米ニコラ・モーターの水素燃料電池トラック初公開に見る、トラック業界の変革

米ニコラ・モーターの水素燃料電池トラック初公開に見る、トラック業界の変革

米国の電気自動車メーカー、ニコラ・モーター・カンパニーが水素を燃料として駆動する大型トラック「Nikola One(ニコラ・ワン)」を、ユタ州ソルトレイクシティで発表。そこには600人以上の報道陣が詰めかけ話題となりました。

今後、燃料電池車の開発・実用化が急速に進展していくとみられるトラック業界。気になる動向を追ってみましょう。

ニコラモーターが公開したNikola One

容量320kWhのリチウムイオン電池と燃料電池を搭載したニコラ・ワンは最長1200マイルの連続走行が可能。車重はディーゼルトラックに比べて約900kgほど軽く、その分、荷物を多く積むことができます。

1000馬力以上の出力と2000ft.lbsのトルクを発揮、また、燃料電池でバッテリーを自動的に充電するシステムが備えられているので燃料電池からの充電が停止したとしても、満充電であれば100~200マイル(160km~320km)をバッテリーだけで走行できるといいます。そのバッテリーパックの構造は、テスラ社と同様の汎用「18650サイズ」のバッテリーセルを多数個連結しているそうで、バッテリーパックの容量は107 kWhで重量は1000lb(450kg)。
こんなにハイスペックなのに、排出されるのは水蒸気のみ。嫌煙されることもありません。

当面はリースのみで、その72ヶ月のリース料である月5,000~7,000ドル(約57万~80万円ほど)の中には、100万マイル(約161万km)分の水素燃料が含まれています。ドライバーは米国とカナダ南部の各地に建設を予定している364ヶ所の水素ステーションで水素を充填できるようになりますが、こちらは2018年から2019年にかけて設置を進める予定とのこと。

最初のトラックは2020年に発売される予定で、ニコラ・モーターはトラック・メーカーのフィッツジェラルド・グライダー・キッツ社と提携を結び、最初の5,000台のトラックを製造することになっています。2017年半ばには10億ドル(約1,140億円)を投じたニコラの製造工場が完成予定とのこと。

しかし、これらの発表はあくまでスタート地点に過ぎず、生産拠点が決まるのもこれから。まさに今、ニコラは本腰を入れて開発・製造に着手をするところに来たばかりなのです。

低いコストで、空気だって汚さない。より良いキャビンのトラックを実現し、トラック界の変革を唱え、それを実現する勢力——それこそがニコラ・モーターズという企業なのです。

三菱ふそうが発表したEV車

国内企業でも、電気自動車や燃料電池式のトラックの開発が着々と進んでいます。

三菱ふそうは2016年4月にドイツで小型EVトラックの実証試験を開始。生産拠点があるポルトガルで1年間実施した実証試験で、1万キロ当たりの運用費用1,000ユーロ(約11万円)の削減を達成、4月からドイツのシュツットガルトに建築資材やごみ箱の運搬車として4台提供して坂道の多い地形での走行性能などを検証していました。

同年9月にはドイツのハノーバーで行われた国際商用車ショーで積載量2―3トンの小型電気トラック「eキャンター」を報道陣を前にして世界初公開。

eキャンターは容量13.8キロワット時のリチウムイオン電池を採用しており、輸送距離や用途に応じて搭載する電池の数を選択できるそう。2017年の後半から日本をはじめ米国や欧州で電気走る小型トラックを販売を開始します。

最大走行距離は3トンの荷物を積んだ場合で100キロメートルを実現しました。日本の市街地を走る小型トラックの約8割の1日の配送距離は50キロメートル程度と、利用しやすいことが特徴、今後さらにeキャンターのようなトラックの需要は高まるのではないでしょうか。

トヨタ、燃料電池技術を大型トラック車とバスへ

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出典 : TOYOTA

トヨタ社が20年以上開発に励み、2014年より販売を開始した 水素で走るクルマMIRAI(ミライ)。この技術を大型トラック(セミトレーラー・トラック)に応用するための調査をトヨタ自動車が始めました。2015年にはすでに水素電池燃料で走るFCバスの走行実証をはじめており、貨物輸送における「ゼロ・エミッション(廃棄物なし)」の実現を目指しています。

トヨタによると、水素を充填したFCバスが1台あれば、学校体育館等の避難所に家電の電源として電力を供給することが可能とのこと。

トヨタはほかにも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上の燃料電池バスの導入を予定し、2017年はじめには東京都交通局の運行する路線バスとして走行を開始する予定。

発売当初MIRAI(ミライ)は国内販売数を400台で計画していたところ、1ヶ月で約1,500台に上る受注を達成し、その後右肩上がりにのびています。米国でも販売後2か月で1,900台の受注を獲得。世界全体を見て環境に対する意識が強まっていることが伺えます。

環境に優しいトラックが走るミライ

トラック市場はこれまで、燃費が良く力強い走りができるディーゼル車が主流となっていました。

しかし最近では排ガスや騒音の問題が後を絶たず、さらには消費者がオークションやamazonなどを利用は伸び、宅配での荷物受け取りは益々右肩あがり。このような状況から運輸業の早朝深夜も問わぬ体制が定常となってきているため、環境にも優しく、早朝・深夜でも静かに配送できる電気自動車や燃料電池で走行するトラックへの期待は高まりつつあります。

しかし、一度の充電で走行できる距離には限りがあるため、その充電問題をどうするかドライバーの不安や心配事を解決していく必要があります。実質、政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、2015年内に四大都市圏を中心に水素ステーションを100カ所程度整備する計画を掲げていましたが、整備は遅れている状況にあり、全国でも100基を満たしていません(2016年12月)。ガソリンスタンドのように、いつでも・どこでも・安心して充電ができる環境を整えていく必要があります。

環境にも優しい究極のエコカー。水素や電気を補給するステーションのインフラがさらに整っていけば、水素燃料車がもっと身近に、そして一般化されていくことでしょう。

EVやFCVのステーション普及における課題に関しては、先日の「電気自動車が一歩前進!主要メーカーが高速充電ネットワークを設置」というエントリーでも触れましたが、今後も目の離せない展開が繰り広げられそうです。

 

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