今こそ見直すべき物流業界の「働き方改革」

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昨今、「働き方改革」が日本社会が直面している課題だとして話題になることが多くなりましたが、本メディアでも先日のヤマト運輸の一件に端を発した物流業界の就業環境に関しては何度も取り上げてきていますが、現場レベルでの抜本的な改善までには課題はまだ山積みのようです。

以前の記事に関しては下記をご参照ください。

物流業界の現状と今後:一連のヤマト運輸報道から考える
物流業界の現状と課題 – AIは物流を救えるか?
物流業界だけではない?環境省も宅配便再配達ゼロ運動を展開

物流業界の働き方改革はどうなっているの?

2017年2月14日に開かれた政府の働き方改革実現会議で、年間720時間、月平均60時間と言う時間外労働の上限案が提示されました。トラックをはじめとする自動車運転業務については「現行制度では限度基準告示の適用除外」とされており、その特殊性を踏まえて拘束時間の上限を定めた「自動運転車の労働時間などの改善のための基準」では自動車運送業者への監督を行なっているものの、限度基準告示の適用対象となっている他業種と比べ、実質的には長時間労働が認められているような状況になっています。

参考: 働き方改革実行計画

この「働き方改革実行計画」では、トラックドライバーなど自動車運転業務の時間外労働の上限規制は「一般則施行の5年後に年960時間(=月平均80時間)以内」と記され、他事業に比べると240時間の違いがあります。将来的には一般則の定期用を目指す規定を設けること、5年後の施策に向けて荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働是正のための環境整備を強力に推進するとしているものの、現在では陸上貨物運送業が過労死のワースト1位なっており、拍車をかける人手不足や従業員の長時間労働をストップさせるためには、物流業界こそ積極的かつ迅速に働き方を見直すべきだと言えるでしょう。

全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)の難波淳介委員長はこの計画に対し、「トラック運輸産業がこの改革に乗り遅れてはいけない。(業務実態から)他産業と同時期に規制に入ることは難しいかも知れないが、一定の猶予期間を設けながらも、長時間労働を是正していかなければならない。ただでさえ人が集まらない中で、トラックが例外業種として外された場合のインパクトの方が大きい。(例外となれば)過労死は仕方がない業種なのだと思われかねない」と警笛を鳴らしています。

超過労働については主にトラックドライバーに焦点があたりがちですが、ドライバーの長時間労働や人手不足が常態化してしまうと業務効率が下がり、合わせて入出荷を行う倉庫や物流センターにも影響が出てきてしまいます。私たちの生活の基盤を支えている物流業界。働き方改革を進めるには、トラックドライバーをはじめ、まず物流業階全体の効率化や働き方を見直すことが先決と言えるかもしれません。

 

最も大事なリスク管理はトラックドライバーの健康管理

厚生労働省が発表した「平成28年度(2016年)『過労死等(※)の労災補償状況』」によれば、同年の貨物自動車運送事業に占める脳・心臓疾患の請求件数は212件と前年の181件から31件増加し、支給決定件数は97件とどちらも全業種のうち1位でした。

さらに近年はトラックドライバーによる健康起因事故が増加傾向にあり、長時間労働とともに過労によるドライバーの健康管理についても注視されています。健康起因事故は「運転者の疾病により事業用自動車の運転を継続できなくなったもの」として事故後30日以内に国土交通省に「自動車事故報告書」の提出が義務付けられており、交通事故のみではなく休憩中に体調不良で運転を中止したケースも対象になっています。健康起因事故の運転者数が多いのは、バス、ハイヤー・タクシー、トラックの順ではあるものの、死亡運転者数ではバスは死亡事故なしのため、ハイヤー・タクシーに次いでトラックが多いという結果に。トラックでは9割が脳・心臓・血管疾患が死因になっています。

そこで全日本トラック協会は国土交通省の「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル(2010年7月策定)」の改訂に合わせて、運送事業者と運行管理者が実施すべき健康管理のポイントを示した「トラック運送事業者のための健康起因事故防止マニュアル」を2014年に策定、改訂版を2017年3月に公表しました。

4月からは、トラック業界における過労死の防止に取り組むため、労働安全・衛生委員会に「過労死等防止計画策定ワーキンググループ」を発足。長時間労働や健康管理対策などを行動計画として策定、道路貨物運送事業における過労死の実態や事例、労災認定要件や防止対策に向けた立案をまとめています。高血圧が原因で脳・心臓疾患が起きていることから、都道府県ごとのトラック協会を経由して、運送事業者に血圧計を配布し、血圧計導入の効果検証も行なっています。

さらにこの状況を深刻に受け止めた全日本トラック協会は、トラックドライバーの過労死や健康起因事故防止対策を強化すべく、2017年7月から経営者や運行管理者に対するドライバーの健康管理の啓発を目的に、関係団体主催による「過労死等防止・健康起因事故防止セミナー」を全国で開催。陸災防本部の安全管理士や産業保健総合支援センターの相談員である医師を招いたり、過労死予防のポイントとしてドライバーの健康管理法を説明するほか、定期健康診断の実施と活用やメンタルヘルス対策についても講義を行っています。

※「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

健康診断は受けた後の結果から現状を把握し、今後どうして行くべきか考えるのがもっとも大事なこと。まずは働き方を見直して変えて行く前に、健康であることの重要性を周知すべく、事業者やドライバー、一人ひとりの健康に対する意識を高め、フォローできる体制が徐々に整えられようとしています。

活用したい各種助成金制度

大きな事故が一度起きてしまうと、社会からの信用も大きく崩れてしまいます。ドライバーの健康管理や安全状況を把握することは、事業者にとってはリスク管理の中でも最も重要視すべきことではないでしょうか。

そこで国土交通省や全日本トラック協会では、運行管理の高度化や安全運転管理、事故防止など、幅広くトラック事業者を支援するため、以下のような助成金制度を設けています。

【事故防止対策支援推進事業として、運行管理の高度化に対する支援】

国土交通大臣が認定した機器のデジタル式運行管理計(デジタコ)、ドライブレコーダー(ドラレコ)、両者一体型機器の経費に対する一部補助

2次募集は2017年10月2日〜11月30日まで、一般貸切旅客自動車運送事業者のみ。

3次募集は2017年12月15日〜2018年1月31日

補助の対象期間は2017年4月1日〜2018年1月31日までの間に補助の対象となる機器を購入し取り付けた上で支払いまで終了しているもののみ。申請の際は領収書の提出が必須です。また補助対象事業者あたりの上限金額は80万円。申し込みは最寄りの地方運輸局、運輸支局へ交付申請書兼実績報告書とデジタコ・ドラレコの算出基礎蔑視を提出します。

 

安全装置等導入促進による助成

助成対象機器は以下に掲げる装置ですが装着にあたっては、道路運送車両の保安基準に抵触しないことなどの条件があります。

・後方視野確認支援装置

・側方視野確認支援装置

・呼気吹き込みアルコールインターンロック

・IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器

全日本トラック協会による助成額は対象の機器一台につき1万円。

 

【安全運転教育の促進・強化】

トラックドライバー、安全運転管理者などの安全教育訓練の受講に対しての助成

今年度は2017年4月1日〜2018年3月31日まで実施。一般研修は一泊二日で1万円の助成額が支給されます。

安全教育訓練に要する時間やコストが負担となり不足している安全教育訓練の機会を促進させるために、全日本トラック協会はトラック事業者に対して助成を行っています。

 

トラックドライバーの睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニング検査実施による助成

トラックドライバーの睡眠の質を検査し、安全性向上と健康増進を高めるもので、健康保険適用外である第一次と第二次検査が対象になります。

助成額は第一次検査費用は一人あたり500円、第二次検査費用は一人あたり2,000円。同時に実施する場合は一人あたり2,500円。

運送業の労働法令違反はなんと8割にものぼる

2017年8月9日、トラックやバス、タクシーなど運送業の事業所を厚生労働省が立ち入り調査した結果、82.9%という割合で労働基準関係法令違反が認められました。監督指導を実施した事業場はトラック・バス・タクシー・ハイヤー・その他含む4,381事業場で、労働基準関係法令違反が認められたのは3,632事業場(82.9%)。また、改善基準告示違反が認められたのは2,699事業場(61.6%)でした。

主な労働基準関係法令違反事項は長時間労働が2,434カ所55.6%と最も多く、次いで残業代の支払いが滞るなど適切な支払いがされていないケースが956カ所で21.8%。主な改善基準告示違反事項では最大拘束時間(45.8%)、総拘束時間(38.4%)、休息期間(31.9%)でした。

さらにトラックでは監督実施事業場数3,105社のうち、労働基準関係法令違反事業場数が2,585事業場(83.3%)。主な違反事項では長時間労働が1,842事業場で59.3%、割増賃金が622事業場で20.0%。

労働基準関係法令違反事業場数は2015年が2,390事業場(85.9%)、2016年が2,585事業場(83.3%)、労働基準関係法令違反により送検した件数は2014年が40事業場、2015年が52事業場、2016年が54事業場と年々増加にあります。

なお、トラックの事例の中には、「運転者の就労実態は、日報とデジタルタコグラフに記録されていたが、拘束時間や休息期間などが集計・管理されていない」「監督署で集計したところ、1日の拘束時間が24時間となる日が2日間と続くなどのため、1カ月の拘束時間が最長400時間程度となっており、また、時間外・休日労働が月100時間を超える運転者が複数認められる」「賃金台帳に労働日数、労働時間などを記入していなかった」といったことが報告されています。

このような報告から、労働基準監督官が長時間労働を是正するよう指導を強めながら、トラックドライバーなどの労働環境改善を目的に、厚生労働省は国土交通省と連携して合同監督・監査の実施を進めており、2016年は前年比53%増の272カ所の事業所に対して行っています。

ドライバーの高度な安全管理で働き方を見直す

弊社が開発・提供しているクラウド車両管理サービス「DriveOps」では、GPSによる車両管理から細かな安全運転の支援までを丸ごとサポートするサービスです。

使い方も簡単なため、ドライバーの負担は0で安全管理を行います。クラウド型サービスで、取り入れやすい安価な価格も魅力です。もちろん荷待ち時間もしっかりトラッキングされていますので拘束時間や休息期間などが集計・管理されなかった、なんてことがありません。労働日数や労働時間記入の抜け漏れ防止にも役立ちます。

特に「急加速」「急ブレーキ」だけでなく、「急ハンドル」や車体にどのようなGがかかったかを可視化することまでできるため、かなり細かい運転診断が提供できるようになっているので、どのドライバーがどれくらい危険に運転しているか(目的地に急いで運転しているかなども)が可視化されるので、事故を起こしそうなドライバーをウォッチして本人にもアドバイスするなどして、会社全体としての事故削減施策に有効活用してもらうことも可能です。

日報の自動化や整備時期の管理なども含め、あらゆる車まわりの人的・車両的管理をクラウド上で一括管理できるようになっていますし、今後はドライブレコーダーの映像も取り込んで解析したり、外部のセンサで取得したようなデータも取り込んだりなど、他サービスとの連携も含めモビリティまわりのデータを一括管理し、高度な安全・業務・健康管理と効率化をサポートしていきます。

「働き方を見直す」ために、まずは現状のドライバーの運転・業務状況がどうなっているのか、健康管理は大丈夫なのかなど、状況を可視化するところから始めてみるのも良いのではないかと思います。ドライバーが毎日健全な状態で業務に就くことができ、会社としてもちゃんと事業も回していけるという良い稼働バランスをそれぞれの事業者が見つけ出していくことからも、物流業界全体の働き方改善を少しずつ進めていくことができるのではないでしょうか。

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