【稟議書の必要性と書き方のコツ】車両管理システム導入時の社内処理の進め方 – その1

【稟議書の必要性と書き方のコツ】車両管理システム導入時の社内処理の進め方 – その1

会社の利益に繋がりそうな素晴らしいアイデアを思いついたり、業務改善に役立ちそうな商品やシステがあったりしても、上層部から承認を得ないことには、せっかくのアイデアを実現することもシステムの導入もできません。そんな時に作成し、提出するのが稟議書です。部署や役職によっては作成する機会が多くはありませんし、だからと言っていまさら社内の誰かには聞けないと思っている方は意外に多いのではないでしょうか。

そこで今回は、そもそも稟議書とは何か解説し、スムーズに決裁を受けられる稟議書作成のポイントを分かりやすくまとめました。ぜひ、稟議書を作成する際にご参考いただければと思います。

そもそも稟議書とは何か

「稟議(りんぎ)」とは、官公庁や会社などで導入したい新事項が発生した際、主管する者が「決定案」を作成し関係各所へ伺いを立て、承認を求める社内処理を示すビジネス用語であり、そうした内容が記された書類のことを「稟議書」と呼びます。稟議書は物品の購入や外部との契約など、日常的な業務に関する承認を複数の決定権者による捺印で得る書類です。

決裁書との違い

稟議とよく混同してしまう社内処理に決裁がありますが、部下が提出した案の採否を決定権者が決め、許可・初認した場合は捺印するという点では全く同じものです。そして、それに伴い作成する書類が「決裁書」。決裁書は、権限のある役職者に「直接承認」してもらうため作成する書類であり、組織にとって素早く重要事項を決める際に利用されるものです。

ただし、「決裁を仰ぐ・下す」という言葉があるように、決裁書は権限を持つ上司の独断で採否が決まることが多いため、上司のタイプに応じて書類構成を考えられる半面、普段の人間関係が提案の承認に影響する可能性もあります。一方、「稟議書」はあくまで会議を簡略化する書類であるため、基本的に複数の上司・役員から承認を受ける必要があります。合議制による意思決定が重視されている国内の組織では、権力の集中や乱用を生みかねない単独決裁ではない稟議を採用することが多く、官公庁や大企業では特に多用されています。

決裁書と稟議書の特徴まとめ

決裁書:スピードが速い。決裁者の上司に応じて構成を考えられる。

稟議書:時間がかかる。各関係者を説得できるようなデータが必要となる。

【意思決定を除く稟議の機能】

 

  1. 時間の無駄と手間が省ける・・・複数の部署長の承認が必要なときでも、稟議書を回覧させれば会議を開く必要がないことこそ最大の利点です。また、稟議書をペーパーレス化したうえで、承認(書面の場合は捺印)を電子化する事により、遠隔地にいる決定権者からの承認をスピーディに行うことも可能。
  2. 情報の共有・・・稟議書に提案目的や理由、金額と費用対効果、優れている点などがひと目でわかるように記載されていれば、通過後速やかに関連部署が連携し案件を推し進められます。また、部署長の承認範囲を細かく設定することにより、その範囲で自己裁量による事案の進行も可能で、電子化していればさらに効率アップ。
  3. 新たな意見付与・・・一方通行である決裁と異なり、稟議では関連部署それぞれの見地による改善ポイントや、代替案などが付与されていくため、より組織のためになる提案にグレードアップします。

どんなシーンで稟議書が必要?

稟議書を作成し、関係各所に回すシーンは主に以下の3つですが、いずれも期首の段階である程度の予算が決定しているため、予算の範囲であり後述するポイントを抑えることができれば、承認をスムーズに得られるはずです。

①外部や他社と契約を結ぶとき「契約稟議」
②備品などを購入するとき「購買稟議」
③新しい社員を採用するとき「採用稟議」

その他、商品開発・販売開始と終了・投資などの事案で稟議を挙げるケースもありますが、これらは大きな予算を要するため稟議書の提出と並行して、会議によるプレゼンテーションを実施するケースがほとんどです。いずれにしても、提案者がそれぞれ別々のフォーマットで稟議書を提出すると、決裁者側が混乱してしまい、稟議通過が遅延、もしくは却下されてしまう可能性が高くなります。ですので、社内共通の稟議書テンプレートを目的に併せて準備しておき、全社員がそのテンプレートにのっとって、稟議書を作成するにしましょう。

稟議書の書き方で大事な3つのポイント

ポイント1 誰が読んでも理解できる「わかりやすさと丁寧さ」を追求する

稟議書は組織内の部署をまたぎ、専門外の上司はもちろん、意見交換するであろう部下、さらにその上の部長クラスや決裁権者である役員に至るまで、「現場の事情を全く知らない人」が多数読み、承認プロセスに加わるという特徴があります。

そのため、稟議書を提出しても却下されたり、差し戻されたりしてしまう大半の理由が「背景や経緯の説明不足」に起因するもの。組織の規模が大きくなればその傾向はさらに強まりますし、会社によっては社外役員を置いているケースもありますから、起案する側は「なぜこの稟議を申請したのか」について、120%位のわかりやすさで記載をしなければ、まずは伝わらないと考えたほうがいいでしょう。

わかりやすい稟議書を作成するため必要な構成要素として、下記の3点を必ず含めましょう。

 

  • 申請事項・・・物品購入や人材採用など、最初に目的を記します。
  • 申請事由・・・申請事項がなぜ必要なのか理由を記します。裏付データがあれば「資料〇〇添付」と記し、別紙で要領よくまとめます。
  • 費用対効果・・・案件にいくらかかるのか、そしてその費用に対する効果を記します。費用についてはあらかじめ予算申請して、認められたかどうかを明確にするのが一般的です。効果については、実施により期待できる成果や効果を、できるだけ定量的なデータで示します。

「申請事由」と「費用及び効果」に関しては、稟議書という決まったテンプレートの中で、120%のわかりやすさを出すのが難しい要素です。たとえば、広報部門の担当者が故障していないWindowsのPCを、業務改善と効率化を目的としてMacのPCに買い替えたいと稟議申請するとしましょう。広報担当として社内誌や社外誌の編集をしている立場なら、フォントが美しく、不意のダウンでも自動バックアップする機能を備えていることを理解していますし、Macによって得られる効果を熟知しています。

しかし、部外者からすればコストもかかるうえ、「壊れていないのになぜ買い替えるの?」という疑問が生まれるため、理由と費用対効果が詳しく記載されていないと「却下」という流れになってしまいます。この場合は、下表で示したような「アピールポイント」を明記するとともに、誰が見ても理解できる参考資料、例えばPC変更前後の仕上がりサンプルやトラブルの復旧に要する時間の概算データを添付することで説得力が大幅に向上します。

申請事由費用対効果
フォントやUIが美しく、デザインツールが豊富なため広報誌の仕上がりが格段とアップする採用やブランディングにおいて、会社としてのイメージアップに寄与
自動バックアップ機能が付いている作業効率の向上による労働時間の削減
付属の「iWork」でチラシ作成も簡単にできる高額なデザインソフトを購入せずに作成可能

なお、契約・購買稟議については、数値化した参考資料を作成しやすいですが、採用稟議は年齢や入社試験の点数ぐらいしか提示できないため、面接時に人となりをしっかりと観察し、優秀な人材であることを自分の言葉で表現する必要があります。また、近く退職者が出るなどの理由で人材不足が顕著になった場合、比較的採用稟議が通りやすくなるので、「提出のタイミング」も重要です。

ポイント2 必要事項の記載漏れは厳禁!必須項目を網羅せよ

次に、以下で示すような稟議提出から承認に至るまでの過程、及び進捗状況が一目でわかるため必要な項目を網羅し、記載漏れがないようにします。

 

  • 決裁区分・・・承認、条件付承認、保留、差戻し、否決といった稟議結果を表す決裁区分です。決裁日と申請日・決裁日は決裁者が記載し、申請日は起案者が記載します。
  • 決裁番号と起案部門・・・決裁番号は後から参照したり、管理しやすいよう必要に応じて記載し、年月日を利用するケースも多いです。起案部門はどの部門が取引をするのかを記録しておきます。
  • 決裁者の承認欄・・・決裁者の承認欄には稟議責任者の氏名を記載する欄のほか、部門長、担当役員、社長といった権限者がサインできる欄を設けます。
  • 決裁者コメント欄・・・稟議の結果、条件付承認になった場合や保留、差戻しになった場合など、なぜそうなのかを決裁者のコメントをもらうことができます。決裁者から宿題をもらい、それをクリアすれば承認が得られることもよくあります。
  • 件名・・・件名は内容につながる、わかりやすくシンプルなものにしましょう。

その他の項目として、起案内容に応じ契約稟議であれば取引先概要を、購買稟議であれば購入製品概要を説明できる項目を追加する必要があるものの、テンプレートさえあれば漏れなく記載することは、それほど難しい作業ではありません。

ポイント3 期首予算範囲内の申請であることを強調する

前述したとおり、予算範囲内であれば定義上「計画内の稟議書は、予め期首に承認済み」という扱いになります。よって、決裁者の稟議書確認スタンスとしては「計画予算の金額と執行内容が、年初計画通りか確認するだけ」であり、稟議事由と費用対効果に妥当性があると判断され、必要事項に漏れがなかった場合は基本的に承認されます。

つまり、予算内で実施できる案件の場合は、決裁者に「あなたが承認した予算計画通りに進んでいます。よって、この稟議書は承認して問題ありません」と、一目でわかるように記載・強調しましょう。

スピーディに決裁まで進めるには・・

 

稟議書を早く確実に通すためには、決裁者に負担をかけないしっかりとした文書を用意することはもちろん大事ですが、それ以上に事前相談いわゆる根回しが重要になってきます。根回しと言うとネガティブな印象を持たれるかもしれませんが、オリンピック招致などでも展開される「ロビー活動」もその一種であり、申請する内容について上司の考え方を知っておけば、それに添って稟議書に修正や調整を加えておくことができます。

担当者より直属上司の方が、さらに上の決裁権者の好みやビジネスに対する考え方をよく知っているので、事前相談に際には

 

  • 費用対効果の基準や好まれる数値の出し方
  • 新規稟議が通りやすい費用感と費用の見せ方
  • 誰がいつ決裁者に確認するか?
  • 決裁者はどのような見せ方を好むか?

など、稟議書を通すための「コツ」を聞き出しておきましょう。

ただし、組織の大きさにもよりますがいくら早く稟議を通したいからと言っても、いきなり役員クラスに話しかけるのではなく、まずは直属上司に相談をしましょう。稟議をスピーディーに決裁まで進める秘訣は、まずは最も近い立場の所属長に事前相談し、効果的な稟議書を作り込むことです。

 

後編では車両管理システムを例により具体的に説明します。

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