半導体メーカーNXPが見せる自動隊列走行技術

2016年、Ottoの自動運転トラックが長距離走行と配達に成功。さらに、時同じくしてNXP、DAFトラック、TNO、Ricardoも車間間隔が0.5秒という画期的なトラック隊列走行に成功しています。

安全性と効率性など高い技術力を求められる自動隊列走行。そこにはどんな革新的な仕様や技術が隠されているのでしょうか。

NXPセミコンダクターズとは

拠点を構えるのはオランダのアイントホーウェン。NXPセミコンダクターズはエネルギー効率、コネクテッド・デバイス、セキュリティ、ヘルスケアの4つの世界的なメガトレンドに対応し、高性能ミックスドシグナルICのほか、ディスクリートなどの汎用製品をグローバルに提供している世界的な半導体サプライヤです。

株式会社フィリップス・エレクトロニクスジャパンが2006年に半導体事業を分社化し、新社名をNXPと命名。社名はNexperiaという製品ブランドが由来で、NはNext、XはExperience、PはPhilipsを表しています。同社はコネクテッド・カー、セキュリティ、携帯/ウェアラブル機器、IoTの4つの重点分野での技術革新に注力し、広範な業界の顧客企業の製品開発をサポートしています。

2015年12月にはモトローラ社の半導体部門が分離して設立されたフリースケール・セミコンダクタと合併。11,000名以上のエンジニアを抱え年間売上高100億ドル(およそ1.2兆円)規模の企業が誕生しました。新生NXPは、「車載」「セキュリティ」「コネクテッド」の3つのカテゴリにフォーカスしていくことを強調し、車載半導体市場ではフリースケールの車載レーダーやセーフティ関連、NXPの強みであるキーレスエントリや車載インフォテイメント分野などでトップの独占を歩み始めたのです。

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Photo credit: Chuwa(Francis)

そして、携帯電話用の半導体で最大手の米クアルコムがNXPセミコンダクターズを買収したというニュースが新聞やメディアの見出しを飾ったことで、彼らは今後さらなる躍進を遂げようとしているのです。

Qualcomm(クアルコム)が見出したNXP の強み

2016年10月27日のこと。半導体ICメーカーの買収金額としては過去最高、破格の買収額でNXPセミコンダクターズを買収したQualcomm(クアルコム)、その額はなんと470億ドル(約4.9兆円)。新産業への参入の加速とスマートフォン市場への依存軽減が狙いです。
さらに、クアルコムは今回の買収後の両社の市場規模の合計を、2020年には1,380億米ドルになるとみています。
買収の決め手となったのはNXPが発表した新製品でした。それは自動運転車両に関連する技術を確実に押し上げてくれるものとなっています。

自動運転車両市場では、車両レーダーと併用し4倍のパワーを供給してくれる新たなマイクロ・コントローラー製品を発表。自動ブレーキ機能、車線変更機能、自動アシスト機能まで含むレーダー探知機能は、より高いパフォーマンスと高い精度を保つことができるのです。この商品は既にテスト段階に入っており、2017年の後期には実現化が見込まれています。

2つ目の新製品はDAFトラック、ホンダ、シーメンスとの提携で開発された輸送トラック向けソリューションです。V2X(vehicle-to-everything)通信を用いてネット接続された自走トラックの反応時間を、2017年までに人が運転する車両に比べ30倍早めてくれるのだそうです。これについては次章にて詳しくお伝えしましょう。

ミュンヘンで行われたライブ路上デモ


少し前後しますが、フリースケールと合併して約半年後の2016年5月、NXPは自動運転システム開発用プラットフォーム「BlueBox」を発表しています。高性能プロセッサコアからなるプラットフォームは、パワフルなのに省電力で搭載性も高いもの。このBlueBoxで自動車メーカーの自動運転車の開発や、他社との差別化を図る戦略をサポートしていくとしていました。
そしてそれから半年後の11月には、NXPとDAFトラックはミュンヘン市内でトラック隊列走行のデモを実施。

交通の流れを大幅に改善するために、トラック隊列の位置に基づいて交通信号を自動的に適応制御するシーメンス製のインテリジェント交通信号を使用したトラック隊列走行のデモでは、高性能のカメラとレーダー・システムを備え、無線接続された自走トラックは、時速80kmで隊列走行で11mの車間距離を維持しました。

車間距離を確保する、乗用車が輸送車両間に入ってくるというような想定外の対応も、この技術によって人の運転時と比べるとはるかに効率的なマネジメントを行うことができるようになります。そして最大10パーセントの燃料効率向上、道路交通の安全性の向上、CO2、PM、NOXなどの排出低減が可能になるのだとか。

Cohda Wirelessとの新たなパートナーシップで、NXPはCohdaのV2X開発アルゴリズムを使うことが可能になり、両社の顧客も信号などのインフラ設備、レーダー探知、周囲の他の車両から得られる様々なデータを収集する「スマート判断システム」を搭載したりと、両社の技術を受けられるようになるのです。

EcoTwinトラック隊列走行プロジェクトのメンバーであるRicardo、TNO、NXP、DAFトラックは、隊列走行するトラックの車間距離を2017年にさらに40パーセント短縮するための研究に現在取り組んでいます。

DAFトラックのプロダクト・デベロップメント担当ディレクターのRon Borsboom氏は、「その実現に必要な研究開発課題はまだ多数存在していますが、2017年をめどに反応時間を改善した技術のデモを実施する野心的な計画に向けて、私たちはNXPと協力しています」と語っています。

自動運転トラックの今後

自動運転トラックによる最初の配送を成功させたOtto。高速道路部分である120マイル(約190キロ)という長距離を難なくトラック自身が快走するという快挙を成し遂げました。このOttoのトラックはLevel 4自動運転基準を完全に満たした上で高速道路では一台のみで自律運転していますが、同じ自動走行でもNXPは隊列走行でのプロジェクトを進めています。

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出典: DAF

日本でも2016年9月同じように豊田通商がトラックの自動運転に向けた実証実験を近く始めると発表、隊列した複数のトラックを、1人の運転手で走らせる予定となっています。

運転手がいるのは先頭のみで2台目以降は無人となりトラック間の通信などから、先頭のハンドルやブレーキ操作に合わせて走る隊列走行。運転手が少なくて済むだけでなく、空気抵抗が小さくなって燃費も改善するため、人手不足の物流業界の救世主となり、環境を守る救世主となるのではないでしょうか。

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