投稿者: sasaki

  • 世界が注目している?中国で進むスマートシティの取組とは

    世界が注目している?中国で進むスマートシティの取組とは

    IoTやビッグデータなどの先端テクノロジーを活用して各インフラサービスを効率的の運営・管理し、そのうえ環境にも配慮しつつ市民生活の質を高める。そのようにして持続可能な経済発展を目指すのがスマートシティ構想です。すでに世界中でプロジェクトが動き出しているスマートシティですが、中でも100を超える都市で具体的かつ活発に取り組みが進んでいるのが世界第2位の経済大国の中国です。

    今回は、今や先進国となりつつある中国における、スマートシティ/スーパーシティ構想やその概念について、具体的な事例を交えて詳しく解説します。

    実は先進国?中国のスマートシティ/スーパーシティ構想

     

    スマートシティ構想は、2050年には約95億人を超える世界人口予想を受け、エネルギー消費の爆発的増加を懸念したことから、IoTなどの先端テクノロジー活用による省電力・省エネ化により、限りある資源を次世代に残していこうという考えから生まれたものです。そして、人口増加が著しい中国においては、かなり早い段階からスマートシティへの取組が動き出しており、2006年の「第11次五ヶ年計画」ではエネルギー消費量20%減など、具体的な目標値がすでに盛り込まれていました。

     

    2010年には、パイロット都市として、後に紹介する武漢市・深セン市でスマートシティ建設が開始すると、次のように中国は国を挙げてスマートシティ構想を具体化するスピードを速めました。

     

    • 2011年・・・第12次五ヶ年計画を交付、高効率エネルギー産業の開発や、スマートグリッド設備の建設を明言。
    • 2012年・・・スマートシティ開発プログラム へ参加する都市の登録資格要件の制定。
    • 2014年・・・国務院、「全国新都市計画」を発表、同8月「スマートシティの健全な発展の促進に関する指導意見」を交付。
    • 2016年・・・第13次五ヶ年計画を公布、初めてスマートシティの取り組みを計画内で明言。IoTやビッグデータなどを発展させた、都市インフラのスマート化や公共サービスの利便化。

     

    その結果、中国国内で2018年時点における建設中のスマートシティは500を超えます。これは世界一の経済大国アメリカの約12倍に相当し、ヨーロッパ各国はもちろん、成長著しいインドや日本では足元にも及ばない、スマートシティ先進国へと成長したのです。

    出展:環太平洋ビジネス情報「スーパーシティ開発で先行する中国

     

     

    スマートシティの開発においては、高度なIT技術を持つ民間企業との連携が不可欠ですが、政府による強固な主導体制の元、スマートシティ開発の主力として同国の4巨人企業、「PATH」が積極的に参加したことが大きいと言えるでしょう。「PATH」とは、平安(Pingan)・アリババ(Alibaba)・テンセント(Tencent)・ファーウェイ(Huawei)の頭文字をとった総称です。これら巨大企業が業種の壁を越え、政府と協力体制を築き上げてきたことで中国はスマートシティ構想の旗手になり得たのです。

    中国におけるスマートシティの概念

    スマートシティ構想は、世界中の国々が取組みを進めていますが、なぜ中国だけが諸国を圧倒的に引き離すほどの成長を遂げたのでしょうか。それは日本や欧米とは大きく異なる中国ならではの国内事情に秘密がありました。

    2000年代に入り、中国経済は飛躍的に発展します。併せてエネルギーや交通インフラが整備され、大都市部における市民の生活水準が飛躍的に向上しました。しかし、あまりに広大な国土ゆえ地方都市では同じような発展ができず、各インフラを一から整備する資金も資源もノウハウも足りないまま、大都市と地方との生活格差が深刻な問題となってしまいます。

    そんな中、少ない資金で効率の良いエネルギー消費や、シームレスな移動を可能とするスマートシティ構想が、元々インフラ整備の行き届いていた欧米・韓国・日本より、必要性や実現性の面において見事、「国内事情にハマった」のです。

    “移動”に焦点を絞って、もう少し分かりやすく解説しましょう。家から目的地まで電車やバスなど既存のインフラでスムーズに移動できる日本で、「より一層スマートな移動を提供します」と声高に叫んでも、市民の琴線にはなかなか触れないもの。一方、地方ではバス・電車の数時間待ちや日常的な遅延が当たり前、都市部では自動車が集中し大渋滞が頻発する…そんな社会問題を抱えていた中国では、「もっとスマートに移動できますよ」と号令をかければ、多くの都市や企業が手を上げるのも至極当然のことかもしれません。

    スマートシティという概念自体が異なるわけではなく、スマートシティ化によってもたらされる市民生活の向上が望まれていること、そして参画によって企業のビジネスチャンスが望めること、それが中国と他国との違いです。

    具体化・実用化が著しい中国のスマートシティ事例

    前項まで、中国においてスマートシティの実現スピードが早い理由について解説しました。この項では、現在、絶賛進行中である具体的なスマートシティ開発事案について代表的な事例を紹介しましょう。

    事例1:国家をあげての大プロジェクト!河北省・雄安新区

    日本や欧米各国と比較して中央政府の求心力が強い中国において、その成功例と言えるのが、習近平総書記肝いりの「千年大系」として2017年、保定市の雄県・安新県・容城県などに設置された、国家級新区「雄安新区」です。

    同地区はもともと果樹園が広がるのどかなエリアでしたが、先端テクノロジーを有するIT企業の誘致や研究機関を集積する計画が現在進行中であり、130km離れた北京市の非首都機能(教育・医療・行政の一部)の移転先となる予定です。一種の「学術研究都市」のようなものかと思いきや、スマートシティ化も着々と進んでおり、同地区内では百度(バイドゥ)が主導し、ホンダ・BMWなど自動車大手が参画する「アポロ計画」による自動運転バスが巡回。

    また、目を移せば自動小型清掃車がゆっくりと動きながら地面を掃除し、雨水循環システムを採用しリサイクル可能な素材でできた建物が建っています。この建物は最新IT技術を取り入れられるよう、10年スパンでの建て直しを前提としています。

    レストランやマクドナルド、スターバックス、書店、映画館など、生活に必要とされる店舗が一通りそろった街の中でもっとも観光客から注目を集めているのが、アリババに次ぐ中国ネット通販2位の位置を占める、京東集団の「無人スーパー」です。店頭にあるQRコードを「微信(ウィーチャット)」のアプリで読み込んで顔写真を登録すれば、顔認証によりゲートが開きます。そのまま入店して品物を手に取り出口に行くと、商品に貼られたRFIDタグを読み取り、顔認証と組み合わせてウィーチャットで支払いが完了。

    現時点ではまだハコモノ優先ですが、国内大手企業だけでなく日系企業であるパナソニックや日立製作所も事務所を開設したり、2020年には首都・北京との間で「京雄都市間鉄道」が開通予定だったりするなど、中国政府は2050年に人口1000万人のスマートシティが出来上がるとしています。

    事例2:新型コロナからの復興!河北省・武漢市

    最近ではすっかり「新型コロナ発祥の街」というイメージが先行している武漢市ですが、パイロット都市として中国政府が真っ先に目を付けた都市でもあります。2020年4月には、テンセントが投資強化による連携を表明しました。同社は、デジタル行政・スマート教育・スマートモビリティ・AI・セキュリティの分野で武漢市と緊密に連携し、

    • テンセントスマート教育基地・テンセントスマートモビリティ基地の設立。
    • 自動車産業デジタル化のための人材育成。
    • コネクテッドカー分野におけるイノベーションやインキュベーション促進。

    などの推進により、今後3年以内に湖北省での人員規模を現在の4倍に拡大するとしています。

    また、中国で次世代高速通信規格「5G」の基地局建設が活発ですが、省経済情報技術局によると、河北省は新型コロナで疲弊した経済復興の起爆剤とすべく、省都武漢市を中心として5G向け基地局を今年度内に5万局設置する計画です。

    通信インフラの整備こそ、IT技術をフル活用するスマートシティ建設の肝となります。首都・北京ですら3万局の設置計画に留まっていますから、同省がいかに武漢市のスマートシティ化に力を入れているかが良くわかるでしょう。

    事例3:IT特区として飛躍中!広東省・深セン市

    深セン市を中心とする珠江デルタは、長らく世界の工場として中国経済を牽引していましたが、労働力不足と賃金上昇を背景に労働集約型産業の国際競争力低下が顕著になっていました。

    そんな中、深セン市はファーウェイ・ZTE・テンセン・DJIなどの国内大手企業を担い手に、イノベーションによる産業高度化で成果を上げ、アップル・マイクロソフト・クアルコムなど海外企業の誘致に成功。「アジアのシリコンバレー」と呼ばれる発展を遂げました。

    深セン市が、わずか30年で30万人の人口から1,400万人を超える大都市に発展を遂げた理由はスピード感です。他国・他地区だと数週間以上かかる試作品開発も、深センに持ち込めば数日で完成するとさえ言われています。業界内で「深センスピード」とも呼ばれる圧倒的な製造速度は、金融・通信・運輸・IT業界にも共通しており、政府によるスピーディーなベンチャー企業支援施策により、現在では5万を超えるファンドが新技術開発に48兆円超の資金を投じています。

    その結果、深セン市は先進技術を提供する世界的IT都市であると同時に、無人店舗の普及とキャッシュレス化や顔認証による決済の導入、無人運転システムを用いた「アルファバス」の運行など、IoTと生活インフラが密に結び付いた最先端技術を実感できる、スマートシティとしてもすでに機能し始めています。

    このように深セン市の爆発的成長は留まることを知りませんが、その秘訣である「深センスピード」を支えているのは、近年参入した大企業でも国際的ベンチャーでもなく、「作坊」と呼ばれる小規模・零細の工場にほかなりません。作坊は、元来中国の得意技である「大規模・大量生産・薄利多売」には不向きですが、精密なIT機器などを短期間かつ正確無比に作り上げる能力に長けており、この特徴は日本のいわゆる町工場にも共通します。

    深セン市は今や中国、いや世界経済を牽引する存在まで発展しており、日本も乗り遅れまいと2018年、ジェトロによる日中関係機関との提携を行い、深セン市でスタートアップ起業を支援するプロジェクトを開始しました。

    日本も全く同じようにとは言いませんが、国内の町工場に注目して資金を投資することで、「日本ならではのスマートシティ」を形作るヒントが見えてくるかもしれません。

  • モビリティデータの分析で実現する拠点間移動の最適化

    モビリティデータの分析で実現する拠点間移動の最適化

    スマートドライブが提供するIoTデバイスをシガーソケットに取り付けるだけで、車の位置情報だけでなく、急ブレーキ・急加速・急ハンドルなど様々なモビリティデータを簡単に取得できます。

    蓄積された膨大なビックデータを分析することで、様々な気付きを得ることができます。今回はその一例として、拠点間の移動データを分析するこで「拠点の統廃合」や「拠点間移動の最適化」をどのように行うべきなのか、モビリティデータコンサルタントの山本がわかりやすく紹介していきます。

    Mobility Data Scientist
    山本 剛央(やまもと たかひさ)

    モビリティデータとは?

    モビリティデータと言っても、まずは車両からデータを得るために機器が必要となります。トラックなどに搭載されるデジタコや、通信型のドライブレコーダー、スマートドライブも提供しているシガーソケット型のデバイス、またスマートフォンからも取得が可能です。

    機器それぞれによって、取得できるデータの種類やタイミングは多岐に渡りますが、まず間違いなく存在するのが緯度経度の情報です。数秒毎に現在地の緯度経度が記録されており、この緯度経度のデータを扱うことで「いまどこにいるのか」や「どこからどこへ移動したのか」を把握することができます。

    拠点間の移動を分析する

    今回は複数の拠点から取得された走行データと緯度経度を活用して「移動効率の悪い走行を可視化する」手法についてご説明します。

    例えば以下のような比較的近接する拠点Aと拠点Bが存在する場合を想定します。

    (拠点Aが西側, 拠点Bが東側)

     

    A, Bそれぞれの拠点から、複数の目的地へ車両での移動が発生します。社用車であれば取引先への訪問、業務上必要な回収作業、配達作業などが考えられます。

    では、早速ですが、ある期間における各拠点からの走行による、目的地を可視化してみましょう。

     

    (オレンジが拠点Aからの移動,ブルーが拠点Bからの移動)

     

    拠点が近接していることもあり、同じような場所への移動や、他の拠点から移動した方が移動距離が短く済みそうな移動が散見されます。業務の目的や性質によってはこの状態に何の問題もない可能性はありますが、今回は「拠点毎の移動に効率の悪い走行が発生している」と仮定して分析を進めていきます。

    目的地は所属拠点から向かった方が近いのか?

    まずは「効率の悪い走行」を図るために必要な指標を決めていきます。今回は「拠点から目的地までの距離と時間」の観点で可視化をしてみたいと思います。

    各拠点が存在する場所の緯度経度と各走行目的地の緯度経度の直線距離を計算して求めます。そして、直線距離を求めることができれば、以下のような指標も同じように計算で求めることができます。

    【指標1】出発拠点から目的地までの移動時間
    【指標2】目的地は所属拠点から向かった方が最も近いのか否か

    計算されたデータのイメージはこのような形です。

    例えば「指標2」を活用すれば、特定の移動は所属する拠点から向かった方が近いのか否かを判定することができ、「効率の悪い走行」を見つける目安となります。

    目的地は自拠点から向かうのが最も近いか否か?

    計算したデータをグラフにしてみてみます、値は移動の件数です。

    拠点Aの走行は他拠点から向かったほうが走行距離が短く済む「No」の数が多く、効率の悪い移動が多いと言えそうです。反対に拠点Bに関しては半数以上は効率の良い移動ができていると言えます。

    移動距離以外の指標もみてみる

    上記の手順で「所属拠点から向かった場合が最も近いのか」が判定できれば「最も近い拠点はどこか」も判定できます。さらに「もしも最も近い拠点から移動していた場合の距離と時間」も導きだすことができるようになります。

    それらの指標がわかると他にも様々な指標を計算することができるようになります。

     

    • 最も近い拠点から向かった場合、削減される燃料費
    • 全ての走行を最も近い拠点から移動するようにした場合の総削される移動時間
    • 他拠点からの目的地が自拠点周辺に集中している拠点のランキング
    • 仮に最も近い拠点から目的地に移動した場合の直線距離と差分距離
    • 仮に最も近い拠点から目的地に移動した場合の移動時間と差分時間 (理論値)

    また主旨とは少し異なりますが、スマートドライブのデバイスは車両ごと取り付けできるため以下のような分析も可能です。

     

    • 拠点から遠い目的地によく移動している社員一覧
    • 拠点から遠い目的地への訪問回数

    これらは直線距離で計算しているため理論値にはなってしまいますが、傾向を掴むには十分と言えます。

    モビリティデータの分析から得られる示唆と効果

    これらの分析の結果が目的に合った施策を進める材料になり得ます。

    例えば今回の例であればモビリティデータの分析から、以下のような示唆が得られます。

     

    • 拠点Aと拠点Bは統合して1つの拠点にした方が移動効率が上がる
    • 分析結果を元に、目的地の担当拠点を分配し直す

    そして、これらの施策を実行した場合、共通して以下のようなメリットが得られるでしょう。

     

    • 社員の営業生産性の向上
    • 労働時間の削減
    • 燃料費が削減
    • 移動距離削減による交通事故の削減

    このようにモビリティデータを取得すること、シンプルな車両管理に限定されない様々な分析を行うためにも活用することができます。

    いかがでしたでしょうか?少しでもモビリティデータの活用に興味を持っていただけたら幸いです。また、モビリティデータの利活用についてさらに詳しく知りたいかたは下記の資料をダウンロードくださいませ。

  • MaaSの実証実験を成功するため必要なこととは

    MaaSの実証実験を成功するため必要なこととは

    移動をシームレスなサービスへと進化させる「MaaS」。メディアで取りざたされるようになって数年、日本各地で実証実験が行われるようになりましたが、いずれも身近なサービスとして運用されていると感じるものはわずかに感じるかもしれません。

    MaaSの普及で社会的課題の解決と経済発展の両立を果たすには、前段階となるPoCを成功させ、MaaSという概念が実用可能であることを示す必要があります。しかし、そこには日本ならではの課題があり、問題を複雑化させているようです。

    PoCとは

     

    概念実証とも訳されるPoC(Proof of Concept)は、新しい概念やアイデアが実現可能かどうか、効果・効用・技術的な観点から検証する行程を指します。本格的な導入の前段階として投資判断のために検証を行うという意味では、PoCと実証実験は同義と言えるでしょう。

    本来、PoCは医療業界における新薬の実効性や、映画界でストーリーがCGで再現可能かを検証する際に使われていた用語ですが、近年ではMaaSの中核を担うIT業界でも重視されています。PoCがIT業界で注目を集めた背景には、業務効率化などのコーポレートITから、経済発展と社会貢献に寄与するビジネスITへと領域を拡大したからなのだとか。

    ビジネスITとは、先進ITテクノロジーを駆使して新ビジネスの創出を目指す動きで、実現のためには企業と消費者双方が「スクラップ&ビルド」を果敢に推し進めなくてはなりません。しかし、企業側からするとシステムの破壊と新構築には多大な損失や資本投資が必要ですし、消費者としても実益がなければ、すでに普及している商品やサービス、インフラなどを手放すことはないでしょう。

    つまり、損失・資金投資に見合う利益を企業にもたらし、生み出したビジネスが消費者にとって魅力あるかを検証し、スクラップ&ビルドの判断材料となる明確な根拠を示すこと、それがMaaSという新概念におけるPoCです。

     

    PoCを成功させるためには?

     

    PoCでは「新システムが技術的に実現可能か」「ビジネスの根幹である費用対効果」「ユーザー目線に立った有益性」の3つを検証の軸とし、それぞれにおいて、十分に採算が合うと確信を持ち、消費者が有益性を実感できるだけのプロトタイプ提供にまで至れば、成功だと言えるでしょう。

    PoCを成功に導くポイント1 目指すゴールを明確にする

    PoCに取り組んでいる企業は数多くあるものの、ほとんどが延々と実証実験を繰り返す「PoCの無限ループ」にはまっていることが多く、MaaSの場合はその傾向が特に顕著です。

    たとえば、トップが「山に登るぞ!」と宣言したとしましょう。ゴールである山が高尾山や御嶽山ならハイキング程度の準備と心構えで十分ですが、エベレストなどの世界最高峰クラスを目指す場合は万全な装備と厳しい訓練が必要です。残念ながら、国内企業の多くは目指すゴールがやや不明確なところが多いのか、PoCが目的化し、次第にプロジェクトメンバーのモチベーションが低下、プロジェクト自体が自然消滅することも…。

    明確なゴール・アクションプランを定めるべきかもしれませんが、MaaSは広範におよぶ概念であるため、ジャンルを絞り込んでスモールスタートをした方が、ゴール・アクションプランの設定がスムーズになるかもしれません。スモールスタートから、一定の成果が確認できれば、新システムの実現度や費用対効果が明確になり成功へと近づけるでしょう。

    PoCを成功に導くポイント2 全ての実証データを可視化・共有する

    MaaSにおけるPoCのスモールスタートを提案したのは、スムーズなゴール・アクションプランの選定だけではなく、コスト・時間・労力の節約に加え、実証データの正確な分析や共有が容易なためです。

    多くの企業がPoCに失敗しているのは、風呂敷を広げ過ぎたことで収集した実証データが膨大になり、扱い方がわからなくなってしまうことが原因です。IT専門部署内であれば分析・共有も容易かもしれませんが、そもそもPoCへの理解が浅い場合、単なる数字の羅列を提示されても、ゴールがどこで、到達するためには何が必要なのか、誰が何をすべきなのか、スムーズに理解することができません。

    一方で、ある程度焦点を絞れば、取り扱う実証データを絞り込み、実務に即したアクションプランを策定し、PoC成功に不可欠なベクトルの統一を図ることができます。肝心なのは、可能な限り「現場と近い環境」で検証を実施することです。

    PoCを成功に導くポイント3 ユーザーのメリットを追求し周知徹底する

    PoCを成功させる最大のポイントは、利用者へのメリットをを明確にさせること。

    たとえば、「1つのデバイスで多くの書籍を楽しみたい」と考える電子書籍愛用ユーザーに向けて家庭用ゲーム機の様なカートリッジ式のデバイスをリリースしても、購入してもらえるでしょうか。音楽・映像・ゲームなどの配信サービスが流行っているのはそのためです。

    「なるべく1つのデバイスで完結させたい」という現在のトレンドは、モビリティをシームレスに繋ぎ、1つのサービスとして提供するMaaSの基本概念と合致するため、一見すると簡単にメリットが提供できるように感じられます。

    しかし、交通網が発展し地方の自家用車保有率が高い日本では、MaaSの普及によって得られる、予約・配車・決済の一元化やラストワンマイルの確保など、利便性の向上に繋がるメリットを感じにくい環境にあります。また、交通渋滞の解消や排気ガスの減少など、社会的問題の解決をしきりに訴えてもユーザーの心を簡単に変えることは難しいですし、ドライバー不足や過疎地での交通弱者問題に終始しても、MaaSを爆発的に普及させる大きな原動力は得られないでしょう。

    ユーザーの興味を引くためには、自家用車の維持コストを節約できるなど、メリットを前面に押し出すことが大切です。PoCを進める中でモデルサンプルを準備し、自家用車からMaaSサービス利用にスイッチした場合に維持コストを月額いくら節約できたかなど、可能な限り具体的で分かりやすい実証例を作成しましょう。それをユーザーに提示し、納得してもらうことができれば、成功は目前だと言えるかもしれません。

    MaaSのPoCが進まない日本ならではの理由とは

     

    前項でモビリティ社会が成熟している日本では、MaaSで得られるメリットを強く実感できないと述べましたが、MaaS先進国の一角であるドイツ、アメリカ、中国なども、同じように世界屈指の自動車大国です。にもかかわらず、国内でなかなかMaaSが普及しないのは、日本特有と言える2つのハードルが存在するからだと考えられます。

    ハードル1「ビジネスとしての確立と継続的な成長」

    MaaSには、中核を担うモビリィティサービス事業者、プラットフォーム開発に当たるIT・情報関連各社、システム運用を手掛けるオペレーター企業など、さまざまなポジショニングが挙げられます。

    モビリィティサービス事業者であれば、ドライバー不足の解消や業務効率化による生産性の向上、稼働台数最適化でのコストカットといったメリットが期待される半面で、資本投資という大きなリスクを背負うことになります。そのため、自社がどのポジションを担いどの程度の配分で資本投資すべきなのか、判断・決定することが難しいのです。

    加えて、従来から山積する問題やコロナ蔓延の影響から、経営地盤が疲弊状態にある企業も多いため、すでに参入もしくは近々参入を予定していた場合でも、資本の追加投資や新たなコスト発生に二の足を踏んでいるのが現状です。

    MaaSは、どのポジションが欠けてもビジネスとしての確立が難しく、参入企業の増加と継続的な資本投資がなければ成長しませんが、ポジションニングが複雑でマネタイズのポイントが分かりにくいため、成果の逆算で参入の是非を決めるPoCがなかなか進まないのです。

    これは世界共通の課題といえますが、特にMaaSの普及が数歩遅れた日本では、ドイツの「キクシット」のように模範となる成功事例が著しく乏しいため、成功を妨げる巨大なハードルとして立ちふさがっているのです。

    ハードル2「官・民をまたぐ協力関係の弱さ」

    こちらの方が日本特有のハードルと言えるかもしれません。日本国内では鉄道の相互乗り入れや交通系ICカード決済での協調は徐々に行われきたものの、船舶・航空・陸送などそれ以外の運輸・物流業者間では、長きにわたって競争関係が優先されてきました。

    そのため、業務連携に不可欠な協力体制強化の下地がほぼなく、情報の統合であるレベル1実装が今の限界で、レベル2に挑んでいるのはごくわずか。ユーザーの利便性が大きく向上するであろう予約・決済を統合するレベル3は実現への糸口が見つかっていません。

    MaaSの完成形であるレベル4・政策の統合においては、政策統合による法改正などが進まなければ、真の意味でMaaSの実効性を確かめることができません。今、実現可能なのはレベル2・3の実証実験により、根拠となるデータを政府関連機関に提示・規制緩和を働きかけることですが、協力体制構築の下地がない日本ではレベルに関わらず、業務統合に対する抵抗感が海外と比較し非常に強いのがネックだと言えます。

    まとめ

     

    統合規模を拡大し、官・民を巻き込んだ強固な協力関係を構築できるか否か、これが日本におけるMaaS最大の挑戦かつPoC成功へのラストワンマイルかもしれません。

  • 中国が取り組むスマートシティの国際規格

    中国が取り組むスマートシティの国際規格

    最先端技術を活用してスムーズな交通、効率の良いエネルギー運用、行政データの統合で最適化した都市をつくる。そんな未来像を現実にしようと進められているスマートシティ構想。それは日本だけでなく、世界中で取り組まれていますが、中でも一歩先を進んでいるのが中国です。

    中国では、コロナの感染症防止を目的として都市を“監視する”仕組みを導入しようとしており、これに対し、日本政府は今後の国内外の都市開発で日本企業が不利になるかもしれないと危機感を抱いています。その理由とは?

    なぜ、スマートシティの国際規格に関するニュースが話題になっているのか

    AIやビッグデータ、自動運転技術など、スマートシティを実現するには多くの構成要素と最先端技術が関連します。そのため、構想はあるけど、まずは何をどのように着手すべきかという、実現よりはるか手前に課題があると考えられていました。このような課題を解決してスマートシティ構想の実現を進めるために、世界貿易機関(WTO)は加盟国に国際基準に基づく国内基準を設けるよう求めており、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)、国際電気通信連合(ITU)など、多様な標準化機関が規格を作成しています。しかしながら、10,000件を超えるスマートシティ関連規格が乱立するという、“別の”課題が浮上しているのです。

    そんな中、8月初旬に注目を集めたのが、「日本政府は中国がスマートシティ国際規格で先行することを阻止しようとしている」というニュース。一体どういうこと??と目を疑った人も少なくはないでしょう。

    内容の詳細は公表されていませんが、新型コロナウイルスを抑え込むための住民監視システムに関連するもので、中国がスマートシティー分野で国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)の技術委員会に国際規格を提案中とのこと。そのうち3件の採否は、技術委員会で参加国の3分の2以上の賛成によって12月には決まりますが、日本は米欧各国と連携して阻止を目指すとしています。中国ではコロナ以前より、街中に設置された2億台ものカメラによって国民の生活が監視されていたり、スマホやPCでの行動履歴が全て収集されたり、膨大な個人データで一人ひとりが格付けされたり、国が個人情報を全て収集する監視社会の体制が問題視されていました。コロナが蔓延してからは、国民の移動を追跡するアプリを開発し、GPSによる位置情報や診察履歴など、一人ひとりの個人情報を大量に収集し、リスクを判別しています。

    中国が国際基準をつくることになれば、日本政府の調達事業も中国企業に有利な方向に動いてしまう。そういった懸念から、日本政府は国内外の都市開発事業を中国に奪われかねない、そして安全保障上の危機に懸念を抱き、阻止をすべく動き始めたというわけです。

    中国におけるスマートシティの動向

    中国は現在、環境からエネルギー、交通インフラ、通信、人口、教育、健康など、都市を構築する幅広い分野において、国を挙げてスマートシティの建設に取り組んでいます。

    そもそも、中国がスマートシティに取り組み始めたのは2000年代のこと。現在のスマートシティの前身となる取り組みが、2006年に採択された、第11次五ヵ年計画でした。これは、省エネ化や環境保全を目的とした循環型経済の構築をベースに立てられたMので、エネルギー消費量を20%下げることが掲げられていました。

    そこから進化を遂げたのが2010年。2008年ごろよりスマートシティ開発の流れが世界で起き始め、中国では武漢と深センをパイロット都市としてスマートシティの開発がスタート。2011年に発表された第12次五ヵ年計画では、スマートシティへの取り組みを強化することが告げられ、高効率エネルギー産業の開発、スマートグリッド設備の建設が開始します。

    2012年にはスマートシティ全国への展開を広げるべく、スマートシティ開発プログラム参加への登録資格要件が定められます。そこから一気にスマートシティ構想は加速。

    2014年、国務院がIoTやビッグデータ、クラウドなど、最先端技術を活用したスマートシティを建設を「全国新都市計画」内で発表。官民や業界の垣根を超えた連携体制で、スマートシティを構築すると明示しました。そして2016年。第13次五カ年計画(2016年〜2020年)において、IoT、ビッグデータ、5Gなどのデジタル技術を活用した都市インフラのスマート化、公共サービスの利便性向上などが明示されました。2018年には、500もの都市でスマートシティの建設および建設目標が掲げられています。

    そして、2018年10月に、国家市場監督管理総局と国家標準化管理委員会が23項目のスマートシティと情報セキュリティに関する国家標準(国家規格)を発表しました。計画から建築自体はすでにスタートしていたものの、多くの都市では統一した標準がなく、各都市における管轄部門が独自に建設を進めてきました。この国家標準が定められたことで、スマートシティの水準と質の向上につながることが期待されているのです。

    まとめ

    2014年、BSI(英国規格協会)は、スマートシティに関する国際規格「PAS 180」(スマートシティ用語規定)と「PAS 181」(スマートシティとスマートコミュニティ戦略立案のガイド)を発行しました。

    「PAS 180」は、デベロッパーやデザイナー、製造業者、顧客がスマートシティに関して意見を交わす際に使用する用語の定義を定めた規格で、これにより将来の都市形成に向けてビジョン、直面している課題やスマートシティの機能について議論する際に、用語の混乱による誤解を防いで意見を集約することが可能になります。また、「PAS 181」は、スマートシティを確立するための意思決定のフレームワークを規定したガイドライン。将来の理想的な都市像に近づけていくための戦略を立て実行していくうえで、より効率的かつ効果的な方法で物事を決めていく方法をフレームワークで示したものです。

    スマートシティの構築は今後ますます加速していきますが、世界の中でも群を抜いたスピード感で実現しようとしている中国の動きには、日本国外で注目されています。今後、日本にどのような影響を与えるのでしょうか?

     

  • “納得感”のある車両削減台数の導き方とは?データサイエンティストが紹介する5ステップ

    “納得感”のある車両削減台数の導き方とは?データサイエンティストが紹介する5ステップ

    コロナウィルスの影響でコスト削減に注力されている企業様も多いと思います。燃料費や保険料などの車両に関わる維持費の削減に取り組むこと必要ですが、そもそも無駄な車両自体を削減した方がコスト削減インパクトがあります。

    そこで今回はモビリティデータ コンサルタントの西澤が走行データを活用した、不要な車両を削減するための考え方や手順について紹介します。

    不要な車両の削減がうまくいかない理由

    はじめまして。データサイエンティストとして、モビリティデータの活用支援をしている西澤です。

    「車両の稼働状況を可視化したい」「不要な社用車を手放してコスト削減したい」という悩みをよく相談をいただくのですが…

     

    • データの収集には工数がかかる
    • データの収集ができても加工や集計方法が分からない
    • 加工や集計をしたものの、色々な解釈があり実際に何台削減できるのか分からない

    といった理由で「不要な車両の削減」というアクションの手前で止まってしまうケースが多いようです。確かに、車両の稼働率・稼働状況を算出し、台数削減を実現することは難しいのです。そこで、この記事ではSmartDriveが提供しているIoTデバイスで取得した走行データを活用して、車両の稼働状況を分析する具体的な方法と、納得感のある車両削減台数の導き方について紹介します。

     

    不要な車両を削減する5ステップ

    [1] 削減可能な台数のポテンシャルを確認

    まずは現状把握することが重要ですので、日々の稼動状況を可視化することから始めましょう。

    車両の稼働状況を把握するために、一定期間内における日次の稼働台数・未稼働台数の平均値を確認します。例えば60台車両を保有していて、期間内の稼働台数の平均が35台の場合、稼働率は60%弱となり、理論上25台分の余剰車両があることになります。

    しかし、全ての車両が毎日稼働している訳ではないですし、車両によって稼働する日がバラバラのケースも多いので、もう一段細かく、拠点別の稼働状況を確認していく必要があります。あくまでこの段階は「組織全体視点の理論上削減最大値」と捉えます。

    [2] 拠点毎の平均台数稼働台数

    次に、拠点毎の削減ポテンシャルを把握します。

    商習慣やターゲット層、車両を使う従業員数は拠点によって大きく異なり、車両の台数や使われ方も変わってきます。ですので、組織全体視点での稼働状況だけでなく、拠点毎に絞って稼働状況を確認していく必要があるのです。ここでは、拠点毎の平均値に加えて稼働台数の最大値も見るようにしましょう。最大値を見ることで、拠点で保有している台数と最大稼働数との差から、ざっくりと削減可能な台数を見積もることができます。

    <拠点別の削減目標ラインの確認>

     

    上記を拠点毎に繰り返し、拠点別の最低・最大の削減台数を算出し、それぞれの削減台数目安として仮の目標を設定します。

    <拠点別の削減目安の確認>

     

    [3] 削減対象車両の優先度付

    続いて車両単位での稼働状況を確認していきます。いよいよ、移動距離や稼働日数の情報を基に、どの車両を削減対象としていくのか決めていきます。例えば以下のように分類します。

    【優先度:高】稼働日数が全体と比較して、明らかに少なければ問答無用に削減対象にする。

    【優先度:中】 稼働が比較的少なく、1回の稼働あたりの走行距離が少ない場合、公共交通機関の利用を検討する。

    【優先度:低】稼働が比較的少なく1稼働あたりの走行距離が多い場合はもっと近い拠点のメンバーが訪問し、移動距離の最適化を図る。もしくはレンタカー、カーシェアのランニングコストとの損益分岐点を確認し、コストの安い方を採用する。

    <車両別の稼働状況>

    [4] 時間帯別の利用状況の確認

    さらに細かく、時間帯別の稼働状況を確認します。車庫(駐車場)から車両が出ている時間帯や実際に稼働している時間帯をベースに、車両の稼働状況を把握し、拠点ごとに定めた削減後の台数で移動ニーズを満たせるかどうかを確認します。
    日単位ではなく時間帯毎に見ることで、1日の中で頻繁に稼働している車両やごく一部の間帯で稼働している車両が分かります。例えば、特定の時間帯に稼働が集中している場合は移動が伴う業務を従業員間で調整することで、さらに削減できる可能性も見えてきます。

    <時間帯別の車両稼働状況>

     

    [5] 各拠点の管理者へヒアリング

    最後に、各拠点の担当者と削減後の業務影響を確認し、最終的に削減する台数を確定させていきます。ここでは削減検討に至った経緯として1~4で行った分析結果を元にコミュニケーションを行うことで、納得感が増します。

    また、むやみやたらに削減を検討するのではなく、削減以外の選択肢も考慮した上で最終的な意思決定をすることが大切です。例えば、自家用車を持っていない社員に社用車をレンタルする、地域や自治体と協力し余剰車両の貸出しサービスを検討するなど、車両を有効に活用するためのアイディア次第で、削減以外の様々な打ち手が見つかるもしれません。

    最後に

    スマートドライブが提供しているMobility Data Platformでは上記を1〜4までを簡単に導き出せるダッシュボードを活用することができます。期間、曜日、拠点の3つの条件をいれるだけで、削減ポテンシャルの確認から、各拠点毎の稼働状況、削減台数の目安、削減優先度の高い車両の特定が簡単に行なえます。是非とも、ご活用ください。

  • トヨタが加速させる!MaaSの取り組み

    トヨタが加速させる!MaaSの取り組み

    人々のライフスタイルや価値観の変化、さらにそこへ直撃をしたコロナという変化により、自動車業界全体が変化を余儀なくされました。そんな中、トヨタは何年も前から自社を変化させるべくさまざまな実証実験を試み、挑戦し続けています。本記事では、そんなトヨタが推進しているMaaS事業について紹介します。

    Autono-MaaSという概念から誕生した次世代モビリティ「e-Palette 」

    2018年1月、米国はラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー展覧会「CES」において、豊田社長は「クルマを作る会社から人々の様々な移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革し、全ての人に移動の自由を、喜びを与えることができるような会社を目指す」と述べました。そして、この言葉を体現するように、電動化、コネクテッド化、自動運転化の技術を駆使した次世代電気自動車「e-Palette Concept(以下、イーパレット)」を発表。

    イーパレットは、「Autono-MaaS(※)ビジネスアプリケーションに対するトヨタのビジョンを示した一例」で、ライドシェアなどの移動から、物流、輸送、リテール、さらにはホテルやパーソナルサービスに至るまで、様々な用途をサポートするオープンでフレキシブルなプラットフォームとして展開することを目的に開発されました。モビリティをたんなる“移動手段”として捉えるのではなく、多目的な使い方ができるプラットフォームとして活用することで、新たな価値を創出しようとしているのです。

    そしてすでにウーバー・テクノロジーズ、アマゾン・ドット・コム、ピザハット、ディディなど、誰もが知っている大手企業と連携し、今までにないビジネスを展開しようと取り組んでいます。

    ※「Autonomous Vehicle(自動運転車)」と「MaaS(モビリティサービス)」を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語。

    ソフトバンクとの協業で、Autono-MaaS を事業化

     

    トヨタは自動運転や新たなモビリティサービスの創出を実現するために、2018年9月にソフトバンクと提携し、モネテクノロジーズという会社を立ち上げました。モネテクノロジーズは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサーデバイスなどからのデータを収集・分析して新しい価値を生み出すソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させた新しいモビリティサービスを提供する企業です。
    同社では、数多ある社会問題を解決するために、コンビニ、スーパー、宅配など、業界の垣根を超えた連携が必要だとして、「MONET コンソーシアム」を設立。現在はコクヨ、伊藤園、コナミ、TOTO、フィリップス、ウェザーニュース、サントリー、ヤフーなど、多種多様な450社以上が参画し、モビリティを基盤に個々の強みを掛け合わせながら、人々の生活をより良いものへと変えるMaaS事業を次々と生み出しています。

    コネクテッドサービスの強化で海外への展開も

     

    CASEの中で、最も実現性と実用性が早いと考えられているコネクテッド。この分野に関して、トヨタは2016年にマイクロソフトと共同で車両から得られる情報集約、活用に向けて新会社、Toyota Connected,Inc.を米国に設立しました。車両通信機が装着されたトヨタ車、レクサス車から得られるさまざまな情報を集約するトヨタ・ビッグデータ・センターを運用し、より良いクルマ作りに向けたビッグデータの研究と活用を行っています。

    また、2018年4月には、欧州市場のモビリティサービスニーズへの対応と情報セキュリティ対策を促進することを目的に、TOYOTA Connected Europeを設立しました。さまざまな機能を包括的に備えるトヨタのモビリティサービスプラットフォームの開発を強化し、GDPRを含む情報セキュリティ対策にも取り組んでいます。

    コロナに打ち勝つ!?小型モビリティのシェアリングサービス


    コロナの感染拡大によって、リモートワークや外出自粛など、人ごみを避ける、そもそも移動をしないという生活が人々の日常になりました。とはいえ、自粛が解除されてからはオフィス通勤が復活した方も多いはず。そこで注目されているのが、満員電車でのリスクを軽減するための移動手段、小型モビリティの活用です。

    パーソナルな乗り物と公共交通を最適につなぎ、シームレスで快適な移動と地域の交通課題解決をサポートするHa:mo(ハーモ)という次世代の交通システムづくりに取り組んでいるトヨタは、パーク24と協業し、乗り捨て可能な小型モビリティのカーシェアリングサービスを展開しています。パーク24が運営するタイムズカープラスへの入会が必要で、現在は千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、墨田区、江東区の7区内で利用ができます。講習不要で乗れる小型モビリティのCOMSは15分220円〜。密を避けたい、買い物でちょっと移動したい、など、小回りのきく小型モビリティならではの利用シーンは今後も増えていきそうです。

    マイルート

    「もっと移動したくなる未来へ」をコンセプトに、電車やバス、タクシー、レンタカー、カーシェア、サイクルシェアなど多様な移動手段を組み合わせた移動ルートの検索、乗車予約・決済、フリー乗車券の購入・利用、ルート周辺の店舗・イベント情報を提供するスマホアプリがマイルートです。同アプリには、事故や渋滞時など、道路状況を反映した交通手段や最適なルートを提案するなど、ユーザーの利便性を向上させる仕組みが取り入れられています。
    対象地域は横浜、北九州、福岡、水俣エリアと限られていますが、今後、サービスとともにエリアの拡大も期待されます。
    なお、マイルートは先日行われたIAAE(国際オートアフターマーケットEXPO)実⾏委が主催する「MaaSアワード2020」において、アプリ部門を受賞しました。

    トヨタが描く未来都市〜ウーブンシティ構想

    5月、AIやビッグデータなどの先端技術を活用したスーパーシティ構想を実現する改正国家戦略特区法、いわゆるスーパーシティ法が通常国会で成立しました。規制改革を伴う複数分野のサービスを生活に実装し、2030年ごろの「まるごと未来都市」の実現を加速させようとしています。

    トヨタでは、一足先にCES2020で実証都市「ウーブン・シティ」と呼ばれるコネクテッドシティの構想を発表しました。実際に、年末に閉鎖予定の静岡県裾野市の工場跡地を利用し、2021年初頭よりまちづくりを開始するとのこと。

    人々が実際に暮らす環境のもと、NTTをはじめとするパートナー企業や研究者と連携しながら自動運転やパーソナルモビリティーなどを活用したMaaSはもちろん、ロボット、スマートホーム、AIなど多様な技術を用いた新たなサービスの導入・検証を素早く繰り返し、人とさまざまなモノがつながる中で新たな価値やビジネスモデルを創出しようとしています。

    トヨタとNTTの連携は、スマートシティビジネスの事業化を実現するために、長期的かつ継続的な協業関係を構築することが目的です。スマートシティー実現の基盤となるスマートシティプラットフォームを共に構築・実装・運営し、国内外の都市に展開することを目指しています。

    まとめ

    コロナの影響を受けつつも、大胆かつ壮大なプロジェクトに着手するトヨタ。今後の動向に目が離せません。

  • トラックや重機、商用車の売買はどう変化した?トラック王国が見た、コロナ禍における業界の動向

    トラックや重機、商用車の売買はどう変化した?トラック王国が見た、コロナ禍における業界の動向

    この半年間、「コロナ」という文字を見ない日はないと言ってもいいほど、私たちの生活に大きな影響を及ぼした新型コロナ。物流業界では、売り上げと稼働が急増した業種と、輸送量が一気に減った業種とが二極化するなど、明暗が大きく分かれました。

    今回はトラックや重機など、商用車をメインに中古車売買を手がける中古車販売サイト「トラック王国」を運営するNentrysの西田さまに、コロナ前後における中古車売買の変化についてインタビューを実施。トラック王国がコロナ禍で立ち会った、業界の動向や運送業の課題とは…?

    ネントリーズ株式会社
    ICTソリューション部 部長
    西田 慎次様

    中央集約型でクオリティを維持する

    まず、トラック王国の事業内容について教えてください。

    トラック王国は、中古トラックやクレーンなどの商用車をメインに買取と販売を行っている企業です。

    買取(仕入れ)はエンドユーザーや事業者オークション、協力店から委託を受けてトラック王国のWebサイトに掲載するという、3つの方法で行っています。

    お客様はどのような理由で中古トラックを売却されるのでしょうか?

    一番多いのは、古くなったからという理由です。あとは、資金繰りが厳しくなってきたタイミングや、比較的新しくても車両入れ替えのために売却したいというケースもあり、売却理由は多岐に渡ります。

    購入については、トラックだと運送会社などの物流系がもっとも多く、重機であれば建設業、旅館やホテルであれば送迎用バス。また、パッカー車というゴミの収集車を購入される自治体もいらっしゃいます。商用車は「仕事で使う車両」ですので、非常に広い業種のお客様よりお引き合いを頂戴しております

    中古車売買はマーケットも大きく、競合他社も多数いますが、他社と差別化できるトラック王国の強みについて教えていただけますか。

    弊社では現在、5カ所の展示場と1カ所の出張所を構えています。展示場では販売している車両を展示して、お客様からのお問い合わせや相談に関しては、すべて東京のオフィスで対応しています。東京で受けた売買の要望を展示場や出張所と連携して業務する“中央集約型”なので、意思決定や対応のクオリティを一定レベルで担保できる。それが他社にはない特徴ですね。判断をそれぞれの支店に任せてしまうと、意思決定の基準にバラ付きが出てしまいますが、中央集約型だとクオリティにばらつきがでることはありません。

    また、お客様より頂戴したクレームや対応事例も中央でケースとして溜め、対策を展開できるのでアップデートの精度と速度も強みと考えています。

    コロナ禍における中古トラック市場

    コロナの影響で中古トラックの売買市場ではどのような変化がございましたか?

    業界によって濃淡が色濃く出ています。ホテル・旅館など、バスを利用する観光系は購入がビタっと止まり、「資金を作るために売りたい」という売却の問い合わせが増えました。一方で、ステイホームによってネットショッピングが増加したことから、物流関係、とくに運送系の車両は増車の希望が増加。

    中古車業界では業者オークションの成約率が一気に落ちました。一時はそれこそリーマンショック以上のインパクトがありましたが、現在はコロナ前くらいに戻りつつあります。今回のコロナによって、動きが大きく鈍化している業界と活発な業界で、二極化が強く出ています

    観光系のバスの売れ行きがストップしていますが、バスの価格は下がりましたか?

    先にお伝えしておきますが、弊社は小さなマイクロバスを中心に取り扱っているため、大型観光バスの取り扱いはほんの一部です。

    そもそもバスは相場が動きやすく、仕様によってニーズが細分化されるため、相場が動きやすいという特徴があります。そうした傾向もあり、コロナ禍は全体的に相場が荒れました。ただ、中古バスの売値は下がっていません。単純に安くしてしまうと赤字になりますから、下止まりの状態です。

    他にコロナの影響を受けていることは?

    トラック王国のサイトは中古車売買のプラットフォームとして運営していますので、他社(協力店様)で取り扱っているクルマも中にはありますが、買取は基本的に即金でお支払いをしています。そうした強みを活かし、新たなサービスを始めました。

    それが売却したい車両を掲載し、買取先が見つかるまでお客様が利用できるサービスです。問い合わせを受けて商談が進んだら、そのあとは全て私たちが対応し、契約が完了次第、売却いただくのです。これがお客様から大変好評でして。

    たとえば、私が現在乗っているトラックを売却前提でトラック王国に掲載し、契約が確定した段階でトラックを売る、ということでしょうか?

    そうです。そのトラックは契約が確定する寸前までご利用いただけます。

    それは非常に便利ですね。

    もっと前から始めたいと考えていましたが、懸念材料が多くてなかなか実現までいかなかったんです。しかしコロナの影響で買取事業の勢いが弱まったため、社員で思案を重ね、リスクの少ない方法で実施にまでこぎつけました。

    社内では一般の方から委託を受けるので、「一般委託サービス」と呼んでいます。現在は、売却する方に買取か委託かを選んでいただいています。たとえば、「今の相場だと150万円ほどだけど、できれば200万円で売りたい」という場合、トラック王国に200万で掲載をして、購入希望者が出たら連絡するという流れです。2通りの選択ができるので、お客様からの反応は非常に良いですね。

    一般委託の買取は少なからずともリスクがあるので、私たちのように販売事業も展開していないとトラブルの際にお客様同士でもめてしまう。そこをプロである私たちが間に入り、話を進めることでスムーズな交渉が可能になるのです。中古車の販売事業社でも、このような一般委託を精力的に展開している企業はほとんど見かけませんね。

    ちなみに、どのようなリスクがあるのでしょうか?

    売れそうなタイミングで車が事故に遭遇したとか、使用中に擦ってキズがついてしまったとかですね。

    そのようなリスクにどう対応されているのでしょう?

    このサービスは売主と買主が直接、交渉するのではなく、私たちが介在することで品質を担保できることが強み。ですので、事故やキズによって取引そのものが0になる可能性はありますが、トラック王国で所有する在庫から別の車を提案するなど、別の形でフォローができるんです。ここも私たちの大きな強みですね。

    たしかに、間に御社のような企業が入ってないとトラブルが多発しますね。

    そうですね。とくに車両は名義変更や事故歴など、情報も多く手続きも煩雑です。しかし、私たちは買取・売買経験が豊富にございますから、お客様の懸念点も難なく解消することができます。

    在庫を多く抱えていらっしゃるので、希望に近い車種が提案できるのも強いですよね。

    そうなんです。弊社および協力店様の豊富な在庫から、「ご希望に近いこちらの車種ではいかがでしょうか」と提案もできますし、希望を引き出して新たな提案も可能です。

    トラックの進化

    数年前と比べて、乗用車は自動ブレーキや運転サポートの技術が進歩していると、ニュースやテレビCMを見ていても感じます。トラックや商用車はどのように進化しているのでしょうか?

    そうですね、乗用車同様、トラックや商用車も大きく進化を遂げています。

    トラックは大手4社が政府と連携して自動運転や併走運転の取り組みを進めています。たとえば、有人トラックの間に無人トラックを挟んだ隊列走行の実証実験を行ったり、事故削減を目的とした機能の開発を進めたり。重機では、コマツはスマートコンストラクションという取り組みを進めています。これはドローンを飛ばして現場の地形の3Dマップを作り、そのデータを重機と連携して、労働力不足や安全な操作など現場の負担を軽くするというもの。たとえば、現場経験が少ない方でも、レバーを押すだけでコンピューターが穴を掘る角度を調整してくれるとか。

     

    トラック王国では、そうした先進的な商用車も扱われているのでしょうか?

    このようなハイテクなクルマはまだ中古車市場には現れていませんね。先進技術が搭載された車両は大手運送会社で導入されるケースが多く、そうした企業は大抵、ディーラーと直接お取引されていますし。私たちは中小企業を対象としているため、自動運転やドローンを利用している企業はまだいらっしゃいませんし、商用車の中古市場にこうしたテクノロジーの波がやってくるのはまだ先のことでしょうね。

    ネット通販の普及拡大で個人向けの荷物が増え、配送業、物流業では人手不足を中心とした「物流クライシス」が社会問題になっています。この課題に対して、何か取り組まれていることはございますか?

    トラック王国のサイトを商用車のプラットフォームにしていこうと考えています。物流業や建設業には、人手不足や空車とのマッチングなど、課題が山積しています。そうした課題をトラック王国のサイトで解決できるようにしたいのです。人材や求荷求車のマッチングなど、“つなげる”ことをテーマにソリューションを展開していきたいと思っています。すでにテストマーケティングが始まっている段階ですので、今後にご期待ください!

    トラックの売買を通じて物流会社様とのお付き合いもありますので、御社はマーケットの状況もお詳しいですし、今まで培ってきたネットワークも活用できます。そのため、スムーズに事業が立ちあがりそうです。

    今は、トラックの売買がメイン事業ですが、お客様からの声から集まった悩みごとを解決すべく、プラットフォーム化に向けた事業展開を推進しています。つねにアンテナを立てて、潜在化している需要や要望などを拾い上げながら挑戦を続けていきたいですね。

    日頃から運送業の方々の声を直接聞けるというのは御社の強みですね。

    そうですね。5カ所の展示場を経営していてよかったと感じています。

    中古商用車のプラットフォームを進化させるには、コラボが必須

    現在は、物流や建設を支えるトラックの中古車の売買というビジネスにフォーカスされていますが、今後どのような展開をお考えですか?

    国内外で大きく2つの展開を考えています。

    国内では、今から3〜5年の時間軸でプラットフォームビジネスを構築し、様々な課題を解決できるサービスを生み出していきたいと考えています。最初はテストマーケティングから始め、1つの事業として成立するように調整していければと。

    海外では、すでに実店舗を構えている東アフリカのタンザニアから規模を拡大していくこと。中古車の取引自体は全世界を見ても成長していますが、パイプが細いのが難点です。そのため、タンザニアで深く、太く、サービスを根付かせ、販売を切り口にパイプを太くしていければと思います。

    すでにアフリカで中古車販売を行っている企業が持つ流通チャネルを利用せず、ゼロから開拓されるということですか?

    そうですね。中古の乗用車は海外のマーケットへすでに参入している企業が多くいますが、商用車であればまだ参入の余地があるんじゃないかと思っていて。最終的に目指すのは、「トラック王国に行けば、国内外問わずに商用車に関する悩み事を全て解決できる」ことです。

    非常に壮大な目標ですが、御社なら実現できそうですね。最後になりますが、スマートドライブとのコラボレーションの可能性について伺えますか?

    今後、私たちがプラットフォームビジネスを拡張していくうえで、協業やコラボレーションは欠かせないことです。私たちが独自に開発することもあるでしょうが、OEMやなにかのパッケージなど、積極的に触手を伸ばしていきたいと考えています。スマートドライブとのコラボで「SmartDrive for トラック王国」というサービスが立ち上がるかもしれないし、トラック王国に寄せられる困りごとが車両管理であれば、SmartDrive Fleetを紹介することもできるでしょう。または、御社が悩み事を解決するためのフロントマンになるとか。可能性が大きく広がっていきそうです。

    最後に、読者に向けて一言お願いします。

    中古商用車の売買に関しては、必ずご安心をいただける取引をさせていただきます。もし、売買に関する困りごとがあればトラック王国を思い出していただければ幸いです。あわせて、商用車にまつわる全ての課題を解決したいと思っていますので、困りごとがあればお気軽に相談くださいませ。

    「世界中で働く人々の 笑顔 と 未来 を繋げよう」

    このビジョンを掲げ、これからも挑戦を続けるNentrysにどうかご期待ください。

  • 自動運転のレベルUPに欠かせない技術・ダイナミックマップとは何か

    自動運転のレベルUPに欠かせない技術・ダイナミックマップとは何か

    完全自動運転車の登場が間近に迫っていると言われている今、人間の目・耳に当たる各種カメラ・センサー・レーダーや、頭脳の役割を果たすAI開発の進捗状況に注目が集まっていますが、自動運転車が安全かつ円滑に走行するため、もう1つ重要な技術が存在します。それが、今回解説する「ダイナミックマップ」です。どんな技術でどんな役割を果たすのか、そして私たちにどんな未来を見せてくれるのか、現状と将来の展望を徹底検証します。

    ダイナミックマップとは

     

    ダイナミックマップとは、高精度3次元地図に渋滞情報や事故による通行規制など、位置情報を組み合わせたデジタルマップのことで、人間が見るのではなく車が自動運転を行うために使用されます。

    ダイナミックマップの3次元地図には、

    • 車道の中心線
    • 道路と道路の連結
    • 横断歩道・停止線
    • 交通標識・看板

    など、さまざまな情報が静的データとして格納されており、これらと動的データを紐付けることで、車載センサーでは判別できない遠くの道路状況を先読みできるようになります。

    また、車載センサーが認識すべきデータをあらかじめ車自身が、「データベース」として保持することで認識・処理の負荷を低減できるほか、悪天候の際のセンシング能力安定化にもつながるとされています。

    この高精度3次元地図を整備しているのは、ゼンリン・パスコなどの地図・測量会社や各自動車メーカー、さらに三菱電機などの電機メーカーが出資して設立した、「ダイナミックマップ基盤株式会社(以下DMP)」。DMPは、動的データ付加する上でのベースとなる静的な地図データを、関係各社の「共通領域」として一元管理、現在は2020年の高速道路・自動車専用道路の自動運転化に向け、日本全国の高精度な3次元地図を整備中です。

    ダイナミックマップは何を実現するのか

     

    DMPが整備を急いでいるダイナミックマップは、一度完成すれば永遠に使えるものではなく、変化する静的・動的データを常に収集・分析し、リアルタイムに近い状態でマップ更新を手掛ける中央センターのような組織が必要となってきます。

    そして、ロボット掃除機のような軽微な自動運転と異なり、縦横無尽に張り巡らされた道路を、歩行者や他車とニアミスしながら高速走行する自動車の場合、高精度3次元地図をベースに、

    1. 路面・車両・建築物情報など・・・1ヶ月ごと更新(静的データ)
    2. 交通規制・道路状況・広域気象情報など・・・1時間ごと更新(準静的データ)
    3. 事故・渋滞・狭域気象情報など・・・1分ごと更新(準動的データ)
    4. 歩行者・周辺車両・信号情報など・・・1秒ごと更新(動的データ)

    といった、時間軸に併せた的確でスピーディなマップ更新システムの構築が不可欠です。そのため、DMPは自動図化技術の開発を進めつつ道路管理者や物流会社と連携し、工事計画書や定期運行車両から道路変化情報を入手するなど、マップ更新の効率化を図る仕組み旁に取り掛かっています。

    技術と情報の性質をから、1・2・3に関してはデータ更新の自動化も比較的容易と言えますが、信号情報はともかくすべての歩行者・車へGPSを付け、位置情報を把握するわけにはいかないため、当面4はアナログ更新に頼るしかないと考えています。

    しかし、車載センサ&AIがデータ収集・分析まで担い、それがセンター機能と高度に融合して自動更新システムが完成した場合、クルマは単なる移動手段から、人や物を安全・確実に届ける「MaaS」へと進化を遂げるでしょう。

    ダイナミックマップはここまで進んでいる!

     

    ダイナミックマップの完成こそ、完全なる自動運転の普及に欠かせないもの。前述したように安全かつ確実な運用するためには、動態データの生成&システムへの配信技術向上が必要です。そして、DMPによる静的データの整備が整いつつある一方で、国内の関連各社は持てる技術力を総動員しマップ作成・更新の効率化・自動化や、動的データに関する実証実験を始めるなど、立ちはだかる課題をクリアするための動きを強めています。

    三菱電機 高精度3次元地図向け「自動図化・差分抽出ソフト」の販売を開始

    高い測位・マッピング技術を有する三菱電機は、AIと三菱モービルマッピングシステム(以下MMS)の技術を活用し、高精度3次元地図を効率的に作成・更新できるソフトを開発、既に国内大手地図メーカーへ販売をスタートしました。MMSのレーザー点群とカメラ画像データから、AIを用いて必要情報のみを抽出し併せて認識精度を向上させ、図化作業を「自動化」したことにより、地図作成時間を10分の1以下まで短縮可能なのだとか。

    また、同社は静的データのみならず、準静的・準動的データの生成・更新・配信システム、及び動的情報と配信データとの車載機上における紐付け検証を実施するなど、ダイナミックマップの規格化を推進しています。

    パイオニア 蘭・HERE社と提携しグローバル規模のデジタルマップ作成に着手

    2018年5月、パイオニアは自動運転車の安全かつ効率的な走行に必要な、高精度地図を提供することを目的として、BMW傘下の地図制作会社・HERE社と子会社であるインクルメントPが提携し、「OneMap Alliance」を結成したと発表。中国のデジタル地図サービス大手NavInfo社や、韓国の通信事業者のSK Telecom社も参加しており、地域の制約を受けることなく各市場で統一された地図情報を、自動運転などで利用できるようにする取り組みに着手しています。

    ゼンリン・富士通・KDDI 動的データ生成・配信技術の実証実験をスタート

    2018年1月よりゼンリン・富士通・KDDIは3社合同で、走行中に遠方の道路状況をリアルタイムにフィードバックするシステムの構築を目指し、ダイナミックマップの生成に必要なデータ収集・分析・加工・配信技術の実証実験をスタートさせています。ゼンリンは動的情報との連携や逐次・差分更新を可能とする、高精度地図データ・プラットフォーム「ZGM Auto」の検証、富士通は同社の「Mobility IoTプラットフォーム」を活用し、自動運転システムの最適化を目指しています。

    また、KDDIは一定間隔で生成される車載カメラやセンサーのデータを、効率的に更新するための通信モジュールとネットワーク検証・評価を行い、通信事業者として4G・5G・DSRCといった、様々な通信技術との融合を進めていく方針です。

    ~ダイナミックマップが描く未来~

     

    ダイナミックマップは単なる地図作成に留まらず、内閣府をはじめ、官・民が総力を結集して取り組んでいる一大国家プロジェクトです。2019年5月にはDMPが作成した地図データ搭載の量産車も販売開始、どちらかと言えば海外より日本が一歩リードしているのです。

    他国に先んじて完成までこぎつければ、日本が自動運転の分野で覇権を握ることも可能なキーテクノロジーですが、その時、私たちの生活はどのようにかわっていくのでしょうか。最後にダイナミックマップが見せてくれるであろう、移動の未来予想図を考察します。

    座っているだけで安全かつ正確なナビゲートで目的地へ

    完全自立自動運転が実装され、併せてダイナミックマップが完全に機能すれば、これまでの「ドライバー」という概念が一変し、「搭乗者」としてシートに座って読書や動画を楽しんだり、スマホを見たりしているだけで目的地へ到着します。

    細やかなセンシング性能と、3Dマップへのリアルタイムな動態データ更新によって、人間の視覚・聴覚では察知できない危険を回避する操作が自動的になされ、痛ましい交通事故が飛躍的に減少することも期待できるでしょう。また、走行規制・渋滞・天候などの準静的・準動的データを、ダイナミックマップを通じ入手したAIが瞬時に走行経路をはじき出し、最短かつ最適なルートで移動できるようにもなるかもしれません。

    これらの効果は絶大で、安全面以外にも、燃費向上による車両維持コストの軽減・高齢ドライバーによる免許自主返納の促進・郊外・地方居住者の移動手段確保・物流・運送業界の人材不足解消など、国内経済へ与える恩恵は計り知れません。

    ダイナミックマップは自動車以外にも応用可能!

    ダイナミックマップは現在、自動運転に特化してシステムの開発・整備が進んでいますが、建築物の構造・位置関係や周辺の交通量、土地の高低差や河川の存在などの静的データを追加すれば、地震・火災・洪水発生時の次世代型ハザードマップとして活用できます。また、超・高齢化社会を見据え歩道・段差・信号の数など、歩行に関するデータを付与すれば高齢者や車いす使用者のために、安全かつスムーズな移動ルートを自動的に案内する、精密なナビゲーションサービスの提供も可能です。

    3Dマップという仮想現実だからこそ、ダイナミックマップの可能性とポテンシャルは無限に広がっているため、自動運転の普及・拡大という共通テーマを実現した後は、様々な生活インフラに波及していくのではないでしょうか。

  • コロナの影響で大打撃を受けている観光業は「観光MaaS」で地域を活性化することはできるのか?

    コロナの影響で大打撃を受けている観光業は「観光MaaS」で地域を活性化することはできるのか?

    コロナウイルスの影響で大打撃を受けている観光業界…。Go To トラベルキャンペーンが注目されていますが、今後の観光業界はどのようになっていくのでしょうか?人々は観光だけでなく、仕事や学校への通勤通学、買い物や通院、おでかけにいたるまで、つねに移動をしながら生活をしています。その移動をどこに住む誰にとっても、スムーズかつ快適にしようと生まれた概念がMaaSです。

    スマートドライブマガジン内でも何度かMaaSについてご紹介してきましたが、本記事ではMaaSの種類や役割をより詳細に解説し、観光業界におけるMaaSの取り組みを紹介いたしましす。

    MaaSは大きく分けると3種類ある

    MaaSはサービスを展開する目的、地域によって大きく3つに分類されます。

    地方型

    課題:地方郊外、過疎地、地方の都市部を含む地方圏では、都心部のようにインフラが隅々まで行きわたっていないため、移動手段は自動車が主体です。一家に数台、一人につき一台所有している家庭も少なくはありません。さらには人口が年々減少していることから交通事業の採算性が低下して撤退、地域交通が衰退しつつあります。また、高齢者が多く、運転手も不足しているため、日常における移動手段の確保に大きな課題を抱えています。
    目的:自家用車に依存しすぎないよう、地域内移動を創出すること、高齢者の外出を促進・サポートすること、交通空白地帯での移動手段を確保すること。高齢者の踏み間違えによる悲痛な交通事故があとを絶たず、どんなに必要であっても免許返納を勧められるという風潮も強まっています。高齢者や周りの人々の安全守るには良しとされていますが、移動手段が整っていなければ生活に必要な食品や日用品のお買い物、体調管理をするための通院もままなりません。行きたい時に行きたい場所へ行ける。必要な時に目的地へスムーズに向かえる。それが人々の生活を支える大きなカギとなっているのです。
    施策:地方の主要となっている鉄道やバス路線を中心に、移動の柔軟性が高いタクシーやオンデマンドバスを取り入れたり、定額制の交通サービスを提供したり、商業施設や病院などの新たな乗り換え拠点を創出したりすることで誰もがスムーズに移動可能なサービスを受けられるようにMaaSの取り組みが進んでいます。そのほか、地域住民の互助によって交通手段を確保する、商業施設や市民ホールなどの集客施設に送迎サービスと既存の公共交通をつなぎ合わせ、シームレスな予約・決済を可能にするなど、地方のMaaSは移動の活性化に一役買ってくれそうです。

    都心型

    課題:鉄道を筆頭に、バス・タクシー・シェアサイクルなど交通手段は多様ですが、人口が多く密集しがちに。また、近年は訪日外国人の急増により日常的に渋滞や混雑が起きています。大小イベントや災害時などに起因する突発的な混雑を避けるために、交通手段の多様化や見直しが求められています。
    目的:多くの人々が行き交う都心部では、慢性的な交通渋滞、満員電車を解消すべく、移動手段の分散とスムーズな交通に目が向けられています。
    施策:業種や分野を超えた複数事業者間の連携により、MaaS関連のサービスやプロジェクトが続々と立ち上げられています。国内外の人々の移動ニーズにスムーズに対応するため、既存の交通サービスほか、相乗りタクシー、シェアサイクル、小型モビリティなどの多様な移動サービスが提供されています。また、これらのサービスは基本的にアプリ一つで予約と支払いが可能。また、多言語化への対応、バリアフリールートの情報提供など、ユニバーサルデザインへの配慮も進められています。
    異なるモビリティが乗り入れ、シームレスな乗り換えを可能とする交通結節店の整備や、データを活用した都市内交通のマネジメント向上など、人々の行動にMaaSは欠かせなくなりそうです。

    観光型

    課題:(現在は減少していますが)訪日外国人による観光客や、卒業旅行や、ハネムーンなど観光には多様なニーズが生まれています。しかし、観光施設は分散されていることが多く、回遊性を上げるには観光に対応した柔軟な交通サービスの提供が急務です。また、観光施設だけでなく、宿泊地と各種交通サービスが連携を図るなどして、分かりやすく移動しやすい方法を提案する必要があります。
    目的:柔軟な移動と簡単かつ一括できる決済方法を提供することで、観光客の回遊性を向上し、観光体験を拡大する。
    施策:オンデマンドバスやグリーンスローモビリティなど、多様な移動ニーズに柔軟に対応できるサービスの構築、観光施設や目的地近辺のお店、交通サービスが連携し、すべてのサービスを一括して予約・決済できるアプリの提供で、目的地への移動をスムーズかつ自由に行えるようにし、観光体験をより良いものへ変えることができれば、観光業がさらに活性化するのではないでしょうか。また、アプリを活用した移動を行うことで経路の把握ができますので、コロナウイルスの感染が発生した施設やエリアを事前に避けたり、各施設の密情報が今後MaaSアプリに連携されるようになると、安心した移動を提供できるようになる可能性もあります。

    多種多様な移動手段と連携でシームレスな移動体験が実現する

    日本国内に住んでいても、初めて訪れる観光地についてはインターネットなどで事前にしっかり調べておかないと、いくつもの観光地を巡るにはどの手段が効率的で安全なのか、どの交通サービスで移動すべきなのかわからず、オロオロしてしまうことも。とくに地方の観光地では都心部とは異なり、バスや電車の本数は限られていますので、主要な駅に向かうにも最適な移動手段とルートの検索が欠かせません。また、中には地元の人でもあまり知らないような、知られざる観光スポットを目当てに訪れる観光客もいるでしょう。そうした多様なニーズに応えることを可能にするのが観光MaaSです。各地域では、それぞれの観光資源や交通サービスを生かした観光MaaSの実証実験が始まっています。いくつかピックアップしてその内容をご紹介します。

    ・伊豆市「Izuko」
    3月10日にPhase2の実証実験が完了したIzuko。伊豆では、路線バスやタクシー運転手の高齢化と人手不足により、路線バスの本数やタクシーの台数が少なく、8割がマイカーで訪れるため幹線道路の渋滞が起きていました。この課題を解決するために、東伊豆〜中伊豆における鉄道とバスを一定区間で乗り放題にするデジタルフリーパス、下田海中水族館や遊覧船など観光施設での割引チケット、レンタカーやレンタサイクルの予約・支払いができる機能を搭載したアプリを開発。公共交通を活用し、目的地までのスムーズな移動を後押ししています。

    ・仙台市「TOHOKU MaaS 仙台 trial」
    仙台を中心としたエリアで実施された観光MaaSの実証実験(2月29日に終了)。
    JR、地下鉄、バス、仙台空港鉄道、阿武隈急行のフリーエリア内が2日間乗り放題になる豪華なデジタルパスほか、対象店舗で特典が受けられるクーポン、アンケートの応えるとかならずもらえるお土産スクラッチ、仙台に特化した観光情報を丸っと掲載した観光マップ、レンタカーの予約機能に加え、空きロッカー検索やえきねっとなど便利なサービスが盛り込まれています。利用方法はスマホで専用サイトにアクセスするだけ。日本後・英語・中国語(繁体語)の3言語での利用ができるのもポイントです。

    ・志摩市「ぶらりすと」
    出発地と目的地、日時を入力して検索するだけで、希望の時間とルートを表示。好きな時に好きな場所へ移動できるオンデマンド交通が簡単に予約できる機能がポイントのMaaSアプリ。このほか、伊勢〜鳥羽〜志摩の観光地と交通を結ぶデジタルフリーパス、アクティビティの予約など、伊勢志摩の旅をしっかり楽しむことができます。

    観光MaaSは地方を活性化させる1つの施策になるかも

    それぞれの地域課題を解決しながら、盛り上げていく。コロナウイルスの影響によって観光客は激減していますが、観光体験を向上すれば今後の再訪や口コミによる認知拡大が期待できます。観光におけるMaaSは、単に利便性を高めるだけでなく、安全に安心して移動が促進できる手段として、観光産業と地域を活性化させる糸口になるかもしれません。

  • コンパクトシティはスマートシティと何が違う?

    コンパクトシティはスマートシティと何が違う?

    スマートシティスーパーシティ、コンパクトシティ…。最近は理想的な未来の都市を描いた「●●シティ」構想と呼ばれるものが増え、各都市ではこれらを実現するために取り組みが進められています。スマートドライブマガジンではこれまでにスマートシティ、スーパーシティについて解説してきましたが、今回はコンパクトシティに注目。スマートシティとの違いとは?

    コンパクトシティとは

    スマートシティと同じように、コンパクトシティも国や都市によってさまざまな定義があります。とくに、地方自治体の政策志向の一つとして最近着目されているのがコンパクトシティ構想の概念です。国土交通省が2014年に発表した国土整備計画の中では、人口減少や高齢化が進む中、とくに地方都市においては、地域の活力を維持するとともに、医療や福祉、商業などの生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう、地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくりを進めることが重要」だと述べています。また、OEDCの報告書である「コンパクトシティ政策: 世界5都市のケーススタディと国別比較」においては、高密度で近接した開発形態、公共交通機関でつながった市街地、地域のサービスや職場までの移動の容易さといった特徴を有する都市構造がコンパクトシティであると定義されています。

    都心部では人口の過密化による一極集中が問題になっていますが、地方部では持続可能な状態にするために、一定地域に人口を集中させることで行政サービスを効率よく提供する、集積の利益という概念をコンパクトシティ化によって実現しようとしているのです。

    コンパクトシティが注目されている理由とは

    急激な人口減少と高齢化
    地方では、人口の減少や少子高齢化と合わせて空き家、耕作放棄地、限界集落に課題を抱えています。また、日本国内の人口減少は止まることを知らず、2010年は1億2800万人だった人口が2040年には1億700万人程度に減少するといわれていますが、地方部はさらに人口減少による過疎化が進んでしまうのです。
    一定の範囲内で居住すれば、子育て、教育、医療、福祉など、どのサービスも効率的かつ安定して提供できます。

    財政・経済など持続可能な都市経営(効率的なサービス提供)
    人口減少が進んでいくと税収も減少していきますが、コンパクトシティ構想で財政や経済を効率的に活用することで、道路や上下水道の整備など、公共施設の維持管理が合理的に実施できたり、住宅・宅地の資産価値を維持したり、持続可能な都市経営を可能にします。

    防災
    台風や大地震など、一年のうちに大規模な自然災害が多発する日本。津波による増水、土砂崩れの被害からいち早く身を守るためにも、災害危険性の低い土地を重点的に活用し、集住ができれば、迅速かつ効率的な避難が可能に。

    環境保全
    地方部は都心部と比較して交通インフラが整っているとはいいがたく、移動手段に車を利用する人が少なくありません。中には一家に一台ではなく、一人一台という家庭も。移動を車中心から公共交通機関にシフトすることができれば、自動車から排出されるCO2を低減し、環境を保護することができるのです。

     

    コンパクトシティは市町村内のもっとも主要な拠点一ヶ所にすべてを集約する「一極集中型」ではなく、旧町村の役場周辺など、生活拠点も含めた他局ネットワーク型のコンパクト化を目指したものです。そこに暮らす全ての人口集約をはかるものではありませんし、インセンティブなどを講じて時間をかけながら移住の集約化を推進しているのです。

    コンパクトシティとスマートシティの違い

    スマートシティは、コネクテッドカーなどのスマートモビリティや、次世代送電網であるスマートグリットなど、さまざまなモノのデータをインターネットを経由して1つのプラットフォームに集約し、そのデータや情報をベースに人々の生活やサービスの質を向上したり、改善したり、効率的に行ったりすることを目的とした構想です。

    参考記事:スマートシティとは?~変化を続ける未来都市のあるべきカタチ~

    スマートシティもコンパクトシティも、人口減少や環境問題、財政や経済の効率化、持続可能なエネルギー、交通の最適化がキーワードですが、その対象や構築する手法が異なります。都市総合研究で早稲田大学の森本章倫教授は、両者をわかりやすく次のように比較しています。

    コンパクトシティ スマートシティ
    対象 空間 情報
    視認性 可視 不可視
    原理 縮退 拡張
    手法 計画・マネジメント 情報統合技術
    主体 公的中心 民間中心
    期間 長期 短期

    コンパクトシティが実際の土地空間を起点として効率化を目指しているのに対し、スマートシティは主にテクノロジーを活用したデータ収集とそれを基盤としたサービスを提供し、生活の質向上と効率化を目指したものです。また、国土交通省では、コンパクト化とスマート化の違いを次のように示しています。

    コンパクト化・・都市構造の空間的な集約化による効率化

    スマート化・・ICT技術を活用した効率的な都市サービスの供給

    コンパクト化もスマート化も手段は異なるが、持続可能性向上に向けた都市運営の効率化という点で、目的は一致している。

     

    都市関連の施策は従来、長期的かつマクロな施策が中心でした。しかし近年は、短中期的かつミクロな施策にニーズが拡大し、迅速かつきめ細やかな施策と実装が求められています。そうした背景もあり、IoTやAIなどの先端技術を活用して都市の課題解決を効率的に図る、スマートシティの構築が急速に普及しているのかもしれません。

    コンパクトシティとスマートシティは融合することで有効になる

     

    人口の急激な減少により空き家や空き地が増え、多数の穴をランダムに持つスポンジのように都市の密度が低下することを、国土交通省は都市のスポンジ化と定義しています。都市のスポンジ化は、サービス産業の生産性を低下させ、行政サービスの非効率化、地域コミュニティの消失、治安に悪化など多くの問題を招く可能性があるため、早急な対策が求められています。スポンジ化は都市の中心部、郊外部、緑辺部など、あちこちで発生し、最近ではシャッターを閉めたままの商店街や空き地だらけの住宅街が全国で見られるようになりました。

    こうした課題に対して、国土交通省はコンパクトシティ化を推進しようと空き地や空き家の利活用やコミュニティの形成などを支援していますが、人が集まらない、高齢者が多く対応が難しいなど、なかなか解決の道は遠いようです。

    そこで、都市計画基本問題小委員会は、計画制度だけでなく、事業や運用改善、周辺施策との連携を含めて現実的かつ有効な解決策を得るには何をすべきかを検討し、2017年8月に「都市のスポンジ化」への対応に関する中間とりまとめを発表。そこで有効な解決策として示されたのが、コンパクト・プラス・ネットワークの取り組みでした。

    コンパクト・プラス・ネットワークとは生活サービス機能と移住を集約・誘導し、人口を集積したコンパクトシティに、まちづくりと連携した公共交通ネットワークの再構築を掛け合わせた施策のこと。国土交通省の「コンパクトでスマートなまちづくり」の資料においても、それぞれ単独での推進には次のような課題があるとしており、持続可能な都市への移行には、コンパクト化とスマート化の 融合が必要だと述べられています。

    コンパクト化・・公共インフラ・サービスコストの軽減等に必要だ が、居住移転に長期を要し、移行期間中の都市 サービス供給が課題(「スマート化」への期待)。
    スマート化・・単独では、更なる都市の拡散を招く恐れもあり、 「コンパクト化」での歯止めが必要。

    低密度に拡散した都市のコンパクト化を行い、IoTなどのテクノロジーとビッグデータの活用によって持続可能なまちづくりを行う、つまり、コンパクトシティとスマートシティは個々に構築するのではなく、双方の概念と利点を生かし、ゴールへの足並みを合わせたロードマップを作成することで利便性と価値を高めることができると言えるでしょう。

  • 鉄道会社が進めるMaaS関連サービスまとめ

    鉄道会社が進めるMaaS関連サービスまとめ

    ここ数年の注目ワードになっているMaaS。全国津々浦々、都心にも郊外にもレールが敷かれている鉄道は、MaaSを推進する中で、もっとも中心的な存在と言えるでしょう。日本版MaaSの実現に向けて、各鉄道事業者も次々と実証実験を進めています。

    鉄道各社の取り組み

    JR〜航空、タクシーを始めさまざまな業種との連携でMaaSを推進

    JR東日本は2019年3月、技術イノベーション推進本部内に「MaaS事業推進部門」を設置し、オープンイノベーションによってMaaS事業をスピーディに推進すると発表。ANAやみんなのタクシーなど、枠を超えたコラボレーションで続々とプロジェクトを立ち上げています。

    出典:JR東日本

    2020年1月16日より、SuicaのID番号とクレジットカード情報を登録することでタクシーやシェアサイクルなど複数の交通手段を利用できる、都市型のMaaSアプリ「Ring Pass」の提供を開始しました(iOS向けは1月16日〜、Android版は春頃提供開始予定)。

    JR東日本では、タクシーやシェアサイクルなどの各種モビリティサービスの利用手続きを1つのアプリケーションに統合したワンストップサービスの実現を目指し、モニター企業数社の社員を対象とした実証実験を行っていますが、その範囲を一般のユーザーに拡大し、さらなる検証・改善を目的とした実証実験を行うとしています。配信開始時に利用できるサービスは、アプリに表示される地図上で空車タクシーの走行位置が確認できる機能(16日時点では国際自動車のみ)と、タクシー車内のQRコードを利用した決済機能。シェアサイクル、ドコモバイクシェアへの対応は春頃の予定です。

    JR西日本は観光MaaSに注力

    出典:JRおでかけネット

    一方、JR西日本では関西・鉄道7社による「関西MaaS検討会」を組織。瀬戸内エリアへの観光誘客拡大に向けて、出発地から目的地までの新幹線をはじめとする鉄道に加え、現地での船舶、バス、タクシー、レンタカー、レンタサイクル、カーシェアリングなどの交通機関および地域の観光素材をシームレスに検索・予約・決済することができる統合型サービス、観光型MaaSの実証実験を2019年10月から瀬戸内エリアで実施しています。

    せとうちエリアにおける観光型MaaSの「setowa」は、登録した立ち寄り地すべてのルート検索を行い、旅行行程を作成できるスケジューラー機能や出発から目的地までの移動をオンラインで予約・決済できる機能を搭載した専用アプリでサービスを提供しています。

    参加団体はジョルダン、JapanTaxi、電脳交通、タイムズ24、ぐるなび、日本旅行など誰もが知っている企業ばかりがその名を連ねています。

    東急電鉄〜伊豆を舞台に観光MaaSを推進

    出典:伊豆における観光型MaaS実証実験実行委員会

    東急電鉄はJR東日本と協力し、伊豆における日本初の観光型MaaSとして2019年1月より実証実験を開始。観光客が鉄道・バス・AIオンデマンド乗合交通・レンタサイクルなどの交通機関を、スマートフォンで検索・予約・決済、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合型サービス「Izuko」を提供しています。

    目的地までの半年間に渡って実施したPhase1では23,231ものダウンロードを獲得しましたが、サービスやエリアの限定性など多くの課題が浮き上がりました。そこで、2019年か12月からはPhase2として、運用性や操作性を改善し、JR伊東線(熱海駅~伊東駅)区間をはじめとするサービスエリアやデジタルチケットの商品メニューを拡大。オンデマンド乗合交通など、新規施策を通じた地域課題解決の施策としてオンデマンド乗合交通を配車できる仕組みを導入するなど、利用手段を充実させています。

    また、東急電鉄は2018年にハイグレード通勤バス、オンデマンドバス、パーソナルモビリティ、カーシェアの4つのモビリティを組み合わせ、いつでも安心して移動できるモビリティサービスの構築を目指す郊外型MaaSの実証実験も実施しています。地域によって変わる課題とニーズをうまく汲み取り、その土地にフィットしたMaaSが提供されるようになるかも?

    小田急電鉄〜行きかたと生きかたを提案するMaaSアプリを提供

    中期経営計画において「次世代モビリティを活用したネットワークの構築」を掲げる小田急電鉄。自動運転バスの実用化に向けた取り組みのほか、複数のモビリティや目的地での活動を、一つのサービスとしてシームレスに提供する MaaS の実現に向けた取り組みを推進しています。その中で、同社がヴァル研究所の支援のもと開発しているのが「MaaS Japan」というプラットフォームです。


    小田急電鉄は「MaaS Japan」をベースとして活用し、2019年10月末から、ユーザーの日々の行動の利便性をより高め、新しい生活スタイルや観光の 楽しみ方を提案するアプリ「EMot」の提供を開始しています。同アプリは、電車、バス、タクシー、シェアサイクルなど、複合検索ができるシームレスなルート検索、飲食のサブスクや特典チケットの発行、デジタルフリーパスなどの機能を有しています。現在は静岡西部エリア、東京・神奈川エリア(実証実験中)で展開中。

    移動だけでなく、飲食や勾配など生活に密着したサービスを合わせて提供することで、移動という経験の価値を高めてくれるサービスです。

    京浜急行〜誰もが移動を諦めない世の中を作る。「ユニバーサルMaaS」

    出典:京浜急行電鉄

    京浜急行電鉄はサムライインキュベート、ヒトカラメディアとともに品川駅高輪口に「モビリティ変革」と「MaaS」をテーマとしたMaaS専門のシェアオフィスでありオープンイノベーション拠点「AND ON SHINAGAWA(アンドオン品川)」を開設し、取り組みを進めています。

    また、2月7日より、ANAと横須賀市、横浜国立大学と手を組み、産学官共同プロジェクト「ユニバーサル MaaS」の実証実験を開始しています。ユニバーサルMaaSとは、障がい者、高齢者、訪日外国人など、誰もがストレスなく移動を楽むことができるサービス。公共交通機関の運賃、運航・運行状況、バリ アフリー乗り継ぎルートなどの情報を提供しつつ、リアルタイムな位置情報やユーザーが必要とする介助の内容を交通事業者、自治体、大学が共有して連携することでシームレスな移動体験を実現するとのこと。

    鉄道会社×鉄道会社、鉄道会社×会社…連携で加速するMaaS

    JR東日本と小田急電鉄がMaaSの実証実験に参画!

    2019年10月、東京都が公募する「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」に、JR東日本、小田急電鉄、ヴァル研究所などが連携して参画し、「立川駅周辺エリアにおけるMaaSの実証実験」に取り組むと発表しました。

    これは、JR東日本の中央線、南武線、小田急グループの立川バスのリアルタイムな運行データを用いた経路案内、多摩モノレールの1日乗車券と沿線施設の利用券がセットになった電子チケットをアプリで提供し、立川エリアの移動、お出かけをサポートするというもの。立川駅周辺エリアにおける公共交通の連携について課題を認識していた各社が連携したMaaSならではの取り組みです。

    JR東日本とANAが目指す「空と陸のシームレス化」

    2018年11月から観光流動拡大に向けた連携を開始し、地方への誘客推進の共同キャンペーンや訪日観光需要に対応したサービス展開、情報発信の強化などに取り組んできたJR東日本とANA。両社は、国内MaaSの展開と構築、さらに利便性の高い移動体験の提供を目的に連携を強化。モバイル端末などのデジタルテクノロジーを活用しながら、検索・予約・決済などのさまざまな面で連携を行い、旅行計画段階から終了までを包括的にサポートするためのシームレスなサービスを検討するとして、取り組んでいます。訪日観光の需要が増える中で、それに対応する適切なサービスの展開が期待されます。

    まとめ

    今まで個別にサービスを提供してきた各社がそれぞれの強み、サービスを持ち寄り、協力し合いながら課題を解決して新たな移動の価値を提供する。MaaSを浸透させるには、こうした業界の枠組み、垣根を超えた取り組みがますます必要不可欠となってくるのではないでしょうか。

  • 完全無欠ではない? MaaSのメリット・デメリットとは

    完全無欠ではない? MaaSのメリット・デメリットとは

    MaaSとは、ITモバイルの活用ですべてのモビリティをシームレスにつなぎ、1つのサービスとして進化させようとする「新たな移動の概念」であり、うまく普及すればルート検索・予約・配車・決済などが簡素化され、私たちの生活がより便利になると言われています。

    非常に利便性が高く、先進的なサービスとして目にうつりますが、MaaSには多くのメリットと同時にいくつかのデメリットも。モビリティ社会が成熟した日本ならではの課題が山積しているようです。

    MaaSの普及によってもたらされるメリット

     

    MaaSという概念のもとで生まれたサービスが普及・成熟すれば、①交通機関の効率化、②個人移動の利便性向上、③交通渋滞の緩和、④大気汚染や温室効果ガスの抑制といった多岐にわたるメリットが私たちの生活や経済社会にもたらされると考えられます。

    ITによるビックデータの収集と分析にもとづき、運行ダイヤの最適化や正確な増便・減便管理できるため、需要と供給のミスマッチが生じやすい地方都市の場合、走行中に情報取得ができるシステムを導入することで車両運用の効率化が実現できます。また、バス利用客の少ない過疎地域で停留所や時間帯などのデータ分析ができれば、遠方へ行く高齢者を自宅まで迎えに来てくれる定額タクシーやオンデマンドバスを配車するなど、個人移動の利便性を格段に向上させることも可能です。

    また、自動車を保有していなくても誰もが自由に移動できるようになれば、マイカーの個人保有数が減少し、おのずと交通渋滞は解消し、併せて排気ガス抑制にもつながります。

    このように、MaaSという概念は交通関連企業・環境・個人に対し、上記で示したような恩恵を与えてくれますが、ジャンル別に見るととくに2つの業界で、多大なメリットが発生すると考えられます。

    物流・運送業界や交通機関にもたらされるメリット

    「物流MaaS」という言葉も最近はよく目にする機会が増えましたが、モビリティなしでは成り立たない物流・運送業界は、MaaSシステムによる車両運用の効率化や段階的な自動運転の導入により、年々深刻さを増すドライバー不足問題を解決する道筋が見えてくるかもしれません。

    また、マイカーの代わりに公共交通機関やタクシーを使う人が増えれば、運賃収入の増加が期待できますし、利用者のデータを分析して新規サービスの創出やマーケティング施策を改善することで、ニーズに合わせた適切なサービスの提供や現在提供しているサービスのアップグレードが可能になります。

    過疎地域では鉄道路線の維持が難しくても、代替の移動手段がなく、なかなか廃止に踏み切れないケースもありますが、MaaSが実現すれば不採算路線を廃止し、浮いた資金で「オンデマンドバス」を運用するなど、運営効率を上げながら利用者の利便性をも向上させることもできるのです。

    観光業界にもたらされるメリット

    MaaSの普及にとって波及効果が期待されるのが観光業界です。たとえば公共交通機関でのアクセスが不便だった地域へも、他のモビリティで観光客を呼び込めるようになれば、地方部の産業活性化にもつながるでしょう。さらに、施設入場料などのアプリ一括決済や、営業時間を考慮した時刻表づくり、需要に合わせた増減便など、柔軟なシステム運用によって観光客の足を効率的・効果的にまかなうことで、観光地全体としての満足度を高めていくこともできるのです。

    また、MaaSのアプリが多言語対応できれば、インバウンド客の移動の利便性が向上し、訪日観光への満足度やインパウンド収益のUPが見込めるため、2019年10月開催されたG20観光大臣会合では、「持続可能な観光を推進する技術革新」としてMaaSが取り上げられました。

    MaaSによってもたらされるデメリット

    システムが運転に関わる全ての操作を行う、レベル4以上の自動運転車を活用するMaaSが普及した場合、人材不足の解消を超え、多くのプロドライバーが職を失う可能性もありますが、法的にも技術的にも、それはまだ先の話。目下のところ、大きなデメリットとして考えられるのは、国内経済の中核を担い続けてきた「自動車業界」への大きな影響です。シェアリングサービスの充実や公共交通機関の利便性が高まり、自動車販売台数の減少に拍車がかかると考えられます。

    変化を余儀なくされる自動車業界

    専門家によると、MaaSに対する自動車メーカーのスタンスは次の2つに分かれると言考えられています。

    ・ロボットタクシーやシェアリングなどによる具体的なビジネスモデルに取り組む会社

    ・都市空間や都市交通といった大きなビジョンを掲げ、アクションを起こしていく会社

    「100年に一度の大変革」を掲げるトヨタは、自動車メーカーの枠を超え「モビリティ・カンパニー」へモデルチェンジすることで、時代の流れと消費者ニーズに合ったサービスを展開する取り組みをすでに始めています。具体的には、2018年1月に開催された世界最大級の国際見本市「CES」で、MaaS専用EVである「e-Palette Concept」を発表したり、米・Amazonやピザハットといったサービス企業、中国・滴滴出行や米・Uberら大手ライドシェア事業者とパートナーシップを結んだりしています。

    また、いち早くEV普及へ舵を切った日産はGoogleやDeNAと連携しているほか、ホンダはソフトバンクとタッグを組んで、5Gコネクティッドカーの実証実験に世界で初めて成功するなど、大手メーカーは来たるMaaS社会での生き残り戦略にまい進中です。

    大きな問題が発生しそうなのは、大手自動車メーカーへパーツを納品している中小の製造会社で、MaaSに適合する新技術やシステム開発には膨大なコストを要すると考えられるため、大手メーカーとの関係が変化する可能性もあるでしょう。

    最大手であるトヨタまで変革に乗り出したMaaSの普及はもはや既定路線と言えるかもしれませんが、部品の精度や単価などメーカー側の要望に応えられなかった場合、受注数の大幅減少もあり得ます。そのため、製造効率や生産性の向上など、あらゆる面で業務改善を進めていく必要があると言えるでしょう。自動車産業は日本の基幹産業であり、多くの雇用を生み出しています。販売台数の減少にとって変わる雇用を生み出せなければ、失業率を高めることになり、社会問題化するかもしれません。

     ユーザーをどう守る?本当に利便性が高いものになるのか。

    MaaSはデータを統合して最適なサービスを展開するーつまり、パーソナルな移動データを複数の事業者間でシェアすることになるため、個人情報保護についても懸念されています。利用者の氏名や決済先の口座番号を共有していなくても、場合によっては移動情報だけで個人の特定ができてしまいます。また、MaaSに関するサービスの多くはスマホ経由で利用することがほとんど。急速に普及することで、スマホを所有していない、操作ができない高齢者などが取り残されてしまう可能性もあるのです。

    万が一、システムの障害が発生したら?

    各種システムが連携しあうことによって、提供が可能になる便利なサービスですが、万が一、システム障害が起きてしまうとその影響範囲が広大に。以前、携帯電話のネットワーク障害が発生し、多くの利用者が慌てふためきましたが、同じような事態が発生してしまうと、移動が困難になる人が増えてしまうかもしれません。

    日本ならでは?MaaSがクリアすべき今後の課題とは

     

    今後の普及が確実視されるMassですが、いまだ発展途上のサービスも多く、スウェーデンのチャルマース工科大学の研究者によると、MasSサービスは下表で示す5段階に分類されています。

    レベル0 統合なし。それぞれの交通手段・移動サービスが独立している状態。現在の交通システム。
    レベル1 情報の統合。料金や時刻表、経路情報などの一定の情報が統合されている状態で、アプリやWebサイトを使って実現されつつある。
    レベル2 予約・決済の統合。目的地までに利用する交通手段・移動に関する検索から予約、決済をスマホアプリなどでまとめて行える状態。
    レベル3 サービスの統合。レベル2の段階では、公共交通機関の統合がメインとなるが、レベル3では民間事業者のレンタカーサービスなどとの統合も行われる。定額の乗り放題サービスなどが実現できる状態。
    レベル4 政策の統合。事業者間の連携だけでなく、国や地方自治体も含んだ統合状態。都市計画や国家プロジェクトとしてMaaSの概念が組み込まれる最終段階。

    日本では都営交通機関の一部を除き、レベル2を超えるMasSサービスはほぼ存在せず、ヨーロッパや中国などのMaaS先進国に比べるとまだ道半ばといったところ。そんな日本版MaaSがなかなか浸透しない理由には、大きく4つの課題があると考えています。

    課題1 日本版MaaSに立ちふさがる法律の高い壁

    日本版MaaSの障壁となっているのが各種法律です。

    米・Uberは一般ドライバーがマイカーで乗客を運ぶ有償ライドシェアサービスですが、国内では他人を有償でマイカーに運送ことは、道路運送法第78条で禁止されている「白タク」行為に該当します。また、道路運送法でタクシー事業を営むには、国道交通大臣の認可が必要であるとの定められており、許可を得ずタクシー事業を行った場合は罰則が科されることになります。つまり、Uberを始めとするライドシェア事業が日本で実現していないのは、このような法律の壁があるためです。この課題をクリアするためには既存のライドシェアサービス企業と新規参入事業主が団結し、粘り強く自治体や国に働きかけ法改正を勝ち取るしか手がありません。

    課題2 大都市のユーザーはレベル3以上のMaaSを必要と感じていない?

    東京や大阪などの大都市は鉄道網が非常に発達し、人口比で言えば世界最大数のタクシーが街中を走行しています。そのうえ、JRや私鉄の駅を降りるとバスやタクシー乗り場が常設しているため、ラストワンマイルの移動にさほど困ることがありません。

    また、スマホの乗り換えアプリや地図アプリを使えば、複数の交通機関をまたいだ最適なルート検索ができますし、交通系ICカードによってスムーズな決済も可能なため、大都市のユーザーはレベル3以上のMaaSに必要性を感じていないことも考えられるでしょう。この課題を解決するには各MaaS事業主が、レベル3以降のサービスがいかに便利で移動を楽にしてくれるか、多くのユーザーに示す必要があるものの後述する課題4がネックとなり、有益なサービスが登場していないのが現状です。

    課題3 地方はMaaSに変換するモビリティ自体が不足している

    マイカー移動の依存度が高い地方では、公共交通の衰退が進み、買い物難民など多くの交通弱者が生まれているため、MaaSの普及は「急務」とも言えますが、電車やバスなどMaaSに組み込むモビリティの数が圧倒的に不足しているという別の問題が浮上します。

    これは大都市にも言えることですが、ドライバーを始めとするモビリティシステムの担い手が減少していることも深刻な問題で、郊外になればなるほどそれは顕著となり、過疎地ではMaaS化はおろか、今のままでは既存の交通インフラを維持することすら困難な状況です。MaaSはモビリティをシームレスにつなぎ、1つのサービスとして進化させる概念ですが、まずは移動インフラの再編や整備をコツコツと進めなければ、大都市と地方の交通格差が生じたままになるかもしれません。

    デンマークのPTA Movia社のCCOであるカミラ・ストラックマン氏は、地方にMaaSのスキームを提供することの重要性を強調。「MaaSは、すでにすべてのサービスが提供されている都市部だけで提供されるのではなく、地方でも提供されることが望ましい。農村部のモビリティを向上させることをあきらめるわけにはいかない」と述べています。

    課題4 情報・サービスの統合に対する根強い抵抗感

    海外と比較して国内ユーザーは、決済に関する情報の統合に強い抵抗感を持っている方が多く、国・自治体・企業がしきりに推進している電子マネーやスマホ決済の普及も拡大しているとは言い難いもの。これは国民性の違いによって発生する課題ですが、MaaS事業主は統合した情報の取り扱いや不正使用時の補償規程などのガイドラインを制定し、いかに提供するサービスが安全なものなのか、広くユーザーへアピールしていく必要があるでしょう。

    また、国内には大小の民間交通事業者が乱立しており、バス・タクシー・私鉄はもちろんMaaSの担い手であるライドシェア各社も、それぞれ激しく顧客獲得競争を繰り広げているため、レベル3に当たる定額乗り放題などのサービス統合は容易とはいえません。

    打開策としては、JR・航空各社などの巨大資本が先行して積極的に統合を進め、地方自治体や中小事業主を巻き込みながら、徐々にMasSネットワークを拡大していくことが、現実的であると考えています。

    まとめ

    国内でMaaSを普及させるためには、法の整備や各事業者間の意思統一、情報の整理・統合に取り組む必要がありますが、解説したとおりデメリットや解決すべき課題も多く残されています。とはいえ、MaaSサービスが効率的に運用されるようになれば、新たな需要が生まれ地域経済活性化や雇用創出も期待できるため、日本の情勢や国民性にマッチしたMaaSサービスの登場に期待が高まります。

  • 今必要なのはMaaSではなくDaaSだ!–Mobility DataPlatformを活用したプロダクト開発事例(後編)

    今必要なのはMaaSではなくDaaSだ!–Mobility DataPlatformを活用したプロダクト開発事例(後編)

    昨今、モビリティ業界で話題になっているMaaSやCASE。そこでは自動運転車の走行やシームレスな移動などが浸透し、利便性と効率性の高い世界を描かれていますが、まだまだ先の未来の話に聞こえるでしょう。そこに対し、DaaSは実現性と実用性が高く、さらには地方の社会問題を解決するサービスとして注目されるかもしれない。

    後編では、代行業界を明るい未来へと導くためにさまざまなサービスを開発している株式会社Alpaca.Labの代表取締役である棚原さまに、スマートドライブのサービスでどのように開発を進めているのか、代行サービスで実現したいことを伺いました。

    >>>前編はこちら

    Mobility Data Platformの活用を決めたのは…

    –スマートドライブでは、自社のモビリティデータをお客様のサービス構築に組み込んだり、利活用いただいたりできる「Mobility Data Platform」を提供しています。

    今回、サービス開発時にSmartDriveの「Mobility Data Platform」をご利用いただいたことでプロダクトの完成イメージを掴むことができたと伺っていまが、どのように活用されたのでしょうか?

    私たちが描いていた最初のビジネスモデルの実証と、AI開発におけるデータ収集のために活用させていただきました。

    スタートアップはスピード感が命でもありますから、迅速にビジネスモデルの正当性を確認するためにも、位置を特定してマッチングする必要がありましたし、AIの開発には、代行業者がいつ・どのように稼働しているのか、詳細な走行データが必要でした。しかし、私たち自身で開発したシステムでは、20km走行すると200mの誤差が出るというように、なかなか正確なデータが取得できなかったのです。誤差は料金設定に関わる大事な部分でもあるので、ここを早急に改善しなければならなかったし、何よりAIのベースとなるデータと考えると、この誤差が許せなかった。とにかく、精度が高い正確なデータが欲しかったのです。これらの問題を解決してくれたのがスマートドライブでした。

    –ありがとうございます。スタートアップはスピードが大事とのことですが、そもそも、スタートアップは開発を急ぐべき、と考える理由はなんでしょう?

    技術的にできることも、このようなマッチングサービスの先駆者も、世の中に目を向けるとごまんといます。スタートアップとは、人を集めながら攻める角度をゼロから模索していくものであり、結果的に成功を左右するのはビジネスモデルだと思うんです。

    だからこそ、最初のビジネスモデルを検証することが急務でした。一般的には検証が終わった段階で資金調達をしますが、私たちの場合はシードラウンドでより多くの資金調達をしようとしていましたので、ビジネスモデルの正当性をスピーディに検証する必要があったのです。しかしながら、自分たちで一から作るのは非常にハードルが高い。ですから、確度を高めるためにも、すでに実績あるサービスを使用したほうが確実かつスピーディに進めると思いました。

    スマートドライブから学んだ多くのこと

    ―スマートドライブと連携して開発を進めたきっかけについてお聞かせください。

    目の前にタイムリミットがあったことが一番の理由です。1月中でのリリースが決まっていたのに、正確なGPSの位置情報が取得できないという技術的なハードルにぶつかってしまって。その問題をいち早く解決したかったので、時間というより技術面に頼ったところが大きかったと思います。GPSのズレがほぼなく、精度が圧倒的に高かった。なんて素晴らしい技術を持っているんだと感動しました。

    ―スマートドライブのノウハウや技術の中でとくに参考になった点は?

    数えきれないほどありますが、車両管理システムの機能に関してはとくに学ぶことが多くありました。また、当初からエンジニアとの付き合い方などマネジメントに関しても相談させて頂いていましたし、担当してくださった岩瀬さんの営業スタイルも非常に参考になりましたね。

    また、スマートドライブの価格設定がどのようにして現在の形式になったのかを教えていただいたり、「どのように会社の中でレイアウトして管理しているのか」「どういうシステムをつかって開発しているのか」を聞かせていただいたり。ITベンチャーがアプリを開発する際に必要なものを、マネジメントから開発環境に至るまで本当に幅広く勉強させていただきました。

    弊社のエンジニアも、外部の新しいサービスを開発している人たちと話せて嬉しかったみたいです。相談前は開発中のサービスが、どれだけのシステム規模ならば耐えられるのかわからなくて。話し合いを通して、私たちが何回このAPIを叩けばいいのか理解できるようになりましたし、スマートドライブ社の金額設定を参考にしながら、ビジネスとして成り立たせるにはいくらに設定すべきかを学ぶことができました。開発を進めなければ金額感がはっきりとは見えてきませんが、スマートドライブのエンジニアさんと交流させてもらうことで、ユーザー数を想定しながら、どれくらいのコストが発生するのか、初めて把握することができました。

    ―MaaSやスマートシティなどのトレンドを掲げ、モビリティ業界に新たなサービスが続々と生まれようとしています。モビリティ関連の新たなサービスを開発するにあたり、何かアドバイスはございますか?

    最近では、新型コロナの影響もあってデリバリー関連の需要が増え、それに付随するサービスも増えてきましたよね。今後も成長していくと見込んでいます。

    先日、スマートドライブのスタッフ10数名とお話した際に、「さまざまな業界で広く利用されるモビリティサービスを提供したい」とおっしゃっていましたが、それが実現できる仕組みが整っていけば、スマートドライブのサービスがモビリティ事業を始める人たちの最初のきっかけになるのではないでしょうか。まだまだ無限の可能性を秘めていますから。

    ハードウェアの形にとらわれず、あらゆる移動を正確かつワンストップで提供できるようになるでしょう。そうすれば、ある企業がサービス開発にあたって人やモノの移動をトラッキングしたいと考えたとき、「モビリティならばスマートドライブだ」という発想につながるはずです。

    私たちが本当に助かったのは、スマートドライブの営業の方が柔軟にスピード感と条件を合わせて進めてくれたところです。通常、フリートの話になるとスタートアップ企業は審査要件ではねられてしまいますし。私たちのように小規模なスタートアップでも、親身になって話を聞いてくださり、柔軟かつ丁寧な対応をしてくれる。それは本当に企業として価値が高いですよ。

    運転代行は地方の課題を解決できる

    ―御社のサービスが広く利用されるようになれば、一般の消費者の方がどんなメリットを受け、どのような生活へと変わって行くでしょうか?

    今までとは比べものにならないほど、代行が使いやすくなり、代行が発展することで地域に根ざしたインフラになることができると考えています。高齢者を始め、みんなが暮らしやすく移動しやすい社会を実現できる、地域の社会的課題を解決するリソースになってほしいですね。

    ―代行が過疎地域の荷物を運んだり、買い物代行をしたり、できることはたくさんありますね。

    今までの代行はリソースを確保し、事業性を持って継続的に運用することができていませんでした。過疎地域はそもそも人がいないし、注文も無い。そうした地域で代行業として生計を立てたい人がいたら、そのリソースを活用するべきなんです。ここ数年、自動運転車を走らせたり、ドローンを飛ばしたりすることで過疎地域の移動を解決しようという話がありますが、それで過疎地域の人たちが助かる絵が私には描きづらい。新規事業として立ち上げず、代行業者がその業務を担うことで具体性は高まるでしょう。

    以前、モビリティ推進協会の方たちが代行業者の将来について「これ、DaaSだよね」と言ってくれたんです。”代行 as a service”。代行というインフラを使った複数のサービスが、人とモノをデザインできる唯一の手段になるという評価を受けました。私たちとしても、このビジョンは間違っていないと考えています。

    ―たとえば、集落に1人だけ少し若い人がいるとします。その方が代行業として集落全体の買い物やモノを運ぶイメージですか?

    そうですね。本来は法的な制約が多くあり、今期間限定で国からの許可を取らなくてはなりませんが、代行には厳しい決まりがない。それをヒントに沖縄で実証をはじめて、手軽に安く、合法的に代行とモノを運ぶことができることがわかりました。

    代行の利用が増えれば、社会的インパクトとして、飲酒運転も減らすことができる。実際にあるんです、飲酒運転の要因で「代行が来なかったから」というのが。簡単かつ適切に利用できるサービスがあれば、飲酒運転の問題を大幅に減らすことができるでしょう。しかもそれが実現できるのは代行だけ。そのインパクトに大きな価値があるのです。代行が持つインパクト、これから代行が作り出すDaaSとしての価値。MaaSは夢物語のような世界観ですが、DaaSは確実に地域の課題を解決できる、実現性が高いものです。

    ―今後、御社が目指していきたいことは?

    運転代行業界のもつポテンシャルを最大限発揮できるようにするのがAlpaca.Labの目指すところ。モビリティサービスのインフラとして、代行は唯一の世の中を変える手段だと思っています。

    運転代行は今後、UberEetsのように“働きたいときに働いたい人だけが働く”世界が主になると考えていて。UberEetsは、リソースを確保するために宣伝したり、人を採用したりしていますが、私たちはすでにプラットフォームを構築しているので、人を採用するだけ。その可能性を評価していますし、最初に乗り込めるリソースを持つAlpaca.Labは、これからますます面白くなりますよと、声を大にして言いたい。

    今は新型コロナの影響もあって、会社も転換期を迎えています。今までは「運転代行業界の未来をかえるAlpaca.Labの代行サービス」でしたが、代行の持つポテンシャルを大きく変えることができると自負しています。

    私たちは資金調達とエンジニアの採用を続けていますので、ぜひ興味がある方はご連絡ください!!

    https//alpacalab.jp/

  • 今必要なのはMaaSではなくDaaSだ!–Mobility DataPlatformを活用したプロダクト開発事例(前編)

    今必要なのはMaaSではなくDaaSだ!–Mobility DataPlatformを活用したプロダクト開発事例(前編)

    インタビュイー

    株式会社Alpaca.Lab

    代表取締役 棚原 生磨(たなはら いくま)さま

    URL https//alpacalab.jp/

    インタビュワー

    株式会社 スマートドライブ

    マーケティング/PR 大里 紀雄(おおさと のりお)

    全国でもトップの運転代行業者数を誇る沖縄県。運転代行業は、飲酒運転根絶にも大きな役割を担う社会貢献度の高いビジネスですが、無許可や無保険などの問題を抱え、ユーザーが安全かつ安心に利用できるとは言い難い状態です。

    山積する問題を解決し、運転代行業を利便性の高いインフラに変えたいという目標を掲げ、運転代行業界全体の課題解決するサービスを展開するAlpaca.Labの棚原さまに、起業のきっかけからサービスが誕生するまでお話いただきました。

    長く愛される企業になるために〜Alpaca.Labはこうして誕生した

    –まずは簡単に自己紹介をお願いします。

    私自身はもともと沖縄生まれ。石川や埼玉など各地を転々として、5年前に沖縄に帰ってきました。大学では教育工学を先行し、人間の頭の中身などを研究する人工知能系の研究室に在籍。ここが現在の事業や私の出発点だった気がします。その後、学校教育市場のITコンサルを経験し、沖縄県の組織(公益財団法人沖縄科学技術振興センター)に所属しました。産学連事業の担当として30ほどのプロジェクトに関わる中で、一番面白く、なおかつ沖縄で起業したらスケールできると考えたプロジェクトを主体にして会社を立上げました。それがAlpaca.Lab(アルパカラボ)です。

    –沖縄へ戻ってから起業をされたんですね。

    沖縄に戻ってから沖縄県の外郭団体に勤めましたが、そこで「大学の先生が持っている技術を世の中に出したら面白く、様々な問題解決に資するはずだ」と思って起業しました。現在は、10名ほどが在籍し、公益財団法人全国運転代行協会と連携した事業を展開しています。

    –まさに「スタートアップ」というイメージですね。

    私自身は研究開発よりの考え方をするので、スタートアップの社長らしくありませんが…。今は代行業者に焦点をあて、社会的課題として捉えた時にどのような解決手段があるかを考えています。

    直近ではXtechVentures様やすこやかHD様琉球銀行様、沖縄振興開発金融公庫様などに出資いただき、運転代行業者の課題解決に取り組んでいます。

    ―次に会社についてお伺いします。Alpaca.Labという社名の由来は?

    長く愛される会社でありたいこと、人間に有用な存在でありたいこと、この2つの共通項を探したら、アルパカに辿りつきました。それが由来です。

    長く愛される会社とは何か。それって、「愛される=かわいい」ことなんじゃないか。可愛いは普遍的かつ世界の共通言語です。それはつまり、愛らしい姿で癒しを与えてくれる動物のことだと、考えを広げていきました。そこからさらに、人の役に立つ動物とは? と自分に疑問を投げかけ、もっとも人間に貢献してくれる動物について考えを巡らせました。そうだ、アルパカだ。アルパカは毛の単価が非常に高く、排泄物は燃料になるし、お肉はすべて食べることができる。また、リーマンショック前までは投資の対象にもなっていたうえ、最近ではコロナウイルスに対する抗体を持っているとも言われています。まさに、貢献度が高い動物なのです。

    沖縄に代行サービスが多いワケ

    ―キャッチーな発想で面白いですね。事業内容について簡単にお教えください。

    運転代行業向けに、AIを用いたマッチングプラットフォームサービスを提供しています。まずは沖縄から展開し、利用可能なエリアを全国に拡大していく予定です。

    ―私の妻の母親が鹿児島県の沖永良部出身で、同地へ訪れた際に代行を利用しました。

    離島にも必ず1社は代行業がいるんですよね。

    ―飲食店の他にも、沖縄や鹿児島、南方の地域では自宅に人を招いてお酒を伴う食事をする機会が多いですよね。私も飲んだ帰りに代行を利用して帰宅しました。そういう利用は日常茶飯事だとか。ちなみに、沖縄には運転代行業者は何社ほどあるのでしょうか?

    沖縄は全国最多で737業者いまして、他県に比べて沖縄が突出して多いです。

    ―他の県と比較して沖縄だけが突出しているのはなぜでしょうか?

    推測になるのですが、考えられる理由は3つです。1つは飲む文化があること。2つ目は電車やバスなどの公共交通が発達していないこと。3つ目が個人的には重要なファクターですが、代行を業として良いとするブルーカラー層、いわゆる低所得者が多いこと。代行業数TOP5の自治体を見るとこれらが理由ではないかと。

    ―運転免許さえあれば始めることができますしね。

    そうですね、2万円程度ほど支払えば誰でも開業できる手軽さが人気の理由の一つです。沖縄は他県と比較して業者数の分裂が極端に進んでいる点が特徴的です。

    ―企業数のみで見ると、沖縄は市場規模もそれなりに大きいですし、経済もまわっています。そこで、沖縄は少し特殊な経済圏だし、そこで働いている方々はそれなりに幸せであるという見方もあるかと思いますが、ソーシャルインパクトとして捉えたときにどのような課題がありますか?

    代行は沖縄の都市部以外で当たり前のように利用されているサービスです。ただ、利用者目線では多くの課題があり、その中でもよく言われているのが「料金設定が不明瞭で、支払額が適正なのかわからない」「本当に安心・安全なのか」ということ。また、代行業者を呼ぶ手段は基本的に電話ですが、繋がりにくい上に、呼べたとしても到着までに30分から2時間かかることもあります。

    私たちはこれらの課題を解決するために、どこに問題の核心部があるのかを調査しました。そこでわかったのが「5分の4の課題」。実は5台の代行業者を呼んだ場合、そのうち4台が不適切な運用になっていたのです。

    代行をもっと便利に、もっと安全に提供したい

    ―そもそも法令遵守されていない業者がいるということですね。

    私たちが実施した全国的調査でも同じ傾向が出ました。

    これは沖縄の事例ですが、12台中8台が表示義務違反、5台が無保険、さらに2台は無許可でした。しかも、代行協会は8割以上の業者が不適切な運用・運行を強いられているという結果を認識していたと言います。実害が出てからでは遅いので、この中でもっともリスクの大きい「無保険」をまずは解決すべきだと考えました。無保険だと、万が一交通事故が起きた場合に時にお客さんの責任になるという判決が2005年に出ています。つまり、利用者は何も知らないまま無保険の車に乗っているというのが現状になります。

    不便なものをITの力で便利で効率の良いものに変えることはできますが、実は見えない不便も数多くありますので、それらもすべて汲み取りながら解決していかなくてはなりません。

    無保険の問題については当然、不適切な運営をしている事業者に責任がありますが、その背景には、非効率な業務形態で利益が上げづらい、過度な価格競争が起きて事業者が儲からないという根本的な問題がある。そうした状況下で「正しく運営すべきだ」というのはなかなか酷なことですが、課題を解決して利用者にとって便利で安心なサービスを提供するには、事業者の運営体制を整えなくてはなりません。それが彼らの利益を上げることにもなります。ただ、利益を上げるには効率よく運営する必要がありますので、その部分を私たちはエアクルというサービスで解決しようとしています。

    まずは代行業者に「適正な営業で利益を向上させられる」プラットフォームサービスを提供することで、しっかり利益を上げてもらう。それによって利用者は代行が利用しやすくなるし、無保険というペインも解決する。私たちはそのサイクルを築くことを目標としています。

    ―AIRCLE(エアクル)はどのようなサービスですか?

    簡単に説明すると、DiDiやJAPAN TAXIといったタクシーアプリの運転代行版だと思っていただければわかりやすいでしょうか。飲食店や個人ユーザーから配車依頼を受け、エアクルが各代行業者の車の位置を特定しながらマッチングしていきます。ただ、タクシー配車アプリと違う点として、代行ドライバーのスキルセットと個人ユーザの車の特徴が一致する必要があります。

    また、一方で私たちはマッチング以外にも、運転代行業者が適切に車両を運行するために必要な機能を搭載した、経営者向けの業務管理システムを開発しています。これは、日々の運行管理簿チェック、日報のつけ方やドライバーの管理、保険の管理などが抜け漏れなく行えるものです。将来的には会計や勤怠も自動化できる仕組みを搭載し、運転代行業版で会計ソフトfreeeのようなシステムに進化させようと考えています。これもまた、タクシー配車アプリとは違う点になると思われます。

     

    >>>後編へ続く

  • デジタコより安く導入できる!「アナタコ+車両管理システム」活用術

    デジタコより安く導入できる!「アナタコ+車両管理システム」活用術

    全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス。コロナ感染拡大の影響で、多くの業界が経済的に大きな打撃を受けています。各企業では事業を継続し続けるために、助成金や融資の活用、コスト削減、コストの適正化など数々の施策を進めていますが、配送・物流業界においては、業務の効率化を実現し、コストを見直すために、アナタコからデジタコへとシフトする動きが増えているようです。

    なぜ、アナタコ→デジタコへのシフトを希望する企業が増えているのか

    新型コロナの影響で、生鮮食品や日用品の輸送量が激増し、業務が多忙を極める企業がある一方で、配送先店舗や工場の稼働が一時的にストップし、荷物の輸送先がなくなった企業もある物流業界。前者においては、慢性的な人手不足や長時間労働を是正すべく、業務の効率化による生産性向上と労働時間の適正化が求められ、後者においては企業の体力維持のためにコスト削減が求められています。

    そこで着目されたのがITツールの活用、つまりデジタコです。一般的なデジタコには、アナタコと同様に走行距離、速度、走行時間の記録が搭載され、さらに「GPSによる位置情報」や「エンジン回転数の変化」「急加速・急減速」「ドアの開閉」など、より多くの情報を得ることができます。また、スマホやタブレットとの連携、危険挙動が起きた際のアラート発信など、記録する以外にも多くの機能が搭載されているのです。さらには走行データを集計・分析し、安全運転評価や日計表を出力することも可能です。これらの機能を活用することで、事務作業を自動で行ったり、業務の改善ポイントが明確になったりするなど、手間を省いて今後の運用をスムーズにすることができます。改善から効率アップまで、企業にとって多くのメリットがあることから、デジタコへシフトする企業が増えているのです。

    新型コロナの収束が未だ見えない不安定な状況下において、企業はビジネスの変革を求められています。そのためには、デジタルツールの導入、デジタルトランスフォーメーションの推進が必須と言えるのかもしれません。

     

    アナタコのメリットとデメリットとは

     

    運行記録計の装着は法律によって義務付けられていますが、デジタルを選ぶべきだという決まりはありません。

    何十年も前から誕生し、利用し続けられてきたアナタコは、チャート紙に記録計が接触することで、瞬間速度、走行距離、走行時間などのデータが連続的に記録される仕組みで、記録されたチャート紙を読み解くには専門的な知識が必要です。しかし、パソコンを所有していない企業でも利用することができ、デジタコと比べて安価な費用で導入できるため、今までは多くの企業で活用されてきました。

    速度・距離・時間が記録されたチャート紙は基本的に一走行あたりの記録が記されるだけです。

     

    出典:矢崎エナジーシステム

    使い慣れた方からすると、一目でどれくらいの速度で、何時間稼働し、何キロ走行したのかがわかりますが、初めて見る方だと、メモリの単位を理解し、ひげ状に記されたグラフはどんな状況を示しているのか、分析に時間がかかってしまいます。また、デジタコのように危険挙動やリアルタイムでの車両の現在地がわからず、走行時の貴重な全てのデータもクラウドには保存されません。基本的にチャート紙を一枚一枚保存することとなるため、紛失する可能性もあり、最悪の場合、改ざんなどの不正が発生する可能性も考えられます。

    業務効率の向上や事故防止、労務管理の徹底を実現するには、リアルタイムで事業所とドライバーが連携を図ることができ、自動で稼働時間が計算され、危険挙動を把握して事故防止対策が行えるデジタコの方が有益だと言えるかもしれません。

    デジタコを導入したい!でもデジタコは高い・・

    新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、厚生労働省では病気休暇制度、子どもの休校・休園に関する特別休暇制度を整備し、従業員が安心して休める環境整備を推進する支援制度が発表されました。該当の制度では助成金の交付がなされますが、10ほどある支給対象の取り組みの中に、デジタコの導入・更新も含まれています。成果目標の設定や申請が必要となりますが、このような助成金を活用して新たにデジタコを導入することもできます。

    さまざまな助成金が活用できるとはいえ、デジタコ1台の平均導入価格は20万前後。希望する機能が増えれば増えるほど金額は大きくなるため、所有する車両が多い事業者はやはりそれなりの金額を負担することになります。また、必要に応じて連動した車両管理システムの導入や登録の設定費用、取り付け工事費用も必要です。全てを含めて見積もってもかかる費用が大きく、導入を断念する企業も少なくはないはず。

    なるべくコストを押さえたい。でも、デジタルツールを活用して、高度な車両管理と安全運転対策を実現したい。そんな希望に応えるために、スマートドライブで提案しているのが「アタナコ+車両管理システム」の組み合わせです。

    もっと高度に!もっとお安く!デジタコより高精度な車両管理システム

     

    運行記録計の装着は物流業界において義務付けられているものです。デジタコは効果なのですぐに導入できないけど、デジタコのように業務改善や事故防止ができるツールがあれば…。そうした幅広い需要に応えることができるのが、スマートドライブが提供する車両管理システム、SmartDrive Fleetです。

    デジタコと変わらない機能を有する高度な車両管理システムで、デジタコと比較しても導入金額はかなり安価。しかもシガーソケットに挿すだけで利用が開始できるため、取り付け工事も不要です。リアルタイムの車両位置情報。地図上で危険運転が多発する“ヒヤリハット”地点も示されます。日報の入力も簡単、SmartDrive Fleetは物流業界も含む様々な企業で利用されています。今ご利用中のアナタコと合わせた活用で、より高度な車両管理が実現できるのです。

     

    SmarrtDrive Fleetのおもな機能

    ・リアルタイムGPS管理機能で現在地を特定し、サービスの変更指示などが迅速に行えることで、営業効率が向上します。
    ・業務量や稼働時間を正確に記録することができるため、労務管理や労働環境の見直しなど、働き方改革を進める際に役立ちます。
    ・運転日報の自動作成機能は手書きによる負担を軽減。ノンコア業務を一気に短縮し、効率的に時間が利用できるようになります。
    ・特許を取得した安全運転診断でドライバー1人ひとりの運転のクセを可視化。ざっくりとした安全運転教育から、個々に合った適切な指導が可能になります。
    ・車検や整備のタイミングも登録可能なため、いつ・どのタイミングで点検が必要かを共有できます。

     

    そのほか、製品を導入後、お客さまが求めている成果が確実に獲得できるようにサポートする支援サービス、取得したデータを分析し、業務改善へとつなげるレポートサービスも。簡単に導入できる、お得なサービス、ぜひお気軽にご相談ください。

  • 物流業界の働き方改革!ホワイト物流推進運動とは

    物流業界の働き方改革!ホワイト物流推進運動とは

    以前から先進国では、技術・開発などの事務系や企画・営業の職に就いている労働者をホワイトカラー、生産・製造過程で直接作業に従事する労働者をブルーカラーと呼び、前者より後者の方が賃金水準は低く、労働環境が劣悪だとされてきました。

    近年、現場へのIT導入や作業のオートメーション化により、両者の格差はずいぶん是正されてきたものの、人手に頼らざる得ない業務が大半を占める物流業界は、なかなかブルーカラーから脱却しきれていないようです。そんな中、物流業界が抱える多くの課題を解決に導く新概念、「ホワイト物流」というワードに注目が集まっていますが、具体的にはどのような取り組みであり、どんな企業が賛同・導入しているのか、今回は徹底検証してまいります。

    ホワイト物流とは

    正確な名称は「ホワイト物流推進運動」と呼ばれるこの取り組みは、少子化による深刻なドライバー不足に伴い、国交省・経産省・農水省主導でトラック輸送の生産性の向上・物流の効率化と女性や60代以上の運転者等も働きやすいより「ホワイト」な労働環境の実現を目指した社会運動です。

    2019年5月13日には、各省連名で全国約6,300の企業に対し、運動への参加を要請する文書が送付され、同推進運動ポータルサイトに集計によると、2020年2月末時点で866社が趣旨に賛同・参加を表明しています。運輸・運送・郵便・倉庫業はもちろん、鉱業・採石業や建設業、製造業、電気・ガス・水道業、情報通信業からその他サービス業にまで、多岐にわたる企業・団体が推進運動に賛同していることから、ホワイト物流の実現がいかに国民生活の安定と持続的な経済成長に不可欠なのか良くわかります。

    ホワイト物流推進運動の内容1「自主行動宣言の必須項目への同意」

    不和糸物流推進運動に賛同したことを公表されている企業は、すべて以下で示す3つの自主行動宣言の必須事項に同意しています。

    【取組方針】・・・事業活動に必要な物流の持続的・安定的な確保を経営課題として認識し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先や物流事業者等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善に取り組みます。

    【法令遵守への配慮】・・・法令違反が生じる恐れがある場合の契約内容や運送内容の見直しに適切に対応するなど、取引先の物流事業者が労働関係法令・貨物自動車運送事業関係法令を遵守できるよう、必要な配慮を行います。

    【契約内容の明確化・遵守】・・・運送及び荷役、検品等の運送以外の役務に関する契約内容を明確化するとともに、取引先や物流事業者等の関係者の協力を得つつ、その遵守に努めます。

    ホワイト物流推進運動の内容2「推奨項目の選定(任意)」

    さらに、企業・団体として独自に取り組むことができる項目について、以下で示す推奨項目を参考に検討、自主行動宣言へどれを盛り込むか公表するか否かは任意となっており、随時追加・変更・削除可能です。

    テーマ 推奨項目
    (ア)運送内容の見直し ①物流の改善提案と協力

    ②予約受付システムの導入

    ③パレット等の活用

    ④発荷主からの入出荷情報等の事前提供

    ⑤幹線輸送部分と集荷配送部分の分離

    ⑥集荷先や配送先の集約

    ⑦運転以外の作業部分の分離

    ⑧出荷に合わせた生産・荷造り等

    ⑨荷主側の施設面の改善

    ⑩リードタイムの延長

    ⑪高速道路の利用

    ⑫混雑時を避けた配送

    ⑬発注量の平準化

    ⑭船舶や鉄道へのモーダルシフト

    ⑮納品日の集約

    ⑯検品水準の適正化

    ⑰物流システムや資機材の標準化

    (イ)運送契約の方法 ①運送契約の書面化の推進

    ②運賃と料金の別建て契約

    ③燃油サーチャージの導入

    ④下請取引の適正化

    (ウ)運送契約の相手方の選定 ①契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮

    ②働き方改革等に取組む物流事業者の積極的活用

    (エ)安全の確保 ①荷役作業時の安全対策

    ②異常気象時等の運行の中止・中断等

    (オ)その他 ①宅配便の再配達の削減への協力

    ②引越時期の分散への協力他

    ③独自の取組

    推奨項目数の多さからもわかるように、ホワイト物流の実現には(ア)に注力しなければならず、ITやロボットの活用、推進運動に賛同した荷主や他業種企業と連携し、強い協力体制を構築することが重要です。

    ホワイト物流推進運動の内容3「自主行動宣言の提出・実施・更新」

    ホワイト物流推進運動のように、経済成長戦略や働き方改革に関する取り組みは数多くありますが、その中のいくつかは行動指針のみが目的化し、実効力の乏しい「絵に描いた餅」になっていることも少なくありません。

    そのため、同推進運動事務局は自主行動宣言の提出を随時受け付けているほか、推奨項目についても社内外で広く合意が得やすく、早急に実行可能なものから段階を踏んで盛り込み、徐々に内容を充実していくことをすすめています。

    しかし、働き方改革関連法の完全施行を鑑みると物流業界に残されたタイムリミットは、「罰則付き時間外労働時間の上限規制」が適用される2014年4月までの約4年間、それまでにある程度ホワイト物流を形にしないと、業界そのものの足元が崩れていく可能性も。そのため、「あと4年しかない」と危機感を持って実施し、目まぐるしく変化する情勢に合わせ項目を追加・更新しながら、継続的に運用する必要があると考えています。

    物流業界における働き方の現状と課題

    厚労省が毎年公表している「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」によると、2017年は236件(うち過労死が92件)の労災保険決定がなされましたが、内訳を職種別にみると、自動車運転従事者が89件(うち過労死が35件)と全体の約38%を占めています。

    出典:厚生労働省

    <>は死亡()は女性の内数

     

    ワースト2位である法人・団体管理職員と比較し、自動車運転従事者の支給決定件数・死亡者数はともに4倍に達しており、他業種より労働環境が良くないとわかるでしょう。荷積みや荷下ろしなど、過酷な肉体労働による身体的負担、ドライバー1人当たりの労働時間が全産業従事者より約20%長いことなどが主な原因ですが、もう1つ手待ち(荷待ち)時間が平均1時間45分というのも、近年改正すべき問題として指摘されています。

    出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果」

     

    この結果にはドライバーの自主的行動や時間調整も含まれますが、手待ち時間のほとんどは「荷主都合」で発生しており、次のような負の無限ループに陥ることで、物流ドライバーの労働環境が悪化の一途をたどっているのです。

    1. 手待ち時間が長くなる

    2. 荷積み・荷下ろしを急ぐ必要がある

    3. 配送(運転)時間短縮には限界がある

    4. 身体的・精神的負担の増加

    5. 次の出・入庫先でも手待ち時間が発生

    事態を重く見た国交省は、長い手待ち時間を生じさせている荷主に対する改善勧告等の判断材料とするため、2017年7月より荷主都合による30分以上の手待ち発生を乗務記録に記載し1年間保存する旨、全日本トラック協会へ通達しました。

    しかし、荷主側の権限が圧倒的に強く運送業者側が都合に従わざるを得ない、物流業界ならではの旧態依然とした商慣行が災いし、手待ち時間を短縮できずドライバーの労働環境が改善していません。そして、厚労省や地方自治体と物流業界、並びに関係企業・団体が一体となって悪しき商慣習を無くし、併せてIT活用による配送・出入庫業務の効率化で労働時間短縮と、生産性向上を図ろうというのが、ホワイト物流のメインテーマであると言えるでしょう。

    ホワイト物流のメリットと社会的意義

    ここまで、ホワイト物流推進運動のあらましと内容、物流業界における働き方の現状と課題を解説しました。多くの関連企業に参加を促したとはいえ、あくまで自主的な取り組みを促進する運動のため、厚労省が進捗状況をチェックするわけではありません。徐々に注目度が高まり賛同企業が増えているとはいえ、法的強制力や助成金が準備されているわけでもないため、参加に二の足を踏んでいる企業も多く、厚労省の参加要請に応じたのは全体の約13,7%に留まっています。この項ではホワイト物流推進運動へ参加することで得られるメリットと、社会的意義について考えてみました。

    企業・部署を超えたITシステム活用による手待ち時間の短縮

    従来、入・出庫先の荷積みと荷下ろしは先着順で行われており、処理能力に限りがあるにもかかわらず特定の時間にトラックが集中した結果、無駄な手待ち時間が発生しています。

    厚労省の調査によれば、手待ち時間がある運行におけるドライバーの平均拘束時間は「13時間37分」、そしてこれはあくまで計算上の話ですが、手待ち時間を0にできれば、拘束時間は「11時間52分」まで短縮可能ということです。

    それには、荷主企業が各トラックバースの荷役予定時刻を事前設定・最適化する「予約受付システム」を導入することで大幅な改善が見込めます。また、荷主側も倉庫作業がITシステムの導入によって効率化することで、時間・人員削減によるコストカットや、自社商品・サービスの円滑な流通による生産性向上など、様々なメリットが発生します。

    繁忙期にはろくに休憩も取れず、食事すら信号待ちの間におにぎりやパンで済ませることもあるドライバーの窮状を考慮すれば、運送業者は荷主企業へホワイト物流運動の有益性をアピールすることで参加を促すことができるのではないでしょうか。

    パレット・補助機器による肉体的負担の削減

    大量の貨物を手作業で積み下ろしていては、ドライバーも倉庫作業者も肉体的負担が大きくなるのは当たり前です。一部の運送業者・荷主企業は、この現状を改善するためにパレットを活用し、手作業からフォークリフトなどの「補助機器」による荷役へシフトを試みていますが、購入・管理費用の負担などによって、なかなか調整が進んでいないようです。

    物流業界は高齢化が加速しているため、一刻も早くホワイト物流の推奨項目に盛り込み、賛同企業間で荷役の負担軽減対策に関する同意を取り付け、女性や60代以上の方でも働きやすい職場を実現すべきかもしれません。働きやすい職場実現のカギは、IT・ロボットなどを導入した作業のオートメーション化です。

    ホワイト物流運動には、トヨタやパナソニックなどの自動車・家電メーカーから、キューピーやアサヒ飲料といった食品・飲料大手まで、職場のホワイト化に成功した数多くの企業が賛同しています。大手製造企業の事例を参考に、そのノウハウを吸収し自社の施策に活用すると良いでしょう。

    車両管理システム導入による荷主への対応請求と配送ルートの効率化

    高度なITシステムは導入コストがかかると懸念している企業もいるのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、車両管理システムです。同システムには厚労省が荷主に対する勧告等の判断材料とする手待ち時間を自動で記録するものもあり、リアルタイムでの位置情報が把握できるというメリットも持ち合わせています。これらの機能によって、荷主企業に対し従来の商慣習にとらわれることなく適正な改善対応を求められるほか、一向に対応がなされなかった場合は勧告対象の根拠として、厚労省へ提出することも可能です。

    また、車両管理システムでは、渋滞多発地帯や道路規制エリアなどを回避した配送ルートの効率化やリアルタイムでの運行スケジュール変更の指示も可能なため、トータルの労働時間を短縮することができます。

    労働時間短縮・環境改善による人材不足の解消と過労死の根絶

    ホワイト物流推進運動最大の目的は、なんといっても深刻化するドライバー不足の解消です。労働時間短縮と環境改善が行えれば約3,03%と、全産業平均の倍近くに達している有効求人倍率(※)も、徐々に下がるはずですし、利益による肉体的負担が軽減されれば、現状わずか1,2%に過ぎない女性ドライバーの数も増加が見込めるでしょう。

    ※2019年12月現在の水準。有効求人倍率が高いということは、それだけその業種に就きたいと考える求職者が少ないという証。

    労働者の健康維持・環境保全に積極的な企業としてアピールできる

    ホワイト物流推進運動への賛同を表明すると、労働者が健康で長く働ける職場作りや、二酸化炭素削減に寄与した「優良企業」として、同運動のポータルサイト上で社名が広く公表されます。また、参加企業・団体は同サイトで配布されているイラストや、バナーの使用が認められており、これらを商品・サービスのプロモーション活動に利用すれば、消費者や取引先へ社会的責任(CSR)を遂行している企業であることを、強くアピールできるのです。

    企業・組織のコンプライアンス徹底が叫ばれている今、働き方改革関連法の遵守や環境保全を始めとする、CSRに社を挙げて取り組んでいる事実は、消費者からの評価向上による新規顧客の獲得など、数多くの利益を企業に与える可能性を秘めているのではないでしょうか。

  • 目指すは業界全体のDX –車両管理システムをカスタマイズして、材木物流の効率化に挑戦!

    目指すは業界全体のDX –車両管理システムをカスタマイズして、材木物流の効率化に挑戦!

    「DXの事例紹介」「DXを行うために必要なツールは?」などDXに関する話題は尽きることがありません。元外資大手のコンサルタントが材木卸というレガシーな産業でどのようにDXを実践するのか?

    華麗なキャリアを歩んできた望田氏はレガシーで斜陽産業と言われる材木卸にイノベーションを起こすべく、東集の代表取締役に転身しました。インタビューをしている時に感じたのは、困難に立ち向かいながら改革を進める強い意思と、現場の方々に寄り添う優しさでした。

    そして、自社だけでなく材木物流全体の業務を効率化するために、開発した木材配送最適化サービスについても紹介します。

    華麗なキャリアから材木卸業への転身

    まずは望田さまの自己紹介をお願いできますか?

    私は2020年の1月にクレストホールディングスに取締役COO&CSOとして参画しまして、2020年5月より材木卸業の東集という会社の代表取締役でもあります。

    経歴としましては、早稲田大学の卒業後、リサ・パートナーズというPE(プライベート エクイティ)ファンド部門に所属。未上場の企業を買収して企業価値を高めて売却する、ということをしておりました。ドラックストアや回転寿司、ビルメンテナンス、電子書籍など様々な企業を担当させていただきました。

    その後、PwCコンサルティングの戦略チームに転じまして、BDD(事業性評価)、PMI、業務改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)等、様々なテーマを経験させていただきました。新規事業創出も担当させていただいた際には、ローソンの成城石井の買収やPepperの市場開拓支援などにも関わりました。

    華麗な経歴ですね!なぜクレストホールディングスに転職したのですか?

    もともとクレストホールディングスの代表である永井とは高校時代の同級生でして、様々な相談に乗っていました。そして、クレストホールディングスグループの理念であるLegacy Market Innovation®はレガシー産業の漸進的成長を遂げ、その収益を活用してその産業に対するイノベーションを起こすというモデルなのですが、この考えに私自身が思いっきり共感しちゃいまして、気がついたらクレストに参画していました(笑)

    クレストホールディングスは材木卸の東集を2019年9月に子会社化していますが、東集について教えていただけますか?

    東集は、昭和31年の創業以来木材・木製品卸売業者として深く業界に根付いている、建築関連業界から信頼を集める老舗企業です。材木卸売業界の中でも、早くから集成材という領域に特化しており、現在に至るまで堅調に事業を継続させてきました。

    皆様が自宅を建てようと思った際に、対面するのは工務店さんや、設計事務所の方々になりますが、工務店さんに材木を卸すのが材木販売店です。我々はこの材木販売店に材木を卸す材木卸という立ち位置になります。

    材木卸の東集が取り組んだDXとは?

    レガシーな企業をデジタル化によって生産性を高めるために、どのようなことを行ったのでしょうか?

    「ツールの導入」と「情報の集約」の2つに大きく分かれます。

    まず、ツールの導入ですがガラケーの使用をやめて、スマートフォンを配布するところからのスタートしました。次にインターネットの回線速度を上げるため、ADSLから光回線に、そしてデスクトップからノートパソコンへの移行など、様々な取り組みを実施し、顧客管理システム(SFA)やMA(マーケティングオートメーション)、ERPの導入も進めました。

    次に、情報の集約です。紙によるやりとりが非常に多かったので、とにかくクラウドにデータを集約することにフォーカスしました。たとえば、FAXを減らしたかったので、FAXで受け取った紙はメールで転送するという、一見すると非効率に見えることも行いました。

    こうした取り組みの効果として、生産性が6%ほど上がり、直行直帰も増えて残業時間も大幅に減らすことができました。

    まさに怒涛の勢いで改革されたのですね。一方で、現場からのハレーションなど、苦労された点について教えてください。

    全角と半角の切替方法など一から教える必要がありましたし、デスクトップを長く使っていたため、ノートパソコンを使って外で仕事できるにもかかわらず、オフィスに戻って仕事したり…。受信したメールを印刷してラックに並べて優先順位をつけていたので、印刷せずとも優先順位を付けられる方法を教えたり…。最初は苦難の連続でした。

    人はどうしても変化することに抵抗感を持ちますので、できない理由を並べてしまいがち。よく言われることでもありますが、DXは本当に難しいのです。だからこそ、トップが「絶対にやり切る」という強い意思をもって決断し、実行することが何よりも重要です。そして、人がツールに使われている状態だといつか限界がきてしまうので、「人がシステムに適応」できるよう、しっかりと寄り添うことが必要で、根気強さと優しさも併せ持つ必要があるでしょう。

    かなり苦労されたのですね。今回のインタビューの主題でもある東集が開発したモビリティーサービスもDXの一貫でしょうか?

    そうですね。業務における基本的な部分についてはかなり効率化できましたが、材木物流の業務の効率化はできていませんでした。そこで、どういった業務に工数がかかっているのかを観察し、効率化できる所はないか考えました。

    その時からSmartDrive Fleetを利用していましたので、この車両管理システムを材木物流の業務効率を改善するシステムとして、活用できないかと考える日々がスタートしましたね。

    (東集ウェブサイトより)

    短期間で開発できた、MOCCI (木材配送最適化サービス)について

    材木物流ではどのような課題があったのでしょうか?

    我々の業界では、電話とFAX(紙)を利用するのが普通でしたので、システムをあまり活用してこなかったのです。すると、弊社の社員は「荷物はいつくるのか?」「荷物は今どこにある?」という問い合わせの電話対応に多くの時間を取られていましたし、木材がどこにあるのか調べるため、FAXを確認しにオフィスにわざわざ戻ってくる必要もありました。

    スマートドライブのクラウド車両管理システムでは、車両が今どこを走行しているかリアルタイムに把握できますし、安全運転しているかどうかもわかります。さらに、ジオフェンス機能を活用することで、特定の地点に車両が近づいたら、車両管理者へメールで通知を出すこともできます。こうした機能を活用することで、すでに車両管理業務の効率化には取り組んでいたのですが、荷物の居場所確認のための電話を撲滅するには至りませんでした。そこで、荷物がいつ頃にお客様の元に届くのかを共有できれば、電話による確認作業を減らせるのではないかと考えました。

    そうして作り出されたれたのがMOCCIでしょうか?

    そうです。MOCCIは Mobility Optimization Construction matrial Carriage Intelligenceの頭文字を取ったものでして、わかりやすく言うと木材配送最適化サービスのことです。このシステムを活用すると、車両が配送先に近づくと「配送車が近くまで来ましたよ!」と知らせることができます。

    お客様にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

    配送車が近くまで来ていることを知ることができれば、事前に空きスペースを確保したり、フォークリフトを用意したり、といった荷受けの準備ができます。また、到着時間が読めないと休憩も取りにくいですよね。シンプルな機能ですが、自社だけでなく取引先の業務も効率化できます。実際に開発する前段階で、荷受け側の企業にヒアリングしたのですが「荷受けの準備ができるのは業務が非常に楽になる」といったコメントが多く寄せられました。

    スマートドライブの車両管理システムを活用してMOCCIを開発したとのことですが、開発期間について教えてください。

    基本設計は1ヶ月くらいで、α版は1週間ほどで完成しました。かなりスピーディーに開発できたと思います。というもの、MOCCIをゼロから開発するとなると、車両の走行データを取得して、データを解析・加工し、サービスを作る、という行程が必要になるので時間も工数もかかります。ですが、SmartDrive FleetにはすでにMOCCIのサービスに必要な機能やデータがほとんど用意されていたので、あとは若干のカスタマイズを加えるだけで済みました。

    オンラインショッピングを利用した際に配送通知が届くサービスを使ったことがある方もいるかもしれませんが、これに近いイメージです。一般的に使われているものなので新しさはないように見えるかもしれませんが、我々の業界にはこうした仕組みがなかったのです。

    MOCCIは今後、どのように発展していくのでしょうか?

    これはあくまで構想段階ではありますが、荷受け側の状況をしっかりと把握できるようにし円滑なオペレーションを行えるようにしたいと思っていますし、配送ルートの最適化にも挑戦したいと思っています。現在の走行状況、安全運転の度合いの可視化はすでにできていますが、荷台の空きスペースの状況も可視化したいと思っていまして、空きスペースを同業他社にも貸し出して共同配送することで、自社だけでなくステークホルダーも含めた効率化を目指しています。東集だけがDXしても、成長には限界がありますので、業界全体でDXして木材業界、延いては林業界の価値を高めていきたいと思っています。

    テクノロジーの力で業界全体の永続的な成長に挑戦

    先ほど、業界全体の価値を高めたいという話がございましたが、同業他社の方々に向けて何かメッセージはありますか?

    世界ではテクノロジーが発展し、人々の生活や産業構造など社会全体が大きく変化しています。これまで同業他社との競争環境に目を向けていればよかったものが、まだ創業間もないスタートアップといわれる新興企業が他業界からやってきてテクノロジーを駆使した大きな業界変革を起こし、既存企業は淘汰されてしまいます。タクシー業界におけるUberやホテル業界におけるAirbnbと言えばわかりやすいのではないでしょうか。

    スタートアップが業界を破壊していく姿は華やかで、まるでそれだけが唯一の道であるかのように取り沙汰されますが、私は”Startup is God!(スタートアップだけが最高だ!)”とは思いません。業界の外からやってくるスタートアップは固定概念に囚われない新たなアイデアを創造することができますが、逆に長い歴史を持った既存企業だからこそ見つけ出せる本質的な価値があると確信しています。既存企業が自社や産業の本質的な価値を見出し、テクノロジーを使って市場への価値の届け方を変えることで、既存企業が自ら変革していくことは十分に可能であると思うのです。

    東集は実際に変革に挑戦しているので、説得力がありますね。最後に今後の展望についてお聞かせください。

    古き良き歴史を重んじながら伝統的な産業にイノベーションを起こすクレストホールディングスグループである東集は、企業理念である「住む人にハイクオリティーな生活空間を創造する企業」を目指し、そのためにお客様にとって本質的に最適な価値を生み出すために、日々変革を行っていきます。林業界を含めたバリューチェーンの最適化、業界にマッチした形でのデジタル活用による電話と紙文化からの脱却、生活空間という人にとって大事なものである木材に関する業界全体の情報発信、デジタルだけでは解決しきれない物流というリアル世界の効率化などに挑戦していくつもりです。

    我々は自社だけが業界の勝ち馬になろうとは思っておりません。業界全体として本質的に最適な価値を生み出していくことを目指しております。ステークホルダーを含めた関係者様の皆さまと一緒に業界が永続的に成長可能な挑戦を続けていきたいと思います。

  • 適切な代車管理は顧客の満足を高める!代車管理システム厳選5選

    適切な代車管理は顧客の満足を高める!代車管理システム厳選5選

    メンテナンスや修理、点検や整備など、人と同じように車も体調管理を行うために1日から数週間、定期的に修理工場やディーラーへ預ける必要があります。その間に代わりの移動手段として提供されるのが代車です。しかし、紙やホワイトボードによる手書きの管理だと、貸し出す代車が多ければ多くなるほど、いつからいつまで、どの企業に、何台貸し出したのかがわからなくなることも。その際に役立つのが代車管理システムです。

    代車管理システムとは

     

    車のメンテナンスや点検などを行う損保会社やディーラー、整備工場、レンタカー会社などでは、通常、お客様から預けていただいた車の代わりに自社が所有する代車を貸し出しています。

    これらの企業は代車を一台貸し出す場合でも、いつ、どの車両をどの企業(だれ)に、いつまで利用されるかといった情報を把握し、返却から返却後の整備までをしっかりと行う必要があります。管理がずさんだと、「今日、お客様にお渡しする予定だった装備の代車がない」「貸し出す予定だった代車の用意が間に合わない」など、貸し出し中に不備が発生したり、代車の準備が遅れたりするなどして、お客様へ不満や不安を与えてしまう可能性があるからです。また、代車に不備があると事故につながりかねませんし、希望の代車や装備が搭載されていないと顧客との関係性に支障をきたしてしまうことも…。

    代車の管理を紙やエクセルに手入力で記載している企業も少なくありませんが、スケジュールの延期など直前の変更が発生するも多く、スタッフによる記入漏れを確実に防ぐのは難しいことです。管理事項スムーズかつ万全の状態で代車をお渡しするためにも、代車管理は適切に行うべきだと言えるでしょう。

    今すぐ役立つ!代車管理システム5選

     

    そこで役立つのが代車管理システムです。最大のポイントは貸し出し期間や誰にどの車両を貸し出しているのかが一覧で表示されるため、一目で状況が把握できること。変更もシステム上で行えば即時反映されますので、情報の共有にズレが生じることもありません。代車管理は顧客管理と同じです。代車管理システムを上手く活用することで。お客様に長期的に自社サービスを利用し続けてもらうための、丁寧かつ配慮の行き届いたご案内ができるでしょう。ここからは、代車管理サービスを5つ、厳選してご紹介します。

     

    高性能車両管理システム「SmartDrive Fleet」

    大手のディーラーでは、代車を営業所間で貸し借りすることもあるため、代車の現在地を常に把握するのが難しいという声を聞きます。SmartDrive Fleetはシガーソケットに挿すだけですぐに使用可能なデバイスを通し、位置情報や稼働状況をクラウドで管理できる高精度なシステム。
    さらに、ドライバーエンゲージメント機能も搭載しているため、安全運転している方にはポイントを付与することができ、お客様もおトクに代車が利用できるのです。このシステムを活用することで、地方のディーラーや整備工場も顧客を囲い込むことができますし、走行距離や走行時間などもわかることで適切なタイミングでメンテナンスの連絡やクーポンを提供したり、近隣の店舗で使用できるクーポンを用意したりするなどして、地域にとって欠かせない存在になり得るでしょう。

    主な機能
    ・車両予約機能があるので、誰がどの車に乗ったのか把握ができる
    ・GPSでリアルタイムの位置情報がわかる
    ・安全運転で利用されているかがわかる、安全運転診断機能
    ・車両予約管理機能によって代車の予約管理がスムーズに行まる。また、車両の稼働状況を可視化したレポートを自動作成し、管理コストの適正化を進めることもできるのがポイントです。

    製品ページ:https://smartdrive-fleet.jp/
    利用金額:こちらよりお問い合わせください。

    代車スケジュール管理「DAISUKEくん」

    出典:パレスオートセンター

    今まで手書きで管理していたけど、予定の変更が多く管理が行き届いていない。予約の移動が上手くできず機会損失しているかもしれない。アナログ管理によって起きていたさまざまな課題を解決しようと、現場で働く車屋さんが車屋さんの目線で作った代車スケジュール管理システムです。

    主な機能
    ・スケジュールの上でドラッグ&ドロップすれば簡単に新規予約の作成、予約変更ができる。
    ・一目で代車のスケジュールがわかる
    ・代車の受け渡し日がずれても、自動で他の予定を空いている代車にずらし、最適化してくれる
    ・外出先でもスマホからスケジュールの確認が可能
    ・代車の車検満了も色で教えてくれる

    製品ページ:https://www.daisukekun.com/
    利用金額:5台までは初期設定費用3,000円(税別)、月額1,000円(税別)から

    自動車整備システム「 Defense21 」

    出典:ソフトプランナー

    25年間の自動車整備システムの制作で培ったノウハウを強みに、購入後5年は無償で機能がアップデートされるDefense21。見積書や指示書の自動作成から車検・点検案内、顧客・車両情報管理機能など、車両整備に関する多彩な機能が満載です。

    主な機能
    ・いつ・誰が利用するのか、システム上で予約状況をひとまとめで表示させる
    ・未入庫・入庫済・売上済の3パターンで整備状況が把握できる。また、ボタンひとつで伝票作成が簡単にできる

    製品ページ:http://softplanner.co.jp/defense/
    利用金額:月額9,400円から

    クラウド型自動車整備業務支援システム「Maintenance.c」

    出典:ブロードリーフ

    直感的でわかりやすく、入力補助機能によって抜け漏れを防止してくれるMaintenance.c(メンテナンスドットシー)。基本は車検書類作成や顧客・車両管理などの整備業務における機能がメインですが、オプションとして空き状況がカレンダーで確認できる代車管理があります。

    主な機能
    ・一覧表に15分単位で予定の管理・登録・変更が可能
    ・顧客管理・車両管理機能に加え、各種書類作成も楽々。
    ・代車の空き状況をカレンダーでわかりやすく表示。代車の貸し出し延長、キャンセル、予約の組み替えも簡単に行える

    製品ページ:https://sfc.blcloud.jp/support/public/lp/
    利用金額:1ライセンスあたり5,000円(基本システム料金3,000円、アプリケーション料金2,000円)伝票発行枚数0〜20枚5,500円より〜代車管理は1ライセンスあたり500円〜。

    自動車整備業向け顧客管理集客システム「CAR FRONTIER III」

    出典:アシストプラン

    管理だけでなく、使いやすいインラーフェイスト無駄のないデータ管理で集客へつなげる自動車整備業向けシステム。管理項目を属性から設定できる得意先/車両マスタ機能をはじめ、顧客獲得と顧客維持に強化した機能が数多く搭載されています。

    主な機能
    ・グーグルカレンダーと連動しているため、予約状況のチェック、予約の追加がリアルタイムかつ簡単に行える
    ・さまざまな管理項目を属性で設定でき、直近1年内での新たな得意先といった集計出力も可能
    ・売掛管理、入庫管理、日次の請求業務機能も搭載
    ・貸し出し日時・貸し出し先・用途・走行距離・給油量など、代車の予約・返却状況が一目でわかる予約カレンダー機能(拡張機能に該当します)

    製品ページ:http://www.assistplan.jp/products/car-frontier/#extension
    利用金額:要問い合わせ