投稿者: sasaki

  • 交通をもっとスマートに。「Smart Parking」の挑戦

    交通をもっとスマートに。「Smart Parking」の挑戦

    インタビュイー:
    株式会社シード 代表取締役
    吉川幸孝さま

    「父を超える」を胸に、起業の道を選んだ大学時代

    吉川様のご経歴と起業のきっかけについて教えてください。

    愛知県一宮市で生まれ育ち、愛知県の大学に進学。大学では英語英米文化学科を専攻していたので、留学制度を利用してアメリカのオハイオ州に4カ月ほど滞在しました。飛び立つ前は、英語は得意と言えるほどではありませんでしたが、ノリと勢いでなんとかなるだろうと思っていたんです。しかし、実際に現地へ行くとそれがまったく通用せず、無力感を感じたまま帰国しました。その国の言語が話せないと主張も共感もできないし、誰とも会話ができません当時は、これでは自分が存在する意味がないとネガティブに考えてしまいましたが、同時に「自分がここにいることを証明したい」と強く思ったんです。

    もともと会社経営をしている父の背中を見て育ちましたので、幼い頃から私の中で父の存在は大きかったです。人からよく「あなたのお父さんは立派な方だ」という話を聞かされていたので、経営そのものが自分自身の証明、自分の存在意義になるんじゃないかと考えるようになっっていったんです。それからは経営のセミナーや書籍を読みあさり、大学三年生の時に勢いで起業しました。

    当時はどのような事業をされていたのでしょうか?

    初期の頃は大学生の街コンや人をたくさん集めて何かするなど、何でも屋をしていました。それに加え、コインパーキングの事業をしていた父から一カ所につきいくらという形で営業の仕事を一部任されましたの仕事をしながら駐車場ビジネスについて知識を身につけていきます。そして駐車場ビジネスに携わるうちに、この業界は課題も多いぶん、可能性も多いことに気づき、今の事業へとつながっていきました。

     私が子どもの頃から抱いていた目標は「父を越える」こと。これは大学生になっても変わりませんでした。なので、なるべく父の協力は仰がないようにしようと心に決めていたのです。とはいえ、会社として成り立たせるには、売り上げをあげなくてはならない。当初は父とは違う道を歩もうと思っていました。しかし、考えるにつれ駐車場ビジネスに関して経験や知識が豊富な父の力を借りて、同じ土俵で超えるほうが良いのではと考えるようになり、ならば売り上を10倍にして「父を超えた」と納得しようと、目標を設定しました。

    全国2,000カ所に設置されている「Smart Parking」とは

    改めて、Smart Parkingのサービス概要をご解説いただけますでしょうか。

    2016年の3月にスタートしたSmart Parkingは、空きスペースにIoT端末が搭載されたカラーコーンを置くだけでコインパーキング運営ができるサービスです。もっと簡易的に言うと、駐車場シェアリングサービス。そして、空いたスペースとそこを使いたいユーザーをマッチングするのがSmart Parkingのアプリケーションになります。

    月極の駐車場、使われていない間の建設予定地、飲食店さんの定休日の駐車場、また、法人企業であれば営業車両が出払っている特定の時間帯など、空きスペースの柔軟な利活用ができます。

    ユーザーはどのように駐車場を利用すればいいのでしょうか?

    ユーザーはアプリを操作するだけです。カラーコーンはBluetoothの電波を発信し続け、距離を検知します。ユーザーがアプリを立ち上げたままコーンに近づくと現地認証ができ、入庫を検知。つまり、車を検知するのではなく、人によって出入りを管理するシステムです。そのため、ユーザーが遠くにいる場合は入庫も出庫もできないようになっています。

    どのようなオーナー様が利用されていますか?

    多いのは不動産管理会社様ですね。月極駐車場で10台中2台分のスペースが空いていたら、契約が決まるまでそこを活用いただくとか。または、少し前まで車を所有していたけど、高齢に伴い車を手放し、必要時はカーシェアを利用するといった個人の場合、契約していた駐車場をSmart Parkingで貸し出すことも可能です。

    現在では北は北海道、南は沖縄まで全国で展開しており、設置カ所は2,000を突破しました。    

    もっと柔軟に、効率よく空きスペースを活用したい

    このサービスを思いついたきっかけを教えてください。

    父の仕事を手伝っている時、営業先の1つに不動産管理会社様がいました。私はコインパーキング事業を拡大すべく、不動産会社様が管理している駐車場10台分のスペースを一括で貸していただけませんかと尋ねました。しかし、もらえた回答は「10台中8台はお客様と契約しているので、2台だけでなんとかしてしてくれないか」というもの

    コインパーキングは全台分を借りなければ採算が取れないので、このようなケースはお見送りせざるを得ないんです。そうしお断りが何件か続いた時に、「逆に考えてみよう。少しのスペースでも、空いているところを活用できればそれが大きな価値になるのではないか」と考えました。コインパーキングはニーズがあるだから拡大しようと営業している。空いているなら使いたいというニーズは必ずあるはずだ。そしてそれを解決するサービスを作ろうと思って着手しました。

    駐車場にカラーコーンを設置する仕組みにした理由を教えてください。

    カラーコーンである理由は、安価で簡単に動かせるから。設置台数が限られているぶん、コインパーキングよりも柔軟性が高くなければなりません。コインパーキングは、看板や精算機、フラップなどを設置するために設備投資をしなくてはなりませんし、数年に渡る契約が求められます。それはオーナー側からすると柔軟とは言い難いですよね。それに1、2台分だけのために精算機とフラップ板を取り付けるのはコストに見合わない。柔軟かつ安価なコストを重視した結果、IoT端末とカラーコーンに行き着きました。

    今後はどのように展開されていく予定ですか?

    現在、もっとも力をいれて取り組んでいるのが、コインパーキングのキャッシュレス化です。昨年の12月にリリースした「Smart Parking HUB」は、アプリから利用料金をキャッシュレス決済できるサービスです。通常の精算機は現金のみの対応がほとんど。雨が降っていても濡れた状態で清算しなくてはなりませんし、一万円札に対応していない精算機では両替が必要で、私自身、従来の清算方法にすごく不便を感じていました。こうした課題をもっとスマートに解決しようと開発したものです。

    たとえば、とあるコインパーキングの1番の駐車場に入庫したとしま。用事を済ませて戻ってきたら、Smart Parkingのアプリを立ち上げて1番を選択し、料金を確認します。登録しているクレジットカードで簡単に支払い、フラップ板が降りて出庫完了。この仕組みを作るために、精算機メーカー様とタッグを組みました。現在は2社と提携していますが、今後さらに拡大を続けたいですね。

    本サービスは現在、東京や名古屋で成長しています。キャッシュレス還元をはじめ、時代の流れが現金からキャッシュレスへと変わりつつありますのでさらなる成長を期待しています。そもそも、現金は運営会社様にとってもメリットが多いんですよ。     無人ですが、警備やメンテナンスにコストがかかりますし、東京都内は頻繁に利用されるので1週間のうち8回ほど集金が必要になる。無人のはずが、結局は人の手を介さなくてはならないのです。キャッシュレスにすることで、そういった全体コストを低下できればと考えています。  

    現金ですと、集金や両替(札詰まり、釣銭切れ等)の固定費が発生します。例えば、東京都内は頻繫に利用されるので、1ヶ月のうち8回ほど集金が必要になるところもある。キャッシュレス決済の割合が50%になれば、集金も半分で済む。 また、現金があると盗難などのリスクも存在します。キャッシュレスにすることでそういった全体的なコストを低下していけれると考えています。

    遊休資産をいかに活用すべきか

    スマートドライブどのようなコラボレーションが可能でしょうか?

    SmartDrive Fleetのサービスを使うと車の稼働状況が明確になりますよね。これって、駐車場視点で見ると「稼働率が高い=駐車場が空いた状態」がわかるので、SmartDriveが法人車両の稼働率を引き上げ、空いた駐車場をSmart Parkingで活用することも考えられますね

    所有する車両台数が20〜30台くらい、車の稼働率が日中40%という企業の場合、稼働時間中に駐車場を貸し出すことができますから、駐車場で収益をあげることができます。駐車場を借りるのもコストがかかるので、こうした遊休資産をいかに活用するかで企業の収益も大きく変わってくるはずです。まだ細かい点を詰めきれていませんが、実際にスマートドライブ名古屋支社の担当者と話を進めている最中ですので、この取り組みを早く実現できればと思っています。

    都内は貸し出されていない駐車場が多くあります。そのスペースをうまく利活用できれば、都内の駐車料金を下げることができるかもしれません。大型配送トラックの路上駐車が問題になっていますが、細かく見ていくとさまざま場所に駐車スペースはたくさんあります。埋れた資産をうまく活用できるようにして、交通をもっと滑らかにしていきたいですね。

  • いまさら聞けない?物流ビジネスの基本用語「3PL 」とは

    いまさら聞けない?物流ビジネスの基本用語「3PL 」とは

    物流業界に属している方なら一度は耳にしたことがあるかもしれない「3PL」という用語。なんとなく知っているような、知らないような…という方に向けて、そもそも3PLとは何か、定義や特徴、導入するメリットについて解説。また、国内の主要プレイヤーと具体的な導入事例を紹介します。

    3PLとは~その歴史と定義・特徴について~

     

    3PLとは、「Third-Party Logistics(サードパーティー・ロジスティクス)」の略称であり、原材料の調達から販売に至るまでのサプライチェーン、また、それを管理するプロセスのすべてもしくは一部を、第三者であるサードパーティーに委託する企業戦略です。

    サプライチェーンにおけるファーストパーティーとはメーカー、セカンドパーティーは卸売問屋や小売業者、そしてサードパーティーは物流業者のことを指すため、ファースト・セカンドパーティのロジスティクス活動を、物流業者が担っていくことを意味します。また、ロジスティクス分野に絞った概念としては、委託範囲に応じて次のようにパーティ分類するケースもあります。

     

    • ファースト・・・企業が自身ですべてのロジスティクス活動を行う
    • セカンド・・・物流業者へ一部を委託する
    • サード・・・物流コンサルを含めたすべてのロジスティック活動を委託する

    いずれにせよ、ロジスティクスとはもともと「兵站」を意味する軍事用語であり、作戦計画に従って兵器や兵員を確保・管理・補給するまでの全ての活動のことを指すもの。ビジネス用語に転じてもビジネス戦線を勝ち抜くため、あらゆる企業が重要視すべき分野です。

    しかし、いち企業がロジスティックに必要な、トラック・船舶・航空機などの「モビリティ」、商品を管理する「倉庫」、ドライバー・ピッキング作業員などの「人材資源」、IT機器を使用した「システム」などをすべて揃え、管理・維持するには膨大な時間とコストがかかりますし、かといって必要となる度に物流業者に依頼するのは効率が悪すぎます。

    そんな中、「物流のアウトソーシング」として注目されたのが3PLであり、90年代初頭から欧米で広がりました。90年代後半には、国内でも3PL事業者が登場し導入する企業も増えています。

    3PLを導入するメリットと注意点

     

    3PLを導入するメリットは数多くありますが、主だったものは次の4点。

    • 初期投資と維持・管理コストの抑制
    • 人材不足解消・労働環境の改善
    • サプライチェーンの効率化・最適化
    • 物流専門業者ノウハウの有効活用

    なんといっても、ファースト・セカンドパーティが生産・販売といった本業に、自社の貴重な資金と人材を集中できることが最大のメリットと言えるでしょう。また、3PLを導入することで上記のメリットが複合的に作用した場合、削減できたコストを開発費に回せば商品・サービスの品質向上を図れるほか、物流スピードのアップによる顧客満足度上昇なども期待できます。

    一方、盲目に3PL事業者を選べば良いという訳ではなく、自社がどんなロジステックを構築したいのか、委託範囲や目的について明確なビジョンを描いたうえで業者選定をしなければ、コストカットも業務改善も実現しないため注意が必要です。なお、具体的な3PL選定のポイントとしては、大きく以下の5つを意識しておくと良いでしょう。

     

    1.料金・運賃よりサービスの品質を重視・・・3PL事業者を選ぶにあたり、荷主は目先の料金・運賃を重視しがちですが、ロジスティクスは一過性ではなく長期的に運用するものであるため、良質なサービスを安定して提供する事業者を選ぶべきでしょう。

    2.アセット型orノンアセット型の適切なチョイス・・・3PL事業者には、自社で倉庫や輸送手段・物流拠点などを所有している「アセット型」と、自社ではそれらを所有せず、荷主のニーズに応じて提携する物流・倉庫業者をアテンドする「ノンアセット型」が存在します。前者は需要変動への対応力や荷主との信頼関係形成に強く、後者は自社のアセットにとらわれず、荷主の要望へ柔軟に対応することが可能です。国内の3PL事業者はアセット型が主流ですが、店舗や倉庫を全く持たないケースも多いEC事業者のように、配送先が不特定多数である場合はノンアセット型が適している場合もあります。

    3.ICTの活用度・・・現在・将来を通じ、ビッグデータを始めとするICTはロジスティクスの品質維持・向上に不可欠であるため、配車計画や在庫管理など現場オペレーションに活用されているか、事前チェックする必要があります。

    4.3PL事業者が有する現場力・・・大手3PL事業者の場合、サプライチェーンのラストワンマイルを、子請け・孫請け業者が担っていることも多くなります。そのため、3PL事業者の規模や実績だけではなく、子請け・孫請け業者の現場力に着目し業者選定を行う必要があります。また、ノンアセット型の場合は外注になるため、提携先の李幸は必須と言えるでしょう。

    5.リスク回避&コンサルティング能力・・・事故や法改正など、ロジスティクス活動を継続していく過程で起きるリスクを回避する能力や、継続的な業務改善案を提供してくれるコンサルティング能力の高い事業者がおすすめ。なお、従来の3PLシステムにコンサル機能を付加したサービスを「4PL」と呼び、米国で提唱された新概念として近年国内でも導入が進んでおり、今後さらに普及していくと考えられています。

    3PLの主要プレイヤーをまとめて紹介!

     

    前項で解説した選定ポイントを踏まえたうえで、現在評価が高く多くのクライアントを抱えている国内の3PL事業者をご紹介します。

    日立製作所の子会社から脱却!「日立物流の3PL」

    かつての日立物流がそうだったように、大企業の物流子会社は、親会社の業務をこなしていれば安定的な収入が望めるため、経営改善が積極的に進まない傾向にあります。そんな中、同社は日立製作所の物流業務を主体としつつも、業務で培った物流ノウハウをアピール。たとえば、アディダス・ジャパンの物流業務の請け負いに成功するなど、有力な3PL事業者としての評価を高めています。

    同社は、「日立物流3PLの強み」として以下の3ポイントを掲げており、

     

    • 豊富な実績に基づく「提案力」・・・労働力不足や作業品質の向上を目指した物流業務の自動化、及びそれに伴う無人搬送車・ロボットなど、新たな自動化設備の導入やメーカーとの共同開発を提案。

     

    • グローバルな「運営力」・・・2019年3月現在、国内325拠点・海外415拠点に及ぶグローバルな物流オペレーション体制を確立し、年々多様化・複雑化する顧客のサプライチェーンを強力にサポート。

     

    • ITをフル活用した「技術力」・・・誰でも効率よく作業ができる環境の構築を目指し、AIや数理最適化技術を物流管理システム(WMS)に応用。また、メガネ型ウェアラブルデバイスやグローブスキャナによる、作業ナビゲーションとハンズフリー化など、IT技術を活用した「スマートロジスティック」の開発を推進。

     

    鉄道車両・電力プラント・産業機械をはじめとする巨大な重量品から、繊細な取り扱いを必要とする精密・医療機器や工作機械などを、安全確実に輸送・移設し高い評価を集めています。

    また、小口貨物輸送に関してのノウハウ不足を補うため、2017年10月に日本で初めて25mダブル連結・フルトレーラー導入で話題を集めた「福山通運」と提携、大口・小口を問わず輸送業務を請負える体制を整えました。

    アセット型・ノンアセット型の双方をワンストップで提供!「日通の3PL」

    日本通運(以下日通)は、陸・海・空すべての輸送モードをカバーしている唯一の運送会社であり、「日通に運べないものはない」と呼ばれるほど、強力かつ柔軟な物流アセットを有する、言わずと知れた国内物流業界の最大手です。

    顧客としている業種は幅広く、メルセデス・ベンツは日本における自動車部品の物流センターを日通の事業所に設置していますし、キヤノン・エプソンの物流業務・製品輸送を担当するなど、法人向け3PL事業者として右に出るものがいない存在と言えるほど。同社は3PL事業展開に不可欠な要素として、

     

    • 「Software」ノウハウの蓄積とシステム構築力・・・WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)といった「情報システム」を自社開発、創業以来培った物流ノウハウを具現化することで、荷主企業との情報共有化や物流現場のオペレーション効率化を実現。

     

    • 「Hardware」豊富なロジスティクスインフラ・・・「陸・海・空×国内・海外」計6パターンの輸送モードと豊富な倉庫拠点を駆使することで、他社にはまねのできない最適なロジスティックス環境を提供。豊富な自社のアセットを「オプション」として活用・提案し、他社との明確な差別化を図っている。

     

    • 「Humanware」専任スタッフによる物流最適化の提案・・・農林水産・生産・商工業物流のみならず、原子力・メディカル・金融分野まで網羅した、30業種別の業界慣習を熟知する「専任営業スタッフ」を本社営業部に配置。また、物流関連のシンクタンクでは他社の追随を許さない「日通総合研究所」を有し、コンサルタント・人材育成・調査分析などの関連業務も総合的に提供している。

    を掲げており、数多いクライアントからはそのすべてが高次元で揃っていると評価されています。また、同社の3PL事業は「NIPPON EXPRESS型」と名付けられており、アセット型・ノンアセット型双方の3PL事業をワンストップ方式でカバーしているため、業種・規模問わずあらゆる顧客のニーズに応える体制を整えています。

    物流ラストマイルの新勢力となるか!?「SBSロジコムの3PL」

    前述した日立物流や日通が法人、特に大企業の大量・大型物流サービス提供が主力であるのに対し、SBSロジコムはBtoB・BtoC双方のラストワンマイル物流へ注力、近年成長している3PL事業者と言えます。

    EC化により加速している宅配インフラ不足に目を付けた同社は、マンパワー確保のため2017年ごろからEC配達ドライバーの募集を開始、10年余りをかけ5,000人の専属ドライバー獲得を目指しています。専属ドライバーに軽自動車を貸与・個人事業主として採用し、同社が持つ宅配業務のノウハウを余すことなく教え、サラリーマン以上の収入を得られる仕組みを構築していく方針だとか。

    急増している大手外資系EC企業からのデリバリー業務や、グループ入りしたリコーロジスティクス(株)のオフィス通販「たのめーる事業」を、獲得した専属ドライバーへ委託する模様で、狙うは大都市エリアにおけるラストワンマイルの「最大補完勢力」。

    つまり、車両や倉庫拠点といったアセットをSBSが準備し、実際の宅配作業はノンアセット型で対応する3PL事業を拡大していくという訳ですが、このビジネスモデルが成功するにはスケジュールの最適化や接客サービス向上など、「現場力」を高める必要があります。

    SBSグループが持つアセット力・営業力・技術力は、十分既存の宅配大手に対抗可能なレベルに達していますが、専属ドライバーに対する「優れたマネージメント能力」を発揮しない限り、同社が最大補完勢力に登り詰めることはできないと考えています。

    まとめ

     

    業種・規模に関わらず数多くのメリットを企業へもたらす3PLは、もはや「検討」の段階を超え「導入」が常識となった概念です。今後、3PLはコンサル機能を追加した4PL、AI・自動運転といった「フィフス・パーティー」が関与する「5PL」へと発展し、さらに多様な新サービスが誕生すると考えられます。しかし、どれほど優れたロジスティクスが現れようと、サプライチェーンを維持・発展させるためにはマンパワーが不可欠です。事業主や担当者はどのサービスが自社の業務効率化・労働環境改善に役立つのかしっかり見極め、導入事業者を選定しましょう。

  • 自動車メーカーで相次ぐ人員削減。自動車メーカーはどこへ進むのか?

    自動車メーカーで相次ぐ人員削減。自動車メーカーはどこへ進むのか?

    会社としてもっとも苦渋の決断である人員削減。いわゆるリストラは、人件費を大幅にカットするうえで有効な施策ではありますが、貴重な人材の流出や社員のモチベーション低下など、デメリットも多い諸刃の剣です。これまで、自動車業界は終身雇用の代名詞的存在でしたが、日・米・欧の大手自動車メーカーおよび関連企業は大幅な人員削減の断行を進めており、その規模はバブル崩壊やリーマンショックに次ぐ水準に達しつつあります。

    今回は、国内外の自動車メーカーが相次いで発表した施策を整理するとともに、自動車業界でリストラの嵐が吹き荒れている背景や、人員削減を断行した後に訪れるであろう「未来」に迫ります。

    大手自動車メーカーが次々と人員削減…

     

    まずは、国内外の大手自動車メーカーや自動車関連企業が振るった、人員削減施策の「大鉈」を見ていくことで、同業界が現在さらされている窮状を把握しましょう。

    終身雇用神話崩壊か?トヨタ・豊田章夫氏「終身雇用は難しい」との認識

    グループ連結では約37万人以上の従業員を抱え、単独ブランドとしての販売台数は世界NO,1のトヨタ自動車をもってしても終身雇用は夢物語なのか…、そんな声が噴出し始めたのは2019年5月頃のこと。日本自動車工業会の会長会見において、「企業へのインセンティブが出てこないと、終身雇用を守っていくのは難しい」との認識をトヨタ・豊田章夫氏が示したことで、自動車業界は「人員整理やむなし」の流れへ一気に傾いています。

    これは海外ライバルが大胆な人員コスト圧縮により、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・EV化)の開発競争激化へ対応していることを受けたもので、管理職約9,800人の夏季ボーナス支給額を前年比で平均4~5%減らすなど、早速、その本気度をあらわにしました。

    今期のトヨタ自動車は日本企業初の売上高30兆円超、営業利益2兆5,000億円とこれ以上ない好業績です。その中で異例ともいえるボーナスカットを断行した狙いは、競争激化を見据えた社員の意識改革にあると考えられます。しかし、業績を伸ばしても報酬が削られるという今回の施策は、「行き過ぎたショック療法」という声も出ているほか、前述した豊田氏の認識と相まって「トヨタが大胆な人員削減に踏み切る序章なのでは…」と指摘する有識者も多くいます。

    さらに同社は10月末日、傘下の自動車部品メーカー「アイシンAW」と「アイシン精工」を経営統合、2021年4月にはアイシン精工を存続会社として、新会社を設立すると発表しました。CASE開発力強化と経営の合理化を目的とした統合ですが、同時に従業員レベルではなくグループ全体として、「ダウンサイジング」を進めていくという強い意思表示であり、関連企業としてはいつ大鉈がふるわれるか戦々恐々としているのも事実です。

    独・ダイムラー 1万人以上の人員削減を計画

    内燃機関の新規開発を中止し、EV専用パワートレインに注力する方針を固めた独・ダイムラーは2019年11月29日、2022年末までに全世界のおよそ30万人の従業員のうち、少なくとも1万人を削減すると発表しました。

    同社は、管理職10%を含めた大胆な人員削減の実施により、人件費を14億ユーロ(約1,687億円)カットすることで自動運転やEVの開発・生産資金の確保と、膨大な投資で圧迫されている利益率の回復を目指す方針のようです。

    しかし、ダイムラーは独国内において「29年まで強制解雇はしない」と従業員代表(日本での労組に相当)と合意しているため、希望退職や採用抑制で人員を減らすことになりますが、有期雇用者の契約継続や海外拠点従業員は対象外。つまり、非正規雇用者や海外の傘下中小企業では、激しいリストラの嵐が吹き荒れるということ、同グループの自動車業界内における強い影響力から、世界中で失業者が溢れかえってしまう可能性を危惧する声も高まっています。

    VWグループ・アウディ 世界全従業員の約15%超を削減へ

    フォルクスワーゲン傘下のアウディは、66億ドル(約7200億円)のコスト削減を見込み、2025年までに9,500人の雇用を削減すると発表、CEOのBram Schotは声明で「変革の時代において我々は組織のアジャイル化を進めていく」と述べました。

    一方、デジタル・EV部門に関しては新たに2,000人の雇用を計画しているほか、インゴルシュタット・ネッカースウルム両主力工場は生産能力を削減しつつ、反対にEV専用の生産ライン新設を予定するなど、「アジャイル=修敏」とは言い難い後手に回った施策。大規模なリストラを敢行した企業に、優秀なエンジニアがこぞって身を寄せるとは考えにくいほか、既存生産ラインを縮小しながらEV生産ラインを新設するのは、「非効率的かつ無理がある」と指摘する声も出ています。

    日産自動車 12,500人超の大量リストラも視野に

     

    2019年4~6月期の営業利益が前年同期比98.5%減の16億円、当期純利益が同94.5%減の64億円となった日産自動車は、経営を立て直すべく、2023年3月までになんと約1万2,500人以上を削減する計画を進めていく模様です。

    開示された資料によると2020年3月期までに、

     

    • 福岡・栃木・・・880人
    • 米国・・・1,420人
    • インド・・・1,710人
    • メキシコ・・・1,000人
    • インドネシア・・・830人

    など、世界8拠点で合計6,400人を削減する計画の詳細が示され、2023年3月期までに残り6拠点で6,100人削減する予定ですが、その拠点と人員数はまだ開示されていません。決算会見で日産・西川社長は、「(残る候補は)小型車を生産している海外拠点」と発言していますが、固定費削減に直結するのは人件費が高い先進国と考えられるため、稼働率が大きく低下している国内・英国の拠点への圧力が強まると予想されます。

    三菱自動車 「聖域なきリストラ」の断行を発表

    業績の悪化に歯止めがかからない三菱自動車は11月6日、人員削減を中心とした大規模リストラを進める方針を明らかにしました。

    会見に臨んだ加藤隆雄社長・CEOは、「聖域なくコスト構造改革を推進し収益力の回復に全力をあげる」と方針を述べたものの、間接部門の人員増加が組織肥大の要因との見解も示しており、今回リストラ対象の中心に据えられているのは間接部門です。

    間接部門とは、開発・生産・販売など業績に直結する直接部門をフォローする、人事・総務・経理・情報システム部門などコーポレート機能を担う部署が該当し、俗にバックオフィスと呼ばれている部門。つまり、経営陣のかじ取りの悪さや魅力的な車種を生み出せていない開発部門、さらに花形である営業・販売部門の成績不振などといった、花形である直接部門のツケを間接部門が払わされる構図となっており、これは他の自動車メーカーでも同じことが言えます。

    なぜ今なのか。人員削減の背景とは~人員削減を断行したメーカーに待ち受けるもの~

     

    人員削減を断行する目的は大きく2つ、1つ目は組織の再構築による新ジャンルでの開発力・競争力強化であり、結果はともかくトヨタ・ダイムラー・アウディが進める人員削減施策は、来るCASE時代を見据えたさらなる飛躍への布石にほかなりません。

    一方、日産・三菱の人事削減は、業績悪化に歯止めをかけることが目的であり、正直「付け焼刃」的要素が強いため、後述する断行後に待ち受けている展望は両者で少々異なってきます。

    その1 企業イメージ・ブランド力・士気の低下

    目的に関わらず、人員削減の対象となった従業員は生活の糧を失うことになるため、退職希望者への退職金増額など、よほど手厚い保証制度を合わせて実施しない限り、断行した企業に対する恨み節が、あちこちから紛糾することは目に見えています。

    正直、業績向上中であるトヨタはもとより、他のメーカー、とくに業績悪化のために人員削減を打ち出した日産や三菱の場合、近年噴出した出来事の影響を考慮すると、断行後の企業イメージ低下を防ぐ策が見えづらいもの。

    また、人員削減はメディアを通じて一般ユーザーに周知されることになるため、自動車メーカーとしてのブランド力が失墜、かえって販売実績が低迷してしまう可能性もあるほか、残留社員もいつリストラされるか疑心暗鬼となり、社への忠誠心や士気が一気に低下します。

    自動運転の進捗やEVシフトに対応しなければ、今後生き残っていけないのは確かですが、各自動車メーカーは労使間で綿密な取り決めを交わし、それこそ「聖域のない保証制度」を確立したうえで、最終手段である人員削減を断行すべきかもしれません。

    その2 人材流出と間接部門の崩壊

    リストラを言い渡されるのは、給料を多くもらっている壮年層である場合が多く、会社にいた年数も長いため、明文化されないノウハウが若年層に伝わらないままリストラに至ると成長スピードが鈍化し、雇用の有効活用という視点では大きなデメリットになります。日頃からベテラン従業員が持つノウハウをアウトプットし、会社共有の財産にしていくことが1番の打開策ですが、社員同士の競争意識もあるため、そう簡単な話ではありません。

    また、大規模な人員削減計画が大過なく進行し、一時的に直接部門の業績が回復しても、バックアップする間接部門の体制が崩れていれば、あっという間に元の木阿弥、いや企業存続が困難となる最悪の事態に陥る可能性も否定できません。

    業績が不振である時ほど、縁の下の力持ちである間接部門の存在価値を再認識し、直接部門との人員整理バランスを調整しながら、労働時間の短縮や効率的な人員配置の見直しといった働き方改革と並行して慎重に施策を進めていくべきでしょう。

    その3 「リストラ=人員削減」ではないことを自覚すれば輝かしい未来も

    国内企業は誤解していることが多いのですが、本来リストラとは非採算部門を切り捨てたり、人員削減で人件費をカットしたりするものではなく、事業規模や従業員数の増減問わない「再構築=リストラクチュアリング 」により、新規事業参入への活路を見出す前向きな取り組みです。

    そして、自動車メーカーの未来はCASEに対応することで切り拓かれますが、通告の仕方次第で優秀な人材は単なる首切りに終始する企業からどんどん離れ、明確な経営ビジョンを打ち出すメーカーへ集中する可能性もあるでしょう。

    まとめ

     

    未開の地を開拓したり都市を再構築したりするには、山林や既存の建物をブルドーザーなどの重機で破壊し更地を形成する必要があるように、「100年に一度の変革期」が到来している自動車産業において、人材削減は避けて通れない「いばらの道」なのかもしれません。

    しかし、大手自動車メーカーが抱える従業員の数とその家族、関連産業に与える甚大な影響を考えれば、国際経済の発展に寄与する前向きな取り組みとしてすすめていくべきではないでしょうか。

  • ドライバーエンゲージメントサービス「SmartDrive Cars」とは?

    ドライバーエンゲージメントサービス「SmartDrive Cars」とは?

    2019年11月14日、スマートドライブが新たなサービスがリリースしました。それが、安全運転を見える化してポイント交換・利用ができるドライバー支援サービス「SmartDrive Cars」です。同サービスの事業責任者を務める牧野孝太郎さんに、どのようなサービスなのか、企業がどのように活用できるのか、根掘り葉掘り伺いました。

    新たなドライブ支援サービスを目指す「SmartDrive Cars」

    SmartDrive Carsはどのようなサービスか教えてください。

    SmartDrive Carsは、一般のドライバーや企業でドライバーとして働く人向けに提供しているスマートフォンアプリです。スマートドライブのIoTデバイスをアクセサリーソケットに挿して走行いただくと、独自に開発した高性能なセンサーが運転操作を計測し、安全運転診断を行います。急ハンドルや急加速、急ブレーキといった急な操作を検知してスコアリングし、運転状況を可視化した状態で1回分の走行を評価。この安全運転評価に応じてインセンティブやクーポンを提供する仕組みです。

    どこか地方へいった時はその場所で利用できる特別なクーポンがもらえるとか、安全運転スコアが高い方は割引率の高いクーポンを付与できるようにするなど、現在も精力的に機能の向上に向けて開発を進めている最中です。

    2019年の11月14日よりサービスを開始しましたが、現在は法人企業様のみにサービスを提供しています。まずは、モニターとして損害保険会社様に利用いただき、保険の契約者様にIoTデバイスを配布し、その方達にアプリをご利用いただく流れです。今後は一般ドライバー向けにも展開していきたいと考えています。クーポンの種類は、コンビニでコーヒーをはじめとしたドリンク類や軽食との交換、コカ・コーラの自動販売機でお好みの飲み物との交換、またアマゾンギフト券に交換できるものまで、安全運転をすればするほどおトクなポイントが付与されます。

    ドライブタイムこそ、エンゲージメントを高めるチャンス

    SmartDrive Carsは、具体的にどのような利用方法が考えられるでしょうか?

    利用方法としては大きく2つの観点で想定しています。1つ目が自動車メーカー様、ディーラー様、整備工場などの自動車関連企業に向けたデータの活用です。自動車関連企業がお客様と接点を持つのは、販売時や点検・整備などのメンテナンス時程度しかなく、実際にどのように利用されているのかといった普段のお客様の状況・情報は把握されていません。

    そこで普段のカーライフ情報や、移動情報など、SmartDrive Carsを通して大まかな統計データを取ることで、お客様のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係性マネジメント)ですとか、マーケティングに活用いただけると考えています。それが、私たちが「ドライバーエンゲージメントサービス」と呼んでいるものです。企業様は、安全運転キャンペーンを実施してオリジナルグッズを配ったり、オイル交換や洗車のタイミングといった情報発信で来店を促したりして、お客様とのつながりをより深めることができる。お客様は割引などのサービスを受けることができるので、おトク感が得られます。

    2つ目は、業種を問わず、業務の中で車を利活用している企業さまに向けた活用方法です。営業で一日車を運転しているとか、マイカー通勤をしているとか、企業によって利用スタイルはさまざま。地方企業の場合、車で通勤していると会社の周りが渋滞することもありますが、渋滞の緩和にもSmartDrive Carsが役立ちます。出社時間が9時の企業であれば、およそ10分〜15分前から会社の近辺が混雑を始めます。ここで、時間が重ならないよう8時に出社した従業員にはポイントを2倍付与するなどの施策を打てば、出社時間を分散させることができ、渋滞の緩和につながるでしょう。

    また、日常的に運転する場合は安全運転評価に対するフィードバックでポイントを付与するなど、安全運転の促進と福利厚生、両方の視点で利用いただくことが可能です。

    先ほど、統計データによってお客様とのつながりを深めるとおっしゃっていましたが、たとえば、安全運転しているAさんと、運転が少し乱雑なBさんがいた場合、それぞれのユーザーとどのようにつながりを構築していくのでしょうか?

    まずは自動車関連企業のケースでお話しましょう。車を購入した後は点検やメンテナンスが必要となりますが、一人ひとりの運転の癖や、普段訪れる場所がデータから把握できれば、走行距離を考慮して通常より少し早めにご連絡差し上げたり、点検の予約が取りやすい時期をお知らせしたりすることができます。そうやって、こまめに情報発信とフォローを行い、次の買い替え時までお客様との接点を持つことで、いざタイミングがきた際に、運転が苦手そうな方にはより安全性能が高い車をご提案することもできますよね。
    法人企業ですと、どのタイミング、どのエリアで頻繁に車が利用されているのか、大まかな情報が取得できますので、事故が起きやすい場所にはヒヤリハットマップを作成して提供したり、渋滞が回避できる通勤経路を提示したりするためにご活用いただけます。

    プライバシーに対する懸念は?

    ドライバー視点ですと、そうした走行データを取得されることに懸念を抱く方もいると考えられますが、そのあたりはどうでしょうか?

    中には行動が丸見えになるので「走行データを取られるのは嫌だ」という方もいます。車を所有する企業だと、四六時中監視されているみたいだとネガティブなイメージを持つ従業員の方も少なからずいらっしゃいますし。ただ、このサービスは行動を監視することが大きな目的ではなく、あくまで安全運転をしながらドライブを楽しむこと支援するためのもの。自分が環境にも優しい穏やかな運転をすることでクーポンがもらえますし、まだ出会ったことがない情報に出会うことでドライブに対する新たな楽しさや価値を提供することに重きを置いています。

    新しい情報に触れることで、「今日はこの道を走ってみようかな」「運転が今まで以上に楽しい」など、今までにない世界観を作りたいと思っています。いつもより少し安全運転への意識を高めるだけで、もっとドライブをしたくなる世界に出会えたり、実利としてクーポンがもらえたりしますので、ユーザーメリットの方が大きいと考えています。

    街中にある監視カメラも、当初は監視されている気がして落ち着かないという声をよく耳にしました。しかし、安全面に対するメリットの方が高いので、今ではあまり気にされなくなっていますが、話としては近しいものがありますね。これから、SmartDrive Carsはどのような進化を遂げていくのでしょうか?

    最近では、移動の効率化や電車・バス・タクシー・カーシェアをシームレスにつなぐ概念として、頻繁にMaaSというバズワードが飛び交っています。しかし、移動によって経済が動いたり、楽かったりすることも数多くあると思うんです。将来的には車に限らず、移動を促進できるもの、移動したくなるもの、移動をポジティブな体験に変えるサービスや仕組みを作れるようになりたいですね。
    そこでまずはじめた1つがクーポンです。これはジャストアイディアですが、ショッピングモールの入り口から近い場所へ安全運転者専用の駐車場が設置できたらどうかなって。安全運転する人が得をする。ならば、安全運転を心がけよう。そういう雰囲気が広がれば、事故も大幅に減らすことができるはず。それが、いつか実現したい世界です。移動したら楽しいことがある。外の世界にワクワクを求めて「移動したいな」と思わせることができるハブになっていきたいですね。

    今後、どのようにサービスを進化させていきたいですか?

    いちはやく、多くの方々が使っていただけるようにプロダクトとサービスを磨き、移動をもっと楽しくする世界を作っていきたいと思います。また、SmartDrive Carsユーザーにクーポンを提供したい企業様や、自社の社員にSmartDrive Carsを提供したい企業様がいらっしゃれば、お気軽にお問い合わせください。

     

     

  • 2019年にSmartDrive Magazineで検索されたキーワードTOP10

    2019年にSmartDrive Magazineで検索されたキーワードTOP10

    スマートドライブマガジン(SDMG)のサイト内検索の上位ワードを見れば、モビリティや物流業界の動向がわかる?

    2019年はとくにどんなキーワードが注目されていたのか、ランキング形式でご紹介します!

    1位 「MaaS」

    「CASE」「MaaS元年」「100年に一度のモビリティ革命」など、2019年は自動車業界全体を大きく揺るがすニュースが立て続けに舞い込んだ一年でした。そこでとくに注目されたのが「MaaS」。Mobility as a serviceを略したこの言葉は、情報通信を活用してシームレスにつなぎ、移動を1つのサービスとして捉える概念のことを言います。その市場規模は2030年には日本国内だけでも6兆円を達すると言われているほど、今後大きく進化を遂げることが予想されます。2020年も目が離せません!

    関連記事:

    移動の概念が180度変わる〜MaaSが秘める移動の可能性〜
    【MaaS基礎知識】MaaSに関する用語まとめ
    【MaaS基礎知識】MaaSにおけるレベルを解説
    【MaaS基礎知識】MaaSを0から理解するために読みたい5冊
    ここまで進んでいる!MaaSの海外事例まとめ

    2位 「テレマティクス」

    その歴史自体は意外と古いテレマティクス。テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)を合わせて作られた造語は、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせ、リアルタイムに情報サービスを提供することを意味します。テレマティクスを活用したサービスには、走行距離と運転行動データをもとに保険料が確定する保険サービス、位置情報に応じた情報や広告の配信があります。
    コネクテッドカーがじわじわと広がりつつある中で、テレマティクスに関する情報への感度も高まっているようです。

    関連記事:
    自動車のIT化「テレマティクス」の歴史を紐解く
    世界で普及する『自動車保険』テレマティクス保険の仕組みについて
    テレマティクス保険の先駆け「OctoTelematics」とは
    デジタル時代の自動車保険 テレマティクス保険とは
    燃費27%削減?テレマティクス活用の事例とメリット

    3位 「テンプレ」

    車両管理に運転日報、日常点検、運行計画表などなど、自動車を有する事業者であれば、ドライバーと車両の管理を徹底するために日々、数多くの書類を作成しなくてはなりません。SDMGではダウンロードすればすぐに利用できるテンプレをまとめてご紹介していますので、ぜひご活用ください!

    関連記事:
    運転日報の書き方とPDF・エクセルテンプレート集
    【テンプレート付き】車両管理台帳の仕組みと書式を解説
    【テンプレート付き】車両運行計画表(配送計画)の書き方と大事なポイント
    【解説/テンプレ付】運行指示書の作成方法とポイント
    【解説/テンプレ付】自動車事業に欠かせない日常点検表

    4位 「ドライブレコーダー」

    煽り運転対策としてドライブレコーダーの設置を検討する人が増えています。とくに2019年は目を疑うほどのゾッとするような事件・事故が多く、危険な行為から身を守るためのいち手段として高精度なドラレコへの興味が急伸。SDMGでは様々な性能のドラレコをご紹介しています。

    関連記事:
    【2019年最新版】法人向けドライブレコーダーおすすめ5選
    法人向け通信型ドライブレコーダーのメリットとオススメ機種5選
    事故時に活躍するGPS搭載型のドライブレコーダー9選
    車の安全を守ってくれる「安全運転支援機能」を搭載するドライブレコーダー7選
    【メーカー別】法人向けの業務用ドライブレコーダー9選

    5位 「モーダルシフト」

    地球に優しく、大量輸送を―環境への負荷を低減するために、貨物輸送をトラックなどの自動車から鉄道や船舶へ転換するモーダルシフトの動きが活発になりつつあります。とくにドライバー不足が叫ばれている昨今においては、モーダルシフトの取り組みが欠かせないとも言えるでしょう。

    関連記事:
    「モーダルシフト」は日本の物流を救えるか?
    サステナブルな物流を−国交省が推進する生産性向上プラン

    6位 「安全運転」

    車を所有する人、事業者であればいつも心がけたい安全運転。しかし運転に慣れてきたり、急いでいたりするとついつい危険運転をしてしまう…。そもそも安全運転とは?を解説した記事からドライバー一人ひとりの運転特性を見極める記事まで、SDMGでは安全運転を多角的な視点で取り上げた記事が満載です。

    関連記事:
    安全運転のために!初心者ドライバーが心がけたい12のこと
    そもそも安全運転ってどんな運転?安全運転で得する社会へ
    安全運転で環境も守るエコドライブのススメ
    ドライバーの運転改善に繋がる「安全運転診断」とは?
    運転診断から読み解く––個々のドライバーの課題に応じた安全運転教育を

    7位 「車両管理」

    「適正な配車ができているのか」「車両の点検時期はいつ?」「誰がどの車両を利用しているのか」など、車両に関する情報は多岐に渡るもの。手間暇のかかる煩雑な業務ではありますが、効率化やコスト削減を実現するには車両管理の徹底が近道です。最近では非常に便利な車両管理システムも多く提供されているので、こうしたツールをうまく活用して自社にあった車両管理体制を構築しては。

    関連記事:
    【2019年最新版】目的別・社用車を管理し業務の最適化を担う車両管理システム24選
    リスクマネジメントのために必要不可欠な車両管理
    社用車の管理は万全?車両管理サービスでリスクマネジメント(国内編)
    ドライバーの労務管理の課題とポイント−車両管理システムが解決できること

    8位 「3PL」

    物流に関連する人であれば一度は耳にしたことがあるかもしれない3PL。積み重なる物流の課題を解決し、より効率的にそして経済的な運用を叶えるサービスとして注目されているようです。2020年はここからさらに進化を遂げ、3PLのノウハウを持った物流企業が他の物流企業にノウハウを伝授し、サービス化する“4PL”が広がっていくのではと予想されています。

    関連記事:
    倉庫のIT化は物流業界をどう変えていくのか
    テクノロジーが後押しする物流業界の新たなビジネスモデル
    リバースロジスティクスは物流業界が抱える問題解決のメソッドになるか

    9位  「API」

    API(アプリケーションプログラミングインターフェイス)とは、とあるコンピュータプログラムの機能やデータを外部のブログラムから呼び出して利用する仕様や手順のこと。機能を共有することで、コミュニケーションを円滑にしたり機能を拡張したりするなど、可能性が大幅に広げられるのです。いろんなものがつながる時代だからこそ、注目されているのかも?

    関連記事:

    物流の働き方改革を推進する「トラック簿」開発秘話 -後編
    デジタルマーケティング領域で第一線を走るナイルがモビリティ領域を推進するワケ
    【対談】膨大なデータが世界を変える、デジタル時代のIoTとその未来

     

    10位 「ETC」

    SDMGの中でももっとも読まれていたETC2.0の記事。割引サービスなど、搭載することで多くの恩恵を受けられるため、車載器を設置する人が増え続けています。利用者が多い首都高速道路では、2019年の10月1日から東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県で「はじめトク?ETC助成金キャンペーン」「もらっトク?いまだけQUOカード付キャンペーン」を実施。助成地域内のキャンペーン取扱店でETCまたはETC2.0の車載器の価格(セットアップ費用含む)から1万円を割り引くもので期間は2020年3月31日まで。この機会を利用してますます導入が加速しそうですね。

    関連記事:
    ETC2.0とは?ETCとの違いやメリット、人気の車載器などを解説
    ETC2.0車両管理サービス、丸紅と沖電気工業(OKI)が共同で社会実験を開始

  • 2019年に注目されていたのは?人気記事ランキングを発表!

    2019年に注目されていたのは?人気記事ランキングを発表!

    2020年が始まりました。

    昨年は社会問題化した煽り運転事件や高齢ドライバーによる被害が大きな交通事故、自然災害時の対策など、さまざまなトピックがありました。そのうえで2019年はどんな記事が注目されていたのでしょうか。ランキング形式でご紹介します!

     

    2019年全体の傾向は

    上位にランクインした記事をざっと見ていくと、ほとんどがドライブレコーダーに関する記事でした。事件や事故のニュースがメディアで流れる際に、視聴者映像や本人が記録したドラレコの映像を目にしますが、これが重要な証拠となって、事件や事故を未然に防いだり、過失割合を明確にしたり、解決スピードを早めてくれるため、今では安全なドライブに欠かせないツールへ変わりつつあります。安心・安全な運転とドライバーや会社を守るためにも注目度が一気に向上したようです。

     

    1
    ETC2.0とは?ETCとの違いやメリット、人の車載機などを解

     

    ETC2.0とは

    搭載することで圏央道の料金や渋滞を避けたルート走行による割引が受けられるなど、お得かつスムーズな移動を可能にするETC2.0。ETCの車載器をセットアップする件数は年々伸び続け、2019年12月時点では全セットアップの件数が5,927,624件でした。

    通常のETC(1.0)と比較してETC2.0は倍額近くの導入コストとセットアップ費用がかかるものの、大容量・双方向の通信機能によって、リアルタイムでの渋滞情報や災害時の道路状況など「あったら助かる」情報を受け取れるのも大きなメリット。コネクテッドカーやIoTが浸透しつつある現代において、今後はETC2.0がデフォルトになる時代もくるかも?

    昨年12月に国土交通省が発表した「地域道路経済戦略研究会」では、ETC2.0を活用した地域交通マネジメントの実装に向けて取り組みがなされるとのこと。同研究会では、「ETC2.0データを活用した冬期所要時間情報の提供」、「ETC2.0データを活用した通行止め等の異常検知」、「静岡型MaaS社会実験におけるETC2.0 データの活用」などが議論される予定です。

    記事を読む

     

    2
    【初心者向け】ドライブレコーダーの取り付け方法

     

     

    昨今の悪質なあおり運転による事件・事故を受けて、事故防止や証拠を記録するために飛ぶように売れているドライブレコーダー。新車で購入する場合はオプションでスムーズに設置してもらえますが、後付けで購入した場合に意外と手こずるのが取り付け方。「ネットで安く買うことができたけど、どうすればいいんだろう?」と困っている方に向けて、設置方法を丁寧に解説。写真付きで設置方法を説明しながら、必要な工具とその値段もお教えします。

    記事を読む

     

    3
    【解】車の減償却と費 –– 取得格や耐用年など押さえておきたいポイントとは

     

    企業の節税対策として理解しておくべき減価償却の基本。その考え方や方法をしっかりと把握しておけば、社用車を購入すべきかリースにすべきか、迷うことなくベストな選択ができるはず。この記事では車の減価償却と法人の経費だけでなく、取得価格や耐用年数など抑えておくべきポイントもまとめてご紹介しています。

    記事を読む

    4
    最短1ヶ月、短期利用できるカーリースサービスまとめ

     

    最近では、個人や法人を問わず、「必要な時にだけ」利用するという概念が浸透し、カーシェアやカーリースが人気を集めています。カーシェアやレンタカーは数時間、数日間の利用が可能ですが、長期的に利用するにはそれなりの出費が。とはいえカーリースは3年、5年、7年、9年と長期間で契約するものがほとんどです。

    そこでカーシェアとカーリースの中間ぐらいで少し長めに車を利用したいという人に向けて、最近では短期間カーリースができるサービスも増えているようです。最短1ヶ月から、ニーズや目的に合わせて、または気軽に新車やいろんな車種を試したい方にぴったりの短期カーリースサービスを8つご紹介します。

    記事を読む

     

    5
    スマホをドライブレコーダーに!おすすめアプリ7選と使い方紹介

     

    需要が伸び続けるドライブレコーダーですが、コストを考えるとすぐに導入は難しい、まずはどんなものが試してみたいという方も少なくはないでしょう。この記事では、手持ちのスマホをドライブレコーダー代わりにしてしまう優秀なアプリをピックアップ。カメラの性能も向上している今、導入費用がほとんど0円で最低限の映像を記録することができます。必要なのはスマホとスマホ設置ホルダーのみ。いろんなアプリでドラレコの便利さを比較したり、試したりしてみてくださいね。

    記事を読む

     

    6
    ミラー型ドライブレコーダーの魅力と人気商品10選

     

    DBPOWER ドライブレコーダー バックミラー型2.7インチ液晶モニター
    出典 : DBPOWER ドライブレコーダー バックミラー型 2.7インチ

     

    ドラレコを検討しているけど、フロントガラスに設置するのはちょっと…。とくにモニターと一体型の商品の場合、前方の視界を遮られてしまうため運転中に気になることもあるはず。ミラー型ドラレコの一番のメリットは、カメラをルームミラーの裏側に隠すことで視界を遮らず、なおかつ見た目にもスマートであること。面倒な配線も行うことなく取り付けることができるため、すぐに使えるのも魅力です。そんなスマートなミラー型はどんな商品が人気を集めているのでしょうか。

    記事を読む

     

    7
    駐車監視機能を搭載しているドライブレコーダー9選

     

    通常のドライブレコーダーは運転中の録画がメインですが、駐車監視機能を搭載したドラレコは停車中の車に起きたできごとを記録するものです。Gセンサーと動体検知センサー、二つのセンサーが駐車中に発生した追突事故、車上荒らし、イタズラ、盗難などをかっちりと記録。車から離れている間に起きたトラブルを早急に解決する証拠として一役かってくれることでしょう。

    記事を読む

     

    8
    【2019年版】運行管理者試験に合格するための攻略ポイント

     

     

    旅客や運送をはじめ、ドライバーの健康を守り、安全で確実な業務を遂行するために、一定数以上の事業用自動車を有する企業は営業所ごとに運行管理者をおくことが義務付けられています。運行管理者になるには国家資格を取得する、あるいは一定の経験と要件を備える必要があります。近年の合格率は年々減少傾向にありますが、それでもポイントさえ押さえれば資格取得も困難ではありません。運行管理試験の経験者が教える攻略ポイントとは?

    記事を読む

    9
    Wi-Fi対応、スマホと連携できるドライブレコーダー9選

     

     

    画質が良いもの、多機能なもの、使い方がシンプルなものなど、ユーザーの目的によってドラレコの種類も多様化してきましたが、そこへ近年、Wi-Fi対応のドラレコも仲間入り。その最大のメリットは、スマホと連携できること。また、液晶の小型化によりデザインが洗練されているのも魅力。事故防止も重要ですが、ドラレコは楽しい旅の記録もしっかり残すことができます。スマホで簡単に楽しい、美しい旅の時間を反芻することができる−ドラレコの使い道は、人によって無限大です。

    記事を読む

     

    10
    車の2台持ちについて――維持費やメリット、保険などポイントまとめ

     

    車2台持ち

    電車、バス、タクシー、シェアサイクルなど、インフラが整っている都心部と比較すると、地方は高度成長期につくられたインフラの老朽化が進み、交通インフラも限られているため移動に不便が生じています。ちょっとした買い物、送り迎えなど、自由に移動するために、セカンドカーの購入を検討するご家庭も少なくはないでしょう。しかし、維持費を含むコスト面を考えると簡単に決断は下せないもの。そこで、実際にどれぐらい費用がかかるのか、お得な乗り方はないのかをご紹介します。

    記事を読む

  • 【2019年度】ドライブレコーダーが捉えた危険運転やあおり運転事件簿

    【2019年度】ドライブレコーダーが捉えた危険運転やあおり運転事件簿

    ドライブレコーダーが捉えた危険運転やあおり運転の映像をニュースで見るたび、「なんて非常識な行為なのだろう」と憤りを感じる方は多いはず。しかし、報道されている事案は「氷山の一角」にすぎません。実際には数倍、いや数十倍の危険運転が各所で起きており、いつ・どこで被害を受けるかわかりませんし、反対に自分が加害者になる可能性もゼロではありません。

    この記事では、2019年に発生した危険運転による事件・事故を整理することで、被害を受けない・与えないため配慮すべきポイントを解説します。

    2019年ドラレコ事件簿!発覚・発生した事件・事故まとめ

     

    まずは、2019年ドラレコの映像が決定的な証拠となり立件された事件や、寸前の様子が捉えられた事故のうち、世間にもっとも衝撃を与えた事案をいくつかご紹介します。

    悪質すぎる!「常磐自動車道あおり運転・殴打事件」

    8月10日、茨城県内の常磐自動車道で発生したあおり運転・殴打事件では、被害者のドラレコに、容疑者が蛇行運転や急停止を繰り返して進路を妨害した挙句、大声で怒鳴りながら窓越しに被害者の顔面を何度も殴打する様子が鮮明に記録されていました。

    「殺すぞ」などと罵声を発し、被害男性へ殴打を執拗に続けた「異常性」もさることながら、本来それをなだめ制止すべき同乗者の女性が、携帯でその様子を撮影するような姿も録画されており、犯行がエスカレートした要因になっているとみられています。犯行後両者は逃走しましたが、事件の悪質性と社会的反響から異例の「全国指名手配」が実施され、実行犯である宮崎文夫容疑者は傷害容疑、同乗していた喜本奈津子容疑者は犯人隠匿・隠避の疑いで逮捕されました。

    また、他者を事故に巻き込みかねないあおり運転や、被害者を強引に停車させ暴行を加えることも言語道断ですが、宮崎・喜本容疑者が犯行時乗っていた高級SUVは、返却期限を大幅に過ぎたディーラーの試乗車という身勝手さも話題に。さらに、事件以前の7月23日にも同車両であおり運転していたことが、被害車両のドラレコ映像によって確認されたため、宮崎容疑者はこれまで危険運転を日常的に行っていたと考えられます。

    盗難車での犯行!「東名高速あおりエアガン事件」

    愛知県内の東名高速道路で乗用車が後続のワゴン車にあおられ、エアガンを発射されたこの事件。県警は9月14日、器物損壊容疑で兵庫県尼崎市の無職・佐藤竜彦被告を逮捕しました。

    事件が発生したのは9月8日早朝、被害者の110番通報で駆け付けた警察は約1時間20分後、ガス欠で停車中の加害車両を発見しましたが、佐藤被告は30代とみられる同乗女性を残し逃走。その後、兄貴分とされる知人に付き添われ同月14日出頭したのですが、なんと犯行時に乗っていたミニバンが今年7月横浜市内で盗まれたものだったほか、捜査関係者によると佐藤被告は前科17犯で服役経験もあるとのこと。

    さらに、事件発生時および逃走中に、佐藤被告が覚せい剤を使用していた事実も判明、12月10日に行われた初公判で「懲役3年6ヶ月」を検察側から求刑されています。(判決は同月25日)佐藤被告は被告人質問で、「大々的に報道されパニックとなり、もう死んでしまいたいと思った」と、覚せい剤使用理由について供述をしたようですが、高速道路でエアガンをぶっ放す異常性を考えれば、事件発生時既にまともな精神状態ではなかった可能性もあります。

    もしそうなら、道路交通法による「罰金5万円」の略式命令は軽すぎますし、即刻、運転免許の取消・欠格処分をすべきですが、運転中の使用が立証できない場合は法的にこれ以上の罰を与えられませんし、事件後に逃走・潜伏したのは発覚を逃れるためだったかもしれません。

    ただ、佐藤被告が被害車両に向けて窓から腕を出し、エアガンを発射する映像がドラレコに残されており、TwitterなどのSNSで拡散すると、加害者特定や犯罪行為の証拠を確保するうえで「ドラレコが役立つのでは?」と、ユーザーの購買意欲が向上したのは事実です。また、宮崎容疑者や佐藤被告のような「異常ドライバー」と遭遇するケースは稀ですが、一連の事件の影響により車内・外を360度方向にフルカバーする、「全方位型」など高機能・高額なドラレコの売り上げが急増しました。

    なんと容疑者は無免許!「鹿児島あおり運転・脅迫事件」

    9月24日午前0時すぎ、鹿児島市の国道で21歳の男性会社員が運転する車を執拗に追い回すあおり運転をしたうえ、交差点で停車した際「殺すぞ」などと怒鳴る事件が発生し、加害者である同市の無職・宮原勝容疑者が「脅迫容疑」で逮捕されました。

    幸い、被害男性にけがはなく車への被害も軽度だったようですが、宮原容疑者が知人から借りた車で無免許運転をしていたことが報道されると、ネットやSNSでは

    「無免許であおり運転して暴言を吐くなんて論外」

    「こんな奴は二度とハンドルを握れないようにすべき」

    「無免許の犯人に車を貸した側も問題」

    など、容疑者はもちろん、車を貸した持ち主に対する非難の声が殺到しました。また、脅迫という犯罪行為や無免許運転という重大な違反を犯していながら、宮原容疑者は事件性を自覚していなかったのか、犯行後その場を立ち去っています。

    しかし、被害者のドラレコに保存された事件の様子がテレビやSNSで大きく取り上げられたことで容疑者が怖くなり、後日知人に付き添われ自ら警察へ出頭、つまりこの事件の発覚と解決にもドラレコが一役買った訳です。さらに、宮原容疑者の脅迫容疑が固まったのは、被害者に向かって語気を荒げて恫喝する声が、証拠として採用できるレベルで鮮明に記録されていたためでした。こうした背景から、今後は録音・再生能力に優れた機種がドラレコ市場で売れ筋になるとみられています。

    高速道路を時速100kmで逆走か「群馬・関越自動車道死亡事故」

    群馬県渋川市の関越自動車道で12月1日、80歳男性が運転する軽自動車が逆走して乗用車と正面衝突する事故が発生。逆走車を運転していた80歳男性は死亡し、衝突された車に乗っていた70代男女が重軽傷を負いました。事故寸前に下り車線を猛スピードで逆走する軽自動車を次々と対向車が間一髪で逆走車をよける様子がニュースで連日取り上げられたため、恐怖を感じたユーザーも多いはずです。

    映像提供者は自分の車のスピードから、逆走車が時速100km以上で走行したと話しているほか、事故後に行われた防犯カメラ映像などの調査によれば、4km手前の赤城高原SAで出口を誤り逆走を続けたとみられています。

    この事故で亡くなった津久井豊さんは、8年前に受けた心臓手術中に脳梗塞を発症し、その後遺症で右足に麻痺が残っていたようで、近所の知人は免許返納を勧めていたにも関わらず「人の世話になりたくない」と断っていたとのこと。しかし、ICでETCのバーを跳ね上げ高速道路へ侵入し、反対車線を4km暴走したという事実を考えると、通常の認知・判断・操作が正常に行えていたとは言いがたいかもしれません。津久井さんはこの事故の2ヶ月前にも橋の欄干へ衝突する事故を起こしていました。

    また、目の前で対向車が自分の車を避ける状況になれば、通常即座に停車するはずですが、一切スピードを緩めず暴走しているため、いわゆるパニックを起こし、正常な判断ができない状態だったと考えられます。パニックを起こしてしまうことは誰にでもありますが、気が動転して正常な判断ができない場合は、年齢に関わらず運転をしないと判断すべきでしょう。自動車は、時に凶器へ変わるものです。この時、逆走した軽自動車に乗り換えたそうですが、自ら運転技術や判断力低下をかもしれません。

    なお、事故直前の映像は車内から撮影されているため、おそらくスマホなどによるものですが、政府は死亡事故に発展しやすい高速道路での逆走を撲滅すべく、ドラレコを活用した防止対策に着手、2020年1月から実証実験を始めるとしています。

    具体的には、車載カメラで逆走を検知しカーナビで警告する技術や、検知しやすい逆走防止標識のデザインを検証していく予定で、自動車・ドラレコ・カーナビメーカ―を対象に本年末まで参加者を募り、選定した約10社と官民一体で逆走事故ゼロを目指す方針です。

    ドラレコは危険運転の抑止力になるか

     

    ドラレコは犯罪時の証拠を証明する手段として数多くの事案で採用されているほか、事故原因の究明と再発防止に役立つツールとして、警察や国などが大いに期待を寄せています。今やドラレコの記録映像は電波に乗って瞬く間に拡散し、視聴者によって危険運転をしたドライバーは猛烈な批判を浴びるため、仮に非搭載であっても「ドラレコ撮影中」と明記されたステッカーを愛車に貼るだけで、一定の抑止力を発揮してくれるでしょう。

    また、犯罪や危険運転によるものではなく、不注意やミスで事故に遭遇した際も、責任割合の確定など事故後のトラブルを抑止できるほか、安全運転支援機能付きドラレコを導入すれば、事故発生自体の抑止力にもなります。さらに、ご両親が高齢ドライバーに該当するならば、車の現在地・走行ルート・運行状況や、リアルタイムな撮影映像をサーバーへ送信し、専用WEBプラウザでいつでも閲覧可能な「通信ドラレコ」をプレゼントするのもいいでしょう。

    運転に不安を感じたら免許返納するのが基本ですが、どうしても車が必要な場合は通信ドラレコで日常的に運転の様子を見守ってあげたり、危険を感じたときはその映像をドライバーに見せ注意喚起したりすれば、意識が変わっていくはずです。

    まとめ

     

    交通事故は、あおり運転などの危険運転ではなく、慢心と油断で発生することが多いもの。ドラレコは確かに危険運転に対し強い抑止力を発揮しますが、自分の運転を客観的に見つめ直すことができるツールでもあります。リーズナブルな機種なら5,000円程度から、安全運転支援や通信機能を有する高性能な機種でも最近は2~3万円あれば購入可能ですので、安全を守り、事故を防止するといったメリットを考えれば、法人・個人問わず、用途と目的に応じたドラレコの導入が望ましいと言えるかもしれません。

  • 東南アジアのモビリティ事情〜マレーシアの今を現地担当者に聞いてみた〜

    東南アジアのモビリティ事情〜マレーシアの今を現地担当者に聞いてみた〜

    2019年11月、事業の拡大とさらなる移動の進化を後押しすべく、スマートドライブがマレーシアに拠点を立ち上げました。実際に現地で海外事業開発ディレクターとして活動する丸井達郎さんより、マレーシアのモビリティ事情を伺いました。

    マレーシアの交通事情

    タイのバンコクやインドネシアのジャカルタは東南アジアでも交通渋滞がひどいことで有名です。噂によると、一時間に数センチ程度しか動けないこともあるとか。2019年9月にアジア開発銀行(ADB)が発表した資料によると、アジア諸国で交通渋滞が深刻な都市として、マレーシアのクアラルンプールが2位に上がっていました。実際に、11月から住んでいる丸井さんは、どのように感じますか。

    丸井:マレーシアはアメリカなどと同じように車社会です。乗用車の総台数は東南アジアでインドネシアに続いて2位、1,000人あたりの乗用車の数は東南アジアの中では群を抜いて多い国です。。渋滞は大きな社会課題となっており、特に朝と夕方の通勤時間帯のクアラルンプール中心地はとくに渋滞がひどく、近くの目的地に到着するまで1時間かかることもあります。

    2017年の新車販売台数は58万台、生産台数は50万台。マレーシア政府は2020年までに省エネルギー車(EEV:Energy Efficient Vehicle)の地域拠点を目指しています。2017年7月にはクアラルンプールで大量輸送システム(MRT)が開通しましたが、そもそも、首都のクアラルンプール以外は公共交通機関があまり整っておらず、移動は基本的に自動車。自動車登録台数は2012年から累計1,000万台以上、2016年には1,300万台と増え続け、自動車を保有する世帯は全体の8割です。

    丸井:移動に関しては配車サービスのGrabが社会の移動インフラとして浸透しています。、どこへ行くのもアプリ一つで車が来て移動ができます。Grabのような非常な便利なサービスが発達している一方、ここ数年で全線開通した都心のモノレールをはじめとした公共交通機関が渋滞解消の解消には繋がっていません。、将来的にはGrabと電車など、あらゆるモビリティを組み合わせて、より効率的な移動が実現されていくのではないでしょうか。

    交通渋滞に関しては、今後スマートドライブのビジネスで解決に導くことができるのではないかと考えています。車が多いと事故のリスクも高まりますし、しっかりと車両管理が行えれば混雑する時間帯を避けて移動するなど、渋滞を緩和する方法が考えられますし。また、盗難も多発していますので、盗難を抑止できるソリューションのニーズも高いです。

    マレーシアにおけるモビリティの課題

    渋滞と盗難以外にはどのような課題があるでしょうか。

    丸井:渋滞と盗難に続いて、CO2の排出量を含む環境問題も考えなくてはなりません。マレーシアは人口が少ないから総体的に見ると排出量が低いかもしれません。しかし東南アジア全体で見ると現在の状況は持続可能な状態とは言い難いものです。

    マレーシアは、2014年に発表された国家自動車政策(NAP)でEEVの生産拠点にすること発表しています。EEV規格は排気量に応じた燃費効率が設けられており、各メーカーが発売する新モデルも燃費のよいEEVが主流になりつつあるようです。小型車と省エネ車が中心に売れているのも、環境問題に対する意識が高まっているからかもしれません。

    とはいえ、首都クアラルンプールの交通渋滞が経済成長の阻害要因になっていますよね。世界銀行の調査によると、2015年の時点で年間の損失額が200リンギット(日本円でおよそ6580億円)に達したそうです。世界銀行はマレーシア経済に関する報告書で、2014年の首都の渋滞コストが貨物の遅配のみで国内総生産(GDP)の1.0~1.8%に相当したと指摘していますし、これに混雑中の燃料消費や大気汚染による経済的損失などを含めた同国の総合的な渋滞コストはGDPの1.1~2.2%に達するとか。

    丸井:そうですね、今後の経済成長を促すためにも、モビリティ領域を彼らのデジタル産業として成長させていくべきです。Grabのような新しい企業を生み出し、その技術を対外国に対して輸出できるように、マレーシアの方たちがしっかり技術を身につけていくべきだと考えていますし、そこに対して私たちができることもあわせて事業展開を進めていくべきだと感じています。

    マレーシア企業の課題

    丸井さんはおよそ1ヵ月前よりマレーシアに行かれています。実際にマレーシアの企業とお話しする中でどのような課題があると感じましたか。

    丸井:現在、私はマレーシアでビジネスデベロップメントとしてその土地の企業様にお会いしたり、実際に生活をすることでスマートドライブの技術がどのような形で貢献できるかを考えたり、リサーチしたりしています。

    マレーシア政府はデジタル産業の成長に多額の投資をしていますし、イノベーションが起こりやすい新たな取り組みには特区を作るなど、積極的に支援をされています。そうした背景もあり、マレーシアの拠点は立ち上げからまだ1カ月ですが、非常に多くのご相談やお引合せをいただいていますね。みなさん、モビリティやテクノロジーに対する感度が高いと感じます。具体的には、政府関連企業様とのコラボレーションだったり、財閥企業のバックアップでビジネス開発の機会を得たり、現地の日系企業とコラボレーションしたり…あらゆる可能性に向けて動き始めている感じです。

    なるほど。マレーシアは2017年に世界で初めて「Grab」や「Uber」と言った配車アプリサービスを合法化した国です。アプリ上で緊急連絡ボタン設置を義務付けるなど、安全面に考慮した法改正も行われました。そういう点でも、新たなモビリティサービスへの意識の高さが伺えます。また、政府は同年には国内のデータセンターや地元のフィンテック企業への投資を拡大し、サポートしていました。そういう点でもデジタル化政策への前向きな姿勢が伺えます。

    丸井:現在はGrabのようなマレーシアのスタートアップ企業が東南アジア〜アジア全域に渡ってサービスを提供していますので、モビリティデータの活用が直接、経済の成長や課題解決に大きなインパクトをもたらすことを現地の方々も理解しています。ですから、今後本格的にデータやテクノロジーを活用したサービスが生まれていくと思いますね。

    マレーシアの企業は具体的にどのような課題を持っているのでしょうか。

    丸井:政府としてはスマートシティや持続可能的な輸送システムの実現など、まちづくりや都市開発の分野に関して方法を探っている政府系の企業は多くあります。法人の車両管理も大変強いニーズがあります。スマートドライブが日本でビジネスをしているフリートマネジメントや、MaaS関連の新しいサービスを創出したいと積極的に動いている企業もいます。たとえば、スマートドライブのデバイスやデータプラットフォームを使って、今までになかったような、Grabに匹敵するような新たなサービスを一緒に開発をしたい、またはそういった取り組みをしたいと言われますね。

    マレーシアの企業様の大きな経営課題として離職率、人件費高騰、採用難が挙げられます。営業の生産性を上げたい、車両管理を徹底して事故を減らしたいというニーズはもちろんですが、社員により楽しく、安全に働いてももらう仕組みの提供が必要です。私どもが提供する安全運転に応じてポイントが貯まる仕組みで従業員向けベネフィットを提供できればフリートをマネジメントするだけでなく、福利厚生の側面を強化できれば非常に可能性のある分野だと感じています。ピンポイントな課題へのご相談あれば街全体を効率化したいという大きなテーマの話も受けるなど、ニーズは多岐に渡りますので、私たちもどこが短期的、中長期的にどこに貢献できるかを考えてお話ししています。

    それは現地の企業、マレーシアに進出している日系企業、どちらの課題ですか?

    丸井:今の時点では、マレーシアの現地企業とそれほど多くお会いしているわけではありませんが、現地企業の方がテーマの大きい話が多い印象です。

    スマートドライブが今後マレーシアで実現したいこと

    2019年12月10日、マレーシアの政府機関「マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)」が日本の起業家や投資家の招致を強化する意向のプレスリリースを発表しました。マレーシアでは現在、「ASEAN諸国におけるデジタル経済のハブとなる」ことを目標に掲げ、日本との関係性を育てていきたいと言っています。デジタル化に積極的なマレーシアにおいて、丸井さんは今後どのようにサービスを展開していきたいと思っていますか。

    丸井:現在のビジネスプランニングのフェーズから、いち早く具体化に向けて駒を進めていきたいですね。次のフェーズは、領域を定めて、そこに必要な開発リソースと開発体制をマレーシア現地で整備すること。ローカルのお客様のニーズに合わせてソフトウェア、ハードウェアを開発できるように、マレーシアのエンジニアを採用して実際に開発へ進める土台を築きたいと考えています。

    そのためにはまず、私たちがどこに注力して、どのようなビジネスモデルでマレーシアの事業を進めていくのかを早急に固めていかなくてはなりません。そこから必要な人員のリソースと開発体制を整備し、具体的な実行プランに落とし込み、戦略を立てて、戦術部分を設計する。来年の春ごろからこのようなオペレーションを実行していく予定です。

     

  • もし社員が酒気帯びで事故を起こしてしまったら…?企業としての対応策を考える

    もし社員が酒気帯びで事故を起こしてしまったら…?企業としての対応策を考える

    酒酔い・酒気帯び運転は、判断・反応能力が著しく低下し重大事故の原因を作り、全ドライバーが「絶対にやってはならない」行為です。飲酒運転は罰則の強化や社会的気運の高まりによって年々減少しているものの、近年下げ止まり傾向で、依然として悲惨な交通事故は後を絶ちません。

    今回は、もし社員が酒気帯び運転で事故を起こしたらどんな事態に陥るのか、加えて会社の社会的役割と予防対策を解説することにより、「酒気帯び運転をしない・させない」ことを再認識して頂きたいと思います。

    年末年始は飲酒を起因とした交通事故が増える?

     

    警視庁が公表している資料によれば2010年からの5年間、もっとも飲酒運転事故が発生していたのは12月。累計2,311件、平均発生件数の約1,17倍という数字を見ても、忘年会などお酒を飲む機会が多い年末は、飲酒運転事故も増える傾向にあるとわかります。

     

    出典:警視庁「飲酒運転事故関連統計資料」

    1月の発生件数が比較的少ないのは意外かもしれませんが、

    • 正月休みの影響で交通量が少ない
    • 家族や親族など運転を止める監視者がいることが多い
    • 忘年会のみで新年会をしない会社が増えている

    といった理由が影響していると思われ、事実1年を通じて日中(AM8:00~PM4:00)に起きた飲酒事故の発生件数は、夕方から早朝より極端に少ないというデータもあります。これはつまり、「業務終了後の飲み会帰り」に事故を起こすドライバーが多いということ。12月も含め飲酒する機会がどうしても増える年末・年始は、会社の上司・同僚が監視者となり「飲んだら乗るな!」を徹底すべきでしょう。とはいえ、ドライバーの総数が多いことも関係しますが、同期間における世代別飲酒事故発生件数を見ると40歳代がワースト1、次いで30歳代となっており運転歴も長く社内で後輩や部下を持つことも多い世代の意識が低すぎる事こそが問題であるといえるでしょう。

    運転技術が未熟な20代の死亡事故率がもっとも高いことを加味すると、ベテランドライバーは自分が飲酒運転をしないことはもちろん、若いドライバーに飲酒運転をさせないよう指導する立場だと、強く自覚する必要があります。

    「寝たらお酒は抜ける」はウソ!

    早朝に飲酒運転で検挙された当事者の多くは、「昨晩深酒したが十分睡眠をとったから大丈夫だと思った」と語っているほか、2018年11月に(株)タニタが実施した調査でも、社用車を運転する人の約37%が同様の認識を持っていました。

    飲酒事故を完全になくすには、「飲んでも寝れば大丈夫」という考え方はNGです。500mlの缶ビールを飲んだ時アルコールが完全に抜けるには、中肉中背の成人男性で約6時間を要すると言われています。そして、寝ている間は全身の血流が緩やかになり、肝臓へ入る血液量が覚醒時より減少するため、逆にアルコールの分解スピードが遅くなると考えられています(体質にもよります)。

    「寝ればお酒は抜ける」は決して正しい情報ではありません。忘年会や新年会でついつい飲みてしまう人は多いかもしれません。たとえ、いつも通りしっかり睡眠をとったとしても、翌朝までアルコールが残っているため、それが事故につながりかねないのです。こうした事実から、警察は近年、「年末年始・早朝」の飲酒運転取り締まりを強化しています。

    中にはお風呂・サウナ・運動で大量に汗をかけばお酒が抜けると考えている方もいるようですが、体内に入ったアルコールは90%以上が肝臓で分解されるため、せっせと汗をかいてもほとんど排出されません。むしろ、飲酒すると利尿作用により体が脱水状態になるため、飲酒後に長時間お風呂やサウナに入ったり、激しい運動をしたりするのは大変危険な行為です。死亡事故に至った例もありますので、絶対にやめましょう。

    もしも…社員が飲酒運転による事故を起こしてしまったら?

     

    もし、社員が飲酒運転をした場合、会社はどのような対応をすべきでしょうか。会社に対して刑事責任・行政責任はどのように生じるのでしょうか。

    たとえば翌日、朝から営業車で客先に回る社員にお酒を多くすすめると、道路交通法などをもとに会社に対して行政処分、あるいは代表者に刑事罰が適用される可能性があります。また、役職・雇用形態・年齢などに関わらず、飲酒の事実を知りながら社用車の使用許可や自家用車の貸与をした場合、次のような非常に重い罰則が科せられます。

     

    • 酒酔い運転・・・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 酒気帯び運転・・・3年以下の懲役または50万円以下の罰金

    加えて、「まあ一杯ぐらいいいじゃないか」と軽い気持ちでお酒をすすめただけでも、

    • 酒酔い運転・・・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 酒気帯び運転・・・2年以下の懲役または30万円以下の罰金

    が課せられますが、交通事故に発展した場合はそれにも増して、問われる民事責任や行政処分、社会的信用の失墜が深刻です。民法715条及び自動車損害賠償保障法3条において規定されている、「使用者責任」に基づく損害賠償請求では、飲酒運転を軽視する社風だったり、飲酒の有無を確認するシステムを構築していなかったりした場合、会社側の責任が重く問われることになります。

    物流・運送など、車を日常的に業務で使用する事業者の場合、車両使用停止・事業停止・営業許可取消といった行政処分を、一定期間科せられる可能性も。飲酒事故は単なる交通違反ではなく犯罪行為とされるため、報道では「A運送従業員・B容疑者」と必ずアナウンスされますし、業務中の事故で重大な被害が出ればトップニュースとして大々的に取り上げられてしまいます。

    ネットやSNSが普及している現在、責任の有無や業務中・プライベートに関わらず、社員が飲酒事故を起こした事実はあっという間に拡散するため、会社への社会的批判が増していくのは火を見るより明らかです。社員が飲酒事故を起こした会社を信頼する企業や人はいませんし、飲酒運転ドライバーのタクシーに乗りたがるユーザーなんていませんから、たちまち社会的信用が地に落ち、最悪の場合、経営が成り立たなくなる可能性も考えられるでしょう。

    飲酒事故が起きる前に会社ができる事とは

     

    前述した通り会社が被る悪影響は計り知れないため、業務中はもちろん通勤などの日常的な運転の際にも、事業主や総務担当者は全従業員に飲酒運転をさせない対策を立てる必要があります。この項では、万全を期すべき飲酒運転防止対策ついて、どのようなことに会社は取り組むべきかを解説しましょう。

    社員教育と飲酒運転防止システムの構築

    事故の有無に関わらず「飲んだら乗るな・乗るなら飲むな」の意識を徹底的に植え付けるために、まずは飲酒運転をしてしまう人の心理を理解しましょう。

    飲酒運転をする人には、取り締まりに遭わず事故さえ起こさなければよいと考える人(パターン1)、アルコールが運転に及ぼす影響を甘く見ている人(パターン2)、そして飲酒によって気が大きくなる人(パターン3のおもに「3パターン」の心理が働いています。

    パターン1

    「遵法精神が希薄」であることが原因なため、厳格化された罰則の周知や家庭・会社へ及ぶ悪影響、過去に発生した悲惨な飲酒運転事故の顛末を繰り返し共有することで、社全体の遵法精神は徐々に高まっていきます。「飲酒運転撲滅 ダウンロード」というワードでネット検索すれば、各警察が提供しているポスターやチラシ、リーフレットなど、広報啓発グッズを無料で入手できるので、ぜひ会社全体の意識向上や社員教育に活用してみてください。

    パターン2

    飲酒をすると、

    • 視界・注意の範囲が狭くなる
    • 速度感・動作が乱れる
    • 普段の欠点があらわになる
    • 自己規制能力がゆるむ
    • ミスに対する自覚がなくなる

    など、安全運転を保てない様々な悪影響が出るものの、口頭や各種資料だけではなかなか伝わりきらないものです。そんな飲酒による運転への悪影響を疑似体験できるツールが市販されていますので、取り入れて見ましょう。中でも医学理科学教材の製造・輸入・販売を手掛けている、日本スリービー・サイエンティフィック(株)の「飲酒状態体験ゴーグル」がおすすめです。

    実際に試した感想をお伝えすると、運転どころかキャッチボールや線の上をまっすぐに歩くことすらできない状態に。「これは本当に危険だ」と飲酒運転の危険性を平常時の脳にしっかり刻み付けることができました。この時使用したのは酒気帯び運転に相当する「酩酊初期」でしたが、その他にほろ酔い・酩酊・泥酔など飲酒量に合わせたタイプがラインナップされており、価格はいずれも3万円弱。飲酒運転・事故が会社に与える損害を考えれば決して高い買い物ではありませんので、パターン2の飲酒運転撲滅を目指すなら、社員教育への導入を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

     

    パターン3

    一方、最も厄介なのがこのパターン。普段は安全運転意識が強く、飲酒による悪影響もしっかり自覚しているのに、高揚感や「そんなに酔ってないし短距離だから…」といった、全く根拠のない過信と油断からつい飲酒運転をしてしまうのがこの人たち。
    このパターンには、アルコールテスターを導入して運転前に飲酒の有無をチェックするなど、組織的に飲酒運転防止システムを構築することが不可欠。とくに、損害が甚大となる物流・運送業においては必ず実施すべきです。また、忘年会や新年会など業務終了後の飲み会では、規模に応じて数名「ハンドルキーパー」を任命するのも一つの手段です。お酒を飲まず送迎してくれる替わりに会費を免除するなど、飲酒運転撲滅への意識が高い企業の中には、会社が手当を支給するところもあるようです。

    飲酒運転発覚時の処分周知と厳格化

    勤務中はお酒を飲むこと自体が言語道断ですし、ましてや飲酒運転で検挙されたり事故を起こしたりした場合、会社は服務規定に則って処分を下さなくてはなりません。普段からトラックを運転をして大切な商品や顧客を運ぶ物流・運送業者のセールスドライバーについては、懲戒解雇もやむを得ないかもしれません。

    ただし、プライベートな時間に関しては会社が関与できないため、飲酒運転が発覚しても懲戒処分を下すことは基本的にできませんが、万全を期すなら服務規定や労働契約書へ「就業時間外でも処分する」旨を明記したうえで、全社員に周知徹底しましょう。飲酒運転と飲酒事故に対する社会的な批判の高まりを鑑みると、処分も厳格化すべきかもしれませんが、勤務時間外に飲酒運転・事故を起こした社員を「懲戒解雇」できるかどうかは状況によって異なり、

    1. 行為者の属性(職種・役職・勤務状況)
    2. 行為の状況・内容(飲酒量・被害の有無・事後の対応)
    3. 社会的影響の有無・程度
    4. その他情状
    5. 懲戒規定の周知徹底の有無

    を総合的に考慮して処分を決めなくてはなりません。参考に休日の飲酒運転を理由とする懲戒解雇の可否について、過去の判例を挙げますが、いずれも古い判例であり、飲酒運転撲滅への動きが強まっている現在では、懲戒解雇を認めるケースが主流になっています。

    事例 事案の概要 考慮要素 処分の可否
     

     

    Y社(運送業)懲戒解雇事件(H19年8月・東京地裁)

    業務終了後飲酒し、自宅に向かう途中に酒気帯び運転で検挙され、30日間の免停・20万円の罰金に処せられたセールスドライバーを懲戒解雇。 l  セールスドライバー

    l  検挙後処分を恐れ直ちに会社へ報告しなかった

    l  Y社の社会的評価が著しく低下する恐れ

     

     

     

    妥当

     

     

     

    F市水道局員懲戒免職事件(H18年9月・大阪地裁)

    飲酒運転で2度衝突事故を起こし3名に傷害を負わせ、いずれも警察に通報せずその場を立ち去って検挙された職員を市が懲戒免職。 l  管理職(係長)

    l  事故後救護措置を取らず立ち去った

    l  市は飲酒運転の禁止について再三周知徹底を図っていた

     

     

     

    妥当

     

    K市職員懲戒免職事件(H21年4月・大阪地裁)

    休日に酒気帯び運転で検挙され、30日間の免停・20万円の罰金に処された職員を市が懲戒免職。 l  管理職

    l  違反距離が400mかつ時速40km

    l  アルコール量が最低限

    l  パトカーの追跡に気がついて自発的に停車

     

     

    不当

    まとめ

     

    会社がどんなに力を入れて社員教育や防止システムの構築し、懲戒処分の周知徹底と厳罰化を実施しても、目が届かないところで飲酒運転が行われることは少なくありません。自分が飲酒事故の加害者にならないだけではなく、大切な人の命が飲酒運転によって奪われてしまったら…ということにまで思いを巡らせ、「しない・させない」を心に強く刻み、一歩一歩「飲酒事故撲滅」を目指していきましょう。

     

  • ドライブレコーダー参入企業が増加!その理由とは

    ドライブレコーダー参入企業が増加!その理由とは

     

    不注意や操作ミスだけでなく、あおり運転を始めとする危険行為が原因の交通事故や事件は後を絶ちません。そして、その様子を記録したドライブレコーダーの映像が、連日のようにワイドショーで取り上げられるようになりました。安全と防犯を目的にドライブレコーダーを搭載するユーザーが増え、併せてドラレコ市場もにわかに活気を帯びてきましたが、近年積極的に参入した大手家電メーカーがリリースした商品は、単なる映像・音声の「記録装置」から、さらに進化を遂げているようです。

    家電メーカーが続々とドラレコ市場に参入!

     

    車内外の運転状況を記録するドライブレコーダーは、万一の交通事故の際に貴重な証拠を確保できるため、物流・運送業者をターゲットとした「業務用」を中心に開発されてきました。

    一般向けの商品も販売されていましたが、フロントガラスの視界が若干遮られる、購入・取付にコストがかかる、長時間運転することが少ないといった理由や、「交通事故なんてめったに遭遇するものではない」という認識が強かったためか浸透せず、国土交通省調べによれば2008年3月時点でのドラレコ普及率はタクシーが49%に達する一方で、自家用車はわずか0.1%にすぎませんでした。しかしその後、導入業者の事故率低下が顕著に表れ始めたことや、当初は一式5万円を超えていた導入コストが市場拡大を予測した企業の参入によって安価になった影響で、業務車はもちろん自家用車への普及率も少しずつ上昇しました。

    そんなドラレコ市場に影響を与えたのはやはり痛ましい事故の数々であり、2012年4月発生した京都祇園軽ワゴン車暴走事故の記録映像は、それまで業務車が中心だったドラレコの認知度を高めるきっかけとなり、一時的に売れ行きが上昇します。

    決定打となったのは、2017年6月に発生した東名高速夫婦死亡事故であり、原因となった「あおり運転」への対策意識の向上からニーズが急増。翌年には一部メーカーで供給が間に合わず売り切れが続出しました。その結果、ドラレコ・レーダー探知機などを専門的に販売してきた企業だけではなく、一般家電メーカーもドラレコ市場へ参入が進んでいます。とくに後述する高い映像・音響技術を有するメーカーは、高性能ドラレコの販売を足掛かりとして、さらなる市場拡大を目指しているようです。

     

    なぜ今多くの企業がドラレコ市場に参入しているのか

    ドラレコ市場への参入企業が続出している理由は大きく3つ。1つ目は物流・運送業界に対する「ドラレコ搭載義務化」への動きが強まっているためです。2016年1月に発生した軽井沢スキーバス転落事故を受け、同年3月すべての貸切バス事業者にドラレコ搭載および、映像を活用した指導・監督が国交省により義務化されており、2020年には他の物流・運送業者も対象になると想定されています。

    2つ目は、事故状況の把握・予防につながる観点から、損害保険業界はかなり早い段階でドラレコ搭載車への優遇措置を検討しており、ドラレコを付ければ保険料が割引となる商品が、近い将来登場する可能性もあるためです。加入すれば事故状況の記録だけではなく、緊急連絡機能付きのドラレコが貸し出しされる「ドラレコ特約」を準備している損保もあり、安全運転や防犯意識の強いユーザーから支持を集めていますが、優遇措置が実現すればさらにニーズは拡大するでしょう。

    また、売り切れが続出するほど需要が高まっているならば、参入メーカーが増えるのは当然とも言えるもの。市場が拡大すると価格競争により平均価格は下がるはずですが、ドラレコの場合は高性能な商品が売れ筋であるため、現在値上がりの傾向にあります。これはIT機器が普及しても価格が下がらないことに酷似していますが、すでに飽和状態のIT市場と異なり、ドラレコ市場は成長期に差し掛かったばかり。そのため、後発組であってもまだシェアを獲得する余地が残されているのが3つ目の理由です。

    現在売れているドラレコはどんな機能がある?

    黎明期のドラレコは映像しか記録できず、カメラ・モニターの性能も現在とは比べ物にならないほど低レベルだったため、事故状況も大まかにしか把握できず、車両ナンバーや運転者の特定など、詳細な判断ができないケースも少なからずありました。その後、画像解像度が年々進歩し音声記録機能や、急発進・急ブレーキ・急ハンドルなど、設定以上の加速度・遠心力が車に加わると、事故発生時と同様に状況を記録する商品も登場。

    こうした機能性の向上により、事故の被害軽減・予防はもちろん、ドライバーの安全運転意識向上や従業員教育につながるとして、多くの物流・運送事業者が導入を進めています。また、ドラレコの爆発的な認知度UPと、ニーズ増加のきっかけになった「あおり運転」は、後方を追尾する車からの被害が大半を占めるため、ここ数年は前後の状況を同時に記録可能な機種が一般ユーザーの間で人気を博しています。

     

    抑えるべきドラレコの基本スペック5つ

    1. 「画質」・・・200万画素以上&フル・ハイビジョン
    2. 「撮影可能範囲」・・・前後カメラの水平画角100度&垂直画角55度以上
    3. 「夜間・逆光時の撮影能力」・・・白とび・黒つぶれを抑えるWDR機能
    4. 「色識別能力」・・・投下状況を確実に撮影できるLED信号機対応機能
    5. 「犯罪被害抑止能力」・・・エンジンを切っているときでも録画できる駐車監視機能

    また、万が一事故や車上荒らし・盗難に遭遇した際に証拠となる記録性能を持つ機種もおすすめ。前後同時撮影ができるドラレコの進化版「360度カメラ」を搭載した機種も、2019年の売れ筋です。なお、ドラレコの必要性を感じて導入した時は、車の前後や目立つ場所へ「ドラレコ作動中」と明記されたステッカーを貼るとより安全対策の効果を高めてくれるでしょう。

    YouTubeがドラレコブームの加熱を後押し?

    ドラレコは走行・駐車時での安全確認や、あおり運転を始めとする危険運転の抑止を目的に搭載するツールですが、その一方で「YouTube」ではドラレコによって撮影した事故動画だけでなく、風光明媚な観光地での走行映像も人気を博しています。

    本来の目的から大きく外れているとはいえ、旅行やレジャーでの思い出を動画として残せるのは、ドラレコを導入する付加価値の1つです。また、YouTubeで事故や危険運転動画を見れば、視聴ユーザーはそれらが誰にでも起こりえることを実感できるほか、中には新機種のスペック紹介動画などもあるため、身近で役に立つ情報を得ることができます。

    ー用品店やホームセンターだけではなく、ドラレコとは関係ないように思えるパソコンショップでも売り切れが相次いでいることと、世界的PCメーカーであるASUSの電撃参戦を考慮すれば、YouTubeがブームの過熱を後押ししているのは確かだと言えるでしょう。

    家電メーカーの最新ドラレコ特徴まとめ

     

    現在、ドラレコの国内シェアNO,1を誇る「コムテック」や、コスパに優れる商品で人気を博す「ユピテル」といった先発組に対して、後発組といえる家電メーカーは培った技術を活用し、高品質・多機能ドラレコを送り出すことで対抗しています。

    JVCケンウッド  多機能ドラレコでシェアを獲得IoT市場への参入も視野に

    2008年、日本ビクターとケンウッドの経営統合により誕生した同社は、2014年とかなり他社より遅れて市場へ参入しましたが、前身2社が有する優れた音響・映像技術を詰め込んだ高性能なドラレコはたちまち市民権を得て、現在では約25%のシェアを獲得しています。

    2019年11月リリースされた、最新スタンド・アローン型ドラレコ「DRV-MR745」は、前述した基本スペックを満たす前後同時撮影・記録可能な機種で、スモークガラスが採用されがちなリアガラスでも明るく撮影できる「スモークシースルー機能」を初搭載。また、業界トップクラスの明るさを持つ「F1,8レンズ」の採用と、画質を極めてきたJVCの技術活用で実現した、肉眼と見まがうほど美しい映像はフロントユニットの2.7型・TFT液晶モニターでの確認と、付属の大容量32GB・microSDHCカードへの長時間録画が可能。

    さらに、速度・緯度・経度などの自車位置情報を測る「GPS」を搭載しているほか、前方衝突警告・車線逸脱警告・発進遅れ警告などの運転支援機能や、長時間連続運転した時休憩をドライバーに促すリフレッシュ機能、環境にやさしい運転の実施を診断しアイコンで知らせるエコドライブ表示まで完備している徹底ぶり。

    加えて同社は、4G/LTEモジュールを組み込んだ通信型ドラレコと、走行データの定期送信や事故発生時の通知に必要なプラットフォームの開発を同時に進めています。そして、将来的には通信型ドラレコ・プラットフォームを足掛かりに、セキュリティカメラや鉄道カメラ、人に装着するボディーカメラなど、さまざまなIoT機器市場への参入を検討しているようです。

    パイオニア カロッツェリアブランドからドラレコを大量リリース

    世界で初めてGPSカーナビを世に送り出したパイオニア(株)は、自社の大人気ブランド「カロッツェリア」の名を冠した新型ドラレコを、7~8月にかけて一気に7機種投入するなどシェア拡大へ力を注いでいます。

    ラインナップは2カメラ搭載タイプ3機種、1カメラ搭載タイプ4機種、いずれも画質などの基本性能は申し分ありませんが、中でもおすすめしたいのはモニターと前後カメラが独立している、セパレート型ドラレコの「VREC-DS500DC」です。

    同機種の本体は、見やすい3.0インチ液晶を搭載しながらも、視界の妨げにならないコンパクト設計。ダッシュボード上への取付けが可能なため、最小限の視線移動でモニター確認や各種操作を快適に行えます。また、従来のドラレコと比較し100分の1以下の光量で撮影可能な「ナイトサイトモード」を搭載したカメラは、約3cmと非常にコンパクト。リアカメラには防水・防塵加工が施されているため、ナンバープレート周辺への車外取付けも可能です。さらに、9mのロングケーブルを採用しているため、大型バン・SUVなど車種問わず取付け可能であり、リアガラスをカバーで覆っている商用車や、後方の距離感をつかみにくいトラックに搭載すれば、バックカメラとして利用することもできます。

    まとめ

     

    事故やあおり運転の様子がニュースなどで取り上げられるたび、瞬間風速的に需要が伸びるドラレコ。しかし話題性で売れる時期は過ぎ、安全運転に欠かせない必需品として今後は定着すると考えられます。現在、ドラレコはユーザーの意思で搭載を決める追加装備にすぎませんが、法的な証拠としての信頼性向上とプライバシー保護問題が解決すれば、一気に標準化する可能性もあるでしょう。

  • 【対談】中の移動と外の移動を可視化することで何が変わるのか?

    【対談】中の移動と外の移動を可視化することで何が変わるのか?

    インタビュイー:
    株式会社フォトシンス
    代表取締役社長 河瀬 航大さま

    Akerunが誕生した背景

    北川:まずは河瀬さんのご略歴と事業についてお伺いできますか?

    河瀬:株式会社フォトシンスの代表取締役社長を務める河瀬です。

    私はもともと、理系の大学で放射線を専門に学んでいましたが、初めて勤めたのはGaiax(ガイアックス)というIT企業でした。そこでは3年半ほどソーシャルメディアマーケティングの領域で新規事業をいくつか立ち上げるという経験を積み、25歳の時にフォトシンスを起業します。

    弊社はスマートロックを活用した「Akerun入退室管理システム」(以下、Akerun)を開発・提供している会社です。Akerunは、既存の扉にペタッと貼り付けるだけでインターネットにつながるという、鍵をIoT化するサービスです。既存のドアに後付けできるデバイスで、これを取り付ければスマホやICカードで解鍵できますし、入退室の履歴をクラウド上で確認することができますので、クラウド型の入退室管理システムとして法人企業に特化した形で提供させていただいております。100%法人向けにしている理由は、企業の方が多くの人が出入りしますし、「履歴を確認したい」と言うニーズが強いためです。

    北川:なぜ、「スマートロック」という領域に着目されたのでしょうか?

    河瀬本当に、他愛もない会話がきっかけだったんです。友達と4人で飲んでいた時に、「鍵って本当に不便だよね」という話しで盛り上がりまして。たとえば、鍵を落としてしまったり、誰かに鍵を渡すのが面倒だったりするシーンってありませんか? そこで、いつも持ち歩いているスマホで開け閉めできたり、権限が発行できたりすればなくす必要もないし管理も楽になるだろうと。

    そこでまずはプロトタイプを作って、自分たちの家で試してみたのです。このプロトタイプはシンプルに、サムターンという形式の鍵を90度回すだけのもの。そうやって仲間うちだけでものづくりをしていたら、たまたま日本経済新聞の記者さんとご縁があり、紙面に取り上げていただく機会を得て。当時はまだスマートロックという言葉もなく、概念的には非常に目新しいものでしたので、さまざまな企業から「出資したい」「事業提携したい」「購入したい」など、想定以上の反響をいただき、本気でやってみようと起業を決意しました。

    北川:その時の飲み会メンバーで創業されたのでしょうか?

    河瀬:創業メンバー6名のうち、当時の飲み会メンバー4人が参画しています。私と、パナソニックでものづくりをしていたメンバー、当時ソフトバンクで働いていて通信に詳しいメンバー、エンジニアでマーケティングもできるメンバー。この4人なら絶対に何かできるはずだという期待しかありませんでしたね。ただ、足りないスキルセットがありましたので、同僚2人に声をかけて最終的には6名で起業しました。

    中の移動を可視化することで労務管理をスムーズに

    北川:事業についてもう少し詳しく聞かせてください。

    私たちは一人ひとりのドライバーの移動データを取得できる車両管理ツールを提供していますが、経営陣や総務の方は労務管理や安全管理を目的にデータを取りたいと思っていても、社員からそんなに細かい行動データを取られるのは嫌だと言われる場合もあります。御社ではそういったケースはございますか?

    河瀬ほとんどありませんね。入退室のデータを活用して、従業員へのベネフィットがあるかどうかを見られていますので、そうしたハレーションは起きないようです。

    私たちの商品は、誰が、いつ出入りしたかという情報がすべてクラウドに上がり、その情報は勤怠管理システムとも連携可能です。そのためAkerunを導入し、勤怠管理と連携いただければ、ある日の最初にタッチした時間を出社時間とみなし、最後にタッチした時間を退出時間とみなしますので、ご自身での細かな勤怠管理が不要となるのです。

    直行直帰の場合は別途入力が必要となりますが、8割はこのシステムで完了しますので、月末処理の負担を大幅に軽減できる。そういう点では従業員の方にとってもメリットの方が大きいのではないでしょうか。

    北川:管理=無駄なコストを減らすことに目が向きがちですが、御社ではデータを使って業務効率を上げるというような「プラスα」を生み出す構想もあるのでしょうか?

    河瀬現時点ではまだプラスαの領域まで対応できていませんが、将来的には、データを活用して、例えば会議室の効率化を実現したいと考えています。よく予約時間と実際の退室時間が異なることってありませんか。本当は30分で終わるミーティングでも来客時は余裕を持って1時間予約されていることが多い。そうした理由も含めてどの会社も会議室不足という話を伺いますので、データを活用すれば会議室の運用をもっとスマートにできないかと。

    北川:経営者目線で見ていると、成果を出している人は朝早く出社して早めに退社するなど、働き方にある程度規則性があるようにも思います。そういう観点では、成果と勤怠が連動しているところあるかもしれません。

    河瀬私自身は、微妙な変化に気づくことが大事だと思っています。

    普段は定時が10時であるにも関わらず、9時に出社している人がいるとしましょう。その人があるタイミングから9時5分に来るようになった。この5分は何でもない数字のように見えるかもしれませんが、いつもきっちりと時間を守って出社していた人がイレギュラーになる時って、何か原因があるはずなんです。その些細な変化に気づくことが本当に重要で。

    小さな情報を吸い上げて日々の機微を読み取ることは、将来的にも非常に価値があることだと思います。他にも、内勤で普段は昼休憩を社内で取っていた人が、ランチ外出が増えた時は転職のサインとか。小さな気づきは労務管理をするうえでも重要なポイントです。

    北川:私たちは基本的に外の移動データを取っていますが、御社の場合は、社内の移動データを取ってらっしゃいます。外と中のどうデータを組み合わせることで、より確実な労務管理が可能になるのではないかと。本当に外で営業しているのか、朝は遅刻せずに出社しているのかなど、従業員の移動情報は会社のパフォーマンスにも影響することですし。

    河瀬:ただ、それだと中には四六時中監視されているみたいだと嫌悪感を示す従業員もいそうですね。

    北川:勤務態度が普段から真面目な方ならいいのですが、そういう方ばかりではありませんしね。しかし外と中のデータを組み合わせることで確実な労務管理が可能になりますし、経費精算や直行直帰の出退勤も自動化できれば、管理者と従業員の負担を軽減できますし、適正な評価を下すこともできるでしょう。

    外のデータと中のデータを掛け合わせて

    北川:ここからは、内外データの掛け合わせアイデアをブレストできればと思います。たとえば、業務の効率化という文脈で、社外の情報がプロダクトに活かせるシーンはあるでしょうか?

    河瀬:少し文脈は変わりますが、Akerunは社員の入退室以外にも、誰がどこにいるといった情報が取得できますので、「このビルは、この時間帯に来客が多い」「このビルは他のビルと比べて人が多い」など、人の動きや人口密度を把握することができます。このような人の移動情報を元に、次の打ち合わせへ向かおうとするときに、タクシーがタイミング良くビルの入り口まで来てくれると、移動がよりスムーズになって助かりますよね。

    あとは、ビルとビルの人の移動。たとえば、最近新たにビルが建って、人の流れが変わってきたことを可視化できれば、バスの巡回ルートやシェアサイクルのサイクルスポットを人の移動に即した形で変更できるかもしれません。

    北川:面白いですね。私たちは倉庫向けに移動のデータから混雑を予測し、混雑緩和を促すソリューションも提供しています。物流施設は倉庫内の渋滞が30分や1時間も発生しますので、それによって作業が遅れたり、ドライバーの負担が増えたり、効率が一気に鈍化してしまうのです。

    そこに人の移動、ビルの動態情報を組み合わせれば、「14時は混雑する時間帯だから時間を変更しよう」「打ち合わせを30分で終わらせれば、満員電車に乗らなくてすむ」と、さらに混雑を分散できるのではないでしょうか?

    河瀬:たしかに。弊社メンバーは、10時~19時に働く人が多いのですが、この時間帯を変えるか変えないか、社内で話し合っている最中で。9時だと他社とも通勤時間が重なり、満員電車に乗り合わせなくてはならないので、9時30分を出社時間にしようという案が出ました。しかし、それだとあまり変わらないんじゃないか、いっそのこと8時にしてはどうかというように議論が加熱し、結局、何が正しいのかわからないという結論に。

    本当に最適化させるのであれば、社員一人ひとりの通行ルートは何時が一番適切なのかを考えなくてはなりません。

    北川:たとえばAkerunで、出勤時に社内が混雑する時間を分析して、少しずつ最適化していくのはどうでしょう。8時30分が一番混雑する時間帯なのであれば、「9時までアポイントメントは全て直行する」というルールを決めるとか。そうやって柔軟に移動ができれば、効率も上がるでしょうし、直行しているかどうかは、スマートドライブのデバイスでも確認できますし。

    河瀬行動の可視化は大事ですね。最近では大企業でもリモートワークを推奨したり、コワーキングスペースを利用できるようにしたり、働き方が全体的にフレキシブルになってきました。実際に、コワーキングスペースにいる=出社とみなされている会社もありますので、そこにAkerunを取り付けて勤怠を管理することも可能です。しかし、リモートワークだと本当に働いているのかが見えづらい部分があるので、現在でも懐疑的な企業も少なくはありません。

    北川:働く場所がオフィスと限定されていなくてもシェアオフィスに後付けできるのであれば勤怠管理もしっかり行えますね。

    河瀬:シェアオフィスでもAkerunは活用いただいていますが、社内と社外施設の連携はまだできていませんので、将来的には広げていきたいですね。

    北川:後付けという点では、スマートドライブの「SmartDrive Fleet」も同じですし、APIで連携も可能です。お客さんのターゲット層も近いですし、一緒にソリューション開発したり、営業を連携したりできそうです。

    河瀬:同時期に地方拠点を構えてますしね。大阪のWeWorkに。地方は、まだまだポテンシャルを引き出せるはず。

    意識が高いお客さまはすでに強固なセキュリティを設置されていますので、私たちのターゲットはセキュリティの意識をこれから高めていきたい方たちです。個人情報保護法の改正や働き方改革関連法ができたことで、慌てて勤怠管理の徹底をはじめる企業も多く見受けられますし、地方や中小企業ではそういう点でも関心が高まっていますので、注力していきたいと思っています。大阪では実際に効果も出ています。

    都心と地方のマーケティング

    北川:地方のマーケティングは都心とは違う手法でなされているのでしょうか?

    河瀬基本的には変わりませんが、展示会やDM、ポスティングなど、オフライン比率を高めています。

    北川:都心と地方でニーズの違いはありますか。

    河瀬都心は大企業が多く、地方は中小企業が多くなりますが、大企業と中小企業では求めるニーズが全く異なります。場所というよりは、ターゲットによってニーズが違うと言った方が正しいかもしれない。

    大企業はセキュリティ意識が高く、労務や働き方改革に対してどのようにデータを活用すべきか、「プラスα」を求められます。中小企業はセキュリティのニーズが多い。

    北川:地方では、セキュリティ意識を高めたい中小企業の方が直接問合わせてくるケースが多いですか?

    河瀬:そうですね。従来であれば、電気錠や一括した入退室管理システムは、基本的にビルのオーナーさんに営業をかけて、関係性を構築して導入いただく流れに持っていくのですが、実際には専有部のテナント側のセキュリティはテナントが意思決定するもの。つまり、ビル全体のセキュリティと専有部のセキュリティは異なるものであり、責任分界点をあえて作るために、セキュリティをID連携させていないのです。そういう意味では、テナントの社長や総務の方からお問い合わせいただいて、直接やり取りできるのが私たちの強みですし、ベンチャー企業としては進めやすいところですね。

    北川:第二弾の対談は大阪の担当者同士で、ってどうでしょう。地方だからこその成功事例や失敗談などをざっくばらんに話してもらうという。

    河瀬:まずは都内のメンバーで勝ちパターンを見出して、それを地方で展開していきましょう。

    Akerunが描く「キーレス社会」

    北川:Akerunで今後実現したいのはどのような世界観でしょうか?

    河瀬:将来的に描いている世界は鍵がない世界。私たちはキーレス社会と呼んでいますが、これを徹底的に広げていきたいし、実現させたいと考えています。シェアリングエコノミーが加速する中で、セキュリティカードや社員証、名刺など、本人のIDとなる鍵的なモノが増えています。ただ、どれも大事なものですがバラバラとしていると管理が大変ですし、万が一紛失すると大変なことになる。ですからそれらを1つに集約させて、すべての扉を開けられる世界を作っていきたいのです。

    それを実現するには、オフィスからマンション、車に至るまで包括的に取り組まなくてはなりませんが、現在、注力しているのはオフィス。オフィスは1箇所に導入するだけで多くのIDが取得できます。コワーキングスペースやレンタルスタジオなど空間をシェアする場所で使っていただければネットワークの外部性が効くようになりますので、それを今後、家庭やMaaS領域に広げていければと考えています。

    北川:私たちとしても非常にコラボレーションのしがいのあるお話です。

    大企業では平日は営業車を使っていても週末は稼働しないものが多いので、使われていない期間は従業員や地域の人に車を貸し出そうという案が出ているんです。遊休資産を効率的に利用できないかという。スマートドライブのデータからは、車が利用されない日が明確にわかりますので、企業と個人のカーシェアリングも可能です。

    河瀬:土日のお出かけでカーシェアリングを利用しようと思っても、意外と予約で埋まっていることが多いですからね。

    北川:少し使用感があるから半額以下で貸し出すとか。そうなると需要も増えそうです。

    河瀬:荷物を運ぶなら、コンパクトカーよりもむしろ社用車のほうが使い勝手が良さそうですし。

    Akerunでも、土日は利用しないから会議室を貸し出そうという話があがっています。今はパラレルな働き方ができる時代ですし、利用されていない時間は副業やイベントで活用いただくこともできるんじゃないかと。

    私も創業した時は、週末によく前職のオフィスを利用させていただいていましたし、弊社でも社員に向けて夜はイベント利用、土日も自由に使えるようにしています。そうすることで、イノベーションが生まれる手助けができればいいなと思っているんです。ただ、ここでも鍵の権限や管理をどうするかを考えなくてはなりませんが。

    北川:退勤した後は個人利用とみなして、カーシェアの料金をチャージして週末に使えるようにするとか。

    河瀬車と場所を抑えればそれも可能ですね。

    旅行に行くと車代、高速代、ホテル代などが発生しますが、2社が連携することでシームレスに予約と支払いが完了できそう。

    北川:地方も含めてそんな世界観を作っていきたいです。

    河瀬:ホテルも最近は1泊の値段ではなく、何時間利用でいくらの従量課金が増えているようです。これは自動車と同じ考え方で、使ったぶんだけ支払うことが一般化しつつある。そうなるとデータと決済の連携は極めて重要になります。

    北川:そうやって固定費がほぼ0になれば会社としてもありがたいですね。

    以前、お客さんとシミュレーションをしたのですが、リース料金が月4万円でも、空いた時間に貸出すことで2万5,000円くらい収益が出る。つまり、実質1万5,000円で車を所有できるということです。それがオフィスでも可能になればいいですよね。

    河瀬会議室も所有する時代ではなくなってきていますし、実現できると思いますよ。できれば、ビルごとに会議室があるとか、どの会社も自由に使えるスペースがあるとか、専有部はすべて執務室してしまうとか。そうなると、誰もが従量課金で自由に使えるといいなって思います。そういう意味では今後はオフィス設計にも挑戦してみたいですね。

    北川:当然クラウドで管理されているからAPIもありますし、さまざまなものと連携できそうです。

    河瀬それに、Akerunはスピーカーが付いているので喋りますから、取得した情報をもとに注意を促すこともできます。普段から喋る設定にしてはいませんが、電池が切れそうな時などはアラートを出してくれるんです。たとえば、APIの連携で天気がわかれば、外出時に「雨が降っています」という“あれば嬉しい”助言もできてしまう。

    北川:「雨が降りそうなので傘を持っていきましょう」とか。

    河瀬:そうそう。それに、仕事の進捗が遅い人に対しては外出時に「進捗はどうですか?」とやんわり話しかけて気づかせることも可能です。いくつか会話を収録していますので、今だって実際に使うことができますし。

    Akerunは中の空間と外の空間を分ける部分に位置するので、サポートや気づきを与えるコミュニケーションができる。扉を出た瞬間に「次の電車まで、あと何分です」と言われたら、少し急ごうって思いますよね。

    Googleカレンダーと連携させれば次に移動する場所が分かるので、「あと何分でバスが到着します」「電車が遅れているのでゆっくり歩いても大丈夫です」「タクシーがあと何秒で通り過ぎますので、少し早めに出たほうがいいですよ」とか、的確なアシストもできます。そういうサジェスト(示唆)があれば、入口と中と外の会話という観点で密な連携ができるかもしれません。

    北川:ぜひ、一緒に実現しましょう! 

    河瀬:夢は広がりますが、マネタイズの方法も考えないとね。

    北川:その後の話はいつか第二弾でやりましょう。

    既存産業に風穴を

    北川:最後に、スマートドライブへ一言いただけますか?こんなデータもあればいいのにとか、もっとこういう領域も手がけて欲しいとか、どんなことでも構いません。

    河瀬データを引き出すとか、後付けのデバイスと聞くと、車をハックするようなイメージを受ける方もいますし、技術はあってもそのぶん導入にはハードルが多いのではないかと思うんです。そこは私たちも苦労をしている部分ですので…。とくに車は規制が多い領域ですが、既存産業の重たい扉をこじ開けて新たな風を吹かせて欲しい。スマートドライブは確かな運転データを取得できるのが強み。リスクもあるでしょうが、データをもとにベネフィットがあることをロジカルな説明によってきっと証明できるはずです。

    電動スクーターも今後、普及して欲しいですし。データドリブンで説明できることで、古い産業に風穴を開けるような、そういう存在にお互いなっていきましょう。

    北川:乗り物はSmartDrive、オフィスはAkerunが前例を作って、規制改革や規制緩和を進めていきたいですね。

    河瀬:私たちのようなIoTは、既存産業のうえで成り立たせていただているものなので、うまく関係性を構築して、徐々に世の中の規制を含めて前向きに変えていくかが重要です。お互いに成功事例を作りながら着実に進んでいきましょう。

  • 素材で作るモビリティの進化 -積水化学工業

    素材で作るモビリティの進化 -積水化学工業

    インタビューイー
    長濱成徳(ながはま しげのり)
    高機能プラスチックカンパニー
    フォーム事業部 フォーム営業所 所長

    まずは簡単に長濱様のご経歴について教えていただけますか?

    長濱成徳(ながはま しげのり)と申します。前職でも材料メーカーで営業と製品企画をしておりまして、2019年の6月に積水化学工業に入社し、現在は自動車メーカーに発泡体を販売していくチームのリーダーをしています。

    発泡体というのはどういったものなのでしょうか?

    発泡体というのは簡単にいうとスポンジのことです。身近なところでいうと座椅子の中に入っているスポンジや、携帯電話のレンズマウントや額縁等でも使われています。

    我々のチームがメインで担当している自動車業界では、ダッシュボードのインパネ(インストルメント パネル)周りや革張りの裏側で使われてします。革だけですと触った時に高級感がでないので、裏側に発泡体を入れて柔らかさと弾力を持たせて高級感を出しています。

    (左側が光を通しやすい発泡剤、右側が従来品)

    また、最近は光を通しやすい発泡体の開発に力を入れております。こちらですが、一番下に光源がありまして、その上にクッション性を出すための発泡体を置いております。通常の発泡体でも、ある程度は光を通すようにはなっているのですが、黄色味がかかってクリアにならないのです。光を通しやすい発泡体をMobility Transformationのブースでも展示させていただいたのですが、こちらを使うとクリアに光を通すことができます。
    この素材を使って将来的には、車内で使われている合成革にも文字や映像がクッキリと表示されるようにしたいと思っています。例えばカーナビやタブレット型のディスプレイを車に剥き出し設置するのではなく、車の内装に組み込まれた形にしておいて必要な時だけディスプレイを映し出すことができるようにしたいと考えています。

    他にも、耳の不自由方が運転をされている時にクラクションを鳴らされていることに気がつかない、という問題があるのですが、クラクションを鳴らされたらインパネが赤く点滅して情報をお伝えすることもできると思います。スピードメーターなどのダッシュボード以外の部分でもメッセージが伝えられるようになることで、運転の体験をよりよいものにしたいのです。この技術をさらに磨きをかけることで、車の内装デザインを根底からガラっと変えることができます。

    なるほど。普段車に乗っていても発泡体を意識することはないですが隠れた所で使われているのですね。他にも積水化学工業と自動車との関わりを教えていただけますか?

    会社としては、自動車メーカー様とは結構前からお付き合いをさせていただいてます。自動車のフロントガラスというのは2枚のガラスをはり合わせているのですが、そのガラスとガラスの間に中間膜という、とても薄く、非常に透明なフィルムが入っています。この中間膜があることによって、事故が発生した時にガラスが飛び散らないようにしたり、物が飛んできてガラスにぶつかった際に、室内に物が入ってこないようにしたりしています。
    1970年前後からフロントガラスの中間膜を卸しはじめて、現在は世界一のシェアを持っていて、ほぼ全ての自動車メーカーでご利用いただいております。

    発泡体も中間膜もそうですが、車をご利用されているドライバーの方が気がつかないような所で弊社製品が使われています。他にも地味ではありますが、車で使用されているカーペットを固定する両面テープや、カーナビの筐体と鏡(ガラス)を固定するための両面テープなどでも弊社は関わりを持たせていただいております。

    自動車だけではなく、広い範囲でモビリティとの関わりがあるとも伺ったのですが。

    自動車だけでなく、鉄道でも弊社の製品をご利用いただいております。鉄道の空調ダクトで使用される断熱材は世界中で利用されていますし、少し変わっていますが、線路の枕木でも利用されています。

    枕木って、読んで字のごとく「木」ですよね?

    弊社の枕木は木ではなく樹脂で作っていまして、この枕木はドイツの線路でも利用されています。他にもグローバルでトップスリーに入る航空機のダクトメーカーの買収手続きが2019年11月に完了いたしました。自動車・鉄道だけでなく航空機産業にも本格的に参入していきます。

    自動車産業では100年の1度の変化が起きると言われていますが、御社は今後どのように変革の波に向き合っていくのでしょうか?

    現在、自動車メーカー様でご利用いただいてる材料につきましては、当面の間は引き続きご利用いただけると思っています。中間膜についても継続してご利用いただけると思いますが、自動車の技術が進化していくと事故が起きた際の飛散防止だけでなく、ガラスで様々な情報を表示していくことが求められてくると思っています。プロジェクターのように表示物を直接ガラスに映すのではなく、スマートフォンの液晶のようにガラスの中で文字や映像を浮かびあがらせるような、今までに無い機能が求められれてくるかと。5Gもそうですね、電波を使って自動運転がどんどん実現していくと思うのですが、電波の障害を防ぐためのシールド材を発泡体やフィルムで作っていく必要もあると思っています。

    さらにいうと、完全自動運転が実現すると車内がリビングのような空間になっていくでしょうし、自動車産業が大きく変わろうとしている今、どうやって快適な空間を我々の材料を用いて実現していくのか、どのような材料が今後必要になってくるのか、こういった事を日々考えて様々な方法で情報を集めているところです。

    今後、スマートドライブ とのコラボレーションや今後一緒に取り組めそうなことはございますか?

    今回Mobility Transformationのカンファレンスに参加させていただいて驚いたのが、SmartDrive様は色々なな業界とのコネクトションやネットワークが多岐に渡る事です。我々の材料の販売先になる方という意味ではなく、未来志向でモビリティを捉えている情報をお持ちの方々と沢山お会いさせていただきました。

    普段がなかなか会うことができない方々で、我々の実ビジネスからちょっと距離のある方とも今後はコラボレーションをしていきたいと思っていますので、今回のカンファンレスのように、様々な方とマッチングいただけるような場づくりを今後もしていただけると非常にありがたいです。

    今後の展開についてお伺いできますか?

    積水化学工業全体としても自動車業界の今後の行方や、進化の方向性には非常に敏感になっています。様々なニーズに対応できるように材料開発を積極的に行なっていますので、ぜひこういう材料が欲しい、といった要望やお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせいただければ、フットワーク軽く対応させていただきます。

    この度は貴重なお話、ありがとうございました。

    ありがとうございました!

  • POVとは?~クルマは所有から共有へと変貌するのか~

    POVとは?~クルマは所有から共有へと変貌するのか~

    車を製造・販売することで莫大な利益を上げ、世界経済の中心を担ってきた自動車業界は「MaaS」という新概念の登場により大変革期を迎えています。これまで「個人所有」が当たり前だったクルマが「共有化」され、人やモノがシームレスに移動できるMaaS社会が浸透すれば自動車業界は存亡の危機に瀕すると考えられますが、大手販売メーカーも手をこまねいているわけではありません。

    今回はカーシェア・ライドシェアなど、モビリティを共有する流れと対極であるように感じられる「POV」について解説しつつ、MaaSや各ビジネスとの関連性を考察します。

    POVとは何?~MaaSとの関連性について~

     

    POVとは、「Personally Owned Vehicle」の頭文字を取った略語であり、直訳すると個人所有車両つまり「マイカー」のことを指し、これまで自動車業界は、新車製造・販売、車検・メンテナンス、中古車買取・販売、車体廃棄・リサイクルなどといった、「バリューチェーン」を構築・循環することで、約100年間にわたり成長し続けてきました。一方、MaaSとはクルマをいち移動手段ではなく、複数ユーザーが利用可能なモビリティ・サービスへ組み込むことで共有化し、運送・物流業界の人材不足解消・原油・鉄など資源の節約と保護・排気ガス・交通渋滞の解決を進めていく概念です。実際にMaasの有望スタートアップ企業「ウーバー」は、積極的な資金調達とサービス展開拡大により、猛烈なペースでブランド力を高めています。

    極端な話をするなら、ウーバーを始めとするMaaS企業が今後さらに力をつけ、人やモノの移動全てを担うサービスへ成長した場合、購入・維持コストがかさむPOVは、この世から消滅する可能性まであるのです。

    現時点での普及率比較~MaaSはどこまで浸透しているのか~

    MaaSが普及することは、自動車産業の基盤であるPOV激減に繋がるわけですが、(株)ナカニシ自動車産業リサーチが公表した「 総移動距離に占めるMaaS比率」を見る限り、数年単位でMaaSがPOVを凌駕する可能性は、「限りなくゼロに近い」と考えられます。

    ※CASE・・・Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)の頭文字を取った造語。

     

     

    出典:ナカニシ自動車リサーチ

    現在、モビリティの世界総移動距離は「10億マイル(約16兆km)」におよび、これは地球から土星まで到達する距離に当たりますが、対するMaaSが占める比率は2019年時点でわずか「1~2%」にすぎません。2030年にはMaaS比率が約20%程度まで拡大すると予測されている半面、インドやアジア新興国を中心に「保有欲求」が上昇するとみられるため、グローバルな視点では自動車市場が急激に冷え込むことはないと見られます。

    一方、すでに必要数のPOVがいきわたっている国内では、少子高齢化や若い世代のクルマ離れの影響もあり、MaaSの有益性が顕著となる都市部において、各メーカーが販売実績の伸び悩みに苦慮する可能性があります。しかし、MaaSを導入する交通インフラ自体が希薄であり、日常の足としてクルマが欠かせない郊外や過疎地・山間地などでは、保有欲求が大幅に後退するとは考えにくいことです。

    国内外問わず、自動車業界に大きな変革をもたらす存在なのは確かですが、MaaSは年々、時間をかけて普及するとみられるため、各自動車メーカーはスピード感や地域性によるニーズの違いに併せた取り組みを進める必要があると言えるでしょう。

    国内外メーカーの動向とは~POV台数減少に歯止めをかける施策~

    旧態依然のバリューチェーン・ビジネスのみの場合、自動車業界は破滅的なダメージを被る可能性もありますが、各メーカーとも世の中の動向をしっかりと理解しており、近年MaaS関連企業の買収や業務提携を進めています。

    ダイムラーは2016年7月、イギリスで配車アプリサービスを展開している「ヘイロー(Hailo)」の株式60%を取得、VWは欧州全域でユーザーを集める配車アプリ「ゲット(Gett)」へ投資を行い、国内ではトヨタがウーバーと業務提携を結んでいます。また、GM(ゼネラルモーターズ)は米国・カナダの約300都市でサービス展開している、「リフト(Lyft)」と手を組んでいますし、EVメーカーのテスラは「完全自動運転のMaaS車」を世界各地に配備し、スマホアプリで呼べるというビジネス構想を明らかにしています。

    つまり、大手自動車メーカーはMaaS関連企業、もしくは自社制作のMaaS車両を所有することで、低迷が予想される「POV台数」の穴埋めを模索しており、これに変わる革新的なアイデアを創出しているわけではありません。とはいえ、先ほど提示した比率データでもわかる通り、クルマが個人所有から共有へ移行するのはもう少し先の話であるため、「誰に売ればいいのか」という当面の問題を解決する方法としては、妥当かつ即効性のある施策だと言えるでしょう。

    分業化と共存~ライドシェアとの比較と今後について~

     

    ライドシェアとは、文字通り「乗ることを共有する」サービスで、MaaSにおいてはスマホアプリなどを活用したプラットフォームで一般ドライバーと乗客を仲介し、自家用車で運送する「TNC(Transportation Network Company)」のことを指します。

    国内では、災害のため緊急を要する場合と、市町村・NPO法人などが公共の福祉を確保するため区域内の住民の運送を行う場合などを除き、TNCは道路運送法第78条により禁止されていますが、近年徐々にですが規制緩和への動きが強まっています。

    ライドシェアの存在価値とメリット

    2019年3月、未来投資会議において安倍晋三首相はライドシェアの活用拡大に向け、道路運送法の改正に取り組む方針を示しましたが、これはアメリカ・中国のような全面解禁ではなく、公共交通が不足気味である地域でサービス展開しやすくすることが狙いです。

    ライドシェアの存在価値は非常に高く、複数ユーザーが1台のクルマに乗り合いすることによって、ガソリン消費量減少や渋滞緩和につながるほか、自治体や事業主が改めて複数車両を購入したり、運営スタッフを確保したりするコストも必要ありません。また、競合するタクシーに比べ低い金額設定が可能であり、基本的にアプリを介してキャッシュレス決済するため料金トラブルも少ないことや、サービスを提供する一般ドライバーにとっても空き時間にクルマを有効活用し、収入を得られるメリットがあります。

    さらに、ITによるオンデマンド配車システム活用が前提のサービスであるため、蓄積されたビッグデータにもとづく「ダイナミックプラシング(需給に応じた変動料金設定)」も実践しやすいため、寡占状態のタクシー業界に市場原理を働かせる存在になりえます。クルマを共有するカーシェアと異なり、ライドシェアでは運転のわずらわしさから解放されるほか、車両購入・維持費をカットすることも可能です。

    「ライドシェア普及=POVが不要」になるわけではない

    移動サービスが成立しにくい過疎地域などにおいて、ライドシェアは誰しもが低コストで利用・参入可能なインフラと言えるため、順調に規制緩和が進めば日本でも普及していくと考えられます。また、世帯ごとのPOV数が多く、車検を始めとする車両保全体制も厳しく定められている日本においては、乗車したまま戻ってくることが前提であるカーシェアより、ライドシェアの方が浸透しやすいかも知れません。

    ライドシェアは個人所有のクルマを複数ユーザーが「共有」するサービス、つまりシームレスな移動を可能とするMaaSの1つであり、極端な話「POVありき」でしか成立しないビジネス・モデルでもあります。POVを確保しつつMaaSを進めるため、国内自動車メーカーがライドシェアに目を付けるのは当然の流れであり、官・産・民のすべてに利便性・生産性を与える、高いポテンシャルを秘めている存在と言えるでしょう。

    POVとライドシェアの分業化・共存が描く未来予想図

    POVの利点は、短距離移動が主体のライドシェアと異なり、ユーザーの意思で自由に利用するスケジュールが決められ、プライバシーが守られた愛車で寄り道しながら長距離ドライブを楽しめることです。

    交通機関が整備されている都市部では、電車やバスの方がライドシェアより安心かつリーズナブルに移動できることから、そもそもライドシェアの必要性を感じないユーザーが多いと考えられます。ライドシェアの真価が問われるのは、やはり郊外・山間部における通勤・買い物などといった「短距離移動」であり、長距離移動に関してはPOVや既存交通インフラの方が断然利便性・経済性・快適性に優れているのです。

    今後はさらにユーザーの利用シーンごとで分業化が進むと考えられますし、クルマ自体に求められる「性能」も以下のように変化していくと考えられます。

    • POV・・・軽自動車やEV・HV車など低コストで運用可能な性能
    • ライドシェア・・・安全運転サポート・自動運転技術などといった性能

    海外ではドライバーによる強盗・性的暴行が発生するなど、サービスを提供するのが有資格者ではなく、一般ユーザーであることが問題視されていますが、AIによる完全自動運転とライドシェアが融合すれば、このようなトラブルによる心配は格段に緩和されます。もちろん、自動運転技術のさらなる進捗や法整備が不可欠ですが、近い将来スマホで予約・配車・決済できる「AIタクシー」での通勤・通学や、買い物・レジャーへ出かけられる時代がやってくるかもしれません。

    まとめ~将来的にはライドシェアとカーシェアの統合も!~

     

    現在はレンタカーのように、乗り捨て不可の「ラウンドトリップ方式」が主体であるカーシェアですが、完全自動運転が実装された場合、自動返却可能なシステム・プラットフォームが実現する可能性があります。そうなれば、両者を隔てる構造上の壁が無くなるため、タクシー含むライドシェア・レンタカー・カーシェアは同一サービスとして統合され、MaaSに組み込まれていくと考えられます。

    また、現状はBtoCサービスであるレンタカー業界ですが、ライドシェアが解禁されることを前提にすれば、企業が提供するプラットフォーム上で一般ユーザーがPOVを運用し、利益を得るビジネス・モデルが今後登場し、浸透していくかもしれません。いずれにせよ、より快適で安全なMaaS社会を確立するには、自動運転技術を始めとするクルマ自体の性能向上が、必要不可欠なのです。

  • 運転中のスマホ操作が厳罰化!内容・罰則と狙いについて

    運転中のスマホ操作が厳罰化!内容・罰則と狙いについて

    2019年5月、国会で道路交通法の改正案が可決され、同年12月1日より運転中のスマートフォンなどの使用、いわゆる「ながらスマホ」に対する罰則が大幅に強化されることとなりました。罰則の重さに関わらず「ながらスマホをしない・させない」のは大前提ですが、スマホや携帯が生活に欠かせないツールになった今、厳罰化への動きが進んだ理由、改変された内容について解説します。

    12月からながらスマホが厳罰化。その内容とは

     

    2016年10月、愛知県一宮市の市道でトラックドライバーが、運転中に「ポケモンGO」をプレイし小学生をはねて死亡させる、悲しい事件が発生しました。スマホゲームという運転に全く関係ないことが原因で、未来ある幼い子供の命が奪われた、事故とは呼べない出来事に、強い憤りを感じた方も多いことでしょう。しかし、多くの方が「つい・うっかり」運転中に掛かってきた電話、通知が来たチャットアプリに、手を伸ばしてしまった経験があるのではないでしょうか。

    今回の改正は、このような「ながらスマホ」による重大事故が近年急増していることを鑑みた動きであり、警視庁によると2013年2,038件だった「ながらスマホ」を起因とする人身事故は、2018年には2,790件と1.4倍に達しているといいます。また、スマホ・携帯電話使用中の死亡事故率は使用していない場合の2.1倍となっており、「ながらスマホ」を減らすことが痛ましい事故を撲滅する近道である、と考えられたのです。

    ながらスマホとはあくまで通称で、正確には「携帯電話使用等(交通の危険)」と言いますが、厳罰化されるのはスマホや携帯電話の使用だけではなく、車載カーナビ・オーディオの画面を注視し運転する、広義の「ながら運転」も含まれています。スマホゲームは言語道断ですが、スマホや携帯電話の所持・通話やアプリ使用はもちろん、カーナビなどといった車載装備の操作をする「ながら運転」でも、場合によっては違反行為として検挙される可能性があるということです。

    大幅に強化されるながらスマホの罰則について

     

    今回の改正では、ながらスマホという危険行為を撲滅するため、それが事故原因と判断された「交通の危険を生じさせた場合」のみならず、運転中にスマホを手に持ち通話・操作した「保持」に対する罰則も、改正前より大幅に強化されました。

    違反内容 改正前 改正後
    交通の危険 【刑事罰】3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

    【違反点数】2点

    【反則金】・大型1万2千円

    ・普通9千円

    ・二輪7千円

    ・小特等6千円

    【刑事罰】1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

    【違反点数】6点

    【反則金】非反則行為として全て刑事罰が適用

    保持 【刑事罰】5万円以下の罰金

    【違反点数】1点

    【反則金】・大型7千円

    ・普通6千円

    ・二輪6千円

    ・小特等5千円

    【刑事罰】6月以下の懲役又は10万円以下の罰金

    【違反点数】3点

    【反則金】・大型2万5千円

    ・普通1万8千円

    ・二輪1万5千円

    ・小特等1万2千円

    まず、ながらスマホが交通事故などの危険に結び付いた場合、改正前は反則金を納付すれば、原則として刑事罰を課せられない「軽微な違反」にしかすぎませんでした。しかし改正後は即刑事罰が適用される「重大な違反」となったため、ドライバーに必ず「前科」が付きます。

    検挙時に発行される違反切符も青切符ではなく「赤切符」へ、刑事罰も大幅に厳格化されています。そして高額な罰金を支払えない場合、刑事起訴・裁判を経て「懲役囚」となり、刑務所へ収監されることになるのです。さらに、違反点数が2点から3倍の「6点」へ引き上げられたため、仮にこれまで全く違反・事故のないドライバーであっても一発免停(30日)ですし、事故発生時の責任割合にも影響するため、賠償金の支払い額も増える可能性があります。

    ながらスマホで万が一死亡事故を起こした場合、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われ、前述した愛知・ポケモンGO死亡事故の加害ドライバーは、第一審・二審ともに、過失事故としては異例の実刑判決を下されています。これは、ながらスマホがそれほど危険であることを顕著に示す判決であり、筆者を含めハンドルを握るすべてのドライバーは、ながらスマホが人の命を奪いかねない「犯罪行為」であるという認識を、強く持つ必要があると言えるでしょう。

    一方、事故を伴わない「保持」の罰則も強化されており、刑事罰には懲役刑が追加され罰金は2倍の10万円以下に引き上げられたほか、違反点数も3点と信号無視や25km/h未満の速度超過より「重大な違反」として処分されます。当然、反則金も約3倍にまで引き上げられましたが、ながらスマホを繰り返したり、違反を認めず反則金の支払いを拒んだ場合、手続きに沿って刑事罰が適用される可能性もあります。

    なお、改正前は交通の危険・保持共に、酒気帯び点数(※)がいずれも14点でしたが、改正後はそれぞれ16点・15点に引き上げられたため、検挙された場合は即免許取り消し処分を受けることになります。

     

    ※酒気帯び点数・・・呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上0.25mg/L未満の酒気を帯びていた場合の携帯電話使用等違反点数

    自動運転とながらスマホとの関連性について

    ながらスマホ厳罰化に合わせ、今回の改正では「自動運転技術の実用化に対応した規定の整備」も重要な骨子の1つであり、具体的には「認知・予測・判断・操作」など、運転に関するすべての能力を有するシステムを「自動運転装置」と新たに定義しました。

    そして、自動運転レベル3(緊急時以外の自律運転)が実行されている場合、ドライバーが直ちに運転へ復帰・対処できる場合に限り、ながらスマホが可能となる規定も盛り込まれています。また、パソコン操作・読書・食事なども同条件で許容される見込みですが、居眠りや飲酒など正常にかつ速やかに運転に復帰できないケースは、従来通り道路交通法違反として処罰されます。

    加えて、自動運転車使用に関する違反項目、並びに刑事罰・違反点数・反則金規定が、下記の通り「新設」されることになります。

    違反内容 罰則規定(改正後)
    ・自動運行装置使用に係る違反

    (整備不良・使用条件違反等)

    ・作動状態記録装置不備

    3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
    ・自動運行装置に係る整備不良車両の運転禁止違反

    ・自動運行装置使用条件違反(高速道路に限るなど)

    ・作動状態記録装置の不備

    【違反点数】2点

    【反則金】・大型1万2千円

    ・普通9千円

    ・二輪7千円

    ・小特等6千円

    つまり、法改正によってレベル3以上なら「ながらスマホ」が許可されるものの、点検・整備による車両保安・管理や使用条件の徹底に関し、ユーザーはこれまで以上に配慮する義務が生じるという訳です。なお、自動運転関連の改正は車両安全性を確保する制度の整備が必要なため、2019年5月24日の公布から1年以内とされている、「改正道路運送車両法」との同時施行が見込まれています。

    ながら運転厳罰化に向けたサービスも登場

    「保持」であっても大幅に反則金が引き上げられ、交通の危険に結び付いた場合は即刻免停となるため、配達先の情報確認などでスマホを利用する運送業者や、車両を多数保有する企業は法順守を推進しつつ、業務に支障が出ないよう対策を練る必要も出てきました。

    そんな中、法人向けに「ながらスマホ防止」を目的とした新サービスが続々登場し、交通事故発生の抑制はもちろん業務改善に役立つツールとして、多くの企業が導入を始めています。

    三井住友海上:運転中のスマホ自動停止アプリ提供を開始

    三井住友海上火災保険は、運転中にスマホの全機能を強制停止するアプリを開発し、10台以上の自動車保険をフリート契約している法人を対象に、当該アプリの無料提供を始めています。

    1台3,500円程度の車載機が必要ですが、アプリを導入したスマホを持って車に乗り込むと、シガーソケットに取り付けた車載端末の電波をスマホが受信し、アプリが自動的に起動。20km/hを超えるとスマホの速度センサーが感知し、アプリが強制的に通話を始めとするスマホ操作を不可にしますが、停車すれば再び操作可能となるほか、停止中の着信履歴は残る仕組みになっています。

    また、各車両のアプリ起動状態や急加速・急減速などの運転状況を、専用WEBを通じて管理者が随時確認できるため、ながらスマホに起因する事故予防と同時に、従業員の安全運転意識向上や動態管理による業務改善にも役立ちます。同社は、導入を条件に保険料の引き下げも検討しているほか、個人契約者向けのアプリ開発も、今後進めていく方針のようです。

    ダイハツ:スマホロック機能を新型車種に追加

    ダイハツ工業は11月に発売した新型車「ロッキー」へオプション搭載可能な通信サービス「ダイハツコネクト」に、スマホの地図アプリとカーナビを接続した場合、スマホの画面を自動ロックする新機能を追加しました。

    車載カーナビでスマホの地図アプリを利用できる仕組みになっていますが、ながらスマホにはカーナビ操作・注視も含まれるため一定の抑止力は期待できるものの、ドライバーが前方と周囲に注意を怠らない上での利用、つまり同乗者ありきでの利用が前提となります。

    オリックス自動車:ながらスマホを感知するAIドライブレコーダーの販売が好調

    オリックス自動車は2018年、米国・Nautoと自動車リース会社としての独占販売契約を締結し、国内企業向けにAIドライブレコーダーである「ナウト」の販売を開始しました。ナウトは、AIと通信機能を備えた2つの高性能小型カメラが、車内外で発生した事象を検出・録画、運転の危険度をリアルタイムに分析したうえで、運転者に危険を知らせるドライブレコーダー。

    ながらスマホはもちろん他のわき見運転や居眠り運転、車間距離不足やあおり運転に対する警告もなされるほか、警告履歴を管理者が確認できるシステムになっているため、企業の安全運転向上に寄与する、非常に優秀なツールであると言えます。また同社によると、道路交通法改正法案が成立してから3ヶ月間で、ナウトの売上は約2倍に増加したそうですから、ながらスマホ厳罰化に対する対策を企業が急いでいるかわかります。

    さらに高度な安全管理をするなら

    私的な利用はともかく、業務連絡のやり取りや、指示だしのために電話やチャットアプリで連絡を取り合う企業様もいらっしゃいます。ただし、運転中のドライバーの行動、車両の運転状況は事務所からは把握できず、事業所としては連絡が取れない、状況が把握できないことにイライラや不安を、ドライバーとしては運転中なので電話を取るべきかと、それぞれ判断が難しいシーンも多くあるはず。

    とはいえ、今回のながらスマホの厳罰化は、企業にとって大きな痛手となりますので、可能であれば運転中にスマホを触ることがないよう徹底し、事故防止に努めなくてはなりません。それでも業務を効率的に回すには、行動を把握し、安全な状態の時に連絡を入れてあげましょう。このような動態管理で役立つのが、スマートドライブの「SmartDirve Fleet」です。

    リアルタイムGPS管理機能で車両の今の位置を把握し、安全な連携体制によって業務の効率化に繋げる

    急な集荷やお問い合わせが発生した場所に地図上から1番近くにいる車両がどこにいるのか、リアルタイムに把握することが可能なため、電話やメールで現在位置を確認して回る必要がなくなります。

    走行データを自動で集計し、誰でも簡単に可視化

    自動的に走行時間、走行開始時間・終了時間、走行距離が集計されるのはもちろん。急ハンドル、急ブレーキ、急加速の回数も自動的に集計され安全運転スコアも算出されます。自動で集計された走行データにコメントを書き込むだけで日報が完成します。また日報はドライバー自身がスマートフォンからも入力が可能です。

     

    このほか、自動で作成できる運転日報、個々のドライバーの運転の癖がわかる安全運転診断など、機能が盛りだくさん。ぜひ、こちらよりお問い合わせください。

  • 新しい都市型モビリティ・コンセプト「Urbanetic」とは

    新しい都市型モビリティ・コンセプト「Urbanetic」とは

    自動車メーカーをはじめ、家電・半導体メーカーなどが先進車載技術を持ち寄り毎年開催される技術展示会「CES」では、モビリティの未来を牽引するであろう自動運転やEVが、これまで自動車業界での最新トレンドとされてきました。しかし、今年1月8日から11日まで米・ラスベガスで開催された「CES2019」において、メルセデス・ベンツが披露した次世代EV「Version Urbanetic」は、都市型モビリティに独創的な価値観を取り入れた意欲作として、各業界に大きな衝撃を与えました。

    今回は、同社が提案する全く新しい未来のクルマUrbaneticとは何か、誕生までの経緯とコンセプトや具体的な特徴・機能を整理したのち、モビリティをどのように変化させるパワーを秘めているのかを考察します。

    Urbaneticとは~その誕生経緯とコンセプト~

     

    Urbaneticとは完全自動運転が可能なEVです。同様の機能を有するコンセプト・カーはすでに登場していますが、それらは人もしくは物資の「どちらか一方」を輸送するよう設計されています。一方、メルセデス社が打ち出したUrbaneticは、自動運転システムが搭載されたシャーシの上に、乗客用モジュールや貨物モジュールを乗せ換え、人が移動するのかそれとも荷物を運ぶのかという双方の用途に応じた運用が可能な、ボディー交換式EV自動運転車です。

    UrbaneticはEVによる自動輸送ソリューションの研究過程で誕生したものであり、今後すぐに量産体制を構築し市場へ投入する計画はないとのこと。ですが、1つの自律走行プラットフォームの上に、交換可能なモジュールを使用する斬新なアイデアはおそらく世界初で、1台の車両から最大限の効率性引き出せることから、交通量減少による渋滞緩和、限りある自動車製造資源の節約、EV普及に伴う排ガスの減少、自律運転によるドライバー不足の解消など、人員・物資運搬に関わらず、現代モビリティ社会が抱えている諸問題を解決に導くコンセプトとして、世界中で注目が集まっているのです。

    Urbaneticの特徴と機能~絶えず稼働するモビリティ・サービスへの進化~

     

    Urbaneticは斬新かつ世界初と述べたものの、同一のEVパワートレーンを搭載したシャーシを、複数のボディーと組み合わせるアイデアそのものは、製造の効率をアップしコストを下げるのに効果的であることから、他の自動車メーカーでも推進されています。Urbaneticが画期的なのは、「モビリティ・ハブ」と呼ばれる基地間を、モジュールが搭載していないシャーシがAIによる自動制御で行き交い、かつ数人のメカニックによって短時間で用途に併せた載せ替えがリアルタイムで行える点です。

    また、人を運ぶためのモジュールには、最大12人が余裕をもって乗車できるスペースが確保されているため、ライド・シェアへの導入が進めばユーザーを安全かつ確実に輸送する「次世代都市型モビリティ」の中核を担う存在になりえるでしょう。加えて、貨物モジュールの容量は約10立方メートルで上下2層に区切ることが可能なため、最大10個のユーロ・パレット(W1200mm x L800mm x H144mm)の貨物を運搬できるEV自動運転トラックへと変化します。

    朝のラッシュアワーに通勤・通学ユーザーを送り届けた後、貨物モジュールへ変更して数時間配送業務をこなし、夕方の帰宅時間には再び乗用タイプに戻り、夜間から朝までは休みなく荷物を運搬するトラックとして運用するなど、獅子奮迅の活躍が期待されます。充電・メンテナンスに要する時間を除くと、止まらないモビリティとして運用可能なUrbanetics。過去100年間ビジネスにほとんど変化が生じていない、自動車業界を一変する可能性を秘めたコンセプト・カーなのです。

    トヨタ自動車が提唱した「e-Palette」も同様のコンセプトではあるが・・・

    前述したメルセデス社を含むすべての自動車メーカーは、乗用車と貨物バンを別々に製造・販売することで利益を上げ、巨大企業へと成長しましたが、世界中の都市は深刻化する交通渋滞と大気汚染の減少・緩和を急いでいます。

    Urbaneticは、「より少ない車両でより多くの人と物を輸送する」ことを想定したコンセプトであり、実用化されれば一気に諸問題を解決へ導くコンセプトですが、それと同時に自動車メーカーのビジネス・ボリュームを大幅に縮小させかねない諸刃の剣でもあります。メルセデス社が、Urbaneticの量産と市場投入を計画していないのはそのためで、他メーカーもEV自動運転車の開発・普及に向けての動きは積極的ですが、車の流通量を減少させる取り組みへ、膨大な資金と時間を費やす余裕がないのが現状です。

    そんな中、トヨタ自動車が2018年に発表した「e-Palette」は、メルセデス社を傘下に置くダイムラー・グループ以外では唯一、1台の車両を「多用途運用」することにより、都市交通インフラのコンパクト・シームレス化を目指す、極めて類似したコンセプトです。Urbaneticに先駆けCES 2018で展示されたe-Paletteは、全長4,8m×全幅2m×全高2,25mのミニバスサイズの自動運転EVで、低床・箱型デザインにより広大かつ、バリアフリーでフラットな空間が特徴。

    そして、単なるガソリン車の代用品ではなく、人員移動用のライドシェア仕様をはじめ、デリバリー、移動ホテル、移動オフィス、リテールショップといった、サービスパートナーの用途に応じた設備を搭載することができます。驚くべきは、Uber・Didi・Amazon・ピザハットとすでにパートナーシップを締結していること。

    出典:トヨタ自動車

    UberとDidiは当然ライドシェアでの利用となるでしょうし、Amazonやピザハットはドライバー不足の解消を可能にするため、具体性と実用化に向けての「スピード感」で言えば、Urbaneticより勝っているとさえいえるでしょう。移動ホテルや移動オフィスが登場すれば、これまで移動に費やしていた時間を有効活用できるようになりますし、AIによる緻密なデータ解析でセールスが期待できる場所へタイムリーに移動するリテールショップが実現すれば、効率も上がり売上アップにもつながるはず。

    このコンセプトの実用化によって、トヨタは「クルマを売る会社」から「移動サービスを売る会社」への変貌を目指しており、e-Paletteはそれを実現するだけの高いポテンシャルを有しています。

    しかし、いくつか弱点も。将来的にe-Paletteは全長4~7mの3サイズがラインナップされる予定ですが、いずれにしても中・大型車両でありマツダと共同開発したEVや、数多くの先進自動運転技術が投入されているため、想定される提供価格が極めて高額になることが予想されます。現実的には、一般ユーザーや個人事業主単位での導入は難しく、大企業もしくは地方自治体レベルでの普及しか進まないと予想されるため、自動車業界全体を巻き込むイノベーションまでは一歩届かないかもしれません。

    さらに、トヨタは東京オリンピック・パラリンピックに併せ、選手村を巡回する定員20名の「e-Palette・2020年仕様」を、今年度の東京モーターショーの自社ブースに展示予定です。最高時速19kmの低速自動運転EVには身長2mを超えるアスリートが悠々と乗車でき、車椅子ユーザーも4名がスムーズに乗降できるとのことですが、裏を返すとこれが現時点での限界とも言えるかもしれません。選手村という限定的かつ部外者が立ち入れない範囲にとどまっているうえ、時速20kmに満たない最高時速と150kmとされている航続可能距離では、とても忙しい都民の足替わりを担えると言えないでしょう。

    大会が終了すると選手村は解体され、分譲マンション用地などに再利用されますから、現在公表されている投入範囲・スペックに留まった場合、同コンセプトはスポーツの祭典を彩るイベントの1つになりかねない場合も。

    通信業界における「5Gへの移行」をイメージしていただきたいのですが、5Gを利用するには対応機種が必要ながら、4G・LTEサービスも継続提供されるため、非対応機種でもそれほど不便さを感じることはありません。言ってみれば、モビリティにおいて多くの車種で実用化されている「EV自動運転」が4G・LETであり、Urbaneticはそれに「モジュールの載せ替え」というちょっとした工夫を加えることにより、5Gに当たる新サービス「MaaS」へ移行する地ならしができるもの。

    一方、トヨタはe-Palette・2020年仕様を通じ蓄積したデータを活用し、様々なモビリティ・サービスに対応するe-Paletteの開発を進めるとしていますが、交通インフラが整備されている都市部において、思惑通りに普及するかは今後の見所かもしれません。

    総論!Urbaneticはモビリティの未来をどう変えていくのか

     

    e-Paletteと異なり、Urbaneticの「モジュールを乗せ換える」という考え方自体はいたってシンプルですし、導入コストが断然リーズナブルで済むうえ汎用性も非常に高いと言えるでしょう。コンセプトの根本にある空っぽのEV自動運転シャーシは、車体開発・製作費を大きく削減することもできるうえ、車両制御センターによって取得されたデータをリアルタイムで分析し、ニーズに基づいて効率的に配車・ルート設定をするシステムも組み込まれています。

    この配車・ルート設定システムはITモバイルとの連動も可能なため、ユーザーはスマホで配車スケジュールを確認し、時間に併せてモビリティ・ハブへ向かえば、渋滞を避けた最短・最速ルートでの移動ができるようになります。また、Urbaneticのモビリティ・ハブは、そのまま物流の集配基地として利用できるため、同業界が抱える人員不足解消や業務効率化による運営コスト削減、さらに荷物到着時間や受取確認・決済まで、通信モバイル1つで完了できるようになる可能性も秘めています。

    サイズ的に融通が利きやすいので、モジュールのバリエーションさえ増やせば人やモノの休みない大量輸送だけではなく、ラストワンマイルを解決する糸口ともなりえるのです。マクロな視点で開発が進んでいるe-Paletteより、ミクロな観点で研究が進められている、独・ダイムラーグループのUrbaneticの方が、実は国内の交通事情にマッチしているのかもしれません。

  • 田んぼを自動運転?クルマ以外の自動運転をまとめてみた

    田んぼを自動運転?クルマ以外の自動運転をまとめてみた

    自動運転と言えば、トヨタ・セーフティセンスや日産・プロパイロットなど、人やモノを輸送するクルマを思い浮かべる方は多いでしょうが、それ以外の業務用機械やロボットにも、次々と自動運転技術が適用され始めています。

    今回は、さまざまな業種・分野への積極的な導入が進んでいるクルマ以外の自動運転の国内運用事例をまとめてご紹介します。

    無機質なロボットが有機農業を支える!「アイガモロボット」

     

    大量生産・消費の時代から、少子化などの影響によって安全性を重視する食のトレンドへとシフトしている近年、有機肥料・農薬を使用せず生産されたオーガニック野菜が数多くスーパーに並び、食卓へ上る機会も増えてきました。そんな中、2019年6月山形県朝日町の水田上で、有機農法の1つ「アイガモ農法」が抱える課題を解決へと導く、アイガモロボットが日産のエンジニアらによってお披露目されました。ITテクノロジーを取り入れた新しい稲作の形として注目を集めています。

     

    出典:日産自動車

    アイガモ農法とは雑草や害虫をエサとするヒナを春先に数十羽水田へ放つことで、農薬を使用しない米づくりを目指す農法ですが、アイガモは成長すると肝心の稲を食べてしまうため、実りの秋を迎えるころにはお役御免になってしまいます。しかし、成長したアイガモを自然に放すことは法律で禁止されているため、飼育・処分問題はもちろん、弱いヒナたちを外敵から守る電柵や防鳥糸といった設備投資など、アイガモ農法には生き物を利用するからこその課題が存在していました。

    そこで誕生したのがアイガモロボット。Wi-FiとGPSで制御されたロボットが、プログラミングに従い水田一杯を自動走行することで水面が濁り、雑草や藻の発生・成長に不可欠な光合成を阻害する仕組みです。ロボットであるため雑草や害虫を食べることはありませんし、アイガモのように成長するわけでも飼育スペースやエサが必要なわけでもないため、減農薬や導入・運用コストの削減はもちろん、動物愛護の精神から見ても有益な取り組みだと言えるでしょう。

    アイガモを意識したようなつぶらな瞳が特徴の同ロボットをボランティアで開発した日産エンジニアによると、現時点における一般販売は予定されていないそうですが、製品化したいという企業が現れれば、惜しみなく技術協力する方針とのこと。

    日産の最新技術を用いて水田を自走するアイガモロボットは、1台でアイガモ20羽相当の働きを期待できるため、サステナブルかつ経済的実現性が非常に高く、もし製品化されれば減農薬を目指す稲作農家の間で、爆発的に普及する可能性もあると考えられます。

    法改正が進めば実用化も!「自動宅配・配送ロボット」

     

    ドライバー不足が加速度的に進む物流・運送業界にとって、IT技術を用いた自動宅配・配送インフラの実現は、企業としての存続を左右する最重要課題。しかし、現在の日本の道路交通法では、公道における無人自律走行は原則認められていません。一方、海外でも基本的な道交法の事情は同様ですが、自動搬送ロボット(AGV・UGV)の開発が進んでいるとともに、一部地域では特区制度のようなものを用い、公道での実証実験を積極的に実施し始めています。

    この国際的な流れを受け、経済産業省は自動走行ロボットの社会実装に向けたインフラ整備を具体的に検討するため、以下の4点に焦点を当てた「官民合同協議会」を発足と発表しました。

     

    • 安全性の確立と役割分担の整理
    • ユニバーサル性の確保(交通弱者への配慮)
    • マップ等のインフラの整備(協調領域の検討)
    • 事故等の法的責任分界の整理

    2019年6月24日開催された準備会合に先立ち、経産省本館前に開発中である5種のAGVを集め、公開とデモンストレーションを実施しました。


    あいにくの雨の中、公開された自動運転ロボットは「EffiBOT(三菱地所)」「Hakobot(HAKOBOT)」「CarriRo Deli(ZMP)」「Marble(三菱地所)」「楽天UGV(ジンドン製)」の計5台で、このうち三菱地所のEffiBotは人の後を追尾して荷物を運ぶ、「自動追従型」と呼ばれるロボットであり、最大300kg程度の荷物運搬が可能なため、女性や高齢者など腕力に自信のない人が扱う場合に効果が期待できます。言ってみれば、台車や大型キャリーカートの自動運転バージョンですので、技術的にも法的にも実装と普及が比較的スムーズに進むと考えられます。

    一方、それ以外のロボットはGPSなどの情報をもとに、配送会社の地域拠点からユーザーの自宅まで荷物を運ぶ「自律走行型」。歩行者や障害物をセンサーが感知すると自動停止するなど、安全性も十分に配慮されています。また、これらの自動配送ロボットは、アプリに届いた暗証番号を入力するとボックスが開き、ユーザーが荷物を受け取れる仕組みになっているため、物流のラストワンマイルを担う存在になりえるものの、実用化に不可欠である公道での実証実験を行う必要があります。

    今後は、関係省庁・運送事業者・サービサー・デベロッパー・自治体はもとより、立命館大学や慶應義塾大学など、官・民・産・学が参画している同協議会が先頭に立ち、さらなる具体的な活用方法の検討と、公道を含めた実証実験や法整備の加速が期待されています。

    まるでSF映画!危機回避・人材不足解消に効果絶大「自動警備ロボット」

     

    敵対勢力の本拠地に潜入した主人公が、徘徊する「自動警備ロボット」の目をかいくぐりいざラスボスと対決…!なんてストーリーは近未来が舞台のSF映画でよくある展開ですが、ロボット&自動運転技術の発展により、それが現実となる時代が間近に迫っています。任務遂行に危険を伴うことを理由に、物流業界以上に人材不足が深刻な警備業界にとって、遠隔操作可能な自動警備ロボットは様々な問題を一気に解決に導く救世主となりえる存在です。

    基本的に、対象施設内を巡回すれば事足りる自律走行型警備ロボットについては、法整備が不要であるため近年国内でも新製品の開発・リリースや実用化が急速に進む分野と言えます。セコムは2019年5月、自律走行型巡回監視ロボット「セコムロボットX2」のサービス提供を6月から開始すると発表し、すでに第1号の契約先として成田国際空港で導入されています。

    また、セコムと並ぶ国内警備会社大手の綜合警備保障(ALSOK)が、2019年3月に発表した警備員協働型警備ロボット「REBORG-Z」は

    • 多言語に対応した「施設案内機能」
    • 顔認証による「不審者検知機能」
    • 事件・事故を未然に防ぐ「異常音検知機能」
    • 赤外線カメラと熱センサーによる「火災感知&初期消火機能」

    などを備えているため、施設に訪れたユーザーとのコミュニケーションが向上するほか、危険を伴う防犯・防災行動をロボットに任せられるため、省人化とセキュリティレベルのUPも期待できます。今後は空港だけではなく、ショッピングモールやレジャー施設など街のいたるところで自動警備ロボット機会が増えるかもしれませんね。

    働き方改革を自動運転で推進!「自律走行型案内ロボット」

     

    名古屋市の「Hatch Technology Nagoya」に参加するNECは、同市庁舎でオペレーターによる業務を一部代行し、来庁者を希望窓口まで案内する「自律走行型案内ロボット」の実証実験を、2019年10月から翌年1月にかけ実施すると発表しました。Hatch Technology Nagoyaは、ロボット・AI・IoTなどの先進技術を活用することにより、行政分野における働き方改革を推進し、労働時間短縮や人材不足の解決を図る取り組みで、同社ほか計4事業者と名古屋大学が参加しています。

    今回、NECが提供したのは32型の大型ディスプレイと、自動運転用の各種センサーを搭載する自律走行型ロボットであり、タッチパネル操作を通じユーザーが目的とする所管課をAIが判別し、自律走行により当該課までスムーズに案内するというもの。同社は、官公庁への来庁者が急増する年末年始にあえて実証を行い、ロボット運用時のデータを大量に収集・分析することで、より確実でスピーディな案内を可能とする効率的な走行ルートの設計などを進め、全国へ普及させていく方針とのこと。

     

    空気まできれいにする優れモノも登場「全自動AI掃除ロボット」

    自動掃除ロボット言えば、一番はじめに頭に浮かぶのがルンバ。それ以外にもすでに多くのお掃除ロボットが家庭やオフィスで活躍していますが、ここで紹介するのは業務利用にも耐えうる大容量で吸引力が強い、ソフトバンクロボティクスが開発したAI清掃ロボット、「Whiz(ウィズ)」です。

    Whizはカーペットなどの床の清掃を目的とする、自律走行可能な乾式バキューム型AI清掃ロボットであり、掃除機としてのスペックを見ても優秀。

     

    • 清掃能力・・・500m²/h
    • 継続稼働時間・・・約3時間(ノーマルモード) 約1,5時間(パワーモード)
    • 集塵容積・・・4,0L(紙パック式)
    • 安全機能・・・障害物検知(LiDARセンサー&3Dカメラ)、衝撃検知(センサー搭載バンパー)、異常検知(段差センサー/車輪浮き検知センサー/異常時ブレーキ機能)

     

    なんといっても使用開始時の「清掃ルート設定」が非常に簡単なのが特徴です。清掃したいルートを手押しでティーチングすれば設定が完了します。2回目以降はスタートボタンを押すだけで記憶したルートを自律清掃してくれるほか、複数ルートを設定・使い分けることも可能なため、手軽に施設内をクリーンで快適な状態に保てるのです。

    清掃業界は採用難や高年齢化により、厳しい人材不足問題に直面していますが、AI清掃ロボットWhizはそれを文字通り「一掃」し、清掃分野の未来を切り開く革新的ナビゲーションであると同社は胸を張って言います。事実、他社に先駆け10台のWhizを導入した大手ビルメンテナンス企業、グローブシップ(株)は、ソフトバンクロボティクスからの使用感・効果に対するヒアリング調査で、「作業範囲をきっちり決めて、人がやるべきところと分けることが必要だが、平米数が増えた場合Whiz2台で作業を組み立てれば、半分の時間で(作業完了)できるかもしれない。」と述べるなど、実作業者の負担軽減や作業効率の向上に寄与するとの見解を示しています。

    無限の可能性を秘める自動運転

     

    今回紹介したのは、いずれも陸上を自律走行するロボットにすぎませんが、ドローンを用いた空輸の実証実験も着々と進んでおり、すでに一部地域では実用化されている事例が存在します。現状は法規制によってドローンが完全自動空輸できる場所は限定されますが、規制緩和が進めば物流業界の人出不足を解消するのみならず、災害発生時の援助物資や医療品・輸血用血液の緊急輸送など、活躍するシーンは数多くあります。

    また、事業用ロボットやドローンと自動運転技術は相性が良く、走行速度が遅いことや飛行範囲が広いことから、人を含めた様々なモビリティが複雑に関与する中で高速走行するクルマより、格段に法整備が進めやすいとも言えるでしょう。つまり、陸上では人の代わりを担う自動運転ロボットが忙しく働き、空を見上げれば郵便物や商品をユーザーへ届ける自律飛行ドローンが縦横無尽に飛び交う…、なんてSF映画のような時代が到来するのは、それほど遠い未来の話ではないのです。

  • 交通事故の削減を目指して~先進安全自動車(ASV)とは

    交通事故の削減を目指して~先進安全自動車(ASV)とは

    ITテクノロジーを活用した自動運転やコネクテッドカー、そしてMaaSの実現に向けた動きが年々強まる中、かなり早い段階から取り組みが進んでいるのが「ASV」の実用化です。今回は、先進安全自動車「ASV」の基本概念とこれまでの推進過程・方針に触れた後、現在実用化している具体的なASVの機能や将来的なビジョンにまでを解説します。

    ASVとは何か

     

    ASVとは、先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle)の略称であり、先進技術によってドライバーの認知・判断・操作をサポートする機能を搭載した次世代自動車、もしくはそれを含める高度道路交通システムの整備・推進プロジェクトのことを言います。

    日本国内での取り組みが始まったのは1991年。1995年度までに死亡者を1万人以下にする「第5次交通安全基本計画」を実現すべく、国交省を事務局に官・学・産が共同で設置した「ASV推進検討会」を中心に、関連技術の開発・実用化・普及を推進しています。

    同検討会は発足当初から痛ましい死亡事故の多くが、ドライバーの操作ミスに起因することを鑑み、以下3点を基本理念に据え、より高度・広範囲な安全運転支援システムを実用化することで、交通事故削減に大きく貢献することを目指し活動を続けています。

    ドライバー支援の原則・・・安全な運転をすべき主体はドライバーであり、ASV技術はあくまで「支援」に留まること。
    ドライバー受容性の確保・・・ドライバーがシステムの作動状態を常に確認でき、制御に介入することが可能であること。
    社会受容性の確保・・・他の交通、特に歩行者や自転車から理解され、かつ安全性が後退しないこと。

    草創期のASV搭載車は、「21世紀に向けた試作」と位置付けられていたほか、存在意義や具体的な取り組みもぼんやりしていましたが、

     

    • 第1期(1991~1995年度)「技術的可能性の検討」・・・開発目標の設定と事故削減効果の検証(ASV19台のデモ走行)
    • 第2期(~2000年度)「実用化のための条件整備」・・・ASV基本理念・技術開発の指針策定と事故削減効果の検証(デモ走行車を35台に拡充)
    • 第3期(~2005年度)「普及促進と新たな技術開発」・・・ASV普及戦略策定とITを用いた技術開発の促進(IT利用型ASVの実証実験開始)
    • 第4期(~2010年度)「事故削減への貢献と挑戦」・・・事故削減効果の評価手法の検討・実施とIT利用型ASVの基本設計書策定(IT利用型ASVによる公道総合実験開始)
    • 第5期(~2015年度)「飛躍的高度化の実現」・・・ドライバー異常時対応・歩車間通信システムの基本設計書策定とITS世界会議でのデモンストレーション

    という過程を経て、現在では後述する機能を搭載した自動車が数多く登場し、基本理念通り安全運転を強力にサポートする効果がユーザーに浸透した結果、ASVは瞬く間に普及しました。そして、これはAVSだけの功績ではありませんが、2018年度の交通事故死亡者は3,532人で、警察庁が保有する1948年以降の統計では最小となるなど、死亡事故削減効果も顕著に表れ始めました。

    進化が止まらない!実用化されている主なASVの機能

     

    ASVとアルファベット3文字を並べても、具体的にどんな機能なのかさっぱりわからない方もいるかもしれません。ここでは現在、搭載が進んでいる具体的なASVに属する機能について簡単に紹介しておきましょう。

    なお、自動車メーカーによってASVはパッケージングされる名称が異なるほか、一つひとつの機能も呼び方が微妙に変わったり、作動条件(車速や車間距離など)が変化したりますが、基本的な効果についてはほぼ同じと考えて問題ありません。

    ①  「衝突被害軽減ブレーキ」

    衝突被害軽減ブレーキとは、車両前部に取り付けられた赤外線レーザー・光学カメラ・ミリ波レーダーなどのセンサーで検知した車・障害物との衝突リスクが高まると、音や警告灯でドライバーに回避を促したり、ブレーキ操作の補助をしたりする機能です。

    最近の車種はセンシング機能が飛躍的に向上し、車や障害物の検知精度が高まったうえ、警告時点でブレーキの効きを強めたり、シートベルトの巻き上げを開始したりするなど、アクティブセーフティとパッシブセーフティの間に位置する重要な役割を果たしています。

    車対車の事故で一番多い追突事故の軽減と、被害緩和に大きな実績を上げている機能ですが、普及初期は作動すれば絶対に追突しないという訳ではなく、あくまでドライバーが自らの意思でブレーキを踏んで初めて、事故を回避できる機能でしかありませんでした。

    しかし、技術革新に伴い、スバルが他社に先駆けて自動停止まで行うアイサイトを2010年販売のレガシィに初搭載し、消費者への訴求力の高さとそれまで高額で思うように普及しなかった価格設定を大幅に下げた結果、瞬く間に大ヒット。その後、ドライバーが機能に依存することを避けるため設けていた規制が、安全性を示すデータなどによって解除されると、遅れながらもマツダが「SCBS」を、ダイハツが「スマートアシスト」を2012年ごろから新型モデルへの搭載を開始します。

    最後まで、衝突被害軽減ブレーキの自動停止に消極的だったトヨタも2014年、2017年末までに自動停止まで行う衝突被害軽減ブレーキをほぼすべての車種に搭載すると発表し、現在ではすべての国内メーカーがこの流れに追随している状況です。ただ、それでも走行状況や道路環境、気象条件やシステムエラーなどにより、安全に自動停止しないケースはあるため、数多くのシーンで安全に寄与してくれるASVながら、搭載しているからと絶対に慢心してはいけない機能でもあります。

    ②  「車線逸脱警報装置(LDW)&レーンキープアシスト」

    安全運転遵守の観点からは本来避けるべきことですが、運転中にカーナビやコンポの操作を行っていると、意図せず体の一部がハンドルに触れて動き、車体が大きく左右にぶれてしまうことも。車線逸脱警報装置は、車の前部に取り付けられた光学式カメラセンサーが、道路上の白線(黄線)を認識し車線をはみ出しそうになったとき、音や警告灯などによってドライバーに警告し、正しい位置に戻ることを促す安全運転支援機能です。

    衝突被害軽減ブレーキのように、車が自動でハンドル操作を行うのではなく、単純なアラート機能に過ぎませんが、居眠り運転時の覚醒効果も期待できるため、夜間走行や長距離運転をする機会が多いユーザーは、車の乗り換えを検討するときに、判断材料の一つに加えてもいいでしょう。

    一方、レーンキープアシストは、通常後述するACCと共に使用され車両が不意に触れた際のアラートだけではなく、電動パワステにトルクを発生させるなどのステアリング制御を行い、ドライバーが軽い力でハンドル操作できる「アシスト機能」を兼ね備えています。

    登場当初は、車線逸脱を感知した時のみ作動する「アシストタイプ」がほとんどでしたが、自動運転のレベルアップに伴い高速道路や自動車専用道に場所が限られるものの、車線中央を走行するよう常時ステアリング制御を行う新型モデルも登場。

    エポックメイキング的存在であるのが、2019年7月に日産が新型・スカイラインに搭載し話題を集めた「プロパイロット2,0」。高速道路での同一車線ハンズオフ運転の実現は世界初です。これまで各メーカーが搭載してきた自動運転はレベル2で、運転主体はドライバーであり常にハンドルを握っていることが前提の「部分運転自動化」ですが、プロパーロット2,0は同一車線内でのハンズフリー運転だけではなく、ナビとの連動による運転支援機能付き。

    たとえば、ICで車線移動を行う場合、ドライバーに音声や画面で指示を仰ぐ合図が発せられ、それを承認するとハンドルに手を添えるだけで車線変更が完了し、さらに高速出口ではきちんと減速までするのです。感覚的には、自動フライト中の航空機が正確かつ安全に飛行しているか、機長であるドライバーが監視している状態であるため、緊急時のみ人が運転タスクに関与するレベル3に限りなく近い、「レベル2,9」を実用化したとさえいえるでしょう。

    ③「後側方接近車両注意喚起装置&バックカメラ・センサー」

    車にはミラーでは見えない死角が左右の斜め後ろにあり、ここに入り込んだ他車をセンサーで感知。接近に気が付かないままドライバーがウインカーをONにすると、インジケーター表示や警報ブザーで注意喚起するのが、後側方接近車両注意喚起装置の機能です。リアビークルモニタリングシステムとも呼ばれるこの機能も年々進化を続けており、検知範囲が広く、悪天候や日射の変化の影響も受けにくい、24GHzの「準ミリ波レーダー」を採用するなど、センシング精度が飛躍的に向上したことで事故削減に貢献しています。

    また、商業・レジャー施設、特に屋内や地下駐車場は照明が暗いことも多いため、極力バックで駐車することを推奨しますが、車のサイズやスペース的にどうしても「前方走行」で入庫するケースもあるでしょう。用事をすませて出庫しようとした時、慎重に目視しながら後退していたのに死角から歩行者が出てきて「ヒヤッ」としたことや、反対に歩行者の立場で車の接近に危険を感じたことが、誰しも一度や二度はあるはずです。

    後進時発生する死角に歩行者がいないか、人の目の代わりにセンシングするバックカメラ・センサーもASVの1つで、バックカメラは後方の様子を車内モニターに移し、センサーは歩行者の存在をアラートすることで、事故を未然に防いでくれます。

    カメラとセンサーがどちらも搭載されている車種や、歩行者や他車を感知すると自動ブレーキが作動するものまで、センシング精度や範囲と性能に幅はありますが、音もなくバックするHVやEVが増加している昨今、非常に有用な機能であると言えるでしょう。

    ④「車間距離制御システム(ACC)」

    運転免許取得のために通う教習所で、「安全運転のコツは車間距離を空ける事」と教わってきた人も多いでしょう。理由は車間距離さえ十分に空けていれば前方で何かしらのトラブルが発生しても、安全な停車・回避操作をすることができるからです。

    車間距離制御システムは、車両前方に搭載されたセンサーが前走車との距離や速度差を測定し、前走車に近づいたらシステムが自動的にアクセル・ブレーキを制御することで、適切な車間距離を維持しながら追従走行する機能です。

    ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)とも呼ばれる、この機能の有効性は非常に高く、車間距離の常時確保により危機回避力の向上、高速・長距離走行時におけるドライバーの疲労軽減、高速道路等のサグ部(※)での減速を防ぐことによる渋滞緩和などに寄与するほか、近年搭載が進んでいる「全車速追従機能付」の場合は、渋滞やノロノロ運転時でも煩わしいアクセル・ブレーキ操作なく、安全かつ楽にドライブすることが可能です。

    ※サグ部・・・長い下り坂から上り坂に変わる部分のこと。

    ⑤  「ペダル踏み間違え時加速抑制機能」

    誰しもミスをすることはありますが、運転中の失敗は時に尊い命を奪うリスクを伴うため、細心の注意を払わなくてはなりません。とくにブレーキを踏むべき状況で誤ってアクセルを踏んでしまうと、車は「走る凶器」へと変貌します。

    ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、車載センサーが障害物を認識している状態で誤ってアクセルを踏み込んでしまった場合、警告音でドライバーにブレーキ操作を促し、同時にエンジン出力を下げて数秒のあいだ急発進を抑制する先進安全装備。システムが衝突を回避できないと判断した時、自動でブレーキをかける車種もあるため、一度でもブレーキをアクセルと踏み間違えた経験があるドライバーは要チェックです。

    今の車を乗り換える予定もないし非搭載だからどうしようもないという方には、各メーカーが提供している、後付け可能な踏み間違い加速抑制システムを活用しましょう。また、カー用品チェーンでも簡易的な踏み間違いによる急発進を抑制する商品を数万円で販売していますし、中でもオートバックス専売商品である「ペダルの見張り番2」は、軽自動車からミニバンまで約170車種に対応しています。

    交通事故往郷分析センターによれば、年間に約6,000件ものペダル踏み間違い事故が発生し、死亡事故の大半が「高齢ドライバー」である状況を重く見た東京都は、70歳以上を対象に「最大10万円・個人負担1割」という、手厚い補助金制度を実施しています。

    ASVの今後はどうなる?~自動運転との融合による未来の車~

     

    ここまで、現在搭載が進んでいるASVの「進化し続ける機能」について解説しましたが、推進検討会は既にその先を見据え、自動運転の普及を念頭に置いた「第6期推進計画」に着手しています。具体的には、基本理念の1つである「ドライバー支援の原則」の見直しが検討されている最中で、

    • ドライバー異常時対応システム・・・前期に推進した、緊急ボタンによる緊急停止などの受動的システムだけではなく、自動運転車両の遠隔操作や搭載AI・システムの判断のよる自動制御など、「能動的異常時対応システム」の開発・促進。
    • 高レベル自動運転車普及に伴う影響・・・自動運転⾞が⼆輪⾞や歩⾏者など他の交通参加者と調和を図り、安全な自動運転を実現するための具体策検討。
    • 無人自動運転サービスの早期実現・・・自律運転物流トラックによる隊列走行など、国内外で進行中である「自動運転プロジェクト」と並行し、無人自動運転サービスの実用化に必要なASV技術要件の検討。
    • ISAと自動運転との連携強化・・・道路ごとの制限速度に応じて自動で速度制御を⾏う、ISA(自動速度制御装置)の種類を整理し、より安全・正確なシステム確立に必要な技術要件の検討。

    などのほか、実用化が進んでいるとはいえ各社バラバラである、AVSの名称・定義・機能などを統一化することで、「ドライバー・社会受容性の確保」という残る基本理念の浸透・普遍化を推し進める方針です。2020年まで続く第6期推進計画が順調に進めば、ドライバー不足を払しょくする無人物流トラックが整然と並んで隊列走行する横を、ハンズフリー・マイカーがスイスイ走行し、渋滞の無い高速道路で安全・快適に、ドライブできる時代がやってくるかもしれません。

    また、レベル3の自動運転が実現すれば緊急対応だけとなるドライバーに、万が一身体的異常が発生しても車が自己判断で停車や回避操作を行うようになれば、確実に歩行者や他の交通を巻き込む交通事故は激減するでしょう。

    まとめ

     

    誕生した当初ASVは、「車を安全な乗り物」に進化させる取り組み・技術でしたが、計画の順調な推進と自動運転の発展により、我々の悲願である交通事故撲滅はもちろん、無人物流システムやレベル3以上の自律運転実現を左右する、重要な要素にもなってきました。官・学・産がしっかりとスクラムを組んでいるAVS推進検討会は、さながら快進撃を続けている「ラグビー・日本代表」のようで、その進捗状況には期待を込めて注目していきたいと考えています。

  • 移動の進化を体感せよ–– 1分でわかる「 Mobility Transformation Conference 2019」見どころポイント3つ

    移動の進化を体感せよ–– 1分でわかる「 Mobility Transformation Conference 2019」見どころポイント3つ

    ––202X年、移動の歴史が大きく変わる––

    自動運転、EV、ライドシェア、オンデマンド交通など、ここ数年で移動にまつわる大きな地殻変動が起き、新たなモビリティ社会が訪れようとしています。大変革期にある今だからこそ、異業種同士が垣根を超えてコラボレーションし、新たなサービスの開発や新たな価値を創出することが業界全体の発展につながるはずだ。スマートドライブでは、「移動の進化を後押しする」をミッションとして掲げ、各業界や地域の移動に関する課題に対して真っ向から向き合い、自社が持つ技術によってどのように解決すべきか、そして移動というものの価値そのものを変えようと真摯に取り組んできました。

    そんなモビリティ業界の進化を後押しすべく、11月15日金曜日、移動の進化を体感できる日本最大級の共創型モビリティカンファレンス「Mobility Transformation Conference 2019」を、東京の中心地・虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催いたします。豪華なスピーカーや濃密なセッションが続々と発表され、想定を上回る勢いで全チケットがSOLDOUT。開催まで一週間を切りましたが、ここで改めて、カンファレンスで見逃せない重要なポイントを3つご紹介します。

    1. 業界の垣根を超えた企業が集結。50人以上のスピーカー

    これからの時代、市場を拡大し業界を発展させるには企業や業界が垣根を超えて共創することが必要不可欠です。大手企業もスタートアップも、自動車業界もその他の業界も、各業界や各社が持つ強みをそれぞれ掛け合わせていくことで、先進性のあるソリューションを生み出す。そしてそれが、日本のMaaSを大きく前進させることにつながっていく。

    「Mobility Transformation Conference 2019」では、タクシー、鉄道などの交通インフラ、自動車メーカーから、不動産、IT、クリエイティブ、コンサルティング、金融、弁護士まで、モビリティを取り巻くあらゆる業界のキープレイヤーが50名以上集結。さまざまな切り口と多種多様な視点で最新事例の発表やパネルディスカッションを行い、「移動の進化への挑戦」を紐解いていきます。中でも注目いただきたいのがパネルディスカッションの多さです。各企業、自社が持つ知見やノウハウをどのように活用し、どのような手段でモビリティ社会を一新させようとしているのか。移動の進化をどのような視点で捉え、どのような未来を描いているのか。いずれも白熱すること間違いなし!

    <登壇企業一覧>
    インテル / 森・濱田松本法律事務所 / ジャガー・ランドローバー / ローランド・ベルガー / JapanTaxi / 東急電鉄 / What3words / LINE / ダイハツ / 三井不動産 / 日本マイクロソフト / ドッツ / SUBARU / バスキュールレイヤーズ・コンサルティング / トレジャーデータ / ウイングアーク1st / 電通デジタル / アクサ損害保険 / プレステージ・コアソリューション / DNX Ventures / Plug and Play Japan / ゴールドマン・サックス証券 / The Breakthrough Company GO / TikTok / 博報堂ケトル / 楽天 / 日本ハネウェル / モノフル / ナウトジャパン / さくらインターネット / HEART CATCH / ナイル / Zuora Japan / akippa / KDDI / 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター / 本田技術研究所 / スズキ / 森ビル / INCJ

    2. 国内外の先端企業に触れる!LTとエキシビジョン

    セッションの休憩時間には、リフレッシュルームで国内外の最先端スタートアップのLT(ライトニングトーク)を開催。休憩時間も一切無駄にせず、参加者に学びや気づきを与え、クリエイティビティを刺激します。また会場内に設置されたエキシビジョンエリアにはさまざまな業界のブース出展がありますので、最先端テクノロジーやトレンドを直接見て、触れることができます。

    <ブース出展企業一覧>
    アクサ損害保険株式会社 / UPWARD株式会社 / 株式会社クレスト / グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 / Sansan株式会社 / 積水化学工業株式会社 / 株式会社ソラコム / ソートスポット合同会社 / 株式会社Pyrenee / ベルフェイス株式会社 / Nauto Japan合同会社 / 株式会社ユーザベース

    <ライトニングトーク登壇企業一覧>
    EventHub / Dream Drive / what3words / シード / Visionaries 777 / Nauto / JapanLeapMind

    3. 開催前からネットワーキングが可能!

    「新たな知見を得て、事業に活かしたい」「気になるサービス・企業がある」など、カンファレンスに参加される理由はさまざまかと思いますが、「Mobility Transformation Conference 2019」最大の特徴とも言えるのが、当日の登壇者や参加企業とネットワーキングできることです。

    本カンファレンスでは、イベントでのビジネスネットワーキングや商談の機会を加速する「EventHub」を導入し、カンファレンスの開催前から終了後まで、業界・企業の垣根を越えたビジネスネットワーキングを可能にしました。ただ講演を聞き、学びを得るだけでは終わりません。あなたのビジネスを加速させるために、新たなイノベーションを促進するために、是非気になった方と積極的に多くのつながりを築いてください。

     

    カンファレンス終了後のレポートはこちらにてご登録いただくことでフリーダウンロードが可能です。

    それでは当日、みなさまのご来場を心よりお待ちしております!