意外と知られていない物流の仕組み

国内外関わらず、Eコマース(インターネットショッピング)の市場規模は拡大の一途を辿っています。注文方法も日に日に簡略化され、昨年Amazonがリリースした「Dash Button」ではまさにワンタッチで注文できてしまうということで大きな話題にもなりました。配送料の低価格化や無料化によって些細な日用品などもインターネット上で注文する人たちが増えた結果、荷物の細分化が進み、かつ「即日配達」に見られるような配達時間の短縮化がますます進行中です。

「流通量の増加 + 配達時間の短縮化」がセットになってのしかかってくる「物流業界」。私達の便利で快適な生活は、必要不可欠となってしまった現代物流は、まさに生産者と消費者を結び現代的なんでいる生命線です。今回は、身近でありながらあまり知られていない物流の仕組みや問題について見てみましょう。

知ってるようであまり知らない?物流の仕組み

物流とは文字のごとく、一般的な物的流通のことを指します。生産者から消費者に渡るまでの物の移動であり、その物の輸送から荷役、保管、情報の管理、流通加工、包装に関する活動全てが「物流」という一括りにされます。

また、生産者から直接消費者への移動だけではなく、工場から工場、その工場から店舗に、店舗から消費者に、という細かな流れも「流通」として含まれます。
さらに流通過程全体の中での性格付けにより、以下のように分類がされています。

調達物流

工場等で商品を製造するために必要な原材料を調達するための物流。販売するために商品を仕入れる物流もこれ。

生産物流

工場等で商品を生産し、自社の販売拠点である営業所や、自社倉庫、冷蔵庫等へ運ぶ物流。

販売物流

販売によって、商品が売り手から買い手へ移動する物流。卸から小売店へ、小売店から消費者への商品の移動

回収(返品)物流

不良品や返品の回収、廃棄物や容器・運搬器具などを回収することに伴う物流。静脈物流ともいいます。


高度成長期を迎えた1970年代以降あたりから、物流という言葉が一般的に用いられるようになりました。現在では多品種生産へと志向が変わり、それに伴った小回り輸送のニーズが必要とされています。

基本的な物流の流れ

基本的に、物流の流れはこのようになっています。

1.保管

品質や数量など適正な管理のもと、商品の在庫を大切に倉庫に保存し、必要な時すぐに出荷できるようにしておきます。

2.荷役

在庫を保管する場所に、貨物の積み込み・積み下ろし、倉庫への入庫、出庫を行う作業。運搬や仕分けも。

3.包装

配送中の在庫の保護や汚れを防止するために包む作業。また、運搬や保管しやすくするためにダンボールなどの箱に入れます。在庫の形状により木や紙、プラスチック製の容器やドラム缶などに入れられることも。

4.流通加工

品質の流通過程において商品の価値を高めるため、顧客の要望に応じて検討、値付け、包装などを行う加工作業を行います。物流の効率化、商品取引上の利便性の確保のためにも必要な作業です。

5.情報管理

在庫がどの倉庫や流通センターにいくつあるか、在庫がどこに運ばれているのかをリアルタイムに把握するため、システムなどを使って情報を正確に管理し、迅速に荷物を届けるための情報を管理。

6.輸送・配送

商品を物流拠点から荷受人に送り届けます。

また、荷物を管理し届けるまでに大事だとされるのが品質の管理。食品群から大型の家具やコンピュータ類など、多くの荷物が毎日移動をしています。中長距離の移動の中、製品が損傷したり劣化したりしないように、さらには配送ミスがないように手ってして管理を行います。
特に食品群においては、「常温」「定温」「冷蔵」「冷凍」と4つに分けて温度管理をしているのです。

物流業界がぶつかっている課題

そんな私達の生活を支える物流は、どんな課題を抱えているのでしょうか。
よく持ち上がる話題としては、荷物を運ぶトラックドライバーの人材不足に車両不足、インターネット通販の拡大による荷物の増加とその再配達についてですが、それ以外にも物流子会社や下請け・孫請けによる多層化など、多くの悩みを抱えています。

物流センターには,通過型(TC型)センター,在庫型 (DC型)センター及び、通過/在庫型(TC/DC型)併用 センターがあります。 DC型センターには,倉庫管理システム (WMS:Warehouse Management System)と配車・配送計画システムを組み合わせるため、在庫管理と車両運行を効率的に行うパッケージソフトウェアやシステムなどが提供されていますが、ほとんどの作業を人手に頼って行なっているのが現状。

複数の人が複数のネットショップで買い物を楽しむ。すると、流通するモノが大量に溢れ、作業員は予定時刻までに作業が終わらず、作業員に手待ち時間が発生してしまいます。物流センターが大規模化するようになり、1日当たり出入りする物量は100万個ほど(トラックでおよそ200台/時)になることも。
配送料無料・当日配達が当たり前のようになってきた昨今では、全体的な物流コストの削減が必要となり、その結果としてピッキング作業の改善を見直しが必須。出荷頻度に応じ商品ロケーションの設定を行うため、一カ所にピッキング作業員が集中した結果物流センターでは渋滞が発生してしまいます。

さらに追い討ちをかけるかのように、梱包資材の保管・廃棄や荷物を運んでくるトラックの駐車や荷物受取スペースの確保、積載量の低いトラックを走らせているなど、物流内には多く無駄も潜んでいるのです。
政府により改正物流総合効率化法が2016年10月1日に施行され、荷主企業や物流会社の「連携」を促し、共同配送や大量輸送の推進を行うなど、物流ネットワーク全体の省力化や効率化に加速をかけました。貨物の小口・多頻度化が進行し、営業用トラックの積載効率は2013年には41%にまで下がるなど悪化の一途をたどっています。

そこに歯止めをかけるべく、トラック輸送のみではなく、鉄道や海運などの大量輸送手段に切り替える「モーダルシフト」や、荷主企業が取引先の物流拠点まで別々のトラックを仕立てていたところを、同じトラックで配送する共同配送などの実施を想定しています。

物流業界の新しい流れ3PL

最近では荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括して物流業務を受託し遂行する3PL(サード パーティ ロジスティクス)が物流業界の新風となっています。つまり、物流代行が最近の流れとして広まりつつあるということ。

ノウハウを持った第三者が荷主の立場に立ち、ロジスティクスの企画・設計・運営を行う3PL。全般的な業務範囲が外注可能なため、配送にかかる一部分のみを外部委託することもできます。

物流システムを自社で一括管理を行う場合、人件費をはじめ輸送に伴う自動車や倉庫管理のソフトウェア導入など、膨大なイニシャルコストとランニングコストがかかってしまいますが、専門家による見直しで、作業品質と生産性が向上し、物流コストの圧縮や可視化、コストの最適化が行えます。そうなれば社内での業務範囲を選択し集中させることができるようになり、コア事業への集中と強みを伸ばすための投資にコストを回せるように。

より、専門性を高めることに注力できますし、何よりも全体的な業務の効率化を加速させる一手になりえます。

物流業界、これからどうなる?

様々な課題を抱えた物流業界、効率化を目指していますが今後はどうなっていくのでしょうか?
物流業界はテクノロジーの力で大きく変わろうとしています。
労働力不足の解消や安心・安全な職場環境づくり、ソリューションの開発などに結び付けることを、トラック協会や国土交通省、経済産業省などとも連携して目指すことを目的に、2016年8月に運輸事業者と情報通信技術(ICT)関連事業者など業界を横断的に構成した「運輸デジタルビジネス協議会」が発足しました。

協議会は
① デジタルテクノロジーとおもてなしの心で運輸業界のイノベーションを実現し、革新的なサービスを実現する
② デジタルテクノロジーの活用により運輸業界の労働環境を革新し、安心・安全な職場環境を提供することで、優秀な人材の確保と安全運行を実現する
③ 乗務員の健康を守り促進する仕組みと教育の場を提供することで、人材不足など課題を解決する
④ 協議会での活動、成果を積極的に公開し業界、社会に貢献する。
上記の活動指針を元に、ヒアリングや実証実験を行い、業界ごとや事業者個別の課題と解決策を見出すと言います。

また、各企業も率先して物流業界の改革を推し進めようとしています。

国内最大手のニトリはロボット倉庫『AutoStore(オートストア)』を日本で初めて自社の物流拠点に導入し、今まで全て人が行なっていたピッキング作業の大幅な縮小に成功。ピッキングの作業効率は3.75倍に上がり、梱包の際、商品に合ったジャストサイズの段ボールを自動で作る『ボックスオンデマンド』も日本で初めて採用。このように積極的な機械化の導入で無駄だと問題視されていた梱包資材や作業効率を大幅にアップする事例を次々と見せています。

GROUND株式会社は「LogiTech(ロジ・テック)」を掲げ、物流業務のフローを可視化するソフトウェアや入荷管理ソフト、物流現場におけるビッグデータのプラットフォームの開発、さらにはインドのGreyOrange社が開発した自動搬送ロボットシステムの販売を行っています。ロボットや人工知能を物流業界に活用し、新たなソリューションを生み出すことで物流業界を迅速に変えていくのではないでしょうか。

物流はスマート・ロジスティクスになるか

人手不足を補い品質向上を行うべく、今後は人間ではなくロボットや自動倉庫、無人搬送車が台頭し物流センターの効率化に貢献していく。一方で、ロボット化の進行によって職を失う人たちが出てくるのではないかという懸念も出ていますが、まだ完全にロボットにすべてを任せることはできないので、当面は人間にしかできない作業やロボットを補助する形で人間の職場は残っていくのではないかとも思います。

また、配送の自動運転化はドライバー不足や過労も徐々に軽減させていきつつも、インパクトがより大きいのは配送中の車両の中でドライバーが他の作業に従事することできるようになることではないでしょうか。それにより物流網全体における仕事効率はかなり上昇していくものと思われます。

急速な変化を要する物流業界。次回は最先端な物流システムをご紹介します。

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