介護事業所の不正請求はITのチカラで解決できる?

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2015年、介護保険を請求した336,602の事業所(総数)のうち、指定取消・効力の停止処分となった施設や事業所数は227件にのぼり、過去最高を記録しました。

介護保険施設及び事業所は高齢者の尊厳を支えるケアの継続的なサービスを提供するなど、非常に重要な社会的役割を担っています。しかし、近年、介護サービス事業所の増加やサービス提供方法が多様化している一方で、不正請求や虚偽報告などにより処分を受ける事業所も増加しているようです。

超高齢化社会に突入し、介護施設や事業所は今後の私たちの生活にはますます必要不可欠なものになってきました。つまり、介護事業者が停止処分になってしまうと、困るのは事業者だけでなく、私たちでもあるということです。それでは、今後、一体どのような手段で問題を解決していくべきなのでしょうか。

介護業界の現状、不正請求はなぜ起こる?

介護保険制度は、日本が超高齢化社会に突入して被介護者の介護を家族のみで支えることが難しくなってきたことから、介護を必要とする人が適切なサービスを受けられるようにと2000年か4月に施行された制度です。介護保険は身の回りのお世話をするだけではなく、被介護者の自立をサポートする「自立支援」、被介護者本人が自由に選択することで介護サービスを総合的に受けられる「利用者本位」、納めた保険料に応じてサービスや給付金を受ける「社会保険方式」、この3つの大きな柱から成り立っています。

介護保険は40歳以上の国民全員が納めた保険料と、国や市区町村の公費(=税金)を1:1の比率で合わせて運営されています。上記の図を見ると、公費(税金)を分解すると都道府県が12.5%、市区町村が12.5%をそれぞれの税収から負担していることが改めてご理解いただけるかもしれません。

2000年から2015年までで、介護保険の指定取消および効力の停止処分にあった施設・事業所数は合計で1,944事業所でした。不正請求がこんなにも多く発生してしまう理由はどこにあるのでしょうか−−?

厚生労働省が発表した介護業界における有効求人倍率は3.46倍と全職種の平均1.31倍を大きく上回り、慢性的な人手不足が続いています。それに加え、団塊世代が75歳以上になる2025年ごろには、介護従事者が約38万人も不足すると言われています。業界としても人材確保に力を入れていますが、体力・精神力ともに高負荷で給料が安いというネガティブなイメージを持つ人が多く、なかなか解決への道は遠いようです。

そもそも、介護は介護保険法が施行される前は医療分野に属していました。高齢者が増え医療費がかさむことから介護と医療が切り分けられたこともあり、介護報酬は医療報酬よりも低い額が設定されています。
今後さらに要介護者が増えていきますが、それとともに介護サービス利用者1人あたりの売り上げ(国が決める介護報酬)は減額していきます。そうなると事業者の利益も徐々に減っていくことが簡単に予想されることでしょう。

※介護報酬:介護保険制度で介護サービス事業者や施設が、利用者にサービスを提供した場合、その対価として事業者に支払われる報酬、介護サービスの値段

つまり、介護事業者が安定した運営を行うためには、少ない人数でも利益を向上のために生産性を上げる仕組みを作ったり、本業以外のサービスを始めるなど、早急に施策を考えなくてはなりません。

介護職は体の不自由や人や高齢者の生活に寄り添い、心身共にサポートをするお仕事です。国全体が働き方改革を掲げているとはいえ、介護業界の人材不足や各事業所における経営問題はすぐに解決できるものではないため、国の財源に頼らざる得ない部分があるのが現状です。

こういった理由も介護施設や事業者の不正請求や虚偽報告が後を絶たない一因なのではないでしょうか。

不正・虚偽による処分で経営が困難に

介護の需要は増加しているものの、介護報酬のマイナス改定などの影響を受けて事業者の経営の悪化や倒産が相次いでいます。2017年度は「老人福祉・介護事業」の倒産件数が前年比2.7%増の111件でした。この数字は6年連続前年を上回る結果となり、介護保険法が施行された2000年以降で最多の件数です。

処分程度としては指定取消が最も厳しく、次いで効力の全部停止、効力の一部停止の順になります。介護事業所の指定取り消しとは、文字通りに介護保険施設として指定が取り消されてしまい、介護報酬が一切請求できなくなること。さらに全部取り消しとなると、一定期間、介護保険に関する権利の全部を行使できなくなります。こうした指定取り消しや効力停止処分を受けてしまうと、事業所は運営が難しくなり、実質的な倒産へと向かってしまうのです。

2015年は227件中「指定取消」が119件でした。指定取消は複数の事案が重なった処分であることから、不正をしている事業者がいかに多いかがおわかりになるのではないでしょうか。従業員が不正確な申告をして、実際には訪問していないにも関わらず訪問介護報酬を請求していた事実がわかってしまうと、3カ月間の業務停止命令を受けるなどの処分を受けなくてはなりませんが、業務停止を受けると実質的な売り上げが立たず、経営の継続は難しくなります。

こうした指定取消の事由で多いのは「不正請求」「虚偽報告」「運営基準違反」の3つですが、これら全てに該当する事業者も少なくはありません。以下のような事例はいくつもあります。

対象事業者
東京都八王子市の訪問介護事業所
指定訪問事業所、指定介護予防訪問介護事業所及び指定第一号訪問事業所の指定の取消

処分理由
(1)人員基準違反
事業所の開設以来、常勤、非常勤問わずサービス提供責任者が未配置だった。
(2)不正請求
指定訪問介護サービスの提供をしていなかった日、121日間、延べ139回について架空のサービス提供記録を作成、介護報酬を不正に請求していた。また、訪問介護員などの要件を満たさない無資格者により訪問介護サービスを行った延べ197回を、介護予防訪問介護サービスを行ったとして介護報酬を不正に請求し、受領していた。
(3)虚偽報告
市の監査において、サービス実施記録にあった訪問介護員の名前を、監査中に管理者の指示のもと、サービスの提供をしていない訪問介護員の名前に書き換えてサービス実施記録を提出した。
(4)不正の手段による指定申請
事業所開設にあたり、当時の指定権者である東京都へ提出した指定申請書類に他の事業所で非常勤の介護職員として勤務している者の名前を、常勤のサービス提供責任者として使用し、 不正の手段による指定申請を行った。
(5)サービスに関し不正、または著しく不当な行為
常勤のサービス提供責任者として雇用していない者の名前を常勤のサービス提供者として使用し、届出を提出した。
(6)法令違反
(1)から(5)の通り、不正、虚偽が行われていた。

指定取消に伴う返還予定額
45,769,645円(八王子市のみ、加算額含む)

上記の事例のように4千万以上もの金額を返還となると、事業の立て直しは容易にはいかなくなるでしょう。このように複数の違反が重なると悪質性が高いと認められ、重たい処分を受けることになります。しかしながら、監査以外や内部告発以外ではこうした事実がなかなか表沙汰になることがないため、介護業界の不正はなかなかわかりにくいものとなっているのです。

不正を解決するにはIT化が必須

政府は「介護離職ゼロ」達成を目指して慢性的な人手不足となっている介護人材を確保するために、2018年度の介護報酬を0.54%引き上げることを決定しました。介護報酬の引き上げによって事業者の収入が増えるため介護職員の待遇改善にもつながる可能性がある一方で、税金や利用者の自己負担、40歳以上が支払う保険料の国民負担も増すことになります。通所介護での事業規模やサービス提供時間に応じた基本報酬の細分化など「給付適正化」も進められる方向ですが、これだけでは介護保険の指定取消や効力の停止を一度に食い止めることは難しいでしょう。

介護施設や事業所のニーズは今後もますます増加していく見込みですが、人材不足を補うためにIT化が急を要してます。IT化が積極的に進めば業務の効率化や細かな抜け漏れを防ぐこともできますが、現状としては介護業界で働く世代が全体的に幅広くITツールへの知識が高いとはいえないため、他業界と比べて導入は遅れているようです。介護業務は利用者のケアを行うたびに記録に残すことが求められますが、紙だと他者への共有が遅れたりどこかで紛失する可能性も。さらに、こうした細かな事務作業が積み重なると残業も発生してしまいます。

特に今回違反が最も多かった訪問介護、通所介護など車両を利用する事業所の場合、管理が行き届かない中での事故や行方不明となった事例も報告されているため、「誰が」「どの車両で」「いつ」「どこに」移動したかという管理や、訪問ルートの最適化も必要となるでしょう。つまり、業務量削減や負荷軽減のために業務全体の根本的な見直しが必要となっているのです。

まずは1日の業務を見直すために、見える化することからはじめてみてはいかがでしょうか。

本メディア運営会社であるスマートドライブが提供するクラウド車両管理サービス「DriveOps」は、シガーソケットにデバイスを挿入するだけでリアルタイムに訪問車両の走行状況を把握したり、車両ごとの運転日報の作成が容易に行うことができます。日帰りで訪問するデイサービス、短期間の施設入所のショートステイなど、多様化する介護施設や事業所では送迎車両は必要不可欠な存在。しかし、人手が足りないからと業務を詰め込み安全運転が損なわれてしまうと、事故の元になりかねません。車両が交通事故を起こしてしまえば、その内容によっては事業所の社会的信頼の低下も招いてしまいます。

これまで各スタッフの報告に任せきりだったところにITを導入することで、訪問ルートは適正だったのか、申告された訪問履歴に虚偽がないか事実確認も、自動計測されたデータで照合できるようになりますし、蓄積されたデータを業務改善につなげるなど、人手不足が続く環境下では効率化とリスク管理は事業存続の鍵となります。

監査が入った時や介護保険の請求時に、在籍するスタッフ一人ひとりの訪問実態の記録を正式なエビデンスとして提出すれば、不正や虚偽がないことを証明でき事業所の経営リスクも低減することでしょう。また、デイサービスの送迎バスに導入すれば、安全な運行で移動しているかやリアルタイムでの位置情報がわかるため、利用者の家族の方も安心して介護サービスの依頼ができるのではないでしょうか。

介護は対人援助サービスだからこそ信頼が非常に大切であり、ITによる誠実なデータの透明化は今後の事業所運営に大きな助けとなる可能性を秘めているのではないかでしょうか。

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