【対談】膨大なデータが世界を変える、デジタル時代のIoTとその未来 後編

【対談】膨大なデータが世界を変える、デジタル時代のIoTとその未来 後編

私たちが生活している空間には、ありとあらゆるデータが溢れています。テクノロジーが以前にも増して勢いよく進化し続けている今、ただの数字としてデータを貯める時代は終わり、高度な解析を経てプロセスやオペレーションの効率化、そして売り上げ向上へと導くために活用されています。

企業が扱う大量のデータを、リアルタイムで収集・統合するデータマネジメントソリューションを提供しているトレジャーデータ株式会社は、デジタルビジネスの時代で最先端を走る企業です。2018年8月より英Arm社の一員となり、デバイスからデータまでを一貫して管理できるIoTプラットフォームを実現しようとしています。

今回の対談では、トレジャーデータ株式会社でマーケティングディレクターをされている堀内 健后(ほりうちけんご)さんをゲストに迎え、IoT時代の新たな自動車サービスを展開するスマートドライブとIoTプラットフォームができることやデータの先で描く未来像について語ります。

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掛け合わせがソリューションを生み出す

北川:「ペリオンIoTプラットフォームはどのような方向に広げていこうとお考えですか?」

堀内:「大前提として、私たちが解決しなくてはならないのは顧客の課題です。マーケットが大きくなれば売り上げも伸びますから。広げていくためには、他社と競合するのではなく、手を組んで顧客の課題を解決する方法を模索すべきだと考えています。」

北川:「これまではデジタルマーケティング領域のDSPソリューションと連携されていましたが、今はIoTにシフトされていたりするのでしょうか。」

堀内:「もともとどちらもやっていたのですが、デジタルマーケティングの方が速度は速いので一気に成長した感じです。さらに、Armになったことで、デジタルマーケティングを減速させることなくIoTを加速することができるようになりました。

デジタルマーケティングはサービスがわかりやすいこともあって、デジタルマーケティングツール関連の企業に割とスムーズに受け入れてもらうことができましたが、IoTはその時間軸が異なるだけで、対象となるものの複雑性は変わっていません。」

北川:「そもそも、日本ではまだまだIoT特化型のサービスって多くないですよね。」

堀内:「そういう点でも、スタートアップ巡りは欠かせません。たとえば、AIを活用して水処理を行うWOTA(ウォータ)という企業があるんですね。家でも工場でも、水の処理って必要じゃないですか。私たちからすると彼らはアプリケーションであり、組み合わせるとソリューションになります。また、彼らはユーザーでもあるし、パートナーでもあるけど、ある意味、お客さんからするとソリューションにもなる。そういう意味では親和性が高いと思っています。

スタートアップ企業とともに、IoTを組み合わせたデジタルマーケティングスタックとして組んでソリューション化することで、誰にでも使えるサービス提供を目指しています。そのほうがクラウドAPIエコノミー時代にはあっているはず。デジタルマーケティングでは約300社と一緒にエコシステムを作っていますが、IoT版も同じように作っていきたいと考えています。そうすれば、テーマごとにここと組んだらこうなるね、って新たなシナジーが生まれるかもしれない。

CSVは所詮、データの記録に過ぎないので、データは分析可能なデータベースに入れ込むことが重要です。私たちは一貫したプラットフォームを提供していて、ログに特化した大量のデータベースをクラウド上でスムーズにストレスなく分析できる点が最大のメリット。どう分析するか、また、分析した結果をどう活用するかはお客様企業次第です。お客様が望むのであれば、私たちとスマートドライブが組んでアルゴリズムを提供するということもできるでしょう。」

ストーリーとパートナーの重要性

北川:「御社との関係を料理にたとえると、素材を洗ったり、切ったり調理がしやすいように準備をしてくれるのがトレジャーデータで、実際に調理をするのがスマートドライブです。もっと上等なフレンチやイタリアンにする場合は、専属の料理人がさらに味付けするというイメージですよね。」

堀内:「〇〇シェフのフレンチ料理、みたいなね。」

北川:「そこを理解されないと、初めの工程が『取りあえず、AWSに入れておけば調理しやすく準備されるんだろう』と思われてしまう。」

堀内:「そうですね、お互いのユーザーはそれぞれの持ち味ーどこに強みがあり、何に特化しているかーがわかっていると思うんですけど、何も知らないユーザーにわかりやすく伝えるのはそう簡単なことではありません。」

北川:「難しいけどすごく大事なことですよね。お客さんの目には出来上がった料理しか映らないので、各々の工程でどんな処理が行われているのかまでは伝わりません。」

堀内:「そうですね、理解していなくても『美味しい!』って言って食べてくれればこちらとしてはありがたいんですが(笑)、そういうわけにはいきませんからね。仕組みだけ説明しても何に使うのか、何が解決できるのかを100%理解してもらうことはできませんので、ストーリーテリングがすごく重要になってきます。スマートドライブであれば、『この仕組みによって事故を減らすことができます』と言いきることができますよね。」

北川:「はい、その点では弊社は少しわかりやすいかもしれません。ただ御社の場合、トレジャーデータに素材を渡せば、美味しく調理されて出てくる雰囲気というかブランドを感じます。そういった御社ならではの技術力とブランド力を支える、しっかりお客さんに伝えて活用してもらうためのサポートなども力を入れていますか?」

堀内:「デジタルマーケティングではコンサルティングチームを作って、導入したけど使いこなせないという人たちをサポートする体制を整えています。今まではマンパワーが足りなくてそこまで手が回せなかったのですが、お客様も増え、ここまで成長してきたこともあり、自社でノウハウをしっかり貯めて、提供していかなくてはならないなと。4人しかいなかったスタッフが今、国内では120人いますし、ケイパビリティも上がっています。その取り組みが自然と伝わっているかもしれませんね。ただ、IoT側はまだこれから。ストーリーとパートナーで頑張って積み上げていきたいと思っています。」

北川:「前段の世界観(前編のリンク)を実現していくにあたって、トレジャーデータは今後どういう領域まで広げていくのでしょうか。」

堀内:「データのインフラを広げていくこと自体は今もこれからも変わりません。デジタルマーケティングもIoTもという意味で、データのレイヤーを構築し続けるつもりです。コネクティビティやインターフェイスの部分は業種向けに少しずつ作っていかければ対応できませんので着手すべきところですね。」

北川:「スマートドライブでは、アルゴリズムをバーティカルで増やしていきたいと思っています。」

堀内:「アルゴリズム、脳みその部分を増やしていくということですよね。それは今後パートナーシップを組んで行きたいという我々の、スマートドライブへの期待値でもあります。一方、個人情報の流出事故が多発していることによって、人も企業もセンシティブになっているので、個人情報の扱い方をしっかり考えていかなくてはなりません。デジタルマーケティングでは昨年ヨーロッパで義務化されたGDPRが記憶に新しいところですが、IoTもセキュリティ面の強化が必須です。法律的な部分もテクノロジーの部分も含め、セキュリティ強化の対応は相手に安心感を与えることでもありますし、実現可能性のスピードアップにもつながるので、率先してやっていかなくてはならないことです。」

北川:「そうですね、そのあたりはスマートドライブでも非常に慎重に対応していきたいと思います。」

堀内:「気にしすぎてしまうと新しいことを生み出せなくなるので、その辺りはトレジャーデータがサポートしていければと。ヨーロッパだと、クッキーまで個人情報扱いですからね。あと、忘れられる権利(※)。オプトアウトしたらすべての情報が『消えました』というログを出せるようにしなくてはならないとか。

お客様がやるべきは企業特有のことのみであって、それ以外のコモディティ化されたもの、つまり、データをためて分析したり、セキュアに保ったりという部分はトレジャーデータが力を入れてやっていくべきだと思っています。それはプラットフォームを提供する企業としてのミッションでもあります。
※インターネット上のプライバシーのあり方について、2006年以降に施行された権利。

北川:「もちろん、セキュリティに関しては私たちも強化していくつもりです。スマートドライブは、そういった根本的な信頼のもとに、今まで培ってきた車両管理や保険関連の実績を横展開していきながら、車以外のソリューションを作れるように広げていければと考えています。本日はありがとうございました!」

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