自動車運送事業者に必要な運行管理者の資格とは?

運行管理は事業用自動車の安心・安全を守るために必要とされる運行管理の業務。事業用の車両を持つ営業所は、義務として一定数以上の「運行管理者」を置くことが国で決められています。
そもそも、運行管理者はどんな役割を担い、どのような目的において資格が設けられているのでしょうか?

運行管理の必要性

トラックドライバーの安全を守り仕事の効率化を図るための運行管理サービスについては前回の記事でお伝えしましたが、今回は運行管理の業務内容や資格についてより深堀りしてみていきましょう。

運行管理は交通事故を防止したり、安全にそして効率的に輸送を実現するために必要な業務。全日本トラック業界は、公共の道路を使用して事業を行っている貨物自動車運送事業者にとって「社会との共生」を図るうえで、最も重要なことであると定義しています。

運行管理を行う目的の中でも最も重要事項と言えるのは輸送中のドライバーの安全確保です。事業用トラック事故の中で、2016年1月から9月まで死亡事故にまで至った件数は192件。決して少ない件数だとは言えません。このような事故を少しでもなくし、ドライバーの安全を守りながら輸送サービスの最適化を行うためにも、なくてはならない業務だといえるでしょう。

運行管理って何をするの?

自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く)は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しなければなりません。29両まで(運行車+運行車以外)は運行管理者1人以上、30両から59両(運行車+運行車以外)は運行管理者数2人以上、60両以上の場合は営業所で運行を管理する車両数を30で割った数に1を加算した人数が最低選任数となります。

また、2013年5月1日以降からは5両未満でも運行管理者1人を選任する必要があると定められています。運行車とは、特別積合せ貨物運送の運行系統に配置する車両を指します。
複数の運行管理者を選任している営業所の場合、その責任が分散しないために、また、運行管理業務が統一された方針で行われるよう業務全般を統括する運行管理者を選任して届けを出さなくてはなりません。
運行管理者の業務は道路運送法と貨物自動車運送事業法に基づき、事業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示など、事業用自動車の運行とドライバーの安全を確保するためを責任を持って担います。

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Photo credit: Gaju westwood

事業用自動車の運転者の乗務割の作成

長距離、深夜早朝などの連続勤務をよく考慮した上で、乗務員(ドライバー)の過労防止や健康面を守るため乗務調整を行います。公休割当の作成やドライバーの健康状態を把握し場合によっては乗務の禁止を伝えることも業務となります。

休憩・睡眠施設の保守管理

乗務員が有効に利用できる休憩施設を常に良好な状態で維持し、ドライバーに睡眠を与える必要がある場合又はドライバーが勤務時間中に仮眠する必要がある場合は、睡眠又は仮眠施設を整備し、これらの施設を適切に管理なくてはなりません。

運転者の指導監督

運行の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を習得することを目的として、運転者に対する適切な指導・監督を行います。特に、事故を起こした運転者、運転者として新たに雇い入れたもの、高齢者に対しては特別な指導を行った上で、国土交通大臣が認定する適性診断の受講をさせなくてはなりません。

点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示

乗務開始前・乗務終了後に、ドライバーと対面による点呼を行い、報告を求めてドライバーの状態を確認の上、運行の安全を確保するために必要な指示を与えます。原則として点呼は対面で行いますが、Gマークを取得した貨物自動車運送事業者は、国土交通大臣が定めた機器を用いた点呼(IT点呼)を行なうことが可能です。

運行管理者になるには

運行管理者とは、事業用自動車の安全確保のために設けられた国家資格です。そのため、運行管理者として業務に就くためには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、旅客、貨物)を取得する必要があります。

さらに、運行管理試験に合格する、または事業用自動車の運行安全の確保に関する業務について一定の実務経験やその他の要件を備えないと、運行管理者資格者証を取得することができません。

運行管理試験を受けるためには、事業用自動車の運行の管理に関して1年以上の実務経験を持っている、または実務の経験に代わる講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習を修了しなくては受験の資格が与えられないそう。

試験の種類には旅客と貨物の2種類があります。基礎講習を受講する場合、取得する運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験と、運行の管理に関する講習を5回以上受講する必要があります。

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Photo credit: monarch sharma

運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講することが必須となります。

運行管理者試験の内容

近年の合格率は、貨物:29.1%、旅客:32.3%ほどと、決して簡単な試験とは言えないよう。また、試験内容は旅客、貨物で若干異なります。

貨物の場合は、貨物自動車運送事業法をはじめ、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、その他運行管理者の業務上必要な知識・能力が出題されます。旅客の場合は、道路運送法から道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力における質問がそれぞれ出題されます。

毎年全国各地で3月と8月に行われるマークシートによる筆記試験は、原則として30問中18問以上、つまり60%以上(問題は全30問)の得点を取得することで合格とみなされるのです。

もっと安全に、そして効率的に

事業用の車両を所持し日々車両を利用して業務を行うためには、車両管理も運行管理も絶対的に必要なもの。ドライバーが安心・安全に業務を遂行できる環境を作ることをはじめ、企業のリスクマネジメントや業務の効率化には欠かせないことです。

より安全に、より業務をスマートに。本メディアの運営会社でもある株式会社スマートドライブからも2016年9月より、法人向け車両管理サービス「DriveOps」の提供が開始されました。
OBD-IIデバイスまたはシガーソケットデバイスを使用することで、法人が所有する営業車や運送・配送車両から運転情報やGPS情報などを取得し、安全運転促進や事故抑制、修理代や保険料の削減につながるサービスを提供しています。今後は保険会社と協同でテレマティクス保険の提供も計画されています。

こういったサービスも利用することで、ドライバーや運行管理者の日々の業務上の負担をできるだけ軽減し、今後は自動運転技術を活用した運送・輸送の自動化に向けて業界全体を改善していく方向に向かっていくことができると良いですね。

営業車の事故率と保険料を下げる仕組みとは?

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