タイ・バンコクの交通課題と物流の今

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日本とは一味違うアジアの交通事情や物流業界。特に東南アジアは今、目覚ましく発展を見せているようです。今回はタイの交通事情から物流業界の状況、取り組みについてお伝えします。

タイ・バンコクの交通事情

タイの首都、バンコク。タイ全体の人口がおよそ6,700万人であるのに対してバンコクはおよそ820万人です。
都心を中心に移動手段はいくつかあり、鉄道や航空機を始め、バンコクの中心部を走るモノレール・BTS(スカイトレイン)、地下鉄、バス、水上バス、タクシーにトゥクトゥク、モーターサイなど、日本ではあまり見られない乗り物も多数走っています。

そして何と言っても有名なのが世界第二位を誇る「交通渋滞」の国であること。特にバンコクは、東京とは比べものにならないほどだと言います。
2016年、走行車に装着されているGPSなどのセンサーから得るプローブデータをもとに、38カ国・1064都市の渋滞状況を分析したけところ、ドライバーが通勤などのラッシュ時に渋滞に費やす時間は年間で平均61時間と、国で見るとタイが一位に。都市別では、バンコクが64.1時間で12位、ジャカルタは55時間で22位と上位を占めました。バンコクでは鉄道整備の計画が進められているため、この路線建設による要因もあると見られています。

さらに、バンコク都庁は都内の高速輸送バスを2017年4月に廃止を決定しました。この高速輸送バスは、道路に専用レーンが設置されているため、目的地に時間通りに到着できるとしてスカイトレインと同じように利便性の高い交通手段として導入されていたもの。しかし、ルールを無視して専用レーンに一般車両が侵入するということが相次ぎ、時間通りに移動ができないと、利用者が激減。やむなく廃止を決意したそうです。

人や経済、文化、政治などほとんどのものがバンコクという土地に集中しています。人口が過密化するとともに車の所有率も上がり、タイ政府自体も税金を安くするなどして車の購入を奨励しているのだとか。このように、交通渋滞になる原因には、日本とは少し理由が異なる事情あるようです。

タイ・バンコクの交通渋滞を招く、大きな5つの事情

タイで最も深刻なバンコクの交通渋滞には、様々な原因があります。特に交通渋滞が激しくなる時間帯は朝の通勤時間と重なる7時〜9時と、午後は15時ごろ、さらに17時〜18時の時間帯はさらにピークへ。タイでは送迎バスも多く走っているため、この時間帯と重なるためにさらに道路を走る車両が増加するのです。また、金曜日の夜は翌日が休みの人も多いため、バンコクへ出る人も増えてさらに渋滞が悪化します。

特に渋滞が激しいエリアはスクンビット通り、シーロム通り、サトーン通り、サイアム周辺。渋滞になる大きな理由としては以下のようなものがあげられます。

・信号機による事情
交通量が多い場所で交通整理を行うために重要とされる信号機。しかし、バンコクにおける信号機の数は少なく、さらに赤と青の色の切り替えを交差点に常駐する警察官が手動で切り替えを行っています。警察官の勘によって切り替わる時間は5分にも10分以上にもなることがあるのだそう。

・道路の問題
抜け道となる路地が少なく、あっても先はほぼ「行き止まり」。また、右折の際は信号で右折するのではなく、Uターンしてから右折しなくてはなりません。そのため、ここでも大渋滞が発生しやすくなります。バンコクの道路の面積は東京の20%ほどしかないと言われていますので、自動車が増えれば増えるほど道路が過密状態になります。バンコク市内のあちこちにある道路の表面が陥没したクレーター。このクレーターにタイヤの足元が取られてパンクしてしまう…と言うことも。

・急激な自動車台数の増加
バンコク市内で働くタイ人の多くがタイの中心部より郊外に住むため、出勤退勤時に自動車が集中します。タクシーの台数も非常に多いのですが、安くて暑い時には涼しくて快適なため国内外問わず利用者もそれなりにいるようす。

・事故が多い
2016年12月29日〜2017年1月4日までのたった7日間、タイにおける交通事故での死者数は478人、交通事故数は3,919件にものぼったと言います。運転のマナー・交通違反をはじめ、免許証の不所持などが主な原因ですが、タイは簡単に自動車運転免許を取得できるため、ルールやマナーの教育をしっかり行っておらず、安全運転への意識が日本人より薄いことも事故多発の理由にあるかもしれません。しかしそのために、タイでは毎年平均26,000人もが交通事故により命を落としているのです。

・雨季の豪雨による視界の悪さ
タイは5月中旬〜10月中旬が雨季とされ、1日に数回激しいスコールが降ると言う日が続きます。一日中降り続くことはありませんが、豪雨となるため視界が非常に悪くなりスピードも落ちます。それによって、渋滞の原因となるのです。

さらに交通インフラの不備など、交通渋滞や交通問題における事故には様々な理由が重なっているようです。

渋滞解消のために進む対策

渋滞を緩和するための対策として、ラッシュアワー時のみ一部地域に通行税をかけるよう、渋滞対策委員会が訴えています。また、最近では大きな交差点に録画や静止画撮影できる監視カメラが設置されるようになり、信号無視の自動車やオートバイには後日郵送で罰金支払いの通知が行くような施策をとるようにしています。

また、トヨタ自動車の現地法人・タイトヨタなどが社会実験プロジェクトとして、バンコクの渋滞解消に向けたプロジェクト「サトーン・モデル」が2年余りをかけて、一定の成果を見せているようです。この実験はバンコクの中心部であるサトーン通りが対象。この通りは近くに私立学校が三校あるため、朝夕は送迎の車も多くなります。

2014年の6月に発足したこのプロジェクトは、まず学生たちと周辺道路の交通量を把握することから始まりました。そしてシャトルバス運行などを企業や学校などに要請。さらに三井住友海上火災保険タイ支店は要請に応じて470人ほどいる社員から110人を対象にフレックス制を取り入れ、勤務時間を調整。また、通りの交差点を中心に数カ所のセンサーを設置し、警察官が手動で切り替えていた信号の操作を改善しました。

これらの施策により、朝のピーク時の交通量は開始前と比較して12.6%増、1時間あたり4,691台に。また、車の平均速度は68%向上して時速14.8キロになり、周辺道路で3キロ以上もあった信号待ちの渋滞は2キロほどに収まっています。

活況を見せるタイの物流業界

2015年12月に発足したAEC(アセアン経済共同体)や主要国との自由貿易協定により、タイの物流業界は急激な成長を遂げています。大手銀行の調査機関カシコン・リサーチセンターの発表では、2016年の前年比成長率は5.7%となり、2015年の5.3%を上回る結果に。これは政府のインフラへの投資や観光業の好調などで物流需要が拡大していることが大きく影響したと見られています。そして、2016年は陸運・海運・空運の3分野のすべてが伸びて、物流産業は同国の国内総生産(GDP)成長率を押し上げたとカシコン・リサーチセンターのアナリストは分析しています。

タイは東南アジア本土の中心部に位置しており、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国土が接していることから、貿易面においては地理的に有利です。タイの陸上輸送は、インドシナ半島への重要通商地点としての役割を果たすことが期待され、タイ政府は同国をメコン川流域の大メコン経済圏の貿易およびサービスのハブとして、そしてアジア圏内への主要な輸出入拠点としての位置付けを計画しています。さらに政府は道路や鉄道の大型インフラ投資を進めており、建設資材の運搬需要の拡大などが見込まれることに加え、輸出が回復される見通しで、基礎インフラ開発や新たな設備の導入、セキュリティビジネスや設備更新など、近代化を進めるプロジェクトが現在タイの主要沿岸都市2箇所で行われています。

物流施設開発最大手のWHAコーポレーションは、競争力を高めるため、16~20年に国内外の物流施設の拡大などに430億バーツ(約1,372億円)を投じる計画を発表。同社のチャリーポーン・チャルーコラサクン最高経営責任者(CEO)兼副会長は、政府が推進する東部地域での経済開発計画「東部経済回廊」などによって物流需要が一段と拡大していくとみており、地場物流JWDインフォ・ロジスティクスは、地場自動車販売サイアム・モーターズ・グループと自動車産業向けに特化した物流サービスを提供する合弁会社を設立しています。

発展する上で必要なITの力

2017年6月11日、メコン河流域の経済発展を進める「大メコン河流域物流業界協力委員会第5回会議」が開催され、中国、タイ、ラオス、ミャンマーの4か国の物流企業が、「インターネット+物流」の提携に調印しました。東南アジアGOAL物流の威秦連盟会長は、インターネットを利用した物流は世界貿易システムの中で重要な役割を担っており、今後はより重要になると認識しているそう。現在の物流業界は車と貨物のミスマッチや業界として一貫したマネジメントが行われていないため、空転率が高くなっています。

情報が遅いことや物流パークの経営困難など、解決しなければならない問題は多くあるため、GMS物流業界協力委員会の肖光洪主席はIoT、クラウドコンピューティング、モバイルインターネットなどの次世代情報技術を取り込み、大メコン河流域の物流企業の「インターネット改革」が不可欠だと見ています。

先ほどお伝えしたように、タイは物流トラック以外にも多くの車両が整備の行き届いていない街を走っています。そのため、急成長する物流業界を支えるには、安心して走行できる環境を整えて死亡事故を含む交通事故を防止し、より効率よく業務を行うための施策を早急に用意する必要があるのです。

このような大きな2つの理由から、タイ運輸省は登録されているトラック全台にGPS機能の搭載を義務付け、陸上交通局にて車両走行記録データの保存を法制化しました。この施策により、車両の速度や運転時間、運行路などが規定通り守られているか、陸上交通局で管理することが可能になっています。

2020年までに交通事故での死者数を人口10万人あたり年間36.2人から10人へと目標を掲げており、GPSによる情報管理と死亡事故削減を目指す方針です。タイでは運送業の経費のうち燃料費が50%もの割合を占めていますが、この施策により、運送業界を中心に安全運転教育の普及やエコドライブの習慣による経費の削減なども期待されることでしょう。

タイに参入する日本企業が成長を押し上げる?

日用品卸大手のPALTACは2017年5月12日、タイの総合消費財最大手サハ・グループと物流事業で提携すると発表。2017年内にサハ傘下の物流会社タイガーロジスティックスの株式の3割を取得し、PALTACの物流システムなどを導入し、サハとの提携を通じてタイの流通に関するノウハウを蓄積しながら、2020年にはタイで卸売事業の参入を目指すとのこと。また、JR貨物と豊田通商は2017年度内にタイの鉄道貨物輸送事業への参入を決定し、日本の鉄道におけるノウハウを売り込むとしています。

経済成長に伴い物流需要が増加するタイでは、貨物輸送手段はトラックなどの陸上輸送が約8割を占めていますが、近年はドライバー不足もあって物流コストが上昇。タイ政府はトラック輸送を鉄道で代替する「モーダルシフト」を物流政策に掲げ、貨物輸送における鉄道比率を引き上げることを目指しています。

今後さらなる発展をとげるであろうタイの物流業界。日本企業の参入や業務提携により、日本が誇る高い技術力や長年に渡り研究され蓄積されてきたノウハウが、その成長をさらに押し上げていくことでしょう。

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