広がるIoT革命。普及拡大には何が必要か?

広がるIoT革命。普及拡大には何が必要か?

スマートフォンにスマートウォッチ、スマートシティにスマート○○…。あらゆるものがインターネットに接続して人の生活を利便性をもたらしてくれるというIoT革命が起きている今。
しかし、IoTが一般化してさらなる普及を拡大するには、大きな課題があるようです。

IoT発展における課題

IoTは既存のインターネットのインフラを利用してモノと接続されています。しかしIoTの普及拡大により、ネットワーク上で相互接続されるデバイスの数が急激に増加し、ネットワークサービス開発の複雑化が問題となっています。

シスコのインターネット・ ビジネス・ソリューショングループによると、インターネットに接続されるデバイスは2020 年までに 500 億台規模になると予測。さらに調査会社ガートナーは2020年までにIoTは世界中で250億のネットワークに繋がった「モノ」で構成され、関連するサービスの支出額は2,630億ドルにまで到達すると予測しています。

出典 : 総務省

これほどの莫大な数のモノがインターネットにつながるということは、通信量やインターネットトラフィックも比例して流通するデータ量も大幅に増加していきます。2014年に4.4ZB(ゼタバイト)だったものが、2020年には10倍の44ZBになるという予測も。
2016年時点のIoTのネットワークは、有線による固定機器の収容や, 無線LANやBluetoothなどの近距離無線、3Gや4Gなどの移動通信システムを使い分けたり併用したりしています。
様々なデータソースがネットワークにつながっていくと、これまでとは異なる相互作用が複数発生し、ネットワークの環境整備が必要となります。ネットワークにつながる機器の多様化が進めば、Wi-FiやBluetoothを含め様々な通信プロトコルを介したアクセスが増えますが、性能を維持し、データをどこに蓄積するかを検討しなければなりません。IoTがもっと発展していくためにはこのような課題を解消していくことが先決です。

IoTに必要とされるネットワークとは

そこで、Daniel Conrad氏がIoTデバイスに必要とされる新しいネットワークに不可欠な条件に挙げるのは、バッテリー寿命、コスト、そしてネットワークのカバレッジ。
なぜこの三つの条件が必要とされるのでしょうか。

バッテリー寿命

携帯電話用のネットワークを利用するデバイスは基地局と1秒間に何度も通信をおこなう必要があるため、バッテリーの寿命を縮めてしまいます。そのため、IoTデバイスのバッテリー寿命を伸ばすためには、大半の時間は電波を受信しないようにしておく必要があります。携帯電話用のネットワークではその対応ができません。

現在新しく構築されているIoT向けのネットワークには、データの送受信にかかる消費電力量を極力抑えるために最適化された無線通信チップが使用されています。このネットワークを利用すると、通信を必要としない「スリープモード」にしておくことができるのです。大半の時間を省電力モードにできるため、データの送受信や、情報を取得する間というほんの短い間だけの起動となるため、バッテリー消費量は大幅に変わります。

コスト

携帯電話用のネットワークを使ってIoTデバイスを利用する場合、割り当てする周波数を増やすのには何十億ドルもの費用がかかるため、コストが高くなってしまいます。しかし、新しいIoTネットワークはアンライセンスバンドを利用、もしくは周波数帯の間に設けられた「ガードバンド」と呼ばれる未使用の周波数帯を利用して構築されているため、コストは1ドルか2ドル程度におさえられます。

カバレッジ

第4世代移動通信システムのLTEは、通信速度こそ速いもののつながる範囲は広いとは言えません。新しいIoTネットワークは室内でのつながりやすさを最大化するように設計され、Wi-Fiのルーターのように独自のゲートウェイを設置することも可能です。
例えば通信キャリアの電波が建物の地下室まで届かない場合、その近くに自分でゲートウェイを設置してデバイスまで電波を届けるということができます。

これらの条件のいずれかひとつを解決できればIoTはさらなる進化と発展を遂げることでしょう。大手の通信キャリアが新しいIoTネットワークを構築するために現在も奮闘しています。

IoTサービスを支えるSoracomのSIMカード

IoTプラットフォームを提供するソラコム社は、自社サイトやamazonなどでSIMカードを販売している企業。ソラコムはMVNO (実際の回線は持たない通信業者)としてSIMカードを提供しています。

出典 : SORACOM

SORACOM プラットフォームは、最低限の基本料金とデータ通信の利用料金となります。SORACOM Air SIMカードは1枚954円。使用したデータ通信量を従量課金で利用できるため、無駄なコストを避けることができます。また、用途によっては月額利用料が300円からという、低価格。

通信モジュールはあくまでSIMに書かれた認証情報を読み取り、ソラコムのサーバへ通信。SIMの入ったデバイスとソラコムのサーバまでの間は通信キャリアの回線で結ばれています。そこで、本来デバイス上で管理するような通信に関する情報をすべて、ソラコムのサーバ(クラウド)上で行っています。

SORACOMのサービスは、SIMカードの開通、休止から、速度の制限まで、通常であればMVNOが運用するようなことを全てユーザー自身が行えるのも魅力ですが、SORACOM社の最も強みだと言えるのは低価格であることよりもセキュリティの安全性だといえるでしょう。

IoTは数千、数万、または、数億のデバイスがつながること。接続するデバイスが増えると、デバイスや通信状態の保守、運用がより重要になります。今後クルマがインターネットに接続ことがごく普通になる。そうなると、クルマとクラウドシステムの間を膨大な情報が行き交います。通信データを改ざんされないためにも、より安全性という面が重視されることになります。

ソラコム社のSIMは、Web ブラウザによるユーザーコンソールや API を利用して、利用者がでデータ通信の開始、休止や再開、通信速度の変更、オンライン、オフラインといった通信の状態、データ使用量の監視を行うことができるのです。

IoTに欠かせない通信という手段

このように、IoTデバイスは大量のデータをクラウドに送るため通信が欠かせないもの。

日本国内ではSIRACOM以外にも、安くIoTプラットフォームを利用できるMVNO(Mobile Virtual Network Operator日本語で「仮想移動体サービス事業者」を意味する)のサービスが提供されています。開発したいIoTに合わせた回線を選択し、コストを抑えた通信網での開発が可能になったのです。

出典 : sigfox

そんな中、フランスからはIoT通信の猛者が君臨。先日の記事で紹介した、年間100円以下のIoT通信SIGFOXです。周波数帯は壁などの障害物を回り込むように電波が飛び、低出力でも10~20km程度の通信距離を持つため、超低速無線通信ではあるものの、障害物には強いため十分な通信環境を提供してくれます。

さらにSIGFOXは通信距離が長いため、中継局などのインフラ整備に対する投資が安価に済み、このような低価格でのネットワークを構築を可能にしてくれるのです。

2016年11月9日、京セラコミュニケーションシステム株式会社が、日本で2017年2月からSIGFOXを展開することを発表しました。サービスを開始まで、待ちきれませんね!

導入までのスピードが速く、コストパフォーマンスも優秀なMVNO。次回、どの会社がどんなMVNOのサービスを提供してくれるかさらに深堀りしてご紹介したいと思います。

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