第二転換期に突入した保険業界がぶつかる壁、そして目指すべき場所とは。

第二転換期に突入した保険業界がぶつかる壁、そして目指すべき場所とは。

自動車の機能性・安全性は日々向上し、運転支援技術が満載の新型モデルも数多く登場、モータリゼーションの進行と多様化は年々加速度を増しています。そして、テクノロジー発展の波は自動車保険業界にも押し寄せており、その最たるものが「テレマティクス保険」です。

今回は、次世代型自動車保険として注目度が上がっているテレマティクス保険の話に触れつつ、現時点における保険業界の動向や課題について解説します。

なお、テレマティクス保険には大きく走行距離連動型(PAYD)と、運転行動連動型(PHYD)の2種類がありますが、今記事ではより先進的である後者について触れる内容になっています。

テレマティクスとは、「テレコミュニケーション(通信)」+「インフォマティクス(情報工学)」の造語であり、自動車などの移動体に通信システムを搭載することで、さまざまな情報を送受信できるサービス、また、それによって何らかのサービスを提供することの総称です。

現時点では、カーナビを通じて渋滞情報や天気予報などを提供するという、一方通行的な利用方法が中心ですが、1994年に設立された「VERTIS(現・ITS Japan)」によって、高速道路並びに一般道における安全運転支援システム、公共車両優先システム、交通需要マネジメントなどのシステム構築や、交通インフラの最適化に寄与すると期待されており、一部ではすでに導入・運用がスタートしています。また、自動車がまるでスマートフォンのように、常時通信端末としてインターネット接続するコネクテッドカーも、テレマティクスの1つの形です。

そして、車両に取り付けた通信デバイスによって、走行距離やドライバーの運転特性データなどを収集・分析し、結果に応じて決定された「個別リスク」から保険料を算出するのが、世界で市場が拡大しつつある「テレマティクス保険」です。テレマティクス保険の先進国は、アメリカやイギリスなどの欧米諸国で、2016年時点でアメリカでは約500万人が、イギリスでは約50万人がすでに加入しています。テレマティクス保険の有益性や公平性は大きく評価され、加入者は年々増加しています。

実感はないけど・・テレマティクス保険は日本でも普及されている?

通常の自動車保険では、次の要素によってあらかじめ保険料の大半が決定し、その後「保険等級」による割引が適用されることになっています。

  • 補償金額・内容
  • ドライバーの年
  • 年間走行距離
  • ゴールド免許の有無
  • 車両の用途

そのため、極端な話をすれば同じ加入条件・保険等級の場合、普段から急ブレーキや急加速などの操作をせず安全運転を心がけていても、周囲への配慮が足りない乱暴で危険な運転をしても、事故さえ起こさなければ保険料の変動はありません。

一方、テレマティクス保険は、一定期間における走行データを解析した結果「事故リスクが高い」と判断されれば保険料が上がり、反対に「事故リスクが低い」と評価されれば、保険料が安くなるシステムになっているため、従来の保険の不公平さを緩和するというのが最大のメリットです。非常に合理的なシステムなので、メリットが明確でわかりやすく、受け入れてもらいやすいのかもしれません。また、テレマティクス保険の導入によって加入者の安全運転意識が高まり、結果として重大事故が減少傾向を見せれば、保険会社としても支払保険料削減による、利益率向上を目指すこともできるのです。

特に、複数車両保有する企業からすれば、車両運用コストにおいて大きなウェイトを占める保険料を削減できるうえ、リアルタイムでの動態管理まで可能なテレマティクス保険は、非常に有益性の高いものになってきます。そして、何より入り口は経済的要因だとしても、テレマティクス保険が普及・浸透していけば、乱暴な運転を起因とする事故の抑止力になり得る、社会的なプラス要素も大いに期待されています。

テレマティクス普及の壁

テレマティクス保険では、搭載した通信モバイルから発信される加入車の位置情報を、保険会社がリアルタイムで共有することができます。これは、利用者の視点でいうと、否応なく今・どこにいるのかという情報が筒抜けになってしまうということです。

そのため、今後さらなる普及を見込む場合、一部では「不特定多数に現在位置を知られたくない」と考えるユーザーもいます。テレマティクス保険は利用者と保険業、どちらにとっても魅力的なサービスですが、国土交通省でも「個人情報保護制度の見直し、個別の取扱い方針等を検討すべきである」と述べています。個人情報漏洩のニュースで消費者も個人情報取扱に関しては非常にセンシティブになっているため、効果やメリット、安全性やセキュアな面についてしっかりと訴えることができなければ普及の拡大は難しいかもしれません。

保険業界の現況と将来を見据えた課題

導入によるメリットの大きいテレマティクス保険ですが、欧米諸国と比較すると日本国内での普及スピードは遅いと言わざるを得ません。これは、国内保険業界の閉鎖的な体質が大きく影響していることが考えられます。

保険企業界では、自動車保険の第1転換期といえる1990年代後半のダイレクト型自動車保険参入時、長らく独占的な立場を保護されていた国内損保各社は軒並み対応が遅れ、外資系にかなり食い込まれるという苦い経験をしました。ウェブやスマホ対応など、デジタル化へのシフトが一歩出遅れたことも理由のひとつとして考えられるでしょう。そして今、稼ぎ手であり消費の担い手でもある生産年齢人口(15歳から64歳の人口)の大幅な減少で、経済活動の鈍化や国際競争力の低下が危惧される、「2030年問題」が目前に迫りつつあります。つまり、保険業界は「第2の転換期」を迎えようとしているのです。

生産年齢人口は、そのまま自動車保険の主なユーザーにもなるため、国民の3割が65歳以上の「超・超高齢化社会」となる2030年に向かって、保険市場のさらなるレッドオーシャン化が進行すると予測されます。そうなれば、国内外でのユーザー獲得競争が激化の一途をたどることとなりますが、ユーザーが求めるサービスが提供できず、さらには国際競争力を維持・向上できない損保会社は、自然淘汰を余儀なくされるかもしれません。

そこでまず、自動車保険業界が取り組むべきことは、ネットの普及やITモバイルの進歩に伴い、ユーザーが欲しい情報を欲しい時に受け取れること、合理性への意識が高まるユーザーニーズや購入スタンスの変化を加味した柔軟な保険商品やサービスを提供すること—つまり、マルチボーダレスへの順応です。最近では異業種からの保険業界新規参入も珍しくなくなってきました。

特にITに強い企業は、顧客の基本情報から行動、趣味・嗜好などのデータを取得・分析し、ニーズを理解した保険サービスを提供しやすくなります。つまり、同じ業界だけが競合ではなく、別軸で強みを持つ業種が一気に顧客の心を奪っていくという、予想だにしなかったことが簡単に起こり得るということです。大手ECサイトで知られる楽天が保険業界へ参入したことも、その傾向の一つと言えるでしょう。

過去にダイレクト型自動車保険の参入で手痛い経験をしたことを考えると、AIやIoTなどを導入し、データをフル活用した商品や国内外で利用できるグローバルな保険商品の提案、あらゆる購買行動に対応できるシステムを構築することがカギとなるでしょう。データがもたらすのは、「誰もが同じ商品を」ではなく、顧客一人ひとりにあった「パーソナライズされた」商品を提供するのが当たり前となる未来です。テレマティクスはその先駆けになったと言えるのではないでしょうか。

また、2030年の世界では現在よりさらにHV・EV車の普及が進み、燃料もガソリン・軽油から水素エネルギーへの転換されるようになるなど、リスクのトランスミューテーション(変容)が激しさを増すことも予想されます。そこに、車や関連インフラのIT化という新要素が加わるため、加入条件や走行距離だけで保険料を導き出す「Pay As You Drive」では、目まぐるしく変容するリスクを正確に判断することがより困難になっていくでしょう。つまり、リアルタイムに動態監視を行い、取得した情報を分析、導き出した事故リスクを保険料に反映する「Pay As You Live」へ対応していかなければ、保険会社として生き残っていけない時代が、もうすぐそこまで迫っているのです。

保険業界が第2転換期を乗り越えるには

保険業界でなくとも、トレンドの移り変わりが激しい現代。今後日本国内でもテレマティクス保険が一般化されれば、次の転換期に向けてユーザーの行動や傾向を理解し、次の商品を打ち出せる準備をしておかなくては変化の波にのまれてしまうかもしれません。

そのためには現状の課題を見える化し、データとして分析することが近道です。前半でご紹介したテレマティクスでは、保険業界だけでなくともさまざまな業界で幅広く取り入れられ、数々の成功事例も上がっています。

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