「動く資産」社用車を守るための車両管理の方法とは

「動く資産」社用車を守るための車両管理の方法とは

みなさんの会社では車両管理にどれくらい力を入れているでしょうか?専門の部署が確立されている会社もあるでしょうし、利用する営業の方が自身で対応することもあるのでは。

社用車は「会社の資産」のなかでも特に管理をするのが難しいと言われていますが、車両管理を怠ると大変なことになりかねません。

今回は「車両管理の重要性」や「社用車の事故によるリスク」、そして「車両管理のポイント」について解説します。社用車を所有する企業で働く方には、今回の内容についてぜひ目を通していただきたい内容です。

「車両管理」は企業の重要な課題のひとつ

社用車とほかの「会社の資産」の大きな違いは、「人が中に乗って移動をする」という点にあります。

外を走っている間は管理担当者の目を離れてしまいますし、従業員が車両を運転すればするだけ事故を起こす可能性も高まります。社用車を所有することはある種のリスクを伴うことになるのです。取引先に向かう途中であったり、社用で出向いた際に事故に遭ってしまった場合は業務上の事故となるため、会社側も損害賠償責任を負うことになります。

このような点から「社用車は会社の資産のなかでも最も管理が難しい」と言われているのです。

“KDDIまとめてオフィス株式会社”が2016年4月に経営層を中心としたビジネスマン645名を対象に行った調査では「社用車を所有しているうえで、どんなお悩みがありますか?」という質問に対し、以下ような回答結果が出ていました。

事故が減らない 16%
車両の管理ができていない 38%
社員の行動が把握できていない 46%

上記の3つの悩みは、全く違うように見えますが、実は相関関係があります。
社用車を管理することはそれを運転する社員の行動を把握することでもあり、社員の行動を把握できなければ社用車の管理をすることもできず、業務中の事故へとも繋がってしまいます。
「社用車」という大事な会社の資産を守るためにも、車両管理はしっかりと行う必要があると言えるでしょう。

2022年後は一気に普及される?車両管理や動態管理システム

現在の車両管理システムや動態管理システムの普及率は具体的にどれぐらいなのでしょうか。

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニングが2017年に行った「クラウド型車両管理・動態管理システム」の市場動向調査では、2016年の国内利用台数は46万台、2022年には利用台数がおよそ4倍の168万台に拡大すると予測しています。法的規制の強化および車両管理業務の効率化、さらなるドライバーの減少やドライバーの高齢化などが市場を押し上げていく要素になると考えられています。

2017年4月から中型トラックにもタコグラフ搭載が義務付けられたことをきっかけに、デジタコモデルの車両管理・動態管理システムを導入する企業は一気に増加。クラウド型の車両管理や動態管理システムは、ドライバーと車両の管理や事務的な手続きを自動化するだけではなく、働き方改革による労働時間の管理や荷待ち時間の記録、そして運転特性の分析による適切な安全運転支援やエコドライブなどにも活用できるのです。

数年前までは運転日報や車両管理台帳は手書きが多く、アナログな手段での車両管理が主流でした。しかし車両管理システムや動態管理システムの普及によって、業務の効率化やリスクマネジメントなど、事業者の戦略的な観点からも高度な運行管理を可能にしました。こうした点からも、今後の導入拡大が安易に予想されるのではないでしょうか。

 

企業にとってなぜ「車両管理」が大事なのか

企業にとって、なぜ車両管理が重要なのでしょうか?また、何が必要なのでしょうか?
それは前述したように、万が一、社用車で事故を起こした時に損害自体を最小限に抑えるためであり、さらには従業員の安全を守り、事故自体を起こさないよう業務を遂行するためです。しかし、煩雑であり急を要する業務もあるため、企業が車両管理に関する仕事量は全体の10%〜20%と言われています。

車両そのものの状態を把握し、点検や整備を定期的に行えばいいというわけではありません。車両管理には安全運転を徹底するための教育、燃料や消耗品などのコスト管理、運行状況による適切な保険への加入など、複数の項目が含まれていますし、営業車両を複数台所有している場合はそれぞれの車両や運転手の管理が必要となり、さらに管理は複雑化します。「車両本体の管理」「運転者の管理」「運行に関する管理」これら全てを網羅し、そしてそこに付随する細かい管理に対し抜け漏れなくどのようなツールを利用して・誰が・行うかを明確化すること。車両にまつわる全ての業務が車両管理と言うことです。

 

社用車の事故にはたくさんのリスクがつきまとう

社用車を使用している際に運転者が事故を起こしてしまった場合、基本的には会社が加入している自動車保険を使うことになります。ただし、交通違反や酒気帯び運転など、運転者の過失の度合いや損害の大きさによっては、社員に負担が発生することも考えられるでしょう。

また、大型自動車を資格無しに運転させたり、積載制限を超えた荷物を載せて運転させたりと、会社側が運転者が違反運転をすることを知っていながら容認することは、道路交通法では禁止されているとともに違反行為に使用された自動車に対して最大6ヵ月の使用制限処分が課される上、ドライバー、安全運転管理者の処罰や使用者・事業主の両罰規定による処罰もおこりえます。そもそも運転者が無理をすることで業務が回るような運行計画を立てたのであれば、安全運転の上で効率よく業務が回るように計画そのものを見直さなくてはなりません。また、経営陣が事故を把握するために最短の連絡網も整えておく必要があります。

程度によっては事故を起こしたことが知れ渡ることによって企業の取引先や顧客、ひいては社会からの信用力の低下を招いてしまいます。事故の相手から高額な請求をされたり、示談を迫られ会社に訪問されたりと解決までには数年要することもありますし、弁護士が介入するケースもあるため会社にとっても大きな負担になりかねません。

車両管理ができていない企業ほど、社用車が事故を引き起こしてこのような責任や損失を受けるリスクが高くなってしまいます。つまり企業にとっての車両管理とは、これらの損害を回避するためのリスクマネジメントのために必要不可欠なものだと言えるでしょう。

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車両管理で大事な3つのポイント

車両管理をする上で特に大事なのは「安全運転管理者の選任」「車両管理規定の作成」「管理部門の明確化」の3点です。

それぞれのポイントや要点について見ていきましょう。

安全運転管理者の選任

「道路交通法施行規則」では、乗車定員11人以上の自動車1台、またはその他の自動車を5台以上所有している事業者は、安全運転管理者を選任しなければならないと定められています。
安全運転管理者についての参考資料ダウンロードはこちら

同法では、安全運転管理者の業務内容について以下の7つを掲げています。
・運転者の適性や処分等の把握
・運行計画の作成
・交替運転者の配置
・異常気象時等の措置
・点呼等による安全指示
・運転日誌の備え付けと記録
・安全運転指導
安全運転管理者を選任したら、選任した日から15日以内に「自動車の使用の本拠を管轄する公安委員会」に届け出をしましょう。選任基準に該当しているにも関わらず安全運転管理者の選任をしていなかった場合は、5万円以下の罰金を科されることになります。

車両管理規定の作成

車両管理の方法を社内で統一するためには、車両管理規定を作成して社用車の運用ルールを厳格化することが必要不可欠です。

車両管理規定の作成時には、少なくとも以下の9つの事項を盛り込み、その上で運用をしっかり行っていきましょう。

① 安全運転管理者の選任

道路交通法では、常用定員が11人以上で車両1台以上を使用する事業所、もしくは定員にかかわらず5台以上の車両を使用している場合、安全運転管理者を選任しなければならないと定められています。安全運転管理者を選任したら、15日以内に公安委員会に届け出ましょう。
例文「道路交通法第74条の定めにより、会社に安全運転管理者をおく。」

② 車両管理台帳の作成

社用車をそれぞれ管理するために必要とされる台帳です。有するにあたり、必ず作成しなくてはなりません。車両管理台帳には、型式、登録番号、車名や車種といった車両を特定する項目、車検や点検日などの車両の状況を把握する項目、保険に関する項目をまとめて記載します。
例文「総務部には、車両の車種、登録番号、事故の記録、自賠責保険等保険に関する事項および保管場所など車両管理上必要な事項が記載された車両台帳を常備する。」

③ 運転者台帳の作成

運転者台帳は車両管理台帳と合わせて、交通事故発生時などに的確な処理ができるよう、管理責任を果たしていることを主張するためにも重要なものです。社内での規定に基づき、運転者が運転を許可する得て運転者台帳に記載します。
例文「会社の社員であって第●条に規定する使用手続きを経て車両の運転にあたる者については、運転者台帳を総務部に常備する。」

④ 安全運転の確保

運転するにあたり、運転者には交通ルールを守り無事故無違反の安全運転を心がけてもらう必要があります。当たり前ですが、無免許または免許失効や飲酒運転、最高速度の違反、運行時のシートベルト着用を義務付けるなど、運転手が安全運転を心がける内容を記載します。
例文「車両を運転する者は、道路交通法その他の交通関係法規ならびに会社諸規定を遵守し、人命尊重の精神で安全運転を心がけ、会社の名誉体面を傷つけることのないよう努めなければならない。」

⑤ 社用車の保守点検および整備

車両の整備や点検は、運転者の安全を守るためや事故を未然に防ぐ重要な対策であり、定期的にチェックする必要があります。

そのため、定期的に車検・定期点検・日常点検をしっかり行いましょう。
例文「車両使用者は、自己の担当する車両に関し、責任を持って保守・点検を行い、常にその機能を整備しておかなければならない。」

⑥ 保険の付保

自動車損害賠償責任保険への加入、任意保険への加入について記載をします。
例文「社有車には、自動車損害賠償責任保険を付保するものとする。」

⑦ 社用車の私的使用の禁止

業務以外での社用車の利用は基本的にとして禁止とします。業務に従事している際に、やむを得ない事情で使用せねばならなくなった場合には、許可書の提出などを求めます。
例文「車両を私的に使用することは原則として認めない。」

⑧ マイカーの業務使用

業務上か私用か区別がつきにくくなるため、原則としてマイカー使用は全面的に禁止が良いでしょう。もし、マイカーで通勤・業務途中に事故を起こした場合、会社にも損害賠償責任が及ぶという場合もありえるため、会社のリスクが高くなってしまうのです。
例文「個人使用の車両を業務に使用することは原則として認めない。ただし、やむを得ない事由により会社の許可を得た場合は、この限りではない。」

⑨ 事故の際の対応

一つの交通事故が企業に与える経済的損失や社会的ダメージは多大なるものです。もしもの事故が起きてしまった時の対処などについても、事前に規定に定めます。事故の報告や事故処理に関して、また、責任の所在などについても記載をします。
例文「事故が発生した場合には、その処理は会社が行う。また事故発生に際しては、会社を通すことなく個人で勝手に示談をしてはならない。」

管理部門の明確化

「どの部署で何を管理するのか」を明確にしていないと、社用車をきちんと管理することはできません。基本的には総務部が定期点検や自動車保険、車検などを一括して管理するようにし、入出庫確認、鍵の保管、洗車などの日常的な管理については、社用車を実際に使用する各部署に担当させるのが良いでしょう。

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大掛かりな車載器を購入したり取り付けが複雑な工事を必要としないため、小さなデバイスを手で車に装着するだくだけで今すぐに利用が開始できる、導入が手軽なクラウドベースの車両管理サービスです。

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システムで取得した車両情報は運送業界が抱える様々な課題解決に寄与する

安全で効率的な輸送を実現するためにも、車両管理システムで蓄積されたデータは役立ちます。次のようなニーズに対して有効活用ができます。

荷待ち時間の解消

タコグラフ同様、2017年7月から荷待ち時間の記録が義務付けされました。いつ・どこで・待機時間がどれだけ発生したかという記録は、手書きでつけていれば書きわすれることも想定されますが、システムではトラック一台一台の走行情報が記録されるため抜け漏れが発生しません。たとえ忘れてしまっても、配送ルートや走行速度、停車の時間、時間内の走行距離などを組み合わせて分析することで、どこで荷待ち時間が発生したかを割り出すことが可能です。

システムやデバイスに搭載されるGPSの位置情報に基づいて記録されたデータは、荷主側との荷待ち時間を合理的に解消するための交渉材料にできるでしょう。

輸送効率と輸送品質の向上

トラックの到着予定時刻や現在どこを走っているかといった位置情報の取得ができるため、貨物と空車の情報を共有するなどして輸送効率アップが望めます。地方では規制が穏和された貨客混載によって、効率化と公共交通維持が期待されています。

ドライバーの運転情報からは、どのタイミングで車体がどれぐらい傾いたかを検知することができるため、品質管理の改善へと繋げることもできるでしょう。

 安全性の確保

社用車による交通事故が発生すると、輸配送の遅れや貨物の破損、代わりのトラックの手配などコストの負担とともに社会的な信用も失いかねません。事故の原因と要因を特定して予防策を講じたい、危険運転が検知されたときにアラートを出したい、安全運転を行ってもらうためにもドライバーの疲労や体調の状態を把握したい。システムやデバイスであれば、そうしたニーズにも応えることができるでしょう。

 

「車両管理」は企業の財産を守ることと同じ

日々の業務に追われて社用車の管理を怠っていると、業務中の思わぬ事故を招いて多くの責任と損失を受ける可能性が高くなってしまいます。事業が成功してたくさんの利益を得ても、それが損害賠償金の支払いに消えてしまっては元も子もありません。

経営において、100万円の利益を出すことと、100万円の損失を未然に防ぐことは同じ価値を持つ』というリスクマネジメントの格言を心に刻み、車両管理をしっかりと行って大きな損失を未然に防げるような体制を構築していきましょう。

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