自動販売機業界・メーカーの課題と解決策【後編】

自動販売機業界・メーカーの課題と解決策【後編】

前編では自販機業界・メーカーの現状と課題、そして大手メーカーが中心となって進めているオペレーションのIT化を紹介しましたが、システムの複雑化によって現場スタッフの精神的・肉体的負担が、かえって増加しているようにも感じられます。そこで後編では、正しいDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説し、導入によって得られる効果とコストカットや収益化を目指すポイントを整理することで、具体的な解決策を提案します。

自販機業界・メーカーが抱える課題を解決に導く「DX」

DXとは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称であり、市場環境のデジタル化に対応するため、企業が行うあらゆる経済活動やビジネスモデル、組織・制度などを包括的に変革していく取り組みを指します。近年、国内デジタル化の遅れを危惧した経産省が必要性を啓もうしていることもあり、民間企業の間でも認知度も上がってきましたが、それはあくまで「広義のDX」にすぎません。大手自販機メーカーが展開を急いでいる「IT自販機」なども、残念ながらその1つだと言えるでしょう。

なぜ、オペレーションのIT化を推進しているにもかかわらず、課題である労働環境の改善や自販機設置台数・場所の最適化が一向に進まないのでしょうか。それには同業界特有と言える、次の4つの要因が関係すると考えられます。

1. 多くのオペレーション業務が下請けや傘下企業へ丸投げ状態である
2. 大規模なDX化に対する現場サイド(=集配ドライバー)の抵抗が強い
3. オペレーターの労働環境を把握できていないor長時間労働を黙認している
4. 飲料メーカー各社にドル箱である自販機を削減する気概が乏しい

このうち4に関しては飲料メーカーの企業努力にかかっていますが、1~3はたとえ中小規模の自販機業者であっても、「ミニマムなDX化」を推進すれば払しょくすることが可能です。そして、ローコストかつ効果を期待できるミニマムなDX化の第一歩として有効なのが、車両管理システムなのです。

自販機オペレーションにDXを導入する効果1「集配業務の効率化」

自販機オペレーターが1日の業務で最も長い時間を過ごすのは配送用トラックの中です。そのため、運転および待機時間を短縮できればオペレーターの労働環境は目に見える形で改善するでしょう。DXツールの1つである車両管理システムは、車載デバイスのGPSにより管理者がリアルタイムで走行経路を確認できるうえ、入手データを見える化が可能であるため、交通渋滞多発エリア&工事中の道路などの回避、訪問頻度に合わせた最適な配送ルートの作成、担当エリアの最適化による1人当たりの運転時間標準化などにより、集配業務の効率化を図ることができます。

事務所にいる管理者と集配スタッフとの情報共有が容易になることで、手の空いた人員に忙しいエリア担当者のフォローを指示できるなど連携力が高まるほか、業務日誌・運行記録の作成も自動化できるため、さらに労働時間を短縮することも可能です。働き方改革関連法案が施行された今、労務管理の徹底と労働基準法の遵守は企業の義務であり、車両保有台数が多いほど車両管理システムは威力を発揮し、コストの割には即効性も高いため、なかなか集配業務の効率化が進まない時は導入を検討すると良いでしょう。

自販機オペレーションにDXを導入する効果2「不採算自販機のあぶり出し」

無人で多くの利益を企業にもたらしてくれる自販機は、どのメーカーも削減するどころかむしろ増設したい重要かつ優秀な販売チャネルです。しかし、集配業者にとっては労働環境を悪化させ、ひいては自社の収益力を圧迫する元凶のようなもの。もちろん、各集配業者もメーカーに対し不採算自販機の撤去を求めているとは思いますが、どんなに売り上げが悪くとも「必ず」採算がとれるメーカーは、口だけで説得してもなかなか首を縦に振らないでしょう。

車両管理システムを活用し、集配時間当たりの人件費とパーマシンのバランスを分析・見える化することで、その自販機が労働環境悪化に直結かつ不採算で経営を圧迫していることが証明できれば、メーカーを説得する大きな材料となりえます。また、メーカーが撤去に乗り出さなくても不採算自販機をあぶり出すことができれば、訪問頻度や補充本数の適切な調整によって、労働時間短縮やトータルの補充本数を減らす、業務改善も実現できるのです。

DXでコストカット&収益化も!ポイントは「走行データ×在庫データ分析」

前項で解説した車両管理システムによる綿密な走行データと、各飲料メーカが所有する在庫データを紐付ければ、自販機業界全体のコストカット・収益化を実現する、非常に有益なDXシステムを構築することも可能です。ただし、それにはコストと時間がかかるため、業界全体が一丸となって取り組む必要がありますが、もし実現すれば深刻化する自販機業界の課題を完全に払しょくすることも期待できます。

ピッキング&商品補充のオートメーション化による労働環境改善

自販機オペレーションにおいてもっとも過酷な作業は、人の手による連日の品出し・積み下ろしと商品補充です。しかしそれらをAIとロボットで自動化することができれば、一気に労働環境は改善します。

たとえば、IT自販機から入手した売り上げデータをもとに、AIでよって制御されたロボットが過不足なく正確に車両へ荷物を積み込む。それだけで、腰に負担がかかる積み下ろし作業が格段に緩和されます。

また、IT自販機と車両管理システムを連動させ、到着するまでの間に補充商品がピックアップされるシステムを開発・導入できれば、労働時間短縮も実現できますし、小型コンベアーを車両に搭載・補充作業を自動化させることができるようになるのではないでしょうか。

これらを可能にするには膨大なコストがかかりますが、今後さらなる拡大が予想される人材不足を鑑みると、オペレーション業務の抜本的な見直しと大規模な改革を撃ち出さなくては、事業が立ちいかなくなるかもしれません。

配送エリア別売り上げ状況の把握で商品開発・ラインナップの最適化

車両管理システムの走行データからエリア別売り上げデータを抽出し、メーカーがマーケティングに活用しているIT自販機からの情報と融合・分析すれば、商品開発や自販機ごとのラインナップを最適化することも可能です。

そうすれば、現在下降の一途をたどっているパーマシンを上方修正することもできますので、不採算自販機の撤去を迅速に行い、集配オペレーターの労働環境悪化に歯止めをかけることができるでしょう。商品開発コストは飲料メーカーにとって大きなウェイトを占めるものですので、売れ筋商品をピンポイントでリリースできれば一石二鳥です。

自動運転車の導入による人件費削減と人材不足解消

GPSやIoTを活用する車両管理システムと自動運転技術は、連携することでさらに大きな効果を生むと予想されます。完全自律運転が実現・普及した場合、オペレーターは運転という煩わしい作業から解放され、本来の業務に集中することができるからです。

もし実現できれば、車両管理システムによって決定されるルートに沿って、オペレーターは雑務をこなしたり食事をとったりしながらの移動が可能となり、適切な休憩をしっかり確保することができますが、法規制などの問題もあり完全自動運転車の登場はまだまだ先となりそうです。

しかし、現在リリースされているレベル2相当の自動運転であっても、高度な安全運転支援機能を搭載しているため、交通事故予防に大きく寄与してくれます。運転が労働時間の大半を占める自販機業界・メーカーは、従業員および歩行者保護の観点からも導入を積極的に検討すべきかもしれません。交通事故が減少すれば被害者に対する賠償金の負担も少なくなりますし、車両を修理するコストも不要となり、ケガをした従業員が稼働できない状況を防ぐこともできるなど、企業が得られる経済的メリットも多岐に及ぶからです。

また、レベル3以上の自動運転が実現・導入すれば、実質労働時間を短縮可能なため人件費をカット可能ですし、労働環境が飛躍的に改善し確保がスムーズになるうえ、他業種への流出を食い止めることも期待できます。

まとめ

自販機業界・メーカーが継続的に成長するには、まずは車両管理システムを活用して集配業務を改善するミニマムなDXを進めたうえで、オートメーション化や自動運転の導入など、大規模なイノベーションを生み出していく必要があります。コンビニやスーパーなど、ライバルが乱立している現状において、地道に取り組みを続ければ課題を解決するヒントや、縮小する市場規模の中で生き残っていく道筋が見えてくることでしょう。

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