアプリにも音声認識機能はあるでしょうが、Googleマップ・ナビの場合、音声認識による目的地までの経路案内はできても、提供された目的地及び候補ルートの選択は画面を見てタッチ操作をしなければなりません。

一方のLINEカーナビは、「レストランに案内して」と話しかけると、画面にいくつかの候補地が表示されるところまでは同じですが、目的地への決定操作も音声で行えるほか、「一番近いコンビニ」など目的地がはっきりしている場合は、自動的に案内が開始されます。また、目的地への所要時間を質問すれば、走行中の車両から取得した交通状況をもとに即座に音声で回答してくれますし、主要道路は最短で即日、平均1週間程度で更新するなど、最速・最高頻度の地図アップデート機能を有すると言います。さらに、同アプリは車載機とスマホを連動する「Smart Device Link(SDL)」対応で、車載ディスプレイにアプリの情報を表示できるため、音声認識によってスマホ操作から解放されるだけではなく、小さな画面を注視するリスクを無くすことも可能になっています。

何が違うの?LINEカーナビに搭載された技術

前述したハンズフリーによる目的地検索とナビ操作、及び道路状況や所要時間の音声ガイダンスこそ、このLINEカーナビ一番の持ち味といえますが、LINEは自社が持つ先進のテクノロジーをさらに詰め込み、カーナビ業界に革命を巻き起こそうとしているようです。

LINEカーナビの新技術!AIアシスタントの「Clova」

LINEカーナビの中核を担うテクノロジーが、高精度の日本語認識・分析と音声合成能力を併せ持つ、LINE自慢のAIアシスタント「Clova」です。搭載によってAI化したLINEカーナビでは、通常の経路案内機能のほか、音楽再生や家電操作も可能です。

「ねぇClova、ドライブデートにぴったりの曲かけて?」

「ねぇClova、炊飯器のスイッチを入れて?」

使い方は運転中、上記のように話しかけるだけ。また、音量操作や楽曲のスキップなども音声操作で可能ですし、選曲もユーザーの好みや季節感・天候をもとに、うまくチョイスしてくれるというおまけつき。さながら人気DJのラジオを聞いているかのような気分を味わえるのです。ただし、LINEカーナビで自由に音声操作可能なのは、同社が有料で提供している「LINE MUSIC」だけで、他の音楽サービス(Spotify、Apple Musicなど)は現状対象外となっています。

一方、ラジオアプリ「ラジコ」をインストールしている場合は、

「ねぇClova、(ラジオ局名)をかけて」

「ねぇClova、ラジオを止めて」

などラジオに関するコントロールも音声だけで行えます。その点は他の音楽系アプリでは提供されていない、唯一の機能とも言えるでしょう。特筆すべきは本家LINEチャットとの連携で、運転中ハンズフリーで着信したLINEメッセージを音声で確認できるほか、「ねぇClova、○○さんにLINE送信して」と話しかけメッセージを伝えれば、その内容を文字化して相手に送信できるところです。

この機能は、音声ナビアプリとして以上に「ながら運転」を減らすことに寄与するうえ、渋滞に巻き込まれて待ち合わせに遅れそうなときでも、スマホを操作することなく連絡をスムーズに取り合うことができます。

さらに、テキストメッセージのやり取りだけでなく、「ねぇClova、現在地を送って」と伝えれば現在の位置情報を送信できるため、近年踏み間違い事故の増加が懸念されている高齢ドライバーの見守りなど、安全運転の推進に役立てることも出来そうです。

なお、運転中の車内は多くのノイズが発生しますが、LINEカーナビの音声認識インターフェイスの性能は、「Clova Desk」や「Clova Friends」などの家庭用スマートスピーカーと、同等レベルを実現しているとされています。

LINEカーナビの新技術 「トヨタハイブリットナビエンジンの採用」

LINEがナビ業界に参入するにあたって協業相手にトヨタ自動車を選び、同社の最新ハイブリットナビエンジンを使用することによって、Clovaの性能を最大限発揮できるアプリを生み出しました。

ハイブリットナビとは、トヨタスマートセンターで収集した走行情報やVICS等の外部情報を組み合わせた膨大なデータを用い、センター内に保有する地図データで最適なルートを探索し、リアルタイムでナビに配信する機能です。また、案内ルートを外れた時の「リルート」など、素早い応答が必要な場合はルートの再探索を車載器による処理へハイブリッドに切り替えられるため、ドライバー・車・スマホ及び車載ナビがハンズフリーでコネクトする、LINEカーナビと非常に相性が良いのです。

従来型の純正車載ナビは地図データを更新するにあたり、ディーラーやカーショップに車を持ち込む必要があり、トヨタを例に挙げると販売店によって異なるものの、約2万円のデータ料金と別途工賃がかかります。スマホのカーナビアプリは、GoogleやYahoo!などの他のサービスも同様に、最新地図データが無料で更新される点が魅力ですが、LINEカーナビではそれに加えトヨタが有する、ビッグデータ(最新のプローブ情報、交通統計など)も利用されます。

そのため、通常5ルート提供される経路案内が拡張され、細街路も含めた目的地までの「最速ルート」と、関東エリアですでに始まっている圏央道のETC2.0料金割引サービスを優先した「関東ETC2.0料金割引優先ルート」を選択することもできるのです。

アナタはどう?LINEカーナビを使ってみたいという方は○%以上

正確な目的地への到着時間がわかるうえ、リアルな道路交通情報に基づく臨機応変な経路探索機能を有する、非常に高スペックなトヨタのハイブリットナビエンジンですが、現在車載ナビに採用されているのは最上位セダンである、クラウンとセンチュリーのみ。その点LINEカーナビは何と言っても無料で利用できるのが一番の魅力とも言えますし、実際にリリース発表後の7月にLINEが実施した、「LINEカーナビに関するアンケート(有効回答者数2,840人)」によれば、

  • 利用してみたい・・・7%
  • どちらかといえば利用したい・・・43,4%

という回答が寄せられ、両者を合わせると「約92%以上」が試してみたいと考えている結果になっています。また、同アンケートでは「LINEカーナビの機能で期待が大きいもの」についての質問については

  • 話しかけるだけのカンタン目的地設定
  • 最新地図の無料自動更新
  • 正確な到着予想時間の伝達
  • こまめな音声案内での画面注視機会減少

など音声操作による利便性・安全性の向上や、トヨタナビの採用による精度の高い情報のスピーディな更新・反映に、大きな期待が集まっているようです。

LINEカーナビが目指す未来と課題

 

LINEとトヨタは、同アプリを随時アップデートしていくと述べており、今後はユーザーの利用傾向からルート案内をパーソナライズする機能や、駐車場との情報連携機能などが追加される予定です。将来的にはLINE上で店の検索から「予約・移動・決済」、といった移動の流れを最適化させる「MaaS」への取り組みにも、LINEカーナビを活用していくようです。

また、近い未来実現するであろう自動運転と高度に連動すれば、スマホに目的地を伝えるだけで自動運転シェアカーがスケジュールに併せ自宅に自動配車することも実現できるでしょう。目的地付近の駐車場検索、行きつけの飲食店への予約、有料道路利用料や燃料代の支払いは「LINE Pay」。そんなスマートライフも可能になるはず。

国内最大のSNSを運営し、国民生活の根深いところまで浸透したLINEと、国内コネクティッドカー事業を牽引する、トヨタの協力タッグで誕生したLINEカーナビは、業界に大きなイノベーションを巻き起こす存在になる可能性があります。後発組として、使い慣れたGoogleやYahoo!のカーナビアプリを切り崩し普及するためには、機能拡充はもとより個人データの管理体制の強化・徹底を進め、安全性をユーザーにアピールすることが、目下の最重要課題であると言えるでしょう。

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