様々な都市で進むパークアンドライドとは?特徴・事例紹介

近年様々な都市が取り組み始めている「パークアンドライド」という仕組みかご存知でしょうか?

環境面や交通面でのメリットから、地方自治体や交通機関などの団体から注目を集めています。一体どのようなものなのか特徴や事例をまとめてみました。

そもそもパークアンドライドとは

パークアンドライドとは、英語にすると「park and ride」になります。単語を見ると何となくイメージがわくかもしれませんが、に都市の中心部にある目的地へ直接足を運ぶのではなく、近郊の公共交通機関の駐車場までアクセスし、そこから公共機関を利用して施設まで足を運ぶこと。これがパークアンドライドです。

商業施設に直接足を運ぶ場合、特に車を使ってとなると駐車場が溢れるだけではなく、近隣の道路を麻痺させてしまいます。

「渋滞なのかな?」と思ったら、施設の駐車場待ちの車のおかげで道路が混雑していたという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?駐車場だけではなく、道路にも限界があります。

特に都心部の場合、元々の交通量の多さに加え、施設へのアクセスが集中してしまっては、街そのものが麻痺しかねません。そこでパークアンドライドが注目を集めているのです。これをうまく活用することによって渋滞の緩和や自動車の減少による環境問題への改善にもつながります。

後ほどいくつか紹介しますが、日本でもパークアンドライドを実施している所は増えてきており、特に都市部の交通量緩和に一定の効果が出ています。

パークアンドライドが始まった背景

いわば道路を合理的にという考えがパークアンドライドですが、ヨーロッパで発案され広まりました。前述したように都心部の交通環境の悪化に悩んでいた際に、交通量減少の手段として考えられた手法です。

ヨーロッパのロンドン、ミュンヘン、ハンブルグ、パリといった大都市では慢性的に都市部の交通量に悩まされていました。常に渋滞が発生しているため、交通網の麻痺のみならず、排出ガスの問題まで叫ばれるように…。

パークアンドライドが生まれた背景には、交通量の増加はもちろんですが、元々のヨーロッパの都市思想にあります。かつてヨーロッパでは神殿が街の中心に位置し、周辺を城壁によって囲まれていました。まだまだ自動車がない時代で、都市に入るためにはいわゆる関所を通過しなければなりません。この思想がパークアンドライドの根底にあると言われています。

つまり、「街の中」に入るためには、「街の外」に車を止める。これにより、街の中は車の影響を逃れられる…という思想のもと、混み合う都市部には車を入れない。少々離れたところに駐車場を設け、そこから別の手段で大量移送する。

これにより、交通網の麻痺を解消出来ると考えられたのですが結果、目論見は大成功。やがてはアメリカでも普及するようになり、自動車の交通量で悩んでいる都市が、それらをモデルケースに導入が検討されているのです。

主なパークアンドライドの利点

渋滞の緩和

都心部の渋滞緩和効果があります。個人が各々の車で都心部に流入するよりも、周辺に駐車して公共交通機関を利用した方が「都心部を走る車の台数」が減りますので、交通量が緩和され、結果として渋滞が緩和されるという仕組みです。

例えば国内でも人気の観光スポット・奈良でも導入されており、渋滞の長さが短くなったとの報告があります。それに伴い、公園内の滞在時間も増えたので経済効果も高まっているそうです。

都心部まで自家用車で訪れた場合、帰り道に渋滞に巻き込まれるのを覚悟しなければなりませんし、駐車場料金の問題もありますので、あまり長居せずに帰宅してしまいがち。一方パークアンドライドであれば渋滞の軽減や駐車場料金が抑えられたりするため、結果として滞在時間が長くなりそれが経済効果にも繋がるのではないかと考えられています。

環境問題の改善

都心部の自動車が減ることで、環境問題の改善も期待されています。自動車は排出ガスを出しますが、特に問題視されているのがアイドリング時の排出ガスです。

普通に流れている時よりも、むしろアイドリングしている時の方がは排出ガスは多いです。加速や減速時にも排出ガスは出るのですが、何より一番排出ガスが出るのはアイドリング時です

交通量が多く渋滞が増えれば、それだけ「アイドリングストップしている車」が増えます。かといって渋滞はいつ流れるか分からないので、むやみにエンジンを止めては交通事故のリスクを増やしてしまうので仕方がないことです。

こちらもパークアンドライドであれば、交通量を抑制しますので排出ガスを抑えられる可能性があります。ちなみに京都のデータでは、独自試算ではあるものの、パークアンドライドによって年間でおよそ111億円の利益が出ているとのこと。

他にも交通量そのものが減るので交通事故の減少効果も期待できますし、自家用車が減るため、配達業者の業務が遂行しやすくなるなどのメリットも挙げられます。

国内のパークアンドライド事例

国内でも既にパークアンドライドを導入している地域が多々あります。いくつか挙げてみるとしましょう。

京都・奈良

国内外・季節を問わず、常に多くの観光客で賑わう京都は街全体でパークアンドライドを実践しています。京都は囲碁の目のように張り巡らされた道路のおかげで、十字路ばかりです。

そのため信号のタイミング次第で常に渋滞になりますし、一方通行や行き止まりも多いのでうっかり小さい道に入ると、後続車も巻き込んでどうにもならない状況が生じてしまうことも。

そこで京都はパークアンドライドをいくつかのエリアに設けています。具体的には京都北、二条、西ノ京、北野、太秦、丹波口といったエリアに駐車場を設け、出来る限り観光名所である東山や嵐山、きぬかけの道方面に車が入り込まないよう工夫しているんです。

また、前述した奈良も京都程ではないのですが、東大寺付近の交通量減少のため、パークアンドライドに取り組んでいます。

東日本旅客鉄道

場所ではなく、企業になりますが、管轄内の新幹線や特急停車駅や周辺の専用駐車場を設けている所があります。

駅窓口でJRの乗車券を購入・提示することで駐車料金を割引・無料にするなど、パークアンドライドの普及に力をいれています。

東京都大田区(羽田空港近辺)

また近年利用が増えているのが羽田空港近辺です。国内の空港で最も多くの乗降客数を誇る羽田空港を抱える大田区では、羽田空港近辺の渋滞緩和のためにパークアンドライドを実施しています。

周辺に「羽田空港駐車場OKパーキング」を設け、羽田空港の各種ターミナルへとバスを運行しています。

海外のパークアンドライド事例

アメリカ・オックスフォード

アメリカの大都市、オックスフォードでは大がかりなパークアンドライドを実施しています。こちらは路線バスを活用したもので、都心部への車の流入を防いでいるのですが、さすがにアメリカなだけあり、パークアンドライド用の駐車場もかなり大がかりなものです。

ちなみにパークアンドライドにバスを活用したものを、そのままですが「パークアンドバスライド」といいます。

ドイツ・フライブルク

ドイツのフライブルクもパークアンドライドを積極的に実施している街です。市庁舎、大聖堂といった街の中心の直径約700mは乗用車の乗り入れが禁止されています。路面電車のみが通っているのですが、路面電車の市街地終点駅には無料の駐車場が用意されていますので、ここで車を止め、市街地までは路面電車を使用します。

チェコ・プラハ

地下鉄の10数駅に駐車場を設け、パークアンドライドを導入しています。プラハは比較的地下鉄が整備されている都市なので、自動車に頼らない公共交通機関の利用を促進しているのですが、中心部に車を入れないよう、駅に駐車場を設けているのです。

パークアンドライドの進化

パークアンドライドそのものも徐々に進化してきています。例えば、ただ単に駐車場を設けるだけではなく、駐車場を利用してくれた人には商業施設での割引制度等を適用することで経済の活性化も見込むという事例もあります。また、カーシェアリングでもパークアンドライドという概念が生まれ、公共交通機関の近くの駐車場まで車で向かい、近くのカーシェアリングの駐車場に停車するという事例も登場しています。

また、スマートフォンのアプリでも近くの駐車場を検索できるものが登場。ドライバーに駐車可能な場所を指示するなど、パークアンドライドは情報技術やサービスの進化と共に、より充実したものとなっています。

交通量の緩和や環境問題の改善はもちろん、新たな効果も見込まれ進化し続けているパークアンドライド。今後の発展が非常に楽しみです。

 

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