投稿者: sasaki

  • 【対談】地方こそITの力が必要だ―社会問題解決のカギは“掛け合わせ”にあり 後編

    【対談】地方こそITの力が必要だ―社会問題解決のカギは“掛け合わせ”にあり 後編

    前編ではAIとIoT、そして地方とテクノロジーの掛け合わせによる効果や可能性について、株式会社Cogent Labs(以下、コージェントラボ)の保科実(ほしな・みのる)さまにお話いただきました。後編では、さまざまな掛け合わせによってスタートアップが提供できる価値や社会的な意義についての話題に対談がさらに加熱。二人の熱い思いが詰まった後編をお届けします。

    より良い社会を描くために〜技術同士の掛け合わせ〜

    北川:「最近ではMaaSが話題になっていますし、色々な企業が取り組んでいますが、そもそもそこで暮らしている人たちが普段からどのように生活や移動をしているのかを理解しなくては、空振りで終わってしまいます。ですので、スタート地点に立つには、まず多くのデータを取得し、現状と問題点を理解することから始めなくてはなりません。」

    保科:「現在、車両に関する情報はOBD2で取得していますが、ゆくゆくは個人のスマホからすべての移動にまつわる情報が取得できるようになると思っています。その方が、車から電車・バスなどの公共機関、自転車などあらゆる情報を集めることができますし、動画や画像、もっといえば音声から入ってくるテキストの情報も活用できるようになります。そしてそれらのデータを統合することで、地域の見守りや買い物弱者を手助けする訪問販売、高齢者の安全運転支援など、今、生活するうえで問題となっていることが解決できるのではないでしょうか。

    今後、スマートドライブとコージェントラボで開発されていく技術を掛け合わせることができたら、より面白いことができるでしょうね。」

    北川:「現在、個人向けのサービスとして、高齢者の運転見守りサービス『SmartDrive Families』を提供しています。ここ何年も高齢者による交通事故のニュースが絶えませんし、そうした流れによって高齢者が危険運転をしていたら即時、免許を返納すべきだという風潮になってしまった。しかし、地方で暮らす高齢者にとって、車は買い物や病院へ行くために必要不可欠な移動手段であるほか、友達や仲間との集まりなど、行動範囲を広げて毎日を豊かに過ごすための重要なツールでもあるのです。

    そのため、急に運転をやめたことで引きこもりがちになり、認知症が加速してしまったというケースも少なくはありません。原因は、運転を辞めた事によって、見る・聞く・判断する・操作する、集中力と頭を使う作業が減ってしまうからです。いつかは返納すべき時がくるかもしれませんが、それでも生活の一つとして組み込まれたものをすぐに取り上げるのは酷なこと。普段の運転状態を見て、異変がないか、今どこにいるのか、急操作がどれだけ発生していたか、家族が総合的に見守り、運転を客観的に判断できるサービスが必要だと思い、開発をしました。

    今後は、車以外でのさまざまなデータを総合的に取得・分析して、一般のユーザーにベネフィットを提供していきたいと思っています。」

    保科:「最近はスマート家電が一般化され、ヒトとIoTとの接点がますます増えてきましたよね。デバイスはさらに多様化していくでしょうし、そうすることでより多くの情報を集めることができるようになります。それを元に、今複雑で解決できない問題があっても、近い将来、解決できるようになるのではないかと思っています。そういう所に私たちのテクノロジーを活かすことができればありがたいですよね。」

    パートナーエコシステムが社会的な価値を増大させる

     

    北川:「コージェントラボの事業でTSF (Time Series Forecasting)という予測エンジンがございますが、潜在的なリスクを発見することも可能なのでしょうか。」

    保科:「今のTSFのアルゴリズムだけでは難しいかもしれませんが、そのアルゴリズムに様々データをうまく掛け合わせ、最適化していけば、IoTから入ってくる情報で人の行動予測も行えるようになります。」

    北川:「スマートドライブでは、日常の運転データから行動分析を行っていますが、他社との連携によってさらに枠を広げていきたいと思っています。たとえば、家電の利用状況から『毎日この時間に出かけていたのに、最近出かけなくなった』とか『テレビを●時につけたままだ』といった情報がわかるようになると、異変や健康の変化にすぐ気付くことができる。それが、地方で暮らすひとりの高齢を守るための術になるのではないかと。」

    保科:「地方では、企業や自治体が防犯や安全確認を目的とした見守り事業やネットワークを拡大していますし、超高齢化社会に突入しているため、今後も需要は増え続けるでしょう。現在の一般的な見守りサービスは、買い物や宅配荷物を届けるためにお宅へ訪問した際、『体調はどうですか』と声をかけるというものがほとんど。そのほか、異変に気づいたら区や市町村へ連絡するなどありますが、あくまでそれは目の届く範囲でできることに限られます。

    今までは可視化できなかったような情報をビックデータとして分析し、誰にでもわかりやすい形で可視化されるようになれば、老若男女、地方で暮らす、すべての人にとって生活しやすい環境が整備されていくかもしれません。

    少子高齢化、人口減少など多くの問題を抱えながらも、地方の企業が、私たちが提供するようなテクノロジーを活用して効率的に仕事をこなし、継続的に経済活動を行えるような基盤を作る。そうあるべきだ、そうでなくてはいけないと奮闘している地方の企業様も多くいらっしゃいます。彼らを支えるためにも、私たちが持つ最先端のテクノロジーやサービスが地域や社会に貢献できることはまだまだあるはずです。

    ただ、これらの社会問題は根が深く非常に複雑です。地方の一社のみだけで解決できるものではありませんので、パートナーエコシステムという形で互いに協力とフォローができる仕組みを築いていきたいですね。そうすれば、私たちコージェントラボが提供できる価値がより社会的に意味のある価値へ変わっていくと思います。」

    北川:「“組み合わせる”ことが重要ですよね。私たちが解決できることと、地方の企業や人ができることを掛け合わせれば、必ずどこかで100になりますから。スタートアップのいいところは、特化している分野を持ちつつ、柔軟性や機動性があるのですぐに動き出せることですし。」

    保科:「ゴールは地方にカッティングエッジなテクノロジーであるIoTやAIを浸透させ、根付かせることです。

    こうした新たなテクノロジーは、資本のある大企業が活用して磨かれていくことが多いのですが、ある程度磨かれたら、そこから先は中小企業や地方の企業・人が普段の生活や仕事の中で当たり前のように使えるようにならなくては意味がありません。私たちもまだ道半ばですが、10年後には当たり前だよねと言えるようにしたいですし、そこを目指しています。」

    スタートアップとスタートアップの協業はポジティブ効果を生む

    北川:「競合する部分もあるからか、実はスタートアップ同士でもコラボレーションを避ける企業は少なくありませんよね。しかし、たとえ被るところがあっても、コラボレーションによって提供できる価値が3倍になれば、仮に取り分が半分になっても1社で提供するよりも、結果はポジティブになるんです。それぞれが強みやできることを持ちより、コラボレーションしていけば、みんなの力でもっと地方の課題を解決できるはず。そういう風潮がもっと広がっていってほしい。」

    保科:「私たちがまず一番に考えるべきは、お客様にどんな価値を提供できるか、この先、何を提供できるかということ。それを念頭に置いたうえで、スピード感とスケーラブルを維持するためには、競合云々ではなくエコシステムが重要なのだと気づかなくてはなりませんしね。」

    北川:「スマートドライブが提供しているサービスは、まだ市場が開拓しきれていませんので、競合ではなく協業していくべきだと思っています。」

    保科:「最近は大手企業でも、争う競争ではなく、共に創る”共創”という考え方へとシフトしつつあります。今までと違い、自社だけですべてを完結するAll in Oneのパッケージではなく、テクノロジーの進化や可能性に追いつくためにも、尖ったソリューションと連携しながらバリューを出す方へと意識が傾いているんです。スタートアップではできないことを大手企業とも手を組みながら広げていく方がリアリティがありますし、課題を解決する最短ルートになると思うんです。」

    北川:「保科さんのように、既存のパッケージソフトをクラウド化することを推し進めてきた方が、現在、スタートアップ企業でそうした流れを作ってくださると、本当の意味での産業が立ち上がっていくのではないでしょうか。」

    保科:「ありがとうございます。日本国内のスタートアップは、欧米や他の先進国と比べてポテンシャルを発揮できていないというのが一番の課題。本来であれば、そこで成功をしてどんどん海外に出て活躍してほしい。私個人としては、そのサポートが少しでもできればと思っていますし、それがやりがいだと感じるところです。」

    北川:「そういう点でも、今まで数々の企業で実績を残されてきた保科さんが、スタートアップ側の立場に来て頂けるというのは、非常に意味があることだと思っています。」

    スタートアップの成功者が次の成功を導く。成功の連鎖を作ろう

    北川:「最後に、スマートドライブに対して期待することやご要望はございますか?」

    保科:「先ほども触れましたが、国内のスタートアップを活性化させるには、もっと多くの成功事例が立ち上がっていかなければなりません。そして、その成功体験をもとに、成功者が次の世代のスタートアップをサポートするという循環を作り、日本でスタートアップが創出しやすい環境を作っていただきたいですね。

    たとえば、経験はないけど、強い思いを抱いて起業しようと奮起している経営者の卵がいるとしましょう。そうした方がいたなら、資本だけで支援するのではなく、彼らの意志や思いが確実に成功を掴めるまでサポートできるような体制を作ることの方が大事なんです。それは人的なサポートかもしれませんし、経営に関するアドバイスかもしれませんが、そういったサポートができる人がスタートアップの成功者から出てくればいいなと思っていますし、その一人になってほしいと思っています。」

    北川:「そこを目指して、まずはスマートドライブががんばります。また、その話を聞いてパッと思い浮かんだのですが、海外の経営者を見ていると、ビジネスで成功したお金を社会に還元するなど、単純なベンチャー投資だけでなく多方面にアクションを起こしている印象があります。」

    保科:「セールスフォース・ドットコム(以下、SFDC)には、スタートアップに投資するSalesforce Venturesがありますが、ベンチャーが成功していくための経営のノウハウや社内システム、アライアンス等のサポートをしています。アメリカで言うエンジェル的なサポートをしていくことで、成功の循環を作っているのです。SFDCもオラクルも、会社の立ち上げ時にはそういうサポーターがいたからこそ成功しました。だから今、サポートの立場にいる。日本でも同じように、資金だけでなく、成功者が経験も含めてサポートしていけるような環境を作りあげたいですし、そういう志を持った人を支援していきたいですね。

    これからデバイスはもっと多様化していきますし、IoTやAIに特化した企業や新しいビジネスモデルを考えている企業をサポートしていく。スマートドライブと北川さんにはその先駆者になってもらいたい。期待していますよ!」

    北川:「まだまだ成功には程遠いですが、まずは私自身がしっかり努力をして、次のスタートアップや世の中に還元できるように頑張ります!本日はありがとうございました。」

     

  • 移動データがマーケティングに役立つ?最新マーケティング事情

    移動データがマーケティングに役立つ?最新マーケティング事情

    一度しか訪れたことがないサイトなのに、別サイトに行ってもなんども以前一度だけ訪れたバナー広告が出てくる…。日々スマホやPCを利用している方であれば、このような経験をしたことがある人は少なくないでしょう。

    「リスティング広告」と呼ばれるこの手法は、ユーザーの閲覧履歴や検索履歴やプロフィールなどを取得・分析し、自社商品の「購買層」をターゲティングして広告配信するもので、ECはもちろんリアル店舗を展開する企業も多く採用しています。しかし、売買契約がネット上で完結するECならばともかく、ユーザーを来店行動が直接売り上げにつながるリアル店舗の場合、もう一歩進んだPRや広告で誘致させなくてはなりません。そうしたリアル店舗がその問題を解決するカギとなるのが、移動データ(動態データや位置情報)の活用です。

    ヒトの行動がマーケティングを変えていく?O2Oソリューションとは

    なぜ単純にリスティング広告を配信するだけでは、リアル店舗の集客力向上へ直結しないのでしょうか。それはリスティング広告によって集積・分析されたデータがネット上での行動に留まることがほとんどで、実店舗へ誘導するパワーが乏しいためです。EC市場が拡大し、家にいながら仮想店舗に訪れ、いつでもどこでもどんな商品やサービスも買えるようになった今、わざわざ時間と交通費をかけてリアル店舗へ向かう必要性がないと考える人も少なくありません。そのため、小・中規模の小売店は廃業を余儀なくされるところも増えています。

    大規模チェーンでも不採算店舗の撤退が相次ぐなど、リアル店舗型商店の苦戦は顕著となっており、旧態依然とした「一方通行」の宣伝手法だけでは売り上げには直結しづらくなっているのです。

    では、リアル店舗の集客につながる有効な宣伝手法とは何かを考えてみましょう。理屈だけなら至ってシンプルです。実店舗の近くに存在する見込み客へ、タイムリーかつ趣向に合った商品のコマーシャルを打てばいいのです。問題はその先にある、宣伝広告を無駄にせず、確実に顧客を取り込む手段です。しかし、そこでどのような施策を打てばいいのかと、深く考えすぎる必要はありません。

    企業側から一方的に配信されるリスティング広告を、強い集客能力を有するオフラインtoオンライン(以下O2Oと表記)へアップグレードするメソッドを握るのが、移動通信媒体によって集められた移動データです。

    以前は、インターネット接続のほとんどが据置デスクトップPCでしたが、現在では「ヒト」とともに移動する、スマホ・タブレット・ノートPCが当たり前のように所持されるようになりました。これらのデバイスにはGPS位置情報やSNS投稿履歴、購買履歴、閲覧が多いページなど、ユーザーのリアル行動データが蓄積されています。

    そして、移動通信媒体に蓄積された詳細かつ膨大なデータを吸い上げ、ユーザーが「いつ・どこで」電車を乗降して寄り道するのか、またはまっすぐ帰宅するのかなど、考えうる生活パターンをプロファイルし、広告アドテクノロジーに活用するのがO2Oソリューションです。

    リアル行動データと位置情報によってもたらされるメリットと価値

    O2Oソリューションの目的は、WEB広告による集客力アップ、つまりオンライン→オフラインだけではなく、「to」が用いられているように、両者を双方向的にマーケティングに役立てることです。

    リアル行動データと位置情報、そこにオンライン上の行動データを組み合わせて分析すれば、タイムリーかつ自然な広告配信が可能になります。事実、ジオ・フェンシング技術により配信トリガーとしての位置情報を企業へ提供するサービスもあります。それは、スマホの位置情報を活用した広告配信技術で、ユーザーの「現在位置情報」と「過去位置情報」を利用でき、今まさに自店舗の周辺にいるユーザーへクーポンや新着情報などを配信するなど、効果が高いと思われる広告を配信できるサービスです。

    ただし、ユーザーの位置情報を利用するにあたっては、当然ながら個人情報の取り扱いに細心の注意を払わなくてはなりません。ほとんどの消費者が位置情報の取得とそれを活用したサービスについて容認している傾向にありますが、重要な個人情報であることには変わりありませんし、万が一自分が求めない状態で個人情報に紐づいたサービスへの誘導があったらどうでしょうか。企業は信用を落としてしまうかもしれないのです。

    2014年5月に総務省がまとめた「位置情報の利用に対する意識調査」(18~69歳の男女・計1,600サンプル)によると、位置情報を提供し何らかのサービスを利用している人は32.8%、メリットがあれば「条件付きでOK」と回答したユーザーは、全体の65%を占めていました。情報提供サービスのセキュリティー向上や、運営企業のコンプライアンス意識の高まり、そしてリテラシーが高いデジタルネイティブ世代の増加に伴い、位置情報利用に対するユーザーの容認傾向はさらに強まっていくと考えられますが、その分、企業は万全のセキュリティ体制を整えるべきだと言えるでしょう。

    動態データや位置情報をマーケティングに活用している具体例

    ここからはO2Oソリューションによって実際にどんな効果があり問題点が存在するのかを理解するために、具体例を紹介しましょう。ここでは、いち早くO2Oを意識して位置情報マーケティングに取り組み、一定の効果を得た企業を2社紹介します。

    ポイントは広告配信方式の併用と範囲「サッポロビール」

    国内ビールメーカー大手のサッポロビールでは、夏季限定で運営しているビヤガーデンの集客に位置情報を活用し、一定の効果を得ることができたといいます。キャンペーン成功のカギを握っていたのは、広告配信方式の併用と範囲の設定にあるようです。まず、配信方式ですが同社は位置情報をもとにした広告配信を2パターン併用したことにより、以下の1による即効性と2によるリピート率の向上を同時に図ることができたといいます。

    1.リアルタイム配信・・・会場周辺を通っているタイミングでのタイムリーな配信が可能。アピール力は高めだがユーザーがどんな頻度で、配信エリアを通行しているのかわからない。

    2.ヒストリカル配信・・・過去データの平均値などにより、開催エリア周辺勤務者・居住者を特定し、広告配信する方式。

    広告の配信エリアはビヤガーデンという店舗形態を鑑みて、ユーザーが気軽に徒歩で移動でき、立ち寄りへの抵抗を持ちにくい「2,5km半径」を設定。そこへさらに、ユーザーが友達や仲間と集合の相談を行いやすい「正午前後と16時以降を中心に配信」と配信時間を設定し、ユーザーの行動を細かく、しっかり捉えた配信方法で実施されました。さらに、広告クリエイティブの面もビヤガーデンで提供される「サッポロ・黒ラベル」のブランディングにこだわりすぎず、ビールと一緒に食べるものを載せたり、男女2人のデートバージョンにしたりなど、ブランドイメージを抑えたものを採用。

    もっとも効果が高かったのは「土日は新宿で‥」というように、具体的な曜日・場所を入れたクリエイティブで、ビアガーデンのように開催地・時間が限定的な場合、「いつ・どこで開催されているのか」という、ユーザーが知りたいポイントを明確に伝えることで集客効果を向上させた事例だと言えるでしょう。

    AI+ビックデータで来店回数4割増!「トライアル」

    福岡県に本社を構えるトライアルは、リーズナブルな価格設定を武器に約230店舗を全国展開する大手小売りチェーン。創業期は主に流通業向けITシステムの開発を手掛けており、現在でも関連子会社を所有・運営しています。そんな背景から、画面に表示された2次元バーコードを、専用ゲートの読み取り機にかざすだけでレジ会計・決済が完了する、タブレット端末付きスマートレジカートを導入するなど、現在の主力ビジネスである小売業へのIT技術導入も積極的です。

    トライアルは、かなり早い段階から位置情報を用いたディスプレイ広告配信を実施し、一定の成果は出ていたようですが、同社がメインターゲットに据える44歳以下の来店頻度向上にはなかなか結び付いていませんでした。

    広告効果の上がらない原因が、3~5km圏内に設定した商圏セグメントへの限定配信にあると考えた同社は、商圏外に存在する有力なリピートユーザーを掘り起こすべく、サイバーエージェントのデジタル集客プラットフォーム「AIR TRACK」の採用を決めたのです。

    AIR TRACKでは、膨大なユーザーデータをAIで分析してユーザー行動をパターン化し、商圏セグメントを超えても来店や購買の見込みが高いユーザーへの拡張配信が可能です。広告クリエイティブは、トライアルの強みであるリーズナブルな価格設定をアピールしたうえで、シンプルかつ煩わしくない表現が意識されています。

    その結果、同社がKPIとしていた来店者数は、広告非接触ユーザーよりも広告接触ユーザーのほうが平均7%高い数値となり、来店回数に関しても約4割上昇したため、かなりの成果が出たと評価できます。

    まとめ

    もし、あなたが付き合いのあるガソリンスタンドの経営者から、「洗車客を増やしたいが人出が足りない、効果的なポスティング方法はないか」と相談されたら、どう答えるでしょうか? この質問に関する答えはいくつも考えられますが、たとえば一つの案として「ユーザーの自宅周りで洗車スペースがなかなか確保できないマンションや団地に焦点を当て、広告を打ったりチラシを投函したりしてはどうだろう」とすぐに対応できる対策が考えられるでしょう。

    今回解説したIT技術と移動データを用いたマーケティング手法からすると、至ってアナログで原始的な方法ではありますが、潜在的な見込み客が集まりやすく、そして多く存在するであろう場所にピンポイントで販促するという点でみれば、両者に違いはありません。

    動態データや位置情報をマーケティングに活用すれば、新規来店者やリピート客の創出だけではなく、人件費・労働時間の削減など業務改善への寄与も期待されます。業種や事業規模にあったオン・オフラインをうまく活用したO2Oソリューションが、今後はさらに普及されていくことでしょう。

  • 【対談】地方こそITの力が必要だ―社会問題解決のカギは“掛け合わせ”にあり 前編

    【対談】地方こそITの力が必要だ―社会問題解決のカギは“掛け合わせ”にあり 前編

    都心部と比較して、人口的にも経済的にも大きな差がひらいている地方の都市。地方の過疎化を防ぐために、国も大々的に地方創生という言葉を掲げ、各企業や地域も地方活性化に取り組んでいます。だからといって単純に地域を盛り上げたり、急成長を押し上げたりするのではなく、本来目指すべきはそこに暮らす人々が持続可能な生活環境を整えることです。それを実現するために、重要なカギを握るのが「IT」と「スタートアップ」。今回は大企業での華麗な経歴を持ちつつ、2019年にスタートアップ企業へ転身を遂げた、株式会社Cogent Labsの保科実さまをゲストに、ITを地方でどのように活用すべきか、スタートアップが地方活性に対してできることとは何かを対談させていただきました。

    対談相手:株式会社Cogent Labs(以下、コージェントラボ)保科実(ほしな・みのる)さま

    大手企業からスタートアップへの転身

    北川:「この度はインタビューのお時間をくださり、誠にありがとうございます。まずは保科様とコージェントラボについて、簡単にご紹介いただけますか。」

    保科:「現在、コージェントラボでCRO(チーフレベニューオフィサー)を務め、営業、アライアンス、インサイドセールスなどを統括しています。コージェントラボに参画するまでの経歴を簡単に述べますね。

    1984年、日本ディジタルイクイップメント株式会社(DEC)に入社し、エンジニア職としてスタートしました。その後、日本オラクル株式会社で新規領域製品のビジネス開発を担当し、2008年に株式会社セールスフォースドットコムへ。アライアンス、セールスエンジニア、コンサルティング、サポートなど、専務執行役員として多岐に渡る部門を統括。都心部だけでなく地方のお客様も担当し、地方のビジネス拡大を推進してきました。2019年より、これまでに蓄積してきた知識と経験を生かし、次なるステップとして日本のスタートアップ企業で一緒に成長しようとコージェントラボにジョインしました。

    コージェントラボでは、現在3つの事業を軸にサービスを展開しています。一つは、手書き書類をAIでデータ化する『Tegaki(テガキ)』。手書き文字の認識率99.22%*で、データ入力作業の効率化とコスト削減を実現するコージェントラボの主力製品です。二つ目が、自然言語理解エンジンの文書検索システムの『Kaidoku(カイドク)』です。

    そして三つ目が、時系列データをもとに株式出来高などや為替を予測するTSF(Time Series Forecastingタイムシリーズフォーカス)。いずれも多様なエンジニアたちが最先端の技術を取り込みながら製品を開発しています。お客様の課題に対するソリューションを、最先端のAI技術を活用してエンドtoエンドで提供できる会社はなかなかないと思っていますので、その強みを活かして、幅広いお客様の課題解決に積極的に取り組んでいます。」
    *Tegakiの認識率は常に99.22%を保証するものではありません。

    効率化や生産性の向上…AIやIoTができること

     

    北川:「まずは、読者の理解を深めるために、AIやIoTで実際にどんなことができるかを事例とともに教えていただけますか?」

    保科:「今回のテーマにもなっていますが、地方にまつわる事例を2点ご紹介させてください。

    まず一つ目が、手書き書類をAIでデータ化することができる『Tegaki』について。これは、人が今まで手作業で行ってきた労働集約型の作業をAIがサポートすることで、コストの削減や作業の効率化を実現するサービスです。

    より高度な業務、そしてより重要な対面コミュニケーションに人々が注力できるよう、労働集約型でひたすらパソコンで書類上のデータを打ち込むような作業を効率化するソリューションとして提供させていただいております。現在、地方の自治体や製造、流通、サービス、地方銀行などで幅広くご利用いただいています。特に地方では人口の大幅な減少によって働き手が不足していますので、うまく活用いただくことで業務を効率化し、残業をなくして生産性を向上させたりといったことをサポートさせていただいています。

    二つ目は、多量のテキストデータを分析して戦略構築に活かす、『Kaidoku(カイドク)』です。鎌倉市での事例では、市民に配布したアンケートの結果や、TwitterなどSNS上でつぶやかれている鎌倉市をキーワードとしたツイートデータを集め、分類・分析を行って市政に活用しています。SNSの投稿は膨大な量のデータになってしまうため、すべてを人手で分析することは困難であるため、今までは貴重な市民の意見を十分に吸い上げることができなかったそうです。しかし、『Kaidoku』の導入によって、従来では見落としがちだったリアルな声を吸い上げることができ、それによってさまざまな意見やニーズが見えてきました。

    たとえば、鎌倉市への移住を考えている方が他のどの都市と比較をし、何を検討材料にしているのか。インバウンドを含めた観光客の方は、よく京都と鎌倉を比較されますが、両都市の何をどう比較しているのか。観光で鎌倉を訪れた人は、どこが良いと、またどこが悪いと感じたのか。SNSから拾った声とアンケート結果を重ね合わせて見ていくと、さらに深いインサイトが見えてくるのです。鎌倉市は歩道が狭くて歩きにくいなどの課題が浮き彫りになり、移住者を増やすためにはどのような改善を優先的に進めるべきなのかなど、具体的な施策へとつなげることができるようになります。」

    北川:「私たちスマートドライブが提供している『SmartDriveFreet』も、一部の地方自治体で活用されていますが、データを蓄積して分析を行うことで住民の方たちがどこに行き・どこに集まりやすいのかといった情報が明確になっています。しかし、これらのデータは取得・分析するだけでなく、課題を抽出し施策へとつなげることが重要です。地方自治体でも、MaaSという文脈であっても、課題解決という軸で考えると、AIとの掛け合わせが今後は重要になってくると考えています。」

    IoTのあるべき姿、テクノロジー本来の価値

    保科:「そもそも、IoTで目を向けるべきは、デバイスを活用するユーザー自身を把握することです。IoTをユーザーと製品・サービスを提供する企業との架け橋として活用し、企業はユーザーに対するサービスや利便性をどう向上させていくかを考えなくてはなりません。

    スマートドライブの場合、提供しているデバイスから移動にまつわるさまざまなデータが取得できますよね。そうすると、今後は移動を含めた行動パターンのデータを、さまざまなサービス開発に活用したり、ユーザーにとって有益な情報に変換して提供するなど、幅広いシーンで活かすことができると思います。

    先日、とある自動車メーカーの方もおっしゃっていましたが、車を所有する時代から利用する時代に変わりつつある今、車を売って利益を得るというビジネスモデルは今後ますます減っていくでしょう。そしてこれからは、ユーザーが利用するサービスやサポートで対価を得るビジネスモデルへとシフトするだろうと。ならば、自動車メーカーはどのようにしてお客様へ価値を届けていくべきでしょうか…? それは、地域に関係なく移動に関するすべての情報を集め、それらのデータをベースにしたビジネスを展開することです。そうした動きが本格化していくと、スマートドライブが提供しているIoTデバイスから入ってくる情報とAIとの掛け合わせが非常に意味のあるサービスへと昇華していくのではないかと思います。」

    北川:「整備されていない、または効率化されていない部分を、テクノロジーの力でフォローしたり解決したりできることはまだまだたくさんありますし、私たちもそこをもっと追求していきたいです。」

    保科:「ただ、ユーザーとの距離が近くなれば、セキュリティ問題も合わせて考えなくてはなりません。インターネットの利便性の裏には常に情報漏えいなどの危険性が潜んでいますが、取得する情報が個人レベルになればなるほど、当然のごとくセキュリティの強化が必須です。一方で、セキュリティ問題については技術と運用の両面から解決していくべきですが、それがストッパーになって動きが止まってしまうと本末転倒です。常に新しい領域に踏み込み、挑戦して、メリットや利便性を追求すること。それが、スタートアップ企業の使命ですから。」

    北川:「おっしゃる通りですね。ちなみに、都心と地方とで、そういうマインドの部分に違いはあるのでしょうか。」

    保科:「今までの全国各地のお客様のところへ行き、会話をさせていただいたうえで述べますと多くの方々が、地方の活性化は日本経済におけるナショナルイシューだと認識しています。だからといって、地方の急激な成長は誰も望んでいませんし、期待もしていません。継続できる、持続可能な生活環境の維持こそが地方創生に重要なことなのです。

    全国で広がる少子高齢化や都会への人口流出で地方の過疎化が進んでいますが、地方こそ、さまざまな新しい技術を取り込んでいかなければ、継続的に暮らしやすい環境を作ることは難しいでしょう。地方の経済やビジネスに貢献しようとしている地方の金融機関や自治体、企業も共通の認識を持っていらっしゃいます。ですので、今後ますます地方のIT化が加速していくはずです。」

     

    さまざまな可能性を秘める地方とIT

    北川:「私たちも地方に拠点を構えているお客様からそうした課題感を伺うことがありますが、みなさん新たなテクノロジーに対して非常に敏感ですし、情報感度が高い。都心部よりも勉強熱心と言いますか…。それはやはり地方の課題解決のカギがテクノロジーであると理解されているからだと思います。そのため、地方から出てくる事例も少なくありません。」

    保科:「日本有数の大企業が、競合他社が大勢いる中で自社の優位性を維持するためにさまざまテクノロジーを活用する事例は増えていますが、社会的に役立ったという事例は地方の方が多い気がしますね。」

    北川:「営業や配車など、地方のお客様にとっては、車両はなくてはならないツールの一つです。車両との密着性が高いため、同じスマートドライブのデバイスをご利用いただいていても、事故の削減や、業務の効率化についてより大きな効果が出ています。ちなみに、鎌倉市以外の地方で、コージェントラボ社の別事例がございましたら教えていただけますか。」

    保科:「京都府の舞鶴市などでもTegakiをご利用いただいています。また、地方の場合、営業マンの外回りが多かったり、営業所が分散していたりするので、業務効率の向上を目的に『Tegaki』を導入される企業様も多くいらっしゃいますね。

    手書き入力という労働集約型のアナログ作業から、AIを取り入れたデジタル作業に切り替えることで業務時間が大幅に短縮できるため、残業が減って従業員がワークライフバランスを保ちやすくなったなど、ポジティブな声を多く頂戴しております。」

    北川:「地方ですと、営業に出向く際に車はマストです。ただ、会社を離れた後のスケジュール管理は自己申告だったりしますので、経営や管理側の視点で言うと『本当にこの時間に営業に行っているのかな』という心配が生まれやすいんです。

    その小さな不信から従業員に直行直帰をさせず、わざわざ出社と帰社を命じ、手書きの日報を作成させる…それは営業マンにとっては大きな負担ですし、時間の無駄でしかありません。本来の仕事に集中するためには、業務プロセスそのものを変えるべきですが、『SmartDriveFreet』は、リアルタイムでドライバーの移動情報が取得できますし、コメントいれるだけで日報になりますので、一日のうち1時間ほど、時間の節約ができるようになります。ここに『Tegaki』を掛け合わせることで、さらなる業務効率化が叶うのではないでしょうか。」

    保科:「私は、AIは生産性や効率化を推進するもので、IoTはデバイスとユーザーを繋ぐことで利便性の向上させるものだと思っています。AI × IoTの掛け合わせによって、地方に役立つポイントやアイデアがより多く生み出せるようになるのではないでしょうか。」

     

    >>後編へ続く

  • 【MaaS基礎知識】MaaSに関する用語まとめ

    【MaaS基礎知識】MaaSに関する用語まとめ

    近年の新たな移動の概念として話題になっているMaaS。MaaSが話題の中心にあるとき、聞いたことがあるような、聞きなれないような用語が飛び交っていると感じるかもしれませんが、モビリティ革命真っ只中の今、これらの話題についてしっかりと理解を深めるためには、それぞれの用語について意味を予習しておくことが大事です。

    ここではMaaSにまつわる用語をまとめ、詳しく解説しました。ぜひ、ご活用ください!

     

    MaaS

    Mobility as a Serviceを略した言葉で、そのまま直訳すると「サービスとしての移動」という意味になります。一番身近な乗り物である自転車をはじめ、自家用車、電車、バス、タクシー、航空機に至るあらゆる交通手段を一貫した“移動手段”として捉え、すべてを包括するサービスを一サービスとして提供するという、今までにはない次世代の概念です。

    国土交通省が発表している定義は、「ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)をひとつのサービスとして捉え、シームレスのつなぐ新たな移動の概念である。利用者はスマートフォンアプリを用いて、交通手段やルート検索を利用し、運賃などの決済を行う例が多い。」とされています。

    現在、世界各国で発達中のサービスであるため、先行する海外においても定まった定義はなされておらず、国や研究者によって内容や範囲に違いがあるようです。

     

    MaaSオペレーター

    地図データや各交通事業者の運賃、運行情報、取引データなどのデータ交換を可能にする共通のサービスAPIをクラウド上で構築し、統合的に組み合わせる統合サービス事業者のこと。つまり、電車・バス・タクシー・カーシェア・自転車など、数ある移動手段から利用者のニーズに合わせて最適な交通手段を組み合わせ、シームレスなモビリティサービスを提供する事業者を指します。

    現在該当するのは、フィンランドの首都・ヘルシンキ発のMaaSアプリ「Whim(ウィム)」を提供しているベンチャー企業「MaaS Global」、ドイツ大手自動車メーカー、ダイムラーの子会社moovelが都市交通をシームレスにネットワーク化したモバイルアプリ「moovel」などです。

    おまけ:世界を代表する主なMaaSオペレーター

    サービス名 企業名 サービス提供地域 提供する交通手段 リンク先
    Whim MaaS Global フィンランドのヘルシンキ、ウェストミッドランド、アントワープ 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、タクシー、レンタカー、配車サービス https://whimapp.com
    滴滴出行 滴滴出行 中国 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、配車サービス https://www.didiglobal.com
    moovel ダイムラー 欧州・北米・豪州 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、タクシー、配車サービス、マイクロトランジット(※)、フェリー https://www.moovel.com/ja
    TripGo SkedGo(オーストラリア) 世界500都市以上 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、配車サービス https://skedgo.com/home/tripgo/
    Transit App Transit(カナダ・モントリオール) 世界200都市以上 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、タクシー、配車サービス、電動スクーター https://transitapp.com
    Qixxit ドイツ鉄道 ドイツ 電車・バスなどの公共交通、シェアサイクル、カーシェア、タクシー、配車サービス、長距離交通 https://www.qixxit.com
    My Ciero My Ciero イタリア 電車・バスなどの公共交通、駐車場、課金エリア許可、地域鉄道、地域バス https://www.mycicero.it

    ※マイクロトランジットとは…バスなどの公共交通にライドシェアのようなオンデマンド型交通サービスを掛け合わせた新たな交通手段

    MaaSプラットフォーム

    MaaSのアプリケーションを提供する際に必要となるソフトウェアやシステムのプラットフォームのことを言います。簡単にいうと、MaaSのサービスを提供する際の基盤となる要素です。ユーザー情報の管理、経路・地図・運行情報といったルート案内機能、予約管理、決済機能、天候や事故による遅延・渋滞などの予測機能、全情報における統計機能、そしてサービス感の連携機能などを統一させるための要素が挙げられます。

    モビリティ

    動きやすさや移動性、機動性、流動性を意味します。交通分野ではヒトが社会的活動のために移動(交通)する能力のこと。IT分野では情報機器や通信サービス、情報システムが移動しながら利用できることなどを指します。乗り物のことでは?と思われがちですが、MaaSにおいては移動手段や移動性という意味合いの方が強いとお考えください。

    モビリティサービス

    ヒトやモノの移動中や移動をサポートするサービスの総称です。つまり、移動前・移動中・移動後まで、すべての移動をサポートすることであり、タクシー、電車やバスなど既存の交通サービスに加え、シェアサイクル、カーシェアリングサービス、ライドシェア、モバイル決済なども含みます。

    配車サービス

    ウェブやスマホのアプリを経由して、ユーザーが希望する場所と近くにいる手配可能なドライバーをマッチングし、配車するサービス。日本国内では現在JapanTaxiの「JapanTaxi(旧:全国タクシー」、国際自動車株式会社の「フルクル」をはじめ、各タクシー会社が配車アプリを提供しています。

    海外ではマイカーを利用した配車サービス「Uber」が浸透していますが国内ではハイヤーでお出迎えしてくれるため、雰囲気はやや違うかもしれませんね。ちなみに、米国では「Uber」や「Lyft」、中国では「滴滴出行(ディディチューシン)」、東南アジアでは「Grab」などの配車アプリが人気です。

    配車サービスには先述したようなタクシー配車サービス以外に、同一方向に行く人と乗り合いするカープーリングや乗り合いタクシーも。ちなみに、マイカーを利用した配車サービスは近年、海外でライドヘイリングと呼ばれています。

    オンデマンド交通サービス

    オンデマンド型乗り合いサービスとも言われますが、予約があった時のみ運行する交通サービスのことを言います。タクシー以上バス未満ほどの小型車両で利用者の要望に応じてその都度運行ルートやダイヤを設定し、数名で乗り合って運行します。最近では、2019年3月より、第一交通と富士通がオンデマンド型乗合タクシーの提供を開始しました。

    自動運転

    自動車が独自に認知・判断・操作を人間に代わって執り行うこと。認知・判断によって自動車に搭載されたシステムが作動し、ヒトの手を介さずに自律走行ができる状態が自動運転です。ただし、どこまでを、どのシーンを自動化するかによってレベルが段階的に分かれており、自動運転機能が何も搭載されていない場合はレベル0、完全なる自動運転はレベル5となります。

    レベル0(運転自動化なし) 運転者がすべての運転操作を行う
    レベル1(運転支援) システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施 自動ブレーキ、前の車に追従して走るACC、車線からはみ出さないLKAS
    レベル2(部分運転自動化) ・特定条件下で自動運転機能(レベル1の組み合わせ)

    ・特定条件下での自動運転機能(高機能化)

    【例】車線を維持しながら前のクルマに付いて走る(LKAS+ACC)

    【例】高速道路での自動運転モード機能

    1.  遅いクルマがいた際に自動で追い越す

    2.  高速道路の分合流を自動で行う

    レベル3(条件付運転自動化) システムが全ての運転タスクを実施するが、システムの介入要求などに対してドライバーが適切に対応することが必要 高速道路など、一定の条件下での自動運転モード機能を有する「自動パイロット」 (2020年目処)
    レベル4(高度運転自動化) 特定条件下においてシステムがすべての運転 タスクを実施する状態 限定地域での無人自動運移動サービス(2020年まで)
    レベル5(完全運転自動化) 常にシステムがすべての運転タスクを実施する状態 高速道路での完全自動運転

     

  • コストダウンの近道は車両削減にあり!?課題解決3つのステップ

    コストダウンの近道は車両削減にあり!?課題解決3つのステップ

    「車両を多く保有していると、管理も大変だし、車両に関するコストが膨大で負担が大きい。」
    法人企業にとって輸送や営業、顧客への訪問、送迎など、車両は業務上、必要不可欠な存在です。しかし、購入時だけでなく税金やメンテナンス費用、駐車場代など、年間にかかる管理費や維持費は、保有する台数がたった1台であってもそれなりにかかるため、大きな負担になっています。

    それなのに、実は知られていないのが、実際の車両稼働率は管理者が思っているよりも大幅に少ないということ。この記事では、全体のコストを見直したい、無駄な車両を削減して適切な配車を行いたい、業務効率を向上させたいというご担当者様に向けて、稼働率を把握して車両を最適化させるための方法を解説します。

    実稼働率は●%…?今の配車は適切ですか?

     

    税金、自賠責保険、車検、車両保険料、定期メンテナンス料、燃料費、駐車場代、消耗品代…普通自動車を一台保有した場合、年間の維持費はおよそ40万円(利用状況などにより異なります)と言われています。さらに、企業で保有していると、リスクマネジメントの観点からも総務や理担当者が適切な管理を行わなくてはなりません。しかし、その車両は本当に必要でしょうか…?
    一般では車両の稼働率が年間およそ4.8%と言われています。つまり、私たちが思っている以上に車両が駐車場で眠っている時間が長いということです。これはあくまで一般の数字ではありますが、企業の中でも普段からほとんど活動していない稼働率の低い車があるかもしれません。

    まずは、以下の算出方法で実働率を確かめてみましょう。
    年間稼働率(%)= 実働時間 / 対象期間の総時間 ×100

    営業担当者一人一台で、顧客先訪問のために車両を週3日、5時間程度利用している場合、15÷40=0.375で、週の稼働率はおよそ37.5%ということになります。この計算はあくまでざっくりとした算出方法ではありますが、一日、一週間、1カ月、一年の間にどれだけ車両が稼働したかを理解することは、コストカットだけでなく業務の効率化を図る際にも非常に重要なポイントです。

    しかし、多くの企業ではこのような車両稼働率の現状を把握されておらず、コスト削減=年間にかかる維持費の中でカットできる項目へと目が向けがちになっています。もちろん、ドライバーにエコドライブを周知させることで、日々のガソリン代のコスト削減は可能になりますが、より大幅なコスト削減を実現するには、各車両の稼働率を把握したうえで未稼働・低稼働・高稼働の3つに振り分け、適切な車両台数を明確にする方が近道です。

    保有する車両の台数が1,000台以上の企業様や、拠点数が100以上ある企業様であれば、そもそも現在の稼働率をすべて把握することが難しいと感じるかもしれません。中には、稼働状況を把握しないまま、一人一台が当たり前として配備されているケースもありますが、管理側から見えていないだけで、低稼働・未稼働の車両は存在するかもしれません。専用のフォーマットでドライバーや車両を管理していても、ドライバーによる申請だけでは、細かい稼働状況まではわからないものです。

    車両を多く保有すればするほど、管理と維持にかかるコストは膨大になってしまうため、「だいたいこれぐらい稼働しているだろう」ではなく、明確なデータを基にして稼働率を割り出すことから始め、コストの最適化を目指しませんか?

    車両の稼働状況を明確にする!3つのステップ

    ここからは、実際にスマートドライブで実施した車両削減への取り組みをもとに、どのようにしてコスト削減へとつなげることができるかを説明します。これは、稼働状況を明確化し、車両削減を行い、適切な配車と適切なコストを実現するための3つのステップです。

    1. 拠点数が多い場合は、拠点の規模や車両台数が多い拠点を選定し、スモールスタートをしましょう。
    調査期間は1ヵ月と定め、管理者側とドライバー側での認識を合わせます。現場と管理部門と両者が協力しなくてはならないため、お互いのメリットを明示して合意形成したうえでスタートさせましょう。管理部門にとってはコスト削減が一番のメリットかもしれませんが、現場にとっては業務効率の向上で残業が減ることがメリットであるかもしれません。

     

    2. 走行データを収集・可視化できるツールを活用し、各車両の1ヵ月(繁忙期などを除く)間のデータを集めます。
    走行データを収集・可視化できるツールを導入し、レポート機能によって稼働実績を視覚的に明示します。1日最大で何台が稼働しているのか、どの時間に稼働が集中しているのか、1日最小稼働数は何台かなど、客観的にデータを見ましょう。走行データを可視化するツールには、スマートドライブが提供するSmartDrivrFleetやフレクトのCariotなどがあります。目的や利用のしやすさ、レポートの見やすさ、取得したいデータ、今後活用したい機能があるかどうかなど、比較検討をして取り入れましょう。
    こちらの記事も比較検討の参考にご活用ください。
    【2019年最新版】目的別・社用車を管理し業務の最適化を担う車両管理システム24選
    【営業車をGPSで追跡】国内の動態管理システムの特徴や価格まとめ

    3.2で取得したデータをもとに、削減可能な車両台数を算出します。
    単純に台数を削減するのではなく、カーシェアやレンタカーの併用も見据えて、複数パターンでの稼働・料金をシミュレーションしましょう。削減する車両の代わりとして、最近では短時間で安く利用できるカーシェアリングサービスが全国各地に設置されていますので、より柔軟性の高い利用手段の一つとして取り入れてもいいかもしれません。
    ただし、1つの基準として、車両を30台以上保有している拠点は車両を削減できる可能性が高くなりますが、保有台数が5台程度で尚且つすでに共有利用をされている場合は、それ以上の削減が難しいケースが多くなります。

    この3つのステップで、一人に一台車両を割り当てるのではなく、より効率よく利用するために車両を共有することができるようになります。そうすることで、拠点本来の必要車両台数が維持できるようになり、コスト削減が実現化されるのです。

    車両削減を実施し、全車両を共有化したら…

     

    先ほどの3ステップで車両削減を行い、割り当てる車両が一人一台ではなくなったら、次に、全車両の利用状況を見える化し、使いたい時に空き車両をすぐ見つけられるようにします。車両管理ツールや別途管理フォームを作成するのもいいかもしれませんが、ここで重要なのは、管理部門とドライバー(現場)、誰もがリアルタイムの状況がすぐわかり、予約と予約変更ができる状態にすること。
    先ほど紹介したスマートドライブのSmartDrivrFleetでは、車両予約機能が搭載されているため、一目で状況が把握でき、予約もカンタン。予約後実際に車両が使われたかの予実も把握できるため、予約者との交渉の円滑化や、空予約者への注意喚起ができるため、スムーズな予約と配車を可能にします。

    適切な配車を促す予約機能だけにとどまらず、車両にまつわる情報を一元化し、リアルタイムでの位置情報や詳細な走行データも取得可能なため、コスト改善と業務の効率化が一緒に行えるようになります。

    GPSリアルタイム 動態管理機能
    1日の稼働時間をモニタリングすることで、新たな課題を発見し改善への糸口を見つけることができます。また、リアルタイムでの稼働状況がわかれば誰が・どこで・どういう状態かがわかり、適切な指示出しを行えるため配車がよりスムーズに。
    動産管理機能
    車検・保有形態・保管場所・整備記 録・保険情報・免許証情報を記録。リマインダー機能もあり、任意で設定したタイミングで免許証や車検、リース等の更新期限をお知らせします。

    走行データ分析機能
    走行データを元に、稼働状況レポート・安全運転診断結果レポート・ 働き方改革レポート・物流事業者向け荷待ち時間レポートなど、より高精度かつ詳細な分析レポートをご提案することも可能です。
    ジオフェンス通知機能
    あらかじめ登録した場所に車両が到着(出発)した際に、任意のユーザーにメール通知をすることができます。電話でドライバーに現在の位置情報の確認を取る必要がなくなり、業務効率を大幅向上。

    安全運転診断機能
    危険運転を自動検知し、走行毎に管理者へ通知できるため、事故を減少し、安全運転への意識を高めます。

    そのほか、運転日報の自動作成機能やデータの集計機能など、新機能も続々追加しています。少しでも気になりましたら、ぜひこちらから資料請求ください。

  • 【MaaS基礎知識】MaaSにおけるレベルを解説

    【MaaS基礎知識】MaaSにおけるレベルを解説

    「モノづくり」である第2次産業から「サービス」である第3次産業への転換は、すでにあらゆる業界共通の潮流ですが、長きにわたり経済の中心に位置していた自動車業界においても、この動きに追随することが必要となってきました。そのため、自動車メーカーもクルマを作り売っているだけでは生き残れないという現実を理解し、カーシェアリングへの参入やコネクテッドサービスを充実など、業界内外の流れに対応を始めています。

    しかし、MaaSとは本来「クルマ=モビリティ」としない概念です。つまり、クルマとサービスを結び付けるだけの日本版MaaSは、他国と比較して、一歩も二歩も出遅れているのです。

    MaaSレベルとは

    MaaSは新しい概念でもあるため、その定義には多少バラツキが見られますが、提供するサービスの進行状況に応じてレベル0~4の「5段階」で分類されています。このレベル感は、トヨタをはじめとする国内メーカーがMaaSの中核を担うであろうと考えている「自動運転」の進捗レベル構成と酷似しています。

    レベル 説明 該当するサービス
    レベル0 統合なし、つまり移動媒体がそれぞれ独自にサービス提供している、現在の交通システムのこと タクシー、バス、電車、カーシェア、Uber
    レベル1 料金・ダイヤ・所要時間・予約状況などといった、移動に関する一定の情報が統合、アプリやWEBサイトなどによって利用者へ提供されている段階のこと NAVITIME、Google、乗換案内
    レベル2 目的地までに利用する交通機関を、スマホアプリなどによって一括比較でき、予約・発券・決済をワンストップで可能になる段階 滴滴出行(Didi、中国版のUber)、Smile einhuach mobil
    レベル3 事業者の連携が進み、どの交通機関を選択しても目的地までの料金が統一されたり、定額乗り放題サービスができたりするプラットフォームなどが、整備される段階 Whim、UbiGO
    レベル4 事業者レベルを超え、地方自治体や国が都市計画・政策へMaaSの概念を組み込み、連動・協調して推進する最終段階

    RPGゲームであれば、経験値を積むことで着実にレベルアップをしていきますが、MaaSの場合は「ボスキャラ」ともいえる多様な課題をすべてクリアしなければ、次の段階に進むことができません。

    現状はほぼこの段階?~MaaSレベル0~

    MaaSレベル0はすでに生活に浸透しているものである、「現在の国内交通システム」と考えて差し支えありません。自家用車やタクシーをはじめ、二輪車・バス・電車・船舶・航空機など、あらゆるモビリティサービスがありますが、個々に独立したサービスを提供しているので、利用数と同じだけユーザーは配車の手配や乗り継ぎに伴うダイヤの確認、チケット購入と決済を行っています。

    また、米国では一般的となったUberなどのライドシェアが国内に普及したとしても、配車や決済方法が他のモビリティと分離している現状では、「MaaSレベル0」のままだと言えるでしょう。さらに、国内自動車メーカーが心血を注ぐ自動運転が、限定的ながら人を介さない高度自動化である「レベル4」へ到達したとしても、結局のところ以下のような状態のままではMaaSは全くレベルアップしないことになります。

    • 自動運転で最寄り駅へ
    • コインパーキングで代金を現金払いする
    • ICカードを利用して電車で移動
    • 目的地にタクシーを利用して到着

    つまり、日本が現在のMaaSレベル0から脱却するには、シェアリングサービスや自動運転の導入を進める前に、まずは既存モビリティインフラの統合を急ぐ必要があると言えるでしょう。

    現在進行形の段階~MaaSレベル1~

    料金・所要時間・距離など、利用者に対して各モビリティサービスに関するさまざまな情報が一括提供されるようになるとレベル1へ到達します。

    MaaS分野で後れを取っている日本ですが、このレベル1の段階まではシームレス化が進行しており、Googleマップや乗り換え案内、NAVITIMEのような情報統合アプリなどがその具体例です。

    また、自動車メーカーが推し進めている、コネクティッドカーの開発と普及もその1つで、単なる移動手段に過ぎなかった車を「スマホ化」し、道路状況や移動経路などといった情報を、IoTを介し共有・サービス提供する、レベル1段階の取り組みです。

    しかし、いまだ情報共有が進んでいるのは高速道路を管理するNEXCOと公共交通機関(JR・公営バス)、航空各社との間のみであり、私営バス・鉄道やタクシー・レンタカーなどはシームレスな情報共有がなされているとは言い難い状態です。移動手段の選択肢が多く、交通インフラが高水準で整備されている日本ですが、官民が入り交じっているため規模もマチマチである構造上の問題や激しい競合関係がネックとなっているようです。

    ここからが本格的なMaaS~MaaSレベル2~

    「予約・決済方法の統合」が条件のレベル2に到達するには、諸外国と比較し現金に対する信頼度が圧倒的に高い、日本特有の国民性への配慮やキャッシュレス化への変革が重要な要素になってきます。

    予約方法の統合については、レベル1が一般化しつつある今、ほぼ課題はないものだと言えますが、約43兆円もの現金がタンス貯金として眠っているとまで言われる我が国において、クレジットカードや電子マネーによる決済のシームレス化が“当たり前”となることはややハードルが高いと言えるでしょう。事実、消費税増税での景気冷え込み緩和策として、キャッシュレス決済時に最大5%のポイント還元制度が施行される予定ですが、大手スーパーや高額商品を取り扱っている百貨店は対象外となったため、年配層を中心にキャッシュレス化の進行はやや行き止まり感があります。

    しかし、キャッシュレス化を経済全体ではなくMaaSに絞った場合、まったく打開策がないわけではありません。お手本とすべきは先進国フィンランドのヘルシンキで人気が急上昇している、ルートサーチとモバペイを組み合わせたMaaSアプリ「Whim」です。

    同サービスには3つのプランが設けられており、最上級プランの「WhimUnlimited」であれば、指定区域内のバス・電車などの公共交通機関とタクシーがいつ・何度でも乗り放題です。さらに、レンタカーは無条件で乗り放題なため、国内業者の1日辺り料金相場が約7,000円であることを考えると、10日以上利用すれば約63,000円である月額利用料金の元がしっかり取れる計算になります。

    WhimはQRコードを見せるだけで決済可能な利便性と、おトク感のあるインセンティブの高さを併せ持っていたため、爆発的にユーザー数を増やしてきました。前述したWhimUnlimitedはレベル2を飛び越え、すでにレベル3へ達しています。国内のMaaSレベル2や3へと引き上げるには、Whim以上にインセンティブを得られる料金設定をしなければ、5%のポイント還元にビクともしなかったユーザーを振り向かせることが困難であるかもしれません。

    巨大資本提携で見えてきた?~MaaSレベル3~

    2018年10月、トヨタとソフトバンクが大型提携し、自動運転を中心に据えたMaaSスタートアップ新会社「MONET Technologies」を設立しました。2019年3月からはホンダや日野自動車も資金提供しています。新会社は、オンデマンドモビリティサービス・データ解析サービス・自動運転事業を事業の3本柱とし、フィンランドで普及が進んでいるWhimと同様レベル、もしくはそれ以上のMaaSプラットフォーム誕生も近いと、国内外から注目が集まっています。

    また、利用者の需要に合わせジャスト・イン・タイムの配車を行う地域連携型オンデマンド交通と、企業を対象にしたシャトルサービス提供を目指すとしており、実現すれば「サービス提供の統合」が条件のMaaSレベル3へアップすることになります。

    しかし、モビリティ関連企業や政府・自治体の担当機関ならともかく、一般の方々にはMaaSが自分たちの生活にどんな利便性や経済効果をもたらしてくれるのか、あまり理解されていません。大手企業が進めている取り組みスピードに、未来の利用者となる人々の理解度が追いついていないように感じられ、このままだとどれほど優秀なMaaSプラットフォームが完成しても、利用に至るまでのハードルを取っ払う時間がかかる可能性も。

    もちろん、ハード面での整備が進むこと自体は歓迎すべきことですが、併せてMaaSがもたらすメリットについても、関連企業は周知と啓もう活動を積極的に実施すべきでしょう。

    グローバルな連携も不可欠に~MaaSレベル4~

    MaaSは単純にモビリティの利便性を向上させるだけではなく、①都市部における交通渋滞②排気ガス規制などの環境問題③地方を中心とした交通弱者対策といった日本が抱える深刻な問題を解決に導くことが最終目的です。

    レベル4は「政策の統合」が達成条件とされているため、国・自治体が都市計画や政策レベルで協調し、国を上げたプロジェクトとして推進しないことには決してたどり着けない領域です。MaaSの軸となり得る自動運転にしても、海外で広がりを見せているUberにしても、日本国内に普及させるには法改正が不可欠ですが、基幹産業である自動車業界が絡んでいるため、一気に議論が進むとは考えにくいでしょう。

    また、国境を越えた業務提携も不可欠です。最近の例では、乗換案内サービスを手掛けるジョルダン(株)は2019年1月、英国で公共交通チケットサービスを提供しているMasabi社と日本における総代理店契約を締結しています。そこで、従来の経路検索・ダイヤや運行状況情報だけではなく、チケット購入・乗車をスマホだけで完結させる、「モバイルチケットサービス」の本格提供を今年中にも開始すると発表しました。

    さらに、Whimを運営するスタートアップ、MaaS Globalのサンポ・ヒエタネンCEOは、2019年中の日本展開の可能性を口にしており、東京・名古屋・福岡などのほか、外国人居住者や観光客の多い横浜エリアにおいて、パートナーと熱心な交渉を進めているといいます。ただ一部では、国と自治体、そして民間巨大資本が連携を強めず、国産MaaSプラットフォームのリリースと普及が遅れた場合、日本のMaaS市場はWhimに席巻され、国内モビリティは人やモノを運ぶだけの「駒」になると危惧する声も挙がっているのです。

    まとめ

    「黒船」Whimの襲来は、MaaS参入を進める国内企業にとって脅威以外の何物でもないかもしれませんが、2019年10月と噂される日本上陸が実現すれば、一般ユーザーの利便性が向上し、政府が目指す交通問題の緩和に寄与することは確かです。そして、たとえ遅ればせながらでも日本特有の国民性に配慮した、優秀な国産MaaSプラットフォームを生み出すことができれば、世界初の本格MaaSアプリWhimが相手でも、逆転する可能性は大いにあるでしょう。

  • 【テンプレート付】運行管理者と整備管理者の選任・解任に必要な書類とは

    【テンプレート付】運行管理者と整備管理者の選任・解任に必要な書類とは

    自動車運送事業者は、利用者と社会の信頼を維持するために、日々、安全な輸送を行わなくてはなりません。そのため、道路運送法などの法律にもとづき、乗務員の乗務時間を設定したり、運行管理のための指揮命令系統を明確にしたりする必要があります。安全な運行を行うための中心的な役割を果たすのが運行管理者です。一定台数以上のバス、大型トラックなど事業用自動車を使用する自動車の使用者(事業者)は、使用の本拠(営業所があればその営業所や支店)ごとに自動車の点検や整備、保管場所に関わる事項の処理などを行う整備管理者を選任し、書類を提出することが義務付けられています。

    今回は、運行管理者や整備管理者を選任しなければならない条件、選任した後に提出が必須となる書類について解説。ダウンロードをしてそのまま利用できるテンプレートも用意しましたので、ぜひご活用ください。

    運行管理者とは

    運行管理者は、道路運送法および貨物自動車運送事業法にもとづき、トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車の運転者の乗務割の作成(勤務予定表・シフト)、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の健康状態の把握、規制情報などを含めた安全運行の支持など、事業用自動車の安全を確保するための業務を行う人のことを言います。また、運行管理者の選任数とは別に、運行管理補助者をおくこともでき、点呼など運行管理者の業務を一部代行することが可能です。

    運行管理者の選任・解任について

    選任は、必ず運行管理者資格を保有している者から選任しなければなりません。運行管理者を選任または解任した時は、貨物の場合は届出事由の発生後1週間以内、旅客の場合は届出事由の発生後15日以内に地方運輸支局長に運行管理者選任または解任届出書を提出しなければなりません。なお、運行管理者の選任や解任の届出記載にあたって複数の運行管理者が選任されている場合は、該当届に関わる者だけではなく、すでに選任されている者全員の氏名を記載する必要があります。なお、一般貸切旅客自動車運送事業者は、運行管理補助者を選任した際に補助者の届出も必要です。

    運行管理者の選任数

    運行管理者は、事業用自動車の運行の安全確保に関する業務を事業者と共に行う必要があり、安全の確保に関する業務を行うために十分な管理者数が必要です。選任数は営業所や支店の配置車両数、そして貨物・旅客・貸切旅客(貸切バス)など車種に応じて定められています。
    運行管理者は他の営業所の運行管理者や運行管理補助者を兼務することはできず、運行管理者が当該営業所に2人以上いるときは、統括運行管理者を選任しなければなりません。

    事業用自動車・貨物の必要選任数

    事業用貨物自動車の台数(被牽引車を除く)…1台から29台まで (運行車+運行車以外) 1名

     

    営業所ごとの運行管理者の必要選任数は1台以上29台まで (運行車以外) 1名
    30台から59台まで (運行車+運行車以外) 2名
    60台から89台まで (運行車+運行車以外) 3名

    以降、30台増えるごとに1名追加

     

    ※被牽引車とは…トレーラーの引っ張られる部分で、運転席がなく切り離すことができる車両のことです。

    ※運行車とは…運行車も運行車以外も法律的な分類では一般貨物自動車です。運行車は特別積み合わせ運送事業を営業内容とする自動車で、おもな業務は集配車でエリア内の集荷を行い、大型トラックでエリアとエリアを結ぶ幹線輸送。ヤマト運輸や佐川急便などの荷物の流れが特別積み合わせ運送事業に該当しますので、運行車以外とは、引っ越し業者のトラックや必要なときに必要な所に荷物を運ぶ貸切のトラックのことを言います。

    事業用自動車 旅客(貸切旅客以外)の必要選任数

    乗り合いバスの場合、保有台数1台から39台まで 1名

    以降40台毎に1名追加

    タクシーの場合

    保有台数5台から39台まで 1名

    以降40台毎に1名追加

    事業用自動車 貸切旅客

    貸切バスなどの一般貸切旅客自動車運送事業者の場合、営業所ごとの運行管理者の必要選任数は、最低2名になります。

    事業用自動車の台数が1台~39台 2名
    事業用自動車の台数が40台~59台 3名
    事業用自動車の台数が60台~79台 4名
    事業用自動車の台数が80台から99台 5名

    保有台数100台以上の場合、当該営業所の保有台数から100を引いた数を30で割り、その数に6を加えた数が必要選任数になります。

    例) 保有台数170台の場合 (170-100)÷30=2.33 2人+6人=8人必要

    一般貸切旅客自動車運送事業者で、運行管理者の必要選任数を1名とする営業所の特例は、当該営業所が運行を管理する事業用自動車の数が4台以下で、次のいずれかに該当する場合です。
    ■霊柩車等、会葬者の輸送を許可条件に付されている事業者の営業所
    ■一般的に需要の少ないと認められている離島(橋による通行が出来ない島)
    ■車いすでの乗降装置及び車いす固定設備等特殊な装備のある自動車を使用した輸送を許可条件に運行する事業者の営業所

    つまり、葬祭業者、離島の営業所、介護タクシー専門の営業所で保有台数が4台までの営業所であれば一般貸切旅客自動車運送事業者であっても、運行管理者の必要選任数は1名で問題ありません。

    運行管理者の選任と解任に必要な届出

    運行管理者を選任したら、営業所の管轄にある運輸局や各自動車検査登録事務所に書類を提出します。提出時に必要なものは、以下の三点です。

    ・運行管理者 選任・解任 届出用紙(青色)・・・2枚
    ・運行管理者資格者証(写)
    ・ゴム印(会社)・横
    提出すべき書類は2部となりますので、ご注意ください。なお、運行管理者が新たに追加された場合も届出が必要です。記載に必須の項目は、以下の5つ。解任に当たっては理由を記載します。

    (1)氏名または、名称および住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
    (2)貨物自動車運送事業の種類
    (3)運行管理者の氏名および生年月日
    (4)交付を受けている運行管理者資格者証の番号および交付年月日
    (5)選任の場合、運行管理者がその業務を行う営業所の名称および所在地並びに、その者の兼職の有無(兼職がある場合は、その職名および職務内容)
    (6)運行管理者でなくなった場合はその理由

    無料でダウンロードできるテンプレート

     

    出典:福岡県トラック協会

    国土交通省の運輸局で提供している書式は、運行管理者・整備管理者のどちらも対応する書式となっており、使い勝手も優れています。
    ・国土交通省 関東運輸局
    ・国土交通省 東北運輸局

    ワードでアレンジしやすい形式です。
    ・トラック運送事業経営のための行政手続き 総合サイト 運行管理者選任および解任届出書(Word)
    福岡県トラック協会のフォーマットは、記載方法について非常に丁寧に解説がなされているので、記入漏れの心配もありません。
    ・福岡県トラック協会  整備管理者選任・解任証

    整備管理者とは

    整備管理者は使用者に代わって事業用自動車等の車両管理を行うことにより、点検や整備に関する管理および責任体制を明確にし、自動車の安全確保、環境保全を図ることが主な業務です。一定台数以上のバス、大型トラックなど事業用自動車を使用する自動車の使用者は、使用の本拠(営業所があればその営業所や支店)ごとに、使用している自動車を確実に整備・管理できるように整備管理者を選任しなければなりません。

    整備管理者の選任・解任について

    大型自動車等の使用者は、整備管理者を選任した時には、その日から15日以内に地方運輸局長にその旨を届け出なければなりません。また、変更した際も同様です。(道路運送車両法 第52条)
    地方運輸局長は、整備管理者がこの法律もしくは、この法律に基づく命令またはこれらに基づく処分に違反した時は、大型自動車等の使用者に対して、整備管理者の解任を命じることができます。(道路運送車両法 第53条)

    整備管理者の選任が必要な自動車使用者

    整備管理者の選任が必要な条件と事業用自動車の使用の本拠ごとの台数については以下の通りです。
    事業用自動車(貨物軽自動車運送事業用自動車を除く)
    乗車定員11人以上の自動車(バス)が1台以上、乗車定員10人以下の自動車(タクシー・トラック)を5台以上保有する場合。
    事業用自動車は、乗車定員11人以上のバスが1台あれば整備管理者の選任が必要です。タクシーを1台しか利用していない個人タクシー事業者やトラックの保有台数が4台の事業者は、整備管理者の選任は不要です。

    自家用自動車
    乗車定員30人以上のバスを1台以上、または、乗車定員29人以下のマイクロバス等を2台以上か、車両総重量8トン以上の大型トラック等を5台以上保有する場合。
    自家用で使用する自動車でも整備管理者の選任が必要な場合があります。上記を参考に必要に応じて届出を出しましょう。

    レンタカー事業者
    乗車定員11人以上の自動車(バス)が1台以上、または車両総重量8トン以上の大型トラック等が5台以上、普通車を含むその他の自動車が10台以上保有する場合。
    普通車が9台までであれば整備管理者の選任は不要ですが、1台でも乗車定員11人以上の自動車があれば整備管理者の選任が必要です。

    貨物軽自動車運送事業用自動車
    軽自動車または、小型二輪自動車を10台以上を保有する場合。
    軽トラックで運送事業を行っている個人事業者、事業用トラック3台と貨物軽自動車4台を使用している営業所は整備管理者が不要です。

    整備管理者の資格要件

    整備管理者は、1級、2級、3級の自動車整備士技能検定に合格した者であること、または、整備の管理を行う自動車と同種類の自動車の点検もしくは、整備又は、整備の管理に関する2年以上の実務経験があり、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者が選定の条件です。つまり、自動車整備士技能検定3級以上、または2年以上の実務経験が必要とされます。
    整備の管理を行う自動車と同種類の自動車とは、二輪車か二輪車以外の2区分で、トラックやバスの区分はありません。整備工場等で整備要員として点検や整備業務を行った経験が整備の実務経験に該当し、整備管理者の補助者として、車両管理業務を行った経験や、整備責任者として車両管理業務を行った経験が整備の管理経験に該当します。また、地方運輸局長が行う研修とは、運輸支局ごとに実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方です。

    整備管理者の選任と解任に必要な届出

    先述した条件に当てはまり、整備管理者を選任したら、届出に必要事項を記入し、管轄下にある地方運輸局に提出をしましょう。提出にあたっては選任・解任書類(二枚綴り)と会社のゴム印が必要です。また、資格要件で必要な書類として、各要件によって以下の書類も用意しなくてはなりません。

    資格要件が2年以上の実務経験の場合

    ・実務経験証明書(2年以上の実務経験がある事業所の証明書であり、事業場の押印が必要です)
    証明書はこちらからダウンロードしてご利用できます。ただし、整備管理者届出書の事業主の確認書欄に記入押印がある場合は不要です。
    ・選任前研修修了書:実務経験2年以上であれば整備管理者選任研修を受講のうえ、受講者に交付される証明書の写しを選任時に添付します。

    資格要件が自動車整備管理士技能検定3級以上である場合

    ・技能検定の合格証、または手帳の写し

    無料でダウンロードできるテンプレート

    出典:福岡県トラック協会

    先ほどご紹介した国土交通省のほか、利用しやすいフォーマットのテンプレートを以下に紹介します。

    エクセルで記入できるフォーマットです。
    ・福岡県トラック協会 整備管理者選任・解任届
    PDFでダウンロード、手書きで記入できるフォーマット。
    ・長野県トラック協会 整備管理者選任届

    まとめ

    スタッフと車両を安全かつ健康に保ち、業務をスムーズに遂行するために、重要な役割を担っているのが運行管理者と整備管理者です。適切な選定を行い、必要に応じで届出を提出し、無事故無違反を目指しましょう。

  • 動態管理の導入で働き方を変える!

    動態管理の導入で働き方を変える!

    深刻化する人手不足、解決への道は業務時間の見直しから

    届ける荷物は右肩上がりに増え続けているものの、昨今のドライバーの高齢化と人手不足により、「従来通りに荷物を運送できない世の中が来るのでは」という危機意識が社会にも浸透しつつあります。さらには、日本全体に広がっている働き方改革において、運送業界ならずとも、あらゆる業界で長時間労働が疑問視されるようになってきました。

    今まで、物流業界は事業者間の競争や荷主の多様化するニーズへの対応のために様々な施策を打ち出してきましたが、利用者や荷主が便利になればなるほど労働条件の悪化にも繋がっていることも事実です。人手不足だからといってドライバーが休憩不足や睡眠不足に陥り、疲労が蓄積された状態で業務を行っていると、これらが原因で思わぬ交通事故を起こしてしまうかもしれません。そうなる前に、管理者はドライバーの残業時間を含む勤務時間に無理が生じていないか、休憩時間が適切であるかを確認するべきでしょう。

    労務規定や労働時間の遵守がよりいっそう厳しく求められる中、管理者は動態管理で可視化された総労働時間から課題を見つけて改善していくべきかもしれません。

     

    動態管理でできること

    ・自動で効率の良い配送ルートを作成し、管理者の業務負担を減らす。

    ・配送計画の作成は属人的なノウハウが必要だったが自動作成ができるため、配送計画業務を標準化して、人員不足への対応や業務の継続性も向上する。

    ・運転日報を自動で作成、手書きではないため間違うこともなく、ドライバーの負担を減らす。

    ・事業者はドライバーの就業状況(出社・退社の時間・場所確認)の不明確を解消できる。

    ・一日の正確な労働時間をデータとして見える化することで働き方の見直しや長時間労働を防ぐことができる。

    ・荷待ち時間の長さがデータとしてわかれば、改善に向けて荷主と交渉ができるため、ドライバーの勤務時間にも無駄がなくなる。

    ドライバーの帰社後は荷物の積みおろしや長時間の運転で疲労がピーク。そのため、その後に行う運転日報などの事務作業は骨の折れる仕事だったりします。

    動態管理のデータは分析することで生きてくる

    動態管理の導入で走行や作業実績などのデータがシステム側で自動的にログとして蓄積されるようになると、今まで帰社後に15~30分ほどかかっていた日報記入の時間が大幅に短縮され、ドライバーの負担が軽減されます。毎日のことでもあるので、操作も簡単なので、使い方がわからないということもありません。

    人手不足を補い業界全体の業務効率をあげるためには、動態管理で取得できたログやデータをもとに荷主とトラック運送事業者の協力による慣習や運送条件の見直しや荷主間の連携による共同配送を行うなど、トラック運送事業者だけでなく荷主間との協力や連携が必須です。

    データは蓄積するだけでなく、非効率な作業がないかを見直したり、ドライバーの労働環境を整えるために使用して、過労死の防止や労働力不足に取り組みましょう。

    動態管理で働き方を変えてみたい

    本メディア運営会社であるスマートドライブが提供するクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」は、シガーソケットにデバイスを挿入するだけでリアルタイムに訪問車両の走行状況を把握したり、車両ごとの運転日報の作成が容易に行うことができます。

    デジタコ等と比べて約20分の1ほどである初期費用の安さと、続々と追加される豊富な機能が特徴です。社用車や営業車に関わる全ての物事を一括で管理・自動化できるので、今まで対応していた細々とした事務作業を簡略化し本来の業務に集中することができます。

    また、運転データをもとにした安全運転診断機能も搭載しているので、ドライバーの運転のくせや傾向が取得でき、適切な安全運転指導を可能にします。ドライバー一人ひとりの安全を守りながら、勤務時間を可視化することで今まで無駄があった就業時間の見直しも行えます。そうすることで、ドライバーは心身共に健康な状態で業務に携わることができ、事故も減らすことができるでしょう。

    導入した企業の具体的な活用事例を記した資料も請求できますので、こちらから是非お気軽にお問い合わせください!

  • 輸送品質の向上とコスト削減はどちらも動態管理で実現できる

    輸送品質の向上とコスト削減はどちらも動態管理で実現できる

     

    商品のスレやキズを一切なくして荷物が運べるように、輸送の品質を向上させたい。本来の軸である“輸送”に焦点を当てた時、無駄なコストを削減して品質向上に直結する部分にコストをかけたいと思う担当者の方も多くいるかもしれません。

    輸送にかかる全体コストの見直しをするときにも動態管理システムは有効です。

    適正なコストを実現したい

    トラックが安全かつ確実に荷物を運ぶためには、荷物そのものの管理も必要です。そこで役に立つのが、動態管理に搭載されているGセンサーと呼ばれる衝撃を感知する装置。これによって急発進や急ブレーキなど、ドライバーの危険挙動とともに荷物に与える衝撃がわかります。危険挙動がどこで発生するのかわかれば、荷物を積み込む前の対策やドライバーへの注意喚起が的確に行えるでしょう。

    そして安全に運ぶために、ドライバーが急発進や急ブレーキの回数を減らすことができれば車の燃料効率もアップし、全体の運送コスト削減を実現できます。

    動態管理を入れていない場合、ドライバーと作業の状況を確認するのに時間と手間がかかってしまいます。配送先からの問い合わせがスムーズに対応できないほか、問い合わせ対応のための人的なコストがかかることも…。荷主とドライバーの配送状況や到着予定時刻、完了情報など、動態管理で取得できる情報を共有していれば問い合わせがなくなり、業務コストを削減することができるでしょう。また、荷物が到着しないと業務ができない荷主側の安心感や信頼感も得ることができるのではないでしょうか。

    エビデンスして役立つ走行ルートのデータ

    システムなどを導入すると初期費用が高いしコストがかかるんじゃないだろうか–?そのような心配はありません。長期的な視点で考えると、効率的な配送ルートによる業務効率アップでの人件費削減、燃費向上による運送コストの適正化などにより、管理コストは大きく削減できるようになります。

    蓄積された走行データからは、今までの配送ルートの改善点が可視化されます。実態を把握し、エビデンスとして配送ルートの無駄が見えれば、荷主に対してコースの組み換えや無駄なルートの削減交渉ができることも。また、配送協力会社があれば、実態を反映した適正価格で運賃を支払うことが可能となり、過剰請求もなくなるでしょう。

     

    動態管理が可能にすること

    ・効率的なルートを自動検索、無駄をなくして配送コストを削減できる。

    ・効率的な安全運転指導により、燃料効率を上げることができる。

    業務の負担がなくなり、荷主からの信頼などコスト以上の効果が得られる。

    ・走行データがエビデンスとなり、交渉材料となることも。

     

    ドライバーの手書きによる紙の管理では、情報の抜け漏れや事務作業による残業が発生することもあります。慢性的なトラックドライバー不足が続いている中で、配送の効率化による労働環境改善、コスト削減、環境負荷低減へ取り組む場合も、動態管理は大きく貢献してくれることでしょう。

     

    動態管理の導入で理想的なコストを実現

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    運転データをもとにした安全運転診断機能も搭載しているので危険挙動があった場合、ドライバーに原因をヒアリングして安全運転を促すことができますし、事故も減らすことができるでしょう。大なり小なり、事故は多くの損害をもたらすため、事故を防ぐだけでも大きなコスト削減へとつながるのです。

    導入した企業の具体的な活用事例を記した資料も請求できますので、こちらから是非お気軽にお問い合わせください!

  • 【対談】MaaSをバズワードで終わらせない。都市モデルをベースに考える国内MaaSのあり方 後編

    【対談】MaaSをバズワードで終わらせない。都市モデルをベースに考える国内MaaSのあり方 後編

    元号が変わり、新たな時代の幕開けとともに加速し始めたMaaSへの取り組み。首都圏や地方など、各地で実証実験が行われたり、新たなサービスが生まれたりと、ユーザーの生活へ浸透する日もそう遠くはないかもしれません。

    そこで今回は前編に引き続き、国内で率先してMaaSに取り組まれている、MaaS Tech Japanの日高洋祐(ひだかようすけ)様にインタビュー。都市部と地方でMaaSを推進するために重要な考え方についてお話しいただきました。

    可能性は無限大。社会問題も解決へと導くMaaS

    北川:「前編とは違う視点でMaaSを考えてみたいと思います。都市とは違い、地方×MaaSはどのような可能性を秘めているでしょうか?」

    日高:「生活行動と密接なつながりが生まれるようなMaaSが有効だと考えています。地方では、人口減少に伴い従来型の商店街の閉鎖や免許返納などを理由に高齢者の買い物弱者が増えています。生活の買い回りや医療機関への通院などお出かけの足が課題となります。スーパーがあっても自宅からは離れているため、高齢の方ほど気軽に買い物へ行くことができません。たとえば、Aさんがジャガイモを買い忘れてスーパーへ行こうか迷っていたので、この機能を利用するとしましょう。そこで移動に関する情報とその生活ニーズの情報が紐づいていれば、その家庭の近くを宅配ルートとする何かしらのドライバーがそのまま届けてくれることも可能になります。自動車やドライバーのシェアリングだけでなく、移動目的自体の解消にもシェアリングの考え方は導入できます。そうするとAさんの往復の2トリップが省略されます。高齢者に負担をかけることなく日用品など必要なものが買えるよう、デイケアセンターに移動販売車を送っている地域もありますが、その販売車の売り上げは非常に良いと伺っています。こうした事実からもわかるように、移動デマンドと購買デマンドの両方がわかれば、買い物弱者に対する社会問題への解決策が見つかるかもしれません。スーパーはスーパーで売り上げも維持できますしね。誰が何を買うのか、移動スーパーはどこに行けばいいのか。それがデータをもとに最適化できれば、買い物弱者と呼ばれる方達は生活が不便だと思うこともなくなるでしょう。

    なので、データは集めたら囲い込まず、データプラットフォームをもとに価値を出した方がいい。事業化のイメージもしやすくなりますしね。」

    北川:「欲しいものを買うという観点では、物流で買い物をフォローするという考え方もありますが、各家庭に一軒一軒お届けにあがっていると、運用コストが膨大になってしまう。」

    日高:「そうですね、便利な宅配サービスが過剰に拡大したサービスとして普及してしまうと逆に都市としての物流効率が悪くなってしまいます。モノを買う側と売る側のどちらの負担もかけないためには、ある程度移動と物流を集約させることが重要になってきます。集約するには、移動デマンドと購買デマンドを踏まえて施策を打ち、効果検証をしてフィードバックを得るという作業が必要です。人が移動してスーパーで買い物をしている間に、スーパーは移動してモノを売る。少子高齢化が急速に進む今、人口が少ない地域や高齢化した地域すべてに必要な手段となってくるでしょう。

    MaaSで交通をより便利に変えていくことも重要なことですが、移動を変えるということはこうした社会問題解決の糸口にもつながっていくのです。」

    都市という単位で考えるには

    北川:「私たちスマートドライブは、移動の最終形態として『移動を移動でなくしたい』という考えを根底に持っており、移動の進化をデータで後押しています。日高さんは、移動と移動によって周辺の都市は今後どうなっていくと思われますか?」

    日高:「私たちも移動社会の基盤を作るという考えを軸に置いています。少し前までは一家に一台、車があったので移動がしやすかったですし、ドライブそのものを楽しんでいました。しかし、今は時代の流れとともに、人々のライフスタイルや車のあり方も変わりつつある変換期にいます。車との付き合い方が変化を遂げる時代の中で、私たちが企業として目標としているのは、移動の(MaaS)レベルを一段階でも引き上げることです。

    これまで、一つの場所に人口が集まり、そこから鉄道のレールが轢かれ、駅が設置され、商業施設が整い、街が活性化してきました。反対に今、人口が減っていくからといって施設を縮小しよう、移動販売を増やそうとダウンサイジングをするのではなく、“ダウンサイジングをできる状態”へ持っていくにはどうすれば良いかを考えなくてはなりません。眼の前で人口が減っているという事実があっても、もしかしたら数年後には急激に人口が増えるかもしれない。目指しているのは、どのような人口の変動にも早急かつ柔軟に対応できる状態を作ることです。

    どのような方向性で対応すべきかを考えるのはその都市の交通事業者や地域の首長さんたちですが、そもそも今はベースとなるソリューションがありません。そこで私たちがまず目指すのが、都市が大きくなったり小さくなったりして人の生活スタイルが変わっても、移動サービス提供者が適応できる状態にすることです。ソリューション部分をカバーできれば、次の領域に進むことができるからです。ユーザーと複数の交通事業者と、その周辺にいる関係者がつながりやすい状態を作るには、システムの構築も事業の作り方のスキームも、どちらも大事な要素です。

    これは、饗庭伸さんの著書、『都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画の考え方』にも書かれていて非常に共感した考え方なのですが、都市って、人口によって規模が大きくなったり小さくなったりするじゃないですか。ただ、それを大きい・小さいの議論ではなく、たたむか広げるかという視点で考えていくことが大事だなと。ここで言う”広げる”は、エリアを広げるという意味ではなく、需給ニーズに合わせて拡大したり縮小したりするということです。

    目の前に、一枚の風呂敷があると想像してください。人口が増え、拡大している時は風呂敷を広げる、縮小している時は小さく折りたたむのです。単純に不要な部分を切り取って捨てるのではありません、たためばいいだけです。そうすれば、再び人口が増えたときも風呂敷をサッと広げて拡大できる。こういう概念をベースに、自動車はどのように組み込んで行けばいいかを考えるのです。つまり、現人口に合わせた最適な車両台数にするのではなく、人口減少によって発生した余剰車両は別の輸送手段に活用するなど、別の方法で利用していつでも広げられるよう待機しておく。そうやって、たたむ・広げるがコストをかけずにできるようになると、来年開催されるオリンピックやパラリンピックなどの大規模イベントがあっても問題なく対応できることでしょう。その抽象的な概念をどうテクノロジーとステークホルダー間のアライアンスで実現するかということだと思います。

    公共交通と事業用車両を問わず、利用方法や台数を固定せずに状態や状況によってたたんだり、広げたりが臨機応変にできれば、今後、インバウンドの増減があってもすぐに対策できます。少子高齢化による人口減少やインバウンド対策など、課題は多方面に広がっていますが、トータルで見て都市モデルのあり方を決めていくべきではないでしょうか。いわゆるSaaSモデルのようなイメージで都市のインフラ機能に増減を当てはめて考えられると、スマートシティの土台となってくるかもしれません。将来に向けてそのような絵図を描きながら、その中で移動をどう定義するかを考えていきたいですね。」

    つながりの連鎖でMaaSを推進する

    北川:「さまざまなものをつなげてデータ化したり、可視化したりする部分は私たちスマートドライブが得意なことですし、対応すべき領域です。そして、それを実現してサービス化していくところをMaaS Tech Japan社とともに考えていければと思います。」

    日高:「多少、方向性や扱う領域が異なっていたとしても、抽象的な概念を共有してくれる人、将来的に目指す未来が同じ企業が多ければ多いほど、理想の形へと近づいていきます。私もスマートドライブさんの先進的な取り組みは参考にさせてもらっています。」

    北川:「私たちもそう信じています。最後になりますが、スマートドライブへ期待することや希望、要望は何かございますか?」

    日高:「スマートドライブ社が非常に価値のあることをやってらっしゃることは業界内では周知されていますが、業界外ではなかなか伝わりにくいのかなと。移動データの活用によって事故を減らし、結果として安全運転が広がり保険料も安くなる。これってヒトにも企業にも環境にも優しいことですよね。

    ですので、たとえばスマートドライブ社のソリューションでできることを、他の業界に置き換えたときにこんな可能性があるということをもっとわかりやすく伝えることができれば、より視野の広いモデルで事業展開ができるのではないでしょうか。スタートアップもそうですし、民間企業の新規事業開発にもすごく響くと思うんです。そうして広がっていけばいくほど、サービスやビジョンに共感した人たちやサービス連携したい企業が自然と集まってきます。そういう流れができるとMaaSも急進しますし、海外にも『日本のモビリティ社会はとても魅力的でしょう』と胸を張って伝えることができるはず。ガラパゴスではなく、日本らしさを重視するというか、SaaSモデルを踏まえたうえで人々の生活を作っていければいいですよね。あとは鉄道やバスとの接点を持てるとさらに世界が広がっていくのではないでしょうか。」

    北川:「ありがとうございます。業界の枠を超えてつながりが連鎖し、さらなる可能性を広げていければと思います。」

    日高:「スマートドライブの“ドライブ”が何を意味するのか−− それは論点でもコア事業でもあるけれど、その先にあるのはドライブの最適化ではありませんよね。コーポレートビジョンにも記載されていますが、『移動の進化を後押しする』ということこそが、スマートドライブの核心部になっている。」

    北川:「スマートドライブは直訳だと『かしこい運転』ですが、目指しているのは、『世の中を、かしこくドライブしていこう(=前に進めていこう)』という世界です。じゃあ、どういうドライブをしていくべきなのか、それを今後わかりやすく、しっかりと伝えていきます。ありがとうございました!」

  • 【対談】MaaSをバズワードで終わらせない。都市モデルをベースに考える国内MaaSのあり方 前編

    【対談】MaaSをバズワードで終わらせない。都市モデルをベースに考える国内MaaSのあり方 前編

    サブスクリプションに5G、自動運転にコネクテッドカー、デジタルトランスフォーメーションにIoT…。この数年で数々のバズワードがビジネスの世界で生み出されてきましたが、変革期の最中にあるモビリティ業界でも多くのバズワードが飛び出し、話題をさらっています。その中で、今もっとも注目されているのがMaaS(Mobility as a Service)です。MaaSはモビリティ業界だけでなく、地方や都市全体、観光にまで広がり、人々の生活と利便性を変えようとしています。

    そこで今回は、国内で率先してMaaSに取り組まれている、MaaS Tech Japanの日高洋祐(ひだかようすけ)様をゲストに迎え、国内におけるMaaSをいかにして広げていくか、MaaSを浸透させるために大事なことは何かをお話いただきました。MaaSをバズワードで終わらせないために必要な考え方とは−?

    MaaSへの認知や取り組みを加速したい

    北川:「スマートドライブでは、今まで車両に取り付けるデバイスを開発し提供していましたが、現在、目指しているのはドライブレコーダーや温度センサー、タイヤの空気圧計など、センサーデータのプラットフォーム化です。そして、このプラットフォームを起点に今後、MaaSに関していろんな関わり方ができると思っています。

    まずは、日高さんがMaaSに取り組むようになったきっかけをお伺いできますか。」

    日高:「鉄道会社に入社後、主にICTを活用したスマートフォンアプリの開発や公共交通連携プロジェクト、モビリティ戦略の策定などを行ってきました。たとえば、運行管理システム等から電車の位置情報を取得してユーザーに届けたり、混雑情報等をどのように利用者に提供するかを検討したり、スマートドライブ様が提供しているサービスの“鉄道版”とお考えいただければイメージしやすいかもしれません。

    入社以降輸送業務の現場にいて、2010年からは企業内の研究所で新規サービスの研究開発業務に従事し、2018年6月に立ち上がったMaaSを推進する部門に参画しました。その後独立してMaaS Tech Japanを設立しました。また、2018年にはMaaSやモビリティサービスに関する産官学での知を共有し、技術革新につなげることを目的とした一般社団法人JCoMaaS(ジェイコマース)の設立を行い、MaaSの協調領域を生み出すエコシステムの創出に取り組んでいます。

    MaaS に積極的に取り組むきっかけとなったのは、ITS会議など交通系の海外のカンファレンスでは2016年ごろからMaaS一色といってもよいほどホットなキーワードになっているのに、日本国内ではほとんど話題とならず世界からの遅れに危機感を覚えたからです。そのため、海外で起こっている動きを日本語にして、かつそれは海外の話しだよねとならないよう、交通や都市を良く知った日本人が分析して伝える必要があろうと考えました。その一つとして著書『MaaS  モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』を執筆するなど、日本でMaaSへの認知や取り組みを広げていく活動を始めました。

    MaaSは単純にモビリティに閉じた改善ではなく、都市全体という大きな枠で捉えながら推進していかなくてはなりません。とくに、データの融合が核となってきますので、個別事業者の利益最大化よりも、新しい連携による産業のKPIのほうがMaaSは伸びていくはずです。そういった点でも、『MaaS  モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』の出版は、モビリティ関連の企業の方は外を見るようになり、モビリティの外側にいる方たちもモビリティに目を向けていただくきっかけになりました。」

    MaaSのその先へ

    北川:「前職でMaaS専門の部門が立ち上がったとおっしゃられていましたが、ご自身で起業されたきっかけは何だったのでしょうか。」

    日高:「もっとMaaSを突き詰めたいと思ったこと、『Beyond MaaS』と言っていますが、MaaSが実装された先の社会を創りたいと思い、2018年の11月に会社を立ち上げました。前職の会社もとてもよい会社で、起業への理解もあり今の自分があるのもJR東日本のおかげであるととても感謝しています。けれども、逆にその大きな会社が背景にあると、どこかで安心感が出てしまうため、自分を追い込むためにも一回その大きな看板を外してMaaSの世界に飛び込んでチャレンジしたいと考えました。それを認めてくれた会社にはとても感謝しています。

    MaaS Tech Japanでは、事業者向けと生活者向けに鉄道やバス、タクシーなどあらゆるモビリティサービスを統合したプラットフォームを構築しています。これを基盤に、公共交通やライドシェアなど単体のサービスでなく、ユーザと事業者、事業者と事業者の連携を促進したいと考えています。

    たとえば、オリンピックのときなどあるスタジアムで試合が終了し、何千人、何万人もの人が一斉に移動するとしましょう。移動の際にまず考えるのが、鉄道やバスの運行形態、スタジアム近辺を走るタクシーの台数といったリアルタイムの情報ですが、これだけ多くの人がいっぺんに移動すると大混雑することが予想できます。それぞれの事業者は個別に情報発信をしていますが、ユーザーがすべてを把握したうえで最適な移動手段を考えるには時間も手間もかかってしまう。この場合、スタジアムにいた人数をベースにして帰宅ルートを把握することができれば鉄道やバスの輸送量の割合や、タクシーの状況などコントロールして、人の流れを分散して効率化が可能となります。そのためには、データを一つの場所に集めてモビリティ間の連携を促進すること必要です。壮大な話しのように思えますが、だからこそチャレンジすべき領域です。」

    北川:「現在、日本国内でそうした取り組みはなされているのでしょうか。」

    日高:「同様のアプローチは様々な企業や研究者が取り組まれてきましたが、実際にそれがスケールするところまでは至っていません。技術やコンセプトは出来ているのですが、実装されていない理由として考えられるのが、ユーザーと事業者の関係性の中で実施に至るような共通概念やベネフィットが生まれていないことです。また、そこを弊社では新しいスキームでチャレンジし社会実装まで到達することに貢献したいと考えています。

    MaaSは交通事業者のデータをAPIなどで統合して1つに集め、それをユーザーや都市に提供するというのが基本の概念です。フィンランドのWhimの場合、交通にまつわる情報を集約し、ユーザーにアプリを提供しています。今まで個別で予約・購入していた新幹線のチケットやタクシーの配車がアプリの操作だけで完結するため、ユーザーは移動をシームレスに行うことができるのです。それが、海外で広がっているMaaSですが、国内ではそれだけだと価値が感じられにくいようですので、これらの交通に関する情報を都市に還流させたり交通機関にフィードバックを行ったりすることで、海外とは異なる価値を見出していく必要があります。

    弊社としては、MaaSプラットフォームの考えを拡張させたより利便性の高いサービスを提供したい。そうすれば今後、混雑緩和をしたいプレイヤー(事業者が)が他の交通機関や周辺施設に協力を依頼するなど、事業者連携によってよりスムーズな交通サービスを提供できるようになるし、ユーザーの流れも変わっていくでしょう。」

    MaaSでビジネスモデルも進化する…?

    北川:「MaaSと一言で言っても、さまざまな観点から移動を考えることができますね。」

    日高:「2018年にDeNAさんの『どん兵衛の広告モデルであった0円タクシー』が都内でトライアルされ話題になりましたが、MaaSの中で参考になるビジネスモデルの1つです。広告宣伝費で別のサービスの原資とする−−つまり、第三者の原資をモビリティサービス等に活かして何かをするというというビジネスモデルができれば、より幅広い観点で業界横断のMaaSのビジネスモデルが広がっていくのではないかと考えます。

    現在は、弊社では大都市・中規模の観光エリア・大幅に人口が減っている地域をターゲットにいくつかの実証実験ができるようにプロジェクトを進めています。単体で動くのではなく、多くの企業や人と関係を構築して、そのうえでMaaSを推進していくことが大事です。そのため、先進的な取り組みをされているスマートドライブさんとも連携させていただきたいと思っています。」

    北川:「もちろんです。描いている世界観は近いですが、日高さんの会社はおもに公共交通機関ですし、被るようで被らない領域でもあります。ですので、お互い補いあえる部分は大きいのではないでしょうか。」

    日高:「そうですね、自動車から上がってくる詳細なデータや予測はスマートドライブのお得意な領域であると思います。先ほどからデータプラットフォームと言っていますが、弊社のシステムにすべてを集約するのではなく、外部から入ってきた結果を連携させる疎結合のイメージです。私たちのソリューションもそこに近いですね。」

    都市×MaaSの可能性

    日高:「海外のスタートアップでmiles(マイルズ)というスマートフォンのサービスがあり、そのサービスでは都度ユーザーの交通チケット情報を取らなくても、緯度経度に応じてGPSと速度センサーを使用して、電車を利用している、バスの停留所の地点に三回ほど停まったからなど、あらゆる情報を学習しながらデータを蓄積し、その乗り物にのったかを判定するロジックとなっています。そしてその行動データをベースに、環境に優しい乗り物に乗ると●ポイント、混雑している箇所を避けてくれたら●ポイントなど、ユーザーにポイントとして還元しつつ、交通をうまく分散することができるようになるのです。

    ここで、『じゃあ運賃を安くしたり高くしたりできるようにすればいいんじゃないか』という声も上がってきますが、運賃を変更すると交通機関側でシステムを改変しなくてはならないため、簡単に着手できるものではありません。そのため、運賃とは別軸―ポイントや現金化―で還元できると、ユーザーにもメリットが分かりやすく、他社間とも合意形成がしやすくなります。モビリティサービスが外の世界とつながるうえで一つ有効な手段と考えます。」

    >>後編へ続く

     

  • NASVA 運転者適性診断とは?適性診断の内容と受講のコツ

    NASVA 運転者適性診断とは?適性診断の内容と受講のコツ

    トラック、バス、タクシーなどの自動車運送事業者で勤務するドライバーは受講必須となっているのが、NASVA独立行政法人自動車事故対策機構の適性診断です。トラック、バス、タクシーなどの自動車運送事業者に初めて所属した、または転職により違う会社に入社したなど、新たに所属・入社した場合は必ず受けなくてはならず、以降も3年に1度の一般診断の受講が勧められています。もちろん、事業所側も受講を徹底させなくてはなりません。

    今回は、初任診断と一般診断に加え、カウンセリング付定期診断や特別診断、65歳以上の運転者を対象とした適齢診断、さらに診断の具体的な内容と受講のコツについて詳しく解説します。

    NASVA独立行政法人自動車事故対策機構とは

    人と車の共存を理念に掲げ、自動車事故の発生防止とその被害者援護のための業務を行っているのが独立行政法人のNASVAです。NASVAとは、独立行政法人自動車事故対策機構を英語で表記すると、National Agency for Automotive Safety & Victims’ Aidの頭文字をとった略称です。

    自動車による交通事故防止のために、運行管理者等指導講習や運転者適性診断による運転の特性を診断し安全運転に役立つきめ細かなアドバイスを行ったり、自動車事故による被害者の方の援護を目的に、育成資金の無利子貸付や友の会の運営・家庭相談による交通遺児等への援護活動も行ったりもしています。

    この記事で説明するNASVAの運転診断は、運転に関する長所・短所、運転のクセを様々な測定により明らかにし、診断結果にもとづいた適切なアドバイスを提供することで、交通事故防止に役立てるというもの。決して運転に向いている・向いていない、うまい、下手を見極めるものではなく、運転に関する短所に気づき、改善することで事故防止につなげるのが最大の狙いです。

    適性診断の内容と受講方法

    適性診断はすべて事前予約が必要です。予約された開始時間に遅れると受講できなくなる場合がありますのでご注意ください。

    ・適性診断予約システムによる申込み
    インターネットから適性診断の予約が可能です。ただし、IDとパスワードによるログインが必要となるため、初回利用時は最寄りの自動車事故対策機構の各支所への申込みをしてください。

    ・電話等による申込み
    最寄りの自動車事故対策機構の各支所へ電話での申込みが可能です。

    初任診断

    受診対象者:所属する運送事業者において、新たに運転者として採用される方
    診断時間と費用:診断時間約1時間40分 / 4,700円
    受診時期(旅客):所属する事業者において、事業用自動車の運転者として選任する前
    受診時期(貨物):所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前
    一般診断とほぼ同じ内容です。診断結果をベースに、事業用自動車の運転者としての自覚と事故の未然防止のための注意点について指導と助言を受けます。トラックの別会社に転職した場合も初任診断の対象です。

    一般診断

    受診対象者:普通免許以上を保有している方は誰でも受診することができます。
    診断時間と費用:約1時間20分 / 2,300円
    受診時期:3年以内に1度の受診が勧められています。
    診断内容:ドライバーの性格、運転態度、認知・処理機能、視覚機能などについて、心理や生理の面から運転の特性を把握、安全運転に役立つアドバイスを記した適性診断票を発行します。年齢や生活環境の変化により、運転に対する考え方や反応は変化します。安全運転を続けるために、定期的に受診し、自分の運転特性の変化に気づきましょう。

    カウンセリング付一般診断

    受診対象者:普通免許以上を保有している方は誰でも受診することができます
    診断時間と費用:約1時間40分 / 4,700円
    受診時期:3年以内に1度の受診をお勧めします
    カウンセラーが、診断結果にもとづいて事故を未然に防ぐための運転行動や、安全運転のために注意すべき点について指導・助言を行うものです。一般診断終了後のカウンセリングのため少々時間がかかります。

    特別診断

    受診対象者:普通免許以上を保有している方は誰でも受診することができます
    診断時間と費用:約3時間 / 10,100円
    受診時期:要望に応じて受診可能
    カウンセラーまたは大学教授等の適性診断専門委員が一般診断を受診した方の運転経歴等を参考に、さらに精密に運転特性を明らかにする診断です。カウンセリング付一般診断より、さらに深いインサイトが得られます。

    適齢診断

    受診対象者:所属する運送事業者において、65歳以上の運転者
    診断時間と費用:約1時間40分 / 4,700円
    受診時期(旅客):65歳になった日から1年以内に1回、75歳になるまで3年以内毎に1回、75歳になった日以降1年以内に1回、その後1年以内毎に1回(毎年1回)
    なお、個人タクシー事業者は、事業許可に付された期間の更新日が65歳以上のタイミングになる場合、更新申請前に受診
    受診時期(貨物):65歳になった日から1年以内に1回、その後3年以内毎に1回
    一般診断とほぼ同じ内容の診断を受けます。加齢による身体機能の変化が運転に与える影響を十分に認識してもらうことで、事故の未然防止を啓蒙。身体機能の変化に応じた運転について、指導と助言を受けることになります。とくに人の命を運ぶ旅客の運転者の適齢診断は、貨物より厳しく診断されています。

    特定診断Ⅰ

    受診対象者:①死亡事故又は重傷事故を起こし、かつ当該事故前の1年間に事故を起こしたことがない者 ②軽傷事故を起こし、かつ、当該事故前の3年間に事故を起こしたことがある者
    診断時間と費用:約2時間 / 9,100円
    受診時期:当該事故を起こした後、再び事業用自動車に乗務する前
    カウンセラーが交通事故を引き起こした状況について聞き取りを行い、運転経歴等を参考に交通事故の再発防止に必要な運転について指導・助言します。

    特定診断Ⅱ

    受診対象者:死亡事故又は重傷事故を起こし、かつ当該事故前の1年間に事故を起こしたことがある者
    診断時間と費用:約5時間 / 29,300円
    受診時期:当該事故を起こした後、再び事業用自動車に乗務する前
    カウンセラーが、運転者の運転に関わる諸特性を明らかにするとともに、事故を引き起こすきっかけとなった運転特性と背景となった要因を分析。事故の再発防止に必要な運転行動等について指導と助言を行います。

    適性診断を受けなかったら…

    貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条の2および、旅客自動車運送事業運輸規則第38条の2にもとづき、罰則があるのは以下の診断を受講しなかった時のみです。そのため、適性診断が必須とされるのは、貨物自動車運送事業輸送安全規則第12条の4及び、旅客自動車運送事業運輸規則第41条の4に定められている以下の診断が該当します。

    ・死者または負傷者を生じた事故を起こした者→特定診断Ⅰ、Ⅱ
    ・運転者として新たに雇い入れた者→初任診断
    ・高齢者に関する診断→適齢診断

     

    違反した場合は、貨物自動車運送事業輸送安全規則第12条の8及び、旅客自動車運送事業運輸規則第41条の8に定められている「その適性診断の実施者に対し、同条の規定による適性診断に関わる業務を行うべきこと又は適性診断の実施の方法その他の業務の方法の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる」が適用され、改善命令が出されます。

    なお、適性診断を受けた者が、重大事故等により罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は、その執行を受けることが無くなった日から2年を経過していない場合には、貨物自動車運送事業輸送安全規則第12条の9及び、旅客自動車運送事業運輸規則第41条の9により、国土交通大臣が、認定を取消したり、期間を定めて適性診断に関わる業務の全部もしくは一部の停止を命じることができるとされています。

    重大事故を起こした運転者がその事実を隠して転職することを防ぐため、自動車運送事業者は、新たに採用する者に対して、過去5年分の運転記録証明書を提出するようにしています。これは、あらかじめ過去の事故の有無がわかることで、業務停止命令のリスクを軽減するためです。一般診断には罰則の規定はありませんが、計画的に実施することでドライバーの安全意識向上と事故防止に役立てましょう。

    パソコンで行う適性診断の流れとその詳細

    NASVAの適性診断はパソコンによって実施されます。ここでは各種測定の順番と測定の内容について、また操作上の注意点やコツについて紹介します。

    動作の正確さ

    次々と起こる事態に対して、的確かつ迅速な処置が出来るかどうかを測定します。
    右手が青色、左手が黄色、右足が赤色に対応し、それぞれボタンを押し続けた状態で診断はスタート。画面に表示された色により、その対応する色の手足を一瞬離してすぐにボタンを押し続けるという内容になっています。
    後半の診断では、画面に色が表示されると同時に「ブー」とブザーが鳴ったら離してはいけません。音が鳴らなかったらそれぞれの対応する色の手足を一瞬離してすぐボタンを押し続けます。また、青、黄、赤がそれぞれブザーの鳴った時も含めて何回出現したかも記憶して答え無ければなりません。状況に応じて正確に操作できるかどうかを診断します。同じことを何度か繰り返します。

    色のカウントは常に001、101など青黄赤の順にカウントしておくと最後に426と仮になったら青4、黄2、赤6と楽に答えることが可能です。メモをとることなどできませんのでしっかり記憶しておきましょう。

    判断動作のタイミング

    動作を行うタイミングの判断の適切さを測定します。
    画面の右から左に車が移動し、左端に来たと判断した時にボタンを押す診断です。車の移動距離の左半分のトンネルのように隠されており、右半分を通過する速度でトンネル内を走行すると抜け出るのはいつになるのかを判断します。トンネルから抜け出たタイミングでボタンを押すと左端に車が表示されますが、いつまでもボタンを押さないと車は表示されません。
    何度か検査は繰り返されますが、その都度速度は変動します。漠然と見ているだけならタイミングはバラバラな結果になりますので、「いち、に、さん、よん」とトンネル内でも同じカウントでボタンを押すとほぼ正確に押すことができるでしょう。速度が速い時も遅い時も同じタイミングでカウントして「さん」か「よん」で押すか判断するのがポイントです。

    注意の配分

    次々に変化する事態に対する注意の配分の具合を測定します。


    左の画面が下に進むように、右の画面が上に進むように流れます。画面の左右両方に△のマークがありますので、ハンドルを左右に動かして△の先端が障害物の緑側を通るようにハンドルを操作してください。緑と反対の赤側を▽△の先端が通過すると間違いと診断され「ブー」とブザーが鳴ります。

    両側の障害物の△までの距離と正確なハンドル操作が問われますので、両側の画面をバランスよく確認しながら正確に操作しましょう。

    視覚機能

    動体視力、眼球運動、周辺視野等を測定します。
    3つの数字が瞬時に流れますので、流れた順に数字を入力してください。速度を変えながら何度か流れますが、パソコン画面を見ていると速くて数字を読み取るのも大変です。筆者の視力は両眼1.2以上です

    で、視力の弱い方にはハードな検査かもしれません。

    眼球運動は、上段、中断、下段それぞれ3つの合計9つの場所に一か所ずつ□か○の表示がランダムに点灯して消えます。○の場所を答えなくてはなりませんが、○が2か所だったり3か所だったりその都度変化しますので、瞬時に○の場所を記憶しましょう。

    周辺視野は、中心に数字が、8方向中2方向に○が「バン!」という音と共に一瞬で表示されます。表示された数字と○の方向を答えなくてはなりませんが、この時のポイントは画面全体を遠目で見ることです。65歳以上の適齢診断では、これらに加えて。暗い画面から視力検査の記号が表示され答えるという夜間診断も実施されます。

    安全態度/危険感受性

    ドライバーの安全運転に対する考え方と危険予測・判断の妥当性を測定します。

    CGの運転シミュレーションによる模範運転データで測定、または問診方式の診断、どちらの方法か選びます。CGによる運転シミュレーションは意図しないふらつきなど正確に診断できない可能性が高く、NASVAでも実際の診断は問診方式での診断を推奨しています。

    すべての検査が終了したら、検査結果が表示されます。前回も検査を受けている方の場合、前回の結果との比較、同年代の平均値との比較がグラフで表示され、改善された点、不足した点が解説されます。表示された結果を確認した後は、一般診断以外は各診断に応じたカウンセリングを受けることになります。最後に、今回の診断結果がプリントアウトされた用紙が封筒に入れられて渡されますので、検査結果は会社の担当者に渡しましょう。
    結果と改善点をしっかりと受け止め、今後の運転で気を付けるポイントを明確にして事故防止につなげてください。

    まずは毎日の運転状況を見える化して安全運転を徹底しよう

    適性診断の受講は初回こそ必須とされていますが、以降は必須とはされていません。しかし、時間が経つとともに安全運転への意識が薄れてきたり、身体の変化は起こったりします。安全運転と無事故無違反を徹底したいならば、安全運転管理者が日頃からドライバーの運転状況や体調を把握し、適切な指導を行わなくてはなりません。

    そこで毎日における高度な安全運転診断を可能にしたのが、スマートドライブの提供するSmartDrive Fleetです。取り付け工事は不要、月々2,480円〜から利用できるという手軽さがポイント。

    自動車運送事業者にとって、一番大事なことはどんな事故も0に近づけること。SmartDrive Fleetでは非常に高精度な安全運転診断機能を備えているため、個々のドライバーの運転の癖をしっかり突き止めます。危険な運転を察知したら管理者に通知で知らせることもできますし、運転のクセや苦手箇所を明確することで、適切な安全運転指導を実施することができます。一つひとつ危険運転の原因を潰していくことで、事故を大幅に減らすことができますし、お互いに安心かつ快適に業務を進めることができるでしょう。

    事故防止や安全意識を向上させるには、毎日の積み重ねと習慣化が大事です。こうしたツールを利用する最大のメリットは、ドライバーが自分自身の運転を毎日確認できること。徐々に運転の癖がなおり、安定した走行ができるようになったらしっかり評価をするなどして、ドライバーのモチベーションを保ってあげましょう。

     

  • 【2019年度版】 IT導入補助金を活用して事業を加速させるには

    【2019年度版】 IT導入補助金を活用して事業を加速させるには

    「慢性的な人手不足に悩まされている」「業務効率をあげたいけど、新たなツールを導入すると金額がかかるし、今すぐに取り入れるのは難しい…」

    中小企業や小規模事業者が持続して事業を営むことができるよう、各企業の目的やニーズにあったITツールを導入するための資金を一部サポートするのが、IT導入補助金制度です。近年ではとくに、人手不足倒産や長時間残業によるニュースが後を絶ちませんが、そうした問題を少しでも解決へと導き生産性を向上させるために、現在ではさまざまなITツールが開発・提供されています。是非ともこの制度を活用して、生産性や経営力の向上を目指しませんか?

    IT導入補助金とは?

    IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的として、経済産業省が2017年から始めた制度です。各企業の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、デバイス、サービス等)を導入する経費の一部を補助し、業務効率化・売上アップをサポートすることで、働き方改革の実現を目指します。

    補助金の対象となるのは、決済システムや経理・会計システム、一元管理する顧客管理や車両管理システムといったITツール、ホームページなどの制作費用など、多岐にわたるもの。補助対象経費には、業務フローのシステム化やRPA等による高度な連携・自動化を促進するツールの導入も可能です。幅広い業種が対象になっており、過去の実績として以下のようなツールの導入事例があります。それぞれ、ツールを導入した企業は業務が円滑になったり、残業時間がなくなったり、手書きによる転記ミスがなくなったりと、効果が現れているようです。

    介護業・保育業:顧客管理、原価管理、業務管理
    飲食業:決済システム、原価管理、業務管理、予約管理、財務・会計管理、給与管理
    運輸業:車両管理システム
    建設業:3次元設計ツール、販売管理、顧客管理

    申請は年に一度、決められた期間のみ可能です。この制度をうまく活用して、自社がいま、足りないものは何か、業務効率を上げるために何がネックになってるのかなど課題を洗い出し、経営を加速させるツールを導入しませんか?

    IT導入補助金の申請前に知っておくべきこと

    IT導入補助金の申請を行う前に、
    ①申請資格があるのか
    ②申請をいつまでに行うのか
    をまずは理解しておかなくてはなりません。

    以下の表より、自社が補助金申請の資格があるかどうかをご確認ください。

    ただし、上記の業種と要件に当てはまったとしても、以下のいずれかに該当する場合、補助金を申請することができませんのでご注意ください。
    (1)次の3つのいずれかに該当する事業者(いわゆる「みなし大企業」)
    ・発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小 企業・小規模事業者等
    ・発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
    ・大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
    (2)IT導入補助金2019において「IT導入支援事業者」に登録されている事業者
    (3)経済産業省から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
    (4)風営法に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」および「接客業務受託営業」を営む事業者(旅館業法に規定する許可を受け旅館業を営む事業者を除く)
    (5)過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
    (6)暴対法に規定する暴力団等の反社会的勢力に関係する事業者
    (7)宗教法人
    (8)法人格のない任意団体(例)同窓会、PTA、サークル等
    (9)その他、本事業の目的・趣旨から適切ではないと経済産業省および事務局が判断する者

    申請の種類と申請期間

    補助金の申請には「A類型」と「B類型」の2つの種類があります。「A類型」と「B類型」ではまとめて導入すべきプロセスの数と補助金額が異なりますので、表に記された条件に目を通してどちらかを選択します。

    補助率 補助額
    A類型 1/2以内 40万円以上〜150万円以下 ・下図のソフトウェア内(赤枠内)から計2プロセス以上(その際、青枠内から最低1つ以上)をまとめて導入する場合。

    ・上記を必要条件としてオプションや役務に係る各経費も合わせて補助対象となります。

    ※スマートドライブ はA類型です。

    B類型 1/2以内 150万円以上〜450万円以下 ・下図のソフトウェア内(赤枠内)から計5つのプロセス(その際、青枠内から最低1つ以上)をまとめて導入する場合。

    ・上記を必要条件としてオプションや役務に係る各経費も合わせて補助対象となります。

    ただし、以下は補助金の対象外です。
    ・パソコンやタブレットなどのハードウェア、既存パッケージの利用ではなく、独自にシステムを開発すること、ソフトウェアの大幅なカスタマイズ
    ・広告宣伝費
    ・VR、AR、デジタルサイネージ用のコンテンツ制作やコンテンツ配信管理ツール
    ・リース料金
    ・恒常的に利用ができないシステム
    ・利用者が所有する資産やブランド価値を高める目的のシステムなど

    A類型およびB類型、それぞれの申請期間はこちらをご参考ください。

    1次公募 A類型 B類型
    公募期間 5月27日(月)〜6月12日(水) 5月27日(月)〜6月28日(金)
    採択予定日 6月26日(水) 7月16日(火)
    2次公募
    公募期間 2019年7月17日〜8月23日
    採択予定日 2019年9月上旬<予定>

    IT導入補助金申請から導入までの4ステップ

    ここまでご理解いただけましたら、次は具体的に申請を進めていくための4つのステップを紹介します。

    ステップ1.  申請に必要な要件を理解しよう

    実際の申請には、以下のような状況を満たさなくてはなりません。
    ・日本国内で事業を行っている個人・法人であること。
    ・携帯電話番号を登録している(申請に必要なパスワードがSMSで届くため。また、必要に王子で事務局から連絡する場合は必ず応答すること)こと。
    ・労働生産性の伸び率について数値目標を作成する必要があること。
    ・「SECURITY ACTION」の一つ星、または二つ星の宣言を行うこと。
    ・履歴事項全部証明書、納税証明書、本人確認書類を提出すること。
    ・売上や原価、従業員数、就業時間など、生産性についての情報を事務局に報告すること。
    補助金の申請資格があり、実際に申請を行う際は、IT導入補助金事務局に登録された「it導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することになります。
    また、交付規程が記載されたPDFもありますので、より理解を深めたいご担当者様はダウンロードのうえ、お目通しください。

    ステップ2. 自社が必要なITツールを検索する

    補助金の交付が受けられるITツールは、IT導入支援事業者が事務局に登録したツールのみとなります。登録がされていないツールは補助金対象外となりますのでご注意ください。まずは自社で導入したいITツールとそれを販売しているITベンダーがIT導入支援事業者として事務局に登録されているかを確認しましょう。

    出典:IT導入補助金2019

    ①IT導入補助金2019のIT導入支援事業者・ITツール検索のページを開きます。

    出典:IT導入補助金2019

    ②すると、業種・営業エリア・法人名/幹事社名・コンソーシアム名・改善を希望する業務プロセス(複数選択可能)・事業計画策定のサポートの有無・セキュリティ認証の有無について入力するページが表示されますので、自社の希望をチェック、または入力します。ここでたとえば、「運輸業/東京都(エリア)/業務固有プロセス(実行系と支援系それぞれ)」にチェックを入れてみましょう。

    ※スマートドライブ はA類型です。

    ③検索ボタンを押すと、検索結果に自社の希望に沿ったツールを提供する企業と企業の詳細が出てきます。リンクに記載された詳細と取り扱いツールをクリックすると、企業情報と各企業がどのようなサービスを提供しているのか、搭載されている機能、販売価格帯などを確認することができます。

    IT導入支援事業者一覧からは、全国の登録事業者をリスト化したPDF がダウンロード可能ですので、こちらもご活用ください。

    ステップ3. いよいよ手続きへ!

    IT導入支援事業者とITツールの選定ができたら(契約ではありません)、「SECURITY ACTION」を実施します。
    ① 「SECURITY ACTION」を実施するには
    SECURITY ACTION自己宣言者サイトへアクセスし、使用規約を確認します。自己宣言の新規申し込みを行い、アカウントを登録。申し込み手続きが完了しましたら、ロゴマークをダウンロードしてください。

    出典:SECURITY ACTION

    ② 交付申請
    「SECURITY ACTION」マークのダウンロードが完了しましたら、次にIT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
    IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受けたら、代表者氏名など申請者の基本情報を入力し、『申請マイページ』にある「経営診断ツール」を使用して経営診断を行ってください。診断結果を確認したら、交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行います。その後、IT導入支援事業者が導入するITツール情報、事業計画値を入力し、『申請マイページ』上で入力内容を最終確認します。最後に、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出して完了です。

    ステップ4. ITツールの発注・契約・支払いから補助金の交付まで

    事務局から「交付決定」を受けた後に発注・契約・支払いを実施することができます。ただし、連絡が届く前に行ってしまうと、補助金の交付を受け取ることができませんので、ご注意ください。交付決定後は、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出します。事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認ができるようになります。

    そのほか、詳細については「IT導入補助金 2019」のサイトをご確認ください。

    スマートドライブも2019年度IT導入支援事業者に登録しています!

    スマートドライブマガジンを運営するスマートドライブでは、ドライバーの安全を守り、リアルタイムで車両管理が行える「Smart Drive Fleet」を提供しています。2019年度、IT支援事業者として登録させていただきましたので、これを機に、企業が抱えていた数々の課題をよりスピーディに解決し、業務の効率化を目指すことができますよう、みなさまの業務を全力でサポートしていきたいと思っております。

     

    Smart Drive Fleet」は運輸業、建設業、介護業、保険・金融業、不動産業、医療業などなど、数多くの業界において活躍するサービスです。お客様が管理されている車両の位置と走行データを、シガーソケットに装着したデバイスを通じてクラウド上に自動送信。 車両管理者は、PCのブラウザにログインするだけで全ての車両の位置と走行データをリアルタイムに確認することができます。使い方も非常に簡単ですので、ドライバー・管理者ともに直感的な操作が可能です。

    主な機能:

    (1) 保険、定期メンテナンス情報などの車両情報一元化
    保険や定期点検、メンテナンスなど、多くの車両を保有しているといつ・何を・どの車両に実施すべきか、煩雑な管理に手を焼くものです。車両に関する情報を一つの場所に集め、メンテナンスや点検の時期がきたらアラートで通知するため、管理者の負担を大幅に削減できます。

    (2) 運行日報・集計の自動化・ペーパーレス化
    手書きの勤怠入力や運転日報は、本来の業務以外の時間を取られてしまうため、従業員の方にとって手間がかかり負担になるものです。スマホのタップで簡単に記録できれば、時間をかけずに正確な情報を残すことができます。これにより、さらなる業務時間の削減と適正な運行が可能に。集計も自動化してくれるので、総務の方の負担もありません。

    (3) ドライバーの運転傾向の可視化による安全運転指導体制の確立
    非常に高精度な安全運転診断機能を備えているため、危険な運転を察知したら管理者に通知で知らせることもできますし、個々のドライバーの運転のクセや苦手箇所を把握し、適切な安全運転指導を実施することができます。一つひとつ危険運転の原因を潰していくことで、事故を大幅に減らすことができますし、お互いに安心かつ快適に業務を進めることができるでしょう。

    (4) 各車両の稼働実績の可視化による必要車両台数の把握
    稼働率の可視化によって、低稼働の車両を減車対象にするなどコスト削減への施策が明確に。車に関するコストの見直しが行えます。また、走行状況が可視化されることにより、燃費効率の悪いドライバーに指導を行ったり、稼働率が低い車両をカットしたり、車両や人件費に関するコストの見直しをはかることができます。

    (5) ドライバーの正確な勤務実績の自動記録
    手書きでの勤怠入力だと自己申告になってしまいますが、自動入力にすることで正確な労働時間を記録できます。また、義務化されたドライバーの荷町時間の記録も可能です。

    (6) リアルタイム運行状況把握による顧客からの配送状況お問い合わせへの迅速な対応
    GPSにより、リアルタイムでの居場所がわかるため、お客様への迅速なサービス提供や的確な配送の指示が行えます。位置情報がわかることで、現場近くのスタッフへの急な指示出しも可能に。

    (7) 顧客訪問実績の可視化による営業活動の生産性向上
    日々の業務量や走行ルートを把握できるため、訪問件数や運行ルートを改善させる活動の最適化が行えます。

    導入した企業の具体的な活用事例を記した資料も請求できますので、ぜひ、こちらからお気軽にお問い合わせください。

  • リバースロジスティクスは物流業界が抱える問題解決のメソッドになるか

    リバースロジスティクスは物流業界が抱える問題解決のメソッドになるか

    環境問題や資源・廃棄物問題を目前にした物流業界にとって、近年その戦略性や経済性に注目が集まっているのが、この記事で解説するリバースロジスティックスという概念です。

    当初、リバースロジスティクスはその名前が示す通り、物流チャネルにおける消費者から製造者への製品逆流、つまり「返品」のことだけを指していました。しかし、サプライチェーン成功のカギを握るこの概念は、年数を経て大きく変貌を遂げているようです。

    リバースロジスティクスとは~概念誕生の経緯と変遷の歴史~

    初期のリバースロジスティックス(以下本文中ではRLと表記)は、損傷・期限切れ・誤配などによって製品が通常のロジスティックスと逆方向に移動する事だけがフォーカスされ、詳しい研究などは行われていませんでした。

    そんなRLへの視座を転換させたきっかけとなったのは、James R.Stock教授が米国ロジスティクス管理協議会の委託研究成果にもとづき1992年に発表した「CLM白書」です。

    同教授は白書の中でRLを単なる製品の逆流と捉えるのではなく、素材の代替・再使用、廃棄物処理方法の見直し、修理による製品の再利用、解体部品の再生による製造などへ視野を拡大し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)実現に寄与する、「還流ロジスティックス」として、システム化・運用すべきだと提唱しました。

    これまでサプライチェーンにとってコストがかかるものでしかなかった、製品の返品・回収・再在庫いうプロセスにおいて、単純に処分するのではなく手を加えて様々な2次マーケットで再販売を行う−−つまり、新たな価値を得るための体制の構築・管理・育成を、物流業界全体で進めるべきという考えに変遷してきているのが「現代版RL」なのです。

    リバースロジスティクスの具体的な取り組み事例

    国内の主要業界の中で、もっとも製品の回収・再販システムが確立しているのは自動車業界です。欠陥製品を生産メーカーが大々的に公表し、回収・無料修理するリコール体制の徹底は他のサプライチェーンと比べても圧倒的にですし、中古車の買取・転売・輸出、構成パーツのリビルト(再生部品)、鉄資源の再利用などの2次・3次マーケットが数十年前から張り巡らされているので、まったく再利用されずにそのまま廃棄されてしまう自動車は存在すらしません。

    物流業界に目を移すと、RLへの取り組みが他国より進んでいるのは米国です。世界3大物流会社の一角であるFedExは、2015年、同国屈指のRL企業であった「GENCO ATC」を14億ドルで買収しました。そして現在は年間3億5,800万点にものぼる返品回収や返金サービス、修理・リサイクル・廃棄物処理などリバースロジスティクスプロセスをワンストップ体制で対応しています。

    また、FedExはGENCO ATCを買収する前年に、世界200以上の国と地域で国際EC取引対応ソリューションを提供していた「Bongo」も吸収合併し、14カ月後に「FedEx CrossBorder」と改名した後、サービス提供を始めています。具体的には、電子商取引プラットフォームおよび、プラットフォーム内で機能する、関税・輸入コンプライアンス遵守、安全な支払い処理、多通貨価格設定、クレジットカード詐欺防止などの支援ツールを提供していますが、これによってFedExはグローバル化が進むECビジネスにおいて、参入が難しかった中小EC業者の巨大な受け皿となったのです。

    2つの巨大買収により、FedExにおける「還流ロジスティックス」は完成形に近づき、元々強力だったフォワーディング能力と相まって、単なる3PL企業としてではなく、ロジスティクス関連業務を包括的に取り扱う次世代型物流企業へと進化しつつあります。

    物流企業がリバースロジスティクスに取り組むべき理由

    RLは本来、資源利用削減・廃棄物削減などに対する環境問題への対処に重きが置かれ、誕生した概念です。しかし、前述した現代版RLはその概念を基盤に企業戦略と経済効果が追加されたものであり、FedExにおけるRLへの取り組みはその最たるものだと言えるでしょう。

    なぜ、物流業界のトップランナーであるFedExが莫大な資金を投じてまで、還流ロジスティックシステムの確立を推進しているのでしょうか?それはRLの出発点である「返品」という行動が、「いつ・どこで・どのぐらい」発生するかわからないためです。

    顧客へ製品を届けるフォワーディングは、受注量や納品スケジュールが決まっているため、管理システムの構築が比較的容易ですが、その逆となるRLは予測が難しく、そう簡単にはいきません。ならば、いっそのこと繋げて一括管理してしまった方がいいだろうというのがFedExの発想です。

    BtoBにおけるRLの場合は、ある程度の量をまとめ、すでに依頼している3PL企業を介して輸送することが可能ですが、BtoCでのRLでは荷物を1件ずつ回収したり、郵送してもらったりする必要があるため、対応が遅れるとたちまちユーザーからの支持が下がることになります。

    昨今は、商品に直接触れることなく簡単にモノを購入できるECサイトの普及により、購入後に「思っていたものと違った」からと、返品するケースも増えています。配達量そのものが莫大な数になっているうえ、再配達数さえも減ることを知りません。人材不足にあえぐ国内の物流業界にとっては、不定期・不定量でゲリラ的に発生する「返品・回収」へ対応することは、年々困難になっています。

    一方、国際的EC関連企業を飲み込んだFedExの場合、偶発的に発生するユーザーの返品行動をIoTデバイスでデータを取得・分析しています。そのデータから得られた情報を自社のフォワーディング部門と密に連携し、効率的な配車と人員配置をすることによって、スピーディーなRLとコストカットを可能にしているのです。

    FedExの行っているRL対応は、勢いを増すばかりの「物流」という川へ、自前で巨大なバイパスを通すような大規模工事だと言えるでしょう。

    ただ荷物を配送先に届けるだけではなく、返品や回収といったRLをどのように取り扱い、戦略していくか。消費者や顧客からの返品に関する要望に耳を傾ける円滑なRLシステムは、エンゲージメント向上にも繋がり、しっかりとした戦略を構築することで収益の増加もみこめるようになるでしょう。

    リバースロジスティクスは今後どのように進化していくか

    先進国である米国に比べて、やや対応が遅れている印象の国内の物流業界ですが、大手物流企業の中にはこの取り組みを急ピッチで進めている企業も少なくありません。佐川急便では回収サポートシステム「回収くん」を運用しており、簡単便利なサービス内容によってさまざまな企業で導入されています。

    また、国内ロジスティクスの生産性を高めるべく設立された「日本ロジスティクスシステム協会」では、さまざまなデータの分析やシステムの研究を行い、2000年代初頭からRLについて議論されています。

    しかし、中小業者が乱立しているうえ、分業制であるため、ロジスティクスの各チャネルが細分化・独立した状態です。そのため、RLシステムの構築と適正運用に不可欠な、配車可能台数と稼働できるドライバー数(運送業)、返品数及び余剰在庫数(製造・卸・倉庫管理業)、修理・素材や部品の再生ノウハウ(製造・リビルト・修理専門業)といった情報の共有が、一向に進んでいません。

    FedExと並び、世界3大物流業者と称されているDHLの日本法人では、現場での設備・機器の設置や取外作業と管理、不具合品の受取り・仕分け・検証と修理、初期不良品(リコール)の迅速交換への大規模なRL・ソリューションの提供を始めています。またUPSジャパンにしても、処理の合理化によるゴミや資源の無駄を削減し、既存の商品からの継続的な収益の獲得を実現する、ハイクオリティーかつ広範囲にわたる優秀なエンドツーエンドサービスで荷主をかき集めています。

    このままでは、大手はともかく、国内の中小物流業者は品物を慌ただしく運び、倉庫で管理するだけの存在になりかねませんので、一刻も早く業者間や業種の垣根を超え広く情報を共有し、「現代版RL」に対応したシステムを構築・運用すべでしょう。

    物流業界でRLがうまく進まない理由はもう1つあります。それは企業利益の源が「製品」自体ではなく、運搬・倉庫管理に伴う「作業料」となるため、リサイクル業という大きなビジネスモデルについての意識が薄い傾向にあるということです。そこでお手本とすべきが、RLという概念が登場するはるか前から商品の還流サイクルが確立していた自動車業界です。物流業界と同じく分業制で、部門ごとに中小業者が乱立してはいますが、一定のルールによって運用されている「業者間オークション」が後方で支えていることが大きいでしょう。

    中古車の売買が行われる業者間オークションには、そのままの状態で継続走行できるレベルの車体だけでなく、修理が必要な車体、もはやパーツ取り・資源回収しかできないボロボロの中古車も同じように出品され、日々大量に落札されています。関連する法整備は必要ですが、物流業界も大規模な業者間オークションを開設し、返品理由や不具合箇所などを明記したうえで余剰在庫などを出品、小売・卸・修理・リサイクル業者に落札してもらう、そんな二次マーケットを生み出すことも一つの手だと言えるのではないでしょうか。

    また、荷主からの値下げ要請に応えざるを得ない運送業も、建築業が古くから導入している「入札制」を取り入れることによって、なかなか進まなかった業界再編スピードが増し、外資系に対抗できるような力を得ることができるかもしれません。

    いずれにしても、業者の淘汰を伴う取り組みになると考えられますが、国際的物流企業による日本市場への進出が顕著さを増している昨今、人出不足の解消や働き方改革を一気に進めるような、思い切ったRL改革が必要になってくるでしょう。

     

  • 高速化するイノベーション~「ロジスティクス4,0」で変わる物流ビジネス

    高速化するイノベーション~「ロジスティクス4,0」で変わる物流ビジネス

    ロジスティクスはもともと戦闘地帯における作戦行動に必要な物資供給・支援や、人員の移動などを意味する軍事用語でしたが、経済活動に転じてからは原材料調達から商品の生産・販売に至るまでの物流プロセス、もしくはサプライチェーン・マネジメントの一部とされています。

    米国ではマーケティングの一部として、20世紀の早い段階から大学や企業団体による研究・教育が進められており、日本のロジスティクス研究はそれより10年近く遅れていますが、そこへ追いつくべく高速でイノベーションが生まれています。

    今回は、ロジスティクスという概念の誕生から現在までの変遷を振り返り、第四の波とされる物流イノベーション、「ロジスティクス4.0」について解説します。ロジスティクス4.0によって未来の物流ビジネスはどのような予想図を描いているのでしょうか−―?

    変化を遂げてきたロジスティクス・イノベーション

    ロジスティックスという概念が登場したのは案外古く、農業における生産物の流通コスト削減やマーケティング戦略を論じる書籍の中の“いち経済用語”として登場しました。

    そんなロジスティックスに大きな変化が現れたのは、19世紀中盤から始まった輸送のモータリゼーション化から。高速道路の整備とトラックの普及により、これまで船舶に頼っていた大量輸送が高速輸送可能な陸上輸送へ、大幅に転向していったことで一気に物流革命が巻き起こりました。また、鉄道でのコンテナ輸送や航空機による空輸など、輸送の選択肢が増えたこと、そして海上輸送も大型機船・汽船の普及により安定性が向上したことで、ロジスティクス・イノベーションは「大量輸送時代」へと突入。これが「Ver,1,0」、物流イノベーションが起きた瞬間でした。

    1960年代から先に進むと荷役の機械化による「Ver,2,0」がやってきます。ここまでは人力でトラックへの荷積みをしていたものが、フォークリフトの普及によって機械による荷積み作業を可能に、そして船舶・鉄道・航空機ではコンテナによる一括荷役が可能となりました。さらに、物資を保管管理する倉庫においても、自動仕分け・自動ピッキングをする物流機器が一部実用化されるなど、ロジスティクスが大幅にアップグレードします。

    ロジスティックにおける機械化の流れは1980年代に入るとさらに加速し、次のようなITシステムの導入によってさらに効率的な「Ver,3」へと変貌を遂げます。

    • WMS・・・倉庫に入荷した物資が出荷されるまでを管理するシステムで、在庫管理・貨物ロケーション管理・各種帳票作成などの機能を有している。
    • TMS・・・輸配送管理システムのことで、効率的な配車・運送計画の作成やGPSによる車両位置把握、その他荷主ごとの運賃データ出力や、運行日報の自動作成・荷室内の温度管理を可能にする機能を持つシステムも登場している。
    • NACCS・・・入出港する船舶・航空機および輸出入貨物について、税関での手続きや関連する民間業務をオンラインで処理するシステムのこと。2010年2月にこれまで別々に稼働していた、空・海のシステムが統合され利便性が向上。

    そして今、私たちの時代は、ロジスティックは進化するIoT、AI、ロボットテクノロジーを駆使して、人の力を必要としない完全な機械化・自動化を実現させた物流イノベーション、「Ver,4,0」の世界へ突き進んでいる真っ最中です。

    ロジスティクス4,0は物流の何をどのように変えるのか

    ロジスティクス3,0までは、機械化・システム化・インフラ整備などを取り入れることで、物流における各作業の効率アップを図ることが最たる目的でした。そして遅ればせながら、日本も先行する欧米各国に追随して普及が急進していきます。

    一方、ロジスティクス4,0は物流プロセスを省人化しつつも、生産性は向上させるという考えが軸にあります。日本の倉庫・運輸業における労働生産性は米国と比較して非常に低く、経済産業省が毎年発表する「通商白書」によると、1990年時点で約92%だった米国との格差は、2009年には約62%にまで拡大しているということです(いずれも同年米国労働生産性を100%しています)。

    Amazonや楽天をはじめとするECサイトの普及拡大に伴い物量が増加している半面、慢性的な人出不足が続くことで人件費が上昇し、否応なく生産性を引き下げているのです。そのため、高度な倉庫ロボットや自動運転の導入によって生産性の向上が実現すれば、国内物流業界が抱える「3K(キツイ・汚い・くさい)」や「人出不足」といった課題の大幅な解消が期待できるということです。

    そうした背景から、「省人化」を目指すロジスティクス4,0への移行が急務とされていますが、国内の物流業界にはそれを阻む2つの大きな障壁が存在します。

    1つ目は、100人以上の業者が22%以上を占める米国に対し、日本の倉庫・運輸業者はわずか4%程度であること。国内の業者の約半数が10名以下で運営されているため、ヤマト運輸や日通などの大手はともかく、大規模なシステムやITロボットを導入したくてもコスト面で困難です。ロジスティクス4,0において、先行している国際物流大手のDHLやFedExは、M&Aによる事業規模拡大とロジスティック・プラットフォーム標準化に成功し、グローバルかつ互換性に優れたサプライチェーンを構築しました。

    日本郵便も日通と共同出資で、両社の宅配便事業を統合する受け皿会社、「JPエキスプレス」を2010年に設立したり、豪国のロジスティクス企業トール・ホールディングスを買収したりするなど、業界再編を目指しましたが思うような結果を出せず、前者に至っては設立翌年に倒産しています。

    2つ目は、国内物流業界が元来持ち合わせている特有の古い体質にあります。言い換えてしまうと、業界再編とロジスティクス・プラットフォームの標準化が遅れている原因はここに隠されている可能性もあるということです。

    日本の物流オペレーションは、荷主ごとの個別ニーズに合わせ、高品質のサービスを提供する「オートクチュール型」で、契約範囲や価格などに統一性がなく問題が発生した時の業務改善法も個々に違います。それどころか、中小業者の乱立に伴って価格競争の激化し、むちゃな値引き交渉に応じたり過剰なサービスを提供したりと、労働生産性が低下する要素は数え切れないぐらいあるのです。

    一方、欧米の物流オペレーションは物流業者側から荷主に対して、ロジスティクスの高度な知識や指標に基づく提案と価格提示を行い、荷主に理解を得たうえで契約と作業を進める「プレタポルテ型」というスタイルを取っています。

    世界銀行が160ヵ国を対象にアンケート調査した、「Logistics Performance Index 2016」によると、日本の物流パフォーマンスに対する評価は第12位という結果でした。決して悪い順位とは言えないものの、欧米諸国はもちろん、欧米型物流オペレーションを早くから導入しているシンガポールや香港に劣っている点を考慮すると、ロジスティクス4,0時代に備え、国内の物流業界は欧米型への転換時期に差し掛かっていると言えるでしょう。

    すでに動き始めているロジスティクス4,0

    多岐にわたる物流プロセスにおいて、IoTテクノロジーの活用による省人化、もっともロジスティクス4,0へのアップグレードが進んでいるのは倉庫管理の分野です。

    世界的EC大手のAmazonでは、1日当たり20km以上倉庫内を歩き回らなければならなかったピッキング作業員の労働環境を改善するため、2012年にロボットメーカー「Kiva・Systems」を買収しました。そして、自社製の倉庫ロボットを開発・導入し自動化を進めた結果、今では作業員は一切歩行する必要がなくなり、大幅に生産性が向上しました。また、日立製作所もAmazonのロボットとほぼ同じ機能を持つ、小型・低床式無人搬送車「Racrew(ラックル)」を開発し、「モノタロウ」の物流拠点などに納入されすでに活躍しています。

    物流のキープロセスとなる運搬・輸送分野に関しては、省人化が進んでいるとは言い難いところですが、こちらも先行しているのはやはり欧米諸国の方です。

    世界最大のトラックメーカーのダイムラーは、高速道路を80km/hで自動走行できるトラックを開発、ドイツやアメリカ、中国でなどで公道走行試験を繰り返しており、2025年をめどに実用化を目指しています。さらにロールス・ロイス社は、陸上の集中制御室で複数の船舶を操舵するケースを想定し、最終的には乗組員不在で運用することができる、ドローン船の開発・実用化へと取り組んでいるのです。

    無人ドローン船が日の目を見る日が来た場合、乗組員の居住スペースが不要になり、燃費効率の向上や積載スペースの拡大も期待できるため、自動運転トラック以上の経済効果を物流業界にもたらすと言われています。

    しかし、自動運転トラックにしろドローン船にしろ、国内外のメーカーはまだ実験を重ねている段階でしかなく、安全かつスムーズな実用化へはもう少し時間がかかりそうです。どちらもの物流業界に導入するには法律や保険制度の整備が不可欠であるため、運搬・輸送の「完全無人化」実現はまだまだ先の話だと言えるでしょう。

    とはいえ、運搬・輸送の省人化を「人的労力の省略」と捉えれば、労働時間の短縮や作業の簡略化を図ることができますし、パワードスーツの採用や部分的な自動運転の実現により、「3K」というレッテルから解放されれば人材が確保できる道も見えてくるはずです。

    正確には自動運転と定義されないレベル2以下、現在国内法で公道を走行できる「運転支援技術」が搭載されたトラックを導入するだけでも、ドライバーの疲労軽減や事故予防につなげることができ、生産性が向上します。

    物流のラストワンマイルについてはAmazonやDHLがドローンの実用化を急ピッチで進めていますが、国内大手プラント会社の千代田化工建設は、資材管理にドローンを活用し、大幅な業務効率化に成功しています。日本経済新聞の報道によると、同社はプラント建設現場に数十万点ある資材へICタグを付け、上空から無線通信で物資の所在を確認できるシステムを構築。

    これにより紛失・盗難への警戒など、管理に必要な人手を最大3分の1にまで減らせたとのことです。この事例で採用されたドローンの価格は約75万円、ICタグは1つ50円未満で高度なシステムの構築も不要であるため、国内の中小物流業者でも、導入コストをかけることなく取り入れることができるのです。

    ロジスティクス4,0が描く物流の未来図

    物流業界の次世代ビジョン、ロジスティクス4,0が完全に昇華されれば、倉庫では作業員の姿が消え、自動運転トラックとドローン船が休みなく陸・海を走り回り、エンドユーザーへ空中輸送するためのドローンが飛び交う、そんな物流の新時代がやってきます。

    そこに到達するにはまだ時間を要しますが、ロジスティクス4,0によって省人化が現在より少しでも進めば、人的要素で物流パフォーマンスが変動することはなくなりますし、プラットフォームが標準化すればノウハウによる企業間格差も縮小していくでしょう。裏を返せば、ロジスティクス4,0に乗り遅れてしまうと、これまでに3度到来した変革期以上に過酷な自然淘汰の波にさらされることも考えられます。

    普及スピードはともかく、ロジスティクス4,0という概念が今後、物流ビジネスに共通するベクトルとなっていくのは明らかです。物流業者はもちろん、今後は荷主側のメーカーも物流を効率的に利用するシステムを構築すべきなのかもしれません。

     

  • 【対談】後編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

    【対談】後編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

    「走行データでここまでわかる!Vol.2」はこちらから

    この企画では、Google社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸に事業を展開している、株式会社プリンシプルのチーフエバンジェリスト、木田和廣(きだかずひろ)さんに、データの分析結果をどのように読み解き、改善へつなげていくべきか、実際の走行データをもとに解説いただきます。

    Vol.1では、急加減速数をさまざまな角度から見て、どのようなインサイトが得られるかをお話しいただき、Vol.2ではドライバーの個別データからわかることをご説明いただきました。今回はドライバー以外のデータと全体像を把握するためのデータの読み方についてお話しいただきます。

    ◇           ◇            ◇

    木田:「Vol.1とVol.2ではドライバーの走行データを中心に分析を行ってきました。Vol.3では、さらなる可能性を広げるために、まず、荷台温度のデータから見ていきましょう。」

    木田:「こちらは荷台温度のデータです。スマートドライブ社では走行データに追加する形で各種データも取得できるため、食品を配送するトラックという想定でデモデータを分析しました。
    冷蔵庫内の温度を『最低温度』『最高温度』『基準温度』の3つに分類してから適正な温度を計測し、車両IDごとに平均最高気温と平均最低気温を出しました。基準温度はグレーで色づけした箇所です。」

    大里:「2台だけ、基準温度から突出した車両がいますね。」

    木田:「今回はデモデータですので、他と比較しやすいようにあえて異常値を付けさせていただきました。この2台を除くとほとんど車が基準値内に収まっていることがわかりますよね。
    異常値が出た場合は荷台に何からの問題があと考えられるため、早急に点検を行うべきだと判断できるようになります。
    ここで少し視点を変えてみましょうか。荷台温度の平均は基準値に収まっていても、この結果からは庫内の最高温度が明確にわかりません。あくまで“平均”という枠内で物事を見ているからです。しかし、本来であれば、常に適正温度を保たなければなりませんよね?」

    大里:「そうですね。」

    木田:「たとえば、平均値は問題なくても、何かのタイミングや時間の経過によって冷えすぎてしまったり、暑すぎてしまったりするケースもあるでしょう。
    平均という言葉は単純かつ理解が簡単なため、ついつい『平均内だから大丈夫』と近視眼的に捉えてしまいがちです。しかし、そこで油断をして問題が発生するケースが非常に多い。そのため、最高気温を最大値に、最低気温を最小値で取り、下記のようなグラフで表しました。」

     

    木田:「先ほど表示した結果と比べ、見え方が変わったと思いませんか。
    冷蔵庫の基準値は-5度から5度までです。平均ではほとんどの車両が基準値に収まっていましたが、絶対値でみると全車両とも基準値を超えるタイミングがあったとわかります。
    少し視点を変えるとこれだけ違いが出るのです。意外と単純な手法に見えますが、分析では多角的な視点を持つことが非常に重要なのです。」

    大里:「Webの世界でもよくあることではないでしょうか。アクセス解析でも、直帰率が高いページを改善しようと試行錯誤してみたのに、実際はページのセッション数が極端に少ないことが原因だったとか。」

    木田:「ですので、大局的に捉えることが大事です。そのため、一面で全体像を把握することができるよう、Tableauでは複数のワークシートを組み合わせてダッシュボードを作成できる機能を備えています。」

    木田:「ダッシュボードは、誰もが一目で全体像を把握できることが重要です。企業の代表者であれば、細かい分析結果を各々のページで確認する時間が取れなかったりしますので。左上には週別の1時間あたりの急加減速回数を折れ線グラフで表示したものですが、どちらかが多いから少ないからというものではなく、どちらとも危険につながるため回数をまとめました。
    企業の代表者はこのダッシュボード一面から安全運転の状況の全体感を把握するイメージです。これだけでも十分に運転傾向が見て取れますし、この結果をベースに管理者へ『来月は0.4まで下げることを目標に頑張ろう!』といった声がけをすることができます。」

    大里:「これなら、代表者も管理者もわかりやすいですし、数値で出ているので目指すべき場所が明確になりますね。」

    木田:「左下の散布図は、ドライバー毎の分析でお見せした1時間あたりの急加速と急減速回数の散布図です。点の一つひとつがドライバーでしたね。ここで、代表者や管理者が『このドライバーは、やけに急加速が多いけど大丈夫かな?』と点をクリックすると、次のようなページが表示されます。」

    木田:「このページでは、右側で先ほど選択した特定のドライバーだけのデータのみがハイライトされます。ここから読み取れることは、月間で16時間ほどしか走行していないのに、危険な運転が多いということです。走行回数が少ない割に危険な運転が多いということは、運転の癖が強いのか、初心者ドライバーなのか…何れにせよ、注意が必要なドライバーだと言えるでしょう。」

    大里:「そうですね。」

    木田:「同じように、右側のグラフから特定の走行回数のドライバーを指定すると、左側の分布図がハイライトされます。データにオープンな会社であれば、こうした情報を社内に開示してもいいのではないかと思っています。」

    大里:「それはなぜですか?」

    木田:「ドライバー本人が自分のデータを見ることで、自主的な改善を促すことができるからです。」

    大里:「なるほど。」

    木田:「Webでの分析もそうですが、収集したデータを可視化して、各セクションで自主的に改善できる状態がベストであると思っているのです。そのほうが現在地と目標地点が明確にわかりますし、改善速度も上がるのではないでしょうか。」

    ◇           ◇            ◇

    大里:「ここまで丁寧な解説をくださり、ありがとうございました。今回は、SmartDriveFleetで取得した走行データにダミーの従業員データと荷台の温度データを加えたもので分析を行いましたが、他にも走行データに組み合わせると面白い要素はありますか。」

    木田:「ドライバー歴ですね。ユーザーIDに紐づければいいだけなので分析も難しくありません。運転が未熟だから危険な挙動をしてしまうのか、慣れきっているから危険運転をするのか…運転歴によってどんな結果が現れるのか気になりますし、傾向がわかればドライバー歴ごとに適切な指導を行うこともできます。また、事故歴や従業員満足度といったデータもあると、さらに視野を広げた見解ができるのではないでしょうか。」

    大里:「ときどきWebの話が出ていましたが、Webの解析とデータの読み取り方は似ていますか?」

    木田:「非常に近いと思います。Webでいうセッション、つまりWebサイトに入ってきた起点の部分はエンジンをかけた走行開始のタイミングと同じですし、離脱はエンジンを切ったタイミングと同じです。1セッション=1走行、1ユニークユーザーの訪問回数も、1ドライバーの走行回数に置き換えることができます。」

    大里:「Webサイトの滞在時間は、ドライバーの走行時間と同じような視点で考えることができるんですね。
    非常にきめの細かいログデータも分析に必要な時がありますが、今回の走行データのようにある一定のレコードでまとまっているといいですよね。他には何か分析されました?」

    木田:「車両の稼働率も分析しましたが、当たり前すぎて面白くないかなぁ、と思って深く掘り下げませんでした。」

    大里:「未稼働の車両削減にも使えますか?」

    木田:「車両ID別の走行時間で見ればいいので、このグラフを見れば一目瞭然ですよ。」

    大里:「こちらは、経営者様にとって非常に重要なレポートになります。稼働率の高い車両と低い車両をうまく割り振ってリソース配分をするとか、単純に不要な車両を削減したりできるのではないでしょうか。
    プリンシプル社はマーケティング関連のデータ分析が専門領域だと思うのですが、今回のようにIoTで取得したデータの分析も対応されているのでしょうか?」

    木田:「もちろん対応可能です。たとえば、クレスト社が提供しているESASY(エサシー)というトラッキングツールでもさまざまな視点で分析を行っています。人の顔をカメラで検知できるため、店舗のディスプレイが見られた回数や店舗前の交通量数など、取得したデータを統合分析し、店舗経営に役立てていただいております。」

    大里:「エサシーは、入店率も計測できるそうですね。」

    木田:「はい、店舗前の通行量と店舗の入り口を通過した人数から、入店率を割り出すことができます。ディスプレイがどのくらい通行人の興味を引いていたか、それが時間帯によってどのように変化するのかなど、リアルな店舗状況のデータが可視化できますので、今まで見えなかった費用対効果や適切なターゲット戦略を組み立て直すことができるのです。」

    大里:「今後、IoTデータの分析はニーズが増えていきそうですね。今回の解説で、改めてデータは取得した”その先”が重要だと理解しました。本日はありがとうございました!」

     

    株式会社プリンシプル
    株式会社プリンシプルはGoogle社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸にデジタル広告、SEO、DMP構築、Tableauによるデータビジュアライズなどを支援するデジタルコンサルティングファームです。社員数約70名(アルバイト、インターン含む :2019年3月時点)。
    〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-2-5 トライエッジ御茶ノ水10階

    Tableauとは>
    米国シアトルに本社を置くTableau Software社のBI製品群。
    デスクトップアプリケーションのTableau Desktopで実現したビジュアル分析結果を、Tableau ServerやTableau Onlineといったクラウドソリューションと連携して、社内の情報共有基盤として利用する。
    データを活用して業績を伸ばしたい企業に多く採用されており、行政、通信、エネルギー、金融、製造、小売、サービス、旅行と採用企業は業界を問わない。
    ガートナー社のマジック・クアドラント(分析とBIプラットフォーム部門)で7年連続のリーダーポジションを獲得。

    【木田和廣(きだかずひろ)プロフィール】
    株式会社プリンシプル
    取締役副社長 / チーフ・エバンジェリスト

    商社、ソフトバンク系ネットベンチャーを経て、2004年からWeb解析業界でのキャリアをスタートし、2011年より現職。各種セミナーでの講師実績多数。Googleアナリティクス、Tableauについての書籍執筆。
    Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)、Tableau Desktop Certified Professional等の資格を保有
    2017年12月Tableau Jediを拝命。

    【大里紀雄(おおさとのりお)プロフィール】
    株式会社スマートドライブ
    マーケティング/PR

    Google アナリティクスを軸としたコンサルティングや、プライベートDMPの構築に長年従事し、前職では外資系マーケティングツールベンダーにてシニアビジネスコンサルタントとして活躍。
    2019年3月よりスマートドライブにてマーケティングおよびPRを担当している。

  • 【対談】中編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

    【対談】中編:走行データでここまでわかる!– プリンシプルのアナリストに聞くデータを最大限に活用する方法

    「走行データでここまでわかる Vol.1」は前編から

    この企画では、Google社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸に事業を展開している、株式会社プリンシプルのチーフエバンジェリスト、木田和廣(きだかずひろ)さんに、データの分析結果をどのように読み解き、改善へつなげていくべきか、実際の走行データをもとに解説いただきます。

    前編では、急加減速数をさまざまな角度から見て、どのようなインサイトが得られるかをお話しいただきました。今回はより具体的に、ドライバー個人に目を向けたデータ分析を行っていきます。

    ◇           ◇            ◇

    木田:今回は、ドライバー個人に目を向けたレポートを見ていきましょう。

    木田:「まず、このデータはX軸は「走行60分あたりの急減速回数」、Y軸が「走行60分あたりの急加速回数」で指標を取りました。このように、データを点でプロットしたものを散布図と言い、一つひとつの丸はユーザー(ドライバー)を表しています。ちなみに、2つの指標間には相関がありません。特定のユーザー(一つの丸)にフォーカスすると、1時間の運転の中で急加速は0.14回だけなのに対し、急減速は1.4回も発生しているといったドライバーの傾向が明確にわかります。」

    大里:「これだけの情報では、種々雑多なドライバーがいるということしかわかりませんね。」

    木田:「結果をもっと掘り下げるために、ここでクラスター分析を追加してみましょう。Tableauに設定されているK-means機能を利用してグループ化すると、クラスターごとに色分けできます。
    赤は急減速が少なく急加速が多い『急加速ドライバー』、青が赤の逆となる『急減速ドライバー』、急加速と急減速がともに多いのは紫で『乱暴ドライバー』、どちらも発生しない場合は緑の『安全ドライバー』です。」

    大里:「クラスターで分けると見える景色が一気に変わりますね。」

    木田:「このように可視化することで、ドライバーが100人在籍している企業でも、『君は急加速ドライバーだよ、急がなくていいからもう少しゆったり運転しよう』とか『君は乱暴運転しすぎたよ。事故につながるのでもう少し安定した走行を心がけようね』と各人にフィードバックができるようになります。分析した結果は安全運転教育や安全運転の啓蒙へつなげる材料に役立てていただきたいですね。」

    大里:「人事評価の1項目に取り入れてもいいかもしれませんね。」

    木田:「人事考課に取り入れるのは、安全意識向上への一手段としても良いかと思います。急加速や急減速は事故の原因を作るだけで、良いことはひとつもありませんから。小さい子どもがいきなり目の前に飛び出してから止むを得ず急ブレーキを踏んでしまった、ということはあるかもしれませんが、普段から予測型運転がしっかりできていれば、余程のことがない限り危険運転は起きないはずです。」

    大里:「結果を拠点長に見せてもいいですね。『この拠点は他と比べて乱暴ドライバーが多いなぁ。今後、安全運転教育を徹底しよう』といった改善策を指示することもできるでしょうし。」

    木田:「そうですね、場合によっては、拠点長が急かしている可能性もありますし、結果を見ることでその意識が変わるかもしれません。実際に、会社側のマネジメントや指導方法が一因となった悲惨な事故も起きていますしね。事故の素となる要因に気づき、少しでも改善へとつなげていければいいなと思っています。そのためのデータと分析ですから。」

    大里:「個人もそうですが、走行を可視化することで組織としても安全運転のレベルが上がっていくことを期待したいですね。」

    木田:「次は、年齢ごとの傾向をまとめたデータです。こちらのグラフを見ていただくと、年齢が上がるごとに急加速の回数が増えていることがわかります。」

    大里:「明確に出ますね。」

    木田:「これは仮説ですが、高齢の方は長年運転しているベテランドライバーが多く、ついつい荒めの運転をしてしまう傾向にあるのかもしれません。逆に、急減速は未熟なドライバーが起こしやすいようです。ベテランドライバーと違って、慣れていない分慎重すぎる運転をしているのかもしれませんね。」

    木田:次に私が着目したのは、急加速や急減速と疲労の関係性についてです。運転と疲労の関係性に関する具体的なデータは市場に出回っておらず、非常に取得しづらい要素でもあります。しかし、乗務回数が多ければそれなりに集中する時間が増えることになりますので、疲労の原因になると考えられます。ですので、ここでは1人あたりの乗務回数をベースに分析していきしょう。」

    大里:「面白そうですね。」

    木田:「この図では、乗務回数を10回ずつに分けてバケットソートしています。上のグラフが実数で、人数をカウントしたもの。たとえば、月に40〜49回乗務した人は12人いたということです。また、下のグラフは縦方向に100%で割合を表したものになります。ここから、乗務回数の最頻値は40〜70回くらいだとわかります。スマートドライブ社は走行データを数多く持ってらっしゃるので、長距離走行が多い企業の月間走行数は何回、短距離走行が多い企業は何回ということが把握できるかと思います。回数がわかれば、ビジネスモデルで考えたときに乗務回数が多すぎるのか・少なすぎるのかを考えることができますし、データを分析することで、乗務回数が多すぎる場合は無駄な稼働が発生してないか、どこを効率化できるのかなどの改善点を提案していくこともできるようになります。」

    大里:「中には、乗務回数が170回という人もいらっしゃいますね。とても一カ月の走行回数だとは思えません。」

    木田:「短距離専門のドライバーかもしれませんが、やけに多いので心配になりますよね。」

    大里:「ちなみに、該当するドライバーは乱暴ドライバーのようです。疲労が溜まり、やや乱雑な運転になっているのかもしれません。これは危険信号だと捉えるべきでしょう。」

    木田:「ただ、乗務回数が140回の安全ドライバーもいますので、これだけの情報では疲労だけが原因とは言い切れませんし、個人の資質もあるかもしれませんね。ただ、1カ月で170回は尋常な回数ではありませんので、もしかすると職場で仕事を押し付けられているとか、別の事情があるかもしれない。そんなと危険信号も事前に検知できるのがデータ分析の利点です。」

    Vol.3へ続く

    【株式会社プリンシプル】
    株式会社プリンシプルはGoogle社からGoogleマーケティング認定パートナーとして認められ、アクセス解析を軸にデジタル広告、SEO、DMP構築、Tableauによるデータビジュアライズなどを支援するデジタルコンサルティングファームです。社員数約70名(アルバイト、インターン含む :2019年3月時点)。
    〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-2-5 トライエッジ御茶ノ水10階

    <Tableauとは>
    米国シアトルに本社を置くTableau Software社のBI製品群。
    デスクトップアプリケーションのTableau Desktopで実現したビジュアル分析結果を、Tableau ServerやTableau Onlineといったクラウドソリューションと連携して、社内の情報共有基盤として利用する。
    データを活用して業績を伸ばしたい企業に多く採用されており、行政、通信、エネルギー、金融、製造、小売、サービス、旅行と採用企業は業界を問わない。
    ガートナー社のマジック・クアドラント(分析とBIプラットフォーム部門)で7年連続のリーダーポジションを獲得。

    【木田和廣(きだかずひろ)プロフィール】
    株式会社プリンシプル
    取締役副社長 / チーフ・エバンジェリスト

    商社、ソフトバンク系ネットベンチャーを経て、2004年からWeb解析業界でのキャリアをスタートし、2011年より現職。各種セミナーでの講師実績多数。Googleアナリティクス、Tableauについての書籍執筆。
    Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)、Tableau Desktop Certified Professional等の資格を保有
    2017年12月Tableau Jediを拝命。

    【大里紀雄(おおさとのりお)プロフィール】
    株式会社スマートドライブ
    マーケティング/PR

    Google アナリティクスを軸としたコンサルティングや、プライベートDMPの構築に長年従事し、前職では外資系マーケティングツールベンダーにてシニアビジネスコンサルタントとして活躍。
    2019年3月よりスマートドライブにてマーケティングおよびPRを担当している。

  • クルマとスマホがシームレスに連携するスマートデバイスリンク(SDL)とは

    クルマとスマホがシームレスに連携するスマートデバイスリンク(SDL)とは

    最新の地図情報が反映されていないカーナビを使用すると、新設された道路の情報が漏れるなどの不具合が起き、無駄に遠回りをしたり、車がマップ上で空を飛んでいたりする、というケースが発生します。そうした場合はグーグルマップなどのスマホアプリで地図検索をされる方も少なくありませんが、その都度時間を手間をかけることになるうえ、検索のために運転を中断せざるを得ません。そんな不便さを一気に解決するために普及が進められているのが、今回解説するスマートデバイスリンクです。

    スマートデバイスリンクとは

    スマートデバイスリンク(以下SDLと表記)とは、スマホアプリをカーナビなどの車載装備で使えるようにする、オープンソース・プラットフォーム規格のひとつです。言い換えると、車内でもスマホを効果的かつ安全に利用するための規格とも言えるでしょう。

    SDLの概念はアップルの「CarPlay」や、グーグルの「Android Auto」に近いものですが、メーカーや車種によって利用可能なシステムが制限されることはありません。通常の車載カーナビに追加機能を求める場合、新機種へ買い替える必要がありますが、SDLカーナビであればスマホに対応アプリをダウンロードするだけで、新たなサービスを利用することが可能になるのです。

    先行するトヨタの取り組み

    現在の自動車業界では、将来に向けて「完全な自動運転の実現・EV車へのスイッチ・コネクテッドカーの開発」という3つのプロジェクトが進められていますが、国内におけるコネクティドカー普及の根幹に位置し、自動運転の安全性向上にもつなげることができるのがSDLです。

    そんなSDL対応車載機の開発とサービス拡大を、業界の先頭を切っていち早く押し進めているのが、未来のモビリティ社会の実現を目指す「トヨタ自動車」です。トヨタは2016年1月、フォードの子会社であるリビオ社のSDLを用いた車載システムの商品化を発表。トヨタ車とレクサスにだけ採用するのではなく、他の自動車メーカーにも広く参画を呼びかけました。

    2017年1月、フォードと共同でSDL普及・標準化を進める非営利団体、「SDLコンソーシアム」を設立すると、トヨタとの関係が深いスバル・スズキ・マツダなどの国内メーカー以外にも、フランスのPSAグループ、Elektrobit、Luxoft、Xevoといった、国際的サプライヤーも参加しました。その後同団体には、ホンダを除くほぼすべての国内自動車メーカー、SDLは四輪車だけではなく、二輪自動車も含まれることから、ヤマハ・カワサキといったバイクメーカーも参画し、一丸となってプロジェクトを進めています。

    このように、競合する「CarPlay」や「Android Auto」と比較してSDLが優れている点は、商用・非商用に問わず、誰もが関連ソフトウェアを開発でき、利用・修正・配布が可能なオープンソース・プラットフォームであることです。それを体現するように、SDLコンソーシアムは2018年10月から2019年1月末にかけて、応募資格を問わず誰でも参加できる「SDLアプリコンテント」を開催しました。そこでは公開されているSDLコードをもとに個人が開発したアプリも、最終選考10作品に半数近くノミネートされています。

    トヨタが筆頭メンバーを務める同団体が、これほどまでにSDLの普及に力を注いでいる理由は近年増加の一途をたどり死亡事故まで発生している、「ながらスマホ」による交通事故撲滅にあります。

    警察庁によると、2018年に検挙された携帯電話使用違反件数は、スピード違反・一時不定詞に次いで第3位、1年間の事故発生件数も2,790件で、2008年の1,299件から約2,1倍に増加しています。何より、携帯電話を使用していない事故と比較し、使用中発生した事故の死亡率は約2,2倍に達することから、スマホを操作・注視することなくハンズフリーも可能となるSDLの普及を、トヨタはリーディングカンパニーとして先頭に立ち牽引しているのです。

    先頭に立つトヨタが次々と解き放つSDLのプロジェクト

    現在ではパナソニックやKDDIなども参画していますが、大きな動きがあったのは2018年12月でした。ついに、トヨタがSDL対応ナビを新型モデルへ搭載開始、同時に第一弾として邦楽・洋楽など4,900万曲以上をそろえる、「LINE MUSIC」との提携・サービス提供を発表。

    ただし、現在同社の公式ページで確認できるSDL対応車載デバイスは、ディーラーオプションナビである「NSCD-W66」のみであり、搭載可能な車種も商用車としての利用がメインの「ピクシスバン」の1車種だけ。この対応は、おそらく不特定多数がドライバーとなる商用車、しかもユーザー自身が望んで追加するディーラーオプションに設定したほうが、初期導入後のマーケティングデータが入手しやすいためだと考えられます。

    同社は2019年夏ごろから生産ライン装着用SDLカーナビを投入するとしており、マイナーチェンジや一部変更などのタイミングに合わせ、徐々に対応車種を増やしていくとのこと。また、LINEとの提携第2弾として、2019年春から自動車向けAIアシスタント「Clova Auto」に対応したアプリ提供を予定し、実現すればカーナビでLINEメッセージをやり取りや無料のLINE通話も可能になります。

    さらに、第3弾にはLINEの音声認識技術によるカーナビ操作対応機能の提供まで予定されています。最近話題になっているスマートスピーカーを想像していただけば、非常にわかりやすいでしょう。話しかけるだけで目的地設定ができれば、目をそらしたり、ハンドルから手を離したりせず運転に集中したまま目的地に行けるようになります。そうすればより安全に、そして快適なドライブを実現し、当初の目的であった事故の原因を潰すことができるのではないでしょうか。

    他社が取り組むSDLの取り組み

    ブライソン&ゼンリンデータコム

    車載システムおよび、組み込みソフトを受注開発しているブライソンは、ゼンリンの連結子会社であるゼンリンデータコムと提携し2018年10月、SDL対応車載機とスマホ用アプリを開発したと発表しました。これはゼンリンデータコム側が、すでにリリースしている「いつでもナビ」をSDL対応仕様にし、コアと呼ばれるブライソン製の車載機に、映像・音声データをUSBやWi-Fiで送信するというもの。アクションは車載器タッチパネルで行える仕組みになっています。現時点ではデモ機による試験段階ですが、市販されれば国内初の「社外SDLナビ」になる可能性もあります。

    損保ジャパン日本興亜&ナビタイム

    2019年2月、損保ジャパン日本興亜とナビタイムは安全運転支援を目的としたスマホ用ナビアプリ、「ポータブルスマイリングロード(PSR)」の利便性を向上するために、SDL対応の車載機向けPSRを開発し、実証を重ねたうえで同年中にはサービス提供すると発表しました。

    PSRには、ナビタイムの技術を用いたカーナビ機能に加え、運転診断機能も搭載されています。「運転診断の結果に応じて保険料が最大20%割引になる」といった、安全運転によるメリットを享受できるサービスが好評で、短期間で約30万件以上ダウンロードされています。そんなPSRが本格的にカーナビと連動し、さらに利便性や安全運転支援につながるとなれば、大ヒットも十二分に期待できます。

    ハンズフリー以上!オンキョー

    SDLコンソーシアムの理想は、便利で快適なドライブが楽しめることです。日本最大級の音響機器メーカーであるオンキョーは、2018 年2月に開催されたMWC(Mobile World Congress)2018 において、独自開発の「Onkyo AI」を搭載し車で使えるスマートスピーカー「AIスマートオートモーティブ」の展示をトヨタのSDLブースで展示しました。

    会話や音楽などノイズが多い車内でも高い音声認識率、聞き取りやすいAIアシスタント音声を実現、バッテリーも搭載しているため、ドライブ中はもちろん停車・駐車中やアウトドアでの使用も可能です。

    2019年中の販売開始が予定されていますが、画面を見ずにアプリが操作でき、さまざまな情報を得られるとなれば、ハンズフリーを超える「アイズフリー」さえ一般的になっていくかもしれませんね。

    SDLはカーシェア・レンタカーサービスにうってつけ?

    SDLの特徴は、自分が所有しているスマホのアプリを車載デバイスと連携できることです。そのため、シェアカー・レンタカーでもSDL対応デバイスが付いていれば、利用者が変わったとしてもそれぞれが普段から利用しているナビアプリなどを使えるようになります。しかも、SDLでは自宅で事前に調べた目的地を車載ナビで共有することも可能なため、余計な時間を費やすことありません。オーディオの場合も、LINE MUSICでストリーミングしている音楽をいちいち設定することなくいつも通り楽しむことができるので、コスト面の折り合いがつけば導入する企業は増えていくかもしれません。

    まとめ

    SDLはハンズフリーやアイズフリーで快適なドライブを実現させるためのものですが、将来的には道路や運転状況の膨大なデータを取得・分析し、自動運転の安全性向上に役立つことも期待されています。しかし、ハンズフリー・アイズフリー化することによって、頭の中では運転以外のことにとらわれることになるため、反応速度は低下し脳の働きが鈍るという全米自動車協会の調査結果も発表されています。

    安全運転支援技術やSDLによって、いかに自動車が近未来的な乗り物に進化をしても、乗るのも操作するのもやはり人間です。どんなに技術革新が進んでも、運転中は車が自分や他人の命を奪いかねない凶器になることを忘れず、日頃から安全運転意識を持ち続けることを心がけたいものです。