投稿者: sasaki

  • マイカー通勤で注意すべきこととは–「マイカー通勤規定」その必要性と作成方法

    マイカー通勤で注意すべきこととは–「マイカー通勤規定」その必要性と作成方法

    新型コロナ感染拡大の影響で、マイカー通勤を推奨する企業が増えています。しかし万が一、通勤途中に事故が起きてしまったら…?自然災害などのトラブルに見舞われてしまったら…?企業としては常にもしもの事態と事故のリスクを想定しておかなくてはなりません。その際で重要な役割を果たすのが、マイカー(自動車または私有車)通勤規定です。

    マイカー通勤を推奨するために注意すべきこと

     

    交通インフラが整っている都心部と比較して、地方部では移動や通勤にマイカーの使用を許可する企業は少なくありません。また、最近では新型コロナウイルスの感染拡大によるリスクを低減するために、都心部でもマイカー通勤を推奨する企業がパラパラと出てきました。しかし、マイカー通勤は安全かつ便利なものである反面、常に事故のリスクがつきまとうものです。
    通勤や業務でマイカーの利用を許可していると、事故が起きた場合に企業も責任を問われる対象となるため、マイカー通勤(車両管理)規定を設け、適切に運用する必要があります。今回はじめてマイカー通勤を許可するので就業規則にまだ規定がないという企業もあるかもしれませんが、民法では以下のように定められており、従業員が起こした通勤途中での事故は労災扱いとなります。

    第709条(不法行為による損害賠償)
    故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
    なお事故を発生させた場合、これによって発生した損害の賠償を行う義務が発生します。
    第715条 (使用者責任)
    1 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
    2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
    3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

     

    明確な規定がないまま通勤や業務に使用されている場合、会社が責任を負うことが多くなります。事故やトラブルなどあらゆるリスクを回避するためにも、マイカー使用に関するルールを定め、対象の従業員と互いに周知を徹底しましょう。

    マイカー通勤を認める際に必要な対策

    企業がマイカー通勤を認める場合、万が一の事故における責任は基本的に会社側にも責任があると考え、次のような対策を講じましょう。

    1.マイカー通勤規定(自動車通勤管理規定)を完備し、周知徹底させる

    規定を作成し、マイカーの使用範囲や会社の費用負担の範囲などを明確にします。そして、この規定を周知徹底および遵守するようにしてください。マイカー通勤規定には、必要に応じて次のような項目を取り入れましょう(必要に応じて追加・削除します)。

    ・マイカー通勤の許可基準・・会社所在地と自宅までのルートや距離、公共交通機関の有無についても記載。
    ・業務利用の有無・・通勤のみか、業務でも使用をするのか、使用範囲を明確にします。
    ・運転中の厳守事項・・ながらスマホの事故が増えていますので、「運転中は携帯電話を不使用とする」などを追加し、事故防止につなげます。
    ・駐車場の負担と駐車場の場所について・・指定の駐車場所はどうするのか、月極め駐車場を使用する場合はその負担をどうするのかなど。
    ・事故が起きたときの連絡方法、事故の報告、事故の処理について・・車検証のコピーを提出させる、事故が起きた際の連絡先などをどのようにするか明確に示します。
    ・マイカー通勤の有効期間・・いつからいつまでを使用期限とするのかを記します。
    ・マイカー通勤許可の取り消し・・身勝手な路上駐車など、許可が取り消しとなる場合の事例やルールを示します。
    ・加入保険の基準・・任意保険の加入、契約書の写しを提出させるなどの対応。
    ・会社の費用負担範囲・・ガソリン代、高速代、自動車保険料など、どこからどこまでを会社が何割負担するのか。
    ・会社の免責事項・・事故やトラブルなどが起きた際を想定し、会社の責任範囲を記載します。

    マイカー通勤規定の作成がはじめてという場合は、無料でダウンロードできるサンプルを参考に、必要な項目を追加・削除して完成させましょう。

    サンプルダウンロードはこちらから(すべて無料です)
    マイカー通勤管理規定
    マイカー管理台帳や許可申請書も含まれているので、非常に便利です。

    自動車通勤管理規定
    シンプルでアレンジしやすいマイカー(自動車)通勤管理規定です。

    私有車両通勤管理規定
    社有車およびマイカー(私有車)についての規定書。通勤のみでなく、通勤と業務で利用する際の内容も盛り込まれています。

    2.任意保険への加入

    マイカーを運転中に事故にあった場合、従業員個人の保険が適用されることが多くありますので、使用する前に任意保険への加入を確認、または義務付けましょう。また、企業の自動車保険の適用範囲にもマイカーの業務利用を含めます。

    3.マイカー使用者への交通安全教育を徹底する

    「通勤時だけだから大丈夫だろう」で終わらせず、事故を防止するためにも交通安全教育は必須です。交通事故の賠償責任は従業員だけでなく企業にもかかりますし、示談交渉にかかる人件費や関連費、それに伴う労働力の損失、さらには企業の社会的な信頼を失うなど、ネガティブな面しかありません。リスクを最小限に抑え、従業員の安全を守るためにも、必ず一人ひとりに対して適切な指導を行いましょう。

    通勤途中の事故0を目指して–適切な安全運転教育の実施

    通勤や帰宅途中の事故を未然に防ぐには、具体的にどのような安全運転教育が適切でしょうか。交通ルールや速度の遵守はもちろんですが、運転スキルは個々に違うため全員に同じマニュアルを渡すだけでは不十分です。
    そこで活躍するのが車両管理システム。リアルタイムでの位置情報や、安全運転診断、走行履歴の記録、危険運転発生時のアラート機能など、従業員の安全を守り、事故につながりそうな原因を可視化します。
    また、安全運転によってコンビニなどで利用可能なポイントがたまる機能があるため、従業員には安全運転の促進と従業員満足度を高めることができる優れもの。安全運転をすればするほどポイントが増えていくので、自然と安全運転の意識を向上させることができるのです。また、走行履歴は自動的にクラウドにアップされますので、もしも社内で新型ウイルス感染が発生した際には行動履歴の記録を追うことができますし、危険運転が多発する箇所をまとめて「ヒヤリハットマップ」を作成して周知するなど、リスクマネジメントとしても活用できます。

    地方部での活用術

    地方部は通勤時にマイカーをする人が多く、駐車スペースの圧迫や企業周辺の渋滞が問題視されています。車両管理システムは安全運転や走行履歴の管理だけでなく、稼働状況が把握できるようになるため、逆にマイカー通勤を限定させて移動の効率化を進めることができるのです。
    車両管理システムを活用して走行データを集めて最適な走行ルートを設計するなど、マイカー通勤による近隣地区の混雑を避けるためにシャトルバス化をすすめ、従業員の利便性向上や事故リスクの低減を実現できるなど、多様な活用が可能です。

  • スマートシティやスーパーシティは本当に有効か?ー課題とデメリットを考える

    スマートシティやスーパーシティは本当に有効か?ー課題とデメリットを考える

    IoTやAI、5Gなどの先端技術やビッグデータの活用によって都市や地域の課題を解決し、快適性や利便性を向上させる。理想の世界として語られるスマートシティは、現在、官民一体となって実現に向けた取り組みが進められています。そんな「スーパーシティ」構想を実現するための国家戦略特別区域法の改正案が2020年5月27日に可決し、成立しました。

    しかし、SNSでは「スーパーシティ法案に反対します」「スーパーシティ法案に抗議します」といったタグつきツイートで反対や抗議の声が広がっており、スマートシティやスーパーシティに対する懸念点が議論されています。

    本記事ではあえて、スマートシティやスーパーシティが抱えている課題やデメリットについて紹介いたします。

    スマートシティ・スーパーシティの実現でぶつかる5つの課題

    米国のPersistence Market Researchが2017年に発表した報告書によると、2026年までに世界のスマートシティ市場は3兆4,800億ドル達すると言われており、世界の都市化がスマートシティの市場成長を10年間で19%近く増加させると予測されています。日本でも経済産業省が主導し、横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市で実証実験が行われ、2018年11月でその成果が報告されました。

    その都市に合わせてより快適でより便利なまちづくりを実現すべく、国内外でスマートシティ構想が進められていますが、そこにはメリットばかりではなく、次のような懸念材料も存在します。

    参考記事:スマートシティとは?~変化を続ける未来都市のあるべきカタチ~

    監視社会への懸念

    「そこに暮らす住民一人ひとりがより良い生活を送り、利便性の高いサービスを受けることができる」と聞けば、非常に先進的かつポジティブな未来をイメージしますが、スマートシティはインフラやサービスだけでなく、各個人の健康状態や位置情報の履歴など、あらゆる行動が可視化される、つまり監視に近いイメージがつきまとうのも事実です。

    カナダのトロントでは、20年近く前より東部臨海地区の再開発計画が進められてきました。しかし、2017年の秋にグーグル系列企業のサイドウォーク・ラボがウォーターフロント・トロントと提携協定を締結。グーグルは水の使用量や空気の質、住民の散歩回数や散歩経路など、あらゆるデータをサイドウォーク・ラボに集めさせて、そのデータを活用した「まちづくり」を促進しました。エコで快適なまちづくりにはこれらの作業が欠かせないように感じますが、これは建物の内外や各通りに設置した無数のセンサーで絶えず動向を監視し、AIが動かす自動制御装置によって遠隔操作を行うもので、裏返すと人々が常に行動を監視されていることを意味します。

    また、ネット通販最大手のアリババグループが本社を構える、中国の杭州市においてもAIによる都市管理が進んでいます。杭州には4000台を超える交通監視カメラと2000〜3000台ものサーバが設置され、交通警察が交通違反を監視。AIが監視カメラでナンバーを読みとり、違反があれば警察に自動通報し、違反切符を自動車所有者に送りつけています。送り迎えや荷物の積み込みで少し停車するだけという場合もすべて厳罰な対象となるうえ、日々の行動データや運転の傾向性まで蓄積されてしまう仕組みです。個人情報の監視・蓄積され、情報が全て筒抜けになってしまう…便利になればなるほど、そうした社会が実現してしまう可能性があるのです。

    デバイスやシステムが故障やトラブルを起こさないかという懸念

    さまざまなインフラがつながりあい、整った状態を実現するには複雑なシステムや仕組みを構築する必要があります。しかし、システムが複雑になればなるほど、トラブルや故障が生じやすくなってしまうのです。
    万が一、広大な団地一角全体でシステムトラブルが発生すると、大規模なトラブルに発展する可能性が高まり、復旧までに時間を要することも考えられるでしょう。

    データプラットフォーマーによるデータの寡占・独占

    2019年3月20日、欧州連合(EU)欧州委員会は、グーグルに対し、インターネット広告における独占禁止法に違反したとして14億9000万ユーロ(およそ1900億円)の制裁金を課しました。近年、GAFAと呼ばれる巨大デジタルプラットフォーマーによるサービスが生活を飛躍的に向上させる一方で、それらサービスを経由して取得した個人データをもとに不透明で不公正な取引が行われていることが問題視され、2019年8月には国内でもデータ独占規制に関する指針案を公表されました。
    SNSで情報を発信したり、インターネットで欲しい情報を閲覧したり、買い物をしたり、私たちは日々、インターネットを利用していますが、それは行動履歴のデータとして蓄積されていきます。それらの行動履歴は個人情報からニーズを割り出しセールスに使われたり、ターゲティング広告に流用されたり、新たなサービスの創出に活かしたりされますがインターネットと人がつながればつながるほど、データを所有する企業が有利になってしまうのです。

    スマートシティの実現は日々のあらゆるデータを取得しますが、情報量や交渉力で強い立場にあるIT企業が個人のデータを吸い上げてしまうと、他の企業が新規参入しづらくなり、大手ばかりに収益が集中します。世界規模で寡占・独占が進むと、企業間の健在な競争を阻害することになり、さまざまな問題が生じてしまうのです。

    ハッキングは大丈夫?セキュリティ問題

    米国を拠点にセキュリティサービスの提供をしているTrustwaveが、米国政府のために働いている情報セキュリティ専門家203名を対象に実施したアンケート調査では、「政府はスマートシティに活用されている多くの技術のリスクについて理解していない」と答えた回答者が23%もいました。また回答者の1/3は、「政府はスマートシティの安全を保証できるほどの予算を確保できていない」「政治的な論争によりセキュリティが軽視されている」とも答えています。
    さらには、回答者の27%が「公共のWi-Fiはもっともハッキングリスクが高い」、13%が「交通システムはセキュリティ侵害の被害をもっとも受けやすい」、11%が「監視カメラはハッキングに対して脆弱である」と回答するなど、スマートシティ化が進められるにつれて全体的にハッキングやセキュリティの脆弱性について問題視する声が増えているようです。
    ロシアのモスクワに本社を構えるコンピュータセキュリティ企業のKaspersky Labの調査では、スマートシティで導入されているスピード違反取締カメラの大多数が、簡単にハッキングできることが判明したと発表しています。これは、研究者がShodanという検索エンジンでスマートシティ技術にまつわる脆弱性を調査したものですが、スマートシティ実現に急ぐあまり、安全性の確保は後回しに技術を導入した可能性があるという問題が表面化されてしまった例です。調査の結果、パスワードはかけておられず、ビデオストリームはインターネットから誰でも見ることができる状態だったとのこと。
    現在においても、海外ではハッカーが地方自治体のダムシステム管理センターに侵入したり、高速道路を走行するコネクテッドカーの操縦ができなくなったり、家電機器の動きをストップさせたりするといった被害があるといいます。IoTや5Gの通信網であらゆるモノ・コト・情報がつながれば人々の生活はより利便性を増しますが、それとともにサイバー攻撃への影響、ハッキングされた際のリスクが上がることになるのです。

    いくらかかるかわからない…?インフラコスト

    海外でもスマートシティの定義はさまざまあるようですが、スマートシティ構築に利用されるテクノロジーはその地域の課題や独自のニーズを解決するものであり、そのテクノロジーのために支出可能な予算が異なります。

    情報を活用することで無駄を省き合理的なサービスを提供する。そのためには、IoTなどのテクノロジーを私たちが普段利用しているインフラやサービスと組み合わせる必要があります。世界的な流れを見ても、限りあるエネルギーや環境の守るためには交通渋滞の緩和によるCO2の削減や事故防止が可能なスマートシティの構築が良き未来をつくるカギだとされていますが、そこで懸念されるのが多額のコストです。

    電車やバス、タクシーなどの交通機関、電気・ガス・水道などの公益事業など、あらゆるインフラを整えると多額のコストがかかります。また、施設や仕組みを導入するコストだけでなく、運用やメンテナンスにかかるコストまでを考慮しなくてはならないため、構築までに長い時間がかかることが予想されますが、その一部を住民が負担することを考えると不満の声が上がることは避けられないでしょう。

    まとめ

    先端技術を用いて、交通や公共事業などの基礎となるインフラ、生活インフラを効率的に管理・運営し、経済を発展させていくための新しいまち、スマートシティやスーパーシティ。データを地産地消して生活の質が向上させ、エネルギーやサービスを効率的に利用できるというメリットを持つ反面、今回紹介したようなデメリットも存在します。

    現在はまだ実証実験を進めていたり、実現に向けて取り組みがなされたりしている最中です。新型コロナのような感染症が発生した場合、スマートシティ・スーパーシティのあり方も見直す必要性が出てくるかもしれません。

     

  • 【コストカットの特効薬】法人企業が車両を削減するノウハウとコツ

    【コストカットの特効薬】法人企業が車両を削減するノウハウとコツ

    原材料費・人件費・施設管理費など、企業の利益を左右する必要経費は多岐にわたりますが、なるべく無駄が発生しないようにと経営者や経理担当者は日々模索しています。購入費はもちろん、車検・メンテナンス・燃料代など必要経費が大きくのしかかる車両の削減は、手っ取り早くコストカットが可能でありつつも、実際にどの程度削減すべきかを判断するのは簡単なことではありません。

    本記事では、法人企業が車両を削減する際の注意点から具体的なノウハウとコツまでを詳しく解説します。

    新型コロナの影響で経済が冷え込む今―車両削減を推進すべきか否か

    新型コロナ感染拡大に伴う政府・自治体からの外出自粛、さらには休業要請の影響で国内経済が大きく停滞、多くの企業と個人事業主は、売り上げ減少による経営悪化に頭を悩ませ、少しでも無駄なコストを削減しようと知恵を絞っています。まさしく非常事態と言える今、経費の中でもコストがかかる車両を下取り・買取・廃車で手放そうと考えている企業も少なくはないはず。しかし、ただ闇雲に数を減らしてしまうと、コロナが落ち着き経済が戻った後、今まで通りの営業力が確保できない可能性もあるのです。

    車両数をカットすることで業務スピードが鈍化する業種もありますし、素早く動くことができずにサービスやフォローの質が低下する場合も。つまり、コストカットによって急場をしのげても、売り上げを回復させる手段と方法も一緒にカットする可能性も考えられるため、しっかり考慮をしたうえで車両削減を実施しましょう。

    最適な車両台数を明確にするには、稼働率や1台当たりの生産性をデータで捉え、分析を行います。企業の業態や保有台数、営業エリアによって課題が異なります。

    都心・地方によって違う?それぞれの課題と車両削減のタイプ

    車両削減とひとことで言っても、都心と地方では異なります。公共交通機関が充実している都心部は社用車に、通勤車両が多い地方部は自家用車に着目しましょう。都心部は通勤手段を公共交通機関にスイッチしやすく、駐車場代、交通量が多いことによる事故リスクを回避しやすいのがポイントです。

    一方、稼働エリアが広くなる地方部は、社用車数の見直しは難しいものの、次の課題を意識したうえで通勤車両を削減すれば、継続的にコストカットを進めることが可能です。

     

    • 駐車スペースの圧迫・・・「駐車場賃料・管理費」の増加
    • 公共交通機関への転向・・・「通勤手当」の増加
    • 運転技術・安全意識のばらつき・・・「事故発生率」の増加

    都心部の企業が車両削減を進めるポイントと具体策

    都心部の企業が社用車削減を進めるうえで留意すべきポイントは、車両管理システムが有する予実管理機能の活用により、予約時間を分散して空予約の削減を図ることです。空予約とは、利用実績以上に予約されていることを指し、午前中予約がいっぱいで抑えられなかった会議室が、午後は誰も利用していないのと同じようなもの。社用車は使用中に動いていますが、予約したものの訪問先の都合で急きょ予定がキャンセルになったり、交通渋滞などで帰社時間がずれ込んだりするケースもあり得るからです。

    車両管理システムは複数車両の予約・利用実績をITで一元化でき、使用の有無や予定の変更・削除などの情報をリアルタイムに反映します。どの車両がいつ利用可能か可視化されるため、車両管理者と従業員間で予実状況を簡単に共有できるのが特徴です。また、車載デバイスから取得された情報によって、稼働実績を自動的に記録かつ随時更新されるため、最新の車両利用状況に応じたタイムリーで効率的な予約が可能となり、1台当たりの稼働力を向上させることができるのです。

    また、車両管理システムの導入により従業員の動態管理徹底、運行日報作成の自動化、見える化による管理工数の軽減など、生産性向上に直結する業務改善効果も期待できます。つまり、車両管理システムの活用により予実状況の共有と、1台当たりの仕事量向上を実現できれば、業務に支障が出ない範囲での最適な車両削減が可能となり、コロナというピンチを乗り切るだけではなく、業務改善を進めるチャンスに変えられるかもしれません。

    問題は自家用車?地方企業が車両削減を進めるポイントと具体策

    通勤車両を減らすためには、代替となる公共交通機関(バスや電車)サービスが必要ですが、最寄り駅などへのアクセスが良くない地域では、どうしてもマイカーに頼らざるを得ません。

    多くの企業は距離に応じてマイカー通勤者へ毎月、通勤手当を支給したり、駐車スペースを確保したりしていますが、通勤車両の数が増えるほどこれらの必要経費が膨れ上がります通勤手当の支給額に法的な基準はないため、事業主の判断で上限を設定できますが、以下で示す所得税の「非課税限度額」を目安に、1カ月当たりの支給額を決めている企業が大多数を占めています。

    【マイカー通勤手当の非課税限度額】

    片道の通勤距離 1カ月当たりの限度額
    2km未満 全額課税
    2km以上10km未満 4,200円
    10km以上15km未満 7,100円
    15km以上25km未満 12,900円
    25km以上35km未満 18,700円
    35km以上45km未満 24,400円
    45km以上55km未満 28,000円
    55km以上 31,600円

    ※参考:国税庁HP

    つまり、従業員「25名」がすべてマイカー通勤で平均片道距離が「20km」だとすると、12,900円×25名×12ヶ月=「3,870000円」もの経費が通勤手当だけでかかってしまう計算になります。そんな中、多くの企業で導入が進んでいるのが会社と最寄駅、もしくは自宅近くに集合場所を設定し通勤手段を確保するシャトルバスで、大企業は自前で送迎バスを運用しているケースもありますが、以下のようなただいものコストと手間がかかります。

     

    • 車両購入・維持費(保険・税金・燃料代など)
    • ドライバーの人件費
    • 運行ダイヤ・ルートの設定
    • 事故発生時の処理
    • 故障時の代行車両手配

    中小規模の事業所は、各運送業者が提供している契約シャトルバスを採用するのが現実的であり、地域・運行エリア・提供会社によってまちまちですが、朝夕の送迎で1日・2万円程度が相場です。月20日出勤ならば月間の費用は40万円ほど、先ほど算出した通勤手当並びに事務コスト+工数削減を考慮すると、25~27名程度をマイカー通勤からシャトルバスに転換できれば、十分な費用対効果を期待できるでしょう。

    また、1社1台にこだわる必要はなく、同じエリア内にある複数社で運用するのも一つの手段です。それには、車両管理システムを用い走行データを集め最適な運行ルートを設定することで、効率よくローコストで通勤車両を削減することも可能です。加えて、契約シャトルバスを導入すれば、前述した自前送迎バス運用時のコストや手間がかかりませんし、交通事故予防や駐車スペースの削減、出退勤管理の徹底、福利厚生の充実、CO²削減による社会的貢献など、経費削減だけに留まらない多岐にわたるメリットも発生します。

    とくに、交通事故発生リスクを低減できる効果は大きく、プロドライバーが運転するため安全性の著しい向上が見込めるほか、万が一事故が発生しても人的・物的賠償責任はすべてバス会社が負うため、社のリスクマネジメントを大幅に改善可能です。

    都心・地方共通の具体策!カーシェアリングとの併用のススメ

    これは都心・地方双方に通じる車両削減の具体策ですが、カーシェア・レンタカー・リースなどを活用し、車両の保有から共有にスイッチすれば、車両管理に要するコストを節約できます。社用車削減がテーマとなる都心部の企業は、車両管理システムで集積した運行データをもとに、空予約削減を進めつつ、次の手順を踏んで段階的にカーシェアリングとの併用を進めれば、生産性やサービスの質を落とすこともありません。

    1. 空車時間が極端に長い車両→「処分」
    2. ある程度稼働しているが1に次いで空車時間が長い車両→「カーシェア」
    3. 出張や遠隔地での単独稼働が多い車両→「レンタカー」
    4. 営業所付近で複数人が活用している車両→「リース」
    5. フル稼働かつ減価償却が終了している車両→「保有」

    一方、都心部と比較しカーシェアの普及が進んでいない地方では、車両管理システムによる綿密な動態管理と安全運転教育の徹底が必要ですが、社用車を通勤車両として従業員に貸与し共有する方法も考えられるでしょう。つまり、社内カーシェアリングによって経費を削減可能ですが、その際には、通勤ルートの指定、通勤以外のプライベートでの使用不可、業務外で事故を起こした場合の責任割合、交通違反に対する罰金はすべて社員が負担、社員以外の他人への貸与・運転禁止、管理台帳の作成など、トラブルを抑制するルールをあらかじめ設けなければなりません。

    その際、リアルタイムに車両の動態をチェックできる車両管理システムが役立つほか、安全運転診断機能を有するサービスを活用すれば、通勤・業務双方で事故を抑制することも可能です。また、新型コロナ拡大を受けトヨタレンタリースは4月30日より、法人向けに中古車を低価格でリースするサービス「特別U-Car(中古車)リース」を開始、具体的な車種・価格は店舗によって異なりますが、最長2年間(※)車両をリーズナブルな価格で利用できます。さらに同社は、通勤時間帯にレンタカーを割安な価格で提供する、「通勤アシストレンタカー」プランを翌月13日から期間限定で展開しており、いずれも緊急事態の経費削減対策として非常に有効なサービスです。

    ※受付は外出自粛要請の解除など、新型コロナ感染拡大が終息したと判断された時点で、随時終了するため要確認。

    まとめ

    法人が車両削減を進めるポイントを都心部・地方部に分けて解説しましたが、カーシェアリングの併用も含め、総合的にコストカットの対策を行わなければ、日に日に厳しさを増す経済状況を乗り切ることが難しくなります。新型コロナの脅威が過ぎ去るのをただ待つのではなく、車両管理システムを始めとする業務改善ツールやトヨタのレンタカー・リースサービスをフル活用し、社を上げて積極的に経費削減を進めるべきかもしれません。

  • 新型コロナで増えるマイカー利用!ペーパードライバーが安全運転を徹底するには

    新型コロナで増えるマイカー利用!ペーパードライバーが安全運転を徹底するには

    密閉・密集・密接を避けるために、公共交通機関ではなくマイカーの利用を考える人が増えています。
    マイカーがあれば、数日分から1週間分の食品をまとめ買いしやすく、毎日の送り迎えもスムーズ、通勤時の満員電車を利用する必要も無くなります。しかし、日頃から運転をしない人であれば便利と考える反面で運転への不安が募るかもしれません。そうした懸念から、ペーパードライバー講習への申し込みが増えているといいます。

    コロナ渦でマイカー移動へ移行する人が増えている

    新型コロナの対策として外出自粛が要請されたことで、公共交通を利用する人やそもそも移動する人が減り、利用者が激減したことでタクシーなどの商業車は走行台数を減らしています。全体的に街を走る車は減っていますが、「電車は乗降者数が多く、感染リスクが高いからと、会社でマイカー通勤を推奨された」「多くの人々が利用する公共交通機関を利用するよりも安全だから」などを理由に、マイカーで通勤や移動を希望する人は増えているようです。

    個人向けカーリース「おトクにマイカー 定額カルモくん」を提供しているナイル株式会社では、新型コロナが蔓延し始めた2月より契約数が伸び、4月は繁忙期と言われる3月よりも20〜25%増えたとのこと。医療従事者など通勤を余儀なくされている人々にとって、人との接触を極力減らして移動ができるマイカー通勤が今後も増えると予想しており、実際に緊急事態宣言以降、車の利用状況にどのような影響が表れているのかを調査しています(調査対象は4月7日に緊急事態宣言が出された東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡に住む、車の所有者で普段から利用している人1,183名)。

    同調査内で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出てから車利用の頻度に変化はありましたか?という質問では、「増えた」が232人で全体の19.6%、「減った」が350人で29.6%、「変わらない」が594人で半数近くを占めました。その用途としては(増えたと答えた方のみ回答)、「買い物」が182人、「通勤・通学」と「送り迎え」が122人。感染リスクを考慮して利用しているという意見が多く見受けられています。

    最近では使いたい時に使ったぶんだけ料金を支払うカーシェアリングサービスが人気ですが、コロナ渦中でこまめにスーパーへの買出しが必要だったり、毎日の通勤で利用したりすることを考えると、マイカーの方が便利だという人も少なくはありません。ただし、中には免許は取ったものの、運転する機会がなかったため何年もハンドルを握っていないという、いわゆるペーパードライバーが多く、実際に、コロナをきっかけにペーパードライバー講習に申し込む人が増えています。外出の自粛で交通量が全体的に少ない今、ペーパードライバーにとっては運転しやすい環境と言えるのでしょうか…?

    事実:事故件数は減少しているのに、死亡事故は増えている

    警視庁の発表では、外出自粛が要請された3月25日から4月16日までの期間において、都内で発生した交通事故は1,335件と、昨年の同時期と比較すると932件も減っていましたが、死者数は8人と昨年より5人も増えていることがわかりました。全国では、3月の1カ月間で起きた人身事故件数が2万7763件と、昨年と比べ18%近く減少しています。

    また、2020年1月1日から5月7日までの期間で、死亡者数がもっとも多かったのは愛知県でした。同県では、3月と4月の交通事故件数は昨年と比較して30%も減少しているのに、死者数は28人と昨年と比べ4人増えたと言います。このように、都市部では交通量が減少しているにも関わらず、死亡事故は増加しているのです。

    そのおもな原因として考えられているのが、スピードの出し過ぎや歩行者の急な飛び出しです。ドライバーには、いつもより道路が空いているため、注意力が散漫になったり、ついついスピードを出しすぎたりする傾向が見られ、歩行者側には、休校によってふだんは見かけない時間に子どもたちが出歩いていたり、車が来ないと思って飛び出したりする傾向が高いといいます。
    そのため、警視庁はドライバーだけでなく、歩行者に対しても注意を呼びかけています。久々に運転する人であれば、より注意深く安全運転を心がける必要があるでしょう。

    安全運転を周知徹底するために〜今すぐできる安全運転対策とは

    ペーパードライバー講習を受けたけど一人で車に乗るのは不安、一人で買い出しに行く家族の運転が心配…。また、企業からすると、マイカー通勤を言い渡したものの、社員が通勤途中に事故にあわないかと事故のリスクが浮かぶのではないでしょうか。しかし、車は常に移動し続けるものであり、離れているとその様子を把握することが困難なものです。

    悲痛な死亡事故を防ぐには、急加速・急ブレーキ・急ハンドルなどの危険運転をしていないか、一人ひとりの運転を可視化して運転のクセを把握することが大事です。そこで役立つのが簡単に利用できる「運転を可視化できる」ツール。

    SmartDrive Fleet (法人向け)

    リアルタイムGPS管理機能や高精度な安全運転診断機能を搭載。今、どこにいるのかといった位置情報が明確にわかるうえ、事故を未然に防ぐための適切な安全運転指導を可能にします。

    SmartDrive Families (個人向け)

    家族がどこにいるのか、どれくらいの距離と時間を移動したのか、スマホやパソコンから確認できます。

     

    SmartDrive Fleet(法人向け) やSmartDrive Families(個人向け)は、車の走行履歴だけでなく、一人ひとりの運転をスコア化して安全運転の度合いを診断することができますので、ぜひ、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

     

     

  • モビリティデータを活用し、官民で協力したサービス作りの取り組みとは?

    モビリティデータを活用し、官民で協力したサービス作りの取り組みとは?

    普段、生活の中で当たり前のように利用している無料のサービス。これは、その地域に暮らす人々がより快適に生活できるようにと、自治体が住民の生活を様々な角度でサポートしているからこそ、受けられるものです。

    今回はゴミ処理における課題を解決するために、車両管理システムとレポートサービスを活用し、業務改善に力を注いでいる相楽東部広域連合さまの事例をご紹介します。行政としての先進的なお取り組みを進める相楽東部広域連合さまに、導入後の効果や今後の展望についてたっぷりと語っていただきました。

    インタビューイー:
    相楽東部広域連合
    総務課 会計管理者 兼 環境課長
    中嶋 孝浩さま

    ゴミ処理の実態を把握するために

    –まずは、相楽東部広域連合さまの役割についてお教えてください。

    私は総務課の会計管理者兼環境課長として、おもに予算執行に関する支払業務を担当しています。また、一昨年前から、相楽東部広域連合管内の笠置・和束・南山城、三町村のゴミ処理に係り、処理業務施設の運営が継続に向けた地元の方と調整を行い、これを踏まえた今後のごみ処理の方向性を見据え、基本方針の検討・策定をしています。

    これまで積み残しとなっていた課題を整理し、それと併せて地域の方々と処理施設の再稼働に向けた諸条件の調整を進めてきました。また、休止期間においても家庭からの排出されるごみの処理は待ってくれませんから、再稼働が実現するまでの間、緊急避難として民間業者に業務委託するための調整も私の担当です。 

    –ゴミ管理業務に関してですが、具体的にどのようなことを対応されているのでしょうか。

    まずは、増え続ける一般廃棄物の処理費用の適正化を図る必要がありますが、廃棄物を処理するため収集運搬の手段の確保と中間処理の委託先の検討はもとより、適正な価格ラインを洗い出すには、データ収集とデータ分析が必須でした。何もない状態では、業務委託について民間廃棄物処理業者さんとの調整を図ることができませんので。

    –処理費用も、年々右肩上がりだと伺っています。

    そうですね。地域の人口減によって全体的な処理量は減っているものの、施設の運転管理費、施設の老朽化に伴う補修の維持管理費がかかってしまうため、逆に処理費用は増えているんです。最近では、年間で2億円以上もの額が施設運営費としてかかっていました。

    特に、この地域は家屋が密集しておらず、移動時も山間部を通ります。そうなると、移動時間が長くなり、ゴミの収集にも時間がかかってしまう。距離に見合った収集量、作業時間だとは言えません。

    こうした状態によって、同程度の規模感で人々が密集している地域と比べると、若干割高になってしまうのです。

    車両管理システム導入前に抱えていた課題

    –ここからは、車両管理システム導入前の課題感についてさらに掘り下げてお伺いしたいと思います。

    相楽東部広域連合さまは、一般廃棄物処理委託業者と委託契約を結ばれていますが、課題の一つに、運行状況が確認できない、請求の根拠となる情報が担保しづらいと伺っています。具体的にどのような問題があったのでしょうか。 

    相楽東部広域連合が、旧相楽郡東部じんかい処理組合(三町村の広域組織)で建設した相楽東部クリーンセンターを引き継ぎました。しかし、各町村は個々に収集運搬が許可された民間委託業者へ発注をかけていたので、収集運搬経費が町村によって異なっていたのです。それに加え、地域性の問題や一般廃棄物処理施設の運転そのものが高コストであることなど、あらゆる課題が山積していましたが、まず見直すべきは業務委託に係るコストの削減だと考えました。施設運営の委託と収集運搬業務をある程度一つにまとめるなどして、コスト削減と業務効率化が実現できる方法を考え、進めようとしていたのです。

    現在はじんかい処理組合は解散し、これを広域連合が引継ぎ処理対応をしていますが、実作業は委託業者に一任しているため、収集日は指定していても、収集の仕方やゴミの総量は委託業者まかせ。つまり、行政から手離れしていたことで、委託内容がどんどんブラックボックス化してしまったのです。

     

     

    ゴミの収集は、住民の方々に指定のゴミのステーションに廃棄いただき、収集車がそのステーションを回りながら回収します。その基本部分は分かっていても、実際にどのルートで回っているのか、どの時間帯に、どの程度のごみが収集されるのかがわからない。また、ステーション自体を変更するのは簡単ですが、それによって大幅なルート変更が出たり、無駄な時間が発生したりする可能性も考えられる。

    ただし、これらは推測なので、実態がわからない。こうした状況を踏まえて、まずは現状をしっかり把握しようと思い、GPSが搭載されていて走行ルートが確認できるデバイスやシステムの導入をいくつも比較検討しました。

    地方は信号が少ないので1分でもあっという間に車が進みます。ですので、最低でも10秒単位で位置情報が把握でき、尚且つ、後々適正なルートが検証できるように、走行履歴が記録される機能が欲しい。この2点を押さえた車両管理システムを片っ端から調べあげました。 

    とくに、走行ルートに関しては、一日を通してではなく“今”の状況がわかるものが必要でした。そうした観点で検討していたところに、高精度な探知機能で精緻にデータを取得できるシステムとして目に入ったのがSmartDrive Fleetです。他にも求める機能を搭載したシステムを提供する企業がありましたので、全部3社くらいに照会をかけましたが、最終的にコスト面や機能面を踏まえて決めました。SmartDrive Fleetにしよう、と。 

    –先ほど伺ったお話からすると、もっとも重視すべき課題はコストの適正化だったのでしょうか。現在のコストが本当に適正であるのかは、検討材料がなければわかりませんし。 

    委託業者に任せきりの状態でしたので、適正な配車も、各地域におけるゴミの量さえも分らなくなっていまして…。把握していたのは集約した統計だけでした。

    とはいえ、私どもは行政組織ですので、無駄に税金を使うわけにはいきません。導入前は現コストが適正価格の評価方法が距離と時間と車両台数しかなく、正しい判断ができていなかったため、積算の根拠となる正確なデータが早急に必要でした。

    導入してからは車両の走行ルートが可視化され、どの地域で何台の車両とスタッフが稼働すべきか、どれくらいの時間がかかるのかが具体的に把握できるようになり、どこをどのように改善すべきかが明確になりました。それに、正しいデータがあれば、委託業者と対等に議論して、コストの妥当性について互いに納得のいく答えが出せるようになるのです。上層部に説明する際にも、明確な数字をデータとして提出できるようになったので決済がスムーズに。収集運搬が、イメージできていなかった部分を含め、実際見える形として手にすることができたことによって、確認できた正しいデータの力に圧倒されています。

    導入を後押ししたのは手厚いレポートサービス

    −−導入にあたり、15社ほど比較検討されていたそうですが、たとえば、どのようなサービスと比較していたのでしょうか。

    一つは携帯電話からデータを取得できるサービスでした。ただ、この場合、ドライバーが操作を忘れてしまったり、細かい操作が負担になったりする可能性がある。だったら、エンジンを入れたら稼働するデバイスがいいなと思ったんです。SmartDrive Fleetはエンジンをかけるだけで通信が始まるでしょう。最初にGPSの位置確認さえできれば、あとスタートアンドゴーを繰り返しても、走行状況に対して認識にズレがない状態でデータを掴めるので便利ですよね。

    その他のサービスとして、専用の機器を取り付けるものがありましたが、車載器取付の設置位置の確保や配線作業や取り付け費用が必要になるなど、民間委託業者の所有している車両のため、現実的に難しいと断念しました。

    −−現在はSmartDrive Fleetのほかに、オプションのモビリティレポートサービスもご利用いただいています。他社様と検討されている際に、このようなレポートのサービスのご提案はありましたか。

    データは、ただ取得するだけでは何の意味も持ちませんので、データを集めたら当然その結果を集計して分析し、活用をしなければなりません。ですが、私たちも小規模なため、作業可能な職員は限られています。SmartDrive Fleetは専用のレポート作成サービスがあるので、レポート作成の手間もかからないし、業務改善のポイントが明確になるので本当にありがたいなって。これも導入を決めたポイントの一つです。こんなに低価格でレポートの作成から分析まで対応いただけるサービスってなかなかありませんしね。

     

    民間委託業者との協力で乗り越えた導入時のハードル

    ―車両の稼働状況が可視化されるため、稀に「監視しようとしている」と現場から反発の声が上がることも少なくはありません。その点は問題ございませんでしたか。

    はじめは、「私たちを信用してないのか」「なぜ取り付ける必要があるのか」という声もありましたね。ただ、不満や反発をそのままにするわけにいきませんから、委託業者さんに対して、「行政としては、適切な価格を出すために根拠となるデータが必要です。双方が、根拠あるデータをもとに適正な業務量を積算できる状態にしなければ、双方の主張が食い違ったまま。税金を無駄にしないためにも、協議の場につくためにも、なんとか協力いただきたい」と伝え、納得していただきました。今では互いにデータを突き合わせながら、正確な運行データによって稼働状況や実際の諸経費のすり合わせをしています。

    感情的な交渉ではなく、根拠があってこそ公平な状態で交渉ができるものです。それが実現できるようになったのは大きな進歩ですね。

    ―データをもとに話し合いができるので、委託業者側の方々も不必要な交渉をする必要がなくなったのではないでしょうか。

    運行データの突き合わせには、委託業者側の運転日報も必要です。SmartDrive Fleetならその日の稼働状況が正しくデータで表現されるので、たとえ委託業者さんが日報を提出し忘れても突合し、擦り合わせることができます。また、GPSによって、どの車両がどの時間帯にどのエリアにいるのかが整理できるようになりましたので、導入前は収集日を三町村でバラバラにしていたところ、まとめて収集できる日もあると判断できるようになりました。効率化を図るためには、今はまだ手間がかかる部分がありますが、データ積み上げることで具体的な数字が見えてきました。今後の目標も立てやすいので助かりますね。

    これらのデータ取得は、委託業者さんが協力してくれて初めてできることです。実際にかかっている経費を行政も把握しなくてはなりませんから、その点においても根拠があることで正しい判断を下し、適正な価格で処理できるようになりました。

    −−その他、導入する際にハードルとなった点はございますか。

    現場の心理的ハードルが最難関でしたので、そこをクリアできてからはとくに問題は発生していません。ダッシュボードの上に置くタイプだと、運転中もつねにデバイスが目に入ってしまうので気になってしまうし、死角が増えて安全管理の面で負荷をかける可能性がある。でも、シガーソケットに挿すタイプですので、ドライバーへの影響は一切ないんです。それが導入のハードルを下げたと言っても過言ではないでしょう。 

    業務のPDCAに大活躍しているモビリティレポートサービス

    −−導入後の効果をしっかりと検証していくために、10月から半年間ほど、レポートをご提出させていただいております。このレポートですが、どのようにご活用されていますか。実際の改善策についても伺いたいです。

    レポート作成でまずご依頼したのは、毎日の三町村における収集運搬の記録を全てデータで可視化してほしいということ。これは、第一段階として日ごと、週ごと、ゴミの種類、車両によって、どのように走行ルートが変化するのかを調べるためでした。丸々1カ月、連日のように三町村すべてが稼働しますので、かなりのデータ量があったのではないでしょうか。ここ半年のレポートから、ある程度、状況が掴めるようになったのは大きな一歩です。

    ゴミの量が少ない場合は車両を減らすことができますし、車種も変えることができますので、地域性やゴミの種類に合わせて柔軟に変更しています。また、調査からは、人口が多い少ないに関係なくゴミの種類別の一定量が見えてきました。 

    ゴミ収集ステーションの位置を載せたマップレポートは、住民のみなさん方と収集ルートや新たな集積所を検討する際に資料としてお渡ししています。効率化を図るための検討材料として、貴重なデータになっていますね。走行ルートの図化は、改善に向けた重要な資料となります。

    –こちらのレポートは別に、いつ・どこを走っていたという車両の稼働実績のレポートでお渡ししています。

    伝票と合わせて、それぞれごみの種類や車両一台が回収できる量を明確にし、各地域におけるゴミの総量を把握するために利用しています。この辺りは小規模な地域ですので、基本は2tのパッカー車(ゴミ収集車)で回りますが、2台以上必要な地域もあるんですね。それを、データに記載されたゴミの出かたを見ながら、パッカー車2台で間に合うのか否か、配車計画を立てます。ゴミが想定より多くでるのであれば、ルートの変更や配車日も検討しなくてはなりませんから。

    収集車に載せられるゴミの積載量は決まっています。ですから、日、時間、種別に現在のゴミの量を把握して、もっと良い収集方法はないか、さらなる効率化を目指していきたい。今後、人口が減っていくつかの集落をまとめることも考えられますので、その時がきても状況に応じた適切な対応ができるようにしていきたいと考えています。

    –マップのレポートで全体感を掴んでいただいて、稼働実績レポートでゴミの量と車両台数について把握する。2種類のレポートをもとにディスカッションを重ねながら、最適化を目指していただければと思います!

    車両管理システムで進化した行政の仕事

    –導入後、データを活用してどのような施策を実施されましたか。

    新たに収集個所を増やしてほしいという意見が上がっていたので、マップのレポートを活用して検討した結果、4月から集積所の追加が決まりました。集積所の設置については、各町村担当者が地域に任せている部分もあり、それがどこでどのように増えているかまでは把握しきれていなかったのです。

    それが、ルートの中で明示されたことで、私たちも現場を把握したうえでご相談できるので、地域の区長さんたちへの確認もしやすくなりました。このように、データをもとにしたPDCAを回し、地域の要望にも迅速かつスムーズに対応・判断ができるようになったのは非常に効果として大きなことです。

    –データをもとに住民の方々の生活を改善し、伝票と突き合わせて民間委託業者と適切なコミュニケーションや交渉を行う。これは、行政としてもかなり先進的な取り組みではないでしょうか。

    他の自治体でも、クラウド車両管理システムを導入してないとしても、委託業者の業務内容や金額についてはシビアに見ていると思いますが、私たちは今まで委託内容の中身をざっくりとしか把握していなかったため、車両管理システムを導入し、実際にどのように稼働しているのか、確認できる状態を構築しました。GPSが搭載された車両管理をされている行政はいますが、ほとんどのケースでは業務効率化が目的ではなく、日報作成や運行管理など、安全面を重視されていて、業務委託の中身を検討するためのデータ使用を主とするところは少ないのではないでしょうか。

    近隣の市町村では、監査報告の中でGPSを取り付けて収集運搬ルートを検討してはどうかと報告されていた地域もありました。それが4、5年前に報告書でしたので、「どこかの企業に頼まれていますか?もしくは実施後の結果があれば教えてください」と問い合わせましたら、実はその報告書内で諮問されただけで、実施はしていないと回答をいただきました。私たちのように、実際に調査されている事例は稀なのかもしれませんね。

    –実際に車両管理システムを導入して改善に取り組む中で、行政や自治体は車両管理サービスをどのように活用できるとお考えでしょうか。

    民間業者へ委託する場合、委託先業者が経費を見積もる際に参考となるデータを資料で提供しなければならないんですね。今までは見積もりを作成するためのデータや資料がなく、きちんとした形で提示できていませんでした。都会の街中のように複雑な道を通ることもありませんから、“なんとなく”走行ルートはイメージできていたんですが。ただ、実際にイメージが図化されることによってそれが確証に変わりましたし、エリアごとに距離や時間が数字で明確に提示されることで、想定ではなく確実な情報を説明できる。予算を組む際に、非常に役立っています。

    –今まではイメージとしてざっくりと伝えていたところを、過去の実績や数字を含めて、ノウハウとして提供できる。行政としても民間の委託業者にとっても、委託内容の認識にズレが生じないので話がしやすいですね。

    根拠となるデータを付き合わせることで、健全なコミュニケーションをとることができるため、今まで以上に信頼関係をしっかりと構築できるようになりました。

    –今後はこうしたデータを活用し、税金を無駄にしないための経費の見直し、統廃合も含めてルートの見直しを含めたサービス改善に取り組んでいかれるのでしょうか。

    今までは、収集に係る距離や時間が不明確でしたから、何をどのように改善すべきか、何から手をつけるべきかがわかりませんでした。町村ごとに距離も時間も違いますが、負担はそれぞれの町村です。

    それが、今は根拠となるデータがあることで公平に配分できるし、無駄もなくなりました。一日で処理できる量だとわかれば、同日にまとめることで作業員の稼働時間を減らすこともできるでしょう。そしてそれがさらなるコスト削減につながっていきます。このように、データを積み上げながら、業務や予算をもっと最適化していきたいと考えています。そして今後、高齢化や人口減少の波がきても、正確なデータをもとに、必要に応じて収集ステーションの設置や撤去を検討し、住民の方々が暮らしやすい環境を作っていきたいですね。

     

  • ホンダの月極定額モビリティサービスが好調!「ホンダマンスリーオーナー」とは

    ホンダの月極定額モビリティサービスが好調!「ホンダマンスリーオーナー」とは

    音楽の聴き放題からドラマ・映画、雑誌の見放題に始まり、オンライン学習、ランチ、宅配クリーニングにファッション、ヘアサロン、そしてコーヒー…ここ数年、サブスクリプションビジネスは活況にあります。モビリティ業界でも同様の流れが起こり、アウディやボルボ、ポルシェ、そしてメルセデスベンツにトヨタまで、次々と参入しています。その中で一際順調な走り出しを見せているのが「Honda Monthly Owner」。一体どのようなサービスで、他ブランドとはどのような違いがあるのでしょうか。

    ホンダのサブスク「Honda Monthly Owner」

     

    出典:ホンダ「Honda Monthly Owner」

    2020年1月28日、本田技研工業が新たな定額モビリティサービス「Honda Monthly Owner(以下、ホンダマンスリーオーナー)」をスタートしました。

    月々定額で利用できるサブスクリプションサービスで、月額料金には車両代、自動車税、自賠責保険料、任意保険料、登録諸費用、メンテナンス費用が含まれています。このサービスはクルマを1カ月以上、最大11カ月間、1カ月単位で気軽に所有でき、いつでも終了できますが、解約金はありませんが、ガソリン代と駐車場代のみは利用者の負担です。利用方法も非常に簡単で、こちらのホームページでクレジットカードと運転免許証で会員登録したら、好みのクルマを選んで予約し、当日は店頭で車両を受け取るだけ。ローンやリース契約のように、手間暇と時間のかかる契約書記入や審査がないのもポイントだと言えるでしょう。

    対象車種は根強い人気を誇る軽自動車のN-BOXを筆頭に、ハイブリッドのFREEDやFIT、ヴェゼル、S660、N-BOX車いすと、ホンダを代表する多彩な車種が幅広くラインナップされています。金額はN-BOX(2014年式~Honda SENSING 搭載無)で29,800円から。まずは埼玉県和光市のU-Select城北からサービスを開始し、順に拠点が広がっていくとのことです。

    ホンダのサブスクが人気の理由は「所有の喜びと利用の気軽さを両立したこと」

     

    新車・中古車問わず、150もの登録車種をラインナップしているIDOMのNOREL、諸経費込み込みでトヨタの新車が3年間楽しめるKINTO、簡単な手続きでリース可能な定額カルモくんなど、国内ではすでにいくつもの定額のマイカーリースサービスが展開されています。今年の1月末に開始したホンダはこれらのサービスと比べて後発組ですが、それでもサービス開始から反応は上々、現在(2020年4月15日)では準備中の一台を除き46台中45台が利用中・本予約・仮予約で埋まっています。これだけの短期間でサービスを好調へと押し上げた理由はどこにあるのでしょうか。

    最短1カ月で返却OK、の気軽さ

    通常のマイカーリースは1年、3年、5年、7年など、年単位での契約がほとんどですが、SpotifyやNetflixのように、1カ月単位で契約・解約できる自由度の高さが、ユーザーの会員登録という行動を後押しした第一の理由だと考えられるでしょう。同じ自動車メーカーであるトヨタのKINTOも基本的に3年契約であるため、定額かつ安価で新車に乗ることができるものの、「季節や用途に合わせて乗り換えたい」という気軽さは持ち合わせていません。

    ホンダは一時的な単身赴任、妊娠時の病院送迎や介護時の送迎に着目し、それぞれの目的・用途にあった車種をセレクト。長すぎず、短すぎず、所有と共有の間を埋めるサービスとして提供しているのです。そしてその狙いが見事、ユーザーにヒットしました。このほかにも、国内への長期滞在が決まった海外の方、夏と冬、季節に応じた趣味を充実させたい方、家族が増えた方など、ライフスタイルに合わせて車種が選べるのもポイントです。

    ネットで簡単に手続き完了。

    整備済みの認定中古車を採用、価格帯は週に一度、カーシェアを利用した時と変わらない価格に設定されています。一番安価なN-BOXは月額29,800円(税込)ですが、購入する場合の参考車両価格は998,000円(税込)。簡単・便利に利用できることを考えると、非常にお得な価格です。
    ネットサービスの契約と同じように、サイト上で個人情報や支払いで利用するクレジットカード情報を入力、免許証の画像を送付するのみ(車庫証明が必ず必要です)。何ページにもわたる手続きはユーザー離脱の原因になりますが、わかりやすく簡易的な手続きによって「ちょっと車を利用したい」「登録してみようかな」というユーザーを幅広く獲得しているのではないでしょうか。

    便利なオプションは月額たったの500円。インテリアを自分好みに変えて楽しむ

    自動車やバイクのみならず、航空機、さらには発電機や除雪機、耕うん機までも手がけているホンダ。ホンダマンスリーオーナーでは、同社の技術を集結させたホンダオリジナルのハンディタイプの蓄電機(LiB-AID E500)を月額500円でレンタルしています。利用シーンは様々ですが、長期休暇をとってキャンプに出かける際に活用したり、万が一の災害時にも大活躍したり、たったワンコインでも非常に役立つ万能アイテムです。
    わずか1カ月のレンタル期間であっても、クルマの体験を最大限に良いものにするために、好みのマットを用意するなど、車内を自分好みに変えられるアイテムを充実させていくとのこと。これによって、ただの借り物ではなく、所有する喜びを味わえるのもユーザーにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

  • ロックダウンでマレーシアはどうなった?現地担当者によるレポート(後編)

    ロックダウンでマレーシアはどうなった?現地担当者によるレポート(後編)

    マレーシアでは、段階的に企業活動の再開を行うと発表がありましたが、コロナウイルスの感染拡大によって実施されたロックダウンによってマレーシアはどうなったのか?前編に引き続き、スマートドライブ マレーシア法人のスタッフが現地の様子をお伝えいたします。

    カイルル イシャク

    【プロフィール】
    早稲田大学で情報工学の学士を取得後、政府系機関で日本とマレーシアの連携プログラムの構築や大手SI企業での新規事業開発に従事した後、スマートドライブのマレーシア現地法人、SmartDrive SDN BHDへ2020年3月より参画。幅広く高度なIT知識と現地ネットワークを活かして、マレーシアでの事業開発をリードしている。

    はじめまして。カイルル イシャクと申します。2020年3月よりスマートドライブのマレーシア法人に参画し、政府系企業や現地有力企業とのアライアンスや、サービス開発に従事しています。これまで培った経験と専門知識、そしてマレーシア、日本とのネットワークを活かして、SmartDriveのMobility Data Platformを活用したマレーシアの社会課題解決、新たなビジネスの創出に取り組んでいきたいと考えております。
    今回は「ロックダウンでマレーシアはどうなった?現地担当者によるレポート(後編)」として、マレーシア人の視点でコロナウイルスの影響によって実施されたロックダウンについてお伝えしていきます。

    ロックダウン(行動制限令)の状況

    3月16日深夜に発表され、18日から施行された行動制限令。マレーシア政府がこのような命令を出すとは予想していなかったので、この発表にはマレーシア国民の大半が驚いたではないかと思います。マレーシアでのコロナウイルス感染のニュースは1月から始まっていましたが、3月第1週目の時点ではまだマレーシアでの感染者数は200人を切っていました。

    しかし、3月第2週になると、コロナウイルスの新規感染者数は1日に100~200人以上という急激な増加を見せ、政府の行動制限令につながっていきました。

    現在、マレーシアでの新規感染者数は1日あたり50名程度まで減少してきており、マレーシアは行動制限令によりコロナウイルスの拡散を抑制することができており、今後は新たな感染の連鎖をなくすことができるのではないかと期待されています。

    日常生活への影響

    当初は 3 月 18 日から 3 月 31 日までの 2 週間と発表されていたが、その後、4 月 14 日まで 2 週間延長され、4 月 10 日にはマレーシア首相が 4 月 28 日まで 、4月23日には5月12日までの延長を発表ました。全体的にはこれまでのところ、2週間ごとの延長を4段階に分けて命令が出されています。

    第一段階の行動制限令が発表された後、クアラルンプールに住む多くのマレーシア人、特に大学生は、クアラルンプール郊外のそれぞれの故郷に帰ろうとしました。これにより、クアラルンプール市内のバスや鉄道の駅には少しした混乱が生じていました。人々はまた、食品や必需品を買うためにスーパーや店に殺到しパニック買いを引き起こしました。私は、移動規制令が発令される前の晩、自宅近くのスーパーに缶詰や飲み物を買いに行ったのですが、スーパーでは、米粒や牛乳、卵などはすでに売り切れていて、レジの列はとても長く、決済カウンターにたどり着くまでに30分も並んでいました。

    移動規制令の第1期では、通信会社、銀行、薬局、生活必需品を販売するスーパーなどの重要なサービスのみが出店を許されていましたが、第2期では、飲食店も出店を許されました。飲食店もオープンが認められましたが、テイクアウトやGrabなどを利用した注文に限定されました。

    集団集会、結婚式、イスラム教徒の金曜日の礼拝はすべて禁止された。また、マレーシア国内の州を横断する人々を拘束するために、いくつかの主要道路や高速道路、特に有料道路の通行止めが警察によって検問が実施されました。一度にスーパーに入ることが許される人数も、一家族に一人までに制限されました。しかし、移動規制令に違反した人たちもおり、飲食店やスポーツ会館に集まってバドミントンをしている人、公園でジョギングをしていたマレーシア在住の日本人を含む11名の外国人が逮捕され、警察に罰金を科せられたというニュースもありました。

    このような人々の動きを規制するために軍隊も派遣され、第二期移動規制令では、車には一人しか乗れないなどの規制が強化されました。E-Hailingサービス(Grabなどオンライン配車サービス)の場合は例外で、運転手と同乗者が1人しか乗れないようになりました。また、道路の封鎖も増え、コロナウイルスの感染者が多いエリアをレッドゾーンに指定し道路が閉鎖されています。

     

    ビジネスへの影響

    コロナウイルスは 1 月からマレーシアの観光業に影響を与え始め、特に中国からの観光客が激減し、その後移動規制令が発令されたため、経済活動の大部分が停止するなど、すべての企業セクターに影響が拡大しました。コロナウイルスによる経済への影響を受け、マレーシア政府は経済を救うための緩和策として景気刺激策を発表しました。

    全体として、マレーシア政府が発表した景気刺激策は3つある。1 つ目は、移動規制令の 3 週間前の 2 月 27 日に発表されたもので、コロナウイルスの影響からの産業再生を支援することに重点を置いたものであった。2 番目の刺激策は、3 月 27 日に発表されましたが、その総額は 2,300 億マレーシアリンギット (526 億米ドル)で、現金の分配、ローンの延期、インターネットの無料化など、主に市民生活に焦点を当てています。4月6日、首相は中小企業を支援することに重点を置いた第三次刺激策を発表した。第3弾では、中小企業への従業員給与の補助金、貸付金利の廃止、地元中小企業への現金交付金などが盛り込まれていいます。これら3つの景気刺激策はマレーシアの国内総生産(GDP)の18.6%に相当します。

    テレマティクス技術に関連する企業にとっては、コロナウイルスによる予期せぬ事態がマレーシアの人々の間でeコマースやeデリバリー(Grab foodやPanda foodなどの宅配サービス)が今まで以上に利用され、多くの企業や起業家が、これらのシステムを統合した新しいデジタルソリューションの開発に乗り出すことが期待されています。マレーシア政府は長い間デジタル経済の発展に焦点を当ててきましたが、パンデミックの状況では、より多くの努力が必要であることを示しています。

    例えば、ラマダン(イスラム教の断食月)になると、毎日午後4時から午後7時頃まで、午後7時15分頃に断食する人々のために食べ物や飲み物を売る屋台がたくさん出てます。屋台は多くの人々の収入源となり、ほとんどの場合、閉店時間までに食べ物や飲み物は売り切れてしまいます。残念ながら、4月24日から始まる今年のラマダンのために、マレーシア政府はこのような屋台の出店を禁止することを決定しました。しかし、それと同時に新たなビジネスチャンスが生まれます。現在、クアラルンプールとプトラジャヤのウェルネスと開発を担当するマレーシアの連邦直轄領省は、自宅やセントラルキッチンでの出店を希望する人々のために、特別なeコマースとeデリバリーのプラットフォームを作成すると発表しました。

    ラマダン期間中、屋台での購入の大半は午後5時から6時半までの間に行われるため、食品配達のための膨大な道路交通量を生み出すことになります。タイムリーな配達と配達を担うドライバーの安全性が最大の関心事となると言われています。また、市民がeデリバリーの概念を理解すれば、ラマダンの屋台の商売が今後どのように変わるのか、大変興味深く見ています。

    現地の交通状況について

    今回の移動規制令でマレーシアにおける交通規制や監視の重要性が増しています。道路の車の数が減ったはずなのに、まだ長い渋滞が発生しています。道路封鎖や閉鎖、またスーパーマーケットやその他の目的のために移動する人々によるものです。この渋滞が原因で、本来優先されるべき、救急車やパトカーなどの公用車や緊急で病院に行く人たちが長時間立ち往生しています。マレーシア政府は、公用車のルート管理のためにSmartDrive Mobility Platformで提供されているソリューションのようなテレマティクスシステムの導入を検討すべきであると考えています。また、テレマティクスシステムを利用して、公用車の認証をチェックすることで、通行止めを通過する際のスムーズな移動を提供することができると考えています。

    マレーシアをはじめとする東南アジアのモビリティサービスに関する質問や協業などございましたら下記のリンクをクリックしフォームからお気軽にお問い合わせください。

     

  • ロックダウンでマレーシアはどうなった?現地担当者によるレポート(前編)

    ロックダウンでマレーシアはどうなった?現地担当者によるレポート(前編)

    コロナウイルスの感染拡大により、日本では緊急事態宣言がだされ、移動の自粛が行われています。一方でスマートドライブ が海外進出しているマレーシアでは、3月からロックダウンが開始されています。今回は現地スタッフである、手嶋  彰が「マレーシアの今」について、記事にまとめました。

    【手嶋プロフィール】
    前職時代にシンガポールでASEAN向けのクラウドサービスを立ち上げた経験。スマートドライブ社初の海外拠点であるマレーシアのビジネスディベロップメント担当として2020年2月からスマートドライブに参画。

    SmartDriveマレーシアの紹介

    スマートドライブは2019年11月よりマレーシアにて本格展開を開始し、現地が抱えている交通事故の多さや、渋滞といった移動に関する課題を解決するために各ソリューションを展開する準備を進めております。

    2020年4月時点でチーム体制は6名で、日本で提供しているサービスのマレーシアへの展開や現地でのスマートシティプロジェクトの参画に向けて準備を進めている段階です。

    また、JETRO様の主催するSDGs型スタートアップ支援プログラム(マレーシア)に採択いただき、現地財閥大手のSunway様のご支援をいただきながら、マレーシア現地で様々なR&Dの実施、ユースケースなどを模索しています。

    https://smartdrive.co.jp/news/press/jetro_sdgs

    マレーシアにおけるコロナの影響

    私は、2020年2月からスマートドライブに参画し、そこから日本におけるモビリティビジネスを学びながらマレーシアに出張し、現地ニーズやサービスの展開のための準備をしていました。2月時点で既にコロナの影響は出ていましたが、そこまで深刻ではなく当時はあまり真剣に考えていませんでした。

    私としては、3月の半ばからマレーシアに向かい1週間程度ホテル暮らしをした後に家の契約を開始するつもりでしたが、当時はプリンセスダイアモンド号の話もあり、現地の人からすると日本から来た人はコロナのリスクがあると思われている可能性もあるので慎重に行動するようにと現地企業の方からアドバイスもいただきました…。

    その数日のうちに、マレーシアのイスラム教の大規模な集会があり、マレーシアでの感染者数が一気に日本での感染者数を追い抜くことに。1日で200−300人単位での感染者が見つかることが当たり前になり、マレーシア国内での危機感が一気に高まりました。

    そしてロックダウンへ

    あっという間にマレーシアは東南アジア一の感染国となり、3月16日の夜に、二日後の3月18日からロックダウンが開始することが宣言されました。まだ感染者数が1000人に満たない状況でマレーシア政府のスピーディな判断だったと思います。

    私はマレーシア現地の家の契約開始日が3月17日だったこともあり、開始した途端に東南アジア初のロックダウン。まだ物資も全く調達ができてない中で、この先どうなるか全くわからない状況へ…。

    それまではホテル暮らしをしていたので生活必需品なども何も準備できていませんでした。混乱の中でパニック買いが始まる恐れもあり、3月16日の夜に急遽ホテルの延長をし、17日には念のため最低限の物資を購入するために近隣のスーパーを回ったのですが、既に物凄い行列ができていました。(宣言後に一気に買い物に殺到するのは日本と同じですね)また、3月17日までは普通に営業していた各店舗が3月18日になると、スーパーや薬局以外は全て閉店し、レストランもテイクアウトのみの状況。

    急遽の発令で、各事業者がどこまで順守をするか見守っていたところもあると思うのですが、予想以上に各飲食店は素直にロックダウンに従っていたと思います。引越し直後でまだ生活の基盤や物資も十分に準備できおらず、本社からの配慮もあり、私は日本に帰国をすることを決断しました。マレーシアへの入国は厳しく管理されていましたが、問題なく出国できてよかったです。

    現地の交通事情は?

    上記のような状況でオフィスも全てクローズになり経済の停滞は避けられないのですが、逆にテイクアウトのデリバリー業務は活況となっています。

    元々マレーシアではフードデリバリーのは日常的に使われているサービスなのですが、ロックダウンの中でさらに利用頻度が増えています。例えば、現地でRide Hailingのサービスを提供しているGrab社のGrab Eatsや、フードデリバリー専門のFood Pandaなどを利用するニーズは今まで以上に高まっています。

    配送(デリバリー)に関しては我々のビジネスとも大きく関わってきますので、走行データを活用したサービス連携の模索や、業務効率化など、様々な可能性をマレーシアで模索していきたいと考えています。

    次回ではまさにロックダウンの中で具体的にマレーシアという国がどう変容してきているのかを現地のスタッフからお届けします。

     

  • アフターコロナのまちづくりにおける重要なキーワードは「開疎化」だ

    アフターコロナのまちづくりにおける重要なキーワードは「開疎化」だ

    全世界で感染を広げ、未だ収束の見通しが不透明な新型コロナウイルス。個人、法人、都心部、地方に関係なく、生活や経済に多大な影響を及ぼしています。1年後、2年後、さらに長い時間を要するかもしれませんが、新型コロナウイルスの収束後に備えてわたしたちは今後、どのような社会を形成すべきでしょうか。

    都心部に集中する人口

    東京都の人口密度は47都道府県でも群を抜いてトップの1㎢あたりおよそ6355人、2位の大阪は4631人と大きく数字に開きがあります。また、最下位の北海道がおよそ67人であるのと比較するとその差は歴然だと言えるでしょう。そして、2018年における都道府県間移動者数253万5601人で、転入者が転出者よりも多い県は8つありますが、もっとも多い東京圏は13万9,868人の転入超過で、前年に比べ1万4,338人も拡大しています。しかし、これはあくまでも東京に住んでいる人の人口を示したものであり、学校や買い物、仕事などを理由に平日昼間、東京へ流入する人口は含まれていません。日中の移動者数を踏まえると、東京の人口は15,920,405人となり、常住人口は 13,515,271 人、昼夜間人口比率は 117.8です。

    これらの数字は、いかに、東京に人口が一極集中しているかを明確に表していますが、人口が集中しすぎていることで公共交通機関やスーパーなどでは三密が避けにくく、今回のような新型コロナウイルス感染症をはじめ、災害時のリスクが大きくなることが懸念されています。3月26日に小池都知事が「感染拡大の重要局面である」と唱え、外出自粛を呼びかけました。しかしその後、東京都では感染者が右肩上がりに増え続け、ついには100人を超過。さらに4月17日には感染者数が200人を超えるなど、連日100人〜200人を推移しています。東京都の発表によると、東京都の人口総数は2020年1月時点で13,951,636人、そのうち4月23日時点での累計感染者数は3,572人でした。
    感染者数が急激に伸びているのも、この人口の一極集中が一因だと考えられるでしょう。

    コロナ危機が訪れる以前の2019年9月、内閣官房国土強靭化推進室から戦略的政策課題「東京一極集中リスクとその対応」についてという資料が発表されており、災害時にどのようなリスクが想定されるかが明記されていました。

    コロナの前に懸念されていた「東京一極集中における災害時のリスク」

    資料の中では、東京一極集中における災害時のリスクを①人口や資産の集中によるリスク、②首都中枢機能への影響としてのリスク、③地域・地盤の脆弱性によるリスクの3つで分類し、起きてはならない最悪の事態との関係性を明記しています。中でも今回の新型コロナウイルス感染拡大によるリスクに該当するものとして、次の項目があげられます。

    ・人口集中地帯の被災により、救急・救助活動に大量の人員が必要となるため、人員・物資が不足するリスクがある。また、医師、看護師、医薬 品等が不足し、十分な診療ができない可能性がある。
    【被害想定】 対応が難しくなる入院患者数:約1万3,000人
    ・東京証券取引所等における証券取引については、大規模な災害発生等の社会情勢、情報が錯そうする中での流動性や価格形成の公正性・信頼性、証券会社等が被災した場合の市場参加者に対する機会の平等の確保等の観点から、一時的な取引停止が想定される。
    ・インターネットや海外等を中心に、被災情報や証券市場等に対する風評が流布され、市場の不安心理が増幅するおそれがある。
    ・東京には大企業の本社等の拠点や海外の企業が集中しており、生産活動の低下や海外貿易の滞りが長期に渡った場合、調達先の海外への 切り替えや生産機能の国外移転など、我が国の国際競争力の不可逆的な低下を招く可能性がある。
    ・また、このような事象から日本経済・日本企業に対する信頼が低下した場合、日本市場からの撤退や海外からの資金調達コストの増大、株価 や金利・為替の変動等に波及する可能性がある

    これらはほんの一部であり、もともと大規模地震や津波、台風などの自然災害を想定してあげられたものです。とはいえ、現在の都心部一極集中化によって、これら一部のリスクが現実になることが懸念されます。新型コロナウイルスの蔓延は2020年に入るまで想定されていなかった“災害”です。被害が広がる中、今後改めて一極集中によるリスクを考慮したアフターコロナ後のまちづくりが問われるのではないでしょうか。

    アフターコロナ時代の重要なキーワード「開疎化」

    現在に至るまで、経済の高度化や効率化を求めて東京という都市が形成されてきました。しかし、新型コロナだけでなく、今後、別のウイルス感染や大規模な自然災害が起こり得ることを考慮すると、一極集中ではなく、地方も都心と同じように人が暮らし、経済を発展させるための基盤づくりが必要だと考えられます。

    これをわかりやすく表現する言葉として、「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成」の著者である安宅和人さんは、“開疎化”という言葉を広めています。そして、今まで都心のように密閉され、ヒトや企業、情報が密になっていた状況とは真逆の考えとして、開放(open)×疎(sparse)の開疎化に向かうだろうと述べています。一極集中によって効率よく快適だとされていた空間から、非接触でヒトがあまり動かず、モノが物理的に動く社会へという概念を体現する開疎化。新型コロナウイルス蔓延の影響で、人々は改めて地方の価値と自分の生活を見直すようになるかもしれません。

    開疎化は何をどう変える

    ・距離の概念が変わる
    専門家から、当面の間は落ち着くことがないと言われている新型コロナウイルス。私たちは完全に0の状態になるまでコロナとともに生活を続けていかねばなりません。感染防止のために人と人との距離をとる「ソーシャルディスタンス」が呼びかけられていますが、この状態が続き、距離をとることが日常化することで今後、人と人との距離感や接し方は大きく変わっていくかもしれません。
    外出・イベント自粛中の現在でも、オンラインライブやオンラインイベントが実施されているように、オンラインツールの性能が向上したことによって、たとえ距離が離れていても人と人がつながる環境が整えられてきました。今後はさらに高度なオンラインツールやプラットフォームが登場し、誰が、どこにいても気軽につながるのが当たり前となり、仕事でもオンラインでの商談、打ち合わせが一般的になる−−−そうなれば、「都心でなければビジネスができない」「東京で働きたい」という考えから一変、「家賃の安い地方で暮らし、東京で働いていた以上に稼ぐ」という人も増え、土地への集中が解放へと向かうかもしれません。

    ・オンラインサービスの拡充と充実で都心も地方も生活が変わらなくなる
    最近では、オンラインスーパーの利用者も増え、買い物と決済が完了した商品を自宅まで届けてくれるサービスも増加しました。これを利用すれば、地方に住んでいても買い物に困る心配はありません。また、ゲームやスポーツなど、誰でも簡単にオンラインで参加できるようになれば、人を集める目的で地方に多額の資金をかけ、地方に多額の娯楽施設を建設する必要も無くなるのではないでしょうか。

    ・オフィスのあり方や働き方が変わる
    すでにテレワークを実施している人もいますが、テレワークによって業務が通常通り進行できることが証明できれば、オフィスで仕事をすべきだという概念が180度変わり、必要最低限のみ出社というスタイルが生まれるかもしれません。オンライン会議システムや、メンバーとの連携を円滑にするオフィスツール、コミュニケーションツールなどが普及することで、将来的にはオフィスを持たない会社が次々と誕生する可能性も考えられるでしょう。

    アフターコロナ、withコロナ、そして未来のまち

     

    開疎化に向けてまちづくりを行うには、リスクへの対応をどうすべきか、社会のコアシステムをどのように刷新すべきか、インフラ機能、お金、ルールづくりをどのように検討していくべきかなど、安宅さんは5つの課題領域を掲げています。さまざまな要因が重なり合うため、早々に解決することは難しいかもしれません。データを活用してこれらの現状を把握し、評価し、仕掛けてさらに評価し、ブラッシュアップしていく…そうすることで、開疎化されたまちづくりが実現できるのではないかと考えています。

    人の分散はリスクを分散することにもなります。今回のコロナ危機を起点に、人々の価値が変容し、すべてのものが都市だけ集中するのではなく、さまざまな地域へ分散し、真の開疎化が進んでいくのではないでしょうか。

  • コロナの影響で売上が減少するなかで、軽貨物事業者やタクシー業界はどう対応すべきか

    コロナの影響で売上が減少するなかで、軽貨物事業者やタクシー業界はどう対応すべきか

    サービス業、製造業、卸売行、建設業、飲食業など、業界を問わず前代未聞のダメージを与えている新型コロナウイルス。全国に向けて発令された緊急事態宣言により、経済活動が急激に縮小する中で、それぞれの業界、企業はサービスへの方向転換や新規サービスの創出を求められています。

    新型コロナウイルスは軽貨物運送業へどのような影響を与えているか

    新型コロナウイルスは、物流の要となる運送業にも大きな打撃を与えています。緊急事態宣言の発令によって、飲食店をはじめ、大型商業施設、娯楽施設などの一時閉鎖が全国で相次いだことで荷物の配送量が大幅に減りました。また、部品や製品が中国から入ってこないため輸入による荷物も激減し、イベントやカンファレンスの開催自粛により、イベントで使用する機材を運ぶ業者も仕事がストップ…。このような流れを受け、運送業界では施設向け、法人向けの荷物の配送が大幅に減少しています。
    しかし、法人向けと相反して、個人向けの配送量は多様化し、短期間で一気に増加傾向へ。外出自粛に伴いテレワークで仕事をする人や休校で自宅にいる子どもが増え、個人が自宅で気軽にネットショッピングでモノを購入したり、食事のデリバリーや日用品などの宅配サービスを利用したりする機会が増えたことが原因ですが、そうした個人消費を支えているのが軽貨物運送事業者です。

    軽貨物運送事業者が取り組むべきこととは

    軽貨物運送事業者は大型や中型ではなく軽貨物車両を使用して荷物を届ける運送業です。大型車両であれば1運行あたり走行距離が347km(国土交通省が2015年に発表した「トラック輸送状況の実態調査」による)ですが、軽貨物車両であれば172km。長距離輸送はほとんどなく車両が小型のため小回りがきく。つまり、地域に密着しつつ、多くの集配箇所を回ることができるのが特徴であり強みだと言えるでしょう。

    感染防止の三密(密閉・密集・密接)を回避しようと、飲食店で食事をするお客さんは大幅に減りましたが、自宅で食事をとるためにスーパーへ買い出しに行く人が増えました。しかし、一部のメディアでは連日列をなし、混雑するスーパーの様子が映し出され、買い物自体が感染の一因になるという認識も強まってきました。週に一度、家族の中の一人が買い出しに行く、混雑する時間帯を避けるなどといった回避方法もありますが、さらなる安全対策として、ネットスーパーやデリバリーサービスを活用する人も急増。店舗からは配達が追いつかないという声も聞こえています。スーパーやテイクアウトを実施している飲食店はもともと配送業者ではないため、一時的なオーダー急増のためにトラックやドライバーを確保するわけにはいきません。そこを軽貨物事業者が連携することでフォローできれば、需要と供給のバランスが取れるだけでなく、サービスの幅が広がるのではないでしょうか。

    自粛の中で、軽貨物事業者が生き残るために

    新型コロナウイルスの感染拡大への収束に予測がつかない中で、どのように生き残って行くべきでしょうか。先ほどお伝えした状況を踏まえると、押さえるべきポイントは2つあります。①感染防止への対策を考えること②視野を広げて新たなサービスの可能性を見出すことです。
    ① ドライバーが感染しないよう、徹底した防止対策を講じる
    ヤマト運輸は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的な対応として3月から非対面で玄関前に荷物を置く受け取り方法を実施、佐川急便はスマホを使用したサインを取りやめ、日本郵便はあらかじめ指定した場所に荷物を届ける置き配による非対面受取を導入するなど、安全に荷物を届けるために各社それぞれに感染防止策へ取り組んでいます。また、どの業者においてもアルコール消毒やマスク着用、ドライバーの検温を義務付けるなど、対策を徹底したうえでドライバーを新型コロナウイルスから守っています。
    ② 現状を正面から捉え、「このような状況の時に何をどうすべきか」と頭を切り替えて新たな取り組みを実践する

    物流が止まると、人々の生活もストップします。必要不可欠な存在であるからこそ、活躍できるシーンはまだまだあるのです。たとえば、飲食店と連携して新たなデリバリーサービスを開始したり、スーパーの個人宅への配送ビジネスを一緒に行ったりするなど、フォローすべき新たな“隙間”を見つけ、自社サービスに昇華させていきましょう。

     

    B2B向けに限定せず、これを機にB2CやC2Cなど、視野を広げてサービスの幅を拡充すれば、今後の新たなビジネスへの活路が見いだせる可能性もあるでしょう。

    タクシー業界の変革〜人を運ばないサービスを提供する

    外出の自粛により、人が移動をする機会が大幅にダウン。日常的に便利な移動手段として人々に利用されてきたタクシーですが、移動の制限により、稼働台数を減らしたり、一斉解雇を通告したりと、活躍の場が失われつつあります。しかし、ここで視点を変え、逆境に打ち勝つために趣向を凝らしたサービスを展開しているタクシー会社も存在します。

    「乗らないタクシー」が人々の生活をサポートする

    4月17日、Twitterでのある投稿が話題になりました。
    「こんな時だからこそタクシー会社がすべきこととして来週4/20から『乗らないタクシー』を始めます!」(原文ママ)
    新潟県長岡市にあるタクシー会社、つばめタクシーが人を目的地へ届けるのではなく買い物代行などを行う乗らないタクシーというサービスを開始すると告知しました。利用者から電話で依頼を受け付け、スーパーでの買い物代行や薬の受取、書類の代理送付などの代行サービスを行うと言います。外出自粛と言われていても、どうしても外出が必要となるシーンはありますし、高齢者や移動を自粛している人々からのニーズも考えられます。稼働率が低下しているからこそ、移動しない人のサポートをする、かわりに移動をするなどの隠れたニーズをサポートするサービスが求められるかもしれません。

    おつかいタクシー

    タクシー・ハイヤーサービスを提供している三和交通株式会社は、4月6日より代行サービスの「おつかいタクシー」の運行をスタート。実は同社は、過去にも忍者姿で迎車する忍者でタクシーやSP風タクシー、心霊スポット巡礼ツアーなど、新たなおもてなしのかたちを体現すべく、数々のユニークなサービスを提供してきました。柔軟なアイデアかつ瞬発力の速さを武器に、いち早くサービスを開始しています。ドライバーの検温、マスク着用や手洗い、車内消毒など感染予防の対策を実施しており、荷物の受け取りも安心です。

    美味しい食事をあたたかいうちにおとどけ。出前タクシー

    茨城県水戸市のさわやか交通では、買い物代行のほか、飲食店のテイクアウト料理をデリバリーできる出前タクシーをサービスとして開始しています。お弁当、ファーストフードだけでなく、通常はテイクアウトをしていないお店の料理も可能です。

     

    もちろん、これらは通常のタクシーとしても利用できますが、タクシー業界全般に稼働率が低下する中で、こうした取り組みは新たなサービスへの活路を見出すことになるのではないでしょうか。

    新たな取り組みに対して成果をはかるには

     

    経済の縮小で法人サービスへの需要は減っていますが、個人向けサービスはニーズが拡大しています。新たなサービスを構築・展開し、それをマーケットにフィットさせるには、効果を図りながら少しずつ改善していく必要があります。新規サービスの需要を見極め、成果を上げるためには、試行錯誤しつつも限られたリソースの中でPDCAを回していきましょう。

    見えない稼働を可視化することで効果をはかるー車両管理システムで回すPDCA

    軽貨物運送業者もタクシーも、基本的には車両で移動するため、具体的にどの点を重視して改善すべきかが見えづらいかもしれません。そこで役立つのが車両管理システムです。

    車両管理システムのポイント1. リアルタイムでの位置情報がわかる

    位置情報がわかることで、管理者・ドライバー・利用者間の情報のやりとりがスムーズに。急な配送ルートの変更も可能です。

    車両管理システムのポイント2. 効率的な配送ルートがわかる

    走行ルートが毎日記録されるので、どの地域でどのような需要が多いか、効率よく回るにはどのルートが最適化を検討することができます。

    車両管理システムのポイント3. 車両による事故を防ぐ

    車両を運転する時間が長くなるほど、交通事故のリスクも高まりますが、車両管理システムには安全運転走行を意識づける機能も搭載されています。特許を取得した安全運転診断機能により、ドライバー一人ひとりの運転のクセや危険運転を可視化。危険運転を自動検知すると、走行毎に管理者へ通知することもできますので、事故防止にも役立ちます。

     

    あらゆる企業は、“今”需要があるマーケットを早期に見つけ、自社が持つノウハウやアセット、技術を活かしたサービスを展開することで、逆境を乗り越えることができるのではないでしょうか。

  • Beyond MaaSー移動の進化を後押しするMaaSの取り組みに迫る

    Beyond MaaSー移動の進化を後押しするMaaSの取り組みに迫る

    スマートドライブマガジンの中でも、何度がご紹介してきた「MaaS」。MaaSが浸透したその先には、一体どのような世界が広がるのでしょうか?
    この記事では、100年に一度の第変革期と言われるモビリティ革命の中で、MaaSは社会をどう変えていくのか、どのようなプレイヤーが動き、新たなビジネスを展開していくのか、書籍「Beyond MaaS」を軸に具体例を解説します。

    「Beyond MaaS 」とは何か

    MaaSとは「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略で、電車やバス、タクシー、カーシェア、自転車など、公共交通機関や新たなモビリティサービスを含めあらゆるモビリティ(移動)が1つのサービスとしてシームレスにつながること(アプリによって予約から決済までが行える)を意味する概念のことです。海外ではMaaSをいち早く実現したサービスとして、いくつかの交通手段から最適な移動ルートを自動検索して目的地にたどり着くことができるドアtoドアのサービス「Whim」が広く知られています。そのほかにも続々とサービスが展開されていますが、マイカーと同程度の移動の利便性を実現することで、渋滞を減らしたり、高齢者をはじめとした交通弱者とされる方たちの移動をスムーズにしたりすることを目的としています。

    Beyond MaaSは、直訳では「MaaSの向こうへ」「MaaSを越えて」という意味です。MaaSとして生まれた新たな概念のその先へ、つまり、モビリティを中心に据えて新たな産業の展開をすることで、MaaSが生活に浸透し、移動が大幅に進化した未来を描くことだと言えるでしょう。

     

    MaaSについて復習したい方、もっと理解したいという方はこちらの記事をご参考ください。
    移動の概念が180度変わる ~MaaSが秘める移動の可能性~
    【MaaS基礎知識】MaaSに関する用語まとめ
    【MaaS基礎知識】MaaSにおけるレベルを解説

    モビリティ業界だけじゃない。業界の垣根を超えたMaaSの最新事例

    「Beyond MaaS」の書籍では、MaaSは移動に関するシームレスな統合を実現する概念であるものの、一社のみで完結する“閉じた”状態になってしまうと、新しい社会価値は生まれないと言っています。異業種と連携することで新たな価値を見出していく、協業によって新たなビジネスを創造することを提唱。そのため、モビリティ業界だけではなく、ソニー、三井不動産、三菱商事、そしてセブン&アイなど、非常に幅広い業種がMaaSへ参入し、互いに協業し、より高価値なサービスを提供しています。

     

    日鉄興亜不動産×MONET Technologiesのマンション向けMaaS

    日鉄興亜不動産とMONET Technologies(以下、MONET) は、2020年2月21日よりマンション向けMaaS「FRECRU(フリクル)」の実証実験を開始すると発表しました。フリクルはマンション専用のオンデマンドモビリティです。マンションの住民であれば、MONET が提供するスマホアプリで乗車日時や目的地、乗車地を指定し、住民専用のマイクロバスが指定した場所まで迎えにきて目的地へ運んでくれる。そして、料金の支払いはマンションのラウンジが決済アプリのPayPayで完了できるサービスです。

    駅前や駅近のマンションであれば移動は比較的楽かもしれませんが、駅から徒歩20〜30分程度に位置するマンションは交通に不便だと思われてしまいがちです。しかし、駅から離れているぶん、緑が豊かだったり、喧騒から離れて静かに過ごせたり、同じ広さでも駅近物件より購入費が安かったりするなど、数多くのメリットがあります。唯一、問題となるのが交通の利便性なのであれば、管理費や購入費にこうした交通のパッケージが含むことでこの点は解決できますし、人々にとっても住む場所の選択肢が豊かになるのではないでしょうか。このようにして、土地の価値を向上していく取り組みは世界でも始まっており、国内でも少しずつ増えてきているようです。

    ADDress×ANA 月3万円の航空券定額サービス

    定住しない。拠点にこだわらない。若者を中心に、そんなアドレスホッパーな人たちが増えてきました。ADDressはアドレスホッパーたちに、定額で全国のいろんな物件に住み放題というサービスを提供している企業です。同社はANAと手を組み、月額4万円の会員料金に加え、月額3万〜月4便の国内線チケット(路線は指定あり))が利用できるサービスの実証実験をスタート。今後は新幹線など、電車との連携も検討されており、定額で移動しながら定額で暮らすというスタイルがますます広がっていくかも…?

    病院×配車サービス 待ち時間をなくしてスムーズな診療を可能に

     

    病院に行ったけど、待ち時間に一時間以上もかかってしまった…予約をしたのに、結局待たされて疲れてしまった。誰もがそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。もし、配車サービスと病院が連携してスムーズな診察が実現したら…?病院での待ち時間が“ほぼ”なくなるかもしれません。
    自宅まで病院の予約と連携した配車サービスが迎えにきて、病院まで時間通りに送ってくれる。到着次第、すぐに診察を開始、会計を済ませて再び車へ。海外では実際にこのような取り組みが進められており、国内でも始められようとしています。もしこのサービスが普及すれば、ユーザーは時間を無駄にすることがなくなり、病院側も経営効率が向上。お互いにとってメリットが大きいサービスとして注目されています。

    モビリティ×飲食 需要がある場所へ自由に動けるMellowのフードトラック

    「求める人がいる所に適切なものを」という考えで、空きスペースとフードトラックをマッチングさせる、モビリティビジネス・プラットフォームを提供しているMellow。現在は飲食を中心に展開していますが、今後はリラクゼーションサービスや家計コンサルティングなど、ニーズに合わせた能力を持っている人とのマッチングで配車を行おうとしています。必要に応じて柔軟に移動し、サービス提供の場を作る、まさしくMaaS時代の新たなサービスだと言えるでしょう。

    ゲームやイベント関係のMaaS

    2016年の誕生から現在においてもまだ、人気を集めているポケモンGOは、移動をしながらモンスターを集めるスマートフォン向け位置情報ゲームアプリです。このような位置情報をベースにしたアプリゲームに配車機能や経路検索機能を搭載すれば、渋滞を回避するために人々の動きを分散させることも可能に。

    災害や防災関係のMaaS

    台風、大雨、大規模地震など、日本は災害大国として毎年自然災害に見舞われています。先ほど紹介したMellowは、昨年の豪雨によって停電が続く千葉県にフードトラックを派遣しました。同社は9月1日の防災の日にフードトラック事業者と連携した社会貢献プロジェクト「フードトラック駆けつけ隊」を立ち上げ、災害支援ネットワークを通じて支援を呼びかけ、暖かいパスタ、オムライス、牛煮込み丼などを無償で提供しました。
    災害時は安全を守りつつも、人々の命、生活を守るために迅速かつ柔軟な動きが求められます。フードトラックを始め、キャンピングカーなどを使用した新たなモビリティサービスが誕生していきそうです。

    プレイヤーとしてMaaSを推進する

    MaaSを単なるバズワードで終わらせず、MaaSによって新たなサービスを輩出し、経済の成長を促していく。そのためには、先述したように、協業と共創が重要です。そうした場を提供しようと、スマートドライブが立ち上がりました。スマートドライブでは、業界を越えて、移動の進化への挑戦しているプレイヤーを集めたMobility Transformationを展開しています。Mobility Transformationは、参加型のカンファレンスやワークショップを開催したり、イベントの登壇内容がまとまったレポートを簡単にダウンロードできるようにしたり、MaaSを本格的に推進するためのさまざまな取り組みを行っています。ぜひ、一緒に、移動の進化を後押ししませんか?

  • 【対談】地に足のついた、交通まちづくりを行うために必要なこととは?–後編

    【対談】地に足のついた、交通まちづくりを行うために必要なこととは?–後編

    海外ではスマートシティ構想が具体的に進み始めています。一方で国内に目を向けると、各地で実証実験が行われているものの、成果としてはまだ現れていないようです。 後編では、実際に海外のさまざまな取り組みに携わり、成功へと導いてきた株式会社PTVグループジャパンの代表取締役である端野良彦さまに、前編に続き日本国内でスマートシティ構想を実現するために必要なことについて教えていただきました。

    スマートシティ構想を加速させるには

    菅谷: 日本では、地域活性化の観点を含めて、スマートシティへの取り組みが盛んになってきました。地域ごとによって課題は異なるものの、よく耳にするのが、同じ地域内で一部に車が集中して渋滞が起きる場所と、全然人が集まらなくて、過疎化が進んでいる場所が二極化しているということ。

    高齢化が進み、若年層が都会へ流出したこともその要因の一つです。最近では、運転に不安のある高齢者は免許証を返納すべきという風潮にありますが、返納した場合、高齢者を含む交通弱者に対してどのような交通手段を提供すべきかを考えなくてはなりません。

    ここで少し弊社のビジネスについて説明させてください。スマートドライブのビジネスは三つのレイヤーで形成されています。データを取り組むデータインのレイヤー、データを集めてデータの活用を考えるプラットフォームのレイヤー、そのデータ活用に基づいてどんなサービスを展開するのかという、データアウトプットのレイヤーです。

    スマートシティの文脈でいうと、自社のセンサーを使って、各地域の住民の行動データを集めたり、安全運転によってポイントが付与されたりするサービスを展開しています。ですから、安全運転を促す仕組みを作りつつ、リアルタイムのデータに基づいて、どういう形でインセンティブを与えると行動を変えられるのかというアサンプション(仮定)を作ることができます。それを御社のサービスと掛け合わせて、いろんなシミュレーションしていくことは可能でしょうか。

    端野: たとえば、シンガポールで実施しているロードプライシング。人が集中する都市に車が入る際は課金をして人を減らすとか、混雑に応じて1時間ごとに料金を変えることによって流入を調整しています。

    今まではアプリやロガーを使ってリアルタイムに施策を講じることができず、ゲートを作るしか料金の徴収方法がありませんでした。しかし、今後は個人個人にインセンティブを与えるなど、よりきめ細やかなコントロールによって、渋滞を緩和することが可能になるでしょう。ただ、それを実行するには、道路の幅や混雑具合、信号のタイミングなど、都市構造を把握するための分析が必要となります。そのうえで、警察や地域と連携をしながら移動と住みやすさの快適性を上げていくべきでしょう。

    菅谷: 弊社では、安全運転に限らず、例えば、通過した場所によってポイントを付与する仕組みも構築できます。そうすると人の流れを誘導することができますが、長い目で見ると根本的なインフラを変えていく必要がある。行動変容とインフラの変更、その掛け合わせによって、本当に効果を得られるのではないでしょうか。

    端野: 日本における都市の問題は、行政のよってスタンスが違うことです。新しい技術に非協力的な都市もあるし、横浜市や柏市のように、新しいことを積極的に取り入れる都市もある。そして、さまざまな方法でPoC(概念実証)を進めはしても、実施して結果を見て満足してしまう。それが何よりも大きな問題です。

    国交省の発表によれば、現在、ライドシェアリングサービスが全国で100箇所以上設置されているといいます。しかしそれが、1週間〜1カ月の期間で“やってみた”という成果だけで、その後の改善・改良が進んでいない。当然ながら、地域ごとに必要性や仕組み、そこに住んでいる人々の行動もそれぞれ異なりますので、『1カ月間実施しました』という結果だけでは、今後の参考データにはなり得ません。

    観光地であれば観光による特性が、過疎化であれば人口密度に関する問題があるし、それぞれのケースによって課題と解決方法は異なるもの。それぞれの課題をもっと深堀りし、解決に向けて試行錯誤し、地域に根付いた事例を作っていくべきです。

    菅谷: その深掘りの部分で、御社の製品やサービスはどのように活用されていますか。

    端野: PTVは、MaaSやライドシェアリングが広がる前に、人の移動を柔軟にシミュレーションできるツールとしてソフトウェアを提供してきました。

    PTVのソフトウェアを使うことで、社会実験を実施する前に、何10、何100パターンすべての方法をシミュレーション上で分析できるので、事業者の立場であれば、そこで損益分岐点を付け、役所であれば、交通弱者をどれだけカバーできるかを把握し、必要台数や必要なサービスを求めることができます。立場の違い、妥協点を見つけることによって、実際にサービスインをする時に、適正な車両台数、適正なサービス内容、適正な金額設定ができる。それが、弊社が持つソフトウェアの強みです。このソフトウェアを活用した成功事例がヨーロッパではいくつもございますので、日本でも同じようなシステム作りができればと考えています。スマートドライブとの連携によってそうしたシステムを構築できれば、利用者の立場に立った“本当の”MaaSが進められるのではないでしょうか。

    菅谷: 技術ありきではなくて、本当に利用できるMaaSが。

    端野: 現状、「日本ではこんなことがMaaSでできました」という発表だけになっていて、利用者視点で何かが改善できていない。そこが非常に残念だなって思いますね。

    菅谷: 内閣府が掲げているスーパーシティ構想に考え方が近いですよね。スーパーシティ構想についての報告書を拝見すると、住民の参加が大事であること、技術開発側・供給側の目線ではなく課題解決が重要であるといったことが書かれています。まさにそういったお話ではないでしょうか。

    端野: MaaSにスマートシティ。これらの構想を推進するには、民・官が連携して地域に根付き、利用者の立場に立ったうえで計画を練ることが成功のカギです。

    菅谷: 利用者の立場に立つという観点でも、弊社のサービスを生かせるかと思います。

    単にデータを集めるだけではなく、利用者自身にメリットがある形でそれらに取り組みを推進できるサービスとして構築していますし。そこへ御社のサービスや技術を補完いただければ、一気にコマを進めることができるのではないでしょうか。

    端野: そうですね、フレッシュな情報で一人ひとりへアプローチができるスマートドライブの仕組みは、今までにない新しい取り組みです。データを活用することで、その都市にマッチした行動を誘導できる、より良いサービスが提供できると期待しています

    移動はマルチモーダルで考える

    菅谷: 人の行動は断片的なものではなく、繋がったひとつの流れとして考えるべきだと思うのですが、いかがでしょう。

    端野: 例えば、自動運転のライドシェアを展開するとしても、それ単体で考えてはいけません。スマートシティやMaaSと一言に言っても、見方は立場によって変わります。鉄道会社が展開するMaaSは、電車グループ会社が所有するバスだけ、とか。しかし、実際の人の移動を想像すれば、自転車シェアリング、カーシェアリングも利用する可能性があります。

    日本のカーシェアリングは借りた場所に必ず返却する必要があったりしますが、ヨーロッパでは乗り捨て型のカーシェアリングも広がりを見せています。乗り捨て型シェアリングサービスが国内でも普及すれば、ある人がA地点からB地点に行くまで、「徒歩自転車シェアリング鉄道カーシェアリング徒歩」という流れで、最終目的地まで向かうことも考えられる。このようなマルチモーダル、つまり、複数モードで移動することも考えてサービスを構築すべきです。こうした複数の移動も弊社のソフトウェアで統合的に分析できますし、そこへスマートドライブのシステムを追加すれば、「この乗り物を使うとポイントが付与される」というようにインセンティブを与えられるでしょう。

    そうすることで、各地域が理想とする利用の均衡化が可能になります。自転車シェアリングサービスを設置したけど利用者がいない、とりあえずカーシェアリングのステーションを増やしたけど利用頻度が低いなど、実施したのに使われないのは世界でもよくあること。それをスマートドライブのシステムで、人の行動を満遍なく分散させることによって、渋滞や混雑を未然に防ぐことができるのではないでしょうか。

    スマートドライブとPTVの連携にはシナジーもありますし、PTVのシステムでより詳細な分析ができるので方向性が見つけられる気がしますね。

    菅谷: PTVの強みは、バーチャルの実証実験を何100回も実施できることです。実際にインフラを変えるには、時間も資金もかかりますが、もっとも有効な手段を短期間で大量に実証実験できるので、コストをかけず、効率的に最善策が得られます。非常に素晴らしいシステムですよね。

    端野: 結果を見せることで地域住民や関係者にも施策を訴えやすいんです。

    技術者は何百メートルという具体的な数値で渋滞を表現しますが、地域住民は、「A駅からあのコンビニまではいつも渋滞している」と、普段から感覚的に物事を見ています。ただ、施策を講じる際はなんとなくではうまくいきません。そのため、映像や分析結果を視覚的に見せることで、関係者たちのマインドを同じ方向へ持って行くことが重要なのです。そうやって、改革や新しいシステムを突き進めていきたいですね。

     

  • 【対談】地に足のついた、交通まちづくりを行うために必要なこととは?–前編

    【対談】地に足のついた、交通まちづくりを行うために必要なこととは?–前編

    MaaSやCASE、スマートシティにスーパーシティ。最近のモビリティ業界では、頻繁にこうした横文字、カタカナの取り組みが見受けられるようになりました。

    とくにここ数年は、地方から都心まで、幅広い地域でさまざまな実証実験が行われていますが、その後の取り組みはどうなったのか———気になったことはないでしょうか。今回、対談にお越しいただいた株式会社PTVグループジャパンの代表取締役である端野良彦さまは、大学で交通工学を学び、現在は交通分析や需要予測シミュレーションができるソフトウェアを駆使し、都市交通や物流の課題解決に向けて取り組まれています。本記事では、まちづくりや地域活性化においてどのようにデータを活用し、検証して行くべきか、大事なポイントについてお話いただきました。

    インタビュイー:
    株式会社PTVグループジャパン
    代表取締役 端野 良彦さま
    インタビュアー:
    株式会社スマートドライブ
    CSO 戦略責任者  菅谷 俊雄

    移動による効果を検証するサービス「Visum」

    菅谷本日はよろしくお願いします。まずは、PTVグループジャパンおよび、端野様についてご紹介いただけますか。

    端野良彦代表取締役(以降、端野):当社は、PTV Planung Transport Verkerhr AGというドイツ企業の日本支社です。PTV AGは、カールスルーエ工科大学から40年前にスピンオフして設立した会社で、本社もカールスルーエ工科大学の周辺、日本でいう、筑波の研究学園都市のようなところに位置します。そのため、会社ではありますが、大学での研究・知見を取り入れて効果検証する体制をとっています。PTV AGは、ソフトウェアベンダーとして、交通や物流に関するソフトウェアを開発・販売しており、3年ほど前にポルシェグループの傘下になりました。

    私は元々、大学で交通工学を勉強していて、当時からPTV社のソフトウェアをドイツから輸入し、研究に活かしていたのです。私が研究していたのは、バンコクのオートバイ事情について。オートバイが縦横無尽に走る土地で、危険度合いをシミュレーションできるソフトウェアを探したところ、PTVのソフトウェアと出会いました。そこから私とPTVの関係が始まったのです。

    菅谷:交通工学について、詳しく教えていただけますか?

    端野昨今はAIやディープラーニングなどで、人の行動を分析していますが、本来の交通工学とは、都市の機能にもとづいて人の行動を調査し、その実態を明らかにすることです。たとえば、A地点からB地点に行く場合、自動車、鉄道、バス、徒歩、自転車などさまざまな選択肢がある。その中で、どんな人がどのような価値観でどの移動手段を選択するかを考えるのです。国会議員の先生であれば1時間の価値が非常に高いのでとにかく早く移動できるもの、勉学が中心の学生であれば時間に余裕があってもあまりお金がないから公共交通機関や自分が所有する自転車を利用する、とか。その人の1時間の価値という計算をもとに人の行動を分析し、人がどのように移動するかを把握し、その情報をもとに都市構造を考える、それが交通工学です。そのほかに、自動車の渋滞も分析します。

    自動車工学は車の車両挙動に注力しますが、交通工学は車や人の流れなど、移動するものに対して研究する分野です。

    菅谷タイの交通についても研究していたと聞きました。どのような研究をされていたのでしょうか?

    端野タイでは、信号が赤になると、オートバイが車の間をすり抜けていきます。車と車の間が10cmずつ空いていれば、横切って前に進むため、みんなが前に集まってしまうのです。その横移動によって、どれくらい危険度が高まるのか、事故がどれほど増加するのかを分析していました。

    私自身は東南アジアに関する研究に長く携わってきましたが、タイ同様、ベトナムでもオートバイが増えすぎ、同じような問題を抱えています。今後収入が増えれば、将来的にオートバイから車に乗り換えるようになる。そうすると、街が車で溢れてしまう。

    そうならないためにも、バスなどの公共交通を利用してもらおうと考えるのですが、オートバイが便利なのはドア・ツー・ドアで目的地に行けること。その利便性を考慮すると、簡単にはほかのモードにシフトさせることができません。ベトナムは高温多湿で雨量が多い国。カッパを着てオートバイを運転していた人たちが、ある日突然歩いてバス停に向かい、混雑したバスを利用するでしょうか…? それを、たとえば都市部の駐車場の値段を10倍にして人の行動を変容させていくというような研究を行ってきたのです。

    菅谷:スマートドライブは、昨年からタイとマレーシアに進出しています。現地の方たちと話していると、二輪の交通事故が一番の課題だとおっしゃる。企業としては従業員が通勤時に交通事故に遭遇することで生産性が下がることを避けたいですし、ビジネスの観点からも非常に問題視されています。それを弊社のサービスによって安全運転を促したり、行動変容ができたりしないかと取り組んでいます。

    端野実は身近にタイの交通学会の会長さんがいて、安全運転教育を広めようと活動されています。この活動によって、バンコクではヘルメットの着用率が向上しているそうです。彼らからすると、安全運転教育が行き届いていないので、なぜヘルメットを被る必要があるのかを理解していなかったりする。日本だと免許の更新時に、安全運転がどれだけ大事で、交通事故がどれだけ悲惨なものかを知らしめるビデオを必ず見せられますよね。そこで意識に訴え、必要性を周知させている。このような教育がないと意識は向上しませんので、基本的な安全にかかる教育にはかなり力を注いできました。

    海外で進んでいるスマートシティ構想

    菅谷ご丁寧にありがとうございました。御社が提供しているサービス、「Visum」についてもお伺いできますか。

    端野Visumは、都市を作るためのソフトウェアです。日本を例に考えると、第二東名高速やリニアモーターカーを設置する際に、これらを設置することによって人の移動がどのように変わるのか、または費用対効果がどれくらいあるのかを分析します。今までのバスの路線網は、専門家の知識とその土地に知見がある方が手作業で決めていましたが、それを交通工学で裏付けるために計算して導き出すのがVisumです。

    菅谷:海外ではVisumのサービスを活用し、数々の取り組みが進んでいると伺いました。その中の事例をいくつかご紹介いただけますでしょうか。

    端野では、ノルウェーの事例から。バスや鉄道、トラム、フェリーなど、既存の交通網が形成されているノルウェーのオスロ市と隣のアーケシュフース県において、人が自動車の保有をやめてライドシェアを取り入れた場合、どれくらい行動が変容するかをVisumで分析しました。

    この事例の最大の目的は、車を減らして都市の混雑を軽減すること。ライドシェアサービスを展開するにしても、どの車両を使用するか、何百台投入するか、どこで何十台ずつ走らせるか、もっとも有効な方法を考えなくてはなりません。ここで設定を見誤ると、かえって混雑を助長させることになると結果が出ため、慎重に検討を重ねていきました。

    本ケースでは、6つのシナリオが検討されました。一つは、ライドシェアサービスに既存の交通網を組み合わせたもの。電車・バスなど複数の組み合わせパターンがありましたが、この中でどれがもっとも最適かを分析。ベストシナリオはどれか、ワーストシナリオはどれかを検証し、各シナリオに対して混雑が何%緩和されるのか、逆に混雑が何%増えるのか、効果を具体的な数値で評価しました。

    次に、ベルリン交通局の事例をご紹介しましょう。ベルリンは公共交通がそれなりに充実している都市です。一方で、自動車交通が混雑を引き起こした時、どのように対処すべきかが議論されていました。そこで、ミニバンを使ったライドシェアの導入が検討されましたが、そこで論点となったのが、どんなサービス内容にすれば、既存の公共交通を統合しつつ、コストも抑え、効率的に需要をカバーできるのかということ。ここでもVisumが利用され、分析したシナリオや要件設定にもとづいて、サービスが展開されることになりました。

    菅谷:ベルリンでのサービスは好調ですか?

    端野シミュレーションで予測した結果と現状とで大きな乖離は見られず、それなりに順調だと聞いています。

    交通機関の金額を変更すればさらに需要が伸びるかもしれませんが、需要は変容していきますので、今の最適解と一年後の最適解は異なります。ですから、引き続きデータを収集し、分析を続け、検証していくべきだと考えています。

    菅谷:日本でも応用できそうな取り組みですね。

     

    >>>後編へつづく

  • JR東日本のCVCが取り組む新たな地方創生とモビリティサービス

    JR東日本のCVCが取り組む新たな地方創生とモビリティサービス

    JR東日本といえば、言わずと知れた国の交通を支える旅客鉄道会社のひとつです。私たちの普段の足を当たり前のように支えてくれている企業も、近年では地方創生やモビリティをテーマに掲げ、事業のあり方を変化させています。創設からまだ2年を迎えたばかりのJR東日本スタートアップ株式会社は、すでにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)として、スタートアップ企業や地域社会と協同でさまざまな活動を試みています。

    今回、JR東日本スタートアップ株式会社の山本裕典氏に、彼らの考えるオープンイノベーションや地域型MaaSといった、さまざま取り組みと未来へのビジョンについて話をうかがいました。

    インタビュイー:
    JR東日本スタートアップ株式会社
    アソシエイト
    山本裕典(やまもと ゆうすけ)さま

    社会シミュレーションの研究を役立てたくてJRへ入社。現在はスタートアップへの投資や連携を手がける

    山本さんの自己紹介・略歴を伺えますか?

    JR東日本に新卒で入社しました。最初は現場研修として駅員を経験し、そのあとシステム系の子会社に出向して、社内経理ツールの開発を担当していました。それから新卒・中途の人事採用、本社でIT戦略を立てる仕事を経て、現職に至りました。

    システム関係のお仕事が長いですが、もともとシステムやプログラミングなどを勉強されていたのですか?

    大学院で情報工学を専攻していました。そこで「マルチエージェントシミュレーション」という、社会シミュレーションに近い研究をしていたんです。最近よく聞く「ダイナミックプライシング」などが流行る前に、社会でモノの価格変動が起きたときに人がどう動くか、といった研究をしていました。

    また、こうした興味が動機となってJR東日本に入社しました。街づくりや駅の人の流れによって、「たとえばある個所の価格を安くしたら人の流れが実際に変わる」という予測や制御が実践できるのではと考えていました。

    今はどういったお仕事をしていますか?

    今は、JR東日本スタートアップ株式会社というCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)でスタートアップ企業への投資と、アクセラレータープログラムを通じたJR東日本とベンチャー企業の協業をサポートしています。当社は2年前の2018年2月からスタートしていて、まだ事業が始まったばかりの会社です。

    モビリティ大変革の時代にあって、JR東日本がCVCを始めた動機とは?ーー求められるオープンイノベーション

    なぜJR東日本はCVCを始めたのでしょうか?

    自動車業界は100年に一度の大革命とも言われる変化の激しい時代を迎えていて、クルマだけでなく移動もまた変わろうとしています。しかし、鉄道業界はもともと自前主義でして、これまでは自分たちでシステムやサービスを作っていました。それはそれで良いとは思うのですが、とても時間がかかってしまうので、このままでは変化の早いの時代に対応できなくなってしまう。とはわかっていたものの、なかなか動けなかったのです。そんな中、特にスタートアップは非常に良い技術やアイデアを持っているのですが、それを実装する場がないという課題をかかえていました。

    そのようなギャップを埋めるのと同時に、彼らのスピード感に合わせて動ける会社を作る必要があったため、当社が設立されました。

    経営理念に「新しい未来を作ろう」というものを掲げていまして、お客様や地域の方々の暮らし方や働き方をより豊かにしたいと思っています。オープンイノベーションの実践や自前主義から脱却し、最終的には安心や信頼などに根差したワクワクした世界を実現したいと考えています。「地域を元気にしたい」「暮らしを豊かにしたい」「新しい未来を創りたい」という、私たちと志を一にするスタートアップ企業を応援しています。

    なるほど。未来では、今よりもテレワークが進むと思います。そうすると、定期券などを購入する人が減り、売上も減ってしまうと思うのですがJR東日本としてどうとらえているのでしょうか?

    我々はモビリティ企業でありながら、地域のお客様にとってのハブとなるような存在でありたいのです。たとえ定期券などの収入が減っても、それ以外の生活サービス事業などで収益を上げることに注力しています。

    不動産事業では駅ビルだけでなく住居も手がけていますし、農業なども行っています。また、Suicaを基軸とした事業もまだまだ成長の余地はあります。将来的に地方の関係人口が増えていけば人の移動は発生しますし、時代の流れに合わせたビジネスをしていきたいと考えています。

    鉄道会社であるJRならではの課題感と、「観光×MaaS」における二次交通利用といった地域・地方型MaaSの取り組み

    CVCを通して時代の流れに合わせた投資をしつつ、MaaSやスマートシティへの取り組みにも注力されているそうですが、理由をお聞かせいただけますか?

    今後、当社の活動テーマとしてはスマートシティやMaaS、地方創生といったところが中心になってくるかと思います。とはいえ、地方では人口減少が大きな課題となっています。少子高齢化で人口が減少し、街自体が小さくなり、将来消滅してしまう恐れがあります。そうすると、地方でしか味わえない体験やエンターテインメントも減ってきています。街がなければ駅も必要とされません。駅がなくなれば我々の営業範囲も狭くなってしまいます。これが鉄道会社にとって一番の課題かと思います。

    また、地方の人口が減少すると長距離移動をする人がいなくなるため、鉄道会社としては近距離移動で稼ぐしかないので客単価は下がります。

    これらの課題を解決するためMaaSに取り組まれているのでしょうか?

    MaaSという観点から話をすると、人を移動させるためにはある程度、街に関係人口を増やす必要があると考えています。しかし、いきなり関係人口は増えないので、そのために地方創生やスマートシティといった形で、駅を中心とした街づくりをすることが我々にできる課題の解決策ととらえています。

    バス、タクシーや自転車・シェアサイクルなど我々が持っていない二次交通と連携して、地域をうまくカバーしていきたいと思っていますし、1DayPassやデジタルフリーパスなども一緒に企画しています。

    とはいえ、各地で行っているこれらの取り組みは、まだ本来のMaaSの最終形ではありません。JR東日本としてはそれぞれの地域でいろいろなプレイヤーとまず関わりを持ち、将来のMaaSにおいて鉄道が中長距離の大動脈を担うことが役割と考えます。そうなった時に地方型MaaSや観光型MaaSをつなげることがJRに求められる部分だと思っています。

    多拠点居住サービスや航空会社とも連携。進む街づくりの形の多様化と移動のフレキシビリティ

    地方人口の減少、ドライバーの減少などの問題に対してCVCとしてどのような取り組みをされていますか?

    ADDressという多拠点居住ができるサービスをご存知でしょうか?月4万円で全国にある古民家をリノベーションして、そこに住めるというサービスで、利用者は多拠点居住に憧れる人や、フリーランスなど専門職の方が多いようです。ADDressは直接的にはMaaSに関係していないのですが「住宅×MaaS」のようなもので、多拠点居住で一時的に住人として住んでもらうことによって関係人口を増やします。ADDressと連携し、JR東日本が地方に持つ施設を住居にしたりして、往来を増やしていこうと思っています。また、ANAとも組んで月額制で飛行機に乗れる、ということもやっていまして、毎月定額で地方に人を移動できる仕組みにもできればと検討しています。ただし、鉄道は飛行機に比べ、鉄道法というものに守られ料金のフレキシビリティが少し低いので、どうしてもその部分の調整は今後必要になってきます。

    地方創生をするにあたって何が一番難しいですか?

    いろいろやってきたなかで感じるのは、地域に入り込むことですね。地方創生もMaaSも、地元の方、地域プレイヤーの方との調整がけっこう大変ですし、街ごとに状況は異なりますので、正解もなく、パッケージ化することができません。ある意味マンパワーで調整して、ルール化していく必要があります。

    また、効果測定も難しいです。やはり街づくりや地方創生は時間がかかるもので、1年や2年での判定は難しいですね。

    逆に、街づくりや地方創生をする中で楽しいことや、やりがいは何でしょうか?

    地域のなかに入っていき、地域の人に認められ、一緒に様々な取り組みを行うことで、地域の人みんなが笑顔になることです。関係人口数や、乗降客数が増えたなど数字的な結果に表れるところも重要だと思いますが、やはり地元の方々に喜んでいただいてる姿を見れることは嬉しいですね。

    都心に一極集中したほうがインフラの維持コストが安いし、効率的。という考えもあると思いますが、御社が地方創生に注力されている理由をお聞かせください。

    JR東日本は鉄道という公共インフラを担っており、地域に密着し、連携してこれまで日本を作ってきた歴史があります。なので、地方が赤字だからそのエリアでの鉄道の運行を辞めますというわけにはいかなくて、民間企業として収益性を求められる会社でありながらインフラ企業でもあるという使命があります。

    もちろん事業を東京近郊に一極集中すれば儲かるのですが、そこはインフラ企業として地域と連携して地域を支えていかなければいけないですよね。これは当社社長もよく言っていることです。

    JR東日本にも赤字路線はたくさんありますが、だからといって簡単に廃止できません。民間企業であり、株主の方もいるので最適な決断をどこかでしなければなりませんが…。鉄道を廃止してBRTに置き換えるなど様々な方法はあるにせよ、行政や地元の方とじっくり話をしながら決めていかなければなりません。

    ただ、地方も分散して広がり過ぎると、メンテナンスコストもかかるし、メンテナンスする人も高齢化して減少しています。我々もそういう意味では一つは「なくす」という判断が必要になってくるでしょうが、オープンイノベーションの取り組みを通じて解決策を模索しています。たとえば、すごく奥まった地域の線路にある踏切が壊れているとしましょう、遠いですしメンテナンスに駆けつけるだけで一苦労です。ですが、IoTのデバイスをつけて遠隔監視をするとか、ドローンでなかなか人が行けないところを定期的に見に行くけたらどうでしょうか?そうしたことを常に考えながら、スタートアップ企業の方と話をして実証実験的に取り組んでいます。

    Smartdriveとのコラボレーションについて

    Smartdriveと何かコラボレーションでできるとお考えのことはないでしょうか?

    すぐにできることがあると思います。Maasという観点で考えたときに、鉄道事業者はファースト ワンマイルとラスト ワンマイルのコアのデータをあまり持っていないのですが、スマートドライブさんは、我々が持っていないデータを簡単に取得できますよね。弊社が持っている、中長距離の高速輸送のデータと車両の走行データを掛け合わせることで、様々な課題を解決していけると思っています。

     

  • 【4月28日開催】誰でも無料で参加OK!Mobility Transformation Onlineの見どころを一挙公開!

    【4月28日開催】誰でも無料で参加OK!Mobility Transformation Onlineの見どころを一挙公開!

    昨年11月、虎ノ門ヒルズで開催した日本最大級の共創型モビリティカンファレンス「Mobility Transformation」は、約1500名が来場し大盛況のうちに幕を閉じました。そんな中、東京までなかなか足を伸ばすことができない地方の方々からの「地方でも開催してほしい」という多くの声を受け、どこにいても、誰であっても参加できるイベントへと進化を遂げようとしています。そこで今年はSchoo様とタッグを組み、オンラインでカンファレンスを開催します。この記事では、カンファレンスの詳細と見どころ、ポイントについて説明します!

    ポイント1.無料で参加できる

    開催日は4月28日10時から18時まで。モビリティに関する7つのセッションがなんと、生放送で行われます。
    参加方法はとても簡単。こちらのページからアカウントを登録し(FacebookまたはYahoo IDをお持ちのかたは連携可能です)、当日はこのページへアクセスいただくだけです。登録すれば、本カンファレンス以外にも知的好奇心をくすぐる濃厚な授業がたくさん楽しめますので、ぜひアカウント登録を!

    ポイント2.昨年同様に、業界の垣根を超えたさまざまなプライヤーが登場!

    参加する企業はモビリティ関連企業だけではありません。総合商社の住友商事さま、保険業の損害保険ジャパンさま、鉄道業界の小田急電鉄さま、CX(顧客体験)プラットフォームを提供しているプレイドさまなどなど、業界の枠を超えたクリエイティビティを大いに刺激するラインナップ。それぞれの講演において、どのようなイノベーションが起きるでしょうか?

    ポイント3.オンラインなので、誰でもどこからでも参加OK

    新型コロナウイルス感染拡大により、ここ数ヶ月イベントの自粛が呼びかけられています。しかし、ご安心ください。今回の開催地は“オンライン”のため、ネットが利用できればどこからでも参加できるのです。
    オンライン学習サービスとして有名なSchooとのコラボでオンライン生放送を実施することで、全国(全世界!)、どこからでも参加が可能ですので、ぜひ、あなたもご自宅から、リアルな現場の空気を体験してください!

    ポイント4.イベント終了後はイベントレポートで登壇内容をじっくり読める

    「仕事が忙しくて参加できない」「うっかり、見逃してしまった!」という場合も大丈夫。
    当日のセッション内容はすべてレポートとして公開しますので、後日、資料としてダウンロードしてじっくり読むことができます。昨年実施した「Mobility Transformation 2019」の濃密な内容がしっかり読み込めるサマリレポートは、こちらよりダウンロード可能です。予習・復習にお役立てください!

    ポイント5.具体的な事例や取り組みをたくさん学べる

    講演内容は基本的に構想ベースではなく、事例や実際に取り組んでいることがベースに話が展開されるため、今後どのように自社プロジェクトを進めていくべきかを考える数多くのヒントを得ることができるはず。多方面にわたる成功事例をインプットをして、ぜひ実のあるアウトプットを!

  • コロナ感染拡大の今こそ!医療×モビリティの未知なる可能性を考える

    コロナ感染拡大の今こそ!医療×モビリティの未知なる可能性を考える

    現在進行形で深刻化する新型コロナウイルスもそうですが、過去に猛威を振るったSARSや新型インフルエンザなど、本来病気を治すため存在するはずの医療機関が流行性疾患の温床・感染源の1つとなり、「悪意無きインフルエンサー」を生んできたのも事実です。そんな中、「オンライン診療」の必要性について議論が加速しています。電話やITツールを用いた遠隔診療と服薬指導にもとづき、処方薬を宅配するサービスも一部では登場しており、広く普及すれば院内感染リスク軽減につながると期待が集まっているのです。

    今回は、医療×モビリティそしてITをフル活用することでうっすらと見えてくる、コロナ問題終息への道筋とその可能性について検証しました。

    コロナの影響?進むオンライン診療

    バスや電車などの交通機関を乗り継いでかかりつけの病院に向かい、長時間、待合室で過ごしたあと対面診察を受け処方箋を持って薬局へ。この一連の流れによって、何十人いや何百人がコロナとニアミスするかは想像に難くありません。

    WHO(世界保健機関)によれば、新型コロナウイルスの感染力は1人あたり2~3人。インフルエンザより若干弱いという見解が発表されており、発熱やせきなどの症状が出ていない患者からの感染例は「極めて少ない」という研究結果も出ています。さらに、感染ルートは有症状者の咳やくしゃみを吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスが付着したドアノブ・手すりなどに触れた手で目や鼻などを触る「接触感染」の2つがあり、ウィルス排出量のピークは感染から「3日間」ということも判明。

    つまり、マスクを着用し、手洗い・うがいを徹底することに加え、感染者がいる可能性が高い場所、もしくは自らが「悪意なきインフルエンサー」になりかねない所へは、極力行かないことこそコロナを撲滅する唯一無二の方法と言えるでしょう。しかし、慢性疾患を持っている方は病院や薬局へ頻繁に通う必要があるため、どうしても感染リスクにさらされてしまいます。そうした緊急事態が契機となり、海外と比較して後れを取っていた「医療のオンライン化」が徐々に進みつつあるようです。

    オンライン診療が進んでいる理由1「コロナ問題発生と花粉症ピークとの一致」

    風邪やインフルエンザなど、ウイルスが呼吸器系(鼻・喉・気管など)に感染し炎症を起こす病気は、気温が低く空気が乾燥する1~2月に大流行することが多く、今回猛威を振るっている新型コロナもその例にもれません。一方、同時期に飛散のピークを迎える花粉が鼻の粘膜や目に付着し、アレルギー反応によって鼻水・鼻づまり、くしゃみや頭痛・倦怠感などを引き起こす花粉症で悩まされている方も多いはず。

    この花粉症による症状と、新型コロナ感染者の多くが訴えている初期症状が酷似していることから、「またこの季節がやってきたか…」と通院したかかりつけの耳鼻科・呼吸器科で、コロナの院内感染が発生した可能性を否定できません。また、感染しない・感染させないために役立つマスクが全国的に不足していることも、花粉症ピークとコロナ拡大タイミングがバッティングした大きな原因であるとみられます。

    そんな中、厚生労働省は今年2月28日付けで新型コロナウイルス感染への対応に関する「特例措置」として、柔軟なオンライン診療・服薬指導の運用を認める事務連絡を発表しました。特例措置の対象は慢性疾患を有する定期受診者で、具体的には診療計画が事前作成されていなくとも、利便性や有効性が感染リスクを上回ると医師が判断した場合、電話やIT機器による遠隔診療だけで、従来通りの治療薬を処方して差し支えないとしています。

    疾患は限定されていませんが、環境省が発行している「花粉症環境保健マニュアル2019」によれば、2008年時点での国内花粉症有病率は約30%に達し年々増加傾向にあることから、今や花粉症は3人に1人が悩む国民病ともいえるでしょう。あくまで単純計算ですが、仮に3割の花粉症患者が病院を受診した場合、1000万人以上の方が各地の病院に集まることになるため、早急に慢性疾患のオンライン診療および治療薬宅配サービスを拡充すべきだと考える企業が登場しました。

     

    • MICIN・・・オンライン診療アプリ「curon(クロン)」を運営しており、二次感染が不安な方に向けて慢性疾患のオンライン診療を受ける方法や、コロナウイルスのオンライン医療相談を受ける方法などについての情報を提供する特設ページを開設。
    • インテグリティ・ヘルスケア・・・オンライン診療管理システム「YaDoc(ヤードック)」を手掛ける同社代表・園田愛氏は、「重症化しやすい高齢者や持病を持つ方を感染源から遠ざける施策は極めて有効」としつつ、次段階として「患者への周知」が必要という考えを示しています。
    • メドレー・・・オンライン診療システム「CLINICS(クリニクス)」を運営する同社は、すでにオンライン診療を導入している医療機関を対象に、「新型コロナウイルスの感染防止において、オンライン診療は活用できると考えるか?」という緊急アンケートを実施。その結果93,7%の医師が「YES」と回答、うち9割がシステムの活用イメージとして、「ハイリスク患者への感染防止」を選択していました。

    いずれのサービスも対象は慢性疾患ですが、素人では判断できない花粉症患者のオンライン診療と治療薬宅配サービスが普及すれば、院内感染のリスクを大幅に軽減できることは火を見るより明らかです。奇しくも国民病である花粉症がきっかけとなり、新型コロナの大流行を封じ込める有効な施策として、オンライン診療に期待と注目が集まっています。

    オンライン診療が進んでいる理由2「医療行為のIT化と規制緩和」

    元来オンライン診療は、医療機関や医師不足が深刻な地方や公共交通機関の整備が行き届いていない地域でITツールを活用し、医師対患者の遠隔診療や医師対医師の情報交換を実施し、対面診療と同等の医療を提供することが目的です。オンライン診療は、IT技術の進歩と医療現場への普及により、受診者の状態を鮮明な映像と音源で医師がリアルタイムかつ正確に判断でき、併せて特定領域の専門医との連携も格段に円滑化されました。

    その結果、離島やへき地の患者など限定的な実施が想定されていたオンライン診療は診療例が増加し、この傾向が今般の新型コロナウイルスの感染拡大でさらに強まると考えられます。また、医師法第20条で「対面診療の原則」が定められていることを鑑み、厚労省はこれまでオンライン診療について慎重に進める姿勢を貫いてきましたが、2018年の診療報酬改定では、オンライン診療料、オンライン医学管理料、遠隔モニタリング加算などを新設。

    さらに、2020年の再改定ではオンライン診療に入る条件である事前の対面診療期間を、従来の6カ月以上から3カ月以上に短縮するなど、普及に向け一定範囲ではあるものの規制緩和が実施されました。加えて、新型コロナの院内感染による医療崩壊を防ぐべく、政府は受信歴がない患者でも初診からオンライン診療を認めると発表。今後はオンライン診療が受けられる医療機関のリストを作成して周知するほか、医療機関に支払う診療報酬の増額も検討しています。

    新型コロナウイルス感染が終息するまでの時限的措置となる見通しですが、これらの規制緩和をきっかけにオンライン診療が有効だというエビデンスが集積されれば、普及スピードが加速度的に増していく可能性もあるでしょう。

    進化する医療現場~医療×モビリティが描く未来とは~

    現在は、新型コロナウイルスによる感染拡大の終息が最優先のため、医療サービスの充実より緊急対策としてオンライン医療の普及が期待されていますが、AI・ロボット・画像認識など自動運転のコア・テクノロジーは、近年医療分野でも多く活用されています。この項では、地方医療サービス充実に寄与するであろう具体的な「医療×モビリティ」の実例をご紹介します。モビリティの最新トレンド・MasSが医療現場に実装された場合、どのような進化を遂げるでしょうか。

    フィリップス 医療×MasSを実現した「ヘルスケアモビリティ」の完成を発表

    (株)フィリップス・ジャパンは2019年11月、地方自治体の高齢化・医療施設・従事者不足・医療費肥大化などの課題解決を目指し、長野県伊那市・MONETとの協業で開発を進めていた医療機器搭載車「ヘルスケアモビリティ」の完成を発表しました。文字通り「動く診察室」であるヘルスケアモビリティは、以下のような機能を有し、2019年12月~翌年3月まで実施された実証試験も終了しています。

     

    • スケジュール予約機能・・・MONETの配車プラットフォームと連携しており、効率的なルートで患者の自宅などを訪問可能。(看護師のみ乗車、移動中アプリでの配車予約も可能。)
    • 診察機能・・・心電図モニター・血糖値・血圧測定器・パルスオキシメーターや、AEDなどの診察や医療行為に必要な機器を搭載。
    • オンライン診察機能・・・テレビ電話による患者への問診、看護師の補助による診察、医師から看護師へのリアルタイムで適切な指示などが可能。
    • 情報共有クラウド・・・医療従事者間の情報共有を目的に、車両に設置されたパソコンで患者の電子カルテの閲覧・訪問記録の入力・管理を行うことができる。

    期間中に証明したヘルスケアモビリティの有効性を踏まえ、地元開業医や中核病院との連携を通じ事業のモデルケースを確立させていくとともに、オンライン診療の高度化及び提供エリアの多様化を進め、国内外への展開を視野に入れているようです。

    横浜国立大学 ヘルスケアMaaSの拠点開設・運用開始

    横浜国立大学は、2019年11月開催された「YNU研究イノベーション・シンポジウム2019」において、ヘルスケアとモビリティを融合した新たな産業「ヘルスケアMaaS」の創出を目指し、湘南アイパーク内に研究拠点を開設すると発表、すでに運用を始めています。

    湘南アイパークは、武田薬品工業(株)が自社の湘南研究所を開放し、ライフサイエンスにおける最先端技術・知見を活用したアイデアを創出・実現し、“イノベーションの加速化”を目的に設立された学術研究施設です。同大学が進めているモビリティ研究と、湘南アイパークのイノベーションシステムを結びつけ、MaaSによって人と場所、ニーズとシーズ、課題と解決策などを一体化し、ヘルスケアの新たな価値を生み出すことを目指すとしています。

    課題は、モビリティとプラットホーム双方の研究・開発が不可欠であること

    前述した2例の他に、日立は患者宅へ医療機器を配送する「自動運転カート」の導入を提案したり、独・VW社は自動運転コンセプトカー「POV」の活用例としてヘルスケアを挙げたりするなど、各メーカーがこぞって医療×MasSに大きな可能性を見出しています。また、茨城県つくば市でもバス乗降時の顔認証による病院受付や、診療費会計処理サービスを可能とする医療MasSプラットホームの実証実験が行われるなど、産学官が一体となって医療MasSの仕組み作りに力を注いでいます。しかしオンライン診療が実用性と信頼性の高い医療サービスとして全国に普及するためには、さまざまなモビリティがITによってシームレスに連動し、効率よく便利に使えるプラットフォームを構築しなければなりません。

    「スマートドライブ×医療」での取り組み

    スマートドライブでは、高精度な車両管理システム「SmartDrive Fleet」を提供しています。導入いただいている業種は非常に幅広く、訪問診療や介護タクシーなど、医療関係の業界の事例も少なくはありません。安価かつ簡単に導入できることから、「まずは試してみようかな」「ITツールやサービスなどの新たな開発は難しいけど、まずはできることからはじめたい」というご担当者さまからも好評をいただいております。

    訪問医療において効率化を実現

    医療法人社団 杏月会 伊勢原駅前クリニックさまでは、患者さんの増加により、もともと運用に課題を抱えていた車両台数を増やすことに。台数が増えても管理者と訪問医療従事者との連携は必要不可欠であるため、さらに運用が煩雑になることを想定して導入を決意されました。

    診療中は着電があっても対応が難しいため、同クリニックの医師や看護師は車での移動時間を電話連絡の“ベストタイム”としていました。そのため、位置情報の見える化が何よりも重要だったのです。導入後はリアルタイムでどこにいるか、また、移動中であるかが把握できるようになり、オペレーションが円滑になったと言います。また、緊急時の対応も今まで以上にスムーズに。診療の効率化は1日あたりの診療数が増やすことができるうえ、最適な人員体制にもつながるのです。

    お客さまを安全かつ迅速にお迎えするために

    保険業を展開する有限会社One Upさまは、契約者に介護老人保険施設が多く、高齢者の送り迎えや交通手段に困っている利用者が多いと知って、少しでもスムーズな移動を手助けできるよう、介護タクシー事業をスタートしました。3台からスタートしたものの、需要が増えて現在は約20台が稼働。お客さまへのスムーズな配車とともに、従業員の安全管理と稼働状況の把握を目的として導入されたと言います。導入後はドライバーへの的確な安全運転対策が可能となり配車効率が向上。さらには、お客さまの希望を聞いた柔軟なサービスの提供にもつながるなど、良い循環ができあがっているようです。

    まとめ

    医療×MasSの取り組みは始まったばかりであり、健康というもっとも重要な分野だからこそ慎重かつスピード感を持って取り組みを進めて行くべきかもしれません。まずはできることから着実に進化して行くことが、効率化への近道だと言えるのではないでしょうか。

  • 車両管理システムを導入したら…現場のスタッフはこう思っている

    車両管理システムを導入したら…現場のスタッフはこう思っている

    リアルタイムでの位置情報が把握できたり、危険な運転挙動が発生した場合にアラートを出したり、自動で日報が作成できたりするなど、車両管理システムは非常に便利なツールとして認識されていますが、そこで唯一懸念されているのが、現場のスタッフから「監視されている気がして嫌だ」と導入に際して反発の声が上がること。スマートドライブマガジンでは今まで数多くの導入企業に取材を行ってきましたが、そこで聞こえてきたのは意外な意見ばかりでした。今回は実際に伺った現場での生の声や導入後の変化についてご紹介します。

    現役ドライバーのリアルな声

    「安全運転への意識が変わった。」フーディゾン・佐々木さま

    車両管理システムの導入はSmartDrive Fleetがはじめて。私は入社時から活用させていいただいていますが、安全運転診断は自分の運転をスコアとして客観的に見ることができるので、今まで以上に運転に気にかけるようになりました。ゲーム感覚でこまめに確認し、もっと安全運転しよう、この癖を直そうと、自分の中で振り返りができるようになったのも大きな変化ですね。
    運転が荒いと荷崩れしますし、急ブレーキを踏めば事故を誘発しやすくなる。そうした行為は業務効率を悪くする他だけです。一日の終わりにスコアとアラートがでたタイミングを確認し、低い点数だったら運転を振り返って、あそこでこういうことがあったから急操作をしてしまったと思い返して反省する。そうして同じことを二度繰り返さないよう心がけています。自身の安全運転に対する認識をさらに後押ししてくれるという意味合いで、毎日しっかりつかわせていただいております。

    ゲーム感覚で活用いただくことで、自分の運転スキルの向上を目指しているという佐々木さま。後輩ドライバーへの的確な指導も行えると、うまくご活用いただけているようです。

    「導入当初はネガティブなイメージだった。けど…」セガエンタテイメント・棟渡さま

    正直に言いますと、導入の話を聞いてはじめは“監視される”というネガティブなイメージを持っていました。しかし導入しても、いつも通りに業務にあたっていると何も気にすることはありませんし、逆に以前より安全を優先するようになったので良かったのではないかと。
    また、手書きの日報が不要になりましたので、業務時間が大幅に短縮できたのもありがたくて。手書きだと、記入漏れや記入忘れがたまに発生しますし、毎日、面倒だなあと思っていたんです。それが自動になったので無駄な時間がなくなり、本来の業務に時間を割り当てられる。非常に助かっていますね。

    導入当初は「監視されているみたいだ」と思ったそうですが、実際に使ってみると気にもならず、安全に対する意識も向上。ネガティブを払拭されました。さらに、安全運転イベントでは1位入賞という快挙!!しっかりと結果を出されていました。

    「安全を守るものだと認識しているので、気にしません」大阪デリバリー・藤原さま

    事前に「社員の安全を優先したいので、車両管理システムを導入します」と聞いていましたし、私自身も安全を守るものだと認識していますので、監視されているとは感じません。営業行動も今まで通りです。

    取締役副社長の木田さま曰く「監視は人件費もかかるし、非生産的な行為だと考えていますので、会社としては興味がない」とのこと。社員との強固な信頼関係によって、車両管理システムが上手く活用できているのではないでしょうか。

    「自分の運転が見直せるようになりました」あいホーム・伊藤さま

    自分がどこへ行き、どれくらいのスピードを出していたのかという情報が、全社員から見えるので、その点は意識するようになりました。SmartDrive Fleetは安全運転がスコアで表示されますので、自分の運転を見直す癖がついたようです。丁寧な運転をすれば素直に点数に反映されますし。車のイラストを中心に、加速、減速、ハンドリングがどこで・どの程度発生したのかが目で見てわかりますので、改善点をすぐ理解できるのもポイントですよね。

    現場のドライバーとして、前向きに活用いただいている事例です。使い続けることで、スコアをもっと上げたい!とポジティブな安全運転の啓蒙ができるようです。

    導入を決めた管理者からのリアルな声

    「毎日、運転の振り返りをすることで事故が減った」One Up・飯島さま

    「SmartDrive Fleet」の走行履歴で毎日、欠かさず安全運転の振り返りを行っています。最初の頃は、なぜ急ブレーキや急発進、急ハンドルが発生したのか分かりませんでしたが、ドライバーに問いかけることで管理側も原因と要因をはっきり認識できるようになりました。
    ドライバー自身も自ら「なぜ急操作が発生したのか」を考えるようになっています。あの時間、あのルートで急ブレーキを踏んだ。そこで、なぜ、急ブレーキを踏まなければならなかったのか。すると、「あの曲がり角近辺で、車が急に飛び出してきたからだ。あそこは少し見通しが悪いから危険だな」だと思い出す。そうすれば、次に同じルートを利用するときに、注意を払うようになりますよね。継続して振り返りを行っていると、危険な運転が発生したら、その理由を事前に覚えておこうという意識を持つようになるのです。

    急な動作をした理由が明確にわかれば、会社は社員という一番の資産を守ることができる。一緒になって理解し、考え、伝えることで、安全に業務を遂行してほしいーーそんな声が聞こえてくるようでした。

    「導入に関しては、意外とドライな反応でした(笑)」タープ不動産情報・三浦さま

    創業当時からアットホームな環境を大事にしているためです。

    〜〜当時からこうした取り組みを積極的に行ってきたため、社員との信頼関係がしっかりと構築されてきたのでしょう。車両管理システムの導入に対する反対の声はほとんどありませんでしたね。

    中には、監視されるのが嫌だとおっしゃる現場の方もいるでしょうが、それは観点が違うところにあるからです。最近ではどこのオフィスにも監視カメラが設置されていますが、これは社員を監視するために設置しているものではありませんよね。たとえば経理から「100万円が足りない」という報告があがったとしましょう。本当に単純な計算ミスかもしれないじゃないですか。こういう事態が発生したら、「誰かが盗んだのではないか」と真っ先に疑うのではなく、誰も盗んでいないことを証明するために活用すべきなのです。通信型ドライブレコーダーの導入についても同じです。

    三浦様がおっしゃるように、車両管理システムは監視することが目的ではなく、危険な運転を防止し、社員を守るもの。そして何かが発生した際に原因を突き止めるものです。現場と管理、両者間で意識をすりあわせれば、ポジティブなイメージを持って日々の業務に取り組めるのではないでしょうか。

  • 経費削減の特効薬!社用車の燃費改善ポイント

    経費削減の特効薬!社用車の燃費改善ポイント

    配送トラックや営業車など社用車を多く所有・使用している企業にとって、ガソリン消費量は大きなコスト。経営にも影響を及ぼすため、経営者や車両管理担当者は経費を削減するための改善策に試行錯誤している方も多いはず。ハイブリットや電気自動車へ買い替えるのが最も手っ取り早い方法ではありますが、いかんせん膨大な購入コストが発生するため、なんとかして現在使用している車両の燃費改善を進めていきたいところです。そこで今回は、保有台数・車種や会社規模に関わらず、すぐに実行できる社用車の燃費改善ポイントを伝授します。

    社用車の燃費を左右する要素

    企業が経費削減をすすめるうえで、社用車の燃費向上は非常に有効な手段の1つですが、まずは燃費の良し悪しを決めるポイントについて解説しましょう。ご存知通り、ガソリン車は燃料が爆発した時のエネルギーによって走行しますが、まったく同じクルマであっても下記で示す3つの要素によって、社用車の燃費が想像以上に変化します。

    1 総重量&クルマのタイプ

    車重・全乗員の体重・積荷の総重量が重いほど燃費は悪化し、HV・EVを除けばボディサイズと空気抵抗が小さくなります。そのため、全長・全高が短いクルマのほど、燃費性能に優れているのが一般的です。

    2 点検・整備・メンテナンス状況

    クルマは綿密な計算と設計の元で製造されている精密機械であるため、エンジンや足回り関連パーツになんらかの不具合が発生した場合にもガソリンの消費量が増加します。

    3 ドライバーの運転のクセと使用状況

    3つの中でもっとも燃費に影響を及ぼしかねないのがこの要素です。「急」が付く運転や駐車中の無駄なアイドリングは燃費を悪化させる原因となりますし、ストップ&GOを繰り返す市街地での走行が多いケースも、否応なくガソリンを多く消費します。

    自社が所有する全車両のタイプとメンテナンス・使用状況を正確に把握し、燃費悪化させる原因を1つずつ解消していけば、継続的・長期的な燃料コストの削減が可能になります。

    社用車の燃費改善ポイント1「無駄な積荷の削減&配車の最適化」

    社用車には配送する商品はもちろん、外出先で業務をこなすための事務用品・機器やノートPCなどといった通信モバイル、契約・交渉・打ち合わせに必要な書類から営業用の販促ツールまで、数多くの荷物が日々積み込まれています。

    業務効率とバランスを取りつつも、1度のルート巡回で配送できる量に積荷を調整し、配送以外の業務で車両を長時間使用する際は、時間や労力はかかりますがこまめに荷下ろしすることも燃費向上のポイントです。また、WEB上であらゆる事務処理を一元化・ペーパーレス化可能な、業務効率化サービス・ソフトを活用すれば、事務用品・機器や必要書類を軽量化することも可能です。即効性は望めませんが、長期的には燃料消費量の減少を実現できます。

    配車の最適化に関しては、たとえば単独で細かく移動する渉外営業部署は軽自動車を、長距離移動が多い部署は普通車をあてがうなど、工夫次第で全体のガソリン消費量を節約できます。さらに、活動エリアが重複or近い従業員を車両管理システムで抽出し、移動車両をまとめて稼働数を減らすという手も。また、車の買い替えとはいかなくても、使用状況に併せて転がり抵抗が少ない「エコタイヤ」を採用すれば、車両保有台数が多く年間走行距離が長い場合に、非常に大きな費用対効果を期待できます。

    社用車の燃費改善ポイント2「燃費向上に直結するメンテナンスの実施」

    細かい話をすれば、バンパーが少し変形しているだけでも燃費性能は変化しますが、影響が顕著なのは以下で示す3カ所です。まずはそれぞれ点検とメンテナンス頻度の目安を整理しておきましょう。

     

    • タイヤ空気圧・・・タイヤ空気圧はパンクなどの異常がなくとも自然に低下していきます。そのためそのままの状態で走行を続けると燃費悪化だけではなく、タイヤの寿命が短くなり、バーストのリスクも高まるため、給油時などに随時点検を実施してください。
    • エンジンオイル・・・エンジンオイルが劣化・減少すると、本来担っているエンジン内部の潤滑・冷却・密閉能力が弱まり、エネルギー効率・出力がともに低下、徐々に燃費性能が悪化します。ですので、充填量の確認・点検は1週間に1度実施しましょう。交換は4~5,000kmを目安とし、2回に1回の頻度でオイルをろ過する「オイルエレメント」も交換してください。
    • バッテリー・・・バッテリーが劣化すると充電効率が下がり、オルタネーターの作動時間が長くなるため、アイドリング時のエンジン回転数が増えて燃費が悪化します。バッテリーの点検頻度は1カ月に1回程度が望ましく、交換は使用状況によって異なりますが概ね2~3年ごとに行います。また、車が動いていない時間が長いと劣化スピードが速くなるので、多少のガソリンを使用しますが、毎日10分程度はアイドリングしたほうがトータルの維持コストが抑えられることも。

     

    さらに、燃費が大幅に悪化すると言われているエアコン(主に冷却)ですが、一般社団法人・日本自動車工業会が発行している「乗用車の燃費」によれば、エアコンをONにすると10%程度燃費が悪化するとのこと。

    実燃費15km/Lの車で3時間は優にかかる150km移動したと仮定すると、エアコンON・OFF時の消費燃料差はわずか1L程度です。今の市場価格(2020年3月23日現在)でいうと150円位とはいえ、多くの社用車を所有・多用している企業からすれば節約必死と言えるでしょう。とはいえ、炎天下の中、業務をこなす従業員へエアコンの不使用を促すのは健康衛生上望ましくありませんから、燃費の悪化を極力抑えるコツをお教えしましょう。

    燃費に優しいエアコン活用術1 エアコンオイルの点検&補充

    カーエアコンのガスは走行時の衝撃で自然に抜けてしまいますが、その際一緒にコンプレッサーを潤滑・冷却・密閉しているエアコンオイルも徐々に減少します。

    エアコンオイルが不足すると、コンプレッサーを作動させるのに余計なエネルギーが発生、エンジンオイルとほぼ同じ原理で燃費性能が悪化するため、シーズンインのタイミングでエアコンガスと一緒に点検してもらい、不足しているなら随時補充をしてください。また、コンプレッサーへの負荷を軽減し燃費を向上させる効果を期待できる、エアコン添加材も各メーカーから数多く販売されているので、運送・物流業界など夏場に長時間クルマを運転する業種の場合は、使用を検討するのも良いでしょう。

    燃費に優しいエアコン活用術2 車内に熱気を溜めない&車外への放出

    JAFの調査によると、真夏に1時間クルマを炎天下で駐車した際の車内最高温度は50℃以上に達するため、サンシェードを設置したり窓を少しだけ開放したりしておくなど、極力車内に熱気を溜めない対策を取りましょう。

    車両で移動する際は、窓を全開にしただけではなかなか温度が下がらないため、助手席側の窓だけをフロント・リア共に全開、その後運転席側のドアを数回大きく開閉してみてください。そうすれば、車内の温度がグンと下がり、エアコンが効き始めるまでの時間を大幅に短縮できるため、次に紹介する活用術の効果が一層UPします。

    燃費に優しいエアコン活用術3 使用開始時はフルパワーがおすすめ

    エアコンスイッチを「弱」にしていれば、「強」の状態より燃費が良いと考える方が多くいますが、スイッチによって変化するのはブロアファンの出力のみです。つまり、コンプレッサーは常にフル稼働しているため、強弱による燃費への影響はほぼありません。ですので、使用開始時は迷わずエアコンを最大にして素早く車内を冷やし、十分冷えたと感じたらエアコンをOFFにして「内気循環モード」へ変更すれば、燃費を悪化させることなく長時間、車内を快適な状態に保つことができます。

    社用車の燃費改善ポイント3「社用車の動態管理に基づくエコドライブ教育の徹底」

    前述したように、燃費を悪くする運転にはすべて「急」が付きますが、裏を返すと減速時はエンジンブレーキを可能な限り使用するなど、「一定速度を保ったスムーズな運転」を心がければ、会社全体の燃料コストはみるみるうちに減少を見せます。

    しかし、従業員のエコドライブ意識を高めていくのは最も難しい事でもあり、業務が多忙な中「急ぐな!」ともなかなか言えないのが現状です。

    そんな時に威力を発揮するのが、IT技術を活用した車両管理システムです。GPS車載デバイスから送信されるリアルタイムな動態データに基づき、効率的な移動ルート・ドライブプランを策定すれば、運転時間を短縮と燃費改善を実現します。

    また、同システムの多くにはドライバーの運転傾向をスコア化、管理者が常時確認できる「安全運転診断機能」が備わっており、燃費が悪化しやすい運転をしている従業員へ的確な指導ができますし、エコドライブ教育の材料にすることも可能です。加えて、稼働・メンテナンス状況の把握も容易になり、社用車を処分するタイミングやメンテナンスの遅れ・漏れなどを一目で確認することも可能なため、燃費改善はもちろんあらゆる面で経費を削減するための取り組みを、スムーズかつ確実に進めることができます。

    エコドライブは安全運転とイコールの関係にあるため、安全運転意識を高める啓もう活動がコスト削減にも繋がり、さらには交通事故を予防する効果まで期待できるのです。

    まとめ

    大幅な燃費改善を実現するためには、経営者や管理者が「燃料節約!」と声高に訴えるだけでは効果がなかなか出ないものです。燃費が悪化する要素を可能な限り排除したうえで、従業員に協力を求め、会社を上げて取り組みを進めていきましょう。ただ、保有台数に関わらずクルマを業務利用している以上、EVを除けば燃料コストを完全に無くすことは不可能なため、もっと大幅なコスト削減を目指すのであれば、一部の社用車をカーシェアやリースに転換するなど、燃費改善と別の切り口での経費削減対策も検討すべきかもしれません。