AIやロボット技術の進化による物流の未来を考える

出典:Bloomberg

政府主導で実現が望まれている、人工知能(以下:AI)やロボット技術の商業化。物流における無人化計画は2030年を目処に達成が見込まれており、輸送作業や倉庫内作業の”完全無人化”を目指して各企業が開発に力を注いでいます。

これらの開発技術は様々な場面で活用することが可能なため、特にAIを駆使した自動運転技術では、深刻なドライバー不足の問題を解消する糸口として注目を集めています。今回はAIやロボット技術などの開発推進により、未来の物流はどう進化するのかを紹介します。

実現が可能となった自動運転による荷物の配送

自動車業界の技術革新により、2020年には完全自動運転が実現すると予測されています。

アメリカでは、Uberに買収され自動運転システムを開発していたOttoが、2016年10月20日にバドワイザー2,000ケース(ビール瓶5万本)を積んだ自動運転トラックを、コロラド州のハイウェイ、フォート・コリンズからコロラドスプリングスまで走行させ、見事配送に成功しました。(Ottoの取り組みについては過去の記事でも紹介しています)

国内ではヤマト運輸が株式会社DeNAと協力し、自動運転車で荷物を届ける「ロボネコヤマト」の実証実験を今年の4月17日から開始しました。実験が行われるのは神奈川県藤沢市の一部のエリアとなっており、2018年3月31日まで実施。ヤマト運輸は「宅急便の荷物を”欲しいとき”に”欲しい場所”で受け取れる」宅配を目指しており、IT技術、自動運転、物流ネットワークを組み合わせ、より利便性の高いサービスの提供を計画しています。

ロボネコヤマト

今回の実験では、ドライバーによる有人運転で荷物を配送。将来は無人運転により荷物を届けることを想定しているため、ドライバーは受け渡しに関与せず、顧客自身が車両から荷物を取り出す必要があるとのことです。配送の予約はスマートフォンのアプリから行うことができ、配送場所・配送時間枠を10分単位で指定する「ロボネコデリバリー」と、地域の商品をネットで購入した後に配送をお願いする「ロボネコストア」の二種類のサービスを用意しています。

近年では少子高齢化などの問題により、トラック運転手や宅配ドライバーの不足は深刻な社会問題として懸念されてきました。また運転手の不足により、社員一人に対する過重労働が顕著となってしまうため、その過酷な労働環境から辞職を願う人が増加する傾向にあります。AIによる自動運転の技術は、こうした問題を解決することに期待されているので、ヤマト運輸の試みは自然の成り行きだと言えるかもしれません。

ロボットによる倉庫内作業・管理の完全無人化

運転手の不足が叫ばれる中、倉庫作業員の不足も問題の一つとして取り上げられています。

日立が開発した物流支援ロボット「Racrew」では、部品や商品が保管されている棚を”棚ごと”搬送するシステムを確立。従来の製造ラインや物流倉庫では、作業員が棚に保管されている部品や商品を直接取りに行っていましたが、Racrewを採用することにより余分な手間が省略されます。また、自動倉庫システムをイチから導入するとなれば膨大な初期コストを必要としますが、Racrewは小型かつ低床のため、コスト削減と生産性の向上の両立が実現できます。

日立ではAIやロボットによる物流システムの開発に力を注いでおり、Racrewの販売もその試みの一つ。配送や管理作業はすべて機械が行うため、夜間や早朝でも関係なく作業が行えるのもメリットでしょう。そして、倉庫作業の中で最も重労働となる”ピッキング”ですが、こちらも日立では「自律移動型双腕ロボット」を開発中とのこと。アーム型のロボットに搭載されたカメラやセンサーが商品の位置を計測し、箱から取り出したり個数を管理することで、複雑だったピッキング作業の効率化が図れます。

また日立は、AIによる倉庫内作業の効率性向上を指摘する「学習システム」の開発にも着手。倉庫で働く従業員の行動をAIが観察して、適切な作業指示を与えるという役割をシステムが担い、その指示は手持ちのメガネ・タブレット端末などを通して行われるそうです。人間で例えればコンサルタントのような立場となるため、AIの新しい活用法として注目を集めています。

自動化の進化を続ける物流の世界

世界有数の大手通販企業であるAmazonの物流(配送)センターでは、倉庫内にロボットを配置して1倉庫当たり約25億円のコスト削減に成功しています。

棚の搬送からピッキングまですべてロボットが行うため、作業員のほとんどは梱包作業に集中して配備。いずれ梱包作業もロボットによって行われることが予定されており、Amazonでは「Amazon Picking Challenge」なるコンテストを開催して、梱包用ロボット開発を支援する体制を構築しています。

このように物流に関わる大手企業では、AIやロボット技術を活用して輸送の自動化や倉庫作業の人員削減に努める試みを行っており、いずれ”完全無人化”を達成する日もそう遠い未来ではないかもしれません。

また、2020年には無人運転車の開発が可能だと予測されています。最も複雑とされている自動運転技術が確立されれば、日本の政府が計画する2030年までに、仕入から積込みまで人の手を必要としない荷物の配送が実現できると考えられています。

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