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コロナ対策に有効か、否かーー社員のマイカー通勤で気をつけるべきこととは

クラスター発生のリスクを低減するために「密閉空間」「密集場所」「密接場面」、これらの密を避けましょう。これは新型コロナウイルス対策として厚生労働省が掲げているものです。この状態を避けるべく、各企業においても日頃から満員となる電車やバス、公共機関の利用ではなく、マイカー通勤を推奨するケースが増えています。しかし、マイカー通勤には別のリスクが潜んでいるようで…。

コロナ対策に有効か、否かーー社員のマイカー通勤で気をつけるべきこととは

新型コロナウイルス対策でマイカー通勤を導入した事例

厚生労働省によると、新型コロナウイルスの感染は飛沫感染や接触感染によって起きる確率が高いと言われています。そのため、新型コロナウイルス感染者が電車やバスなどの公共交通機関を利用していると、会話や咳、くしゃみなどによる飛沫感染、またはつり革や手すりに触れることによる接触感染のリスクが一気に高まるのです。これらのリスクを軽減するために、通勤ラッシュを回避した時差通勤やマイカー通勤を推奨する企業も増えています。
しかし、都心部は交通インフラが整っているため、マイカーを所有していない人も少なくありません。このような状況を考慮し、カーシェアを展開する企業も破格でサービスを提供するなど、車での通勤を支援するキャンペーンを開始しています。会社としては従業員の安全を守ることが第一。企業ではどのような対策が取られているのでしょうか。

マナラ化粧品―感染拡大を考慮し、テレワーク、時差出勤、マイカー通勤、カーシェア通勤などの対策を実施

基本はテレワークとするものの、やむを得ず出勤しなくてはならない従業員への対応策として、時差出勤、バス、電車通勤での密閉空間を回避するため、マイカー、自転車通勤、レンタカー、カーシェアでの通勤を許可しています。車の場合は、駐車場代、ガソリン代1000円/日を支給(超える場合は実費精算)、自転車は駐輪代、レンタカー、カーシェアの場合も経費を全額支給します。

新日本コーポレーション―公共交通機関による通勤を禁止

名古屋で消防設備点検を行う新日本コーポレーショーン株式会社では、公共交通機関による通勤を禁止し、社用車での乗り合わせ通勤を実施。

サイバーリンク―公共交通機関を避ける時差出勤とマイカー通勤推奨

流通業向けクラウドサービスを展開するサイバーリンクでも、通勤ラッシュを回避するため、時差出勤やマイカー通勤を推奨しています。

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このように、新型コロナウイルス対策としてマイカー通勤を推奨しているケースが増えていますが、一方で、安全なマイカー通勤を進めるためには企業としてもいくつか整備しておくことがあります。

マイカー通勤を導入する前に気をつけるべきこと

企業がマイカー通勤を導入するには、次の2点を明確にする必要があります。・ガソリンや駐車場代、維持費などの経費計上をどうするか
・万が一、マイカーで交通事故が発生した時の会社の責任やフォロー体制

経費の処理範囲を明確にする

マイカーであれば、買い物をするため帰宅ルートの途中でスーパーやコンビニに寄る、会社の行きや帰りに送り迎えをするなど、通勤以外の用途にも利用することが考えられます。そのため、正確なガソリン代を把握するのは難しいもの。ひと月に何割を支給するのか、走行距離でガソリン代を決めるのか、自己申告にするのかなど、ルールを明確に決めましょう。また、駐車場など、ガソリン代の他にどこまで会社が負担するかも明示してください。
国税庁のホームページでは、マイカー・自転車通勤者の通勤手当について、非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さです。)に応じて、次のように定められています。1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当を支給する場合、超過した分の金額が給与として課税されます。この超える部分の金額は、通勤手当を支給した月の給与の額に上乗せして所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行います。

出典:国税庁

もしもマイカーでの通勤時に交通事故が起きたら?会社の責任を考える

“新型コロナウイルス対策”としては公共交通機関よりもマイカー利用の方が安心かもしれません。しかし、自動車の運転には常にリスクがつきものです。万が一、通勤中に人身損害を与える事故を起こしてしまったら、会社としてはどのような責任を負わなくてはならないのでしょうか。この場合、社員がマイカー通勤の途上において交通事故(加害事故)を起こした場合の会社の責任は、「使用者責任(民法715条)」と「運行供用者責任(自動車損害賠償保険法3条)」が関係します。

【使用者責任(民法715条)】
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

つまり、「業務上で車を使用していた場合は、会社が相当の注意をしていた場合を除き、会社が事故の責任を負う」ことになります。

【運行供用者責任(自動車損害賠償保険法3条)】
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。

「運転の目的が業務外」であれば本人(運転者)が、「業務上」であれば会社がそれぞれ責任を負うと記されています。

会社がマイカー通勤を認めていた事例で、使用者責任や運行供用者責任が認められた判例には、会社がマイカー通勤を認め、通勤手当を支給していたため「会社の通勤は業務に密接に関連する」と判断され、使用者責任を認めたケースがあります(福岡地裁 平成10年8月5日)。
つまり、マイカー通勤中の事故に対して、業務か業務に密接に関連すると判断されて場合、企業責任を問われる可能性が高いということです。加入している保険で損害を補填することができるのか、できないのか、それによって責任の有無が変わってきますので、マイカー通勤を認める場合は、必ずどのような自動車保険や損害保険に入っているかを確認しましょう。

安心・安全なマイカー通勤を推奨するには

無事、マイカー通勤のルールが整ったとしても、一斉にマイカー通勤が増えたことで近辺での渋滞が発生し、近隣住人からクレームがくることも考えられます。また、従業員が渋滞にまきこまれた場合、運転中のながら運転は罰則が厳しくなったため、連絡が取れずに、今、どこにいるかわからないというケースも考えられるでしょう。マイカー通勤ひとつとっても、さまざまな課題やリスクが潜んでいますが、そんな時に活躍するのが車両管理システムです。

マイカー通勤で車両管理システムを活用するメリット

渋滞や迷惑駐車が出ないよう、リアルタイムの車両と従業員の位置を把握できる

管理者側はリアルタイムでの位置情報が把握できるため、クレームが来る前に近隣の渋滞を緩和し、適切な車の流れを作ることができます。また、従業員が今、どこにいるのかがわかるため、安否確認ができ、安全な走行を促すことも可能です。

危険運転を防止!未然に事故を防ぐ

今回、急にマイカー通勤になったため、数年ぶりの運転だ、という人もいるかもしれません。今までペーパードライバーだった人は特に危険な運転をしがちです。逆に、運転に慣れているからと、無自覚で危険運転をしている従業員がいることも考えられるでしょう。

いずれの場合も交通事故のリスクは高まりますので、事前に運転スキルを把握したり、適切な安全運転指導をしたり、安全運転への意識を高める教育が必要です。スマートドライブの車両管理システムは高精度な運転診断機能を搭載しているため、急加速・急減速など急操作がどこでどれだけ発生したか、各々のドライバーの運転の癖を可視化します。危険な運転が多い箇所は迂回させる、急操作が多い社員には注意を促すなど、適切な指導が行えるのがメリットです。

移動時間、移動距離、ガソリン代…利用状況がわかることで適正化が可能に!

申請されたガソリン代などの経費が適切かを判断するためにも車両管理システムが利用できます。通勤だけでなく、商談もマイカーを使って移動する場合は、移動時間、走行距離を全て把握するのが難しいかもしれません。しかし、車両管理システムは従業員がいつ、どのルートで移動をしたのかが可視化できるため、経費を適正化する際のエビデンスとして活用できるのです。

安全を守りつつ、コストの適正化をはかる。そのために車両管理システムを活用してみてはいかがでしょうか。

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