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最新カーナビのトレンドと機能比較

最近のカーナビゲーションシステム(以下カーナビ)は、ポータブル型のカーナビや、インターネットと接続することでより効果的なナビをしてくれるもの、さらにはカーナビに変わるスマートフォンアプリも登場してきたため、差別化と独自化のためにさまざまな工夫がなされているようです。
これまでのカーナビは機能については横並びで、ユーザーは値段やブランドの知名度から決める時代もありましたが、それはもはや過去の話。

本稿では最新カーナビの機能トレンドの紹介と、そのトレンドに合わせた商品の比較をしてみたいと思います。

最新カーナビのトレンドと機能比較

最新カーナビの機能のトレンドについて

カーナビ
Photo credit: raneko

大画面化

アメリカの電気自動車メーカー・テスラの「Model S」のセンターコンソールに据えられた巨大な17インチモニターは大きなインパクトを与えました。

カーナビも同様に大画面化が進んできています。これまでコンソールのオーディオ用コンパートメントに設置するインダッシュタイプのカーナビでは7インチサイズのモニターが限界とされていました。

しかし、その常識を打ち破ったのがアルパインの車種専用取り付けキットを含む8インチモニターモデル。その後、9インチ、10インチとサイズはどんどん大きくなっていきました。

他メーカーもこの大型化に追随していることもあり、モニターの大型化は一つの流れとなっています。

VICS WIDE対応、プローブ情報の活用

VICSという技術をご存知でしょうか?Vehicle Information and Communication System の略で、一般的に道路交通情報通信システムと言われている技術です。

VICSセンターの解説がわかりやすいので引用させて頂くと、具体的には『渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーションなどの車載機に文字・図形で表示する画期的な情報通信システム』を指します。

VICSは広域をカバーするFM多重放送によるものと、道路上の送信機から送信されるする電波ビーコン・光ビーコンを利用する物の2つがありましたが、FM多重放送は情報量が少なくカーナビのルート考慮に利用されてきませんでした。

ところがカーナビがVICS WIDE対応するようになると、オプションでビーコン受信機を購入しなくても渋滞考慮のルート設定が可能になります。

VICS WIDE対応かどうかは今後のカーナビ選びの一つの指標となるでしょう。

スマートフォン連携

古くは携帯電話、最近ではスマートフォンとの連携もカーナビ選びの指標の一つと言えるでしょう。最新のカーナビではスマートフォンの音楽を再生することや、目的地をスマートフォンで検索して、カーナビに転送するということなどは当たり前の技術といえます。

それに加えて、後ほど詳しく紹介しますが、このスマートフォンとのより密接な連携を可能とする技術を搭載したカーナビも発売されています。

ハイレゾ音源

インダッシュ型(詳しくは後述)のカーナビは、カーオーディオ用のスペースをカーナビに置き換えるため、カーナビにカーオーディオの機能を持たせるのが普通です。しかし、カーナビのオーディオの音質は、カーオーディオの音質を追求する人にとっては必ずしも満足のいくものではありませんでした。

カーオーディオの音質を追求してカーナビをあきらめるか、音質をあきらめてカーナビをとるか。オーディオにこだわりのあるユーザーにとっては悩ましい問題。

しかし、最近のカーナビのなかには音質や音源にこだわった製品も販売されています。

地図の無料更新

カーナビにとって地図情報は命です。地図の更新が全く行われなければ、買った当初は良くても、年を重ねるにつれて、どんどん現実の道路とカーナビの地図の乖離が大きくなってしまい、ナビとして十分とは言えません。

そんなことから最近は、カーナビの地図更新をリアルタイムに行う製品や、年数回の地図の更新を3年程度無料で更新するサービスを導入する製品が増えています。

車両管理・アルコールチェックの課題解決をSmartDrive Fleetがサポートいたします。以下から気軽にご相談ください。

オンダッシュナビとインダッシュナビの違いとは

カーナビの種類は大きく分けて、オンダッシュとインダッシュの二つに分かれます。オンダッシュは、ダッシュボード上に取り付け具を取り付けて、モニターを設置するタイプ。インダッシュは自動車のコンソールにあるオーディオ取り付けパネルを利用して取り付けるタイプです。

オンダッシュのカーナビは価格が安いので、カーナビ安く済ませたいニーズと、オーディオが共通規格のDINに対応していない場合によく利用されます。

しかし後付け感があること、スマートフォンのカーナビアプリの性能が向上していることから、製品を販売しているメーカーはそれほど多くありません。

カーナビ比較

オンダッシュ型の定番「 Gorilla(ゴリラ)」(パナソニック)

CN-G1000VD(オープン価格、実勢5万円)

大画面…×
VICS WIDE対応…○
スマートフォン連携…△
ハイレゾ音源…×
地図の無料更新…○(3年6回)

パナソニックのゴリラというブランドは、もともと三洋電機が販売していたポータブル型のカーナビシステムのブランドを、会社が統合した際にパナソニックが引き継いだものです。

ゴリラはオンダッシュ型のナビではメジャーなブランドの一つ。それは低価格でありながら、ナビシステムの基本的な機能を充実させているからです。

モニターの大きさはオンダッシュ型ということもあり、7インチと一般的なサイズに留まります。とはいえ、機能的な面ではゴリラは大変優秀です。例えばGPS以外の測位衛星に対応しており、自車位置の測位精度を上げています。(国産の測位衛星「みちびき」以外にも、ロシア版のGPSともいえる「グロナス」に対応)

オンダッシュ型やポータブル型のカーナビの弱点として車速信号が取れず、高架下やトンネル内の精度が落ちる問題に対しては、Gジャイロシステムを装備することで、GPS信号無しでも高い精度を保っています。

ルート検索の精度もなかなかです。VICS WIDEに対応している(CN-G1000VDのみ)ので、特別なオプション無しで渋滞考慮のルート案内をしてくれます。

地図の更新も年2回・3年間にわたって無料で対応してくれるので、購入後しばらくは地図の更新に悩まずに済むでしょう。

CN-G1000VDはタブレット端末のようなシルバーフレームの筐体がとてもお洒落に見えるので、見た目を重視される方にとっては必見です。

少し古くなった感が否めない?「楽ナビ」(パイオニア・カロッツェリア)

AVIC-MRP770(オープン価格、実勢4万2千円)

大画面…×
VICS WIDE対応…×
スマートフォン連携…×
ハイレゾ音源…×
地図の無料更新…×

オンダッシュのカーナビでパナソニックのゴリラとよく比較されるのがカロッツェリアの楽ナビです。(カロッツェリアはパイオニアのカーナビ・カーAVブランド)

カロッツェリアの楽ナビの特徴は、画面に手をかざしてカーナビの操作を行う事ができる「エアージェスチャー」を採用したところにあるます。

しかし、その他ではゴリラに比べると、測位衛星では「みちびき」にも「グロナス」にも対応していませんし、VICS WIDEや地図の無料更新もありません。

販売価格と地図の更新の料金を計算すると、本体はゴリラより楽ナビの方が安いのですが、3年分の地図更新などの費用を考えると立場は逆転しゴリラが優勢になります。

しかし、楽ナビにオプションの通信ユニットを追加すると、カロッツェリア独自のプローブ情報を利用した渋滞回避のルート案内が可能になる点は、ゴリラよりも魅力的といえるでしょう。

地図デザイン一新、10インチモデルも。「サイバーナビ」(カロッツェリア)

ACIC-CL900-M(オープン価格、実勢24万円)2016年9月発売予定

大画面…○
VICS WIDE対応…○
スマートフォン連携…×
ハイレゾ音源…△
地図の無料更新…○3年間

カロッツェリアのフラッグシップモデル。それが「サイバーナビ」です。

サイバーナビは、カーナビの中でもかなり高価な部類に入りますが、そのフルスペックと言っても良い性能ゆえに、コアなファンが多いと言われています。

2016年モデルのサイバーナビは、車種別設計の10インチのモニターをラインナップに設定したことがトピックです。これまでは車種別の専用取り付けキットを利用した大画面モニターの設置は、アルパインの独壇場であり、大画面モニターが欲しくて、アルパインを選択しなければならなかったサイバーナビファンにとっては朗報でしょう。

もう一つの特色は、地図デザインの変更です。これまでのカロッツェリアの地図のデザインを更にシンプルにそして色調を多くすることによって見やすくした地図デザインに変わっています。

この地図デザインは、今後、楽ナビにも転用されていくと思われますが、すっきりとして見やすい地図はとても好感が持てます。

その他には自車位置の精度についても「みちびき」「グロナス」に対応し、6軸のGセンサーと新型のプロセッサーで、これまででも「走っている車線単位で自車位置を認識できる」といわれていた測位精度に磨きをかけています。

ルート案内もVICS WIDE対応はもちろんのこと、通信ユニットを利用して独自のプローブ情報からサーバ上で最適なルート設定を行う「スーパールート検索」も登載しています。

スマートフォン連携は、スマートフォンの音楽を流せる機能はもちろん、リモコンアプリで後席からナビを操作できるなどの一般的な連携機能を備えています。

音質面でも抜かりはなく「高性能48 bitデュアルコアDSP」などの高級パーツを使って、フラッグシップらしく高音質も保障しています。

新しい取り付け方法の大画面モニター「Strada(ストラーダ)」(パナソニック)

CN-F1D(オープン価格、実勢14万円)

大画面…○
VICS WIDE対応…○
スマートフォン連携…○
ハイレゾ音源…○
地図の無料更新…△全更新3年間に1回、部分更新年6回×3年

パナソニックのストラーダは、インダッシュ型の9インチモデルです。これまでの常識では、インダッシュで9型モニターの取り付けには、車種専用取り付けキットが必要でした。そのため、取り付け可能な車種は限定されるというのが、一般的だったのです。

しかし、ストラーダはモニターをコンソールから飛び出させることにより、9インチモニターの取り付けを実現しました。この方法であれば、コンソールを触らずに済むので、取り付け可能な車種を限定せずに多くの車種に対応できるのがメリットです。しかも、コンソールよりも画面が手前にくるために、通常の9インチモニターよりも更に大きく感じられると言うメリットもあります。

ストラーダは日本初の「Android Auto」に対応した市販のカーナビです。Googleの音声検索を使うことも、カーナビで目的地を指定することもできます。

AV面では、市販カーナビで唯一ブルーレイディスクの再生に対応。ブルーレイを再生するための高詳細モニター、そして音源を忠実に再現するハイレゾ対応の「ストラーダ・サウンドエンジン」を採用するなど抜かりはありません。

デザインもこれまでの市販カーナビメーカーの製品のように、製品名やメーカーのロゴをモニター前面に設置しないこだわりぶりです。

このように、普及機の価格でフラッグシップ機並の機能や性能を持っている新型ストラーダはパナソニックの力作ぶりがはっきり分かる製品になっている、といえるのではないでしょうか。

7型から11型まで全て車種専用設計 「BIGX」(アルパイン)

大画面…○
VICS WIDE対応…×
スマートフォン連携…△
ハイレゾ音源…×
地図の無料更新…×

アルパインのBIGXシリーズは、全てが車種専用設計です。取り付け可能な車種は限られますが、11インチの大画面モニターが与えるモニターの大きさのインパクトは、とてつもないものです。

そしてコンソールをほぼ入れ替えるような専用の取り付けキットのおかげで、「純正でこの状態です」といわれても分からないような仕上がりになっています。

車種専用設計の設定がされているのでナビ起動時には車のシルエットが表示されますし、ナビには車の高さや幅が登録済みなので、通れない場所を案内されることはありません。オーディオの調整も車種に合わせて設定済み、バックカメラも車種に合わせたガイドラインが表示されるなど、至れり尽くせりです。

アルパインは他のメーカーと異なり、特定の車種にターゲットを絞って商品を展開しています。車種を絞らずにたくさん売れるよりもターゲットとなる顧客を車種で絞っていることが新しいカーナビの売り方といえます。

まとめ

Gorill楽ナビサイバーナビStradaBIGX
機種名CN-G1000VDAVIC-MRP770ACIC-CL900-MCN-F1DEX11V-AL-B
大画面××
VICS WIDE対応××
スマートフォン連携××
ハイレゾ音源×××
地図の無料更新××

各メーカーはそれぞれ知恵を絞ってそれぞれの考え方でカーナビを開発しています。できるだけ多くの車種に大画面のモニターを取り付けられるようにしたパナソニック。車種専用設計であるがゆえの細かい気配りができるようになったアルパイン。この2社だけを見ても、全く逆の戦略をとっているところが興味深いところです。

各メーカーは今後も自社の特徴を打ち出したカーナビの開発を続けると思われます。どんな趣向を凝らしたカーナビが各社から発売されるか、目が離せません。

また今回は紹介できませんでしたが、本文で少し触れたように、ここ最近スマートフォンのカーナビアプリの性能がかなり向上してきています。カーナビアプリの紹介・比較についても別途記事にする予定ですので、こちらもお楽しみに。

筆者紹介

株式会社スマートドライブ
編集部

株式会社スマートドライブ編集部です。安全運転・車両管理・法令遵守についてわかりやすく解説します。株式会社スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をコーポレートビジョンに掲げ、移動にまつわるモビリティサービスを提供しています。SmartDrive Fleetは、1,300社以上への導入実績があり、車両に関わる業務の改善や安全運転の推進などに役立てられています。また、東京証券取引所グロース市場に上場しています。

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