【対談】中編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

【対談】中編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

「走行データでここまでわかる Vol.1」は前編から

この企画では、Google社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸に事業を展開している、株式会社プリンシプルのチーフエバンジェリスト、木田和廣(きだかずひろ)さんに、データの分析結果をどのように読み解き、改善へつなげていくべきか、実際の走行データをもとに解説いただきます。

前編では、急加減速数をさまざまな角度から見て、どのようなインサイトが得られるかをお話しいただきました。今回はより具体的に、ドライバー個人に目を向けたデータ分析を行っていきます。

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木田:今回は、ドライバー個人に目を向けたレポートを見ていきましょう。

木田:「まず、このデータはX軸は「走行60分あたりの急減速回数」、Y軸が「走行60分あたりの急加速回数」で指標を取りました。このように、データを点でプロットしたものを散布図と言い、一つひとつの丸はユーザー(ドライバー)を表しています。ちなみに、2つの指標間には相関がありません。特定のユーザー(一つの丸)にフォーカスすると、1時間の運転の中で急加速は0.14回だけなのに対し、急減速は1.4回も発生しているといったドライバーの傾向が明確にわかります。」

大里:「これだけの情報では、種々雑多なドライバーがいるということしかわかりませんね。」

木田:「結果をもっと掘り下げるために、ここでクラスター分析を追加してみましょう。Tableauに設定されているK-means機能を利用してグループ化すると、クラスターごとに色分けできます。
赤は急減速が少なく急加速が多い『急加速ドライバー』、青が赤の逆となる『急減速ドライバー』、急加速と急減速がともに多いのは紫で『乱暴ドライバー』、どちらも発生しない場合は緑の『安全ドライバー』です。」

大里:「クラスターで分けると見える景色が一気に変わりますね。」

木田:「このように可視化することで、ドライバーが100人在籍している企業でも、『君は急加速ドライバーだよ、急がなくていいからもう少しゆったり運転しよう』とか『君は乱暴運転しすぎたよ。事故につながるのでもう少し安定した走行を心がけようね』と各人にフィードバックができるようになります。分析した結果は安全運転教育や安全運転の啓蒙へつなげる材料に役立てていただきたいですね。」

大里:「人事評価の1項目に取り入れてもいいかもしれませんね。」

木田:「人事考課に取り入れるのは、安全意識向上への一手段としても良いかと思います。急加速や急減速は事故の原因を作るだけで、良いことはひとつもありませんから。小さい子どもがいきなり目の前に飛び出してから止むを得ず急ブレーキを踏んでしまった、ということはあるかもしれませんが、普段から予測型運転がしっかりできていれば、余程のことがない限り危険運転は起きないはずです。」

大里:「結果を拠点長に見せてもいいですね。『この拠点は他と比べて乱暴ドライバーが多いなぁ。今後、安全運転教育を徹底しよう』といった改善策を指示することもできるでしょうし。」

木田:「そうですね、場合によっては、拠点長が急かしている可能性もありますし、結果を見ることでその意識が変わるかもしれません。実際に、会社側のマネジメントや指導方法が一因となった悲惨な事故も起きていますしね。事故の素となる要因に気づき、少しでも改善へとつなげていければいいなと思っています。そのためのデータと分析ですから。」

大里:「個人もそうですが、走行を可視化することで組織としても安全運転のレベルが上がっていくことを期待したいですね。」

木田:「次は、年齢ごとの傾向をまとめたデータです。こちらのグラフを見ていただくと、年齢が上がるごとに急加速の回数が増えていることがわかります。」

大里:「明確に出ますね。」

木田:「これは仮説ですが、高齢の方は長年運転しているベテランドライバーが多く、ついつい荒めの運転をしてしまう傾向にあるのかもしれません。逆に、急減速は未熟なドライバーが起こしやすいようです。ベテランドライバーと違って、慣れていない分慎重すぎる運転をしているのかもしれませんね。」

木田:次に私が着目したのは、急加速や急減速と疲労の関係性についてです。運転と疲労の関係性に関する具体的なデータは市場に出回っておらず、非常に取得しづらい要素でもあります。しかし、乗務回数が多ければそれなりに集中する時間が増えることになりますので、疲労の原因になると考えられます。ですので、ここでは1人あたりの乗務回数をベースに分析していきしょう。」

大里:「面白そうですね。」

木田:「この図では、乗務回数を10回ずつに分けてバケットソートしています。上のグラフが実数で、人数をカウントしたもの。たとえば、月に40〜49回乗務した人は12人いたということです。また、下のグラフは縦方向に100%で割合を表したものになります。ここから、乗務回数の最頻値は40〜70回くらいだとわかります。スマートドライブ社は走行データを数多く持ってらっしゃるので、長距離走行が多い企業の月間走行数は何回、短距離走行が多い企業は何回ということが把握できるかと思います。回数がわかれば、ビジネスモデルで考えたときに乗務回数が多すぎるのか・少なすぎるのかを考えることができますし、データを分析することで、乗務回数が多すぎる場合は無駄な稼働が発生してないか、どこを効率化できるのかなどの改善点を提案していくこともできるようになります。」

大里:「中には、乗務回数が170回という人もいらっしゃいますね。とても一カ月の走行回数だとは思えません。」

木田:「短距離専門のドライバーかもしれませんが、やけに多いので心配になりますよね。」

大里:「ちなみに、該当するドライバーは乱暴ドライバーのようです。疲労が溜まり、やや乱雑な運転になっているのかもしれません。これは危険信号だと捉えるべきでしょう。」

木田:「ただ、乗務回数が140回の安全ドライバーもいますので、これだけの情報では疲労だけが原因とは言い切れませんし、個人の資質もあるかもしれませんね。ただ、1カ月で170回は尋常な回数ではありませんので、もしかすると職場で仕事を押し付けられているとか、別の事情があるかもしれない。そんなと危険信号も事前に検知できるのがデータ分析の利点です。」

Vol.3へ続く

【株式会社プリンシプル】
株式会社プリンシプルはGoogle社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸にデジタル広告、SEO、DMP構築、Tableauによるデータビジュアライズなどを支援するデジタルコンサルティングファームです。社員数約70名(アルバイト、インターン含む :2019年3月時点)。
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-2-5 トライエッジ御茶ノ水10階

<Tableauとは>
米国シアトルに本社を置くTableau Software社のBI製品群。
デスクトップアプリケーションのTableau Desktopで実現したビジュアル分析結果を、Tableau ServerやTableau Onlineといったクラウドソリューションと連携して、社内の情報共有基盤として利用する。
データを活用して業績を伸ばしたい企業に多く採用されており、行政、通信、エネルギー、金融、製造、小売、サービス、旅行と採用企業は業界を問わない。
ガートナー社のマジック・クアドラント(分析とBIプラットフォーム部門)で7年連続のリーダーポジションを獲得。

【木田和廣(きだかずひろ)プロフィール】
株式会社プリンシプル
取締役副社長 / チーフ・エバンジェリスト

商社、ソフトバンク系ネットベンチャーを経て、2004年からWeb解析業界でのキャリアをスタートし、2011年より現職。各種セミナーでの講師実績多数。Googleアナリティクス、Tableauについての書籍執筆。
Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)、Tableau Desktop Certified Professional等の資格を保有
2017年12月Tableau Jediを拝命。

【大里紀雄(おおさとのりお)プロフィール】
株式会社スマートドライブ
マーケティング/PR

Google アナリティクスを軸としたコンサルティングや、プライベートDMPの構築に長年従事し、前職では外資系マーケティングツールベンダーにてシニアビジネスコンサルタントとして活躍。
2019年3月よりスマートドライブにてマーケティングおよびPRを担当している。

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